6月9日

平成26年度
理 科 だ よ り
長崎市立茂木中学校
平成26年6月9日
文責
岩永
聡輔
かなぶん
かなぶんぶん 勘違い?間違い?
俗にカナブンと呼ばれる昆虫は、コガネムシのなかまの「アオドウガネ」が正式な名前です。
左の写真は、ほぼ実物大の「アオドウガネ」です。漢字では「青銅金」と
書きます。では、図鑑で調べた「カナブン」は、
右の昆虫です。漢字では「金蚊」と書きます。右
の写真も、ほぼ実物大です。普通「カナブン」と
呼ばれる「アオドウガネ」と、図鑑にのっている
本物の「カナブン」は、生態もかなり違います。
カナブンは、カブトムシやクワガタと同じようにクヌギなどの樹液
を食べます。アオドウガネは樹木や草の葉を食べます。アオドウガネ
の幼虫(左の写真)は、農作物の根を食い荒らす害虫
です。カブトムシの幼虫と勘違いしている人もいますが、これ以上大きくなりま
せん。どんなに育ててもカブトムシにはならないのです。
なぜカナブンか?飛んでいるときの羽音から「かなぶんぶん」や「ぶんぶん」
と呼ぶ地域もあるそうです。アオドウガネは夜に光によってくる性質があります
ので、家庭でも良く目にする昆虫です。電灯のまわりを「かなぶんぶん」と飛んでいるところから
から「かなぶん」と呼ばれるようになったのでしょうか。
なお、本物のカナブンは光に集まる性質はありません。でも、カブトムシ・クワガタを目的とし
た昆虫採集では、目的の昆虫の数倍、数十倍の確率で目にすることができます。かなぶんの色は、
緑・茶・黒と様々ですが、長崎県では緑が多いようです。
最近、やや個体数が減ってきた「ドウガネブイブイ」(銅鉦蚉蚉)というコガネムシのなかまが
いますが、アオドウガネと同じ形をして色がこげ茶色という昆虫です。「どうがねぶいぶい」が正
式な名前とは、変な名前をつけられてしまった昆虫ですね。
待宵草と月見草
文豪や詩人も 勘違い?間違い?
竹久夢二の「宵待草」、太宰治の「富嶽百景」は、理科的には間違いがあります。
「よいまちぐさ」という植物はありません。「まつよいぐさ」ならあります。竹久夢二が意識的
に「宵」と「待」をいれかえて言葉のひびきを良くしたのでは?という説と単に間違えただけとい
う説がありますが、これは本人に聞かないとよくわかりません。さらには、「待宵草」ではなくて
本当は「月見草」ではなかったのかという説まであります。
「富嶽百景」の一節「富士には月見草がよく似合う」では、太宰治が見たのは「月見草」ではな
くて「待宵草」だったという説が有力のようです。
待宵草も月見草も元々は日本には自生していなかった植物です。今から150年ほど前から、日
本と海外との交流が盛んになって、海外の植物も様々なものに紛れ込み、日本で生育するようにな
ってきました。その頃やってきたのが待宵草と月見草です。どちらも、夜に花を咲かせます。それ
で「宵を待つ」「月を見る」という意味の名前がつきました。日本に定着したもの、一時的には広
がったが気候が合わなかったのかそのうちになくなったも
のなど様々です。だから、文豪が、どこでいつの時代にそ
の文章を書いたかで、ある程度はどの植物だったのかが予
想できるのです。富士山に似合う月見草は、本当はオオマ
ツヨイグサという植物だったという説は有力のようです。
今、茂木地区ではヒルザキツキミソウ、コマツヨイグサ
の2種類が見られます。月見草が白い花、待宵草が黄色い ヒルザキツキミソウ
コマツヨイグサ
花というのが、単純な見分け方です。
「昼に咲く月見草」とは、不思議な名前ですね。
理科のおじさんより
天体観測不発のお詫び
先月、天体観測会を計画していましたが、微小粒子状物質(PM2.5)や黄砂のためか、木星・火
星とも見え始めるのが遅く、生徒が観察できるような時間ではなくなってしまいました。(部活動
夕方7時完全下校というのに夜7時30分ごろの観察には無理がありました。)
夕方6時30分頃に土星と火星が観察できる9月末に、再度、天体観測会を実施しますので、それ
までお待ちください。