エコカー減税・エコカー補助金による 自動車の買い替え前倒しの CO2

Journal of Japan Society of Energy and Resources, Vol. 31, No. 6
エコカー減税・エコカー補助金による
自動車の買い替え前倒しの CO2 削減効果
An analysis of CO2 abatement by front-loading replacing vehicles
due to tax cuts and subsidies for eco-friendly vehicles
堂 脇 清 志
Kiyoshi Dowaki
*
**,***
・ 岡 戸 聡
Satoshi Okado
・ 井 原 智 彦
***
・山 成 素 子
Tomohiko Ihara
*
Motoko Yamanari
(原稿受付日 2010 年 5 月 12 日,受理日 2010 年 10 月 29 日)
In Japan, the tax cuts and the subsidies on eco-friendly vehicles became effective on April 1, 2009. Due to the schemes,
people would renew to a new car prior to the primary life time of a car. Thus, we examined the effect of CO2 abatement by
front-loading replacing vehicles. In particular, we compared the CO2 reduction due to the improvement of fuel efficiency to
the amount of CO2 increase, whose factors are ‘rebound effect’ and ‘discharge of manufacturing vehicles’. We categorized
vehicles into six types, hatchback, minivan, hybrid vehicle (HV), saloon, light vehicle, and others (SUV, convertible). In the
case where consumers replace their cars to the following three types (hatchback, minivan, and HV), the CO2 abatement
which divided consumers into household attributes in order to examine difference in expense was estimated. The result
showed that a household expenditure would increase due to tax cuts. In addition, if consumers except a single-person
household replace their vehicles about 1~10 years earlier than originally plan, there may be no reduction effect when
replacing with minivan and/or hatchback. Conversely, the net reduction effect only appears in a single-person household at
1~5 year earlier than originally plan and in case of replacing their cars to HV prior to the vehicle lifetime.
1.はじめに
部門からの CO2 排出量算出には,間接排出も考慮する必要
がある.
現在,地球温暖化が大きな問題となっている.自家用乗
従って,本研究では,家庭部門からの直接 CO2 排出量の
用車や一般廃棄物を含めた家庭部門からの直接の CO2 排出
うち 3 割を占める自動車を対象とし,エコカー減税やエコ
量は,2008 年には 2 億 4300 万 t となり,国内の総排出量の
カー補助金(以降は,これらをまとめて「減税」と呼ぶ)に
2 割を占める 1).家庭部門からの CO2 排出量削減には,省
よるリバウンド効果や自動車のライフサイクル CO2 排出量
エネ給湯やエコカーなどの省エネルギー機器の導入により
(製造時に発生する CO2 排出量)を考慮し,減税実施による
エネルギー使用量を削減する方法が効果的で,減税や補助
CO2 削減効果の評価を行った.具体的には,自動車の買い
金はこうした機器の普及を後押しする.
替え予定の前倒しが CO2 排出量削減に繋がるかどうかの分
一方で,家計は一定の所得制約下で動くため,省エネル
析を行った.なお,このとき,減税による余剰金の使途が
ギー機器に支払うべき金額がこうした補助金政策により減
世帯属性に依存するため,世帯属性も考慮することとした.
額されることで余剰金が生まれ,他の消費支出の増加に繋
これにより,自動車購入補助政策の環境面での有効性を検
がるリバウンド効果の発生が考えられる.補助金政策によ
討し,限定的ではあるが効果的な CO2 削減効果が得られる
る CO2 削減効果の評価には,リバウンド効果による CO2 排
条件を整理した.
出量,さらに,製品自体の製造時にかかる CO2 排出量につ
いても考慮しなければならない.これらは間接排出であり,
2.エコカー減税及びエコカー補助金
消費者行動によって誘発される CO2 排出量である.ガスや
現在実施されているエコカー減税では,対象車の新車購
電気などのエネルギー製品の利用による排出(直接排出)と
入時に自動車重量税 3 年分及び自動車取得税が 100%,75%,
は異なり,一般には家庭からの CO2 排出とされていないが,
50%のいずれかの割合で減免される
Ihara et al2)の産業連関表などを用いた研究によると,間接排
3)
.エコカー補助金で
は,平成 22 年度燃費基準達成車の新車購入時に登録から
出は直接排出の 7 割ほどの大きさがあることが示唆されて
13 年以上経過した自動車を廃棄することで 25 万円,平成
いる.このことは,間接排出が大きくなることから,家庭
17 年排出ガス基準及び平成 22 年度燃費基準+15%以上達成
*
東京理科大学理工学部経営工学科
〒278-8519 千葉県野田市山崎 2641
e-mail [email protected]
車の新車購入時に 10 万円が支給される(軽自動車の購入時
にはいずれも半額の支給)3).一連の制度の第一の趣旨は,
**
新車販売台数を伸ばすための景気対策の実現ではあるが,
***
同時に,燃費の良い自動車の普及により CO2 削減を図る環
東京理科大学大学院理工学研究科経営工学専攻
(独)産業技術総合研究所 安全科学研究部門
〒305-8569 茨城県つくば市小野川 16-1
境対策の実現も目指している 3).
