地上デジタル放送SFN中継の検討について Study of S.F.N. Network on the Digital Terrestrial Broadcastiong 電波伝搬シミュレーションシステム「エリアかくべえ」における検討方法 - S t u d y o f o n e m e t h o d o n t h e S i m ul a t i o n S y s t e m “ A RE A K A K U B E H “ - 岡 本 義 信 Yoshinobu OKAMOTO 近 藤 寿 志 田 中 Hisashi KONDO (株 ) 中 国 放 送 聡 Satoshi TANAKA エム・ディー・エス(株) Chuguku Broadcasting Co.,Ltd M D S C o . , L td I t i s im p o r t a n t p lo b l e m t o c o n s i d e r t h e o p t i m u m S . F .N . n e t w o r k o n t h e d i g i ta l t e r r e s t r i a l b r o a d c a s t i n g b u t it w i ll r e q ui r e a g re a t d e a l o f l ab o r an d a l o t o f ti m e T h i s p a p e r d i s c r i b e a b o u t o n e me t h o d o n t h e el ec t r o m a g n e t i c w a v e p r o p a g a ti o n s i m u l a ti o n s y s t e m “ AREAKAKUBEH” . 1. は じ め に このたび電波伝搬シミュレーション・システム のルート図を作成し、同時に遅延に関する数値を 設定する方式を取っている。 『エリアかくべえ』において、デジタル・テレビ 用のSFN対応システムの第 1 バージョンを開発 したので、その概要を紹介する。 今回のバージョンは、例えば県域エリアを一つ 設定し、その中に多数のSFN送信所を配備した 場合の、SFN可能地点及び妨害が発生する地点 を色別で識別する事ができる。 第2バージョン以後では、各送信所毎のサービ スエリアを設定し、各々について検討できるもの にするが、この場合は、各々のサービスエリアを 記憶するデーターベースの形式を定める必要が有 り現在検討中である。またSFN同士の妨害検討 や単独局とSFNの妨害関係についても検討可能 なシステムを構築する予定である。 2.ルート図の作成 本システムでは、まず全ての送信所及び中継回線 F i g . 1 S e l e ct i o n o f i n ve s t i ga t e ar e a Fig.1 の 日 本 地 図 か ら S F N の 送 信 所 が あ る 地 域 を選択すると、その地域内のSFN対象送信所の 一 覧 表 が 現 わ れ Fi g . 2 の 表 で 演 奏 所 か ら そ の 送 信 所までの中継ルートを設定する。 F i g. 3 L i s t of d e la y ti m e Fi g . 2 L is t o f re l a y r o u t e この時または以後に、各送信所と中継所の伝送遅 延(給電線による遅延)、機器遅延(機器類によ る遅延)及び調整遅延(遅延装置による遅延設定 値)などを入力する。伝搬路による遅延は自動的 に計算し枠内に記入される。 こ の 表 を Fi g . 3 に 示 す 。 こ の 入 力 が 完 了 す る と Fig.4 の ル ー ト 図 が 描 か れる。 各中継所及び各送信所に関する設定一覧表をC S V 形 式 で 出 力 す れ ば 、 Table. 1 の よ う に エ ク セ ルなどの表計算ソフトで、整理して見ることがで F i g. 4 R e l a y r o u te きる。 