328号 - 結核予防会

総裁秋篠宮妃殿下
ご動静
資金寄付者感謝状贈呈式並びにお茶会でのご様子
平成21年5月26日/リーガロイヤルホテル東京(新宿区戸塚町)
妃殿下は、贈呈式において結核予防事業資金として多額のご寄付を下さった方々に感謝
状をお渡しになりました。続いて記 念 撮 影とお茶 会が行われ、資 金 寄 付 者のテーブルにお
着きになり、なごやかなひとときを過ごされました。
感謝状贈呈式での妃殿下
お茶会では寄付者の方々とお言葉を交わされました
Message 財団法人結核予防会顧問を拝命して
結核予防会顧問
尾身 茂(おみ しげる)
このたび,4月1日付で財団法人結核予防会の顧
問を拝命いたしました。この紙面をお借りしてご挨
拶をさせていただきます。
結核予防は,私にとって特別な存在であります。
日本政府及び日本の方々のご支援のおかげで,第5
代WHO西太平洋地域事務局長に選出させていただ
きました1998年には,西太平洋地域の最優先課題で
あった小児麻痺(ポリオ)の根絶事業が,すでに終
了段階に達しておりました。したがって,ポリオに
代わる最優先課題を何にすべきかが,新地域事務局
長としての,私の最大の関心事でした。
選挙から就任までの半年間,多くのWHO加盟国
及び専門家の人々と,広範な議論をした結果,結核
予防対策が,私の任期中の最優先課題にすべきだと
いう合意が出来上がりました。
このため,私は早速,結核予防会及び研究所の皆
さんに是非西太平洋地域の結核予防対策の要として
の役割を担っていただきたいと,お願いに上がりま
した。こうして結核予防会とWHOとの間で,以前
にも増した緊密な協力関係が確立されました。
西太平洋地域に於ける結核対策の目覚ましい成果
は,結核予防に携わる世界の人々の間ではよく知ら
れています。こうした成果があげられた大きな理由
が結核予防会及び研究所の皆さんによるリーダー
シップでありました。結核予防に関して特別な思い
があるのは,このような背景があるからです。
結核予防会は,日本で最も古いNGOで,我が国
の結核対策および感染症対策に於ける歴史上,特別
な団体でした。結核をはじめとした感染症は,これ
からも重要な公衆衛生学上の課題であり続けると思
いますが,同時に結核予防会が掲げている1)生活
習慣病,2)COPD,3)国際協力,は,これか
らもますます重要なテー
マになると思います。
こうした分野において,
結核予防会への御恩返し
が少しでもできればと
思っております。微力で
はありますが,皆様のお
知恵を借りながら頑張り
たいと思います。
よろしくお願いいたし
ます。
Contents
■ずいひつ 複十字病院の想い出
■メッセージ 財団法人結核予防会顧問を拝命して
尾身 茂……1
尾形 正方……18
■2009年世界禁煙デー記念講演会
■世界の多剤耐性結核対策への政治的取り組み強化を呼びかける
ローター・ビンディング氏講演会開催された
「多剤耐性・超多剤耐性結核高まん延国大臣会議(北京)」開催
■結核予防会支部紹介の頁 山口県支部
石川 信克……2
■シリーズ 新しくなった結核研究所(2)
■結核予防会本部事業所から
○平成20年度複十字シール募金結果報告
研究プロジェクトの課題―「低まん延化の促進」と「世界の結核
制圧の基地」を目指して―
石川 信克……3
■呼吸の日記念フォーラム2009
○平成21年度複十字シール運動資材について
○期間限定キャンペーン 第2弾
……23
○結核の社会文化史的資料ご提供のお願い
……24
……25
いつまでも楽に息をしたい―健康寿命は肺から―
……4
○第84回日本結核病学会総会 研究発表
■第2回ラングウォークジャパン開催
……5
○ハリセンボン様 事業所 訪問
■DOTS 盛岡病院におけるDOTSの取り組み 室岡 惠子……6
■次世代のQFT概要
……19
重冨 昭治……22
○複十字病院 みどり保育園・職員寮 内覧会が行われた
原田 登之……8
■平成21年度結核予防会広報・シール担当者会議
「まずは、はじめの一歩から」
……26
○平成21年度資金寄付者感謝状贈呈式並びに永年勤続職員表彰式
松枝 尋子……10
■2009年世界禁煙デー記念シンポジウム
「煙のない健康的な社会づくり」
……27
▽予防会だより
高柳喜代子……11
切手にみる結核 11.結核に悩んだ医師たち
■思い出の人を偲んで AC広告にビートたけし氏
山田三枝子先生
〔表 紙〕平成21年度複十字シール運動ポスターより
松本美智子・中川千代子・成瀬和美……14
■ストップ結核パートナーシップ日本だより№7
〔カット〕佐藤奈津江
冨名腰あん……16
■アフリカン・フェスタ2009報告「横浜に吹いたアフリカの風」
村上邦仁子・大室直子……17
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1
世界の多剤耐性結核対策への政治的取り組み
強化を呼びかける
(多剤耐性・超多剤耐性結核高まん延国大臣会議,
北京,
2009年)
結核研究所
石川 信克
所長 今年4月1日から3日の3日間,北京において,多剤
耐性・超多剤耐性結核に関する大臣会議が開催され
た。これは世界保健機関(WHO)と中国政府保健
省が共催し,ビル&ミリンダ・ゲイツ財団の支援下
で,世界的に緊急課題である多剤・超多剤耐性結核
への政治的取り組みの強化,各国による結核対策の
中での予防と治療の強化,予算の確保を呼びかけて
行われた。直前の3月にリオデジャネイロで行われた
ストップ結核パートナーシップ世界会議の成果を受
けた呼びかけもなされた。この会議には世界の多剤
耐性結核高まん延国27カ国を含む32カ国から大臣級
の要人が招待され,世界的なうねりを起こすもくろ
みがあったが,WHOの一番の狙いは,最大の耐性
患者産出国である中国の政治的コミットを引き出す
ことであった。この狙いはかなり的中し,中国政府
はその保健政策の中で,結核対策や多剤耐性結核の
課 題 へ の 取り組 みを 公 表し たの で あった 。また
WHOや政府ばかりでなく,NGOや民間組織の代表,
世界的な技術的,資金的パートナーたちも参加した。
NGOで目立ったのはMSF(国境なき医師団)などで
あった。日本からは,JICAの牛尾光宏審議役が国側
の代表,筆者が技術パートナーとして参加した。
<世界の多剤耐性結核問題> 最も有効な抗結核薬
リファンピシンとヒドラジッドに耐性な多剤耐性結
核(MDR-TB)は,世界で年間50万人以上の罹患が推
定されており,適切な治療を受けられるのは,その
3%程度のみである。さらにいくつかの薬剤に耐性
な超多剤耐性結核(XDR-TB)は50カ国以上から報
告されている。耐性結核の脅威に対して,緊急に世
界的な取り組みの強化がなされる必要がある。特に
HIV感染者が感染した場合は致命的である。
<M/XDR結核の要因> まず不適切・不規則な治
療(基本的なDOTS政策の欠如,質の悪い薬剤など),
次に他からの感染(医療施設の感染防御の欠如や刑
務所等特殊施設での感染),そして貧困や医療のア
クセスなど社会経済的要因がある。
<M/XDR結核高まん延国> アフリカ地域では,
コンゴ,エチオピア,南アフリカ(1万6千人),ナイ
ジェリア,東地中海地域では,パキスタン,ヨー
ロッパ地域では,アルメニア,アゼルバイジャン,
2
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ベラルーシ,ブルガリア,エストニア,ジョージア,
カザフスタン,キルギスタン,リトアニア,ラトビ
ア,モルドバ,ロシア(4万3千人),タジキスタン,ウ
クライナ,ウズベキスタン,南東アジア地域では,
バングラデシュ(1万5千人),インド(13万1千人),イ
ンドネシア,ミャンマー,西太平洋地域では,中国
(11万2千人),フィリピン,ベトナムの27カ国が高ま
ん延国である。括弧内は特に多い国々の多剤耐性患
者数である。
<日本への挑戦と今後の取り組み> 日本の耐性結
核問題は世界的に大きいとは言えないが,ロシアや
中国などの近隣国が高まん延国であるため,無関心
ではいられない。従来,日本は基本的な結核対策の
国際支援には積極的に取り組んできたが,多剤耐性
結核に対してはやや消極的であったので,この会議
から多くの挑戦を受けた。特にアフリカ地域の検査
室の充実支援をもっとしてほしいという強い要請を
WHOから受けた。結核研究所としては,まず国際
研修の中で,この課題を積極的に取り入れてゆくこ
と,検査室をはじめとする技術支援での人材派遣を
してゆくことなどを表明した。
<呼びかけ> 会議の成果は最後に北京宣言という
形で,これからの世界的行動への呼びかけがなされ
た。この結果は,5月の第62回世界保健総会の議決
の中でも多剤耐性結核の予防と対策という項目で取
り入れられた。
(http://www.who.int/tb_beijingmeeting/en/)
本会議の概要を伝えるWHOホームページアドレスと開催の模様
シリーズ
新しくなった結核研究所 (2)
研究プロジェクトの課題
−「低まん延化の促進」と「世界の結核制圧の基地」
を目指して−
結核研究所所長
石川 信克
結核予防会結核研究所は,2007年のあり方検討
ことにした。それらは,a)アジア分子疫学,
委員会提言に基づき,研究や活動の方向づけを
b)HIV/TB,c)対策評価,d)保健システムと結核
行ってきた。まず今後10年間の全体の目標を,結
対策,e)多剤耐性結核,f)潜在性結核感染症治
核の低まん延化(10万対10達成)促進に資する役
療,である。
割を果たすこと,アジア・アフリカを中心とした
世界の結核制圧の基地になることとし,4つの部
他研究機関との連携や協力
(臨床・疫学部,抗酸菌レファレンス部,対策支
また研究の充実を図るために,いくつかの大学
援部,国際協力部)の構成,さらに「疫学情報セ
(長崎大学熱帯医学研究所,東京医科歯科大学,筑
ンター」,「結核菌バンク」の2つの柱で,研究
波大学,東京大学等)や研究機関とも積極的に共
を中心とした活動を始めたことは,本誌324号
同研究や人的な交流を深める試みも始められた。
(2008年11月)で述べた。疫学情報センターでは,
今後,これらの優先プロジェクトや小プロジェ
国の結核登録者情報システムへの支援,「結核の
クト研究の計画や進行については,漸次報告して
統計」の編纂などと共に,様々な結核疫学情報が
いく予定である。
発信されている。菌バンクは,我が国の結核菌の
表.
結核研究所の優先的活動・機能
(あり方検討委員会報告書 2007)
保管や病原体サーベイランスシステムの構築を目
指して歩みだした。本稿では,それらの活動や研
究の枠組みについてさらに述べたい。
優先的プロジェクト課題への絞り込み
提言に示された優先的活動,研究内容の概略
は,表のとおりであるが,横断的機能を持った従
来のプロジェクト制は継続しつつも,焦点を当て
た課題への絞り込みの必要から,来る数年間(概ね
3年間)は,以下の4優先課題プロジェクトが設定さ
れた。即ち,1)感染診断技術プロジェクト,2)新
抗結核薬・化学療法プロジェクト,3)分子疫学プ
ロジェクト,4) 疫学調査技術支援プロジェクト
(国際疫学実態調査が主)である。
その他のチーム研究(小プロジェクト)課題
さらに重要な課題に対しては,情報の収集,研
究活動の窓口という意味で研究チーム責任者を指
名し,随時チーム研究活動を継続していくという
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3
呼吸の日記念フォーラム2009 いつまでも楽に息をしたい ― 健康寿命は肺から ―
社団法人日本呼吸器学会,財団法人結核予防会,社
次に講演セッション/呼吸器のQ&Aは,日本呼吸器学
団法人日本医師会の主催で,5月9日の呼吸の日を記
会関東支部「呼吸の日記念フォーラム2009」会長で聖
念して,5月9日(土)13:00∼16:00パシフィコ横浜
マリアンナ医科大学宮澤輝臣教授が座長を務め,代表
会議センターメインホール(横浜市)で記念フォーラ
的な呼吸器疾患について第一線で活躍中の4名の専門医
ムが開催されました。
による講演が行われました。演者と講演名は,①久留
フォーラムは,主催者を代表して日本呼吸器学会貫
米大学相澤久道教授「息切れは肺の危険信号−喘息・
和敏博理事長の開会挨拶に始まり,前半はスペシャ
COPDを考える−」,②聖マリアンナ医科大学長田博
ル・セッション「呼吸の大切さを実感したアスリート
明名誉教授「肺がんをやっつけよう!」,③社会保険
として−自分の肺年齢を知ろう」,後半は講演セッ
中央総合病院呼吸器内科德田均部長「肺結核と肺非結
ション/呼吸器のQ&A「近頃,気になる呼吸器の病
核性抗坑酸菌症,侮ると怖い病気」,④JR東京総合病
気」と進み,結核予防会工藤翔二常任理事の閉会挨拶
院山口哲生副院長「“間質性肺炎とサルコイドーシ
で終了しました。764名の参加者が来場しました。
ス”ってどんな病気?」でした。
フォーラム会場近くの横浜みなとみらいクイーンズ
スクエア横浜クイーンズサークルにおいて,当日
11:00∼18:00に肺年齢測定体験会が行われ,機器メー
カー4社の協力を得て,10台のスパイロメトリーが出
て,1,243名の方が体験されました。
スペシャル・セッションで肺年齢測定中の岩本さん
呼吸器のQ&Aは,次の4問で,A・Bどちらかを選ぶ
2者択一問題です。ぜひトライしてみてください。
①動物の象の鼻が長い理由は次のどちらでしょうか?
肺年齢測定体験会
A.ホースのように水を吸ったり吐いたりするため B.空気を吸ったり吐いたりするため
スペシャル・セッションは,総合司会の田村あゆち
②もし,COPDになってしまったら
さんがインタビュアーを務め,日本サッカー協会名誉
A.たばこをやめれば長生きできる 副会長釜本邦茂さん,久留米大学医学部の相澤久道先
B.もう治らないので,無理してやめることもない
生,元サッカー日本代表ミッドフィルダーの岩本輝雄
③肺がんの手術を受けると呼吸はどうなるでしょうか?