16
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3.評価範囲
この燃費向上による CO2 削減量と後述する CO2 排出量増加
要因の大きさを比較することにより,正味 CO2 削減量の算
3.1 対象とする自動車
出を行った.なお,本研究では自動車の LCA を考慮した評
本研究では,自動車(自家用乗用車)を車体形状や用途か
価を行うが,自動車における廃棄段階の CO2 排出量は,走
ら,表 1 の 6 車型に分類した車種を対象とした.これらの
行段階や製造段階の CO2 排出量に比べて非常に小さいため,
車型において,減税が実施された 2009 年 4 月から同年 9
走行段階及び製造段階のみを評価対象とすることとした.
月までの新車販売台数は 127 万台であり,このうち公表さ
表 2 減税実施以降の前年同月比での新車販売台数推移
れている車種別販売台数上位 30 位の 93 万台 4)の内訳では,
減税対象車は 82 万台で,2 車種の例外を除きハッチバッ
増減台数[台]
増減割合
ク・ミニバン・ハイブリッドカー(HV)のいずれかであった.
4月
-54,677
-25.6%
従って,本研究ではこの 3 車型に対象を絞り,それぞれの
5月
-31,090
-10.9%
車型の自動車を購入する場合についての分析を行った.軽
6月
-22,954
-5.5%
自動車は減税額が小さく発生する余剰金が小さく,また,
7月
-1,551
-0.8%
8月
13,613
7.1%
9月
24,761
10.2%
10 月
38,389
14.3%
11 月
81,896
49.3%
12 月
71,531
26.5%
1月
65,894
42.8%
2月
75,153
38.5%
2009 年
セダンとその他は減税対象車が少ないことから分析の対象
外とした.
表1
車型
ハッチバック
ミニバン
ハイブリッド
カー(HV)
セダン
軽自動車
その他
本研究での車型の分類
定義
客室と荷室が一体化し,排気
量 1500cc 以下のもの
3 列目シートがあり,6 人以
上の定員をもつもの
動力としてエンジン以外に
モーターを積んだもの
エンジンルーム,客室,荷室
が独立しているもの
排気量 660cc 以下のもの
上記 5 車型以外
エコカー
減税額※[円]
60,664
2010 年
107,308
3.3 対象とした世帯属性
142,294
上田ら 6)は,家族属性が家計消費に与える影響を分析し,
-
子供の学齢が高くなるほど消費支出・消費性向が高くなる
-
としている.そこで本研究では,子供のいる三・四人世帯
※エコカー減税額は,2009 年 4~9 月の新車販売上位 30 位の車種 4)の値を車
を子供の学齢別に 3 属性(0~6 歳:未就学児,7~15 歳:義務
型別に販売台数で加重平均した値である.
教育就学児,16~22 歳:義務教育修了以降在学中の者)に分
3.2 シナリオ設定
け,それぞれ分析対象とした.子供のいる二人世帯・五人
次に,減税が実施された 2009 年 4 月以降の新車販売台数
以上の世帯では,子供の学齢以外の要因が大きくなること
は,表 2 に示すように大きく増加しており,この販売台数
から分析対象外とした.
の増加の要因の一つに減税の効果があると言えよう.増加
また,国内の半数以上を占める単身世帯及び二人世帯は,
した販売台数の内訳としては,自動車を新規購入した消費
全国消費実態調査 7)の匿名ミクロデータ(以降は「匿名デー
者,あるいは予定を前倒しして自動車を買い替えた消費者
タ」とする)を分析したところ,世帯主年齢が 20 代の単身
という 2 つのケースが考えられるが,前者の自動車を新規
世帯は金額あたりの CO2 排出量が最も多く,世帯主年齢が
購入した消費者においては,CO2 排出量の大きいガソリン
50 代の二人世代が最も小さい,という結果が得られた.そ
を利用し始めることになるため,自動車購入により CO2 排
こで,本研究では,単身世帯 20 代と二人世代 50 代を分析
出量は増加すると考えられる.また,予定を前倒しして自
対象とし,表 3 に挙げる世帯属性の分類による分析を行う
動車を買い替えた消費者においては,CO2 削減効果がなけ
れば,減税実施による CO2 削減効果はないと言える.
表 3 本研究で取り上げる世帯属性
従って,本研究では,予定を前倒しして自動車を買い替
(a)
単身世帯 20 代
えた消費者について,自動車の使用期間(購入から予定通り
(b)
二人世帯 50 代
の買い替えまでの期間)は 11.68 年 5)で共通とし,この買い
(c)
三・四人世帯 0-4 歳子供有り
替え予定を前倒しして自動車を買い替えた場合と予定通り
(d)
三・四人世帯 5-14 歳子供有り
(e)
三・四人世帯 15-24 歳子供有り
に自動車の買い替えを行った場合との比較により,どれだ
けの CO2 削減効果があるかについての検討を行った.具体
※インターネット調査での質問項目との対応から,集計する年齢は 5
歳刻みとなり,学齢での区分とは多少異なる.また,一つの世帯が複
数の属性に含まれる場合もある(例えば,四人世帯で 3 歳・8 歳の子供
がいる世帯などが該当する).
