食品コマーシャルにおける個食化と家族像 - Info Shako

「食品コマーシャルにおける個食化と家族像」
2004 年 1 月 28 日提出
指導教官
石井健一
筑波大学第三学群社会工学類
経営工学専攻
199901078
船越千都
目次
1. ................................................................................................................. 研究の目的
1.1.
研究目的と関連する研究 .................................................................................... 3
1.2.
「個食」について............................................................................................... 4
1.3.
本研究の仮説について........................................................................................ 4
2. ........................................................................................................................... 方法
2.1.
データベース CM@Navi のデータ ................................................................ 6
2.1.2.
分類間比較における分析項目の分類 ............................................................. 6
2.1.3.
時系列間の分析............................................................................................. 7
分析項目について............................................................................................... 7
2.2.1.
コマーシャルそのものについての項目.......................................................... 7
2.2.2.
基本タイプショットについて........................................................................ 8
2.2.3.
登場人物の構成について............................................................................... 8
2.2.4.
飲食者と調理者について............................................................................... 9
2.3.
分析方法について............................................................................................. 10
3. ................................................................................................................. 結果と考察
3.1.
調査の概観 ....................................................................................................... 12
3.1.1.
食品のコマーシャルについて.......................................................................12
3.1.2.
タイプショット............................................................................................12
3.1.3.
秒数 .............................................................................................................14
3.2.
1996・97 年と 2002・03 年の比較分析 ............................................................ 15
3.2.1.
節全体の仮説 ...............................................................................................15
3.2.2.
登場人物の分析〜仮説①の検証〜................................................................15
3.2.3.
家族構成の分析〜仮説②の検証〜................................................................17
3.2.4.
結論 .............................................................................................................20
3.3.
男女差の分析 ................................................................................................... 22
3.3.1.
男女差について............................................................................................22
3.3.2.
全体での男女の役割差の検定.......................................................................22
3.3.3.
分類別での役割差の検定..............................................................................23
3.4.
6
データの収集 ..................................................................................................... 6
2.1.1.
2.2.
3
登場人物の年齢分布の分析 ............................................................................... 26
3.4.1.
年齢分布について ........................................................................................26
3.4.2.
各分類間の登場人物年齢分布の検定〜仮説①の検証〜 ................................. 1
3.4.3.
国勢調査とコマーシャルの年齢分布の検定〜仮説②の検証〜....................... 3
1
12
3.5.
登場人物構成の分析 ........................................................................................... 5
3.5.1.
登場人物構成について .................................................................................. 5
3.5.2.
登場人物の検定............................................................................................. 6
3.6.
家族構成の分析 .................................................................................................. 8
3.6.1.
家族構成分析について .................................................................................. 8
3.6.2.
家族構成の検定〜仮説①の検証〜................................................................. 9
3.6.3.
国勢調査を含む検定〜仮説②の検証その1〜 ..............................................10
3.6.4.
個食傾向の検定〜仮説②の検証その2〜 .....................................................11
4. ........................................................................................................................... 結論
4.1.
3 章の各仮説と結果について ............................................................................ 14
4.2.
