デジタルサイネージシステム・モバイル連携 検討レポート

Digital Signage Consortium
デジタルサイネージコンソーシアム
システム部会
デジタルサイネージシステム・モバイル連携
検討レポート
未来のデジタルサイネージシステム実現に向けて
2011 年 3 月 31 日 1.0 版
Digital Signage Consortium
デジタルサイネージコンソーシアム システム部会参加企業一覧
株式会社 IMAGICA イメージワークス
株式会社 JAMMU
KDDI 株式会社
NEC ディスプレイソリューションズ株式会社
株式会社 NEXX
NTT アイティ株式会社
NTT コミュニケーションズ株式会社
株式会社 NTT ドコモ
株式会社アサツー ディ・ケイ
株式会社イエロー
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
インテル株式会社
沖電気工業株式会社
オリンパス株式会社
株式会社きもと
株式会社協和エクシオ
彩ネットアド株式会社
三洋電機株式会社
シスコシステムズ合同会社
株式会社シネックス
シャープ株式会社
シャープシステムプロダクト株式会社
セイコーエプソン株式会社
ソニー株式会社
大日本印刷株式会社
大日本スクリーン製造株式会社
中部テレコミュニケーション株式会社
デルタ電子株式会社
日本 SGI 株式会社
日本カーライフアシスト株式会社
日本サムスン株式会社
日本電信電話株式会社
株式会社ネクストウェーブ
株式会社博報堂 DY メディアパートナーズ
パナソニック株式会社
株式会社日立製作所
ピーディーシー株式会社
富士通株式会社
富士通テレコムネットワークス株式会社
富士フイルムイメージテック株式会社
ブラザー工業株式会社
三菱電機株式会社
株式会社メディアコンテンツファクトリー
ヤマハ株式会社
菱洋エレクトロ株式会社
デジタルサイネージコンソーシアム事務局
Digital Signage Consortium
目
次
1 はじめに............................................................................................................................... 1
1.1 デジタルサイネージコンソーシアム ........................................................................... 1
1.2 システム部会 ............................................................................................................... 1
1.3 本書の目的 ................................................................................................................... 2
2 本検討レポートの検討プロセス .......................................................................................... 3
2.1 検討レポート作成の経緯 ............................................................................................. 3
2.2 検討レポート作成の検討プロセス............................................................................... 4
3 未来のデジタルサイネージシステムとモバイル連携 .................................................................... 6
3.1 現在のデジタルサイネージシステム ........................................................................... 6
3.2 未来のデジタルサイネージシステム・モバイル連携 ............................................... 13
4 利用シーン別モバイル連携機能 ........................................................................................ 20
4.1 概要 ............................................................................................................................ 20
4.2 交通情報提供 ............................................................................................................. 23
4.3 災害時 ........................................................................................................................ 25
4.4 街頭案内 ..................................................................................................................... 27
4.5 テーブルサイネージ .................................................................................................. 29
4.6 バーチャルサイネージショップ ................................................................................ 31
4.7 店舗内サイネージ ...................................................................................................... 33
4.8 クーポンゲート .......................................................................................................... 35
4.9 自動販売機 ................................................................................................................. 37
4.10 利用シーン別モバイル連携機能のまとめ............................................................... 39
5 モバイル連携機能とインターフェース ............................................................................. 40
5.1 概要 ............................................................................................................................ 40
5.2 音声認識インターフェース........................................................................................ 42
5.3 属性認識インターフェース........................................................................................ 44
5.4 動作認識インターフェース........................................................................................ 46
5.5 近接無線通信インターフェース ................................................................................ 47
5.6 スピーカーインターフェース .................................................................................... 49
5.7 データ出力インターフェース .................................................................................... 50