的には,買い替え予定の前倒し期間を 1~10 年(1 年刻み)と
設定し,この期間内において,燃費改善を統計的に分析し,
17
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4.インターネット調査
4.1 調査概要
次に,本研究では,減税などの余剰金の使途を調査する
ためにインターネット調査を実施した.対象者は,2009 年
4 月以降,実際にエコカー減税対象車を購入した 20 歳以上
の全国の男女とし,2010 年 1 月 26 日~1 月 29 日にインター
50%
(a)単身世帯
(b)二人世帯
(c)三・四人世帯0‐4歳子供有り世帯
(d)三・四人世帯5‐14歳子供有り世帯
(e)三・四人世帯15‐24歳子供有り世帯
40%
30%
20%
10%
0%
自動車関連用品
外食
家賃地代
その他食品
設備修繕
電気代
都市ガス
プロパンガス
上下水道
家電耐久財
室内装備装飾
家事サービス
被服
パック旅行
その他旅行
ガソリン軽油
授業料
娯楽耐久財
入場観覧
身の回り装飾品
こづかい
贈与
仕送り
預貯金
借入金返済
特になし
エコカー減税による余剰金の支出割合
こととした.
ネットにより実施した.質問項目は,主に,回答者及び世
帯の属性のほか,エコカー減税などによる余剰金の用途な
らびに購入前後の車種となっている.なお,有効回答数は
図 1 エコカー減税による余剰金の使途
429 件であった.ここで,回答者の属性を表 4 に示す.
5
6
7~
8
13
7
9
9
12
15
13
12
98
3
6
15
15
16
15
7
13
6
5
101
3
8
19
33
28
28
13
8
2
1
143
2
1
3
5
12
7
4
3
1
2
4
5
4
1
1
1
1
1
38
13
8
1
9
30
54
70
70
65
44
42
27
18
429
30%
20%
10%
0%
図 2 エコカー補助金による余剰金の使途
4.2 調査結果
燃費改善による余剰金の支出割合
まず,インターネット調査の結果,すなわち,各余剰金
の用途を図 1~3 に示し,さらに,買い替え前後の車型の相
関を図 4 に示す.なお,本研究では,燃費改善が CO2 排出
量の増加に与える影響は支出の増加だけであるとし,走行
距離の変化は考慮していないことに注意されたい.また,
インターネット調査のサンプル数が少なかったため,単身
(a)単身世帯
(b)二人世帯
(c)三・四人世帯0‐4歳子供有り世帯
(d)三・四人世帯5‐14歳子供有り世帯
(e)三・四人世帯15‐24歳子供有り世帯
40%
30%
20%
10%
0%
自動車関連用品
外食
家賃地代
その他食品
設備修繕
電気代
都市ガス
プロパンガス
上下水道
家電耐久財
室内装備装飾
家事サービス
被服
パック旅行
その他旅行
ガソリン軽油
授業料
娯楽耐久財
入場観覧
身の回り装飾品
こづかい
贈与
仕送り
預貯金
借入金返済
特になし
世帯と二人世帯においては,回答者の年齢による分類をせ
50%
ずに表記した.
5.正味 CO2 削減量の算出
図 3
5.1 買い替え予定前倒しによる CO2 削減量
次に,燃費の改善による CO2 削減量の算出には,買い替
燃費改善による余剰金の使途
元の車型:ハッチバック
元の車型:HV
元の車型:セダン
走行距離は世帯属性ごとに異なるものとして分析を行った.
(1) 各車両の燃費
まず,買い替え後の車型 v の自動車のカタログ燃費(10.15
モード燃費)fmv,new[km/L]を表 5 に示す.本研究では表 1 に
挙げた車型のうち,ハッチバック・ミニバン・HV への買
い替えに伴う正味 CO2 削減量の分析を行うこととしており,
例えば,比較的燃費の悪いミニバンへ買い替えを行う世帯
80%
60%
40%
20%
0%
図 4
では買い替え前の車型もミニバンであるなど,買い替える
18
元の車型:ミニバン
元の車型:軽自動車
元の車型:その他
100%
ハッチバック
本研究では,買い替え前後の燃費は買い替える車型ごとに,
以前所有していた車型の割合
え前後の自動車の燃費と走行距離が必要となる.そこで,
購入車型
自動車買い替え前後の車型の相関
その他
28
4
セダン
3
1
4
3
軽自動車
1
6
4
4
5
2
(a)単身世帯
(b)二人世帯
(c)三・四人世帯0‐4歳子供有り世帯
(d)三・四人世帯5‐14歳子供有り世帯
(e)三・四人世帯15‐24歳子供有り世帯
40%
HV
1
合
計
ミニバン
世帯人員数[人]
50%
自動車関連用品
外食
家賃地代
その他食品
設備修繕
電気代
都市ガス
プロパンガス
上下水道
家電耐久財
室内装備装飾
家事サービス
被服
パック旅行
その他旅行
ガソリン軽油
授業料
娯楽耐久財
入場観覧
身の回り装飾品
こづかい
贈与
仕送り
預貯金
借入金返済
特になし
回答者
年齢
[歳]
21-25
26-30
31-35
36-40
41-45
46-50
51-55
56-60
61-65
66-70
合計
エコカー補助金による余剰金の支出割合
表 4 インターネット調査回答者属性
Journal of Japan Society of Energy and Resources, Vol. 31, No. 6
車型ごとに買い替え前の自動車の燃費は異なると予想され
fmv ,bef ,t  fmv ,bef ( 2008)
8)
る.従って,本研究では,2008 年の全車販売データ をも
とに,表 1 に挙げた各車型 v のカタログ燃費(10.15 モード
車を買い替えることになり,fmv,bef,t は買い替える車型及び
前の車型の割合(図 4 参照)で加重平均することで買い替え
予定の前倒し年数 t の関数として表わされることとなる.