結論 ................................................................................................................. 16
5. .....................................................................................................................参考文献
2
14
16
1. 研究の目的
1.1. 研究目的と関連する研究
「食べる」という人の行動は、生物としての人の生命を維持するために必要である
ばかりでなく、人の心理的かつ精神的な発育成長そして維持のためにも大切なことで
ある。人が互いに交流を深めようとするとき、共に食べ、語るのである。昔から社会
を構成する最小単位「家族」においても、この「共に食べる」ことが当たり前のよう
に行われてきた。ところが昨今、この「当たり前」のことが、なにか違ってきている
ようなのである(青木義子
1999)。総務庁統計局の「国勢調査」によれば、18 歳未
満の親族がいる世帯にみられる核家族化や小家族化の進行、また子ども(きょうだい)
数の減少などを、特に顕著な変化としてあげることができるという。そして子どもの
7割が核家族の中で暮らし、子ども(きょうだい)数は2人が最も多く、1955 年には
5 人を維持していた世帯人員は年々減少し、2000 年の国勢調査では 2.66 人と半数近
くにも縮小している。日本人の価値観の変化、情報機器の発達による国内外からの過
剰な情報の流入、女性の社会進出、平均寿命の伸びなど様々な原因と世帯減少が相ま
って、家族そろって食卓を囲む機会は減少している(鈴木由紀生・小川俊樹
2001)。
本研究はこの中でも「情報機器の発達による国内外からの過剰な情報の流入」の中か
ら特に、テレビジョンといういまや一家に1台の時代から一人に1台、へと移行しつ
つある大きな広告媒体について大きな要因があるのでは、と考えた。
テレビジョンを介する広告、テレビコマーシャルはいまや、広告として必要不可欠
な存在であり、コマーシャルの構成次第で視聴者の心をうまく捉えることができれば、
商品の爆発的ヒットも期待できる。企業にとってこれほど期待度数の大きい広告であ
るコマーシャルは、しかしまた、同時にあまりにも多くの視聴者に同時に訴えかける
ためのインパクトや目新しさ、共感性を必要とする「テレビジョン」の中の一部でも
ある。そのため、現実とゆがんだ表現や誇張なども時には必要とされる。いつしか、
それら「仮想世界」の出来事や構成が、私たちの生きている「現実世界」の出来事や
構成に影響を与え、私たち視聴者は「ゆがんだ」世界を現実のものとして刷り込まれ
ながら生活しているのではないか。本論文では商品の種類だけ存在する無数のコマー
シャルの中から、特に私たちの生活に欠かせない「食品のコマーシャル」の動向を探
ることによって、現実世界とコマーシャルの描く仮想世界とのずれを発見することが
目的である。
なお、本研究は食品のコマーシャルの全体像を捉えることが目的ではなく、ケース
スタディとしてコマーシャルによる影響からの個食化の傾向を調査するものである。
3
1.2. 「個食」について
単身者の食費に占める割合
50
45
40
35
30
% 25
20
15
10
5
0
素材となる食料
調理済みの食料
外食
その他
1997
1998
1999
2000
2001
2002
年
グラフ 1-1.単身者の食費の内訳の割合
個食とは「家族がちがう時間に一人一人食事をとること」をいう。近年、単身世帯
の増加や女子の就労率の増加などによって、
「外食」やコンビニ弁当、できあいの惣菜
などいわば「中食」の需要が増えている。グラフ 1-1 をみると、単身者では、食費の
約 40%が外食、中食と合わせると 60〜70%にものぼる(日本国勢図会)。また、2人
以上の世帯者については、平日の夕食を家族とともに過ごす割合は、家族全員では
43.2%、家族の一部とでは 51.6%となっており、意外と家族と食事をとる人が多いこ
とがわかった。しかし「全員が同じおかずを食べる」世帯は 80.9%であり、残りの 20%
については別のものを食べる「個食」の傾向がみられた((財)食生活サービスセンタ
ー「ライフスタイル別食行動・食糧消費動向調査」1995)。このような食事情から、
近年日本では「個食化」という新たな食スタイルが着実に進行していることが伺われ
る。
1.3. 本研究の仮説について
1.1 の考察より、個食化は年々進行しているのではないか、と推測し、次のことを
仮説として設定した。
I.
テレビコマーシャルにおける個食化は、1996・97 年よりも 2002・03 年の
ほうがより進んでいる。
4
また、青木によると旧来の日本においては、食事の時には家族全員が、少なくとも
大部分の家族メンバーが、一つの炉、あるいは鍋や皿を囲んでみんなで一緒に食べて
いた。これは時代の文化的制約を超えて変わることなく、一世帯の家族のうちに伝わ
ってきた慣習であるという(青木義子
1999)。この慣習については特筆すべき点が
ある。食生活にまつわる家事労働は、日本では「主婦」と定義付けられる女性が、そ
のほとんどを行ってきた、ということである。しかし現代社会では共働きや女子の就
業率の増加から「男女平等」であることが求められるため、男女の役割分担は男女不
平等であるとされることも少なくない。実際 1975 年から 76 年にかけて話題となった
「ワタシ作る人、ボク食べる人」(ハウス食品、シャンメン)というコマーシャルは、
男女の役割を差別するものであるとして、女性団体から激しい非難を受け、結果コマ
ーシャルは放送中止になった。今泉は食のコマーシャルにおいて「女性が作る」とい
う旧来のジェンダー観が継承され、また覆される様子を考察している(今泉容子
2001)。これらの背景を考察するべく、次の仮説も設定した。
II.