6 まとめ ................................................................................................................................ 51
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1 はじめに
デジタルサイネージコンソーシアム(以下 DSC) システム部会は、2010 年度の活動としてデジ
タルサイネージシステムとモバイル端末の連携機能について検討した。本書は、その検討結果を検討
レポートとしてまとめたものである。
デジタルサイネージは、テレビ、パソコン、モバイル端末に次ぐ第 4 のメディアとして今後ますま
す発展が期待される分野である。
デジタルサイネージの有効性に注目し、デジタルサイネージの利用を検討している広告関連業界や
店舗、その他システム開発業界の方々に対して、導入システムが地域の環境に適合した最適なシステ
ムとなるように、本検討レポートをシステム構築の参考にすることを、希望するものである。
1.1 デジタルサイネージコンソーシアム
DSC はデジタルサイネージを産業として成立させその可能性を拡大するため、2007 年 6 月に
発足した。DSC は勉強会や各部会の活発な活動を行い、デジタルサイネージのさらなる普及、発
展を目指して努力している。
デジタルサイネージは広告メディアとして多くのメリットがあり、DSC はデジタルサイネージ
の将来の発展可能性を見据えて、明るい展望を描くことに力を入れている。
1.2 システム部会
DSC システム部会は、様々な勉強会やドキュメント執筆活動を通じ、デジタルサイネージシス
テム導入を検討されている方々に対して、システム面、技術面からの支援を行うものである。
導入されたデジタルサイネージシステムが、コストパフォーマンスに優れ、効率よく機能し、
またトラブルを起こすことなく運用されるようなシステムと成るべく、技術的ガイドライン等の
作成を行っている。
1 .2 .1 システム部会の 2009 年度活動
2009 年度は、2008 年度に発行した「デジタルサイネージ 標準システムガイドライン」の考
え方をさらに発展させ、デジタルサイネージシステム全体を俯瞰できる「デジタルサイネージシ
ステム ガイドブック」を発行した。「デジタルサイネージシステム ガイドブック」は、デジ
タルサイネージシステムを概観すると共に、デジタルサイネージシステム分野で使われる言葉の
定義を整理することを目的とし、システムと利用方法、設置ロケーションや使用コンテンツを幅
広く理解できるように配慮した。
さらに、未来のデジタルサイネージシステムをイメージしたムービー(フラッシュアニメーシ
ョン)を制作し、デジタルサイネージシステムの導入を検討している方々に対して、未来のデジ
タルサイネージシステムの具体的な利用シーンを提供した。
1
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1 .2 .2 システム部会の 2010 年度活動
2010 年度は、未来のデジタルサイネージシステムとモバイル端末との連携を想定し、その連携
機能について検討した。また、検討結果をまとめ「デジタルサイネージシステム・モバイル連携
検討レポート(未来のデジタルサイネージシステム実現に向けて)」にまとめた。
1.3 本書の目的
本書は、デジタルサイネージを広告や事業の発展に利用しようとしている方々や、デジタルサ
イネージシステムの開発を行っている方々に向けた、DSC システム部会からのメッセージである。
本書は、未来のデジタルサイネージシステムとモバイル端末との連携機能についての、あるべ
き姿をまとめたものである。本書を参考にしてデジタルサイネージシステムの連携機能を開発す
ることで、開発検討時間を軽減し、さらに開発したシステムの品質を向上し、また運用しやすい
システムとすることが可能になる。
デジタルサイネージシステムを事業に利用する事業者および開発者が、デジタルサイネージシ
ステムを開発するに当たっては、本書を参考にして、デジタルサイネージシステムとモバイル端
末との連携機能を開発されることを希望する。
2
Digital Signage Consortium
2 本検討レポートの検討プロセス
デジタルサイネージシステム・モバイル連携検討レポートを作成するに当たり、本検討レポートを
作成するに至った経緯と、検討レポート作成のための検討プロセスを記す。
2.1 検討レポート作成の経緯
DSC は、デジタルサイネージがテレビ、パソコン、モバイル端末に次ぐ第 4 のメディアとして
認知されると共に、今後ますます産業として発展するべく、様々な努力をしている。
DSC システム部会はこれに対応し、技術面からデジタルサイネージシステムのサポートを行う
ものであるが、昨年度システム部会としてデジタルサイネージ発展のために何をなすべきかを模
索した結果、デジタルサイネージシステムを事業に利用しようとしている方々に対し、未来のデ
ジタルサイネージシステムの姿を具体的にイメージできるようにすることが有効である、との結
論を得た。それに基づき、システム部会の中で未来のデジタルサイネージシステムのあるべき姿
を検討し、さらに未来のデジタルサイネージシステムムービーを制作した。
未来のデジタルサイネージシステムムービーによれば、未来のデジタルサイネージシステム実
現のポイントは、デジタルサイネージシステムとモバイル端末との連携の多様化にあることが理
解できる。すなわち、デジタルサイネージシステムと様々なモバイル端末を有機的に結合するこ
とで、効果的なデジタルサイネージシステムとなるものである。
この結果を受けて、今年度はデジタルサイネージシステムとモバイル端末との連携のありかた
を検討することとした。
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2.2 検討レポート作成の検討プロセス
本検討レポートを作成するため、以下のプロセスに従い検討を行った。
また検討に先立ち、現在のデジタルサイネージシステムと未来のデジタルサイネージシステ
ム・モバイル連携を調べ、検討の参考とすることとした。これら現在・未来のデジタルサイネー
ジシステムから、未来のデジタルサイネージシステム実現にとって新たに必要となるモバイル端
末を検討し、さらにデジタルサイネージシステムとモバイル端末とのインターフェースを検討す
ることとした。
検討を行うに際しては、結論に至る道筋を整理するため、以下のように 3 つの段階に分けて検
討を行う。
Step1 シーンの策定
Step2 シーンの策定
Step3 シーンの策定
利用シーンの整理
技術の整理
インターフェースの整理
Step1シーンの策定
利用シーンの整理
Step2シーンの策定
技術の整理
Step3シーンの策定
インターフェースの整理
図 2 .2-1 検討レポート作成の検討プロセス図
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(1) Step1 シーンの策定
未来のデジタルサイネージシステムから浮かぶ利用シーンを整理し、表にまとめる。また同
じくそのシーンにおいて、デジタルサイネージシステムと利用者の間でやり取りされると予想
される機能(情報の入出力手段)を整理する。
(2) Step2 シーンの策定
Step1 で求めたデジタルサイネージシステムと利用者の間でやり取りされる機能(情報の入
出力手段)に対し、求められる技術(要求機能)を整理する。
(3) Step3 シーンの策定
Step1 で求めた機能(情報の入出力手段)と、Step2 で求めた技術(要求機能)を実現する
ため、それぞれのインターフェースを整理する。
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3
未来のデジタルサイネージシステムとモバイル連携
昨年度制作した未来のデジタルサイネージシステムのイメージの内容を実現するためには、デジタ
ルサイネージシステムと様々なモバイル端末との連携を行うことが必要である。
未来のデジタルサイネージシステムで新たに必要となるモバイル端末を求めるために、現在のデジ
タルサイネージシステム、および未来のデジタルサイネージシステム・モバイル連携から主なシーン
を選択して以下に示し、検討の参考とする。
3.1 現在のデジタルサイネージシステム
3 .1 .1 現在のデジタルサイネージシステムの事例
現在のデジタルサイネージシステムの事例から主な事例を選択し、以下に示す。
(1) トレインチャンネル
「トレインチャンネル」とは【JR 東
日本(9020)】が山手線の車両などに設け
た液晶パネルで流す、情報動画テレビで
ある。車両ドアの上面に二つの液晶モニ
タが設置してあり、右側には現在の駅や
路線の様子、左側にはニュースや天気予
報、広告が展開される。英会話コンテン
ツや乗換案内などの移動支援ツール、求
人広告、海外旅行パック、企業内で働く
人向けの広告、その他万人受けしやすい
ゲームソフトの広告などが流れている。
いずれもビジネスマンや学生など、「ト
レインチャンネル」を放映する電車を利
用することが多い層向けのものである。
出典:デジタルサイネージコンソーシアム HP
図 3 .1-1 現在のデジタルサイネージシステムの事例(トレインチャンネル)