さんにより,ご自身のサッカーの練習や試合体験と呼
A.いつも苦しい状態になる 吸の関係のお話や医学的見地からの解説をいただきま
B.普通の生活には支障はない
した。声楽家の植木洋敬さん,プロ野球解説者の北別
④かぜやインフルエンザの予防に,外から帰ってきた
府学さんも登場し,皆さんの事前に測定した肺年齢を
時のうがいが有効なことはよく知られています。その
披露したり,岩本さんはステージ上で実地に検査した
うがいは・・・ りと,大いに盛り上がりました。最初会場の方々にた
A.イソジン入りのうがい液が良い
ずねたところ,「肺年齢」を知っている人はほとんど
B.単なる水道水が良い
いませんでしたが,強く印象に残ったことでしょう。
そして,健康のためには,規則正しい生活,禁煙,バ
興味深くお話やクイズに聞き入っている間に終了の4
ランスの取れた食生活と適度な運動,そして姿勢正し
時となり,会場を出ると横浜の空は青く澄み渡り,気
くすることが重要だと再確認しました。
持ちよく呼吸できることに感謝しました。
(文責:編集部)
休憩を挟んで後半は,松沢成文神奈川県知事,西島
英利参議院議員からの祝電披露で始まりました。
4
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Q&A解答ー①B,②A,③B,④B
第2回ラングウォークジャパン開催
4月26日(日),好天に恵まれた日比谷公園(東
血管年齢検査のブース出展も行い,好評でした。
京都千代田区)で,昨年に引き続き第2回ラング
ウォーキングで完歩した皆さまは,午後からのミニ
ウォークジャパンが開催されました。今回もNPO法人
コンサートで,Soft Voiceの澄み切った歌声に癒され,
日本呼吸器障害者情報センター主催,結核予防会共催
Pure Breath※を満喫して帰路につきました。
で,多くの後援者・協賛者と300名の参加者が一緒
に肺の健康について考えながら,休日を楽しみました。
昨年は土曜日開催でしたが,土曜日登校の子どもた
ちも参加できる日曜日に開催し,ウォーキングは5キ
ロ1コースだったのを5キロ・10キロの2コースに
増やし,参加者の皆さまは楽しく新緑の皇居を散策さ
れました。昨年の肺年齢検査・肺活量選手権に加えて,
Soft Voiceの「Pure Breath」CD
http://www.j-breath.jp/c2/haikokyu.html#purebreath
http://www.softvoice.jindo.jp/shop.html
※ 昨年の5月9日呼吸の日を記念して「第1回ラングウォー
ウォーキングの合間に肺年齢を体験
クジャパン」から生まれたイメージソング。作詞−山口峯生(結
(協力:フクダ電子株式会社)
核予防会評議員,元結核予防婦人会事務局長)・作曲−篠崎央彡。
(文責:編集部)
ストップ結核大使のビートたけし氏がこの度本を出版されました。
ツービート結成35年,80年代の漫才ブームを懐かしく思い出される
方もおられるのでは。
書 名:「ビートたけし 漫才」
出版社:新潮社 定 価:1,470円(税込)
発売日:2009/05/25
ビートたけし氏のAC広告の記事(32頁)もご覧下さい。
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5
シリーズ
Use DOTS More Widely
盛岡病院におけるDOTSの取り組み
独立行政法人国立病院機構盛岡病院
看護師 1.盛岡病院の概要
当院は岩手県のほぼ中央に位置し,盛岡市の郊外に
ある。春には桜の花々に囲まれ,病室の窓からは雄大
な岩手山を望む自然に恵まれた場所に立地しており,
東北の結核治療の拠点病院としての役割を担っている。
総病床数160床,うち結核病棟は20床で,陰圧換気病
室を備える。(写真1)
室岡 惠子
している。院内DOTS開始後より関係する保健所と情
報交換のため3ヶ月に1回DOTSカンファレンスを開
催している。
2)院内DOTSの実際
入院中の患者に対して行われる院内DOTSは結核の
治療の成功を目指し,規則的な服薬の重要性を理解さ
せ確実に服薬するのを見届け,病院と保健所等が連携
し治療終了まで一貫した支援をすることを目的として
いる。抗結核薬の服薬開始後,スタッフは薬とその副
作用、耐性菌等についてや服薬確認の必要性,服薬手
帳の使用方法を説明し,結核まんがやビデオを用いて
結核についての学習を実施する(認知症を伴う患者に
は,家族へ結核の知識普及を強化している)。患者が
服薬する時は看護師の目の前で行いその後服薬手帳に
サインする。退院が近づいたら服薬内容や副作用につ
いて患者の理解度を評価し,次第に自己管理に移行し,
写真1:盛岡病院の外観
その後退院後の生活に合わせて服薬を習慣化していく。
3)地域DOTS
2.盛岡病院におけるDOTSの推進
入院中の院内DOTSから退院後の地域DOTSへの移
1)院内DOTS
行にあたり,治療方針や服薬の指導が患者本人への説
近年結核患者の治療において,確実な治療を行うた
明にとどまり,服薬支援の方法が現実的でなかったり,
め患者が薬を服用するのを見届ける対面服薬いわゆる
服薬支援者が不明確のまま退院に至っていた。そこで
DOTSが広く行われている。盛岡病院では院内DOTS
平成17年10月より退院DOTSカンファレンスを開始し,
を平成15年9月より開始した。導入にあたり既に実施
保健所や地域と連携しながら患者に合わせた服薬支援
していた病院より資料を取り寄せ,複十字病院で
を実施している。
DOTSの実際とDOTSカンファレンスを見学,それに
基づきスタッフで検討後,服薬手帳(写真2)を作成し
DOTSを開始した。
写真2:服薬手帳
当初は患者やスタッフからも拒否や不快の声も出た
6
が,服薬時間の再検討や服薬一包化の徹底など問題点
資料:認識の変化
を修正しながら現在に至り,入院から退院まで医師の
(資料)又,高齢者や一人暮らしの患者については入
指導のもと看護師が中心となり確実な服薬支援を実施
院時より退院後の服薬支援者の検討をしている。
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4)退院DOTSカンファレンスの実際
こんなことをするんだろう」という言葉が聞かれた。
退院後の確実な服薬継続が出来るように,患者の状
薬局DOTSについては「晴れた日は行くけど,天候の
況に合わせた個別支援の遂行と服薬支援者を明確に
悪い日は行かない」というが,冬期間のためタク
することを目的としている。
シーで薬局へ通った。その後,本人もDOTSに協力的
退院が決まったら,受け持ち看護師が服薬リスク
となり無事に治療終了となった。
アセスメントスコアで服薬中断する要因を評価し,
患者,家族を含め,担当保健師,主治医,薬剤師,
病棟師長,受け持ち看護師,外来看護師,地域連携
医療担当者,栄養士,(状況により患者の職場の人
など)に集まって貰い,退院後の服薬支援の方法や
服薬確認者を決める。又,スタッフより患者・家族
に対し栄養,休養,活動,仕事開始,禁酒,禁煙な
どの生活状況に適した退院指導を行う。一人暮らし
や高齢者への対策の検討や必要時は栄養士の栄養指
導を行う。
3.盛岡病院の抱える問題点
写真3:外来DOTS場面
平成20年10月より「再生プラン」という病院経営
改善策がとられ,結核病床が50床から20床に減少し,
事例2;民生委員・近隣住民・診療所などによる
それに伴い結核病棟看護師の人数が半減した。現在
DOTSの可能性への挑戦
の結核病棟には高齢で寝たきり,認知症,心疾患や
78才,男性,肺結核,気管支喘息
脳血管障害などの重篤な合併症がある,一人暮らし,
家族構成:妻と二人暮らし
家族も高齢化で服薬支援者がみつからないなどDOTS
服薬リスクアセスメントでは,過去に他の疾患の
を継続するうえでいろいろな問題を抱える患者が多
治療中断歴があり,認知症で病識もないため,毎日
く入院している。そのような状況と限られたマンパ
服薬確認が必要となった。患者は,県や市町村の保
ワーの中で,私達は通常の看護処置を行い,DOTSを
健師が毎日通えない位不便な山間部に住んでいるた
行っていかなければならない。さらに結核患者がい
め,服薬支援をしてくれる民生委員や近隣住民に公
るかぎり,患者・家族と共に結核の治癒を目指し,
民館に集まって貰い医師と看護師が説明会を行った
保健所の保健師と連携しながら地域でのDOTSの輪を
が,いまだに体制が出来ない。本人は介護認定も受
広げていく必要がある。そのために地域における新
けられず,妻も結核の理解が乏しく服薬支援は当て
たな服薬支援者の発見・開拓が重要である。次に有
に出来ないため、ボランティアの出現を待ち望んで
効な地域DOTSの実現に向けて模索している事例を紹
いる。本人・家族の希望により現在も入院治療中で
介する。
ある。
事例1;薬局・保健所・訪問看護・外来・娘の5者
4.今後の課題
によるDOTS(写真3)
マンパワーや予算不足の中,個々の患者の生活状
84才,男性,気管支結核,肺結核
況や病状に合わせた服薬支援を試行錯誤しながら推
家族構成は高齢の妻と二人暮らし
進している。認知症のある高齢者や一人暮らしの入
服薬リスクアセスメントでは,アルコール問題,
院が増加しており,第三者の服薬支援者に協力して
認知の障害,高齢,服薬支援者がいない,などの理
貰う場合も多く,地域服薬支援者に対して結核の知
由により,毎日服薬確認が必要となった。妻も高齢
識普及に取り組み,幅広く連携が出来るようにした
であり,患者は妻の言うことを聞かない事もあるた
い。地域や各保健所においても温度差のある中,さ
め,第三者による服薬支援を検討した。昼服用で
らに保健所と連携を強め個々の患者に合わせた服薬
月・水・金曜日は保健師による訪問,火曜日は近く
支援を模索することで,地域の人的資源を活用して
の調剤薬局に行って服薬確認をする薬局DOTS,木曜
行きたい。なお当院におけるDOTS推進にあたりご指
日は訪問看護,週末は娘が行い,外来受診時は外来
導ご協力して頂いた複十字病院,関係した各保健所
看護師が服薬確認をした。検討時「俺のことを信じ
の皆様,当院スタッフにこの場を借りて深謝いたし
られないから,俺のことを馬鹿だと思っているから
ます。
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7
教育の頁
次世代のQFT概要
結核研究所抗酸菌レファレンス部
部長 原田 登之
はじめに
1. QFT-Gの原理
結核感染,特に潜在性感染を診断する方法は,ごく
QFT-Gの原理は基本的にQFT-2Gと同様であり,
最近まで唯一ツ反のみであった。ツ反は,結核菌培養
QFT-2Gの原理については幾つかの成書に既に記載さ
上清中の結核菌抗原を部分精製したものであるPPDを
れているため簡単に説明する。QFT-2Gは結核菌特異
皮内投与し,投与部位における遅延型過敏反応を観察
抗原ESAT-6とCFP-10で全血を刺激培養する第1段階
するものである。しかしツ反の感度は良好であるが,
と,刺激培養後産生されたIFN-γ量をELISA法で定量
PPDがBCGや非結核性抗酸菌の持つ抗原と高い類似性
する第2段階から構成される結核感染診断試法である。
を持つため,BCG接種や非結核性抗酸菌感染によって
ESAT-6とCFP-10は,BCGやほとんどの非結核性抗酸
もツ反は陽性を示すことがあるという特異性の点で重
菌には無い抗原であるため,QFT-2G検査結果はBCG
大な問題を持っている。また,ツ反はこの特異性の問
接種や多くの非結核性抗酸菌感染の影響を受けない。
題以外にも,PPD投与およびツ反測定における技術的
QFT-G,あるいはQFT-2Gにおける刺激培養時間約18
差,ツ反測定のための再受診の必要性,PPD再投与に
時間以内にIFN-γを産生するT細胞は,エフェクター
よるブースター効果を持つ等の弱点を有している。こ
T細胞と考えられており,これは抗原刺激を受けたナ
れらのツ反の弱点を解決できる方法,特により特異度
イーブT細胞から分化・増殖してくる。従って,結核
の高い結核感染診断法が長年望まれていたが,近年よ
菌抗原に反応するエフェクターT細胞の存在は,菌の
うやくBCG接種やほとんどの非結核性抗酸菌感染の影
感染があったことを示している。ただし,結核感染時
響を受けない結核感染診断法が2種類開発された。現
期の特定はこれらの検査では不可能であるため,特に
在日本では全血を検体として使用するクォンティフェ
中高年の被験者の検査結果を判断する際には注意が必
ロン TB-2G(以下QFT-2G)が販売されており,接触
要である。
者健診等に積極的に使用されるようになっている。し
QFT-GとQFT-2Gの異なる点は大きく2点有り,一
かし,QFT-2Gは採血からの血液処理時間に制限があ
つはQFT-2Gに用いられているESAT-6とCFP-10に加
るため,検査施設の無い離島などでは使用したくても
え,さらに結核菌特異抗原TB7.7 (Rv2654)1)の合成ペ
出来ない場所もあるのが実情である。今回7月6日より
プチドが新たに添加されていることである。もう一つ
®
発売された次世代のクォンティフェロン TBゴールド
の点は,QFT-2Gでは血液検体を培養プレートに1ml
(以下QFT-G)は,QFT-2Gのこのような弱点を解決
ずつ4ウエルに分注し抗原を加える必要があるが,
し,さらに感度も向上していることから今後急速に広
QFT-Gでは採血に3本1組の専用1ml採血管を用い,1
まることが予想される。本稿では,このQFT-Gについ
本の採血管には上記の結核菌特異抗原が一緒に入れら
て解説する。
れている。他の2本の採血管はそれぞれ陰性および陽
®
性コントロールである(図)。
,
,
8
7/2009 複十字 No.328
,
QFT-G検査では,採血後採血管を十分混和し培養器
に多くの報告が望まれる。
に入れることにより血液培養を開始することが可能で
3. 今後の研究課題
ある。携帯型の培養器を使用すれば,採血場所におい
QFT-2GやQFT-Gを含む検査法はIGRAs
て直ちに血液培養が開始可能であり,QFT-2Gと比較
(Interferon-Gamma Release Assays)と呼ばれてお
し血液培養の第1段階が大幅に改善されている。また,
り,最近数年間で論文報告が200以上なされていると
採血直後に培養しない場合でも,遅くとも採血後16時
いう現在活発に研究が行われている分野である。ほと
間以内に培養を開始すれば良い点も,QFT-2Gの12時
んどの論文は,IGRAsはツ反と異なりBCG接種や非結
間以内という制限より緩やかであるため,有利である
核性抗酸菌感染の影響を受けること無く,結核感染を
と考えられる。第2段階のELISAは,基本的に現行の
高特異度で診断できる方法であると報告している。し
QFT-2Gとほとんど変わらないが,発色液が安定化さ
かし一方では,前述したように感度について個々の研
れた1液仕様になっているため,QFT-2Gのように使用
究により幅があることも報告されているため,さらな
直前に2液を混合し作製する必要が無い。また,標準
る臨床試験が望まれる。また,IGRAsは新しい結核感
検体の希釈系列も4点と,QFT-2Gの半分になるため,
染診断法であるため,診断特性において解明されるべ
ELISA用プレートの節約になる。
き課題を多く持つ。このようなIGRAsに関する多数の
2. QFT-Gの臨床試験
研究課題を2007年にPaiらが提唱しているが,我々は
我々は,QFT-2GとQFT-Gの性能を比較する臨床試
これを和訳しさらに当方の研究成果を加えたものを執
験を行った 。培養陽性,あるいはPCR陽性であった
筆しており参考になるであろう4)。
結核患者100名,および健常者168名について,
おわりに
QFT-2GとQFT-Gの感度と特異度を検討した結果,
QFT-Gは,製造元Cellestis社のインターネット
QFT-2Gの感度81.4%に比較しQFT-Gの感度は92.6%と
(http://www.cellestis.com/)では
有意に高く,さらに特異度は共に98.8%であった。す
QuantiFERON®-TB Gold In-Tubeであり,QFT-2Gは
なわち,QFT-GはQFT-2Gよりも高感度であり,かつ
QuantiFERON®-TB Goldのことである。商品名が日本
高特異度を維持していることが明らかになった。高感
と海外では異なっており,注意が必要である。これら
度の原因としては,新たな結核菌抗原の追加,採血直
診断法の特性については,前述のように今後多くの解
後の血液と抗原の混合,各抗原反応値の相加的効果
明されるべき点があるため,これらのことを念頭にお
(QFT-2GではESAT-6とCFP-10の反応値を個別に判
いた使用が重要であろう。すなわち,QFT-Gあるいは
断していたが,QFT-Gでは3種類の抗原に対する反応
QFT-2Gは補助診断試薬であるという認識を持ち,結
値が加算された値が得られると考えられる)という複
核感染診断には他の臨床所見も合わせた総合的な判断
数の要因が考えられる。一方,これまでに報告された
が重要である。
2)
QFT-Gの感度の平均値は70%と低いため 3),今後さら
文 献
1) Aagaard C, et al.: Mapping immune reactivity toward Rv2653 and Rv2654: two novel low-molecular-mass
antigens found specifically in the Mycobacterium tuberculosis complex. J. Infect. Dis 2004; 189: 812-819.