テレビコマーシャルにおいても男女の役割差は未だ存在する。
これら 2 点を大仮説として本研究の軸とし、これに関連する仮説を各節ごとにも設
定して考察した。
5
2. 方法
2.1. データの収集
本研究では、元データを(株)宣伝会議のコマーシャルデータベース CM@navi か
ら、①分類間比較②時系列間比較
の 2 種類に分けて抽出した。元のデータ、データ
の抽出方法、分類方法について以下に記す。
2.1.1. データベース CM@Navi のデータ
CM@Navi は(株)宣伝会議がウェブ上に開設している会員制のホームページで
ある(URL:www.cmnavi.net)。その中には全国の民間放送局全局で放映されたコ
マーシャル、約 6 万本のデータが収集されており、「コマーシャルの検索」を自らの
検索したい基準によって行うことができる。本来ならばデータは研究者の手により収
集すべきであるが、本データベースを卒業研究データとして選択した理由は以下のと
おりである。なお、いかなる理由にせよ、収集方法ゆえにデータに多少の偏りが生じ
ている可能性は否定できない。
①当初はCM年鑑等をデータベースとして用いる計画であったが、CM年鑑には限
られ選別された、いくつかのCMしか掲載されておらず、量的にデータを収集するこ
とが不可能であった。
②CM@Naviは企業向けのCMデータベースであり、1996 年 1 月 1 日以降に
関東でオンエアーされたテレビコマーシャルがすべて収録されている。
今回はこの中でも、1996 年 1 月 1 日から 2003 年 12 月 14 日までに放送されたコマ
ーシャルを、大分類「食品」の中の小分類「食材」「穀類・麺類」「菓子」という 3 項
目を次項に述べる定義に基づいて独自に分類した。
2.1.2. 分類間比較における分析項目の分類
分類間比較を行うにあたっては、個食化・家族別の傾向がよりつかめるよう考慮し
て①調味料②即席③食材④菓子の 4 つのカテゴリーにわけた。付録1−1に示したが、
①調味料 とは「他の食品の味付け・補助として用いるもの。調理のみでなく、料理に
直接使用して味をつけることもできる」と定義し、21項目 をサンプルとして分類し
た。種類にもよるが、一般的に調味料とは単身者や一人暮らしの学生であっても、100%
6
外食という人物でない限りは何種類か常備しているのではないだろうか。②即席 は
「温める、お湯をかける、ゆでるなどひと手間で料理が出来上がる形態のもの」とい
うくくりで 16項目 である。これは単身者にとっては非常にありがたい存在で、おそ
らく個食化の一端を担っていると考えられる。なぜならば、個人的なことではあるが、
私は 23 年間の人生の中で即席カップ麺を友達や家族と食することは全くなかったか
らである。③食材 については「他の食品の補助として用いられるものまたは調理され
る材料となるもの」という定義のもと、 12項目 を集計した。最後に④菓子 は他の
3分類とは異なり、
「主食とではなく、嗜好品として食されるもの」と、やや食卓から
は離れた印象のカテゴリーである。菓子を主食とする人間は、もしかすると一人暮ら
しまたは大学生などに存在するかもしれないが、社会通念としては嗜好品として分類
されるものと思われる。これもおそらく個食の傾向が強いのでは、と考えた。12項
目である。
さて、4 つの分類についてそれぞれ説明したわけであるが、ここでひとつ問題が
浮上する。各分類の中に項目が多数存在するため、分類内のデータの分散傾向が強ま
ってしまうということである。そこで、それぞれの分類内で占める割合が大きい項目
順に並べ替え、累積が 90%のものまでをデータとして用いることにした。さらにデー
タは使用する累積 90%までの各項目の割合別にサンプルを抽出した。これはなるべく、
抽出したサンプルが偏りなく、元のデータを反映するように配慮した結果である。な
お、食材は累積 90%に達した項目「マーガリン」が次の項目「水産練製品」と同値
3.679131 であったため、特別に項目に加えることにした。分類ごとにサンプル数 200
を抽出した。項目別データのサンプル数・抽出方法は付録1−2の通りである。
2.1.3. 時系列間の分析