S F N グ ル ー プ 登 録 一 覧 表 地点 N E 伝搬 1 8 5 .7 第 1 中 継 所 ホ-ム宇根山中継所 度 分 秒 34 32 52 133 4 33 伝送 機器 調整 0 0 0 計算式 山頂 Lc 使用する 最終送信所名 400910大 竹 H O ME 400024千 代 田 H O ME 400049可 部 H O ME 400047佐 東 H O ME 400029大 柿 H O ME 400002広 島 T SS 400020呉 H O ME 400914呉 広 H O ME 400063黒 瀬 H O ME 400022西 条 H O ME 400021三 次 H O ME 400023竹 原 H O ME 400044西 城 H O ME 400532三 原 H O ME 400004尾 道 H O ME 400530府 中 H O ME 400557福 山 西 H O ME 400531福 山 H O ME 福山石鎚山中継所 A’ 未使用 .0 0 秒 0 0 合計 1 8 5 .7 C’ ホ ゙タ ン :4 地点 N E 伝搬 0 第 2 中 継 所 R CC本 社 演 奏 所 度 分 秒 34 23 57 132 27 51 伝送 機器 調整 0 0 0 .0 0秒 0 0 合計 0 地点 N E 伝搬 3 8 .7 度 34 132 伝送 0 第 3 中 継 所 絵下山デジタル中継所 分 秒 18 52 32 18 機器 調整 0 0 .0 0 秒 0 0 合計 3 8 .7 反射係数 ホ ゙タ ン :既 定 値 伝搬 伝送 1 0 4 .5 1 2 4 .8 7 7 .5 65 6 5 .2 0 .6 3 5 .4 47 42 7 6 .9 1 1 8 .2 130 2 7 9 .3 1 6 5 .5 7 8 .8 2 3 .6 9 4 .6 1 4 .9 8 1 .4 機器 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 T ab l e. 1 調整 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 合計 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 4 .5 1 2 4 .8 7 7 .5 65 6 5 .2 0 .6 3 5 .4 47 42 7 6 .9 1 1 8 .2 130 2 7 9 .3 1 6 5 .5 7 8 .8 2 3 .6 9 4 .6 1 4 .9 8 1 .4 遅 延 総 計 ER P (W ) 回線名 垂 直 指 向 水 平 指 向 サ ー ビスエ リア 中 1 4 3 .3 4 .9 S F N _0 0 3_大大竹竹 ヌル 0 °大 竹 S F N _0 0 1_広N島 o.3県 全 域N o .2 1 6 3 .6 7 3 S F N _0 0 3_千千代代田田 ヌル 千 代 田 S F N _0 0 1_広N島 o.3県 全 域N o .2 1 1 6 .2 3 .2 S F N _0 0 3_可可部部 ヌル 0 °可 部 S F N _0 0 1_広N島 o.3県 全 域N o .2 1 0 3 .8 3 8 S F N _0 0 3_佐佐東東 ヌル 0 °佐 東 S F N _0 0 1_広N島 o.3県 全 域N o .2 1 0 3 .9 3 3 S F N _0 0 3_大H柿 O M E 大 柿H O M E 大 柿S F N _0 0 1_広N島 o.3県 全 域N o .2 3 9 .4 1 6 2 0 0 S F N _0 0 3_共デ同ジ実 タ験 ル 発デ 喜ジ 山タ ル 発S喜F 山 N _0 0 1_広N島 o.3県 全 域N o .2 7 4 .2 8 3 S F N _0 0 3_呉H O M E 呉 V H O M E 呉 H S F N _0 0 1_広N島 o.3県 全 域N o .2 8 5 .7 3 .8 S F N _0 0 3_呉呉広広 ヌル 0 °呉 広 S F N _0 0 1_広N島 o.3県 全 域N o .2 8 0 .8 9 .3 S F N _0 0 3_黒黒瀬瀬 ヌル 0 °黒 瀬 S F N _0 0 1_広N島 o.3県 全 域N o .2 1 1 5 .6 5 .6 S F N _0 0 3_西H条 O M E 西 条H O M E 西 条S F N _0 0 1_広N島 o.3県 全 域N o .2 3 4 2 .6 1 3 5 S F N _0 0 3_三H次 O M E 三 次H O M E 三 次S F N _0 0 1_広N島 o.1県 全 域N o .3 3 5 4 .4 1 4 0 S F N _0 0 3_竹H原 O M E 竹 原H O M E 竹 原S F N _0 0 1_広N島 o.1県 全 域N o .3 31 8 5 .6 S F N _0 0 3_西H条 O M E 西 条H O M E 西 条S F N _0 0 1_広N島 o.3県 全 域N o .2 2 0 4 .3 5 .4 S F N _0 0 3_三三原原 ヌル 0 °三 原 S F N _0 0 1_広N島 o.3県 全 域N o .2 3 0 3 .2 7 4 0 S F N _0 0 3_尾H道 O M E 尾 道H O M E 尾 道S F N _0 0 1_広N島 o.1県 全 域N o .3 3 2 9 .3 3 2 S F N _0 