2) Harada N, et al.: Comparison of two whole blood interferon-γ assays in tuberculosis patients and healthy
controls. J. Infection 2008; 56: 348-353.
3) Pai M, et al. Systematic review: T-cell-based assays for the diagnosis of latent tuberculosis infection: an
update. Ann Intern Med. 2008; 149: 177-184.
4) 樋口一恵ほか: Interferon-gamma release assays(IGRAs)の研究課題. 結核 2009; 84: 173-186.
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平成21年度結核予防会広報・シール担当者会議
「まずは,
はじめの一歩から」
平成21年5月19日 東京国際フォーラム
(東京都・千代田区)
結核予防会事業部
松枝 尋子
資金課 ○はじめに
全国支部から23名の担当者が集まり,平成21年度
複十字シール運動担当者会議が開催されました。最
初に,司会進行を務めて下さった佐藤利光前資金課
長によるオリエンテーションがあり,各班で自己紹介
を行いました。半数以上の方が初参加でありました
が,挨拶を交わし,緊張もほぐれたところで次のプロ
グラムへ進みました。
○平成20年度の支部活動報告
3支部(鹿児島・石川・福岡)から昨年度の活動報
告,今後の取り組みについて発表を頂きました。鹿児
島県支部からは,依頼文書の作成・募金箱設置にお
ける工夫等についてお話があり,改善点を見出し,新
しいことに取り組もうとされていることが分かりまし
た。石川県支部からは,振込用紙付リーフレットの作
成・理事会での募金依頼など,メッセージ発信の場を
広げた活動の報告と,シール業務に携わり,やりがい
や楽しさを感じられるという嬉しいお言葉も頂きまし
た。福岡県支部からは,郵送募金にタウンメールを活
用・QRコード読取による携帯サイトを開設し,名刺
や駅の案内図からアクセスさせるなど,新しいアイデ
アを考案されているお話があり,まずは「はじめの一
歩」が肝心であると私自身も身の引き締まる思いにな
りました。
○グループ討論・全体討議
5班に分かれ,「複十字シール運動と国際協力活
動」をテーマに「各班を支部としたら,身近なところ
でどのような国際協力活動が出来るか?」を話し合い,
全体討議に入るところで佐藤課長から「本日のスペ
シャルゲスト,杉田かおるさんです」とアナウンス。
突然のサプライズに会場全体が高揚感に包まれ,拍
手が沸きあがりました。全体討議では各班から「外国
人を雇用している事業主への普及啓発キャンペー
ン」や,「外国人向けのリーフレットや検診用のマ
ニュアルを作成し,普及啓発を行う」などの案が発表
され,杉田さんからは「募金について正しく情報公開
すること,人から人への草の根活動を大切に色々な目
線からアプローチをかける」など貴重なご意見を頂
10
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きました。支部の方からも「グループ討論により,
国際協力活動を身近なものとして捉え,視点を変
える良い機会となった」「外部の方からの意見を
聞くことが出来,活動の励みになった」等の意見
を頂き,この討議が何かの糸口となり,今後の活
動へ反映されたらと思いました。
杉田さんから全体の感想を頂き,皆熱心に聞き入る様子
○講演『結核予防会の公益活動と複十字シール』
山下事業部長から,運動への参加と自分達が発
信するメッセージに誇りを持つこと,またご自身
の体験を基に,始める前から結果だけにとらわれ
るのではなく,まずは挑戦し,目標達成に向けた
プロセスも楽しもうと力強いお言葉を頂きました。
自分達のアイデアひとつで,新しい息吹を吹き込
むことが出来るという可能性を感じられた今回の
会議。これを読んで下さった皆様,職員の皆様,
今後とも複十字シール募金へご理解・ご協力のほ
ど,よろしくお願いいたします。
全体討議後,各グループで記念撮影
杉田さん,ありがとうございました
2009年世界禁煙デー記念シンポジウム 煙のない健康的な社会づくり
5月31日(日)13:00∼17:00
富士ソフト アキバホール (東京・千代田区)
複十字病院
高柳 喜代子
呼吸器科 厚生労働省が,たばこと健康問題NGO協議会ら
と共催して開催する世界禁煙デー記念シンポジウム
も今年で22回目。2004年6月に日本がWHOのたばこ
規制枠組み条約に批准して5年,たばこを取り巻く
社会環境も徐々に変革しつつあります。2009年の
WHOスローガンであるTobacco Health Warnings
(警告! たばこの健康被害)をうけて,今年度の
シンポジウムでは185名の参加者を迎え,「煙のな
い健康的な社会づくり」をテーマに議論が深められ
ました。
森専門官より日本の喫煙状況について説明
ホールは立ち見も出るほどの盛況ぶり
政府における主なたばこ対策
厚生労働省健康局のたばこ対策専門官,森淳一
郎氏よりたばこ規制枠組み条約第3回締結国会議の
概要と世界的な流れが説明されたのち,日本での
喫煙の現況(成人男性喫煙率39.4%,ほぼ横ばい,
成人女性喫煙率11.0%,軽度増加)が示されました。
未成年喫煙率の報告では,中学・高校男子の喫煙
率は2000年,2004年,2007年と確実に低下してき
ており,たばこ離れが進みつつあるようです。国
の喫煙対策としては,増加傾向である20代、30代
の女性をターゲットした広報に力を入れ,従来の
一律的な対策ではなく,より効果的なポピュレー
ションアプローチを模索中とのこと。
美輪明宏さんが健康と美容の観点から禁煙を呼
びかけるインパクトのあるポスターも紹介されま
した。
コンビニや女性雑誌の広告でも,可愛らしいピ
ンクや花柄のパッケージの商品が目立ち,若い女
性が好んで購入している現状も目にします。パッ
ケージの警告強化を義務化することで,特に新規
の喫煙動機を確実に減らすことが予想されます。
スポーツ界とたばこ
対談では元プロサッカー選手でスポーツジャー
ナリストとして活躍中の中西哲生さんが,スポー
ツを通じて感じたことについて,アナウンサーの
宮本裕子さんとたばこ問題も含め幅広く語られま
した。
中西,宮本両氏による対談
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11
スポーツ界でもご自身が現役時代に比べ喫煙率
されているかを説明し,報道の姿勢など問題点を
が低下してきている印象を話され,理由として競
列挙。インターネット配信のニュース記事の数は,
技自体がレベルアップし,世界で活躍する選手も
インフルエンザに比してたばこ問題も(そして結
増えて牽引役となり,選手たちの間により高みを
目指すにはストイックなまでに自分を律して,喫
煙を含めマイナス部分はすべて排除するという意
識が高まってきている事をあげられました。続い
て行われた講演でも,国立がんセンター研究所た
ばこ政策研究プロジェクトリーダーの望月友美子
氏より,ハンマー投げ金メダリストの室伏宏治選
手のビデオレターを紹介され,記録を伸ばす事に
逆行するのが喫煙であるという室伏さん自作の映
像も公開。くしくもスポーツ界のお二方が同じよ
うなメッセージを発信され,印象を残しました。
流行の終焉をめざして
講演では,まず,新型インフルエンザ対策で超多
忙を極める中,WHO西太平洋事務局の名誉事務局
長である尾身茂氏が,WHOの役割や世界の感染症
対策,世界的流行の新型インフルエンザについてな
ど,グローバルな視点からお話くださいました。
望月氏よりタバコ対策の現状が報告された
核も)圧倒的にわずかという推察もあり,その関
心の低さに改めて感じ入りました。そのなかで,
この数年,学会を通じたアドボカシーや市民団体
の活動,地方行政が,国の行政に先行して,たば
このない環境づくりの実現に大きな役割を担って
きたことを評価されていました。日本のたばこに
よる超過死亡は現在,年間11.5万人ですが,喫煙率
やたばこ消費量は減少してきていること,海外で
はすでにがん死亡率の低下など疫学的にも無煙環
境の成果がはっきり現れていることを示し,日本
も「流行の終焉」まであと一歩のところまで来て
おり,行政,民意が一丸となって最後まで戦い抜
くことが大切であると,結ばれました。
マナーからルールへ、地方から国へ
講演の最後は神奈川県知事,松沢成文氏。神奈
川県の受動喫煙防止条例の取り組みが紹介されま
尾身名誉事務局長より最新の情勢について説明
12
した。海外と比べなぜ日本では受動喫煙対策が遅
れているのかを疑問に思い,「国がやらないのな
それに続いて国立がんセンターの望月友美子氏が,
ら,まず地方,この神奈川から」との熱い思いを
たばこによる健康被害の世界的蔓延を「流行」とと
語られ,条例制定に至るまでの紆余曲折,抵抗勢
らえ,日本のたばこ問題の流行を終息させ,たばこ
力との交渉など実現への困難な道のりを,ユーモ
社会からの脱出(エクソダス)をはかるため,総力
アも交え詳しくお話しくださいました。民主主義
戦で追い込む必要性を力説されました。
として直接対話を重視することで,反対者にも条
新型インフルエンザや臓器移植に関してのWHO
例制定後に理解が得られるように大きな努力を払
の見解と国の対応についても触れ,同じWHOの国
われたとのこと。条約の制定を公約に掲げて支持
際条約であるたばこ規制枠組み条約がいかに軽視
を得た以上やり遂げる義務がある,県民の健康・
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命は行政が守らなくてはならない,という一貫し
た信念が伝わりました。
閉会式で総括される島尾会長
条約制定のために忸怩たる思いで妥協した結果,
はっきりとした科学的論拠が示されるようになり
ました。すでに「たばこは文化」の時代は終りを
迎えています。禁煙・防煙の啓発も説得力を持っ
理想どおりにはいかなかったが,第一歩を踏み出
て行える背景が整い,今後普及にますます力を入
した意義はとても大きく,すでに全国の知事から
れていかなければなりません。また,民意もたば
高い関心を寄せられており,かならず神奈川に続
こ問題への意識の高まりを見せ,市民や学会によ
く地方がでてくるはず,スモークフリー(煙から
る活動も盛んに行われ,社会や行政を後押しして
開放されて自由になる)の波が全国に広がれば,
います。医療関係学会が次々に禁煙宣言を行った
国も変わらざるを得ないと断言されました。あわ
り,製薬会社が職員の就業時間内禁煙をうちだす
せて,米国たばこ産業F社の代表が知事を訪ねて条