時系列分析については、2−1−2で述べた 4 分類のうち特に「調味料」項目につ
いて 1996・97 年と 2002・03 年の各年次データを用いた(サンプル 100)。この抽出
方法については付録 1-3 に掲載した。
2.2. 分析項目について
食品のコマーシャルを分析するにあたり、分析調査ワークシートを EXCEL で作成
した。
ここではその分析軸それぞれについて説明する。
2.2.1. コマーシャルそのものについての項目
7
コマーシャルの基本データを知るための項目である。以下の 5 項目を抽出したが、
これらはすべて CM@Navi のデータベースによって検索した結果表示されるデータの
数値をそのまま引用した。また、
(ウ)商品の分類項目は、各分類での割合が高かった
項目順に 1 から項目番号を設定した。
(エ)放送開始季節は春−1、夏−2、秋−3、
冬−4、と設定した。それ以外の項目については CM@Navi のデータベースに記載さ
れたそのままの数値で収集した。
(ア) 作品コード
CM@Navi のデータそれぞれにつけられた固有の番号で
ある。
(イ) 放送開始年月日
そのコマーシャルの放送が開始された年月日である。
(ウ) 商品の分類項目
本論文での、先の4分類内の項目である。
(エ) 放送開始季節
どの季節から放送が開始されたか。
(オ) 秒数
コマーシャルの秒数。
2.2.2. 基本タイプショットについて
コマーシャルはいくつかのタイプに分類することができる。基本タイプショットと
は、それぞれのコマーシャルがどのタイプに分けられるかを判別するのに役立つもの
で、コマーシャルを分類する上で最もよく見られるショットのことである。コマーシ
ャルの分類方法として今泉はコマーシャルを①解説者型、②ドラマ型、③イメージ型、
の 3 つのグループに大別している。これらについて説明すると、
①解説者型とは、比較的コストがかからず作れる。ナレーションが主。商品につい
ての情報がストレートに与えられる反面、奇抜さや新鮮さにかけるおそれも。話し言
葉や人選に工夫が必要とされる。解説者登場の場合は固定フレームを用いることが多
い。
②ドラマ型は、人生における様々なミニドラマが描かれ、その中に商品が登場する。
プロットの面白さや意外な展開、普段見落としがちなことなど工夫と技術が発揮され
る。視聴者の関心を引きやすく、続編を作りやすい。
③イメージ型は絵や音を使って、ひとつのイメージを喚起する形をとる。
(今泉容子、2001)
これら 3 つの分類を軸として、主観に基づき分類した。また、3つのどれにも当て
はまらないと判断したものについては、「その他」に分類した。
(カ) タイプショット
ドラマ型1
イメージ型2
2.2.3. 登場人物の構成について
8
解説者型3
その他4
登場人物の構成を、これも研究者の主観に基づき判断した。個食化の傾向を探るこ
とが目的であるため、登場人物構成は以下のように分類した。
(キ) 登場人物構成
一人1
家族含む2
友だち3
説明者と聞き手(先生と生徒も含む)4
その他5
次に、全構成における一番主な登場人物の年齢(推定)と性別を主観に基づき判断
した。一番主な登場人物には、もっとも画面に登場する回数の多い人間、商品説明を
する人間を選定した。誰が主に描かれているか判断できかねた場合は、この項目は判
断しなかった。
(ク) 主な登場人物の年齢(推定)
(ケ) 主な登場人物の性別
男0
女1
また、家族を含む構成の場合は、その世帯構成について登場した人物でのみ構成さ
れると仮定し、以下のように分類した。なお、6.その他については、1から5の項
目に当てはまらない構成のときのみ分類する軸として設けたが、ここに分類された世
帯構成は「兄弟姉妹のみ」の一分類のみであった。
(コ) 登場人物の構成が家族のとき→夫婦1
夫婦と子ども2
女親と子ども4
男親とこども3
祖父母+親子5
その他6
2.2.4. 飲食者と調理者について
食品のコマーシャルを元に個食化の傾向を探ることが目的であるため、飲食場面の
有無は判断材料として不可欠であると考えた。また、食品のコマーシャルで飲食場面
とともに多用されるのは調理場面である。
「 調理する人間と飲食する人間の性別その他
