小反芻獣疫(PPR):小型反芻動物の生産に対する課題

小反芻獣疫(PPR):小型反芻動物の生産に対する課題
Peste des Petits Ruminants (PPR)
A challenge for small ruminant production
(仮訳)鹿児島大学 岡本嘉六
小型反芻動物の役割と小反芻獣疫(PPR)の分布
ヒツジとヤギは、世界の多くの貧しい人々が飼育している主要な家畜種の一
つである。ヤギは「貧しい人々の牛」であり、ヒツジは牛乳や家族が摂取する
ための肉の乳だけでなく、とくに不景気において、家計の支出のいくらかを支
払う収入源としても飼育されている。この重要な経済的役割に加えて、ヒツジ
とヤギは葬儀、婚姻の財産、祭りおよび休日などの文化的な活動においても重
要である。
小反芻獣疫(PPR)は、牛の牛疫ウイルスと人間の麻疹ウイルスと同じ科の
ウイルスによって引き起こされる野生および家畜の小型反芻動物におけるきわ
めて伝播力が高い越境性動物疾患である。
PPR の典型的な臨床像は、流涙と鼻汁、口の糜爛、肺炎および重度の下痢
に続く高熱、沈鬱、喫食停止によって特徴付けられる急性型である。群れの多
くの動物が同時に感染し、それらの大半が死亡する。PPR は、小型反芻動物集
団の重要な死亡原因である。
小型反芻動物の飼育密度
経済的影響
コートジボワールの象牙海岸で 1942 年に初めて記録されて以来、PPR の地
理的分布はアフリカ、中近東およびアジアの広大な地域に着実に拡大してきた。
この 病気によって引き起こされる重大な直接的な経済損失は、動物の移動
およびその副産物の貿易制限を管理するに当局による衛生対策によって、しば
しば、さらに悪化する。PPR が発生した受けた国における高度の負の経済的影
響のため、この病気は FAO の緊急予防システム(EMPRES)プログラムの優
先事項の 一つである。
動物疾病協議会は、2000 年代初頭に、貧困緩和政策で考慮すべき重要な動
物疾病の 一つとして PPR を選び出した。
発生地域別のリスクに曝されている小型反芻動物
中央アジア
43,118,821
極東
171,997,500
647,518,989
中近東
264,275,400
アフリカ
リスクに曝されている総数
1,126,910,710
世界の小型反芻動物の総数
1,801,434,416
リスクに曝されている世界の型反芻動物の割合
62.5%
戦略
● 政府と利害関係者は、PPR の重要性、その影響、新しい地域や領域へ広
がるリスクに対して敏感になる。
● 世界および地域の戦略と工程表が策定され、監視される(とくに発生動向
調査と予防接種のための地域的取り組み方)。
● 的を絞った介入策のための社会経済的背景および農業システムの側面にお
いて疫学・生態学の理解が改善される。
● 非常に効率的な弱毒生ワクチン、全ての小型反芻動物の声明を保護する予
防接種などの予防対策が裏付けられる。
● 小型反芻動物群の衛生と疾病予防を改善するその他のキャンペーンを結び
付け、利用可能な資源を最大化する。
牛疫と同様に、PPR の撲滅と達成可能な目標があることを信じる正当な理
由がある。