など,健康に関わる業界では禁煙推進は今や社会
例を応援すると公言したエピソードや,脅迫まが
的責務になりつつあります。その動きに呼応する
いのメールが来たことなども紹介し,あえて「利
ように民間団体も意識が変革しつつあり,タク
権との戦い」と呼び,決して屈せず,マナーから
シー業界では2007年6月に大分県下で禁煙が導入さ
ルールへ,そして地方から国へ! と力強い言葉
れたのを皮切りにこの2年間で全国の禁煙車両率は
で講演が締めくくられ,会場は参加者の熱い気持
7割を超えるなど,急速に広がりを見せています。
ちと大きな拍手で包まれました。
受動喫煙や路上喫煙を条例というルールを制定し
続く閉会式では,たばこと健康問題NGO協議会
て取り締まる地域も増え,着実に「吸えない環境
の島尾忠男会長から総括が述べられ,タバコのな
づくり」は成果を上げています。これらは果たし
い社会の実現に向けて力を合わせていきたいと結
て喫煙者いじめなのでしょうか。禁煙支援を担う
び,シンポジウムは幕を閉じました。
立場として考えると,決してそうではないといえ
たばこのない社会実現のために
ます。多くの喫煙者が,実は禁煙を希望してきっ
たばこのない社会を実現するためには三つの大
かけを探していること,知識の普及と吸えない環
きな柱があると考えます。未成年者や女性の喫煙
境づくりが,禁煙の大きな動機づけになることは,
開始防止を含めた知識の普及,受動喫煙対策を含
禁煙支援をするなかで痛感することです。
めた「吸えない環境」の整備,そして,喫煙者が
この三つの柱がどれ一つ欠けても,タバコのな
タバコをやめるための禁煙支援です。
い社会は実現できないことを再確認した,今回の
近年,数多くの医学的な研究結果から,喫煙の
シンポジウムでした。
松沢知事より条例制定までの過程が語られた
みならず受動喫煙による健康被害についても,
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13
元 健康を守る婦人会
(東京)
会長 山田三枝子 先生の思い出
やまだ
みえこ
山田 三枝子
先生
平成20年12月16日逝去 享年79歳
文:松 本 美智子
中 川 千代子
成 瀬 和 美
(元 健康を守る婦人会(東京)
)
複十字シールの周知と婦人会活動に尽くされて
平成20年12月,山田先生の診察のお手伝いをして
も皆,山田先生と一緒にグッズ作りに一生懸命でし
いらした林さんから,山田先生が亡くなられたとの
た。これらのグッズを複十字シールと一緒にして全
電話がありびっくりしました。私も体調を崩してお
国大会,中央講習会,イベントの会に持っていき参
り,この2年間先生にお会いしていませんでしたの
加者の方々に利用方法の一例として知っていただき
でとても残念で信じられませんでした。
ました。
毎年東京で行われている中央講習会の時には,地
山田先生に初めてお会いしたのは,婦人会の旅行
の時でした。ベレー帽を被った素敵な方でした。
14
方から出席した会員の方々から,東京のおみやげが
出来たと大変喜ばれました。おかげ様でこれらは大
私共の婦人会は東京と名がついていますが,杉並
変好評で多くの注文をいただき,会が終わった後で
区高井戸地区の限られた地域で,会員も300人余り
も作って地方の方に送った程でした。これも先生の
でした。先生が会長になられてから積極的に活動を
アイデアで行われた事でした。
され,私達を引っ張って下さいました。まず,会員
先生と複十字シールの出会いは横浜在住のシール
を増やすことから始めました。300人余りから1,250
蒐集家,本田昭夫様との出会いからでした。アメリ
人になりました。婦人会ニュースを年一回発行しま
カ,韓国,タイ,デンマーク,ノルウェー等の国々
した。何よりも先生が気にかけていらしたのは,複
から送られたシールのアルバムを見せて頂きました。
十字シールの事でした。シールを机の引出しにし
本田様の複十字シールのアルバムや世界の珍しい
まっておかないで,積極的に活用しましょうといろ
シールを見て感動なさったようです。世界のシール
いろなアイデアを出しました。ビーズのアームバン
は日本のシールと違い色も鮮やかで,初めて見た時
ド,ビーズの複十字の徽章,千代紙の鶴のご祝儀袋,
は先生もびっくりしておられました。アメリカ,韓
おひな様,折り紙のTシャツ等を作りました。私達
国からは,日本のシールと交換もしていました。
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から慕われていました。
ある日私が,手元にあったビーズでアームバン
ドを作り先生に差し上げましたら,数日してお電
話があり,「あのアームバンドとても綺麗だから,
シールのグッズにしようと思うの」と言う事で,
複十字シールの新製品の誕生でした。先生は,診
察室にもシールグッズを沢山ならべてシールのP
Rに,とても熱心でした。今でもキラキラ光る
ビーズの中に,先生の笑顔が見えます。
結核予防関係婦人団体中央講習会での一コマ
(左端が山田先生)
私達に楽しい思い出を,沢山残して下さった山
田先生。本当にありがとうございました。
(中川千代子)
平成15年3月には,第6回秩父宮妃記念結核予防
功労賞(事業功労賞・個人)を受賞なさいまして,
会長としての努力が認められた事と会員一同大変
健康を守る婦人会のお手伝いをはじめた頃は,
静かな会と思われました。間もなく山田先生が会
嬉しゅうございました。
また,収集なさった複十字シールのアルバムを
母校の東邦大学医学部に寄贈なさいました。
地元では,医師としてお忙しい毎日を送ってい
ますのに,趣味として万葉集の勉強会にお習字の
お稽古にと,いつも前向きで活躍しておられた先
生には頭が下がります。先生とのおつき合いで,
いろいろな事をご指導頂きましたことに感謝の気
持ちでいっぱいです。心より先生のご冥福をお祈
り申し上げます。 (松本美智子)
長となられ,先生の複十字シールに懸けられた情
熱には,ただただ圧倒されるばかりでした。国内
だけに留まらず,外国のシール,複十字に関する
資料や品物等を収集なさったり,アイデア一杯の
グッズ制作で,シールの使い方の普及に努められ
る姿に感動し,私も一員として参加させていただ
けたことを感謝いたしております。
山田先生とのお別れがこんなに早く訪れようと
は。とても残念です。
ご冥福を心よりお祈り申し上げます。
(成瀬和美)
いつも笑顔でお元気な先生が,突然私達の前か
ら消えてしまいました。先生は,私の街の小児科
と耳鼻科の先生で,綺麗で優しくてとても皆さん
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アフリカンフェスタ2009に
参加して考えたこと
ストップ結核パートナーシップ日本事務局
国際協力には参加型NGO,参加型農村開発等があり,これからの普及啓発は,“双方
向交流”がキーワードになると思います。私たちにとっても,多くの人とのコミュニケー
ションが可能な「参加型STBJ」の実現が今後の目標です。7月には日本結核病学会総会
(札幌),9月には日本公衆衛生学会総会(奈良)が控えており,STBJの活動への参加を
呼びかける大きなチャンスと意気込んでいます。地域などでSTBJが直接参加できないイ
ベントで展示を予定されている方は,是非,STBJまでご一報いただき,普及啓発活動に
ご協力いただければ幸いです。どうかご支援をよろしくお願いいたします。
タイトル:俳人尾崎放哉の「咳をしても一人(Coughing even; alone)」から。咳をしても1人じゃないぞ!
16
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ストップ結核パートナーシップ日本だより
ストップ結核パートナーシップ日本(STBJ)の事業は,世界の結核対策への貢献,国
内の結核対策の支援と,結核に関する普及啓発が3本柱ですが,今回は,普及啓発に関す
る活動報告と今後の取り組みについてご紹介します。
5月16日,17日の2日間,横浜赤レンガ倉庫で行われたアフリカンフェスタで,結核予防
会,結核研究所,日本リザルツと共同のブースを開設しました。隣の会場では横浜開港
150周年のイベントが行われていましたが,そちらのお客さんがアフリカンフェスタの会
場にも足を運んでくれたので,大変盛況となりました。
展示では,海外での結核対策の技術協力事業を紹介する写真や,世界の複十字シール・
切手の実物展示パネルが多くの訪問者の関心を集めました。シールの中にはセイロンのも
のがありましたが,最初はどこの国かわからず,後でスリランカの旧称であることを知り,
結核対策への各国の取組の歴史の長さを感じました。ミニトークでは,結核研究所の医師
によるザンビアでの結核プロジェクトの話に多くの人が耳を傾けていました。国際協力の
分野で働きたい人からの質問も多々ありました。惹きつけるということでは,複十字シー
ルの配布の他,シールぼうやの携帯電話用ストラップなど,小物の販売も行ったのですが,
特に小さい子供に大評判でした。また,STBJも,リーフレット,団体概要等の印刷物を
1,000部以上配布しました。活動の効果を数値化することはできませんが,訪問者に結核
対策の重要性を啓発できたと思います。
一方で,スペースが長机1脚分とあまりにも狭く,
お客さんが少し集まると,溢れて隣のブースまでは
み出してしまう有様でした。また,ハプニングもあ
りました。17日には,テントの大敵である雨混じり
の強風が吹き荒れて展示物や配布資料が散乱して舞
い上がり,あちらこちらのブースから悲鳴が上がっ
て,時に阿鼻叫喚の巷(?)と化しました。怪我や
事故を懸念したイベント事務局は,度々,早い時間
帯での“閉店”の可能性をアナウンスしましたが,
何とか終了予定時間まで“営業”を続けることがで
きました。それでも,お隣さんの資料配布をお互い
に手伝ったりして,一緒に戦う同士のような気持ちになって連帯感が高まり,パートナー
シップの強みを活かしたコラボレーション活動が実現できたのではないかと感じました。
今回の反省点は,ブースのスペースの問題もありますが,ミニ講義やQ&Aのように双
方向で交流できるものを企画すれば,関心のある人とのやりとりがもっと実現できたので
はないかということです。アフリカの結核,ヘルスシステム強化などは,途上国公衆衛生
対策の大きな課題です。今後,これらのテーマについてもっと多くの人々から関心を持た
れるような広報を考えなければなりませんし,映像の時代なので,大型液晶画面を導入す
るなど,時代に合わせる努力の必要性も感じました。また,来場者の多くはショッピング
も楽しみにしているので,ピンバッジ,ワッペン,Tシャツ,帽子など,魅力あるグッズ
を今後,ラインアップしていきたいと考えています。
Coughing even; not alone
冨名腰 あん
No.