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(2) 電子カタログアプリ
株式会社ねこじゃらしは、店舗内で利
用する iPad 向けソリューション「電子
カタログアプリ」を開発。第一弾として、
英国発のアパレルブランド FRED
PERRY 原宿店に導入した。また、カタ
ログが閲覧できるアプリケーションも同
時に納入し、店頭にて iPad によるデジ
タルカタログが体感できるようになった。
電子カタログアプリは、iPad 端末を店
舗内のデジタルサイネージとして利用す
るためのソリューションサービス。店舗
側が保有するカタログデータを、スライ
ド形式や電子ブック形式、商品一覧から
の詳細表示形式など店舗の要望に沿った
形でアプリ化する。
出典:デジタルサイネージコンソーシアム HP
図 3 .1-2 現在のデジタルサイネージシステムの事例(電子カタログアプリ)
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(3) アクティビジョン(TM)
デジタルコンテンツを表示する 46 イン
チのタッチパネル式液晶ディスプレイとお
サイフケータイ用リーダーライターを標準
搭載している。生活者は、画面にタッチし
て情報を検索・閲覧できるほか、携帯電話
をリーダーライターにかざして必要な情報
やクーポンなどを保存することができる。
プリンターを追加すれば、クーポン券など
を出力することもできる。例えば、駅に設
置する場合、ディスプレイに駅構内の案内
や駅ビルの店舗情報を表示するほか、各店
舗のクーポンや地図を携帯電話または紙で
提供することができる。
出典:デジタルサイネージコンソーシアム HP
図 3 .1-3 現在のデジタルサイネージシステムの事例(アクティビジョン(TM))
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(4) 東京メディア
ローソン店舗内の、店外から見
やすい位置に 46 インチ高輝度ディ
スプレイを横並びに 2 面と FeliCa
リーダー/ライター、スピーカー
を設置したデジタルサイネージで
ある。ディスプレイでは他社の広
告や店舗のキャンペーン情報など、
時間帯に合わせたコンテンツ配信
やエリアに合わせたイベント情報
が表示される。FeliCa リーダー/
ライターにガラス越しに携帯電話
を当てると、東京メディアの携帯
サイトの URL が送られ、キャンペ
ーン情報などをダウンロードでき
るようになっている。今後、クー
ポン情報はメールで送信し、ユー
ザーは来店して実際のクーポンを
受け取るなど、サイネージに外か
ら客を呼び込む仕掛けも取り入れ
ていく予定。
出典:デジタルサイネージコンソーシアム HP
図 3 .1-4 現在のデジタルサイネージシステムの事例(東京メディア)
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(5) マーケティング頭脳”持った WiMAX 対応デジタルサイネージ自販機
WiMAX 通 信 モ ジ ュ ー ル を 搭 載
マーケティング頭脳" 持った WiMAX 対応
し、顧客属性などのマーケティン
デジタルサイネージ自販機
グデータを蓄積できる自販機が品
川 駅 に登 場 した 。 自販機 は 47 イ
ンチの大型タッチパネルディスプ
レイを備え、細かい商品情報が見
られるなどタッチパネルディスプ
レイならではの表現を実現。
ま た 、 専 用 サ ー バ と Wi M A X 網
によるデジタルサイネージのネッ
トワークを構築し、気温、時間帯、
環境に応じたコンテンツを配信す
る。遠隔操作による災害時の飲料
の無料提供にも対応した。高度な
マーケティング機能も特徴の 1 つ。
本体上部にある顧客属性判定用セ
ンサーで利用者の年齢や性別を推
測し、属性に合ったお勧め商品を
表示する。
顧 客属性や POS データ を自販
機から取得し、今後おすすめの精
度を上げていく。
出典:デジタルサイネージコンソーシアム HP
図 3 .1-5 現在のデジタルサイネージシステムの事例
(マーケティング頭脳“持った WiMAX 対応デジタルサイネージ自販機)
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(6) SALUS VISION
「 S A L U S V I SI ON 」 は 、 東 急 沿 線 生 活 者 の 方
に“上質”をキーワードとした“東急沿線の魅力”を
お 届 け す る 東 急 沿 線 ス タ イ ル マ ガ ジ ン
「 SALUS」 のラ ックに 設 置さ れた ビジ ョ ンで あ
る。
ディスプレイの下には FeliCa リーダー/ライ
ター、スピーカーを装備し、サイネージ×モバイ
ル×活字メディアを連動させた広告展開が可能で
ある。
ディスプレイでは広告を中心に放映され、時間
帯に合わせたコンテンツ配信やエリアに合わせた
情報の表示も可能である。
FeliCa リーダー/ライターに携帯電話を当て
ると、スポンサーの携帯サイトの URL が送られ、
キャンペーン情報などにアクセスできるようにな
っている。
出典:デジタルサイネージコンソーシアム HP
図 3 .1-6 現在のデジタルサイネージシステムの事例(SALUS VISION)
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3 .1 .2 現在のデジタルサイネージシステムのまとめ
以上の事例から、主として現在のデジタルサイネージシステムに使用されている入出力装置を、
以下の図に整理する。
入出力端末装置
ディスプレイ
・画面表示
・画面タッチ
スピーカー
・音声
・音楽
・タッチ音
プリンター
デジタル
サイネージ
システム
・クーポン
画像センサー
・顧客属性
モバイル端末
・画面表示
・情報検索・閲覧
・キャンペーン情報
・URL
・クーポン
・画面タッチ
・IC 情報(FeliCa 等)
図 3 .1-7 事例から見る現状デジタルサイネージシステムの入出力装置
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3.2 未来のデジタルサイネージシステム・モバイル連携
3 .2 .1 未来のデジタルサイネージシステム利用シーンのイメージ
昨年度制作した未来のデジタルサイネージシステムムービーの中から、デジタルサイネージシ
ステムの利用者がこのようなことができると便利だと感じそうなシーンや、喜びそうなシーンを
選択する。
(1) パーソナルリコメンド表示
・買い物をするため、店舗に来る
・店舗入口でモバイル端末と連携して個人を認識し、その人向けのお勧め商品を表示する
図 3 .2-1 未来のデジタルサイネージシステム利用シーン(パーソナルリコメンド表示)
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(2) 災害緊急情報提供サービス
・仕事の打ち合わせを行うため、町を歩いている
・地震等災害が発生したとき、街頭のデジタルサイネージシステムが、災害情報を表示する
・モバイル端末に行き先を登録している場合、登録した行き先の災害状況や交通状況等を表
示する
図 3 .2-2 未来のデジタルサイネージシステム利用シーン(災害緊急情報提供サービス)
(3) 運行情報提供サービス
・バス停でバスを待っている
・車両故障や交通事故により交通機関に遅延が生じた場合に、デジタルサイネージシステム
が運行状況を表示する
・デジタルサイネージシステムとモバイル端末とで連携を取ることで、詳細な状況や迂回ル
ートを知ることができる
図 3 .2-3 未来のデジタルサイネージシステム利用シーン(運行情報提供サービス)
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(4) おすすめメニュー表示
・レストランでメニューを選択している
・テーブルをデジタルサイネージシステム表示機として、メニューを表示している
・ダイエット中のデータを登録したモバイル端末をテーブルに置いておくことで、テーブル
に低カロリーメニューを表示する
・テーブルに表示されているメニューをタッチすると、注文が行われる
図 3 .2-4 未来のデジタルサイネージシステム利用シーン(おすすめメニュー表示)
(5) パーソナル広告
・テーブル上にモバイル端末を置き、食事が運ばれてくるまでの間に、テーブルに表示され
た個人向けの広告を見る
・モニタ画面は、周囲の人には見えないように工夫されている
図 3 .2-5 未来のデジタルサイネージシステム利用シーン(パーソナル広告)
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(6) オンラインショッピング
・テーブル上にモバイル端末を置いて、食事が運ばれてくるまでの間にテーブル上に表示さ
れた個人向けの広告を見る
・表示されている商品の中から気に入ったものを、画面タッチして購入する
図 3 .2-6 未来のデジタルサイネージシステム利用シーン(オンラインショッピング)
(7) モバイル端末連携型 360 度円周ディスプレイ
①その 1
・初めての土地へ観光に来た
・モバイル端末連携型 360 度円周ディスプレイを用いたデジタルサイネージシステムで、観
光案内を見る
図 3 .2-7 未来のデジタルサイネージシステム利用シーン