0 3_府H中 O M E 府 中H O M E 府 中S F N _0 0 1_広N島 o.0県 全 域N o .1 31 9 8 .9 S F N _0 0 3_福福山山西西 ヌル 福 山 西 S F N _0 0 1_広N島 o.1県 全 域N o .3 3 2 0 .7 1 6 5 S F N _0 0 3_福H山 OM 蔵E王 福 山H O M E 福 山S F N _0 0 1_広N島 o.0県 全 域N o .1 3 0 5 .8 0 S F N _0 0 3_福無山指石向鎚性山無デ利 ジ得 タ ル 無S指F 向 N _0 0 1_広N島 o.1県 全 域N o .3 L is t o f t r a ns m i s s i on s i te に な る よ う に 変 更 す る と F i g . 7, 8 の よ う に な る 。 3 .S F N 計 算 例 SFNでは当然のことながら周波数が同じであ るため、従来型の多チャンネル使用のアナログ放 送とは考え方が異なる。 一例として、当局の主要送信所18局のみで県 内をほぼ網羅する組み合わせを考え、アナログ・ こ こ で F ig . 5 と 7 の 灰 色 部 分 は 可 視 聴 最 低 電 界 に達していない地点を示す。 Fig.6 と 8 の 地 点 の 色 付 け は 、 所 要 D/U を 満 足 で き ず 、 所 要 D/ U に 対 し て 不 足 す る D / U 値 を マ イ ナスのマージンとして色分けで示している。 テレビの場合と同様の水平・垂直パターンを使用 垂直指向性の改善によって、無駄な不要電波が し、送信出力を10分の1にしてSFNを構築す 抑制され、なお且つ、SFNも構築し易くなって る と F ig . 5 , 6 の よ う に な る 。 いることが良く分かる 次 に 、 す べ て の 送 信 所 の 垂 直 パ タ ー ン を Fi g . Fig.9 に 垂 直 指 向 性 の 変 更 例 を 示 す 。 9に示すように、水平方向が上部のヌルポイント F i g . 5 S. F . N .a r e a (b e f o r e i m p r ov e m e nt o f t h e v e rt i c a l d i r ec t i v e t y) F i g . 6 In t e r fe r a n ce a r e a (b e f o re i m pr o v e m e nt of t h e v e rt i c a l di r e c ti v e t y) F i g . 7 S. F . N .a r e a (a f t e r im p r o ve m e n t o f t h e v e rt i c a l d i r ec t i v i t y) F i g . 8 In t e r fe r a n ce a r e a (a f t e r i m p ro v e m e n t o f t h e v e r ti c a l d ir e c t iv e t y ) F i g . 9 Ex a m p le f o r i m p r o ve m e n t o f th e v e r ti c a l d i r e ct i v e t y 従来のアナログテレビでは、垂直パターンの水 平より上部はピークを中心に反転した垂直パター 表と、仮の指向性を準備しているが、いずれも変 更可能である。 ンで考えていたが、SFNでは、水平方向及び水 平より上部の電界が重要となるため、詳しく垂直 パターンを調べ、今回は仮に上部のヌルポイント が水平方向になるようにチルトを掛けてみた。 アンテナメーカーの話によると、ヌルフィルイ ンが掛けられたアンテナの場合、一般にピークよ り上部に大きなヌルが発生する場合が多いが、ま れに、ピークの上下共にヌルフィルインが掛かる 場合も有るそうなので、垂直パターンの水平面よ り上部の指向性については、注意が必要である。 Fig.9 の 場 合 は 、 仮 に 作 っ た も の で 、 実 現 可 能 とは限らないものである。 F i g .1 0 H or i z on t a l d ir e c t iv i t y 4 .受 信 ア ン テ ナ の 指 向 性 SFNでは受信アンテナによる指向性を考慮し ないと実現が難しい。この指向特性については、 電通技審の答申のものを使うが、将来、受信電界 によって指向特性を変えた方が現実的と判断され る こ と も 予 想 さ れ る の で 、 Fig. 1 0 の よ う な 設 定 o f re c e i vi n g a n t e n n a 5 .交 差 偏 波 の 識 別 SFNでは交差偏波を巧みに使うことが求めら れる。