東南アジアの経済発展と航空需要の関係

2015 年度秋学期航空操縦学専攻卒業研究前刷
東南アジアの経済発展と航空需要の関係
指導教員
利根川
豊
教授
研究者 2BEO1207 市原裕久
1. 緒言
ら段階的な航空自由化に向けての働きが進め
経済成長著しい東南アジアの経済発展と航
られている。すでに域内航空自由化を果たし
空需要の関係を調べ、東南アジア諸国のこれ
た EU について触れ、ASEAN の航空自由化
からの航空需要を考察することを目的とす
について考察した。そして現在急成長してい
る。約 6 億人の人口を抱える東南アジアにお
る ASEAN 内の LCC について紹介した。
いて航空運送事業は重要な役割を担ってい
3.2 インドネシアとベトナムについて
る。また経済発展も著しく、これから世界の
ASEAN 内で一番の人口を抱え、GDP も
中枢を担っていくと考えられる地域である。
ASEAN 内で 1 位のインドネシアについて基
このような多くの人口を抱え、経済発展して
本情報から調べ、経済発展と航空需要の関係
いこうとしている地域の航空需要を考察する
について考察した。アジア通貨危機以降、イ
ことは有意義であると考えた。
ンドネシアは安定した経済成長を続けてい
る。航空運送旅客数も経済成長と共に伸びて
2. 研究方法
国土交通省、IDE-JETRO、世界経済のネ
いたが、度重なる爆弾テロ事件の影響により
国際旅客数は伸び悩んでいた。しかしユドヨ
タ帳などから国の経済成長率や人口を参考に
ノ政権時にアルカイダ系テロ組織を撲滅した
した。また航空需要については航空会社の資
事により国内情勢と政治が安定し航空運送旅
料などを参考にして調査した。年代ごとに国
客数は伸びた。同様に ASEAN の主要都市が
内総生産と経済成長率をまとめ、航空運送旅
全て 3 時間圏内にあるベトナムについても調
客貨物数と比較した。
べ、考察した。ベトナムは経済成長率が
5.5%~7.8%であり、安定して経済成長してい
3. これまでの研究成果
る。また IATA による調査でベトナムの航空
3.1ASEAN について
市場成長率は世界第 7 位であると発表され
インドネシア、シンガポール、マレーシ
た。つまりベトナムの航空運送旅客数は年々
ア、タイ、フィリピンの ASEAN 主要 5 カ国
増えている。ベトナムでは経済成長すると航
と呼ばれる国々はほとんど陸続きではない。
空需要が伸びるという事が明確に示された。
そのため加盟国間を移動する時の基本は空路
3.3 航空会社設立の提案
である。1995 年の ASEAN 第 5 回公式首脳
以上 ASEAN について調べた事をもとに、
会議ではオープンスカイポリシーを展開する
以下のような航空会社の設立を提案する。
ことを含む、行動計画が採用された。それか
EU でシェア 1 位のライアンエアーやマレー
2015 年度秋学期航空操縦学専攻卒業研究前刷
シアの LCC であるエアアジアの戦略を参考
[1]インドネシア(平成 20 年 4 月版)国土交
に様々な検討を行った結果、ベトナムのホー
通
チミンを拠点に会社を設立する事が最適であ
http://www.mlit.go.jp/common/000121668.p
ると導き出された。ホーチミンから ASEAN
df
内の主要都市であるジャカルタ、シンガポー
[2]インドネシア経済の現在位置 IDE-
ル、バンコク、クアラルンプール、マニラの
JETRO
5 都市は飛行時間 3 時間圏内にある。ベトナ
http://www.ide.go.jp/Japanese/Publish/Dow
ム航空とジェットスターパシフィックの 2 社
nload/Seisaku/pdf/1303_satoyuri.pdf
の路線と価格を参考に、ホーチミンから主要
[3]世界経済のネタ帳 http://ecodb.net/
5 都市をダイレクトで結ぶ路線を作り、主に
[4]花岡伸也:ASEAN の航空―自由化とロー
ビジネス客を対象とした価格設定やサービス
コストキャリアより
を行う航空会社にする。
http://www.ide.titech.ac.jp/~hanaoka/takeoff.pdf
4. 研究結果
人口約 6 億人を抱える ASEAN は経済成長
[5]花岡伸也:アジアにおける航空自由化の
進展とローコストキャリアの展開より
が著しく、それに伴い航空需要が伸びている
http://www.ide.titech.ac.jp/~hanaoka/ASEA
という事が分かった。しかし航空需要が伸び
N_2.pdf
る為には安定した政治、テロ対策などが必要
[6] Is Africa bigger than North America?よ
不可欠であった。また ASEAN 内での航空自
り:
由化に向けた話も進んでいるため、これから
http://bl.ocks.org/zanarmstrong/raw/caa2da
益々ASEAN 内での航空運送事業の重要性が
1ea1558cdc3357/#scale=668.5&center0=-
高まってきている。特に ASEAN では LCC
7.720228791424001,-
が非常に多く利用されているのでこれからの
117.33593953897604&center1=-
展開に注目が集まっている。
52.49264438030729,-17.902234622409367
これからより経済発展していく ASEAN に
[7]ベトジョーベトナムニュースより
おいて新たな航空会社を設立する事を提案す
http://www.viet-
る。ライアンエアー、エアアジアの戦略を元
jo.com/news/economy/110106110356.html
に自分はベトナムのホーチミンに航空会社を
http://www.viet-
設立する事が最適であると考えた。ASEAN
jo.com/news/statistics/151123071116.html
主要 5 都市が 3 時間圏内にある為、主にビジ
[8]ライアンエアー:ルートマップ
ネス客を狙った航空会社にする。価格をベト
https://www.ryanair.com/gb/en/cheap-flight-
ナム航空より安く抑え、他の LCC では運航
destinations
していない主要 5 都市へのダイレクト路線を
運航する。
参考文献