7
横浜に吹いたアフリカの風
アフリカン・フェスタ2009 : 5月16-17日10:00∼17:00
横浜赤レンガ倉庫イベント広場
結核研究所 国際協力部
結核予防会 本部国際部
村上 邦仁子
大室 直子
5月16日,17日の両日,外務省と横浜市との共催で,幅広くアフリカを紹介し,アフリカに対する理解を
深めることを目的とした野外イベント,「アフリカン・フェスタ 2009」が横浜にて開催されました。横浜は
昨年度TICAD Ⅳ(第4回アフリカ開発会議)が開催されたゆかりある地です。会場は,アフリカ好きの人々,
国際協力に興味のある人々,故郷を懐かしむアフリカの人々まで,この二日間はアフリカを肌で感じようと
訪れる人達であふれていました。
結核予防会/結核研究所のブースは,ストップ結
核パートナーシップ日本と日本リザルツとの共同
出展で,結核予防会本部国際部と結核研究所国際
協力部による国際協力結核対策プロジェクトの紹
介や,国際研修,複十字シール運動の紹介などが
ポスター展示されました。
ザンビアのポスターを手に,道行く人に声をかける職員
一日目はまずまずのお天気で,出足は好調でした。
来場された方々への呼び込みや資料配布を行いなが
ら,結核について,そしてザンビアの「結核とエイ
ズの早期発見・治療プロジェクト」について紹介し
ました。中でも多くの方の足を止めたきっかけと
なったのが,各国の複十字シールを集めたパネルで
した。さまざまな国の複十字シールは,色鮮やかで
各国の文化や特徴を色濃く反映しており,これを
きっかけに結核に関して話を聞いてくださる方が多
くありました。また,そのほかには,アフリカにつ
いて勉強をしている学生の方々や,現在ザンビアに
住んでいるという方,最近結核がメディアで多く取
り上げられたために結核に興味をもったという方な
ど,多くの来場者がありました。
二日目はあいにくの雨模様かつ海岸沿いの強風で,
午前中の出足はにぶく気がかりでしたが,普段耳に
することのないアフリカンミュージックの響きや,
普段口にすることのないアフリカ料理のいい匂いに
誘われ,幸い多くの人々にブース前を通っていただ
きました。この日は,ザンビアのプロジェクトに関
して重点的にアピールを行いました。このプロジェ
クトは,ストップ結核ジャパンアクションプランの
一環として,外務省NGO連携無償資金協力からの助
成を受け,結核予防会により実施されています。結
核患者の7割以上にエイズ感染の合併が認められる
ザンビアの状況において,保健サービスが届きにく
い地区で,いかに早期に結核患者さんを発見し,治
療を開始するか,という重要な課題に,地域ボラン
ティアの方々を中心として取り組んでいます。プロ
ジェクト紹介のチラシには,「ボランティア自身も
貧困・エイズ・結核などの問題に直面しています。
結核をなくそう! という同じ目標に向かって,息
の長い活動をしていきたい」という現地駐在員から
の熱いコメントと,現地の様子を表す写真が紹介さ
れ,そのチラシと,大きなポスターを手に,できる
だけ多くの方にプロジェクトをご紹介できるよう,
みな魚市場張りに声を張り上げてがんばりました。
チラシを受け取って足を止めて見入ってくださった
方々,熱心にブースで説明を聞いてくださった在日
ザンビア大使館勤務の方々,将来アフリカで医療を
したいのです! という真剣な医学生の方々,など
多くの方々にプロジェクト活動を紹介することがで
きました。
ブースのテント内で,アフリカ国籍の方に
プロジェクト説明を行う筆者(村上)
アフリカン・フェスタというイベントを通じて,
ザンビアの結核とエイズの現状を一般の人々にお
伝えできたことはとても有意義でありました。さ
らに,結核そのものについての質問や,日本での
結核の状況についても多くの質問があり,国内予
防啓発の一環としても貴重な機会となりました。
ご協力いただいた皆様,どうもありがとうござい
ました。
7/2009 複十字 No.328
17
ずいひつ
複十字病院の想い出
複十字病院名誉院長
早いもので複十字病院の院長を辞して一年になり
昭和52年に結核研究所附属病院が現在の本館を新
ました。私は消化器科を専門としてきたので,呼吸
築し,一般病院化の方針を打ち出した時に縁あって
器,結核とは本来無縁でしたが,私の父が長野県の
清瀬に勤務することとなりました。卒業して間もない
上水内郡若槻村と云う山奥の陸軍傷痍軍人結核療養
若いドクター3人とともに何もないところから出発し
所に勤務している時に生まれ,12歳までそこで過ご
たのですが,一般病院化を打ち出しても,当時の予防
しましたので,まんざら知らない世界ではなかったと
会本部にはその為の具体的構想が全くなく,現場任
も云えます。当時は結核が国民病であった時代です
せでしたから当時の小林院長,次の木野院長は本部
から,1,000床を超すベッドが何時も満員だったよう
と我々の間で随分苦労されていました。結核と非結核
です。
の呼吸器しかないところでしたから,職員の皆さんも
思えばその時東京では予防会が発足し,結核研究
戸惑ったことが多かったと思います。しかし,皆さん
所附属療養所が動き出していたのです。30数年後に
が同情して,協力して下さったことは今でも感謝して
結核専門病院に赴任することになったのも,何かの
います。カンファランスでは研究所長をされた岩崎先
縁でしょうか。1960年代は世界的に大学紛争が起き
生や胸部外科の塩澤先生のご意見には感銘を受け,
ていた時代ですが,当時日本の医師養成制度は,従
予防会の豊かな人材に感心したものです。平成元年
来の医局制度に1年のインターン制を付け足しただけ
に念願の消化器病棟が完成し,聖マリアンナ医大,東
のもので,制度として全く整備されていませんでし
大医科学研究所,杏林大学から医師の派遣をして頂
た。そんな中でインターンボイコット運動が起き,大
き診療体制も整備されるようになりました。整形外科
学は荒廃し,卒業生は地域病院に分散し手探りで医
の診療も順調に進んできたのですが,現在問題が表
師研修をしている時代でした。
面化している医師不足が既に15年前くらいから始まっ
当時消化器外科の分野では,早期胃がんの概念が
ており,医師の確保が非常に困難となってきました。
出来上がり,レントゲン二重造影,内視鏡ファイバス
看護師の確保も同様で,歴代の看護部長には大変ご
コープ検査が開発され,早期胃がん症例の発見に夢
苦労をかけました。
中になる一方,進行がんに対する拡大手術に意欲を
3年前に東大から乳腺専門医の武田先生を迎え,急
燃やしていました。当時に比べ,US,CT,MR
速に乳がんの手術症例が増えています。之によって,
I,PET等の画像診断と,内視鏡,鏡視下手術等の
肺がん,胃がん,大腸がん,乳がんの診療体制が整備
縮小手術や化学療法が格段と進歩し,チーム医療が
されてきました。結核病院の一般病院への転換は,国
優先する現代となって外科医の世界も変わってきて
が相当の財源を注入し独立法人化しても困難な点が
いますが,それでも体を張って診療を優先する気持
有ります。一年前に工藤先生を院長に迎え,慢性呼吸
ちは今でも共通しており,そのために新人からは嫌わ
器疾患のリハビリを含めた診療体制も整備されつつ
れ,外科医の希望者が減ってきているのは誠に残念
あります。しかし,予防会にとっての使命である結核
です。
医療の不採算性を解決しないと複十字病院の基盤整
昭和43年に熊谷市の藤間病院に同級生の中川君
備は不可能です。この問題は,本部が責任をもって当
(有明癌研病院長),長田君(新山手病院名誉院長)
たるべきです。複十字病院と新山手病院の本館の耐
と3人で2年間お世話になったのですが,その後の外
震補強,建て替えの問題は,両病院の機能分担も含
科医としての基礎を叩き込まれました。この経験は
め検討する必要が有るのではないでしょうか。
誠に貴重なものでした。
18
尾形 正方
7/2009 複十字 No.328
2009年世界禁煙デー記念講演会
ローター・ビンディング氏講演会開催された
WHO(世界保健機関)は毎年5月31日を世界禁煙
デーとして定め,日本では5月31日∼6月6日の一週
間を禁煙週間としています。わが国においては,
喫煙率は下がってはいるものの,若い女性の喫煙
者の増加や,長期の喫煙が要因であるCOPDの潜在
患者が530万人いると予測されることから,たばこ
における問題は深刻です。
平成21年6月13日(土)に,日本医師会大講堂
(東京都文京区)において,世界禁煙デーの記念
講演が行われました。ドイツからドイツ連邦議会
議員のローター・ビンディング氏とドイツがん研
究所がん予防・たばこ対策部長のマルチナ・ペ
主催者挨拶をされる日本医師会会長唐澤祥人先生
チュケ・ランゲル医師をお招きし,「ドイツの受
動喫煙防止法に学ぶ」をテーマにお話しいただき
ました。
まず,たばこと健康問題NGO協議会会長の島尾
忠男先生が開会挨拶をされました。続いて,主催
者挨拶を日本医師会の唐澤祥人会長から,来賓と
して厚生労働省副大臣(生活習慣病対策室長の関
英一様 代読),ドイツ大使館マーティン・ポー
ル参事官から挨拶をいただきました。
厚生労働省生活習慣病対策室室長関英一様のご挨拶
たばこと健康問題NGO協議会会長島尾忠男先生の開会の挨拶
ドイツ大使館参事官マーティン・ポール様のご挨拶
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1.ドイツにおける「受動喫煙防止法」制定まで
の過程
長のもと,マルチナ・ペチュケ・ランゲル医師か
らドイツにおける非喫煙者の法的保護についてお
次に,日本禁煙学会の作田学理事長と東京衛生
話しいただきました。マルチナ医師は学術的な方
病院の佐々木温子先生の座長のもと,ローター・
面からビンディング氏とともに受動喫煙防止法の
ビンディング氏から,ドイツにおける受動喫煙防
制定に奔走されたお一人です。ドイツでの成功要
止法が制定されるまでの過程をお話しいただきま
因は,分かりやすいファクトシートを作成し
した。たばこ問題においては日本,ドイツ,アメ
ジャーナリストに働きかけること,たばこ業界に
リカは悪の枢軸と言われ,ドイツと日本の喫煙に
立ち向かうために対抗策を講じること,法律家と
関する問題点は酷似している点が多くあります。
協力し完璧な法案を用意したことなど,どのよう
たばこ産業による心理操作の歴史,政界からの強
な活動をされたのか詳細を述べられました。
い圧力,小規模な飲食店での分煙の難しさなどの
問題をあげられました。ビンディング氏の本来の
お仕事は,健康とは関係のない財務省委員会委員
ですが,仕事の一環ではなく,まさにドイツ国民
の健康のために,政治の分野でたった「お一人」
で喫煙対策に尽力されました。その並々ならぬ意
思の強さに,圧倒されるばかりでした。
座長(大島先生・望月先生)による講師紹介
座長(作田先生・佐々木先生)による講師紹介
スペシャルゲストのマルチナ・ペチュケ・ランゲル先生
3.シンポジウム―日本の取り組みについて
さらに,健康・体力づくり事業財団の増田和茂
常務理事と全国禁煙推進協議会の平間敬文会長の
座長のもと,衆議院議員の小宮山洋子先生から,
日本の政界における喫煙対策の現状を,日本医師
会の内田健夫先生からは,日本医師会会員の喫煙
ドイツ連邦議会議員ローター・ビンディング先生
状況,日本医師会での取り組みについて,神奈川
県議会議員の関口正俊議員からは,神奈川県の受
20
2.ドイツにおける非喫煙者の法的保護
動喫煙防止条例等について各々お話いただき,日
続いて,日本禁煙推進医師歯科医師連盟の大島
本での受動喫煙防止法の成立に向けた熱い議論が
明会長と国立がんセンターの望月友美子先生の座
交わされました。
7/2009 複十字 No.328
2009年世界禁煙デー記念講演会
座長(増田先生・平間先生)によるシンポジスト紹介
感謝の気持ちを込めて楯を贈る島尾先生
シンポジスト(左から関口議員・内田先生・小宮山議員)
健康・体力づくり事業財団小澤壯六理事長のご挨拶
4.終わりに
日本に先駆けてドイツが受動喫煙防止法を制定
シンポジウムでの議論の興奮が冷めやらぬまま閉
したことは,同じ喫煙問題を抱える国として学ぶ
会時間を迎え,島尾忠男先生からビンディング氏
べきところがたくさんあり,今後日本がどう取り
とマルチナ医師に感謝楯を贈呈されました。健
組むべきかの指針にもなる大変有意義な講演会に
康・体力づくり事業財団の小澤壯六理事長が閉会
なりました。 (文責:編集部)
の挨拶をされ,閉会しました。
トピックス
ドイツ連邦議会議員ローター・ビンディング氏 参議院議長公邸を表敬訪問
左から3番目が江田五月参議院議長
6月12日(金),ドイツ連邦議会議員ロー
ター・ビンディング氏とドイツがん研究所マル
チナ・ペチュケ・ランゲル先生は,参議院議長
江田五月議員を表敬訪問しました。ドイツ大使
館公使と参事官も同席し,禁煙推進議員連盟の
小宮山洋子議員を始め,日本禁煙学会理事長の
作田学先生,東京衛生病院の佐々木温子先生,
日本禁煙推進協議会事務局長の宮崎恭一先生,
たばこ問題情報センターの渡辺文学先生,当会
より山下武子事業部長とともにドイツと日本の
これからのたばこ対策について懇談する機会を
得ました。
(文責:編集部)
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結核予防会支部紹介のページ
山 口 県 支 部
健康な生活を支える
使命を担って
結核予防会 山口県支部
(財)山口県予防保健協会
重冨 昭治
専務理事 はじめに
(沿革)
山口県支部は,昭和14年12月に設立され,昭和61
年3月には(財)山口県予防衛生医学協会との統合によ
り,健診事業と環境検査事業による県民の総合的な
健康の増進に寄与することを目的として(財)山口
県予防保健協会を設立しました。さらに平成8年4
月には,対がん協会山口県支部との合併により,が
ん征圧のための啓蒙運動へも力を注いで参りました。
健診事業部門においては平成11年11月「労働衛生
サービス評価認定」を取得し,環境検査事業部門に
おいては平成14年11月「ISO9001認証」を取得して,
より県民から信頼される健診・検査機関を目指して
事業展開しております。
健診事業
県内全域にわたる職域,市町,各種学校及び老人
保健施設などに,26台の検診車による巡回健診を
行っています。結核検診・がん検診・法定健診を中心
に実施しており,老人保健施設での結核検診では,寝
たきりの方の胸部撮影をポータブル機器で行うなど,
ひとりでも多くの方が受診できるよう,それぞれの
ニーズに合った対応を心がけています。
また,平成20年度より開始された特定健康診査・
特定保健指導の導入により,各健康保険組合からの
依頼を受けて,事業所に勤務されている方の家族の
健診を新たに開始しました。家族健診では乳がん,子
宮頸がん検診を行っておりますが,特に近年増加傾向
にある乳がんの早期発見に対応すべく,マンモグラ
フィによる検診及び乳腺エコー検診を実施しています。
検査部門においては,永年にわたり新生児の代謝
異常検査や子宮細胞診検査を行い,高い評価を得て