(モバイル端末連携型 360 度円周ディスプレイ)
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②その 2
・360 度円周ディスプレイのデジタルサイネージシステムで、行きたい場所を探す
図 3 .2-8 未来のデジタルサイネージシステム利用シーン
(モバイル端末連携型 360 度円周ディスプレイ)
③その 3
・行きたい場所を見つけたら、デジタルサイネージシステムにモバイル端末をかざして振る
ことで、モバイル端末に観光情報を得ることができる
図 3 .2-9 未来のデジタルサイネージシステム利用シーン
(モバイル端末連携型 360 度円周ディスプレイ)
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(8) 会話認識型デジタルサイネージシステム
・観光目的地に着き、デジタルサイネージシステムに仏像の由来を聞いている
・デジタルサイネージシステムは観光客からの問いかけに対し、言語種別を認識し母国語で
の解説を行う
※本システムはモバイル連携ではないが、参考として記載する
図 3 .2-10 未来のデジタルサイネージシステム利用シーン(会話認識型デジタルサイネージ)
(9) AR(Augmented Reality)のれんディスプレイシステム
・店の前を通ると、自分たちの洋服姿が着物姿になってのれんに映っている
※本システムはモバイル連携ではないが、参考として記載する
図 3 .2-11 未来のデジタルサイネージシステム利用シーン(AR のれんディスプレイシステム)
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3 .2 .2 未来のデジタルサイネージシステム利用シーンのまとめ
デジタルサイネージシステムの各利用シーンを考察すると、多様なモバイル端末がデジタルサ
イネージシステムと連携することでデジタルサイネージシステムの機能が大きく向上し、結果と
して利用者の利便性も向上していることが分かる。
デジタルサイネージシステムの機能を向上させるモバイル連携機能として、どの様な機能が有
効であるのか、またこれらモバイル端末とのインターフェースはどの様にするべきなのかを、次
章以降で検討、整理する。
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4 利用シーン別モバイル連携機能
4.1 概要
検討プロセスに従い、未来のデジタルサイネージシステムにおける利用シーンを想定し、想定
した各シーンにおいて、デジタルサイネージシステムと利用者の間でやり取りされると想定され
る機能(情報の入出力手段)を検討して、さらにその中から必要と思われる機能(情報の入出力
手段)を整理する。
4 .1 .1 利用シーンの選定
デジタルサイネージシステムの近くに居合わせた人が、デジタルサイネージシステムを利用す
ることで、何ができたら嬉しいのか、何ができたら便利なのか、という視点で検討し整理する。
上記を踏まえ、検討対象のデジタルサイネージシステム利用シーンを選定する。選定の対象と
して、3 章の未来のデジタルサイネージシステムイメージから、利便性が高く実現することで利
用者が喜ぶことが予想されるシーンを選定する。また、未来のデジタルサイネージシステムムー
ビーの様々なシーンから、さらにそこから展開されるであろう次のシーンを想定し、その中から
利便性の高いと思われるシーンを選定する。
(1) 未来のデジタルサイネージシステムイメージから選定
3 章の未来のデジタルサイネージシステムイメージから、利便性が高く実現することで利用
者が喜ぶことが予想されるシーンを選定する。選定したシーンを以下に示す。
・交通情報提供
・災害時
・街頭案内
・テーブルサイネージ
(2) 未来のデジタルサイネージシステムムービーから展開したシーンを選定
デジタルサイネージシステムムービーの様々なシーンから、さらにそこから展開されるであ
ろう次のシーンを想定し、その中から利便性の高いと思われるシーンを選定する。選定したシ
ーンを以下に示す。
・バーチャルサイネージショップ
・店舗内サイネージ
・クーポンゲート
・自動販売機
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Digital Signage Consortium
4 .1 .2 連携機能(情報の入出力手段)
利用シーンに必要な連携機能(情報の入出力手段)には、様々な機能が考えられる。未来のデ
ジタルサイネージシステムの連携機能として、便利であろうと想定される機能を以下に示す。ま
たそれら機能について次項以降に示す各シーンごとに検討を行い、各機能について個々に要/不
要の整理を行う。
(1) 入力機能(情報の入力手段)
①音声による入力
・音声認識
音によるコマンドや言語を認識する。
・音響通信
音響信号を使ってモバイル端末の情報を伝達する。
②画像による入力
・ジェスチャー認識
画像から人の動きや手の動きを認識する。
・属性認識
画像から物品や人の服装、性別、表情等の属性を認識する。
・光学タグ認識
QR コードやバーコード等の光学タグを認識する。
・文字認識
文字を認識する。
③ユーザ操作による入力
・操作認識
タッチパネル、ボタン等でユーザの操作を認識する。
・動作認識
加速度センサー等を用いて動作(傾きや動き(振動・衝撃)等)を認識する。3D マウ
ス。
④その他通信手段による入力
・近接無線通信
RFID や IC カード、モバイル端末(おサイフケータイ等)の情報を近接無線通信手段
で伝達する。
・無線通信
Bluetooth、Wi-Fi 等の無線通信手段を使ってモバイル端末の情報を伝達する。
・光通信
赤外リモコン等、光学的な通信手段によりモバイル端末の情報を伝達する。
(2) 出力機能(情報の出力手段)
・ディスプレイ(デジタルサイネージシステム、モバイル端末)
デジタルサイネージシステムからの情報を表示する。
・スピーカー
デジタルサイネージシステムからの音声を出力する。
・紙
印字等の出力を行う。
・データ
文字列の出力を行う。
・その他
光、水、におい(香り)、振動等で、誘導等を行う。
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4 .1 .3 本章の検討の流れ
本章の検討の流れを以下に示す。
本章の検討
昨年度
未来のデジタル
サイネージシス
テムムービー
抽出
「3.2 章 未来
のデジタルサイ
ネージシステム
のイメージ」
①利用シーン
選定
・交通情報提供
・災害時
・街頭案内
・テーブルサイネージ
検討
②利用シーン
・バーチャルサイネ
ージショップ
・店舗内サイネージ
・クーポンゲート
・自動販売機
様々なシーンから展開
図 4 .1-1 本章の検討の流れ
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利用シーンに
於ける
必要機能
(情報の
入出力手段)
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4.2 交通情報提供
(1) 本シーンの概要
車両故障や交通事故により交通機関に遅延が生じた場合に、デジタルサイネージシステムが
運行状況を表示する。
デジタルサイネージシステムとモバイル端末とで連携を取ることで、詳細な状況や迂回ルー
トを知ることができる。
図 4 .2-1 交通情報提供シーン
(2) 本シーンで想定されるユーザメリット
電車に乗り換える前に交通情報が分かることで、時間の効率化を図ることができる。
(3) 本シーンでのコンテンツ
その人の行き先の交通情報を提示すると共に、遅延の場合に案内を行う。
(4) 必要機能(情報の入出力手段)の検討内容
①有った方がよいと思われる入力の検討
・GPS
・音声認識
・Bluetooth
・3D マウス
・RFID
・ジェスチャー
・画像認識(顔認識)
・加速度センサー
・IC カード
・音響通信
・言語認識
・QR コード、バーコードは△(古いので)
※文中の◎、△は以下による(以下同様)
◎:非常に良く利用する
△:利用頻度は低いが有れば利用する
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②有った方がよいと思われる出力の検討
・ディスプレイ
・スピーカー
・データ
・紙は△
※光は不要(次の点滅しているデジタルサイネージシステムを曲がってくださいというの
は、あって良い)
(5) 必要機能(情報の入出力手段)の検討結果
①入力機能
・音声認識
・音響通信
・属性認識
・動作認識
・近接無線通信
②出力機能
・ディスプレイ(デジタルサイネージシステム・モバイル端末)
・スピーカー
・紙
・データ
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4.3 災害時
(1) 本シーンの概要
災害発生時に、街頭のデジ
タルサイネージシステムが、
災害情報を表示する。
また、モバイル端末等に行
き先を登録すると、近くのデ
ジタルサイネージシステムが、
登録した行き先の災害状況や
交通状況を表示する。
図 4 .3-1 災害時シーン
(2) 本シーンで想定されるユーザメリット
事故防止および時間の効率化等を図ることができる。
(3) 本シーンでのコンテンツ
自分の行き先の災害情報を提示すると共に、通行止め等の場合に案内を行う。
