マーケティング戦略 マーケティングの定義 ◆マーケティングの定義 ●AMA(アメリカ・マーケティング協会)の定義(1935) マーケティングとは生産地点から消費地点にいたる商品 およびサービスの流れに携わる諸々の事業活動である。 ●AMA(アメリカ・マーケティング協会)の定義(1985) マーケティングとは、個人および組織の目標を満足させる 交換を創造するため、アイデア、財、サービスの概念形成、 価格、プロモーション、流通を計画・実行する過程である。 ●JMA(日本マーケティング協会)の定義(1990) マーケティングとは、企業およびその他の組織がグロー バルな視野に立ち、顧客との相互理解を得ながら、公正な 競争を通じて行う市場創造のための総合的な活動である。 ●フィリップ・コトラーの定義 マーケティングとは、個人や集団が、製品および価値の 創造と交換を通じて、そのニーズや欲求を満たす社会的・ 管理的プロセスである。 マーケティング・コンセプト ◆マーケティング・コンセプト(基本理念) マーケティング・コンセプトとは、マーケティングの基本的 な考え方のことであり、時代とともに変遷を遂げている。 ●マーケティング・コンセプトの変遷 生 産 志 向 コンセプト 製 品 志 向 販 売 志 向 顧 客 志 向 社 会 志 向 ①生産志向 ②製品志向 (シーズ志向、プロダクト・アウト) ③販売指向 ④顧客志向 (ニーズ志向、マーケット・イン) ⑤社会志向 前提となる考え方 生産志向 消費者は入手しやすい手頃な製品を好む 製品志向 消費者は最も品質の良い製品を好む 販売志向 売り手がかなり販売促進努力をしなければ、消費者は買わないだろう 顧客志向 顧客がどのような欲求を持っているのかを明らかにし、彼らが望むものを競 争相手よりも効果的かつ効率的に提供することで、自らの目的を達成できる 社会志向 企業が果たすべき社会責任、社会貢献までマーケティングとして捉える考え方 134 マーケティング戦略の展開 ◆マーケティング戦略の展開 マーケティング環境の分析 外部環境、内部資源、消費者行動分析 マーケティング目標の設定 売上、利益、シェア(市場シェア、顧客シェア) 市場細分化 要件、基準 標的市場の設定 無差別型、差別型、集中型 ポジショニング 消費者が意識する製品の位置づけ ①Product・・・製品戦略 ②Price・・・価格戦略 ③Place・・・チャネル戦略 ④Promotion・・・プロモーション戦略 マーケティング・ミックス の開発と実行 マーケティング環境の分析 ◆マーケティング環境分析→機会と脅威、強みと弱みを分析 外部環境 マクロ環境 経済的環境、人口動態的環境、社会文化的環境、 技術的環境、政治・法律的環境、自然的環境等 ミクロ環境 消費者、競争企業、利害関係集団、産業状況等 内部資源 人的資源、財務資源、物的資源等 統制 不可能 準統制可能 統制可能 ◆消費者行動 ●コトラーの購買意思決定プロセス基本モデル ①問題認知・・・消費者がニーズに気づく (注)認知的不協和とは、 ②情報探索・・・ニーズを満たすものを得るための情報を探索 ある商品を購入した後 ③代替品評価・・・代替品の情報を比較検討し、評価する に、その購入が正しい ④購買決定・・・代替品評価の結果、どの商品を購買するか決定 選択であったかどうか ⑤購買後の行動・・・認知的不協和が発生する場合がある ●ロジャースのイノベーション採用時系列 初期採用者 13.5% 革新者 2.5% 前期大衆 34.0% 後期大衆 34.0% 135 採用遅滞者 16.0% 疑う気持ちをいう。 マーケティング目標の設定 マーケティング目標として、売上高目標、利益額・利益率 目標、市場占有率目標、企業・製品イメージ目標などを設定。 市場細分化 ◆市場細分化(マーケット・セグメンテーション) 市場細分化(マーケット・セグメンテーション)とは、 市場を一定の規模を保ちながらかつ同質的なニーズを 持つ消費者の集合に区分していく手法である。 市場を細分化することにより、消費者の多様なニーズに 適合した製品の提供が可能となり、マーケティング資源が 有効活用できる。また、市場環境の変化に柔軟に対応 できるというメリットがある。 ●市場細分化の要件 測定可能性 市場の規模と購買力を測定できる 到達可能性 市場に活動を到達できる 維持可能性 十分な市場規模と利益が得られる 実行可能性 市場を引きつける活動が実行できる ●市場細分化の基準 ジオグラフィック(地理的)基準 地域、気候、人口密度など デモグラフィック(人口統計的)基準 年齢、性別、家族構成、所得、職業、学歴など サイコグラフィック(心理的)基準 価値観、ライフスタイル、パーソナリティなど 行動変数基準 ロイヤルティ、態度、使用頻度、購入量など 標的市場の設定 ◆標的市場の設定(ターゲット・マーケティング) 「無差別型」、「差別型」、「集中型」の3つがあるが、 中小企業は「集中型マーケティング」が中心となる。 ●標的市場の設定パターン(コトラー) マーケティング・ミックス セグメント ①無差別型・・・単一の製品をすべての市場に投入していく方法 メリット:製造コストなどが低減する 1 デメリット:単一製品ですべての消費者を 満足させることはほとんど不可能である ②差別型・・・細分化された市場毎のニーズに適合した複数の製品を投入していく方法 1 1 メリット:個々の市場ニーズに対応、売上向上 2 2 デメリット:個々のマーケティング・ミックスを 3 3 構築する必要があるため、コスト増となる ③集中型・・・特定の市場を限定し、そこに最適な製品を投入していく方法 1 メリット:経営資源の有効活用が図られる 1 2 デメリット:市場に対するリスクを分散 3 させることができない 136 ポジショニング ◆ポジショニング ポジショニングとは、消費者の意識の中で占めているその 製品に対する位置づけのことである。また、ポジション分析 とは、消費者が意識する製品の位置づけを最もよく表現する 属性を平面の座標軸にとり、製品をその平面の適切な位置に プロットし、分析するものである。その狙いは「差別化」を図る ことにある。つまり、市場細分化して標的とした市場セグメント の中で、いかに競合と差別化を図り、競争優位に立つかが ポジショニングの目的である。したがってポジショニングの軸は 一方的な売り手志向の軸ではなく、ターゲット市場の顧客に とって意味がある顧客志向の軸を設定することが重要となる。 そして、軸を選択して最適な組み合わせを行った上で慎重に 製品・サービスのポジショニングを決定する。 目指すべき方向 他社 自社 激しい競争関係の中で、企業が 生き残るためには、業種・業態 の転換、立地変更など、ポジショ ニングの変更も必要となる! 現在のポジショニング マーケティング・ミックス ◆マーケティング・ミックス マーケティング・ミックスは、標的として設定した 顧客の欲求を充足させるためのマーケティング 機能(手段、要素)の組み合わせのことである。 ●マッカーシーの4P マーケティング・ミックス(活動要素)の代表的なもの として、マッカーシーの4Pがある。 Product Price Place Promotion 製品戦略 プロダクト・ミックス、ブランド、 パッケージ、新製品開発など 価格政策、価格設定、 価格戦略 価格の管理など チャネル戦略 立地、流通経路、流通業者、 物流、倉庫、輸送手段など プロモーション プロモーション・ミックス 戦略 137 製品戦略 ●製品の定義(コトラー) 製品とは、特定のニーズや欲求を充足する興味・ 所有・使用・消費のために市場に提供されるすべて のものをさす。それは、物理的財・サービス・人間・ 場所・組織・アイデアを含んでいる。 ●製品の3層モデル(コトラー) 中核部分 中核的便益(ベネフィット)、サービス 実態部分 機能、品質、スタイル、ブランド、パッケージ、特徴等 付随部分 配達、据付、アフターサービス、品質保証、 信用供与(クレジット)等 ●製品の分類 財 有形財 消費財 最寄品 買回品 専門品 非探索品 無形財 産業財 消費者向けサービス 事業所向けサービス ●プロダクト・ミックス 企業は、その製品戦略に応じて、適切なプロダクト・ ミックスを構築している。その企業が採用する製品ライン の広がりを製品ラインの幅といい、また、各ラインの製品 アイテムの豊富さを製品アイテムの深さという。 ●製品ライフサイクル 導入期 成長期 成熟期 衰退期 ●新製品開発のプロセス ①アイデアの創出 「シーズ発想」と「ニーズ発想」の両面から ②スクリーニング アイデアを実現性、収益性等で絞り込む ③製品コンセプトの開発 顧客の購買理由、市場価値を明確化 ④マーケティング戦略の検討 コンセプトに基づき戦略を策定 ⑤経済性の評価 予想売上高、利益、原価のシミュレーション ⑥試作モデルの開発 具体的な製品への落とし込み ⑦テストマーケティング 地域限定の実験販売と製品仕様の決定 ⑧市場導入 本格生産、市場導入を実施 138 価格戦略 ●価格設定における影響要因 企業・マーケティング目標 競争地位別戦略 価格以外のマーケティング目標 コスト 価格 競争戦略 需要の価格弾力性 マクロ経済状況 法規制 ●価格設定の方法 1.コスト志向的価格設定法 2.需要志向的価格設定法 3.競争志向的価格設定法 (①実勢価格設定法、②入札による価格設定) ●新製品の価格政策 ①初期高価格政策 新製品導入時に高い価格を設定しておき、成長期に移行 するとともに価格を徐々に低下させていく方法。上澄吸収 価格政策、スキミング・プライス政策とも呼ばれる。 ②初期低価格政策 新製品の価格を低価格に設定して、その価格的な魅力に より大量の顧客に製品購入を促し、圧倒的な市場シェアを 獲得していく、という政策。市場浸透価格政策、 ペネトレーション・プライス政策とも呼ばれている。 ●その他の価格政策 1.心理的価格政策(①端数価格、②慣習価格、③名声価格) 2.オープン価格(メーカー希望小売価格を表示しないもの) 3.マルチプル・ユニット・プライス(複数商品をひとまとめに) 4.プライス・ライニング(キリのよいいくつかの価格ライン) 5.キャプティブ・プライス(主製品を安くして「捕虜」を確保) ●販売促進的価格政策 1.ロス・リーダー政策(おとり価格政策、特売用の目玉商品) 2.エブリデー・ロー・プライス(EDLP)政策(常に低価格を訴求) ●価格の管理 1.割引 ①現金割引、②数量割引、③機能割引、④販売促進割引 2.リベート 3.その他 ①価格カルテル・・・同一のチャネル段階にある競争業者が、お互いに 共同して販売価格を協定することで、これは独占禁止法違反行為である。 ②再販売価格維持契約・・・著作物(書籍、CD)などの適用除外品目の 場合を除いて、再販売価格維持契約は独占禁止法違反行為である。 139 チャネル戦略 ●チャネルの段階構造 生産者 消費者 生産者 生産者 卸売業者 小売業者 消費者 小売業者 消費者 ●チャネル政策 ①開放的チャネル政策 メーカーができるだけ幅広くチャネルを網羅することにより、広く 最終消費者に製品を供給していこうとする際に採用される政策 ②選択的チャネル政策 メーカーが、チャネルの幅をある程度限定し、その限定した範囲 の流通業者に対して優先的に製品を販売していくという政策 ③専属的チャネル政策 メーカーが、チャネルの幅を極端に限定し、その限られた流通 業者に対して一定地域の専売権を付与していく政策 ④統合的チャネル政策 メーカー自らが直営の販売店網を保有する政策 ●伝統的なマーケティング・チャネル チャネル構成メンバーであるメーカー、卸売業者、小売業者の結びつきが 緩やかであり、メンバーそれぞれが自律的にチャネル内で活動しているもの ●垂直的マーケティング・システム(VMS) 垂直的マーケティング・システム(VMS:Vertical Marketing System)とは、 チャネルメンバーの収益目的の達成と、チャネル運営の効率性を追求する ために、あるチャネルメンバーが主体となって計画的に構築され管理された、 メーカーから小売業者に至る流通システムのことである。 VMS 企業型VMS 契約型VMS フランチャイズ・チェーン 卸売業主体ボランタリー・チェーン 小売業主体コーペラティブ・チェーン 管理型VMS ●フランチャイズ・システム ①フランチャイザー(本部)とフランチャイジー(加盟店)とが共同で事業を運営 する契約を締結する。 ②フランチャイザーは、自らの商標などをフランチャイジーに使用させ、同一 イメージの事業を実施する権利を付与する。 ③フランチャイザーは、フランチャイジーに事業活動についての経営指導を行う。 ④フランチャイジーは対価として、加盟料やロイヤリティー(本部への定期的納入 金)などを支払う。 140 プロモーション戦略 ●プロモーション・ミックス プロモーションの手段の組み合わせのこと。 