職業選択は パーソナリティの表現です

特集●ホランドの職業選択理論
職業選択は
パーソナリティの表現です
―訳者に聞く『ホランドの職業選択理論』―
路指導およびキャリア・カウンセリン
援用のアセスメントの開発により、進
築とその理論を土台としたキャリア支
イス・ホランドは、職業選択の理論構
アメリカの職業心理学者ジョン・ル
究を続けました。ホランドはスーパー
変化を直視し、キャリア発達の理論研
と同時に、個人を取り巻く社会環境の
一カウンセラーに戻り、実践を続ける
るドナルド・スーパー博士も、退職後、
の理論家として日本で最も影響力のあ
キャリア支援を支えるキャリア発達
ての責任ではないかと考え、第
セスメントの活用に携わったものとし
果を知ることは、ホランドの理論とア
その後、多方面で行われてきた研究成
の 理 論 家 と し て の 研 究 過 程 を 追 跡 し、
いずれにしても、今一度、ホランド
にも思えます。
グの世界において多大な影響を与えて
版の
きた。中でも、
彼の提唱した﹁個人と、
つのパーソナリティ類型で分けられ
職業界を含む社会環境はともに同じ六
ての経験から、理論を構築し続けたこ
を提唱しましたが、カウンセラーとし
博士とは異なる視点で職業行動の理論
り、第3版が最後の改訂版となったた
彼 は 惜 し く も2008年 に 亡 く な
翻訳作業にとりかかりました。
る ﹂ と い う 六 角 形 モ デ ル、 い わ ゆ る
第3版で改訂されたのは、どのようなと
年間にわたる実証研究を掲載し
を構築していきました。そして、亡く
的検討を重ねたうえで、職業選択理論
着想を得て、多くの実証的研究と理論
自身のカウンセラーとしての経験から
で 働 く カ ウ ン セ ラ ー で も あ り ま し た。
ホランド博士は研究者であり、現場
ても、世界中でますます受け入れられ
そのような社会環境の変化の中にあっ
理 論 的 枠 組 み と し て い る 彼 の 理 論 は、
し た。
﹁個人と環境との相互作用﹂を
変化し、さらにグローバル化も進みま
報化時代に移行し、産業構造は急速に
版と第3版の出版の間に、世の中は情
版を1997年に出版しました。第2
年に世に出しました。ホランドは第3
業選択の理論﹄という題名で1990
私どもは、原著の第2版を翻訳し
﹃職
中心とした若年者への適応として考え
ばれていますが、今まで、主に学生を
まさに、わが国でもキャリア形成が叫
ンジの理論﹂が加えられています。今
に﹁キャリア介入およびキャリア・チェ
実践上の応用︵第9章︶には、新た
可能性を示していると言えます。
こから、ホランド理論の世界での適応
地での研究もかなり進んでいます。そ
りましたから、アメリカ以外の世界各
ツールは世界中で使用されるようにな
本書の翻訳の経緯を教えてください。
なるまで現場において、より有効な理
︱
論とするために実証研究を重ね、改訂
られていた彼の理論が、アメリカにお
ホランド理論に基づいたアセスメント・
をまとめたところが特徴です︵第7章︶
。
たに理論的に検討され、改訂された点
︵第6章︶
、その研究結果を受けて、新
後の
言ってよいでしょう。原著第2版出版
SEC﹂の6類型論は強固になったと
らかというと実証研究の結果、
﹁RIA
理論自体は変わっていません。どち
ころでしょうか。
︱
め、今回の翻訳版が最後になります。
とは同じです。ホランドは、理論の構
の進路指導・カウンセリングに役立つ
RIASECモデルは、国際的に広く
アメリカ労働省の職務分析・職業分
ことを目標にしていたと言ってもいい
築が目的なのではなく、青年期の若者
3
知られている。
類をはじめ、わが国の﹁職業レディネ
でしょう。
い ま す が、 著 作 と し て は﹃
Making
ホランドは多くの研究論文は残して
ス・ テ ス ト ﹂︵ 以 下、VRT︶ や キ ャ
リア・インサイト他、各種のキャリア・
カウンセリング用ツールに取り入れら
れたホランドの理論について、このた
に、ホランド理論を検証した多様な研