おります。
更に精度管理の一環として,結核予防会のフィルム
評価会や研修会への参加,日本医師会の血液検査精
度管理事業への参加等によって職員の技術の向上を
図るとともに,より精度の高い結果を受診者に提供で
きるよう日々研鑽を重ねております。
環境検査事業
地域の生活環境や自然環境の保全及び安心と安全の
社会づくりに寄与するために品質マネジメントシステ
ム(ISO9001)を業務管理の基幹として,以下の法的位
置付け等により,検査・分析・調査等を行っています。
また,地球レベルの環境保全活動にも山口県の拠点
として積極的に取り組んでおります。
・厚生労働省水道法水質検査登録機関
・厚生労働省水道法簡易専用水道施設検査登録機関
・厚生労働省食品衛生法登録食品検査機関
・厚生労働省作業環境測定法登録機関
・環境省土壌汚染対策法指定調査機関
・環境省温泉法登録分析機関
・山口県環境計量証明事業登録機関
・日本環境アセスメント協会会員
・山口県地球温暖化防止活動推進センター
食品中の残留農薬検査風景
普及啓発事業
結核予防については複十字シール運動を推進する
ことにより,結核に対する知識の普及啓発や募金活
動を行っております。毎年,結核予防週間を中心に,
県内事業所や学校及び市町・県の保健機関へのパン
フレット等の配布,街頭キャンペーン,マスコミへ
の情報提供などにより普及啓発活動を行い,募金活
動としては,郵送募金・組織募金によって県内の多
くの方々に募金の協力を呼びかけ,ご協力を頂いて
おります。また,がんや生活習慣病に対する予防知
識の普及啓発活動も広く県民に対して行っています。
終わりに
マンモグラフィ検診車
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7/2009 複十字 No.328
健診事業においては法制度の改正に伴い,住民健
診受診者数の減少は避けられず,環境検査事業にお
いても他機関との価格競争の激化による厳しい現実
は否めません。更に新公益法人への移行の可否等,
協会の存立基盤の見直しも求められております。
このような状況においても,私たちは自らの使命
に立ち帰り,設立の目的たる「県民の健康増進への
寄与」を果たすべく,役職員一同一層の精進をして
いく所存でございます。
平成20年度複十字シール募金結果報告
平成20年度の複十字シール募金総額は,3億8,969万円となりました。募金にご協力いただいた皆様,本当
にありがとうございました。また,結核予防会支部並びに結核予防婦人会の皆様には,結核予防週間での街
頭キャンペーンなど様々な場を通じて活動いただきありがとうございました。
経費を除いた益金の使途は,グラフのとおりに
なりました。結核予防週間行事や教育資材の作成
と途上国の結核対策支援への支出で全体の約半分
を占めています。
胸部検診機器の整備に
12%
3,800万
3,800万
日本の結核は,平成19年に初めて10万対で20
調査研究に
12%
を切りました。しかしながら年間25,000人以上が
3,700万
発病し,約2,100人以上が結核で亡くなっており,
いまだに国内最大の感染症です。日本は,欧米諸
国と比べ30∼40年遅れているといわれ,未だに中
まん延国にとどまっています。一方,世界では毎
年170万人が結核で亡くなっており,国内の結核
全国の結核予防
団体の活動に
15%
4,550万
対策と同様,開発途上国の国際協力も重要な課題
で,結核制圧へ向け手を抜くことはできません。
平成20年度
途上国の結核対策に
25%
7,660万
皆様から寄せられた温
かい募金はこのような
目的で使われました
結核予防の広報や
教育資材の作成に
36%
11,180万
今後とも,ご支援・ご協力をお願いいたします。
募金総額
3億8,969万5,146円
益金(経費除く)
3億0,912万9,936円
平成21年度複十字シール運動資材について
今年の新しいシール運動資材の「ハンカチタオル」をご紹介し
ます(右)。 シンプルで可愛いデザインは,どなたにも喜ばれるでしょう。
吸湿性・肌触りに優れた国産のコットンを用い,バッグに入れて
もじゃまにならない大きさにしました。
価格は1枚300円です。詳細は,このページの一番下,資金課ま
でお問い合わせください。
これからの季節,オフィスに,街に,お出かけに,シール坊や
入りハンカチタオルをぜひご利用ください。
期間限定キャンペーン 第2弾 7月1日∼8月31日
結核予防会のシール運動は,昭和27年から始まり,今年で58回目を迎えます。そのシール運動の一環とし
て、このたび夏に向けて期間限定キャンペーンを開始いたします。
1960∼90年代発行の小型シール(6枚1シート)から,夏にふさわしい絵柄のものを10シートセットにしま
した。さらに,これをお申し込みの方にお好きな小型シール1シートをお付けし,計11シートで1,000円以上
のご協力をお願いいたします。古いシールの中には1枚500円のものもあり,大変お得です。
詳しくは,結核予防会のホームページ(http://www.jatahq.org)をご覧ください。
シール運動資材・シールのお申し込みは,03-3292-9287(資金課直通),またはE-mail [email protected]
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結核の社会文化史的資料ご提供のお願い
結核は,先進諸国においては19世紀後半から20
し,結核制圧への道のりはまだまだ続いており,
世紀半ばにかけての工業化の進展,都市への人口
予防・治療の技術や研究を次世代・次々世代へ継
集中の時期に著しい蔓延を経験し,アジアやアフ
承していかなければなりません。
リカをはじめ途上国においては今日でも多くの感
こうした観点に立って,結核予防会ではこのた
染者と死亡者をもたらしている全地球規模での健
び,今後の研究や技術に役立つ重要な標本や診療
康の脅威です。
録等の資料や文献はもとより,広く社会文化史的
わが国においても,結核は近現代史に色濃くそ
な資料についても収集かつ適切な管理を行い,こ
の影を投げかけ今日に至っております。それは,
れらを永く後世に継承することを目的として,結
結核が老若男女だれにでも感染し,かつては長期
核に関する資料館とも言うべき「TBアーカイブ
にわたる死と隣り合わせの療養生活を余儀なくさ
ス」を結核研究所内に設置いたしました。
せたためであり,戦前から昭和30年代にかけては
「TBアーカイブス」は,結核関係者の高齢化
10代,20代の未来ある青少年層の多くの生命や夢
などが進むなかで,散逸や紛失が懸念されます歴
を奪い,国民生活全般に与えた影響は計り知れま
史的に貴重な資料類を可能な限り収集し,適切に
せん。
保存管理していく所存でおります。
しかし他方で,国を挙げての結核対策は,公衆
つきましては,例えば,わが国の療養所の歴史
衛生や医学分野において多くの成果をもたらしま
や記録書類,白十字会・結核予防協会などの資
した。集団検診,保健所,保健師,ソーシャル
料,患者運動の資料・患者会誌,個人の療養記
ワーカー,リハビリテーションなど今日では常識
録,明治以前の資料,ポスターや映画等の文化史
となった保健システムは,結核医療・結核予防を
的資料,結核関係の図書・文献等をお持ちの方か
進めていく過程で生まれ,整備されたものであ
らのご寄贈を賜りたく,またお持ちであることを
り,臨床薬理学や胸部外科の発展,化学療法の確
ご存知の方からは情報提供を賜りたく,伏してお
立も結核医療に原点があります。
願い申し上げます。
結核予防会は今年,創立70周年を迎えました。
平成21年7月
結核予防会は結核の蔓延が深刻な昭和14(1939)年
財団法人結核予防会 理事長 仲村英一
に設立され,今日に至るまで結核研究を基礎とし
「TBアーカイブス」推進・運営委員会
て,結核制圧のため全都道府県にわたる組織をあ
委員長 島尾忠男
げて結核予防活動を推進してまいりました。しか
岡西雅子様からの切手コレクションご寄贈に改めて御礼申し上げます
平成19年5月に遡りますが,愛知県犬山市にある明治村内の当会の展示室を修繕しておりました折
に,故岡西順二郎先生が世界中から収集されていた結核にまつわる貴重な切手の拡大コピーが損傷
していたため,改めて岡西家を訪れることになりました。
ご長女の雅子様にお会いし,再度切手をお借
りしてコピーを取らせていただくつもりでおりましたところ,図らずも雅子様からご寄贈の申し出を受
けることになりました。当会といたしましてはこれに勝る喜びはなく,大切に保管・管理させていただく
とともに,本誌の表3ページにて順次解説つきで掲載し,広く読者の皆様にご覧いただくことといたし
ております。
※ 資料ご提供の連絡先
「TBアーカイブス」推進・運営委員会事務局 庄司
電話03-3292-9283
E-Mail:[email protected]
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第84回日本結核病学会総会 研究発表
《平成21年7月2日∼3日,
北海道・札幌コンベンションセンターにて開催》
結核予防会本部・支部では,結核に関する様々な研究が行われています。
第84回日本結核病学会総会にて,結核予防会職員が座長を務める講演や発表した演題を紹介します。
本学会の報告記事は,次号(№329/平成21年9月号)に掲載予定です。
日本結核病学会発行『結核』第84巻第5号
平成21年5月号 より抜粋
講演・演題一覧
要望課題
講演名・演題区分
Ⅰ.
Tuberculosis: A new vision for the 21st century.
Ⅱ.
大阪市における都市結核問題への闘いと成果
Ⅱ.
連携パスによる地域 DOTS の展開
Ⅰ.
感染症法のもとでの結核医療のあり方
1.
結核医療提供体制の現状と課題
Ⅲ.
地域 DOTS の課題と今後の展望
6.
再発結核の薬剤耐性割合,
結核療法研究協議会結果のまとめ
Ⅴ.
結核感染診断の新技術と精度管理
1.
QuantiFERON TB-2/3G の精度保証
4.
結核菌薬剤感受性検査の精度保証
1.
QFT の精度管理と感度向上に関する研究成果
1.
結核菌の反復配列多型
(VNTR)
標準分析法の確立と型別情報データベースの構築
2.
TMC-207, PA-824, OPC-67683 の臨床的有用性に関する情報
3.
前臨床段階にある新規抗結核薬の開発研究の現状とその問題点
3.
多剤耐性結核に対する新たな治療薬
4.
QFT-2G 検査における高陰性コントロール検体の取り扱いについて
4.
QFT-2G 検査における高陰性コントロール検体の取り扱いについて
QFT2
6.
QFT-2G の精度管理
7.
QFT-2G の精度に関わる因子の解析
15.
多剤耐性結核菌による集団感染事例に対する QFT-2G の使用例
集団感染と分子疫学 1
24.
首都圏におけるストレプトマイシン耐性結核菌 M 株の伝搬状況
34.DOTS拡大に向けて̶「結核看護システム」の活用(1)
34.DOTS拡大に向けて̶「結核看護システム」の活用(2)
41.
結核症再登録 42 例における初回発症時との RFLP
(restriction fragment length polymorphism) パターンと薬剤耐性状態の経時的分析
要望課題
要望課題
要望課題
要望課題
要望課題
要望課題
要望課題
要望課題
要望課題
要望課題
要望課題
要望課題
要望課題
要望課題
要望課題
51.
モルモットにおける BCG 接種量が結核感染防御に及ぼす効果
87.
パキスタン・ラホール県における結核診断センターの機能改善活動
パキスタン・グジュラート県における結核患者発見のための結核治癒患者動員の試み
88.
91.
在日外国人結核患者数の推移とその背景
疫学・管理 4
111.
新コホート判定方式による治療成績̶結果分析の一試み
112.
感染伝播の強さおよび方向が不均一な集団における結核疫学状況の分析
115.
急速凍結法置換法樹脂包埋標本での抗酸菌外膜観察の試み
細菌学
(結核菌・抗酸菌・真菌等)
3
125.
多剤耐性結核菌に対する Rifabutin の薬剤感受性
129.
発光ダイオード蛍光顕微鏡 (AFTER fluorescence LED) の臨床評価
肺結核の看護・保健活動 1
化学療法 2
174.
1 型糖尿病と結核菌感染との関係
182.
胸部 X 線フィルム評価の結果解析と今後への展望
◆結核研究所
招請講演
特別講演
教育講演
シンポジウム
シンポジウム
シンポジウム
シンポジウム
シンポジウム
シンポジウム
シンポジウム
シンポジウム
ミニシンポジウム
ミニシンポジウム
ミニシンポジウム
ミニシンポジウム
要望課題
要望課題
要望課題
要望課題
要望課題
要望課題
要望課題
要望課題
要望課題
要望課題
◆複十字病院
シンポジウム
特別講演
ミニシンポジウム
ミニシンポジウム
ランチョンセミナー
ランチョンセミナー
ランチョンセミナー
要望課題
要望課題
要望課題
座 長
森 亨
石川 信克
小林 典子
加藤 誠也
永田 容子
御手洗 聡
原田 登之
前田 伸司
星野 斉之
御手洗 聡
小林 典子
伊藤 邦彦
座 長
倉島 篤行
工藤 翔二
工藤 翔二
白石 裕治
講演名・演題区分
4.
接触者健診における QFT の適用の限界と今後の対策
Ⅲ.
新しい非結核性抗酸菌症の診断基準と治療対策
2.
多剤耐性結核の治療成績
非結核性抗酸菌症に対する肺全摘除術はハイリスクである:多剤耐性肺結核との比較から
4.
Ⅰ.
難治性呼吸器感染症への新たなアプローチ
Ⅱ.
ツ反から替えた医療従事者の結核管理 - QFT 検査の有用性
Ⅳ.
肺非結核性抗酸菌症に対する今日的治療戦略
82.
肺 MAC 症に対するエリスロマイシン
(EM)
少量長期投与の臨床/細菌学的検討
114.
臨床分離結核菌群における M.bovis の分離頻度
外科療法
◆第一健康相談所
要望課題
要望課題
座 長
講演名・演題区分
3.
潜在結核感染症治療前後の QuantiFERONTB-2G 検査値の変動
32.
診療所における外国人結核患者への外来 DOTS カンファレンスの試み
◆東京都支部
要望課題
座 長
講演名・演題区分
167.
肺結核後遺症と肺アスペルギローマの観察
◆千葉県支部
シンポジウム
要望課題
座 長
鈴木 公典
主任研究者
下内 昭
加藤 誠也
吉山 崇
樋口 一恵
御手洗 聡
原田 登之
前田 伸司
伊藤 邦彦
土井 教生
土井 教生
原田 登之
森 亨
樋口 一恵
樋口 一恵
原田 登之
大角 晃弘
永田 容子
山内 祐子
野内 英樹
宇田川 忠
角 泰人
塚本 美鈴
星野 斉之
大森 正子
内村 和広
山田 博之
近松 絹代
水野 和重
水野 悟
星野 豊
主任研究者
吉山 崇
倉島 篤行
吉山 崇
白石 裕治
森本 耕三
上山 雅子
主任研究者
古谷 絵美奈
大川 里美
主任研究者
今村 昌耕
講演名・演題区分
主任研究者
Ⅵ. 新しい結核感染診断法の課題と展望
(第 87 回 ICD 講習会)
12.