前の車型を考慮することとした.なお,ここで求められた
また本研究では,2009 年の新車販売数が公表される前で
燃費は 2008 年時点での値であり,購入当時の燃費について
あったため,2008 年の新車販売データ 7)から fmv,type を算出
は,この値よりも劣ると考えられる.従って,この値を購
しているが,表 5 に示すように 2009 年 4~9 月新車販売上位
入当時の販売モード燃費(各年で販売された新車の 10.15 モ
30 台のデータから算出した fmv,new と比較的値が近いことか
ードの平均燃費)と 2008 年度の販売モード燃費で補正する
ら,これらの値は整合性があるものと判断した.
ことによって,車型 v へ買い替えたケースでの買い替え前
表 5 各車型の燃費の比較
の車の 10.15 モード燃費 fmv,bef,t[km/L]を算出することとした.
2008 年新車販売デー
ここで,販売モード燃費の経年変化を図 5 に示す.
車型 v
10.15モード燃費[km/L]
…(2)
fmave ( 2008)
この式から,前倒し年数 t が大きいほど燃費の良い自動
燃費)fmv,type[km/L]を求めた(表 5 参照).ここでは,買い替え
回帰式から求めた
販売モード燃費fmave(x)
fmave ( 2008u t )
2009 年 4~9 月新車販売
タ 7)から算出した 10.15
上位 30 位のデータか
モード燃費
ら算出した 10.15 モー
fmv,type[km/L]
ド燃費 fmv,new[km/L]
18
ハッチバック
19.2
21.4
17
ミニバン
14.1
14.1
16
HV
35.5
35.4
15
セダン
14.6
16.2
販売モード燃費実績値
14
13
12
軽自動車
21.4
-
その他
12.0
14.0
また,10.15 モード燃費による検討であるが,実燃費と
11
10.15 モード燃費には乖離があり,走行条件や操作方法によ
10
1996
1998
2000
2002
2004
2006
2008
っても影響を受けることが知られている 9)~11).従って,(1)
2010
x[年]
及び(2)式で得られた関係を,本研究では工藤らの研究結果
fmave(x) [km/L]:x 年における販売モード燃費
を利用し,10.15 モード燃費 fmv[km/L]を実燃費 fav,[km/L]に
t [年]:買い替えの前倒し年数(1~10 年)
補正することとした((3)式参照)11).また,HV の実燃費 faHV
u [年]:2009 年度の自動車の平均使用年数(11.68)5)
の算出には,(4)式を利用することとした 11).
x [年]:算出する販売モード燃費の西暦
※本研究では,自動車の使用期間を 11.68 年としていることから,1997
年~2009 年(過去 12 年間)の実績値について回帰した.
図5
10.15 モード燃費の回帰式と実績値の比較
fav  0.760 fmv
…(3)
fa HV  0.622 fm HV
…(4)
(2) 燃費改善による CO2 削減量
図 5 より,本研究では,販売モード燃費は,経年変化に
まず,各世帯属性の走行距離は,匿名データを利用し,
対して線形で表すことができるため,販売モード燃費の回
自動車を1台以上所有している世帯のガソリン支出額から
帰式を次式で示すこととした.
算出した.また,ガソリン支出額から走行距離への換算に
fm ave( x )  0.352 x  690.07
R  0.98
2
…(1)
は,2004 年 9~11 月(単身世帯は 10~11 月)のガソリン価格 12)
及び保有モード燃費
次に,買い替え予定を t 年早めたときの買い替え前の自
13)
を(3)式により実燃費に換算した値
を利用した.
動車の 10.15 モード燃費の算出式を(2)式に示す.なお,
実際には,世帯属性ごとに保有している車型の傾向が異
fmv,bef(2008)[km/L]は,車型 v の自動車への買い替えを行った
なり,世帯属性間で保有モード燃費には差があることが考
ケースにおける買い替え前の自動車の燃費を表し,ハッチ
えられる.しかしながら,本研究では,車型別の分析を行
バック購入時が 16.7,ミニバン購入時が 15.0 及び HV 購入
っており,例えば,ファミリー世帯がミニバンを選好する
時が 15.5 である.また,ミニバン購入時において,買い替
傾向があるなどの傾向があることから,世帯属性間の影響
え後の燃費を下回っているのは,図 4 からも明らかなよう
は間接的に考慮されていることになる.従って,各世帯の
に買い替え前の車型にミニバン以外が含まれていることに
保有モード燃費は一律とし,この仮定に基づいた世帯属性
よるものである.
i の月間走行距離 di [km/月]を表 6 のように評価した.