﹄ 冊 で、 そ の
Vocational choices
冊を 回改訂しました。改訂のたび
業選択理論︱パーソナリティと働く環
究者の論文を精査し、職業選択の理論
び刊行された彼の著作﹃ホランドの職
境︱﹄の翻訳者の一人である、筑波大
12
ています。かなり普遍的な理論のよう
がった。
を検証し続けました。
1
学名誉教授
渡辺三枝子氏に話をうか
2
していきました。
職業研究 2013 秋季号
3 1
名誉教授 渡辺三枝子氏
筑波大学
人間
環境
(遺伝)
家庭、学校、親族、友人等の環境もその
特徴によって、それぞれのタイプで示す
ことができる。それらの環境は、人間に
対し、その環境が示す優勢なタイプに対
応した活動の機会や強化を与える。
↓
興味
↓
能力
↓
行動傾向
↓
究成果を紹介していますね。
パーソナリティ
あるいは
行動のレパートリー
に、彼の理論に対する他の学者からの
築に使ったところですね。ですから逆
論まで研究し、それを自分の理論の構
そして、最近、必要となってきた成人
﹁パーソナリティについての著者の考
良い例が、職業領域を表すRIAS
と思います。心理学だけではなく文化
底的に研究し、取捨選択したところだ
彼の偉いところは、他者の理論を徹
たわけです。これは重要な変更で、簡
すが、研究の結果、現在の並びに変え
RISCEAの順番で並んでいたので
4
職業研究 2013 秋季号 みとしてきたことはご存知の通りです。
代 に 発 表 さ れ た﹁ラ イフ・キャリア・
えの説明が見受けられない﹂とか﹁キャ
の生涯キャリア支援では、1980年
レインボー﹂はよく引用されます。こ
いる﹂
といった批判や反論もあります。
リア・カウンセリングの理論が欠けて
ホランドはそうした批判や反論に真摯
れは社会経済的環境の変化を反映し
発達を支援するために役に立つ枠組み
しています。
に応えていて、第7章や第9章に記述
て、カウンセリングの現場でキャリア
と思います。その点、ホランドはアセ
こういう学問的な姿勢もわれわれは
職業選択理論がキャリア・カウンセリン
学ぶところが大きいと思います。
︱
スメントだけで、本来の理論について
正確には伝えられてきていないことを
私は、初等・中等教育段階のキャリ
残念に思います。
ホランドはカウンセラーとして青少
グ や キ ャ リ ア・ ガ イ ダ ン ス の 場 に お い て 広
年や成人と実際に関わりながら、多く
ア発達支援には、図1に示したホラン
ます。ホランドは教育のもつ役割に関
まった理由は何でしょうか。
心 を も っ て い た か ら で す。
﹁興味がど
の事例を分析し、理論を構築していき
ドの発達理論は非常に役に立つと思い
のように育つか?﹂はキャリア教育で
個 人 の た め に 働 く 実 践 家︵ キ ャ リ ア・
カウンセラーや教育者︶が理解し、利
ました。
ホランドが最も重視したのは、
思います。ですからこの本は、研究者
した。その理論がカウンセリングの現
用できるような理論を構築することで
重要なテーマのはずです。このことは
だけでなく、学校の先生、キャリア・
VRTの活用にも深く関係していると
カウンセラーやキャリア・コンサルタ
場で、より有効に働くように、さらに
らこそ、広まったのだと思います。
ントといった、キャリア支援にかかわ
いですね。
ECの並びの順番です。図2を見てく
理論を何度も見直していますね。
フォーラー、ギルフォードといった、その当
ださい。理論構築当初は、時計回りで
︱
時を代表する一流の学者の理論や意見に影響
こ の 本 に は、 ホ ラ ン ド が リ ン ト ン や
キ ャ リ ア・ カ ウ ン セ リ ン グ の 分 野 で、
を受けた旨が記述されています。
︱
ア 発 達 理 論 が 大 変 注 目 さ れ て い ま す。
わが国のキャリア支援では、
スーパー
味をもっていると思われます。
人類学や社会学はもちろん、知能構造
単に言えば﹁R 現実的領域﹂と、隣
博士のキャリア発達理論を理論的枠組
その中で、ホランドの理論は大きな意