70 歳以上の高齢者における QuantiFERON TB-2G の陽性率の検討
鈴木 公典
※施設ごとのプログラム順に記載
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予防会だより
●ハリセンボン様 事務所 訪問
5月15日,肺結核で入院中のハリセンボン箕
輪はるかさんの事務所に,本部から三宅普及課長,
事業部渡邉参事の2名でお見舞いに伺いました。
東京新宿にある,はるかさんの事務所,吉本興
業グループ様を訪ね,応対に出られた東京総務人
事サポート室林室長に,三宅普及課長から,まだ
まだ結核は過去のものではなく身近にあり忘れて
はならない病気であることを話し,お見舞い状,
三宅普及課長から林室長に
お見舞い状をお渡ししました
本部職員からの寄せ書きと,カゴ一杯のシールぼ
うやをお渡しし一日も早い回復と芸能界復帰をみ
んなで願っていることをお伝えしました。
その後はるかさんは,5月29日に都内の病院
を退院し,6月14日にテレビTBS系のバラエ
ティ番組「侍チュート!」(16日放送)の収録
で復帰されました。
本部職員からはるかさんに寄せ書きを作りました
●複十字病院 みどり保育園・職員寮 内覧会が行われた
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複十字病院で,老朽化が進んだ職員用福利厚生
施設,「みどり保育園」と職員寮「レジデンス松
山」が新しく建替えられ,6月5日に関係者を集
めての内覧会が行われました。
新しい建物は,1階が保育施設,2階,3階が
看護師など職員用の部屋(バス・トイレ及びエア
コンが標準設置)が19室完備されたものとなっ
ています。複十字病院では,看護師の募集を定期
的に行っており,希望があれば職員寮に入居する
ことも可能です。
【お問合せ先】:事務部庶務課 ℡042-491-4111
竣工された,保育園と職員寮
明るく広々とした1階の保育園
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●平成21年度資金寄付者感謝状贈呈式
並びに永年勤続職員表彰式
5月26日(火)13:00より,リーガロイヤルホテ
苗(宮城県),衣袋千枝子,伊藤孝夫,杉山和
ル東京において永年勤続表彰式が,また14:00よ
恵,斎藤正人,古川照雄(山形県),服部修作,
り総裁秋篠宮妃殿下の御臨席を賜り,資金寄付者
塚原孝,室井祥江,寅磐亮子,宇田喜恵子(福
感謝状贈呈式が行われた。
島県),石川繁,澤田宜行(茨城県),永井充
永年勤続職員には青木会長から表彰状が,また,
洋(栃木県),藤尾新吾,廣野繭子,萩原哲矢,
結核予防事業資金として多額のご寄付を下さった
酒井健(神奈川県),井上博子,帆苅恵子,中
方々に総裁から感謝状が授与された。引き続き記
村里香(新潟県),村上卓(三重県),家田健
念撮影とお茶会が行われた。
司(京都府),岩下光輝,寺坂邦広,三好由記
子,伊藤昇,阪本昇誠,川添鋭人,家門賦,加
【感謝状贈呈者(順不同,敬称略)】
納麻寿江,松本末和,渡邊眞弓,田村幸子,大
・事業資金(個人:4名)
倉あい子,山本妙子,木本寿美子,岡部文雄,
占部浩一,島尾忠男,橋本忠之,柳澤弘仁
川原香代,北川清子,中平素子,木村陽子,下
・複十字シール募金協力者(個人:4名)
田昌司,溝口泰司,信下竹子,東川美由紀,山
岩井敏,池田泰章,瀧島輝雄,吉田福子
田恵子,荒木尚美,間宮紀子(大阪府),長澤
・複十字シール募金協力者(団体:2社)
好高,平山正人,山本正文(兵庫県),西村和
アロエベラエンタープライズ,川昌
也(徳島県),安岡和美,森本美貴子(高知
県),吉武聡子,平野直美(佐賀県),西村久
【永年勤続職員表彰者(敬称略)】
美子(熊本県),佐平直美,田仲弘明,新垣盛
・30年勤続者(32名)
彦(沖縄県),土井教生,畑田美穂子(結核研
河村勝則,飯田政英(北海道),三田節子,駒
究所),吉田達也,菊地とおる,黒井和子,高
田潤一郎,加藤國雄,今野直人,太斎敏明(宮
橋聡,太田理恵子,青野昭男,青井秀樹(複十
城県),金子嘉久寿,猪瀬順,田辺弘明(栃木
字病院),井上ゆづる,
県),今村辰雄,原憲雄,金丸康夫(山梨県),
(新山手病院),品川博己(保生の森),杉木
大島広太郎(新潟県),渡辺智子(滋賀県),
則子,藏野弥生(第一健康相談所)
山和典,藏野正司
辻義則,岡佳津栄,田中奈加子,三宅真代(大
阪府),村井玲子(兵庫県),高橋智子(高知
県),稲富孝子,城村邦彦(長崎県),本田晋
也(熊本県),長友繁光(宮崎県),山下勝義,
西田和代(鹿児島県),東川上妙子(沖縄県),
宇田川忠(結核研究所),末吉洋子(新山手病
院),北谷正子(保生の森),横山春海(第一
健康相談所)
・20年勤続者(82名)
齊藤光宏,白石靖洋(北海道),神重浩,石澤
善仁,柿崎弘司,福井五月(青森県),高橋早
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トピックス
●平成20年結核発生動向調査年報集計結果(概況)
例年9月24日から始まる結核予防週間に合わせて厚労省から公表されていた標記集計結果が,今年は6月
29日に発表された。詳細は結核研究所のホームページ中「結核の統計2009」を参照してください。
・新登録結核患者数 24,760人 ・罹患率(人口10 万対の新登録患者数)19.4(対前年比0.4 減)
●平成21年度複十字シール運動担当者会議
5月19日(火),標記会議が東京国際フォーラ
ム(中央区)において23名の参加者を得て下記に
より開催された。関連記事を10ページに掲載。
プログラム
12:00受付開始
12:30-12:40 オリエンテーション
12:40-13:10 「20年度の支部活動報告」3支部×5分
鹿児島県支部・石川県支部・福岡県支部
13:20-15:20 グループ討議「支部の国際協力活動」
15:30-15:45 今年の資材紹介
15:45-17:30 全体討議
17:30-18:00 結核予防会の公益活動と複十字シール
18:00-20:00 情報交換会
●2009年世界禁煙デー記念シンポジウム
5月31日(日),標記シンポジウムは富士ソフ
ト アキバホール(千代田区)において185名の参
加者を得て開催された。関連記事を11∼13ページ
に掲載。
プログラム
13:00-13:10 開会挨拶 厚生労働大臣
13:10-13:25 報告
「政府における主なたばこ対策」
○厚生労働省健康局総務課
生活習慣病対策室たばこ対策専門官 森 淳一郎
13:25-14:15第一部 トーク
「スポーツと喫煙について」
∼サッカーを通じて感じたこと∼
○日本サッカー協会理事 中西 哲生
○フリーアナウンサー 宮本 裕子
14:30-16:30 第二部 講演セッション
(14:30-15:10)「グローバルな視点で見る日本のた
ばこ対策」
○名誉WHO西太平洋地域事務局長
尾身 茂
(15:10-15:50)「たばこ社会からの脱出」
○国立がんセンター 望月 友美子
(15:50-16:30)「地方の時代のたばこ対策」
○神奈川県知事 松沢 成文
16:30-16:40 閉会挨拶
たばこと健康問題NGO協議会会長
島尾 忠男
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●第21回結核予防会マンモグラフィ講習会
社団法人東京都放射線技師会・財団法人結核予
防会主催,特定非営利法人マンモグラフィ検診精
度管理中央委員会教育・研修委員会共催の標記講
習会が,6月5日(金)∼7日(日)の3日間にわた
り,結核研究所において50名の参加を得て,開催
された。
●「2009世界禁煙デー記念 ローター・ビンディ
ング氏講演会」
6月13日(土),標記講演会が,日本医師会大講
堂(文京区)において『ドイツの受動喫煙法に学
ぶ』をテーマに開催された。関連記事を19∼21
ページに掲載。
プログラム:
14:00-14:03 開会挨拶 たばこと健康問題NGO 協議会
会長 島尾 忠男
14:03-14:06 主催者挨拶 日本医師会会長 唐澤 祥人
14:06-14:09 来賓挨拶 厚生労働副大臣
14:09-14:12
ドイツ大使館参事官
マーティン・ポール
14:15-15:15 講演
ドイツ連邦議会議員
ローター・ビンディング
15:15-16:00 講演
ドイツがん研究所
たばこ対策部長
マルチナ・ペチュケ・ランゲル
16:10-16:40 シンポジウム:日本の取り組みについて
国会議員の動きについて
衆議院議員 小宮山 洋子
日本医師会の方針について
日本医師会 常任理事 内田 健夫
神奈川県の受動喫煙防止条例
神奈川県議会議員 関口 正俊
16:40-16:55 質疑応答
16:55-16:58 シンポジウムまとめ
結核予防会顧問 島尾 忠男
16:58-17:00 閉会挨拶 健康・体力づくり事業財団
理事長 小澤 壯六
多額のご寄付をくださった方々
(和賀診療所),岩手県予防医学
かい心療内科クリニック,松田外
<複十字シール募金>(敬称略)
協会あおぎり会
科胃 腸 科医 院, 柏原脳 神経 クリ
北海道―北海道ライナー,マルエ
千葉県―屋比久ペインクリニック
ニック,佐藤整形形成外科,丹生
ヌ野村工業,札幌呼吸器科病院, 整形外科,千葉銀行,金坂医院, 郡医師会,福井健康福祉センター,
記念塔病院,大栗新聞販売所,是
印西市役所健康管理課,千葉商科
福井環境衛生協会,福井市結核成
永道子,中垣病院,小樽病院,宮
大学付属高等学校,君津市保健福
人病予防婦人会,福井食品衛生協
田昭一,時計台鑑定,胃腸科・内
祉センター,柏戸病院,若新医院, 会,坂井市,三国土木事務所,坂
科吉田裕司クリニック,日本土木
横堀胃腸科外科,伏見製薬,日下
井農林総合事務所,あわら市,坂
工業協会北海道支部,沖井キク, 医院,千葉眼科,森医院,東山整
井地区医師会,金津高等学校,坂
北海道建設新聞社,伊藤義郎,札
形外科,今野小児科医院,都賀産
井健康福祉センター,奥越健康福
幌臨床検査センター,札幌市医師
婦人科医院,忍足小児科,遠藤医
祉センター,大野東高等学校,勝
会,伊東孝法律会計事務所,岡本
院,中川小児科医院,ほりこし内
山高等学校,大野市,大野市教育
内科クリニック,構造・デザイン
科循環器科,国保松戸市立病院, 委員会,勝山市,さつき苑,さく
設計,札幌南一条病院,さかい眼
えんぴつ公園こどもクリニック, ら 荘 , 大 日 園 , 九 頭 竜 ワ ー ク
科クリニック,鈴木寿江,佐々木
伊藤眼科医院,萩巣敏子,内田耳
ショップ,大野市医師会,勝山市
内科病院,河合新三,三王印刷, 鼻科医院,小口文郎,根本医院, 医師会,福井社会保険病院,武生
医用センターフクヤ,高瀬ビル, 九十九里ホ−ム病院,野口医院, 高等学校,池田町結核成人病予防
吉尾医院,林ミサオ,みたに胃腸
宮崎隆次,榎本整形外科医院,さ
婦人会, 江市愛育会,みどりヶ
科内科,末吉実子,白取昭,沼田
かいクリニック,東洋熱工業関東
丘病院,林病院,中村病院,JA
工務店,大平燃料店,かいせい内
支店,関東化学,江東微生物研究
たんなん, 江市医師会,信越化
科医院,北海道対がん協会,神原
所,伊藤保険センター,三光ケミ
学工業武生工場,福井村田製作所,
商事,藤根勝,酒井仁,林伸好
カルサービス,船橋市保健所,千
アイシン・エイ・ダブリュー工業,
岩手県―汀建設,高橋孝(高橋医
葉県疾病対策課,シーメンス旭メ
丹南健康福祉センター,日本原子
院),宮川慶吾,鈴木茂(鈴木内
ディテック,千葉共同印刷,東洋
力発電,日本原子力研究開発機構
科医院),田村太志(坂の上野田
器材科学,プラムシックス,中村
敦賀本部,関西電力,東洋紡績,
村太志クリニック),川嶋印刷, 瑞枝,佐野総合法律事務所,中村
敦賀ライオンズクラブ,敦賀市赤
中央臨床ビーシーエル,智徳会岩
薬局,志村昭光,藤澤武彦,鈴木
十字奉仕団,敦賀市連合婦人会,
手晴和病院,岩手県国民健康保険
公典,角南祐子,岡田雅美
JA敦賀市女性部,美浜町女性の
団体連合会,川口印刷工業,北関
福井県―松原病院,三精病院,福
会,小浜市,おおい町,高浜町,
東メディカルサービス,日新堂八
井赤十字病院,福井県済生会病院, 若狭町,嶺南振興局,小浜土木事
角病院,樋下建設,ダスキン盛岡, 福井総合病院,福仁会病院,安川
務所,若狭地区建設業協会,小浜
石川洋子,本多能久(本多医院), 病院,藤田記念病院,小林病院, ライオンズクラブ,杉田玄白記念
時田一雄(時田整形外科医院), 冨永病院,福井温泉病院,福井愛
公立小浜病院,嶺南病院,社会保
鈴木俊彦(岩手県県央保健所), 育病院,嶋田病院,光陽生協病院, 険高浜病院,小浜市医師会,谷川
岩手アライ,釜石商工会議所,岩
舟津内科・循環器科医院,吉村医
手畜産流通センター,後藤伯,岩
院,辻医院,宮崎整形外科医院, 整形形成外科医院,岩井病院,今
手銀行人事部,高弥建設,江村胃
荒川整形外科医院,本多整形外科
立中央病院,笠原病院,厚生会福
腸科内科医院,高橋司,八木橋伸
医院,眼科原医院,本多レディー
井厚生病院,福井県赤十字血液セ
之,岩手県対ガン協会,松谷裕之
スクリニック,村井内科医院,む
ンター,北陸公衆衛生研究所,
病院,恐竜博物館ダイノ会,吉村
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福井県理容美容専門学校,JA福井
元園子,フジサービス,水野正彦, 校, 香 川県 婦人 団体 連絡協 議会
