アメリカン・エキスプレス、世界12カ国で顧客サービスについての意識調査

PRESS RELEASE
2010 年 7 月 14 日
世界12カ国で聞く、顧客サービスについての意識調査
消費者にとって顧客サービスは今後ますます重要に
―日本の65%が顧客サービスの重要性が「高まっている」と回答-
日本では商品・サービスの購入先決定の決め手で、「メディア」への高い信頼
アメリカン・エキスプレス・インターナショナル, Inc.(東京都杉並区/日本社長:ロバート・サイデル)は、この度、
日本とその他 11 カ国の消費者 12,000 人に対して、顧客サービスに対する意識や考え方に関するインターネット
調査を実施しました。対象は、日本のほか、米国、カナダ、メキシコ、英国、フランス、ドイツ、オランダ、スペイン、
イタリア、インド、オーストラリアの計 12 カ国の 18 歳以上の 12,000 人(各国 1,000 人)です。このほど、本調査
の結果がまとまりましたので、日本の消費者 1,000 名の回答を中心に調査結果を発表します。
現在の経済環境において顧客サービスの重要性は上昇
◎ 76%が顧客サービスは「重要」、他国より低めの結果に
商品やサービスを購入する先を決める際に、顧客サービスがどの程度重要か聞いたところ、「非常に重
要」(22%)、「多少重要」(53%)を合わせると、76%の人が重要である、と答えています。日本以外の 11 カ
国では 8 割以上の人が重要である、と答えており、諸外国と比較すると低い認識となっています。
(%)
91
90
80
やや重要
98
100
76
30
91
10
93
88
92
83
87
45
89
15
25
28
27
60
26
36
54
62
53
88
40
62
30
74
67
65
64
45
20
10
90
85
70
50
とても重要
61
53
31
22
22
0
日本
米国
カナダ
メキシコ
※小数点第一位を四捨五入しています。
フランス
ドイツ
イタリア
英国
スペイン
オランダ オーストラ
リア
インド
本調査の結果について、学習院大学の青木幸弘教授は、日本には「サービス」という言葉に対し、付加価
値を与える「サービス」と、あって当たり前の「サービス」の 2 種類が無意識的に存在し、その 2 種類のサービ
スへの対応が今回の調査ではっきりと現れていた、と分析しています。(詳細 P5 ご参照)
◎ 現在の経済状況下で顧客サービスの重要性は「高まっている」-65%
昨今の経済状況において、顧客サービスの重要性がどのように変化しているか、との質問に対して、23%
が重要性が「変わらない」としているものの、65%は「高まっている」と答えています。現在の経済状況では、
ますます顧客サービスが求められていることが明らかになりました。
ただし、8 カ国では 3 割以上の人が「変わらない」と答えており、日本とは若干、意識の差があります。
◎ 日本の消費者が満足いく顧客サービス体験に対して支払う対価は、商品・サービスの 10%
満足いく顧客サービスに対して、追加で対価を支払う意思はありますか、と聞いたところ、38%が「支払う
意思がある」と答え、その対価は商品・サービスの代金の 10%でした。他国と比較すると、日本では支払う意
思がある人は少ないものの、良いサービスに対して余分に支払う対価は高くなっています。欧米のように、習
慣として顧客サービスに対し対価を支払う、という文化はないものの、良いサービスであれば、一割多く支払
っても良いと考えています。
支払いたい人が一番多かったのはインド(76%)で、一番少なかったのがオランダ(29%)でした。同様に
支払いたい対価が最も高かったのもインド(11%)で、最も低かったのもオランダ(7%)でした。
品物に対する対価(平均値)
(%)
支払う意思
76
80
70
10
9
65
60
8
58
50
42
55
52
7
11
10
8
50
7
9
7
7
40
30
54
8
60
57
12
8
8
38
6
29
4
20
2
10
0
0
日本
米国
カナダ
メキシコ
フランス
ドイツ
イタリア
英国
スペイン
オランダ オーストラ
リア
インド
アメリカン・エキスプレス・インターナショナル, Inc 日本 社長のロバート・サイデルは、次のように述べてい
ます。「現在の経済環境の中で、消費者はコストパフォーマンスを意識し、質の高いカスタマー・サービスを求
めていることがわかりました。良いサービスを受けた時、その対価としてもっと支払っても良い、という意思が
あることは明らかで、企業にとって、カスタマー・サービスをきちんと理解し、提供することはビジネス成長の