は同一であるか」を分析することで、分類ごとの比較を行い、個食化や男女の役割差
が存在するかどうかについて調査した。それぞれの場面の有無についてはあり−1、
なし−0 として判断し、性別を男−0、女−1として記入した。なお、子供が体験する
場合は性別が関係ないと判断して子ども−2、全員での体験であれば全員−3 とした。
(サ) 飲食場面の有無
(シ)
食べる人間
(ス) 調理場面の有無
(セ)
調理する人間
あり−1、なし−0
男0
女1
子ども2
全員3
なし4
あり−1、なし−0
男0
女1
子ども2
9
その他3
全員4
なし5
2.3. 分析方法について
それぞれの項目については数値を記入するもの以外は単一回答とした。
(ア)〜(オ)
2
と(ク)以外の各項目について2×2分割表または L×M 分割表を作成し、 χ 検定
を行った。
2
χ 検定を行う際には以下の手順で行った。
1. 帰無仮説 H0(差がないことを仮定)と対立仮説 H1(H0 と対立する仮説)を設
定する。
2. 有意水準 αを設定する。
3. データ収集で得られた観測値 f ij から期待値 tij を算出する。
第 i 行目の合計 N i⋅ 、第 j 列目の合計 N ⋅ j 、総合計を N とすると
t ij =
N i⋅ × N ⋅ j
N
2
4. 検定統計量 χ 値を算出する。
2
χ =
( f ij − tij ) 2
∑∑
tij
i
j
5. 自由度 φを 算出する。
φ = ( L − 1) × ( M − 1)
6. 4と5から有意確率p値を計算する。
7. 判定を行う。
有意確率≦有意水準 α →帰無仮説 H0 を棄却する
有意確率>有意水準 α →帰無仮説 H0 を棄却しない
なお、手順7の判定について帰無仮説 H0 を棄却する場合にのみ、以下の方法で残差
検定を行い、ばらつきの特徴についても調べた。
8. 標準化残差 eij を算出する。
10
eij =
f ij − tij
tij
9. 8より調整化残差 d ij を算出する。 eij の分散を Vij とすると、
d ij =
|dij|>2
eij
Vij
をとった分析軸を、その分類の特徴とみなした。なお、2以上の数
値を取るものがない場合のみ、1<|dij|<2のものについては、やや特徴である
としてとらえている。また、特別の定義で行っているものもあり、それについては
2
各節に記載した。また、 χ 検定の全過程と結果については、付録2に掲載した。
(ク)については量的データであるため、平均値、中央値、標準偏差、最大値、最
小値、分散を求めた後、F検定・分散分析を行った。
11
3. 結果と考察
3.1. 調査の概観
3.1.1. 食品のコマーシャルについて
食品のコマーシャルといっても、その内容は多種多様である。短い時間で強烈な印
象を与えるものもあれば、夕飯のおかずになりそうな料理の作り方を、長い時間をか
けてじっくり説明してくれるものもある。また、商品のイメージやキャラクターを前
面に押し出しているコマーシャルも見うけられる。このようなコマーシャルの形態は、
分類や年代ごとでなにか特徴を持っているのだろうか。もし特徴があるならば、それ
を把握することで食品のコマーシャルを分析するための足がかりになるかもしれない。
この節では仮説についての分析を行う前に、2章の方法に基づいて抽出したサンプ
ルから、食品のコマーシャルの全体像を簡単にまとめる。なお、全抽出項目の単純集
計表については付録1に掲載する。
3.1.2. タイプショット
まず、コマーシャルの各分類のタイプショット別本数を表 3-1-1 に、その割合を示
したグラフをグラフ 3-1-1 に示した。
表 3-1-1.分類別タイプショット
タイプショット1
ドラマ
イメージ
説明
その他
合計
食材
127
11
60
2
200
菓子
131
4
62
3
200
調味料
84
14
95
7
200
即席
134
15
37
14
200
合計
476
44
254
26
800
12
分類 名
分類 別タイプシ ョッ トの割合
即席
119
11
6 3 .5
6 .5
調味 料
119
11
6 3 .5
6 .5
菓子
119
11
6 3 .5
6 .5
食材
119
