摩擦減震装置「UFO-E」の原理と安全性 SMRC 株式会社 (原理) 1、UFO-Eが負担する荷重mに対して摩擦抵抗μで地震加速度αを相殺する(ブレーキ 効果) 地震力 Fe=mα 静止摩擦抵抗 Ff=mμ 2、共有の質量mを定数にしているので、設置間隔を変えて負担荷重が代わっても地震力と 摩擦抵抗が共有の定数と変数で正比例するため、木造構造体に悪影響を及ぼす複雑な振 動を与えたり、剛性のバランスを欠いて偏芯する様な恐れが少ない 3、UFO-E の摩擦抵抗発生のメカニズム (1)UFO-EVH20 は摩擦板3枚で構成されており地震波の1ストロークの間に2度静 止摩擦を発生させる、摩擦面を3面持つ構造で、各滑り板の孔径は大中小3種類とし、 最大変位を5㎜程度に設定している。 (2)UFO-EA5 は摩擦板3枚で構成されており地震波の1ストロークの間に1度静止摩 擦を発生させる、摩擦面を2面持つ構造で、各滑り板の孔径は大小2種類とし、最大 変位を5㎜程度に設定している。 (3)摩擦抵抗で消失したエネルギーは1ストロークの中で積算される為、実質摩擦抵抗 μ=0.3 とμ=0.5 の摩擦面を組み合わせると理論上摩擦抵抗は積算されμ=0.8 とな る。東洋大学工業技術研究所で実施した、実寸断面で設計した振動実験小屋に UFO-E を装着した、阪神淡路地震波による実験結果においても、UFO-E を挟んだ土台の加 速度は 400gal 程度の加速度に収まっている。 ←UFO-EVH20 実験写真 (4)東洋大学工業技術研究所で実施した、2枚重ねの UFO-EA5の阪神淡路地震波に よる同様の実験においても 400gal~500gal の減震が確認されており、阪神淡路級の 大型地震に十分有効であることが確認されている。 (5)実質(建物に UFO-E を装着した状態を想定)最低摩擦抵抗をμ=0.3、α=300gal と想定しているため、UFO-E が作動するのは、耐震等級③の 300gal を超えてから となり、建築基準法上はスライドしない固定された、基礎パッキン扱い(UFO-E5 型では、基礎レベル調整パッキン扱い)となる。 しかしながら、実際は設計基準を超える大型地震にのみ作用する大型地震対応の有 効な減震装置といえる。 一般床組み土台 2×4、根太レス剛床 摩擦減震装置「UFO-E」の取付状況 (安全性) 1、原理から来る UFO-E の機能と安全性 (1)設置間隔に関係なく、つまり、地震による水平荷重同様、負担荷重に比例して摩擦 抵抗は発生し減震する (2)固有振動を発生する、バネ及びゴムを摩擦面に介在しないので、応答解析の必要な 複雑な振動減衰挙動も、共振もない。 (3)免震構造と同じ絶縁工法なので、土台から上部の建物構造体に地震エネルギーが到 達する前に減震し、構造体の耐震性に影響を与えない 2、設計の工夫からくる機能と安全性 (1)通気パッキンの機能を最大限に生かす為、通常の基礎パッキン PP 材より強度の高 い亜鉛合金製(圧縮強度は 15KN/㎝2)を使用し、ツバ付き円筒形(UFO を伏せた 形)にすることで、通気量を多くしている。 (2)上部を木造土台の強度に合わせて大きく、下部は基礎のコンクリート強度に合わせ て小さく設計しており、上部にテーパーが付いているのは、断熱基礎部分にスポンジ パッキン材等を取り付ける時の気密性を確保する為。 (3)素材の亜鉛合金の防錆については、摩擦面は空気に接することが少なく、雨仕舞い の施された、土台下に使用される限り、安全である。 (4)アンカーボルトへの影響は、UFO-E 装置により、水平荷重が減じられるばかりか、 摩擦面を基礎面から 6.5 ㎜以下としているので、さらに、アンカーボルトへの負担は 通常の基礎パッキンより少ない。 3、施工性の考慮 (1)形状が円盤形の為、360度方向の滑り摩擦に対応する (2)円板を仮留めしているゴムバンドは、耐久性を重視した工業用ゴムであり、取付の 時に各円板の中心を保つためのあくまで仮であり、UFO-E アンカーボルト等に取り つけ後のゴムの破損は減震効果に影響が無い。 (3)UFO-E の孔をアンカーボルトに貫通させて基礎と土台の間に取り付ける、簡単施 工。 (4)軸力の大きい柱下、HD 付きの柱下等には、アンカーボルトの役目をするピンが組 み込まれたピン付き UFO-E をコンクリート釘などで仮止めして、各土台下に取り付 ける ←ピン付き摩擦減震装置「UFO-E」 (5)2枚がさねの UFO-EA5 においては、ピンは必要なく、HD 柱下等のアンカーボル トの無い個所には、コンクリートボンド等で仮固定し、土台を載せるで、建物荷重に より固定される。 (6)アンカーボルトのナット及び座金は UFO-E 専用の締め過ぎ防止兼緩み防止ゴム付 きダブルロックナットを使用することで、効果的に摩擦減震効果とナットの緩みを防 止することが出来る 「座金付き UFO ナット」 上面(凸付き) ゴム付きロックナット 下面(平坦) (7)基礎形状別使用例 ①気密住宅、基礎断熱用は UFO-EA5㎜を使用する ②一般住宅、床通気型住宅は UFO-EVH20 ㎜を使用する ③UFO-EV9㎜は使用個所が風通しの良い乾燥した敷地に限定されるので受注生産品 としている。 4、許容施工精度について (1)住宅1戸当たり、100個前後の UFO-E(1個当たりの耐圧荷重 300KN)が、地 震荷重及び摩擦荷重を負担する。つまり100個前後で負担するので若干の支障は全 体の減震効果に影響が少ない。 (2)アンカーボルトの錐径を限度いっぱいのφ24、座彫り径をφ65としているので、 通り芯に対して、機能的にも、外見上も、1cm前後の誤差は許容出来る。 (3)1.5 ㎜を超える、基礎天端の不陸は亜鉛合金製の専用アジャスターを用意している。 (4)座彫り深さはクリアランスを含め最低30㎜必要なので、最小の90×90の土台 の場合、アンカーボルトの下がり防止措置が必要。 (5)UFO-E 専用の締め過ぎ防止兼緩み防止ゴム付きダブルロックナットを使用すると、 スクリュー座金(ナット)のように、木痩せによる緩みの心配もなく、トルク調整付 きのドライバーによる締め付けで、緩みもなく、木材の繊維を傷めることなく、減震 効果を阻害する締めつけもなく土台を固定することが出来きる。 (6)HD のボルト(ワイヤー付きで台直し不要のものもある)は木材を傷める締め過ぎ もさることながら、ナットの緩み止めは重要なので、ダブルナットを標準としたい。 その際、下部ナットは手締め、スパナ止めのうえ、上部ナットをドリルで締めつける。 5、設置基準(在来、2×4共通) 木造住宅全般を対象に、在来軸組み床組み、2×4プラットホーム、剛床・根太レス床組 み等の土台と基礎の間に挟み込むように設置する (1)UFO-EA5㎜の場合 基礎と土台のクリアランスは5㎜と少なく撓みの許容範囲なので、土台のせん断破 壊の心配は少なく、根太レスの精度を確保する撓みの恐れのあるところに重点的に設 置する。 ① 全てのアンカーボルト個所に設置する。 ② 全ての構造柱の個所の土台下に設置する。 ③ UFO-Eの間隔は1.5m以下(2×4の場合、構造区画の壁は1m以下)とす る。 ④ その他、撓みの恐れのあるところに設置する。 ⑤ 図指、特記、及び工事監理(設計監理)者の指示がある場合は、それによる。 (2)UFO-EVH20 ㎜(標準の場合) 基礎から20㎜の空きが出来ると、土台のせん断破壊も考慮しなければならないの で、アンカーボルトの個所と集中荷重の掛かる柱の土台下を標準とする ① ② ③ ④ 全てのアンカーボルト個所に設置する。 全ての構造柱の個所の土台下に設置する。 UFO-Eの間隔は1.5m以下とする。 ピアノ等、大きな荷重を受ける大引きを支える箇所の土台下に設置する。 ⑤ 土台つなぎ部分(土台つなぎの蟻がけ及び、鎌がけの根元、又は、付き付け部分) と柱中心までの距離が400㎜を超える場合は、受け側の土台下に設置する。 ⑥ 図指、特記、及び工事監理(設計監理)者の指示がある場合は、それによる。
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