機会につながるでしょう」
物より気持ちが欲しい日本の消費者。嫌な思いは2回まで。
◎ 嫌な思いをした時に、企業は「謝罪をすべき」-“物より気持ち”の日本
顧客に嫌な思いをさせてしまった場合、問題を解決する以外に企業がすべきことは、という質問(複数回
答)に対しては、日本の 79%が「謝罪をすること」と答えました。その他の「返金」(35%)、「割引(クーポン)を
提供すること」(31%)、「無料で商品・サービスを提供すること」(46%)などを大きく引き離しています。
12 カ国で見ても「謝罪をすること」は英国(80%)に次いで、オーストラリア(79%)と並んで高い割合となっ
ており、日本では物よりも気持ちで謝意を表して欲しい、と考える傾向にあるようです。
2
◎ “嫌な思い”をした後は「7%」のディスカウントを希望
納得いかない顧客サービスを受けた経験のある会社からもう一度品物やサービスを購入するとしたら、何%の
ディスカウントがあると良いか、という質問に対しては、「7%」という各国平均と比較しても非常に低い数値が示さ
れました。最も高いカナダ(23%)と比較すると、希望ディスカウント価格に 16%の差があることになります。
(%)
25
23
23
22
21
21
22
19
20
19
20
20
16
15
10
7
5
0
日本
米国
カナダ
メキシコ フランス
ドイツ
イタリア
英国
スペイン オランダ オーストラ インド
リア
◎ 顧客サービスに関する嫌な思いは、「1.9回までなら許せる」
嫌な思いをしたことを理由にその企業からの次回以降の商品やサービスの購入を止めるまでに、何回までなら
許容できるか、と尋ねたところ、「2 回」と答えた人が最も多く 43%となりました。平均すると、日本での許容範囲は
1.9 回でした。最も低い許容回数はフランスの 1.8 回で、最も許容度が高かったのはインド(2.4 回)でした。
購入先を決める要素は、「自分の体験」、「マスコミ報道」そして「オンライン上の口コミ」
◎ 購入先を決める際に影響を与える要素トップ3:
1位「(過去の)実体験」、2位「企業の評判・ブランド」、3位「マスコミ」
商品やサービスを購入する先を決める際に影響を与える要素を聞いたところ(複数回答)、1位が「(過去
の自分の)実体験」(93%)、2位が「企業の評判・ブランド」(78%)、そして、3位が「マスコミ」(72%)となりま
した。トップ3に「マスコミ」が挙がったのは日本だけで、メディアの報道への信頼度が高く、消費行動に大きく
影響を与えていることがわかりました。
また、購入先決定時に重要視する要素トップ3は1位「価格に対する価値」(91%)、2位「(購入品の)メリッ
ト」(90%)、3位「(購入品の)印象・イメージ」(83%)でした。
◎ 61%「オンラインレビューを見る」
企業の顧客サービスに関する情報を得る時に、ウェブ上のレビューを参考にする(いつも参考にする、よく
参考にするの合計)割合は日本全体の 61%にも上り、レビューサイト、口コミサイトの影響力が見て取れま
す。マスコミ以外でもオンライン上の情報が人々の意思決定に比較的大きな影響を与えているようです。
「インターネットの登場によって、カスタマー・サービスの質はこれまでになく、透明性が高まり、誰もが評価
や意見を共有できるようになっています。オンライン上では、企業が提供するサービス・商品の良い評価も重
要ですが、悪い噂が広まる事もあります。誰でもオンライン上で広く意見を交換できるようになった今、企業と
消費者の間のやりとりはさらに重要になるでしょう」とアメリカン・エキスプレス日本社長、サイデルは語ってい
ます。
3
専門家からのコメント
青木 幸弘氏(学習院大学経済学部 教授)
今回の調査結果から見えたことは、どうも日本では「サービス」について、二つの側面で捉えているということです。
まず一つは、本当の意味での付加価値を生み出すような「サービス」で、これは、そのようなサービスを受けること
が感動につながるようなサービス、プラスアルファの体験を味わわせてくれるサービスです。そして、もう一つが、あっ
て当たり前の「サービス」です。つまり、付加価値を生み出すというよりは、あくまでも商品に付帯する“無料の役務”(タ
ダでしてくれること)と取れるものです。英語では同じ service という言葉ですが、このような 2 種類のサービス観が存在
しているように思われます。
今回の調査結果を見ると、同じ「サービス」という言葉でも、このような 2 種類のサービス観で、日本の消費者はお
そらく無意識的に、読み分けたり使い分けていることがわかります。あって当たり前のサービスへの評価と付加価値を