(4) 必要機能(情報の入出力手段)の検討内容
①有った方がよいと思われる入力の検討
・GPS
・音声認識
・Bluetooth
・3D マウス
・RFID
・ジェスチャー
・画像認識(顔認識)
・加速度センサー
・IC カード
・音響通信
・言語認識
・QR コード、バーコードは△(古いので)
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② 有った方がよいと思われる出力の検討
・ディスプレイ
・スピーカー
・データ
※紙、光は不要(次の点滅しているデジタルサイネージシステムを曲がってくださいとい
うのは、あって良い)
③その他の機能
・利用者のいる場所が緊急事態になった場合に、モバイル端末等が電池切れであったり通
信がパンクしてしまった時でも、デジタルサイネージシステムには放送で確実に配信さ
れるシステムが望ましい
・IC カード付き免許証の場合は、デジタルサイネージシステムに免許証をかざすことで自
分の安全を発信することができる
・モバイル端末の充電ステーションが有ると良い
(5) 必要機能(情報の入出力手段)の検討結果
①入力機能
・音声認識
・音響通信
・属性認識
・近接無線通信
②出力機能
・ディスプレイ(デジタルサイネージシステム・モバイル端末)
・スピーカー(◎)
・光
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4.4 街頭案内
(1) 本シーンの概要
不案内の土地へ観光に来て、モバイル端末連携型 360 度円周ディスプレイを用いたデジタル
サイネージシステムで、観光案内を見ている。
デジタルサイネージシステムで、行きたい場所を見つけたら、デジタルサイネージシステム
にモバイル端末をかざして振ることで、モバイル端末に観光情報を得ることができる。
図 4 .4-1 街頭案内シーン
(2) 本シーンで想定されるユーザメリット
不案内の土地に行った場合に、その地域の事を調べていなくても、観光等を楽しむことがで
きる。
(3) 本シーンでのコンテンツ
洋服、レストラン、イベント、ご当地グルメ等の案内を行う。
(4) 必要機能(情報の入出力手段)の検討内容
①有った方がよいと思われる入力の検討
・GPS
・音声認識
・Bluetooth
・3D マウス
・RFID
・ジェスチャー
・画像認識(顔認識)
・加速度センサー
・IC カード
・音響通信
・言語認識
・QR コード、バーコードは△(古いので)
27
Digital Signage Consortium
②有った方がよいと思われる出力の検討
・ディスプレイ
・スピーカー
・データ
・紙(△)
・におい
※光は不要(次の点滅しているデジタルサイネージシステムを曲がってくださいというの
は、あって良い)
(5) 必要機能(情報の入出力手段)の検討結果
①入力機能
・音声認識
・音響通信
・属性認識
・光学タグ認識(△)
・動作認識
・近接無線通信
②出力機能
・ディスプレイ(デジタルサイネージシステム・モバイル端末)
・スピーカー
・紙(△)
・データ
・光(△)
・におい(香り)
28
Digital Signage Consortium
4.5 テーブルサイネージ
(1) 本シーンの概要
レストランで座ったテーブルに
モバイル端末を置くと、食事メニ
ューや個人向け広告、オンライン
ショッピング画面が表示される。
食事メニュー表示では、メニュ
ーをテーブルサイネージに表示す
る。モバイル端末にダイエット中
のデータを登録しておけば、デジ
タルサイネージシステムに低カロ
リーメニューを表示する。テーブ
ルに表示されているメニューをタ
ッチすると、注文が行われる。
個人向け広告は、食事が運ばれ
てくるまでの間に、テーブル上に
個人向けの広告を表示する。モニ
タ画面は、周囲の人には見えない
ように工夫されている。
オンラインショッピングは、表
示されている商品の中から気に入
ったものを、画面タッチして購入
する。
図 4 .5-1 テーブルサイネージシーン
(2) 本シーンで想定されるユーザメリット
レストラン等で注文がスムーズに行え、文字で選ぶよりもより視覚的に自分の好みのものを
選択する事ができる。
29
Digital Signage Consortium
(3) 本シーンでのコンテンツ
メニュー表示やゲーム、インターネット等を行う。
(4) 必要機能(情報の入出力手段)の検討内容
・顧客を特定することで、顧客のライフログを記録する
・過去に食事したメニューを表示させ、さらに今回のおすすめメニューを表示するとよい
・口コミを投稿する
・ツイッターのメッセージを表示する
・場所と時間を表示させるのは、デジタルサイネージシステムの意味があるのではないか
・食事のアンケート結果をデジタルサイネージシステムに入力する
・テーブルで支払いができると良い
(5) 必要機能(情報の入出力手段)の検討結果
①入力機能
・音声認識
・属性認識
・文字認識
・動作認識
・近接無線通信
②出力機能
・ディスプレイ(デジタルサイネージシステム・モバイル端末)
・スピーカー
・データ
・におい(香り)
30
Digital Signage Consortium
4.6 バーチャルサイネージショップ
(1) 本シーンの概要
街頭や空港、駅の待合室等で、デジタルサイネージシステムによる店舗を構成する。顧客は
乗り継ぎの待合い時間等を利用して、バーチャルショップで買い物ができる。
また、時間帯や曜日によって展示内容を変えたり、さらに顧客が展示内容を選択するなど、
効率的な運営が可能である。
空港内のバーチャルサイネージショップでは、DUTY FREE 商品を取り揃え、購入後は到着
空港で引き渡すサービスにより、商品を持ち歩くことなくスマートな買物が可能となる。
図 4 .6-1 バーチャルサイネージショップシーン
(2) 本シーンで想定されるユーザメリット
顧客は乗り継ぎの待合い時間等を利用しながら、たまたま見かけたデジタルサイネージシス
テムのある場所で、買い物ができる。また一箇所のバーチャルショップで、服飾やその他複数
の買い物を済ませることができる。
(3) 本シーンでのコンテンツ
展示内容が衣服の場合には、顧客がデジタルサイネージシステムの前に立つことで、客は実
際に衣服を着替えることなしに、デジタルサイネージシステム上で衣服の着せ替え表示を行う。
実際に衣服の着替えを行わずに、客にイメージを与える。
31
Digital Signage Consortium
(4) 必要機能(情報の入出力手段)の検討内容
・IC カードは個人情報を付加することで決済に使用できる可能性がある
・文字認識は利用する機会が無い
・音響通信は RFID と同じようなことができるため、言語認識は有った方が色々な人に使っ
てもらえる
・デジタルサイネージシステムへの入力として、加速度センサー、文字認識、音響通信はあ
まり利用シーンは無いと思われる
・デジタルサイネージシステムへの出力として、におい、水、振動は無いと思われる
(5) 必要機能(情報の入出力手段)の検討結果
①入力機能
・音声認識
・ジェスチャー認識
・属性認識
・光学タグ認識
・操作認識
・近接無線通信
②出力機能
・ディスプレイ(デジタルサイネージシステム・モバイル端末)
・スピーカー
・紙
・データ
32
Digital Signage Consortium
4.7 店舗内サイネージ
(1) 本シーンの概要
店舗内で、デジタルサイネージシステムを用いて商品の展示を行うと共に、顧客の試着コー
ナーとする。顧客がデジタルサイネージシステムの前に立つと、展示されている衣服をまとっ
た自分の姿をデジタルサイネージシステム上で見ることができる。店舗内サイネージは、バー
チャル試着として、在庫にないウェア(形、色等)の試着が可能で、また試着に合わせた背景
を選択し、ウェアの見映えを確認することが可能となる。
また、表示された自分の背景に衣装に合った景色を表示することで、より鮮明にイメージを
描くことができる。
試着表示を行わないときは、商品展示やその他の表示を行う。
図 4 .7-1 店舗内サイネージシーン
(2) 本シーンで想定されるユーザメリット
顧客がデジタルサイネージシステムの前に立つことで、客は実際に衣服を着替えることなし
に、デジタルサイネージシステム上で衣服の着せ替え表示を行う。実際に衣服の着替えを行わ
ずに、客にイメージを与える。
実際に衣服を着ることがないため、試着後の後かたづけによる店員の負担が減尐し、また試
着による衣服の汚れが無くなる。
33
Digital Signage Consortium
(3) 本シーンでのコンテンツ
AR 技術を用いて、顧客がデジタルサイネージシステムの前に立つと、顧客が選択した衣服を
顧客の体に合わせてオーバレイ表示を行う。さらに商品に合わせた背景を表示する。
(4) 必要機能(情報の入出力手段)の検討内容
・RFID が商品に付いていると、モバイル端末をかざすことで商品の特徴(色・素材等)を
把握できる
・IC カードは個人情報を付加することで決済に使用できる可能性がある
・文字認識は利用する機会が無い
・音響通信は RFID と同じようなことができるため、言語認識は有った方が色々な人に使っ
てもらえる
・デジタルサイネージシステムへの入力として、加速度センサー、文字認識、音響通信はあ
まり利用シーンは無いと思われる
・デジタルサイネージシステムへの出力として、におい、水、振動は無いと思われる
・店で商品を推奨された場合に、店舗内での誘導として光を利用することが考えられる