19
Journal off Japan Societty of Energy aand Resourcess, Vol. 31, No. 6
表 6 各世帯属
属性の月間走行
行距離
世帯属性 i
の増加要因とそ
その算出方法
5.2 CO2 排出量の
月間走行距
距離
(1) 余剰金の消費
費によるリバウ
ウンド効果
di[km/月]]
((a)単身世帯 20 代
526
次に,減税を利
次
利用し,自動車
車を買い替える
ることで発生す
す
((b)二人世帯 50 代
447
る余
余剰金には,(i)自動車購入時
時に支払額が割
割引されるエコ
コ
(c)三・四人
人世帯 0-4 歳子供
供有り世帯
397
(d)三・四人
人世帯 5-14 歳子
子供有り世帯
カー
ー減税,(ii)自動
動車購入後に申
申請を行うこと
とで口座に振り
405
(e)三・四人
人世帯 15-24 歳子
子供有り世帯
402
込ま
まれるエコカー
ー補助金,(iii)自
自動車買い替え
えにより燃費が
が
改善
善されることで
で発生する燃費
費改善による余
余剰金の 3 種類
類
次に,買い替
替え行動に伴う各世帯属性に
における走行距
距離
があ
ある.
の影響について
の
ては,図 6 から
ら以下のように
に説明される.
.
これらの余剰金
こ
金が消費支出に
に回されること
とで,リバウン
ン
燃費の良い自
自動車への買い
い替えを早める
ることは,燃料
料消
ド効
効果が発生する
るが,本来,(ii)や(ii)は自動車
車購入へ充てら
ら
費量が減り
費
CO
O2 排出量の削減
減に繋がる一方
方で,走行距離
離が
れる
るもので,こう
うした余剰金が
が消費支出に回
回されるとは限
限
増加し,CO
増
排出量の増加に
に繋がることも予想される.
.し
2 排
らな
ない.従って,本研究では, 4 章で述べた
たインターネッ
ッ
かしながら,
か
表 5 に示すよう
うに保有モード
ド燃費(各年で保
保有
ト調
調査の結果をも
もとに,これら
ら余剰金の消費
費によるリバウ
ウ
されている自動
さ
動車の平均燃費
費)の上昇に対
対し,1 台あた りの
ンド
ド効果の算出を
を行った.この
のインターネッ
ット調査では,
走行距離は減少
走
少し続けている
ることから,自動車の買い替
自
替え,
表 7 に示す 26 の項目に支出金
金額を記入させ
せる形で行い,こ
すなわち,燃費
す
費の改善により走行距離は短
短期的に増加す
する
れら
らの項目は,家
家計調査 17)の月
月次変化が大き
きい項目,定額
額
ろ減
可能性はあるも
可
ものの,長期的
的にみると走行
行距離はむしろ
給付
付金の用途に関
関する調査 18)を
をもとに作成した.なお,各
各
少していくと予
少
予想される(図
図 6 参照).従っ
って,本研究で
では
項目
目に対応する CO
C 2 排出原単位
位の作成には,
,3EID
自動車買い替え
自
え前後で走行距
距離は変化しな
ないものとして
て扱
利用
用した.また,全国消費実態調
全
調査の項目分類
類は粗く,3EIID
った.但し,実
っ
実際は,一世帯
帯あたりの保有
有台数の増加や
やガ
との
の項目対応が困
困難である.そ
そこで,まず,より詳細な項
項
ソリン価格に対
ソ
対する走行距離
離の影響も考え
えられるため,
,今
目が
が存在する家計
計調査と 3EID
D とで項目対応
応を取って家計
計
後,燃費改善の
後
のみの効果に伴
伴うリバウンド効果について
ても
調査
査の項目別 CO
O2 排出原単位を
を作成した後に
に,全国消費実
実
より詳細に検討
よ
討することとし
したい.
態調
調査の項目に集
集約した 21).本
本研究における
る集約作業にあ
あ
19), 20)
を
たっ
っては,全国消
消費実態調査の
の項目別支出額
額を用いたが,
単身
身世帯と二人以
以上の世帯とで
で細目の支出構
構成が異なるた
た
め,これらの世帯
帯においては, 別々の CO2 排出原単位が得
排
得
られ
れることとなる
る.ここで,各
各支出項目及び
びその CO2 排出
出
原単
単位については
は,表 7 に示す
すとおりである.なお,表 7
の 1~21 番目まで
での実際の消費
費に回ると考え
えられる項目を
を
消費
費支出項目とし
し,22~26 番目
目までの項目に
については,実
実
際の
の消費に回され
れないことから
ら,自動車購入
入へと充てられ
れ
たも
ものと想定し,これらの項目
目の CO2 排出量
量原単位は 0 と
※1台あたりの年
年間走行距離は,自家用車の年間走
自
行キロ
保有台数 15)で割る
ることで算出した
た.
図6
14)
を自家用
用車の
した
た.