生み出し感動につながるようなサービスへの対応がはっきり異なっていたことが特徴的でした。
付加価値や感動を生み出すサービスでも、あって当たり前のサービスでも、評価のベースにはサービスの提供者
に対する信頼感や期待があります。元々サービスのレベルが高いこともあり、また、日本の商習慣によって作り上げら
れた独自のサービス文化の中で、サービスはタダが当たり前、信頼する企業からは期待通りのサービスが受けられて
当たり前と思うようになっているのかもしれません。このために、少しでもサービスに違和感や不満があると、期待を裏
切られたような気持ちになり、失望感が増します。また、信頼感がベースにあるからこそ、お金や物で片付けてほしく
ない、というのも日本独特の考え方かもしれません。失望させられた思いを、まずは気持ちで返してほしい、というシン
プルな考え方です。返金やディスカウントよりも謝罪がほしい、という回答が多いのは、このためだと思われます。
今回の調査結果から見られた日本的な特徴として、購入先を決めるにあたってメディアへの信頼度が高い点も挙
げられます。サービスの評価は主観的なものですが、それだけに、自分の体験だけでなく、自分以外の第三者の意見
も参考にした上で、自分の考えを再確認するプロセスが必要となりますが、その際に、メディアという第三者の比重が
高いのは、ある意味で、日本の消費者の意思決定プロセスの特徴かもしれません。ただし、日本に限らず、インターネ
ットの浸透により消費者行動は大きく変化しています。従来と異なり、不特定多数の消費者“仲間”と自らの経験を共
有することができるようになりました。企業と消費者の関わり方も自ずと変化してくるはずです。
停滞している経済環境の下、今回の調査結果が示すように、顧客満足度やロイヤリティの向上に結びつくサービ
スの重要性は高まっていると言えるでしょう。互いにより良い関係を築くことを、企業だけでなく消費者も望んでいるよ
うに思えます。ただし、そのためには、必要条件としてのサービス(あって当たり前のサービス)で、顧客の期待と信頼
を裏切らず、付加価値や感動につながる十分条件としてのサービスに注力していくことが必要です。単にお題目として
顧客サービスや顧客満足を標榜するのではなく、消費者の意識をよく理解して、商品やサービスを提供していくことが、
今後さらに企業に求められていくのではないでしょうか。 <談>
青木幸弘(あおき・ゆきひろ)
一橋大学大学院商学研究科博士課程修了後、同大学商学部助手、関西学院大学商学部助教授を経て 1995 年より学習院大学経済学部
経営学科教授。専門は消費者行動論、ブランド論。
日本商業学会、日本消費者行動研究学会所属。主な著作、監修は、『顧客はなぜ、あなたの会社を見限るのか』(実務教育出版、1999
年)、『消費者行動研究の新展開』(千倉書房、2004 年)、『ライフコース・マーケティング』(日本経済新聞出版社、2008 年)など。
4
【調査概要】
調 査 名 :
アメリカン・エキスプレス・グローバル・カスタマー・サービス・バロメーター
調査方法:
オンライン調査
調査対象:
18 歳以上の男女
サンプル数: 計 12,000 名(各国 1,000 名)
調査実施国:
日本、米国、カナダ、メキシコ、英国、フランス、ドイツ、オランダ、スペイン、イタリア、インド、オー
ストラリア
実施期間:
2010 年 4 月 21 日~4 月 27 日
調査協力:
エコー・リサーチ社(英国)
※ 本調査における「顧客サービス」とは、消費者の日常生活で手にする商品やサービスに付随するものです
(例:レストラン、デパート等の店員の対応、商品購入後のアフターサービスなど)。企業間のビジネスにおけるサ
ービスとは異なります。
アメリカン・エキスプレスについて
1850 年(嘉永 3 年)米国ニューヨーク州にて創立したグローバル・サービス・カンパニーです。多様な商品・サー
ビスを通し個人顧客には「特別な体験」を、また卓越したデータ分析や経費削減ツールを用い幅広い法人顧客
のビジネス成長を支援しています。日本では、1917 年(大正 6 年)に横浜に支店を開設し、世界に広がる独自の
加盟店ネットワークと、世界 140 カ国以上のトラベル・サービス拠点を通じ、最高品質のサービスを提供しつづけ
ています。また、日本最大級の加盟店網を持つ JCB との加盟店業務提携により、従来からのホテル、レストラン
や小売店などに加え、公共料金からスーパーマーケット、ドラッグストアなど日々の生活で利用できる加盟店が
拡大しています。
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