(5) 必要機能(情報の入出力手段)の検討結果
①入力機能
・音声認識
・ジェスチャー認識
・属性認識
・光学タグ認識
・動作認識
・近接無線通信
②出力機能
・ディスプレイ(デジタルサイネージシステム・モバイル端末)
・スピーカー
・紙
・データ
・光
34
Digital Signage Consortium
4.8 クーポンゲート
(1) 本シーンの概要
顧客がクーポンゲートを通過すると、デジタルサイネージシステムはその顧客の性別、年齢
等を判断し、顧客に合ったクーポンをモバイル端末等に入力する。
ショッピングモール等の入口に設けられたクーポンゲートでは、通過する顧客のモバイル端
末に対してクーポンを配布する。クーポンを得た顧客は、ショッピングモール内に設置された
デジタルサイネージシステムに誘導されながらショップまでたどり着くことができる。割引き
等のクーポンは、会計時に使用が可能となる。
図 4 .8-1 クーポンゲートシーン
(2) 本シーンで想定されるユーザメリット
RFID 等により、モバイル端末をかざさなくてもクーポンの取得が可能である。
(3) 本シーンでのコンテンツ
その人の属性にあったクーポンを提示する。
(4) 必要機能(情報の入出力手段)の検討内容
・デジタルサイネージシステムが、クーポンを渡す対象者を選べるようにする
・クーポンを貰うユーザが、モバイル端末アプリで自分の好みを設定できるようにする
・ユーザが自らクーポンを取りに行ったときに、デジタルサイネージシステムがクーポンを
渡す方式もあり得る
・デジタルサイネージシステムがクーポンを渡す場合に、場所、ユーザ、時間等を限定して
渡せるようにする
35
Digital Signage Consortium
(5) 必要機能(情報の入出力手段)の検討結果
①入力機能
・属性認識
・近接無線通信
②出力機能
・データ
36
Digital Signage Consortium
4.9 自動販売機
(1) 本シーンの概要
駅や空港で、顧客が新聞、雑誌や映画等をモバイル端末にダウンロードする。
例えば、デジタル・ニュース・スタンド(自動販売機)では、出勤途中の駅改札を入る前に、
新聞や雑誌を電子マネーで購入しモバイル端末にダウンロードでき、無料のフリーペーパーに
ついても簡単にモバイル端末に取り込むことを可能にしたものである。また、デジタル・シネ
マ・スタンドでは、最新の映画や TV 映像等をモバイル端末にダウンロードしたり、自宅用に
映画を予約し、帰宅後にストリーミング映像で映画を楽しむことが可能となる。決済は同様に
電子マネーで行うことができる。
図 4 .9-1 自動販売機シーン
(2) 本シーンで想定されるユーザメリット
地域限定のコンテンツ取得を行える場合に、より身近にデジタルサイネージを楽しんでもら
える。また、駅等で新聞、雑誌、映画をダウンロードし、車内で鑑賞することができる。
(3) 本シーンでのコンテンツ
ご当地コンテンツ等。(例.○○県に行くとアイドルの○○のご当地限定コンテンツが取得
できる 等)
37
Digital Signage Consortium
(4) 必要機能(情報の入出力手段)の検討内容
①有った方がよいと思われる入力の検討
・GPS
・音声認識
・Bluetooth
・3D マウス
・RFID
・ジェスチャー
・画像認識(顔認識)
・加速度センサー
・IC カード
・音響通信
・言語認識
・QR コード、バーコードは△(古いので)
②有った方がよいと思われる出力の検討
・ディスプレイ
・スピーカー
・データ
・紙は△
※光は不要(次の点滅しているデジタルサイネージシステムを曲がってくださいというの
は、あって良い)
(5) 必要機能(情報の入出力手段)の検討結果
①入力機能
・音声認識
・音響通信
・ジェスチャー認識(△)
・属性認識
・動作認識
・近接無線通信
②出力機能
・ディスプレイ(デジタルサイネージシステム・モバイル端末)
・スピーカー
・紙
・データ
38
Digital Signage Consortium
4.10 利用シーン別モバイル連携機能のまとめ
利用シーンの検討結果より、各シーンで必要とされた連携機能を、以下にまとめる。
シーン
入力
使い方
音声による
入力
○
○
○
災害時
自分が登録している行き先
○
の災害情報がわかる
○
○
街頭案内
地図ソフトが入っており、街
角の案内をし、店舗に誘導 ○
○
○
交通情報提供
テーブルサイネージ
バスで通勤をしている時に
事前に電車の交通情報が
わかる
そのお店のお薦めの情報
が表示され、注文が可能
バーチャルサイネージ バーチャルサイネージ
ショップ
ショップで買い物をする
店舗内サイネージ
店舗内サイネージで洋服
等を買う
クーポンゲート
クーポンを電子ビラにし
て、そこを通ったら、クーポ
ン取得
自動販売機
デジタル化されている商
材、デジタルコンテンツ等
の情報を販売
○
光
学
タ
グ
認
識
文
字
認
識
○
近
接
無
線
通
信
○
○
・
デ
モ
バサィ
イイス
ルネ プ
端ー レ
末ジ
紙
デ
ー
タ
○
○
○
○
○
○
◎
○
○
○
○
○
○
○
○
○
△
○
動
作
認
識
ス
ピ
ー
カ
ー
操
作
認
識
無
線
通
信
光
通
信
イ
光
)
ジ
音
ェ 属
響 認ス 性
通 識チ 認
信
ャ 識
ー
(
音
声
認
識
出力
ユーザメリット
コンテンツ
ユーザ操作 その他通信手段
による入力
による入力
画像による入力
水
に
お
い
(
香
り
)
電車に乗り換える前に交通情報 自分の行き先の交通情報
がわかることで、時間の効率化を の提示と遅延の場合の案
図ることができる。
内
○
△
○
振
動
△
○
事故防止、時間の効率化、等
自分の行き先の災害情報
の提示と交通止め等の場
合の案内
○
その土地をあまり調べていなくとも 洋服、レストラン、イベント
楽しむことが可能
ご当地グルメ等
○
注文がスムーズに行え、メニュー
メニュー、ゲーム、インター
で選ぶよりもより視覚的に、自分
ネット、等
の好みのものを選択可能
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
たまたま見かけたバーチャル
展示内容が衣服の場合に
ショップで、買い物ができる。また は、デジタルサイネージシ
一箇所のバーチャルショップで、服 ステム上での衣服の着せ
飾やその他複数の買い物が可能 替え表示
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
デジタルサイネージシステム上で
衣服の着せ替え表示を行う
試着後の店員の負担が減少し、
試着による衣服の汚れが無くなる
○
○
○
△
凡例 ◎:非常に良く利用する
無し:不要
○
○
○
○
○
○
○:良く利用する
○
○
AR技術を用いて、顧客が
選択した衣服をオーバレイ
表示する。さらに商品に合
わせた背景を表示
○
RFID等により、携帯をかざさなくて 自分の属性にあったクーポ
もクーポンの取得が可能
ンの提示
○
ご当地コンテンツ等
その土地限定のコンテンツ取得を
(例)○○県に行くとアイド
行える場合、より身近にサイネー
ルの○○のご当地限定コ
ジを楽しんでもらえる。
ンテンツが取得できる等
△:利用頻度は低いが有れば利用する
図 4 .10-1 利用シーン別モバイル連携機能のまとめ
上表より、多くのシーンで必要とされる連携機能と、さらにデジタルサイネージシステムとの
連携として使い勝手が良さそうな連携機能を選定し、以下に示す。
(1) 入力機能(情報の入力手段)
・音声認識
・属性認識
・動作認識
・近接無線通信
(2) 出力機能(情報の出力手段)
・スピーカー
・データ
これら機能について、次章で連携機能とインターフェースの検討を行うものとする。
39
Digital Signage Consortium
5 モバイル連携機能とインターフェース
5.1 概要
4 章での利用シーン別モバイル連携で整理した結果を基に、それぞれの機能(情報の入出力手
段)に必要とされる技術(要求機能)の整理を行う。
5 .1 .1 連携機能
4 章の各シーンで必要とされた機能(情報の入出力手段)をまとめ、以下に整理する。
(1) 入力
・音声認識
・属性認識
・動作認識
・近接無線通信
(2) 出力
・スピーカー
・データ
本章では、それぞれの機能(情報の入出力手段)について検討を行い、必要とされる最低限の
技術(要求機能)を整理し、さらにそのインターフェースをまとめるものとする。
40
Digital Signage Consortium
5 .1 .2 本章の検討の流れ
本章の検討の流れを以下に示す。
本章の検討
機能(情報の入出力手段)1 の検討
検討
モバイル連携
機能
検討
インターフェース
利用シーンに
於ける
必要機能
(入出力の
情報手段)
機能(情報の入出力手段)n の検討
検討
モバイル連携
機能
検討
インターフェース
本検討レポートの結論
図 5 .1-1 本章の検討の流れ
41
Digital Signage Consortium
5.2 音声認識インターフェース
5 .2 .1 モバイル連携機能
必要と思われる機能を以下に示す。
・キーワード認識機能
・話者特定機能
・音発生機能
(1) キーワード認識機能
・デジタルサイネージシステムに話しかけている言語種別を認識する
・複数言語を認識する
・話しかけている言葉の意味を認識する
・同音異義語を区別する
(2) 話者特定機能
・デジタルサイネージシステムを複数人の人が取り囲み話す状況で、デジタルサイネージシ