次に,各余剰金
次
金のリバウンド
ド効果から発生
生する CO2 排出
出
保有モー
ード燃費(保有さ
されている車両
両の平均燃費))と 1
台
台あたりの年間
間走行キロの相
相関
量の
の算出方法につ
ついて述べる.世帯属性 i での余剰金 j によ
よ
る 1 円あたりの CO
C 2 発生量 unittii,j[g-CO2/円]は
は(5)式より求め
め,
以上の分析を
をもとに,世帯
帯属性 i,買い替
替え車型 v のケ
ケー
これ
れに余剰金 j の金額
の
wj を乗じ
じることで,(6
6)式における余
余
ス で 買 い 替 え 予 定 t 年 前 倒 し し た と き の CO2 削 減 量
剰金
金 j による CO2 発生量 Ereb,i[kkg-CO2]の大き
きさを算出した
た.
Ai,v,t[kg-CO2/月]]を(5)式により
り算出した.
なお
お,ここで,k は支出項目(表
は
7 参照), CO2factor(j)
f
[g-CO
O2/
 di
di 

Ai ,v ,t  
unittgas
 fav ,bef ,t fav ,new 


円]は項目 j の CO
C 2 排出原単位
位,rate(i,j)[%]は,世帯属性
性 i
… (5)
の支
支出項目 j への
の支出割合及び
び wj[%]は余剰金
金 j の金額(エコ
コ
カー
ー減税は表 1 で示される金額
で
額とし,また,エコカー補助
助
ここで,fav,nnew[km/L]は買い
い替え後の車型
型 v の自動車の
の実
金は
は 100,000 円,及び燃費改善
善による余剰金
金額は各世帯属
属
燃費(買い替え
燃
後の自動車の 10.15 モード燃
燃費 fmv,new を((3)式
性の
の月間走行距離
離及び買い替え
え前後の自動車
車の燃費の差か
か
により求められ
に
れた値),また,unitgas[kg-CO
O2/L]は,ガソ リン
ら算
算出した)である.
の使用段階にお
の
おける CO2 排出量(2.321 kg-CO2/L)16)であ
ある.
20
Journal of Japan Society of Energy and Resources, Vol. 31, No. 6
2008 年の新車販売データ
表 7 インターネット調査での支出先の選択肢及び
CO2 排出原単位
支出項目 k
とに 3EID を利用し算出した
CO2 排出原単位[g-CO2/円]
普通世帯
単身世帯
Ecarv  p v t
(二人以上の世帯)
消費支出項目
非消費支出
項目
1 自動車関連用品
2 外食
3 家賃地代
4 その他食品
5 設備修繕
6 電気代
7 都市ガス
8 プロパンガス
9 上下水道
10 家電耐久財
11 室内装備装飾
12 家事サービス
13 被服
14 パック旅行
15 その他旅行
16 ガソリン軽油
17 授業料
18 娯楽用耐久財
19 入場観覧
20 身の回り装飾品
21 こづかい
22 贈与金
23 仕送り金
24 預貯金
25 借入金返済
26 特になし
2.10
1.50
0.45
1.68
1.63
22.30
19.41
13.65
4.55
1.83
1.41
3.28
1.29
0.58
7.42
31.85
0.77
1.09
1.93
1.03
2.39
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
14)
2.12
1.54
0.45
1.72
1.67
22.30
19.41
13.65
4.55
1.68
1.48
4.14
1.28
0.58
7.42
31.85
0.83
1.14
1.58
1.04
2.39
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
から求めた車型別の価格をも
19),20)
.
…(7)
u
ここで,pv[kg-CO2]は車型 v の自動車への買い替えケース
での買い替え前の自動車の製造時 CO2 排出量(ハッチバッ
ク購入時 4421,ミニバン購入時 5038 及び HV 購入時 4593),
t[年]は前倒し期間(1~10 年),及び u[年]は 2009 年度の自動
車平均使用年数(11.68)5)である.
5.3 正味 CO2 削減量の算出
以上の結果から,世帯属性 i について,車型 v の車両を
購入したケースのときの買い替え予定を t 年前倒し時の正
味 CO2 削減効果 Neti,v,t[kg-CO2]は(8)式により求められる.
Net i ,v ,t  12tAi ,v ,t  Erebi  Ecarv
…(8)
6.結果及び考察
まず,インターネット調査結果(図 1~3 参照)より,どの
余剰金(エコカー減税,エコカー補助金及び燃費改善による
燃料支出減少額相当)においても非消費支出項目以外への
支出が認められ,すなわち,各余剰金の消費によるリバウ
ンド効果が発生していることが分かる.このことから,減
26
uniti 
( CO
2
factork ratei ,k )
税の実施により,自動車以外の消費も増えていることが推
…(5)
測された.特に,単身世帯においては,エコカー減税や補
k 1
Erebi 

j
unit i w j
1000
助金及び走行距離が長いことに伴う燃料支出減少相当の余
…(6)
剰金の支出が大きいと考えられため,以下の分析では,そ
れらの影響を中心に考察することとした.
インターネット調査の結果から,算出した各余剰金 1 円
(2) 自動車のライフサイクル CO2 排出量
次に,自動車のライフサイクル CO2 について述べる.