この場合、受信アンテナの主ビーム方向の 交差偏波識別度を以下の表で設定できる。 しかし、交差偏波は、受信アンテナの方向によ って異なるため、交差偏波識別指向特性が必要に 様 々 な 改 善 を 実 施 す る ツ ー ル と し て 、 F i g . 14 の 妨 なる。これも電通技審の答申のものを使うが、将 害 波 一 覧 表 、 F i g.1 5 の 妨 害 状 況 立 体 表 示 、 F i g .1 6 来 そ の 他 の 特 性 が 必 要 に な っ た 場 合 の 対 応 も 可 能 。の O K 人 口 、 N G 人 口 一 覧 表 、 な ど が あ る 。 7 -1 .問 題 地 点 の 発 見 F i g . 1 1 O r t h og n a l w a v e p ol a r i za t i o n 6 .S F N の 基 本 設 定 SFN特有の設定としてガードインターバル、 シンボル長、同一プログラムの場合の再現回数、 などがある。 その他に、コンピュター・シミュレーション上 の 設 定 な ど を F i g .1 2 の 設 定 表 に 入 力 す る 。 ① メッシュデーターと計算ピッチについて は初めは荒く、次第に詳細に検討していくと時 間の節約になる。 ② 計算式については、申請書類の場合は郵 政方式で実施するが、その他の計算方式も採用 F i g . 1 3 I n t e rf e r a nc e a r e a Fig.13 に 妨 害 が 認 め ら れ る 地 図 を 紹 介 す る 。 D/U マ ー ジ ン が マ イ ナ ス で 指 定 し て あ る こ と か ら 、 色 が つ い て い る 地 点 の D/U が 不 足 し て い る こ とを表す。この地点にカーソルを合わせクリック す る と F i g .1 4 の 表 が 現 れ 、 全 て の 妨 害 局 か ら の 電 F i g . 1 4 L i s t o f i nt e r f e r an c e si t e 界その他のデーターを見ることができる。 ま た 同 時 に 、 F i g. 1 5 - 1 に 示 す 、 妨 害 波 が ど の 方 向からどんな大きさで飛んでくるか、その波の遅 F i g . 1 2 E x a m pl e o f D / U できる。 7 .詳 細 な 検 討 送信アンテナの指向性、送信電力、偏波などの 延状態はガードインターバルの内側か外側か、遅 延は進みか遅れかなどが一目でわかる立体表示画 面 が 現 れ る 。 こ の 表 示 は F ig . 1 5 -2 の 制 御 が 可 能 なため実に使い易い。 状態を人口で比較することができる。 8.計算の要領 計 算 を 開 始 す る に は F i g . 17 の 設 定 が 必 要 と な り、ガードインターバル長、シンボル長、及び同 一プログラムの場合のシンボル繰り返し可能回数 などを設定し、メッシュデーターと計算ピッチを F i g . 1 5 -1 3 D d i s p la y ( a l l s t a ti o n ) F i g . 1 5 -2 3 D d i s p la y ( I n t er f e r an c e st a t i o n ) 7 -2 .人 口 の 検 討 D / U 表 示 の 画 面 で 人 口 を 表 示 さ せ る と 、 F ig . 1 6 F i g .1 7 P ro p a ty o f c al c u l at i o n に示す人口一覧表を見ることができる。この人口 算出要領は本学会1999年冬季大会予稿集 に述べてある。 この表には視聴可能なOK人口、妨害を受ける NG人口及び一括サービスエリア(今回は県域) 内の総人口を見ることができるため、妨害の改善 上手に選びながら、繰り返し検討を重ねる。 9.むすび SFNを構築する場合、送信アンテナの垂直面 の指向性が極めて重要であることから、送信アン テナの3次元パターンを簡単に計算できる新たな システムが必要であることを痛感している。 10.今後の検討 冒頭に説明したように、今回のバージョンは第 一段階のもので今後引き続き一層検討し易いシス テムに成長させていく所存である。全送信所及び 全中継所の最適遅延量を自動的に計算できるシス テムや最初に改善すべき障害局の自動抽出システ ムなども視野に入れている。 F i g . 1 6 C a l u cu l a t io n o f po p u l at i o n http://kakube.rcc.ne.jp
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