業界最薄、薄さ0.5mmのワンセグ向けローパスフィルタ量産化

2005年11月15日
太陽誘電:業界最薄、薄さ0.5mmのワンセグ向けローパスフィルタ量産化
∼2006年4月より始まる携帯機器向け地上デジタルテレビ放送用チューナーに∼
太陽誘電(代表取締役社長:小林 富次)は、業界最薄となる2012サイズ(2.0 1.25 0.5mm、薄さは最大
値)の携帯機器向け地上デジタルテレビ放送(注1)用のローパスフィルタ(注2)を商品化しました。
日本では、2006年4月より携帯電話やカーナビなどの機器向けに、地上デジタルテレビ放送サービス(ワン
セグ)が、欧米でも2006年以降、それぞれ独自に携帯機器向けデジタルテレビ放送サービス(欧州:DVB-H、
米国:ATSC、注3)が開始される予定です。それに伴い、デジタルテレビ放送を受信可能な携帯機器の需要
拡大が期待されています。携帯機器でデジタルテレビ放送を受信するためには、デジタル放送受信用の薄型
チューナーモジュール(注4)が不可欠となります。そのため、チューナーモジュールに使用される受動部品の
小型化や、ICの薄型化が進んでいる一方、フィルタに関しては薄型化が進んでおらず、チューナーモジュール
の薄型化のボトルネックとなりつつあります。
そこで太陽誘電は、当社の持つ高い設計技術で回路を最適化、また高周波部品材料技術を転用することで
特性を維持したままでの薄型化を可能とし、業界の主流である2012サイズで最大薄さ0.5mmのローパス
フィルタを実現しました。これによってデジタルチューナーモジュールのさらなる薄型化に貢献し、さらには
携帯機器の小型化につながります。この商品は、2006年2月より玉村工場(群馬県佐波郡玉村町)にて生産
能力を拡充し、月産200万個で本格量産を開始します。サンプル価格は50円です。
携帯機器に搭載される機能は増加の一途を辿り、一台で複数の機能を併せ持つことも一般的になっていま
す。例えば、電波を利用する機能を取ってみても、AM/FMラジオ、アナログテレビ、デジタルテレビ、
Bluetooth®、GPS(注5)など多岐にわたります。これらの機能に必要なことは、さまざまな周波数の電波の
中から、いかに必要な周波数の電波のみを取り出すかになります。特に、携帯電話の使用する周波数には、デ
ジタルテレビの周波数に近いものがあり、さらに携帯電話の規格や、各国の地上デジタル放送ごとに使用す
る周波数帯が違う(注6)ため、必要な電波を選び出すためのフィルタの特性は重要になります。
太陽誘電では、携帯電話の各規格と日本、欧州のデジタル放送に対応した各種フィルタを開発し、機器の仕
様に合わせた最適なフィルタの組み合わせを提案することにより、お客様がチューナーの開発を効率的に行
う手助けをします。
太陽誘電は、ユーザーの視点に立った商品設計を行い、市場の要求に応える幅広い製品に対応する電子部
品の提供を行っていきます。
<用語解説>
(注1)携帯機器向け地上デジタルテレビ放送サービス(通称ワンセグ)
日本において、2003年12月から開始された地上デジタルテレビ放送サービスでは、地上デジタルテレ
ビ放送向けのチャンネルを各放送局に配分し、割り当てられた1チャンネルは13の階層(セグメント)に
分けられ、13階層のうち12階層でハイビジョンや通常放送を、残りの1階層=ワンセグメントで携帯端
末向け放送を行う。規格名はISDB-T(Integrated Services Digital Broadcasting-Terrestrial)。
(注2)ローパスフィルタ
さまざまな周波数の信号の中から、特定の周波数より低い周波数の信号を通す。
(注3)欧米の携帯機器向け地上デジタルテレビ放送サービス
欧米でも独自規格で地上デジタル放送サービスが行われ、欧州ではデジタル放送標準化団体
DVB(Digital Video Broadcasting Project)が携帯機器向け規格としてDVB-H(Digital Video
Broadcasting-Handheld)を策定。米国でもデジタル放送標準化委員会ATSC(Advanced
Television Systems Committee)により規格化が進められている。
(注4)チューナーモジュール
テレビやラジオなどの電波を使用する放送では、アンテナで受けた電波を必要な周波数のみ取り出し、
電気信号に変換するチューナーを小型のモジュール化したもの。
(注5)GPS(Global Positioning System)
人工衛星からの電波を利用して、現在位置を正確に割り出すシステム。
(注6)使用する周波数帯が違う
携帯電話の規格ではGSM方式:900MHz、CDMA方式:800MHz、地上デジタル放送でも日本:473
∼767MHz、欧州:470∼650MHzなど、異なる周波数帯を使用している。