当たりの CO2 発生量は図 7 のようになった.この図から,
自動車の販売台数の増加は,自動車製造時の CO2 排出量
例えば,子供のいる世帯((c),(d),(e))では金額当たりの CO2
増加に繋がっていると言える.しかしながら,分析対象と
発生量が小さい.これは,各余剰金で子供のいる世帯で非
する消費者(予定を前倒しして自動車を買い替える消費者)
消費支出項目への支出割合が比較的高くなっており,消費
では,後に予定通りに同じ自動車を購入すると考えること
へ回る金額が少なくなっていたためである.
によって,LCA の観点から買い替え後の自動車の製造時の
2.00
1.80
れることによって寿命が短くなっており,本来,乗り続け
1.60
余剰金1円あたりのCO2発生量[g‐CO2]
CO2 排出量は無視できる.一方,買い替え予定が前倒しさ
るはずであった自動車が廃棄されていることになる.従っ
て,買い替え予定を前倒しすることは,買い替え前の自動
車の製造に係る CO2 の一部を排出していると考え,本研究
においては,買い替え前の自動車の製造時 CO2 排出量の一
部を自動車のライフサイクル CO2 排出量 Ecar[kg-CO2]とし
単身世帯
二人世帯
0‐4歳子供有り三・四人世帯
5‐14歳子供有り三・四人世帯
15‐24歳子供有り三・四人世帯
1.40
1.20
1.00
0.80
0.60
0.40
0.20
0.00
て計上することとした.ここで,自動車の製造時のライフ
エコカー減税
エコカー補助金
燃費改善
余剰金の発生元
サイクル CO2 は(7)式により計算されるものとし,このとき
の買い替え前の自動車の製造時 CO2 排出量は,後述するイ
図7
ンターネット調査から買い替え前後の車型の相関を調べ,
21
各余剰金 1 円当たりの CO2 発生量の大きさ
Journal of Japan Society of Energy and Resources, Vol. 31, No. 6
次に,自動車の買い替え予定を 1 年前倒しした場合の 1
さくなる.また,自動車のライフサイクルによる CO2 増加
年あたりの CO2 増減量を表 8 に示す.表中の赤掛け部分は
量は,前倒し年数を増やすごとに,まだ乗れるはずの自動
CO2 排出量増加ケースである.
車を廃棄することとなるので,増加することになるが,1
年あたりで評価した場合には,相対的にそれほど大きく変
表 8 買い替えを 1 年前倒しした場合の
CO2 排出量増減量
CO2 排出増減量[kg-CO2/年]
HV
ハッチバック
ミニバン
購入時
購入時
購入時
わらない結果となった.
7.おわりに
CO2 削減
効果
CO2 排出
増加量
CO2 削減
効果
CO2 排出
増加量
CO2 削減
効果
CO2 排出
増加量
これまでの結果から,減税によるリバウンド効果は存在
世帯
属性
576
489
434
444
440
614
653
534
516
559
287
244
216
221
219
710
744
642
602
646
946
803
713
729
723
777
788
680
611
674
し,自動車への購入補助が別の消費支出を増加させている
ことが分かった.このことから,景気対策としての補助金
政策は有効であるが,CO2 削減を意図した補助金政策は,
(a)
(b)
(c)
(d)
(e)
リバウンド効果により CO2 削減効果が低くなる可能性が示
唆された.
次に,世帯属性別に各余剰金の使途を考慮した CO2 排出
量の分析を行ったところ,子供のいる世帯では余剰金額当
※表中の赤掛け部分は,正味 CO2 排出量の増加(増加量が削減量を上回
る)となっているケースである
たりの CO2 排出量が小さい結果となった.これは預貯金な
どの非消費支出への配分割合が高かったためと考えられる.
このとき,燃費の改善値が小さく,CO2 削減効果の小さ
また,リバウンド効果を考慮した場合,CO2 削減が可能
いミニバン購入時では,全ての世帯において買い替え前倒
な車型は HV のみであるが,一方で,子供のいる世帯では
しによる CO2 削減効果がない結果となった.また,ハッチ
一般的にミニバン購入割合は高いと考えられ,燃費の改善
バック購入時においても同様な結果が得られた.一方で,
や買い替え期間の前倒しによる CO2 削減効果は期待できな
HV 購入時には全ての世帯で正味 CO2 削減効果があること
い.しかしながら,当該世帯においては,支出額 1 円あた
が示唆された.このときの CO2 排出量の増加要因の内訳を
りの CO2 排出量は小さくなる傾向があるため,補助金など
車型別・世帯構成別に図 8 に示す.この図から,1年前倒
の余剰金の消費による CO2 排出量は抑えられ,リバウンド
し時には,エコカー減税及びエコカー補助金によるリバウ
の影響は少ないといえよう.
ンド効果が,リバウンド全体の 3~4 割を占めていることが
次に,余剰金の使途は,自動車関連用品,旅行,ガソリ
分かる.また,特に,単身世帯や二人世帯におけるリバウ
ン・軽油などの特定の項目が大半を占める結果となった.
ンド効果が高いことが分かる.