ステムは 2~3 人の人に対応したい
(3) 音発生機能
・視覚障害者の方に対して、デジタルサイネージシステムの場所を知らせ話しかけて貰える
ように音を発する
・グループ毎に会話している人達に対して、デジタルサイネージシステムから主体的に話し
かけ、デジタルサイネージシステムとの話に引き込む
5 .2 .2 インターフェース
(1) 話者特定の手段
・指向性のマイクを使用する
・画像センサーを付けることで、何処にいる人が話をしているのか認識する
・声の大きさ、立っている位置、どんなリズムで話しているのかを認識する
・言語種別を判定する
・自然言語を認識するような高度な処理は、クラウド上のサーバを使用する
・ヘッドセットを使用する場合は、言語認識処理から行う
42
Digital Signage Consortium
(2) システム構成イメージ
想定されるシステムイメージを以下に示す。
音声認識インターフェース
画像センサー
マイクロフォン
話者設定
プログラム
キーワード認識
プログラム
マイクロフォン
サイネージコントロール
インターフェース内蔵
モバイル端末
通信処理
発信番号
図 5 .2-1システム構成イメージ
(3) 課題
・日本語でも訛があると認識しづらい
・多言語の種別を認識する
・同音異義語を区別する
・デジタルサイネージシステム周囲にいる全ての人の内容を認識する
・騒音、雑音に強くする
・複数人への対応を行う
43
出力
Digital Signage Consortium
5.3 属性認識インターフェース
5 .3 .1 モバイル連携機能
必要と思われる機能を以下に示す。
・モノ認識機能
・ジェスチャー認識機能
(1) モノ認識機能
・デジタルサイネージシステムの近くにいる人の顔を認識することで、デジタルサイネージ
システムを見ているか見ていないかの判別ができる
・白い杖を認識することで、視覚障害者向けの音声案内等ができる
・着ているものや持ち物を認識することで、その人に合った情報提供ができる
(2) ジェスチャー認識機能
・決められた動作、および手の動き等を認識することで、デジタルサイネージシステムがそ
れら動作に対応できる
5 .3 .2 インターフェース
(1) 画像センサー取付位置
・ディスプレイ装置上に設置する
(2) 画像センサーサイズ
・被検出体となる通行人等が、自分が検出されていることを意識しないよう、できるだけ小
さな画像センサーを目立たないように設置する
(3) 認識対象
必要機能のほかに、あればよいと思われる機能を含め以下に示す。
①必要な機能
・モノ
(例.商品)
・ジェスチャー (例.手話、動作)
②あればよい機能
・属性
(例.性別、年齢)
・視線
(例.ディスプレイを注視)
・動線
(例.通行人の進行方向)
・文字
44
Digital Signage Consortium
(4) システム構成イメージ
・属性認識システムを構成する装置は、画像センサー(カメラ等)、属性認識部(ハードウ
ェア、ソフトウェア)、およびそれらに連動するプレーヤーとなる
属性認識インターフェース
画像センサー
属性認識部
出力
*属性認識部は、ネットワーク経由として複数画像センサーで共有される場合もある
*画像センサーと属性認識部を対で置く場合は、認識結果を得るまでの応答性がよい
認識結果に即時性を求める場合は、対で置く方式が望ましい
ただし属性認識部の要求性能によっては、システムのコストが上昇する
*属性認識部がネットワーク経由の場合は、認識結果を得るまでの応答性が悪いが、
属性認識部のコストが抑えられる
ただし応答結果に即時性が不要の場合は、本方式とすることもできる
図 5 .3-1 システム構成イメージ
(5) 課題
・画像センサーは、属性認識を行うためにはより大きなレンズを用い、解像度を大きくする
ことが望ましいが、デジタルサイネージシステムとしては、被検出体となる通行人等が検
出されていることを意識しないよう、できるだけ小さな画像センサーを目立たないように
設置することが望ましい
・デジタルサイネージシステムで求める属性認識の機能、性能によって、属性認識部の CPU
処理性能、サイズ、コスト等に大きな違いがでる
・属性認識の実用化に際しては、要求機能、性能を検討し、そのバランスを取ることが重要
と思われる
・属性認識部の設置方法は、状況に応じてネットワーク経由とするか否かを使い分けること
も考えられる
45
Digital Signage Consortium
5.4 動作認識インターフェース
5 .4 .1 モバイル連携機能
モバイル端末を 3D マウスとして利用することを想定し、検討するものとする。
必要と思われる機能を以下に示す。
・3D マウス情報読み取り
・3D マウス情報解析
(1) 3D マウス情報読み取り
・利用者が操作した 3D マウスの情報(移動方向、移動距離、各種設定
とで、利用者からのデジタルサイネージシステムへの操作情報とする
等)を読み取るこ
(2) 3D マウス情報解析
・読み取った 3D マウス情報やデジタルサイネージシステムの現在状況を基に、デジタルサ
イネージシステムが対応すべき機能を解析する
5 .4 .2 インターフェース
(1) システム構成イメージ
想定されるシステムイメージを以下に示す。
動作認識インターフェース
3D マウス
(モバイル端末)
3D マウス情報
読み取り
3D マウス情報
解析
*出力:ベクトル情報、コマンド情報 等
図 5 .4-1 システム構成イメージ
(2) 課題
・モバイル端末に、3D マウス機能を組み込む必要がある
46
出力
Digital Signage Consortium
5.5 近接無線通信インターフェース
5 .5 .1 モバイル連携機能
必要と思われる機能を以下に示す。
・ID 情報の読み取り
・多様な入力デバイスの対応
(1) ID 情報の読み取り
・個人の ID 情報を読み取ることで、登録されている言語、性別等の把握が可能になり、多言
語認識に利用できる
・個人情報保護のため、ID 情報の読み取りには対話式の認証が必要である
(例)あなたの年齢を A 店に公開してもよろしいですか?→はい or いいえ
(2) 多様な入力デバイスの対応
・パッシブ型 RFID だけでは信号が微弱で通信ができない場合もあるので、Bluetooth、WiFi 等による通信も必要である
5 .5 .2 インターフェース
(1) 通信対象デバイス
・RFID は、会員カードのように一方的に読み取られる。
・モバイル端末、FeliCa、Bluetooth、Wi-Fi、ZigBee は、いったん読み取られるが、その後
読み取って良いかの確認を行う
また読み取る個人情報は、ガイドラインに即したものとする
・FeliCa、Bluetooth、Wi-Fi は、デジタルサイネージシステムとの距離が測定できるので、
モバイル端末を持参している人とデジタルサイネージシステムとの距離が分かり、導線の
把握ができる。また出力する端末の数が把握できる
・RFID、ZigBee はデータの読み取りは問題ないが、出力デバイスとしては難しい
(2) 情報内容
・個人の ID 情報
(3) セキュリティ
・店の特定会員の場合は、プライバシー情報をその店に渡して差し支えない
・初めての店の場合は、メール等によりプライバシー情報を提供するかどうか確認をとるシス
テムが必要である
・どこまでの情報を渡すか、何らかの情報を渡す場合は、許可するシステムが必要である
※パブリックな情報(性別・国籍等)の場合は、許可するシステムは不必要である
・店のサーバから個人のモバイル端末のデータベースを検索するシステムを持っていれば、認
証は可能である
(4) 通信距離
・パッシブ型 RFID の電波は微弱なので、あまり距離を置いて通信することはできない
・意識せずにデジタルサイネージシステムの近くを通った人の情報の授受も行うのであれば、
数メートルの範囲で使える入力デバイス(Bluetooth、Wi-Fi)も必要である
47
Digital Signage Consortium
(5) システム構成イメージ
想定されるシステムイメージを以下に示す。
近接無線通信インターフェース
RFID/IC カード
IR
FeliCa
モバイル端末
Bluetooth
認証
Wi-Fi
距離測定
読取処理
出力 1
出力 2
ZigBee
*出力 1:個人情報
*出力 2:距離
図 5 .5-1 システム構成イメージ
(6) 課題
・プライバシーの問題が先に来るので、情報提供ガイドラインの作成が必要である(セキュリ
ティガイドライン)
・自分の認めたエリアであれば、情報を提供するといった「認証機能」が必要である。そのた
めにそれを行うサポートするソフトが必要となる
・ある程度の RFID の規格整備が必要である
・パッシブ型 RFID の電波は微弱なため、距離がある通信はできない
・RFID、ZigBee はデータの読み取りは問題ないが、出力デバイスとしては難しい
48
Digital Signage Consortium
5.6 スピーカーインターフェース
5 .6 .1 モバイル連携機能
必要と思われる機能を以下に示す。
・特定のトリガーに応じて、必要な人に音声を届ける。例えば、目の不自由な人にはプッシュ
型でデジタルサイネージシステムの場所、好きな情報を、配信できる機能を設ける
・センシング技術を用い、身長で子供、大人を認識し、年齢に応じた音声を出力する
・デジタルサイネージシステムと個人所有の端末とを連携し、パブリックな状況の場合は音声