キャリア形成支援の土台としてキャリ
わ が 国 で は キ ャ リ ア・ ガ イ ダ ン ス、
役割を果たせればと思っています。
です。それらが日本では十分に伝わっ
図 1 パーソナリティ・タイプの発達についての仮説
事例を分析し理論を強化していったか
出所:ジョン・L・ホランド(渡辺三枝子・松本純平・道谷里英 共訳)
『ホランドの職業選択の理論―パーソナ
リティと働く環境―』雇用問題研究会、2013、p34。
る実践家全ての方に読んでいただきた
注:発達は通常、活動から行動傾向へと進む。子どもが好む活動は、乳幼児期に特有な、
粗大かつ拡散した活動から出現する。両端に矢印の付いたループは、パーソナリティ・
タイプの発達に様々な仕方があることを示している。また、我々の仮定では、遺伝的
素質の個人差は活動の選択、強化への好みに対して、影響を及ぼすと考える。例えば、
身長、性、運動の巧みさ等はスポーツの選択や、その選択したスポーツでの役割等に
影響を与える。
ていないので、この本がそれを伝える
自己概念
自己や世界についての知覚
価値
環境の影響に対する感受性
パーソナリティ特性
レパートリー
学者・研究者としてのホランドについて、
図ですが、キャリア発達の視点が明白
リティ・タイプの発達について描いた
しています。また、図1は、パーソナ
れを否定し、類型論に立つことを強調
として紹介する方もいますが、彼はそ
日本では、ホランドを特性因子論家
どのようにとらえていらっしゃいますか。
︱
た。それに対しても検証を加えて、研
いても社会人への適応が増えてきまし
活動
特集●ホランドの職業選択理論
対極にある﹁S 社会的領域﹂との類
似性・関連性は弱いという概念が、こ
り合った﹁I
研究的領域﹂とは類似
性・関連性が強く、逆に﹁R領域﹂と
す。こういう姿勢だからこそ、社会に
けたいと願ってきた﹂と書かれていま
基づく概念構成および考えを採用し続
少数でもいいので、積極的な研究歴に
されるような概念構成を付加するより、
ド理論の妥当
おけるホラン
圏の国のみに
似ている文化
リカと比較的
ました。今版
こで確立されたわけです。
アメリカでは、この理論が職業選択にお
性が検証され
︱
広く受け入れられたのだと思います。
この本の序文には﹁研究者によって
図2
ロング職業興味検査﹂
︵初版は1927
のアセスメント・ツールである﹁スト
か以前からあった、大学生対象の定番
ホランドの開発したツールより、はる
﹃SDS﹄
等があります。特筆すべきは、
ド職業コード辞典﹄
﹃CPS﹄
﹃VPI﹄
キ ャ ン ベ ル 職 業 興 味 検 査﹄ ﹃ ホ ラ ン
O V E R シ ス テ ム﹄ ﹃ ス ト ロ ン グ・
類﹄ ﹃ コ ン ピ ュ ー タ に よ る D I S C
れるまでに
3版が出版さ
第2版から第
また、原著
得ています。
され、支持を
有用性が検証
その妥当性と
る 国 々 で も、
文化圏の異な
類 を 全 面 的 に 取 り 入 れ て、
﹃ストロン
訂する際に、ホランド理論の6類型分
間に産業構造
が流れ、その
年以上の歳月
業の名称は同
しました。職
も大きく変化
ます。
ホランド理論に基づいて作られているア
じでも実際の
環境モデルを、6類型という大きなく
カ国で出版され、利用されて
仕事内容には変化が見られます。にも
ているだけで
います。
と、仕事の内容は以前とは変わってき
例えば看護師という職業を例に取る
くりで見ることで、普遍性を獲得でき
(同書p19-24)
かかわらず、さまざまな国や地域で有
1 職業の選択は、パーソナリティ表現の1つである。
2 職業興味検査はパーソナリティ検査である。
3 職業のステレオ・タイプは、心理学的・社会学的に確かで、重要な意味を持つ。
4 同じ職業に就いている人々は、似たようなパーソナリティ特性と発達史を有している。
5 同一の職業群に属する人々は、似たパーソナリティを持つので、様々な状況や問題に対して、同
じように反応したり、特徴のある対人関係を構築するであろう。