11
6 3 .5
6 .5
0%
20%
40%
60%
80%
ドラマ
イメージ
説明
その他
1 0 0%
割合 (% )
グラフ 3-1-1.分類別タイプショットの割合
「調味料」分類以外では、半数以上がドラマ型コマーシャルである。
「調味料」ではド
ラマ型よりも説明型のコマーシャルが多い。これは「調味料」が工夫次第でさまざま
な使用方法があるということを視聴者に説明し、購買意欲を高めるためであると考え
られる。「調味料」分類の割合が他と異なることについて、より詳しく検証するため、
「調味料」分類のコマーシャルの中から 1996・97 年と 2002・03 年に放送されたも
のを抽出し(サンプル 100)、年代別のタイプショットを表 3-1-2 にまとめた。
表 3-1-2.年代別タイプショット
タイプショット2
ドラマ
イメージ
説明
その他
合計
1996/1997
58
6
36
0
100
2002/2003
60
8
27
5
100
合計
118
14
63
5
200
年代別タイプショット
ドラマ
イメージ
説明
その他
60
02/03
8
27
5
年代
58
96/97
0%
10%
20%
30%
6
40%
50%
60%
36
70%
割合(%)
グラフ 3-1-2.年代別タイプショットの割合
13
80%
0
90%
100%
これを見ると、年代別では、タイプショットはほとんど差がないことがわかり、
「調
味料」分類のタイプショットの割合については、年代は関係がないと考えられる。
3.1.3. 秒数
次に、コマーシャルの構成に大きく関わっていると考えられる「CM 放送の秒数」
についてまとめる。コマーシャルが長ければ長いほど、視聴者に与えることができる
情報量は多くなるが、
「ドラマ型」や「イメージ型」のコマーシャルでは何を言いたい
のかわからなくなってしまう可能性も考えられる。従って、多くの情報を伝える必要
のある「説明者型」のコマーシャルの方が、1 コマーシャルあたりの放送時間は長い
と考えられる。表 3-1-3 に各分類の秒数別のコマーシャル本数を、グラフ 3-1-3 にそ
の割合をプロットした。
表 3-1-3.各分類のコマーシャルの秒数別本数
それ以
秒数
15
30
45
60
75
合計
上
食材
120
44
1
21
1
13
200
菓子
131
44
0
18
0
7
200
調味料
89
71
0
29
2
9
200
即席
140
41
1
15
0
3
200
合計
495
230
47
143
78
32
800
20.5
0.57.51.5
0
15
30
45
60
75
それ以上
分類ごとのコマーシャルの秒数
70
即席
調味料
44.5
22
60
食材
0%
0 14.5
65.5
菓子
分類名
35.5
20%
22
40%
60%
割合(%)
表 3-1-3.各分類の秒数別の割合
14
14.5
0 9 03.5
0.5 10.50.56.5
80%
100%
このグラフから、やはり「説明者型」のコマーシャルが多かった「調味料」につい
ては、30 秒以上のコマーシャルの割合が他の分類に比べて多いことがわかる。
以上より、分析する際にはタイプショットとして「調味料」は「説明者型」コマー
シャルが基本として多く、コマーシャル秒数も長いため、他の分類と比べて説明的で
あり、娯楽性やイメージを用いて視聴者の感情や感性に訴える感情広告ではなく、説
明広告が多いことがわかる。したがって、分析する際には、この点を考慮に入れる必
要があると考えられる。
3.2. 1996・97 年と 2002・03 年の比較分析
3.2.1. 節全体の仮説
単身赴任や就職・進学などでの一人暮らし世帯が増え、個食化が進んでいる今日、
1 世帯の平均構成人数は年々減少の一途をたどっている。そこで、96・97 年と 02・
03 年のそれぞれのコマーシャルもまた、この傾向を反映しているのではないかと考え
た。すなわち、①現在のコマーシャルの方が登場人物はより少ない構成に推移してい
る、②現在の家族のコマーシャルは核家族化をしている、と仮説を立てた。次の節か
らは分類ごとについて分析を行っているが、この説では本論文の4つの分類の中から