市,福井県歯科医師会,福井県予
中村義明,上田英雄,伊泊大造, (坂出市),エム・アイ・ユー麻田
防医学協会,福井県栄養士会,大
プラコン,古堅ヒデ,三好秀典, 総合病院,香川県婦人団体連絡協
野市連合婦人会,越前町保健推進
山根登,古我知清,髙田善治,四
議会(善通寺市),香川県薬剤師
員会,越前市健康づくり推進員会, 方純子,満仲勇,宮原正利,平田
会,香川銀行,四国新聞社,百十
坂井市三国町婦人福祉協議会,福
隆司,島津亘・ご令室,北本スミ
四銀行,かがわ総合リハビリテー
井県食生活改善推進員連絡協議会, エ,山崎孝,藤井末子,佐野元三
ショ ン セン ター, 特 別養護 老人
福井県医師会,福井県看護協会
郎,中逵秀一,永井園子,鎌田清, ホーム弘恩苑,香川中部養護学校,
静岡県―庵原郡医師会,梅原春男, 伊東電気設備,成本勝彦,青山功, 屋島総合病院,香川日野自動車,
NBNコンサルティング,遠藤勝男, 中村資朗,甲田博和,坂口恵蔵, 香川県婦人団体連絡協議会(さぬ
大久保順夫,帰一寺,感應寺,教
南忠佳,前田商店,コーセー化粧
き市),四国学院大学・短大保健
安寺,蔵屋鳴沢,郡定寺,向後信
品販売,押谷幸雄,多田晶彦,寺
館,中讃保健福祉事務所友愛会,
正,光正寺,高林寺,コーチ,国
澤恒子,村田清三,月岡榮子,新
三菱クリーンサービス,友朋商事,
東産婦人科医院,後藤磯吉,小林
井道煥,三野哲治,平野照實,新
コニカミノルタメディカル高松営
俊憲,小原八郎,佐野電気研究所, いづもや,山川英治郎,四方朋子, 業所,高松赤十字病院,帝國製薬,
静岡浅間神社,芝田工業,成因寺, 木南康昭,田崎廣子,森垣友二郎, 丸亀市医師会,三豊総合病院,池
勝呂福太郎,菅ヶ谷純弘,静居寺, 磯田勝信,吉野孝幸,中山幸蔵, 田内科クリニック,三恵会木太三
禅叢寺,宗徳寺,大乗王院,竹内
30
菅沼孝之,赤井マリ子,橋本喜一, 宅病院,赤沢病院,琴平老人の家,
弘明,多々良新聞店,土屋貞代, 土田元浩,佐藤存,京極公雄,松
さわやか荘,高松市医師会,香川
天理教本磐分教会,洞雲寺,東海
下朱実,上田善隆,西川秋男,山
県接骨師会,阪大微生物病研究会
検診センター,洞泉寺,中島美佐
野新,西川一雄,井上紀代子,柳
観音寺研究所,吉田石油店,坂井
江, 西 琳寺 ,ニッ シン ,二 の岡
瀬日出夫,柳澤謙治,瀧定大阪支
芳男
フーズ,平井
店,弘報舘,鴨川政太郎,下岡良
福岡県―福岡県庁職員,福岡県警
,平岡工業所,平
田寺,普賢院,丸誠石材,水野矩
藏,西川昌廣・節子,久保しおり, 察職員,福岡県教育庁職員,福岡
子,八木康彦,栁原社会保険労務
柳瀬昌弘,浦田米雄
市職員,北九州市職員,いけだ内
士,山田勝平,ゆざわ,吉村正巳, 兵庫県―蓮正寺,浜崎トミ子,平
科クリニック,つくし会病院,工
龍豊院,渡辺政一
賀幹夫,友成油業,美川シガ,榎
藤耳鼻咽喉科医院,十連病院,筑
滋賀県―草津市,彦根市,野洲市, 倉香邨,吉川麗子,さかいこども
紫南ヶ丘病院,入江内科医院,弘
高島市,虎姫町,湖北町,長浜市, クリニック,湯尾弘司,上谷学園
医会福岡鳥飼病院,三裕会拾六町
米原市近江老人クラブ連合会,ア
幸幼稚園,神戸華僑幼稚園教職員
病院,杏林会金隈病院,翠会行橋
ブラサダ油定薬局,ハイメディカ
一同
記念病院,正信会水戸病院,芳英
ル秋葉台薬局,清徳寺,明楽寺
奈良県―西機恭子
会宮の陣病院,陽明会御所病院,
京都府―伊豆田貢久
香川県―香川県婦人団体連絡協議
緑風会水戸病院,松岡会松岡病院,
大阪府―和田泰彦,山本和成,降
会,香川県看護協会,伏見製薬, 松風会二日市共立病院,天神会,
籏森,竹見富夫,加納敏子,金井
香川県医師会,香川県農業協同組
箱田会箱田病院,石河定子,石橋
史,山口保彦,山本忍,出口裕久,
合,香川県予防医学協会,香川県
欣一,石蔵富士子,石田順子,飯
中島江美子,津本清次,旭大理石
総合健診協会親睦会,琴平町役場
塚市婦人会,うきは市地域婦人会,
工作所,中嶋一三,中村裕之,中
職員親和会,香川県婦人団体連絡
エス・アール,エスシーシー九州
上知子,岩本千恵,松岡隆永,小
協議会(多度津町),下笠居小学
支店,遠賀郡婦人会連絡協議会,
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大川市連合婦人会,大脇久和,加
県信用保証協会,福岡県筑紫保健
本村和子,山下智子,篠田春美,
納英実,嘉穂郡桂川町婦人会,河
福祉環境事務所,福岡県直方商工
田中榮志,井上元治,石川誓,詰
野弘道,春日市婦人会,刀根五月, 会議所,福岡県田川保健福祉環境
光弘次,関原秀弘,赤木泰昌,鵜
西南学院,九州女子高等学校,北
事務所,福岡県粕屋保健福祉環境
飼保宏,岡本経雄,落合晋,河野
九州市衛生総合連合会,木村勝美, 事務所,福岡県八女保健福祉環境
幸正,小澤一郎,小塚正巳,幸田
久留米市三潴町婦人会,久留米市
事 務所 , 福岡県 立 精神 医 療セ ン
辰雄,佐藤高明,三浦弘,須藤脩,
女性の会連絡協議会,久留米市城
ター太宰府病院,福岡市鮮魚仲卸
関長隆,武田哲夫,竹下亘,塚本
島町婦人会,久留米市田主丸町地
協同組合,福岡生命保険協会,福
久雄,西山廣一,藤井邦和,藤原
域婦人会,久留米市保健所,熊谷
元孝三郎,福津市地域婦人会,本
岩造,平田光政,松本康太郎,米
和俊,黒瀬純子,健康保険直方中
地寺,前原市役所,みやま市女性
澤ますみ,武舎辰男,渡辺勝美,
央病院,小財スチール,広真ビル
倶楽部,宮若市職員互助会,宮若
鴨下松三,阿部材木店,窪田商事,
テック,小竹町役場保健福祉課, 市婦人会,三潴郡大木町婦人会, 安岡正三,五十嵐康,稲木次之,
小林政人,さく病院,佐々木ひろ
水三島紙工九州支店,南区校区婦
岩崎吉一,植田新太郎,恵谷博,
み,佐藤安弘,山王興業,志摩町
人会,南当仁校区婦人会,美野島
太田実,加賀美彰,笠原克美,笠
役場,篠﨑社労士事務所,柴田稔, 校区婦人会,穂積会計事務所,八
原紀夫,白百合女子大学,亀山潔,
ゆうかり学園,まもる会,みつる
女市福島婦人会,柳川市地域婦人
菊岡平八郎,久木田幸穂,小林芳
会城浜保育園,糸島医師会,糸島
会連絡協議会,ヒラシマ,一律電
郎,高村正彦,齋藤英子,坂口昇,
歯科医師会,宗像歯科医師会,宗
機,吉浦事務所,吉住正子,陽明
篠塚昭次,渋谷修,島林樹,白石
像薬剤師会,直方鞍手医師会,直
会小波瀬病院
章夫,須田清,鈴木史郎,鈴木武
方鞍手薬剤師会,直方歯科医師会, 大分県―大分県理学療法士会,く
志,高島倫子,谷川寛三,築尾晃
福岡県医師会,福岡県歯科医師会, ぼたクリニック,古長正次,三和
治,豊嶋庸輔,戸田満弘,奈良昌
福岡市医師会,北九州市歯科医師
印刷出版,大分県立三重病院,大
治,長尾立子,二宮忠,新谷義和,
会,重松外海,島松循環器内科ク
分県立病院,カイイイン,コニカ
長谷川恭子,鳩山由紀夫,牧野ア
リニック,浄土真宗本願寺派光林
ミノルタヘルスケア,やない内科
ツ,増井潔,町田英一,宮村智,
寺,鈴木統久,高比良昌一,太宰
クリニック,井上科学工業,岩男
虫明孝義,山持巌,山下博譽,山
府市婦人会,千代男女共同参画協
病院,牛島
田健二,山田芳和,山本隆幸,横
議会,筑後市連合婦人会,筑紫野
外科病院,御手洗俊三,光金属工
尾与蔵,渡辺竹三郎,大場永子,
市総合保健福祉センター,筑紫野
業,上尾皮膚科,織部リウマチ科
牛山節子,羽入直方,水津唯男,
市地域婦人会,筑前町役場,津田
内科クリニック,大分県栄養師会, 堀越ちさこ,三沢時江,桑原登志
一郎,五反田胃腸科
商事,中間市婦人会,中山幸一, 大分県東部保健所,大分市アルメ
男,小林典子,武立啓子,岡村孝
那珂川町婦人会,西鉄エム・テッ
イダ病院,大分内科クリニック, 男,神尾友和,山口徹,垣添忠生,
ク那の津工場,西日本プラント工
中浦宏幸,中津第一病院,仲宗根
豊田元,田上惠,町田武久,清水
業,西方寺,二丈町役場,原医院, 病院,藤島第一病院,野中医院
勝,河上牧夫,高山直秀,吉良枝
林法生,久野循環器科内科医院, 本部―濱田博,百瀬雄次,堀内恵
郎,所敬,杉本恒明,中西尭朗,
深江保子,富士フイルムメディカ
美子,本田稔,本多友彦,水野文
馬場元毅,馬越文男,高柳正夫,
ル,扶桑薬品工業福岡支店,福岡
雄,山本達雄,吉永小百合,渡里
佐藤信英,五十嵐一眞,坂口正道,
県鞍手保健福祉環境事務所,福岡
杉一郎,坂東玉三郎,田中和子, 横内正利,中島雅之輔
県遠賀保健福祉環境事務所,福岡
中根千枝,中島誠,秋山貴志子,
県京築保健福祉環境事務所,福岡
及川芳美,岸那智子,鎌田昭次,
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AC広告にビートたけし氏!
平成21年度ACジャパン支援キャンペーンとして,7月1日から内容一新で,テレビ・ラジオ・新聞・ポスターの4媒体
により展開されます。
ポスターには,昨年11月からストップ結核大使に就任していただいたビートたけし氏が登場します。抜群の知名度とキャラ
クターで,まだまだなくならない結核を現代病として一般の方々に知っていただくため,今後車内広告など様々なところに
登場していきます。7月1日からはテレビCM,インタビュー映像を当会ホームページからもご覧いただけます。
なおビートたけし氏にはボランティアでご協力いただきました。
結核予防会HPアドレス《http://www.jatahq.org》
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切手解説
今回は,結核に悩んだ医師と結核の研究,治療に功績のあった医師を紹介します。
①のジローラモ・フラカストロ(Girolamo Fracastoro ,1478年−1553年)は,16世紀のイタリアの科学者です。特に伝染の本性を明らかにし,
その根源は目に見えないほどの小さな生物(セミナリア)であると主張しました。
②左側のパウル・エールリヒ(Paul Ehrlich, 1854年−1915年)はドイツの細菌学者です。1882年のコッホの結核菌の発見に大きな感動を受け,
結核菌の染色法をコッホより少ない時間で鮮明な方法を示しました。自分の健康状態から自分の痰をとり,自分の方法で染色,鏡検したところ結
核菌が陽性だったので,エジプトで転地療養しました。すっかり回復した後,ベルリンに戻り,伝染病研究所で患者のために病原体を殺すかその
発育を止める薬を研究し,これを「化学療法」といいました。右側のエミール・ベーリング(Emil Behring,1854年−1917年)は,結核に関係した医
師ではありませんが,伝染病研究所でエールリヒとともに血毒素と抗毒素の研究をし,生誕100年記念の切手が発行されました。
③のニールス・フィンゼン(Niels Ryberg Finsen, 1860年−1904年) .は,デンマークの内科医です。世界で初めて紫外線を多量に発生する器械
を,皮膚結核を治療するために考案しました。当時のデンマークでは狼瘡と呼ばれる皮膚結核の患者が多く,紫外線療法の効果が実証されたの
で,1903年ノーベル賞が授与されました。受賞記念の切手の中央がフィンゼンです。④の切手は,生誕100年の記念切手です。
⑤のラエンネク(René-Théophile-Hyacinthe Laennec,1781年−1826年)は,フランスの医者です。彼は1816年に聴診器を発明しました。⑥の
切手に登場するコルヴィサール医師に師事し,打診法を広めました。もともと結核の家系に生まれ18歳で発病し,その後も結核に苦しみました。
45歳でその生涯を終えるとき「こんな悲惨な苦しみを,人々に受けさせたくない」といって昏睡状態に陥ったと伝えられています。
⑥のジャン・コルヴィサール(Corvisart,1755年−1821年)は,オーストリアのレオポルド・アウエンブルガーが,父親がビヤ樽を叩いて中身
を調べていることからヒントを得て開発した打診に関する著書をコルヴィサールが1808年に発見し,フランス語に翻訳し,実際に応用しました。
⑦アルブレヒト・フォン・グレーフェ(Friedrich Wilhelm Ernst Albrecht von Graefe,1828年−1870年)は,ドイツの眼科医です。22歳のとき,
ベルリンで開業医となり,多くの人を治療する傍ら,眼や神経の分野で多くの発見を行いました。30歳で喀血し,冬にはニースで療養したが,そ
の後妻や息子を亡くし,42歳で生涯を終えました。この切手は5月22日のグレーフェの誕生日に生誕150年を記念して発行されています。
⑧のフォルラニーニ(Carlo Forlanini,1847年−1918年)は,イタリアの医者です。肺結核の治療法の一つとして,肋膜腔内に空気を送って肺
を虚脱させる肺結核の治療法,人工気胸を1882年に始めて行いました。この治療法はその後抗結核薬の進歩によって行われなくなりました。
平成21年7月15日 発行
複十字 2009年328号
編集兼発行人 山下 武子
発行所 財団法人結核予防会
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7/2009 複十字 No.328
● 切手にみる結核 11.結核に悩んだ医師たち
岡西雅子様から貴重な切手のご紹介は11回目となり,今回は医師を集めてみました。
①イタリア・1955年
②ドイツ・1954年
③スウェーデン・1963年
④デンマーク・1960年
⑤フランス・1952年
⑥フランス・1964年
⑦西ドイツ・1978年
⑧ベルギー・1953年
*切手の下には,発行地域と発行年を記載しています