これらの項目の CO2 排出原単位は比較的高く,補助金の消
減税
補助金
燃費改善
費による CO2 増加量の使途を抑えるためには,他の CO2 排
買い替え前倒し
出原単位が低い特定の項目や,または他の省エネ製品,例
えばエコ家電などにリバウンド先を限定させてしまうこと
が効果的と考えられる.一方で,(a)単身世帯 20 代では,
(c)三・四人世帯
0‐6歳子供有り
(d)三・四人世帯
7‐15歳子供有り
排出増加量を含めた正味削減効果については,最も大きく
HV
ミニバン
ハッチバック
HV
ミニバン
ハッチバック
HV
ミニバン
HV
(a)単身世帯20代 (b)二人世帯50代
ハッチバック
ミニバン
HV
ハッチバック
ミニバン
支出額 1 円あたりのリバウンド効果が大きかったが,CO2
ハッチバック
1年あたりのCO2増加量[kg‐CO2/年]
900
800
700
600
500
400
300
200
100
0
なる結果となった.これは世帯(a)では月間走行距離が長か
ったためと考えられ,自動車の買い替えに対する補助金政
(e)三・四人世帯
16‐22歳子供有り
策については,長距離を乗る属性を対象とすることがより
世帯属性及び買い替え車型
有効であるといえよう.
図 8 各世帯属性別 CO2 排出量増加要因の内訳
(買い替え予定 1 年前倒し時)
最後に,本研究では,買い替える車型ごとに CO2 削減効
果の評価を行った.その結果として,ミニバン購入時には
また,2 年以上の前倒しについても同じような結果であ
全ての世帯属性で正味 CO2 削減効果は無く,CO2 削減の観
るが,前倒し期間が長くなれば,余剰金の消費による CO2
点からはミニバンへの購入補助は望ましくないと示唆され
排出量増加への影響は小さくなり,自動車のライフサイク
た.一方,HV への買い替えでは,買い替え予定を前倒し
ルからの CO2 排出量増加が大半を占める結果となった.な
するケースにおいて,全ての世帯で正味 CO2 削減量がある
お,減税や補助金による CO2 排出増加量は前倒し年数で等
結果となった.すなわち,今後のエコカー減税・エコカー
分されるため,1 年の前倒しのケースと比較すると値は小
補助金の適用条件としては,より直接 CO2 削減効果の大き
22
Journal of Japan Society of Energy and Resources, Vol. 31, No. 6
い車型へ導入していくことが望ましいと考えられよう.な
(2000)
お,本研究のリバウンド効果等に関する結果については,
11) 工藤祐揮, 松橋啓介, 近藤美則, 小林伸治, 森口祐一,
各世帯別の走行距離が影響している.しかしながら,本研
八木田浩史; 乗用車の 10・15 モード燃費の向上による
究においては,包括的な分析を目的としているため,当該
実燃費の推移に関する統計解析, 日本エネルギー学会
データについては,全国消費実態調査の匿名データのガソ
誌, 87(11), 930-937, (2008)
リン支出額から走行距離を求めており,そのため実際の走
12) 自動車輸送統計 年報;
行距離に対しては不確実性があることが考えられる.従っ
http://www.mlit.go.jp/k-toukei/search/excel/06 (アクセス
て,今後は,当該研究結果のより詳細な分析について,各
日 2010.2.28)
利用者に対する利用実態等に基づいた評価を行うこととし
13) 自 動 車 検 査 登 録 情 報 協 会
たい.
http://www.airia.or.jp/number/pdf/03_1.pdf ( ア ク セ ス 日
2010.5.5)
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2010.4.1)
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21) 井原智彦, 本瀬良子, 工藤祐揮; 産業連関表を用いた
に関するパネル調査」個票データによるミクロ分析,
家計消費支出に伴う CO2 排出解析の考察, 第 37 回環境
フィナンシャル・レビュー, 34-50, (2005)
7)
システム研究論文発表会講演集, 267-273, (2009)
総務省 平成 16 年全国消費実態調査;
謝辞
http://www.stat.go.jp/data/zensho/2004/index.htm
8)
9)
車種別保有台数;
くるまーと 国産全車 2009 年販売台数ランキング,
本研究の一部は,環境省の地球環境研究総合推進費
http://kurumart.jp/ranking/back/total2009.html
(RF087: 日常生活における満足度向上とCO2 削減を両立可
佐野雅之, 大野栄嗣, 小竹忠; Web 収集データによる実
能な消費者行動に関する研究)の支援により実施された.ま
走行燃費とカタログ燃費の乖離要因の分析, 自動車技
た,解析に際しては,(独)統計センターが一橋大学経済研
術会 2009 年秋季大会, (2009)
究所付属社会科学統計情報センターを通じて提供する全国
10) 佐川直人, 坂口隆洋; 低燃費車の普及の可能性と自家
消費実態調査(2004)の匿名データを独自に作成・加工した
用乗用車の燃料消費の動向, 第 16 回エネルギーシステ
統計を用いており,総務省が作成・公表している統計とは
ム・経済・環境コンファレンス講演論文, 545-548,
異なる.関係各位に謝意を表する.
23