-1- 【ジェットト−チを用いた低コストアルミMIGロボットシステム】 (株)神戸

【ジェットト−チを用いた低コストアルミMIGロボットシステム】
(株)神戸製鋼所アルミ・銅カンパニ−
1.はじめに
ワ イヤ送給装 置
Wire feeder
神戸製鋼所アルミ・銅カンパニーではアルミMIG溶接の課
溶接 ワイヤ
Welding wire
題であるワイヤの送給性改善に関し、高丸工業(株)
(尼崎市)
スプール
Spool
が鋼の高速溶接用に開発した後付型サ−ボ式プルト−チ(ジェ
ットト−チと称す)をアルミ用に展開し、かつ、鋼用電源を流
ロ ボット
トーチ
Robot
Torch
用できるアルミ溶接ロボットシステムを完成させました。
溶接継 手
鋼用
溶 接電源
Weld joint
Power source
for aluminum
アルミ溶接のトラブルはワイヤ送給に係わるものが多く、鋼
サーボ式プルトーチがアルミ溶接の普及に貢献するとの予測か
ロボ ット
制御盤
ポジショナ
Positioner
に比べて軟かいワイヤを確実に安定して送給することが可能な
Robot controller
Fig.1
一般的な鋼用溶接ロボットシステム
ら、神戸製鋼所アルミ・銅カンパニーではサーボ式プルトーチ
溶 接ワイ ヤ
搭載のロボットシステムにて溶接組立技術の開発を進めてきま
Welding wire
ワイヤ 送給 モータ
Wire feeding motor
センサ
Sensor
した。しかし、サ−ボ式プルト−チ搭載のロボットシステムパ
ッケ−ジは高価であり、アルミ溶接の普及に直結した効果をも
たらすものではありませんでした。そこで、既設または中古の
スプ ール
サー ボ
プ ルモ ータ
Servo motor
Pull motor
controller
ロボットを有効活用できれば設備コストを低減できるという発 ト ーチ
ロボ ット
Robot
Torch
溶接 継手
想のもと、後付型であるジェットトーチによるアルミ溶接の開
鋼用
溶接 電源
Weld joint
Power source
for aluminum
発に着手し、その結果、既設および鋼用溶接電源が備わったロ
ロボッ ト
制 御盤
ポジ ショナ
Positioner
ボットシステムにて実用的なアルミ溶接を実現することに成功
しました。
Spool
プ ルモ ータ
制御 盤
Robot controller
Fig.2
後付型サ−ボ式プルト−チシステム
2.本システムの特徴
Fig.1 に一般的な鋼用溶接ロボットシステムを、Fig.2 に 後付型サ−ボ式プルト−チシステム、Fig.3 に実際に構
築した設備構成例を示します。 本システムは以下2点の特徴があります。
(1)既設ロボット、または中古ロボットおよび鋼用溶接電源の組合せにプル式サ−ボト−チの後付が可能であ
り、安価な設備投資でアルミ溶接が実施できます。
(2)プル式のワイヤ送給方式の採用で 4000 系合金など軟質のワイヤでも安定した溶接が可能となります。
既設鋼用溶接電源
3.アルミ溶接への適用について
鋼用の直流溶接電源(パルス無)が結線
された既設の溶接ロボットに、プル式サ−
ボト−チを後付したアルミMIGロボット
システム(Fig.3)にて、アルミ溶接を実施し
既設ロボット
た結果を以下に示します。なお、溶接ワイ
ヤはφ 1.2mm の A4047WY を使用しました。
プル式サーボトーチ
Fig.3
インターフェース
構築した設備構成例
3.1.溶接電流範囲
鋼用の直流溶接電源(パルス無)を流用してアルミ溶接を行う場合、アルミ用直流パルス溶接電源に比べて溶
接電流範囲が狭められるものの適用可能範囲は 120 〜 200(A)と確保されていることが判ります(Fig.4)。
-1-
3.2
適用板厚
○:溶接可能
●:上限電流
▲:ビ−ド
形状悪化
△:ア−ク不
安定・ビ
−ド不良
30 0
重ねすみ肉継手(重ね代 20mm)における
▲
板厚と溶接速度の関係を Fig.5 に示します
○
●
△
す。適用最小板厚が 2mm で 200cpm を超え
る速度で溶接でき、100cpm にて板厚 2 〜
△
200
●
20 0
4mm の範囲で溶接可能なことが判ります。
△
×
△
継手性能
A6N01-T5 の角パイプ(3mmt × 50mm □)
のI形突合せ周溶接(1層仕上げ、余盛有)
△
の継手性能を Fig.6 に示す。鋼用の溶接電源
10 0
●
○
アルミ用
DCパルス
の継手強度特性(部材結合効率:母材比破
壊荷重)が得られることが判ります。
鋼用
パルス無
0
2
1
3
4
溶接電流範囲
板厚と溶接速度の関係
Fig.5
10 0
A5454-O、全長 500mm)を重ねすみ肉溶接
引張
破断部
HAZ
↓
Bond
↓
Depo
により閉断面化した構造物への適用例を示
破断部
HAZ
します。そのビード外観や断面マクロから
実用的なアルミ溶接が行われていることが
50
50
50
3t
形材 A
溶接 部
350
判ります。
4.おわりに
形材B
本システムは溶接条件範囲に制約が生じ
るものの、実用的なアルミ溶接をご提供で
0
アルミ用
DCパル ス
きることをご理解いただけたと思います。
鋼用
パルス無
引張
溶接電源の種類
既に鋼用溶接ロボットシステムをお持ちで
Fig.6
あれば、ジェットトーチを後付することで
試験体形状
継手強度特性
アルミ溶接を行うことが可能となります.
お問合せ先
500
高丸工業株式会社
閉断面部材
ホ−ムペ−ジUFRL:
http://www.takamaru.com
TEL:06-6483-3445
FAX:06-6483-3445
溶接ビード
〒 660-0805
1mm
Fig.7
兵庫県尼崎市西長洲町 1 丁目 6 番 30 号
開発協力:株式会社神戸製鋼所アルミ・銅カンパニー
断面マクロ
適用構造の一例
-2-
5
板厚,mm
構造物への適用
Fig.4
○○○
0
溶接電源の種類
Fig.7 に プ レ ス 加 工 部 材 ( 3.5mmt の
●
△
○
△
でも、アルミ用直流パルス電源とほぼ同等
3.4
●
○
1 00
3 50
3.3
○:溶接可能
●:上限電流
△:穴状欠陥
×:貫通
△
3 00