6 職業的な満足、安定性、業績は、個人のパーソナリティとその人の働く環境との一致度によって
決まる。
たのではないでしょうか。
ホランド理論の背景には、以下の6通りの理念があります。
用性が認められているのは、ホランド
(『ホランドの職業選択理論―パーソナリティと働く環境―』p11-14)
理論が類型論を採用しているからだと
1 私たちの文化圏において大多数の人は、
R 現実的、I 研究的、A 芸術的、S 社会的、E 企業的、C 慣習的
の6つのパーソナリティ・タイプのうちの1つに分類される。
2 現実的、研究的、芸術的、社会的、企業的、慣習的という6つの環境モデルがある。
3 人は、自分の持っている技能や能力が生かされ、価値観や態度を表現でき、自分の納得できる役
割や課題を引き受けさせてくれるような環境を求める。
4 人の行動は、パーソナリティと環境との相互作用によって決定される。
前版の﹃職業選択の理論﹄では、ホ
ホランド理論の基本的概念は、次のようなものです。
ランド理論を基にしたツールを用い
10
思います。パーソナリティ・タイプと
セスメント・ツールは、日本を含め、わかっ
︱
グ・キャンベル職業興味検査﹄とした
(*2)
検証されておらず、実践家からも無視
では、さらに
ロッパや、ア
けるゴールド・スタンダードと呼ばれていま
決して誇張ではないと思います。彼
ジア、南米等、
広範囲のヨー
の理論を使用したツールは、ざっと見
アメリカとは
すね。
た だ け で﹃O NETに お け る 職 業 分
年︶を、1971年にキャンベルが改
︱
ことで、これは画期的なことだと思い
(*3)
(*1)
て、カナダやオーストラリア等、アメ
職業研究 2013 秋季号
5 26
S:社会的
E:企業的
C:慣習的
E:企業的
A:芸術的
対極
C:慣習的
S:社会的
A:芸術的
I:研究的
類似性
関連性
R:現実的
I:研究的
R:現実的
現在の並び
理論構築当初の並び
ないことに気づいたそうです。それで
通 し て い る と 思 う の で す。﹁ 人 の 役 に
ソナリティ、つまり興味や価値観は共
すね。しかしその仕事に就く人のパー
で、職務はどんどん細分化されていま
つまり日本のVRTと同じですよね。
る テ ス ト を ホ ラ ン ド は 作 成 し ま し た。
文 で 表 し て﹁ 好 き ﹂
﹁嫌い﹂を回答す
るわけです。ですから仕事の内容を短
達の総体的な変化が大きく影響してい
す。これには、キャリア発達・職業発
することができなくなってきたので
のピアノを弾いて、明日への活力にし
事に疲れて帰宅したときでも、必ずそ
ので断念したそうですが。大学での仕
ても、能力、いわゆる適性がなかった
だったそうです。音楽家に興味があっ
た も の は、 ヤ マ ハ の グ ラ ン ド ピ ア ノ
た。そして、給料を貯めて初めて買っ
結果的に彼は心理学者になりまし
査︶に、ある時期から大学生でも回答
立 ち た い ﹂﹁ 病 人 の お 世 話 を し た い ﹂
アメリカでは、今は働き方で﹁好き﹂
き﹂
﹁嫌い﹂で回答するVRTの大学・
ように、仕事の内容を表す短文に﹁好
キャリア発達理論の観点からも、この
なく、能力やチャンスも必要ですよね。
職業選択には必ずしも興味だけでは
シ ス テ ム は、 ア メ リ カ で は 前 述 の
コンピュータを使用したガイダンス
ランドの娘さんは子どもの頃からその
*1
﹃O │NETに お け る 職 業 分 類 ﹄︵ 戦 前
からあるアメリカ労働省の職業名辞典のイ
ンターネット版︶
・・・アメリカ労働省では、
職業を能力面だけでなく、機能面からも捉
え ら れ る よ う に す る 動 き が1950年代か
ら あ り、 当 初 はData︵ 対 デ ー タ ︶・
Person︵ 対 人 ︶・ T h ing s ︵ 対
モノ︶の3面から考えていた。しかしホラ
ンド理論の広がりとともに、RIASEC
という六つの職業領域の考え方を取り入れ
るようになった。
*2
﹃DISCOVER﹄・・・アメリカで
開発された、キャリア・ガイダンスを支援