データとして自分が所有しているイヤホンから音が入ってくる。パブリックでない状況の場
合には個人向けのささやきを行う
・災害時等、通信に障害を起こした場合には、デジタルサイネージシステムの場所を知らせる
サイレンを鳴らす
5 .6 .2 インターフェース
(1) システム構成イメージ
想定されるシステムイメージを以下に示す。
スピーカーインターフェース
音
(PCM)
データ
(テキスト)
音声合成
(
マ
ル
チ
チ
ャ
ン
ネ
ル
)
スピーカー
出力
(例.大人向け)
出
力
制
御
A
M
P
スピーカー
出力
(例.子供向け)
出力先を
指示
通信
Wi-Fi
モバイル端末
図 5 .6-1 システム構成イメージ
49
Digital Signage Consortium
5.7 データ出力インターフェース
5 .7 .1 モバイル連携機能
デジタルサイネージシステムの使用方法、およびシチュエーションを想定し、検討する。また、
デジタルサイネージシステム利用者がデータを取得する方法は、モバイル端末にて取得すること
を前提として検討する。
必要と思われる機能を以下に示す。
・初めて訪れた場所で情報が欲しい場合の機能
・分かっている場所だが、瞬時に欲しい情報がある場合の機能
(1) 初めて訪れた場所で情報が欲しい場合の機能
・その土地の名所等の情報を配信するようにカスタマイズして、欲しい情報を得ることがで
きる
(2) 分かっている場所だが、瞬時に欲しい情報がある場合の機能
・トイレのマップ、喫煙所等が、案内板のデジタルサイネージシステムに行くとすぐ知るこ
とができる
5 .7 .2 インターフェース
(1) データ送信媒体
・画像センサーを経由(QR コード等)
・メール以外の Web
・音声(音楽中にデータを含ませる)
・IC カード
・モバイル端末キャリアの電波
・赤外線通信(IR)
・Bluetooth
・Wi-Fi
(2) データ内容
・チラシ
・地図
・路線図
・交通情報
・その他
(3) データ送信時間
・データ取得時間としては、1 秒程度を目途とする
*仮に 1MB のデータを 1 秒で取得するためには、8Mbps の伝送速度が必要である
*デジタルサイネージシステムのメリットは、大容量のデータが無料で直ぐに手に入るこ
とである
*大画面で綺麗な絵を見せて、モバイル端末で取得してもらえることが望ましい
50
Digital Signage Consortium
6 まとめ
今年度は、昨年度まとめた未来のデジタルサイネージシステムムービーをベースに、「デジタ
ルサイネージシステム・モバイル連携 検討レポート」をまとめた。
本検討レポートの内容は、以下の通りである。
「1 はじめに」
本検討レポートを作成した DSC および DSC システム部会について紹介を述べた。
本検討レポート作成の目的は、本書がデジタルサイネージシステムを広告や事業の発展に利用
しようとしている方々や、デジタルサイネージシステムの開発を行っている方々に向けた、DSC
システム部会からのメッセージである。デジタルサイネージシステムを事業に利用する事業者お
よび開発者が、デジタルサイネージシステムを開発するに当たり、本書を参考にして、デジタル
サイネージシステムとモバイル端末との連携機能を開発されることを希望するものである。
「2 本検討レポートの検討プロセス」
本検討レポートを作成するに至った経緯は、以下の通りである。
昨年度 DSC システム部会がデジタルサイネージシステム発展のために為すべき事項として、未
来のデジタルサイネージシステムの姿を具体的にイメージできるムービーを制作した。この結果
未来のデジタルサイネージシステム実現のポイントは、デジタルサイネージシステムとモバイル
端末との連携の多様化であるとの結論を得た。この結論から、今年度デジタルサイネージシステ
ムとモバイル端末との連携のあり方を検討することとした。
本検討レポート作成の検討プロセスとして、以下の 3 つの段階に分けて検討を行った。
Step1 シーンの策定として、未来のデジタルサイネージシステムから浮かぶ利用シーンを整理
し、表にまとめ、また同じくそのシーンにおいて、デジタルサイネージシステムと利用者の間で
やり取りされると予想される機能(情報の入出力手段)を整理した。
Step2 シーンの策定として、Step1 で求めたデジタルサイネージシステムと利用者の間でやり
取りされる機能(情報の入出力手段)に対し、求められる技術(要求機能)を整理した。
Step3 シーンの策定として、Step1 で求めた機能(情報の入出力手段)と、Step2 で求めた技術
(要求機能)を実現するため、それぞれのインターフェースを整理した。
「3 未来のデジタルサイネージシステムとモバイル連携」
本検討レポート作成の参考とするため、現在のデジタルサイネージシステムの事例を調べ、現
在のデジタルサイネージシステムとモバイル端末の連携をまとめた。
昨年度制作した未来のデジタルサイネージシステムムービーから、未来のデジタルサイネージ
システム・モバイル連携の利用イメージを整理した。デジタルサイネージシステムの利用者が、
このようなことができると便利だと感じそうなシーンや、喜びそうなシーンを選択した。
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Digital Signage Consortium
「4 利用シーン別モバイル連携機能」
未来のデジタルサイネージシステムにおける利用シーンを想定し、想定した各シーンにおいて、
デジタルサイネージシステムと利用者の間でやり取りされると想定される機能(情報の入出力手
段)を検討して、さらにその中から必要と思われる機能(情報の入出力手段)を整理した。
選定の対象として、3 章の未来のデジタルサイネージシステムイメージから、利便性が高く実
現することで利用者が喜ぶことが予想されるシーンを選定した。また、未来のデジタルサイネー
ジシステムムービーの様々なシーンから、さらにそこから展開されるであろう次のシーンを想定
し、その中から利便性の高いと思われるシーンを選定した。
各利用シーン別モバイル連携機能をまとめ、最小限必要とされる連携機能を整理した。
「5 モバイル連携機能とインターフェース」
本検討レポートの結論である。
4 章での利用シーン別モバイル連携で整理した結果を基に、それぞれの機能(情報の入出力手
段)に必要とされる技術(要求機能)の検討を行い、必要とされる最低限の技術(要求機能)を
整理し、さらにそのインターフェースを整理した。
「6 まとめ」
本検討レポートの要約を記した。
デジタルサイネージシステムは、当初、単独で機能する設備として構築されてきた。しかし、
DSC システム部会が行った昨年度の検討および今年度の検討を通じ、デジタルサイネージシステ
ムがデジタルサイネージシステム周辺のモバイル端末と有機的に連携することで、社会に生活す
る人々により便利で楽しい暮らしをもたらすものであることが分かった。デジタルサイネージシ
ステム・モバイル連携の高度化は、人々の暮らしを変えていくことすら予想させるものである。
今年度の検討結果をさらに発展させ、モバイル端末との連携機能をより充実させることを希望
すると共に、本検討レポートを活用することで、未来のデジタルサイネージシステムがより早く
現実のものとなるよう希望する。
本検討レポートは、DSC システム部会メンバーによって作成・編集された。DSC システム部
会メンバー全員に謝意を表すると共に、DSC の発展を祈念するものである。
本書に記載した事項は、検討会で行われた議論の中から出たアイデアをまとめたものであり、
特許に関することは検討していない。また DSC システム部会は、本書に書かれた事項に関しての
特許権は主張しない。
本書に書かれたアイデアを利用する場合は、利用する当事者が特許権に関する諸問題を解決し
た上で利用されたい。
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Digital Signage Consortium
デジタルサイネージシステム・モバイル連携検討レポート 編集参加企業一覧
KDDI 株式会社
NTT アイティ株式会社
愛知国際放送
株式会社イエロー
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
インテル株式会社
沖電気工業株式会社
株式会社きもと
京セラ株式会社
シスコシステムズ合同会社
株式会社シネックス
シャープ株式会社
シャープシステムプロダクト株式会社
セイコーエプソン株式会社
ソニー株式会社
大日本印刷株式会社
デルタ電子株式会社
日本電信電話株式会社
株式会社ネクストウェーブ
パナソニック株式会社
株式会社日立製作所
富士通株式会社
ブラザー工業株式会社
三菱電機株式会社
ヤマハ株式会社
デジタルサイネージコンソーシアム事務局
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Digital Signage Consortium
デジタルサイネージコンソーシアム
〒107-0052 東京都港区赤坂 3-13-3 みすじ 313 ビル 3 階
http://www.digital-signage.sakura.ne.jp/
符号
初版
0.2 版
0.3 版
0.4 版
0.5 版
0.6 版
1.0 版
年月日
記事(訂正内容・理由等)
新規作成 0.1 版
54
訂正者 検印(PL)