プロモーション・ミックス プル戦略 広告 パブリシティ プッシュ戦略 人的販売 販売促進 ●プル戦略とプッシュ戦略 ①プル戦略・・・消費者の需要を喚起する戦略 ②プッシュ戦略・・・チャネルを通じて商品を売り込む戦略 ●AIDMAモデル(アイドマ・モデル) AIDMAモデルとは、消費者が広告などの刺激を受けてからその製品を購買するまでの心理的な 過程を、段階的にとらえたものである。すなわち、①Attention(注意:ある製品の存在に気づく)→ ②Interest(興味:その製品に興味をもつ)→③Desire(欲求:その製品を欲しいと思う)→④Memory (記憶:その製品を記憶に留める)→⑤Action(行動:その製品を購買する)という流れのことである。 ●主要広告媒体のメリット・デメリット テレビ ラジオ 新聞 雑誌 屋外広告 ダイレクト・メール メリット ■広いカバレッジ ■広いリーチ ■映像・音・動きを伴う ■低いコスト ■セグメントが可能 ■広いカバレッジ ■高い柔軟性 ■セグメントが可能 ■多くの情報を提供 ■メッセージが長命 ■高い反復率 ■高い注目率 ■対象者の絞り込みが可能 ■多くの情報を提供 デメリット ■セグメントしにくい ■絶対的に高いコスト ■メッセージが短命 ■音のみの利用 ■メッセージが短命 ■視覚だけによる訴求 ■メッセージが短命 ■視覚だけによる訴求 ■広告変更などにおける 低い柔軟性 ■特定の地点に限定 ■少ない情報を提供 ■接触当たりの高いコスト ●パブリシティ パブリシティとは、企業が報道機関(新聞社、出版社、放送局など)に対して、 ニュース素材を提供する活動をいう。 ①広告のような多くのコストを要しない。原則として無料。 特徴 ②受け手にとって、客観性が高く、インパクトは強く、信頼しやすい。 ③報道するか否かは、報道機関が決定する。 ●人的販売 ①オーダーゲッター(創造的人的販売)・・・新規顧客開拓が主体 ②オーダーテイカー(維持的人的販売)・・・既存顧客維持が主体 ③サポーティング・セールスマン(支援的人的販売) ●販売促進 1.消費者向け(①POP広告、②発表会・展示会、③サンプル提供、④プレミアム、⑤ノベルティ、 ⑥実演、⑦ポイントカード、⑧会員カード、⑨カタログ・パンフレット) 2.流通業者向け(①リベート、②販売店コンテスト、③ハウス・オーガン、④販売店教育、⑤派遣店員) 3.社内向け(①セールス・コンテスト、②セールスマン教育、③マニュアルや社内報の作成) ●口コミ 口コミは、しばしば強力な影響を消費者に与える。特に、高額商品の場合、顕著である。 ①消費者は、オピニオン・リーダーからの情報を重視する。 ②口コミのネットワークは、顧客との関係性構築の中で形成が可能である。 141 その他のマーケティング戦略 ●小売業に関する理論 ①小売の輪の理論 革新的な小売業者が市場参入する場合、低価格・低マージン・ 低ステイタスで臨むが、成長とともにそれを維持できなくなり、 そこに新たな低価格・低マージン・低ステイタスの小売業者の 参入余地が生まれる。 ②真空地帯理論 小売業の進展に伴い、市場内に隙間が生じ、そこに小売業者が 参入する余地が生まれる。 ③アコーディオン 社会に、品揃えを専門化した小売業者と、総合化した小売業者 理論 とが交互に出現する。 ④フォード効果 消費者の所得の増加が社会的に贅沢品を品揃えする小売業者 の店舗密度を上昇させ、反対に生活必需品を品揃えする小売 業者の店舗密度が低下する。 ●卸売業に関する理論 ①取引数量 最小化の理論 ②不確実性プール の原理 製造業者と小売業者で行われる流通上の総取引回数は、 流通経路の中間に卸売業者が介在することで減少する。 小売業者が消費者の望む商品の全てを在庫するよりも、卸売 業者が介在することによって、社会的な総在庫数が少なくてすむ。 ●サービス・マーケティング 無形財であるサービスを対象とするマーケティング。 ●サービスの特性への対応 ①非有形性:サービスを購入した際の変化などを具体的にビジュアルとして表現する。 ②不可分性:一度に多数の消費者を相手に提供する。サービスを記録・保存する。 ③非貯蔵性:需要の集中と分散に対応すべく、需要に応じた価格設定を行う。 ●サービス・マーケティングのしくみ 企業 インターナル・ エクスターナル・ マーケティング マーケティング サービス・エンカウンター (コンタクト・パーソネル) 顧客 従業員=CP インタラクティブ・マーケティング サービス・マーケティングにおいては、 エクスターナル・マーケティング、 インターナル・マーケティグ、 インタラクティブ・マーケティング という3つの要素が必要である。 