するコンピュータ上のシステム
︵CACGs︶
。
1960年代に開発され、ホランド理論に
基づいて作成されている。
*3
﹃ホランド職業コード辞典﹄・・・アメ
リカ労働省の﹃職業名辞典﹄掲載の職業環
境 を、 ホ ラ ン ド の6類 型 を 基 に し た 職 業
コードに分類したもの。
日本では職業名に6類型のコードを付加
した簡易版のリストが完成した︵本誌8∼
9頁﹁職業レディネス・テストの大学生等
への適用について
大学生等に向けた実施
のためのガイドブックと職業リストの作
成﹂参照︶。
*4
渡辺氏は、職業研究所︵現・独立行政
法人労働政策研究・研修機構︶在籍時、職
業レディネス・テスト︵VRT︶の開発に
携わった。
Making
版の
名に対して
﹁興味がある﹂﹁興味がない﹂
すと、ホランドが当初作成した、職業
ここでアメリカの状況をお話ししま
積むうちに、ピアニストになる能力は
うことです。しかし、ピアノの練習を
にこの結果はその通りだと思ったとい
アニストになりたかったそうで、まさ
高かった。ホランドは子どもの頃はピ
ての姿勢を学んでほしいですね。
た、研究者にはホランドの研究者とし
援に役立てていただきたいですね。ま
理論を理解して、少しでもキャリア支
ず、です。読者の方には、ホランドの
を発刊いたしました。
邦 訳﹃ ホ ラ ン ド の 職 業 選 択 理 論 ﹄
ミナーも実施しています。
また、VRTの普及のためのセ
を回答するテスト︵VPI職業興味検
6
職業研究 2013 秋季号 ていると思います。医師の世界と同じ
というように。それは類型論だから適
﹁嫌い﹂を選択するテストのほうがは
趣味にとどめよう、と。
用できるのだと思います。
年以上も前
彼がこの理論を最初に発表したのは
ていたのです。
1959年ですから実に
るかに広まっています。日本でも同じ
日本におけるホランド理論の広まりは?
短大での使用が増えているというの
れ続けているのですから。
︱
VRTを例に説明しますと、私たち
話はカウンセラーの皆様はうなずける
研究者が、新版を作成する際に取り入
どもたちのキャリア発達・職業発達を
れました 。彼の理論が、学童期の子
DISCOVERがありましたが、日本
グランドピアノを弾いていて、音楽の
ホランドが亡くなったときに、アメリカ
﹁ 六 角 形 は 世 界 を 旅 す る ﹂ で し た。 最 後 に 一
の心理学会が表明した追悼文のタイトルは
︱
仕事に就いたそうです。
なお、この話には続きがあって、ホ
援助する目的に適していると思ったか
機構が若年者向け適職診断システムの
では独立行政法人労働政策研究・研修
ホランド自身の職業選択はどうだったの
実は、彼の職業選択理論をきちんと
言お願いいたします。
面白いエピソードがあります。ホラ
雇用問題研究会では、
﹃
﹄第 版の
Vocational choices
邦訳﹃職業選択の理論﹄
︵1985
勉強しようとする人はあまりいませ
や、他の職業興味検査等でも彼の理論
年刊・絶版︶に続いて、第
ンドは、自分はどの職業領域が一番高
テストを受けてみたそうです。すると
は盛んに利用されているにもかかわら
ん。VRTや﹁キャリア・インサイト﹂
A領域、つまり﹁芸術的領域﹂が一番
いのだろうかと考え、自分の開発した
ですか?
︱
ホランド理論を取り入れました。
﹁キャリア・インサイト﹂を作成した際に、
らです。VRTがユニークなのは、仕
VRTは、 現 在 改 訂3版 と な り、 大 学・
ます。
短大・専門学校生にも活用の場が広がってい
︱
らない点です。
なっており、単なる興味検査にとどま
有 無、 自 信 の 有 無 を 回 答 す る 形 式 と
事の内容を表す項目に対して、興味の
のではないでしょうか。
は、当然だと思いますね。
です。それから延々と研究され、使わ
50
︵8∼9頁﹁ 職 業 レ デ ィ ネ ス・ テ ス ト の 大
学生等への適用について
大学生等に向けた
実施のためのガイドブックと職業リストの作
成﹂参照︶
2
3
(*4)