この3つの要素からなるサービス ・マーケティングの三角形が サービス・トライアングルである。 ●データベース・マーケティング データベース・マーケティングとは、企業が保有する顧客リストや製品情報 などのデータベースをマーケティングの戦略構築に活用していくことである。 顧客管理の代表的な手法として、RFM分析がある。 ●ダイレクト・マーケティング ダイレクト・マーケティングとは、流通業者を経由せずに直接 消費者にコミュニケーションを行い、販売を実施していく手法である。 ●リレーションシップ・マーケティング 顧客にとっての優れた価値と満足を生み出して、長期的に利益がもたらされる ようなリレーションシップを顧客との間に構築し、維持し、促進するプロセス。 データベース・マーケティングやダイレクト・マーケティングの上位概念である。 ●ワン・トゥ・ワン・マーケティング 個々の顧客を把握し、その顧客と1対1で対話を続け、顧客の個別 の仕様に従ってカスタマイズした製品・サービスを提供するもの。 ●顧客進化の考え方 ①見込み客→②顧客(カスタマー)→③得意客(クライアント) →④支持者(サポーター)→⑤代弁者・擁護者→⑥パートナー 142 店舗販売管理 ●ストア・コンセプト ストア・コンセプトとは、店舗の基本理念のことで、「誰に」、「何を」、「どのように 売るか」という3つの機軸でとらえるのが一般的である。消費者ニーズの多様化や 競争激化により、小売業は自店のストア・コンセプトを明確に打ち出して、消費者の 支持を得ることがますます重要となっている。 ●店舗の機能 ①訴求機能 ②誘導機能 ③演出機能 ④選択機能 ⑤購入促進機能 店舗の存在を知らしめる、目立たせる機能 店内へ顧客を誘導する機能 商品の魅力を演出し、訴求機能や誘導機能を高める機能 商品を選ばせる機能 "買いやすさ"を実現する機能 ●販売形態 ①対面販売 ②側面販売 ③セルフ・サービス 高額品、ブランド品、薬、化粧品など 衣料品、スポーツ用品、靴など 日用品、食品、・・・他多数 ●店舗レイアウトの基本 ①客動線 ②従業員動線 店内の回遊性を高めるため、客動線はできるだけ長くなるように 作業効率を高めるため、従業員動線は短く ●仕入・調達管理 (1)GMROI(Gross Margin Return On Inventory Investment:商品投下資本粗利益率) 売上総利益 GMROI(%)= ×100 平均在庫高(原価) 売上総利益 売上高 = × ×100 売上高 平均在庫高(原価) 売上高総利益率(%) = × 商品投下資本回転率 売上高 = 売上高総利益率(%)× 平均在庫高(売価)×(1-売価値入率) = (2)交差比率 交差比率(%)= = = 売上高総利益率(%)× 売上高総利益率(%) 売上総利益 売上高 売上総利益 平均在庫高(売価) 商品回転率(売価) 1-売価値入率 × × 商品回転率 売上高 平均在庫高(売価) ×100 ×100 (3)商品回転率 ①売価法による商品回転率(回)=売上高/平均在庫高(売価) ②原価法による商品回転率(回)=売上原価/平均在庫高(原価) ③数量法による商品回転率(回)=売上数量/平均在庫高(数量) (4)値入額と値入率 ①売価値入率(%)=(値入額/売価)×100 値入額 ②原価値入率(%)=(値入額/原価)×100 原価基準の値入率(%) ③売価基準の値入率(%)= 100%+原価基準の値入率(%) 原 価 売価基準の値入率(%) ④原価基準の値入率(%)= 100%-売価基準の値入率(%) 売 価 ●ISM(Instore Merchandising) インストア・マーチャンダイジングとは、客単価に着目し、来店している顧客に働きかけ、 いかに多くの商品を買い上げてもらうかをコントロールする小売マネジメント手法である。 ①インストア・プロモーション →店の広告・陳列・展示の演出 ②カテゴリー・マネジメント →商品カテゴリーの見直しと管理システム ③スペース・マネジメント →売り場の再配分と再配置 買上げ金額(客単価)=客動線長×立寄り率×視認率×買上げ率×買上げ個数×商品単価 143
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