「調味料」について年代ごとにサンプル 100 を抽出し、あり−1、なし−0 検定を用
いて検証する。
3.2.2. 登場人物の分析〜仮説①の検証〜
まず、1996・97 年と 2002・03 年とでは、登場人物構成に差があるのかどうかを有
2
意水準 α=0.05 として χ 検定した。表 3-2-1 に観測値を示した。
表 3-2-1.登場人物の違い・観測値
一人
家族
友達
説明者と聞き手
その他・アニメ
なし
合計
1996/1997
36
25
6
25
0
8
100
2002/2003
21
35
8
21
7
8
100
合計
57
60
14
46
7
16
200
まず仮説を次のようにたてた。
帰無仮説H0:
1996/1997 と 2002/2003 の登場人物構成は同じである
対立仮説H1:
1996/1997 と 2002/2004 の登場人物構成には違いがある
15
検定結果は以下の通り。
2
検定統計量
χ 値
自由度
φ
有意確率
p値
13.248
5
0.0212
<
α= 0.05
よって、各年の登場人物には有意差があることがわかった。そこでどんな特徴を持
つのかを知るために残差を調べた。調整化残差は表 3-2-2 のようになった。
表 3-2-2.調整化残差
一人
家族
友達
説明者と聞き手
その他・アニメ
なし
1996/1997
2.350
-1.543
-0.554
0.672
-2.693
0
2002/2003
-2.350
1.543
0.554
-0.672
2.693
0
残差より次のことがわかった。
1996/1997
は
一人
が多く
その他・アニメ
が少ない
2002/2003
は
その他・アニメ
が多く
一人
が少ない
これを見ると、1996・97 年よりも 2002・03 年のほうがアニメやCGなど、人物を
登用しないコマーシャルが増えていることがわかる。登場人物の人数が減少したかど
うかは言えないが、人間そのものの登場回数が減少している、という意味では、この
節の仮説①現在のコマーシャルの方が登場人物はより少ない構成に推移している、は
正しいと言える。ただ、同時に「家族」の登場回数が増えていることも結果から読み
とることができる。したがって次に、家族構成の差異について検定を行い、家族構成
には変化が起こっているのかどうかを検証する。
16
3.2.3. 家族構成の分析〜仮説②の検証〜
日本の世帯数と世帯構成人数の推移
一世帯平均構成人数
500
480
3.1
3
460
2.9
440
2.8
420
2.7
400
2.6
380
2.5
世帯構成人数(人
世帯数(百
世帯数
2.4
360
90
91
92
93
94
95
96
97
98
99
00
01
02
年
グラフ 3-2-1.日本の世帯数と世帯人数
世帯数と世帯構成人数の推移を示したグラフ 3-2-1 を見ると、一世帯あたりの平均
構成人数が年々減少しているのに対して、世帯数はかなりの勢いで伸びていることが
わかる。家族構成の核家族化、単身世帯の増加が進んでいることが主な原因と考えら
れる。広告はマーケティングによって顧客が何を求めているかをキャッチし、制作さ
れている。それならば時代の流れを反映し、家族構成についても何らかの変化が生じ
ているのではないか。または、変化を逆手にとり、消費者の思い描く「温かい家族」
を演出しているかもしれない。これを検証するため、まずそれぞれの年代のコマーシ
ャルにおける家族構成を調べた。結果は表 3-2-3 の通りである。
表 3-2-3.各年代の家族構成
夫婦
両親+子供
男親+子供
女親+子供
祖父母+親子
その他
合計
1996/1997
2
13
0
7
1
2
25
2002/2003
8
15
5
7
2
1
38
合計
10
28
5
14
3
3
63
帰無仮説H 0:
1996/1997 と 2002/2003 の家族構成は同じである
対立仮説H 1:
1996/1997 と 2002/2004 の家族構成には違いがある
2
これを用いて χ 検定を行い、違いがあるかどうかを調べた。結果は以下の通り。
2
検定統計量
χ 値
自由度
φ
有意確率
p値
7.0262
5
0.219
17
>
α= 0.05
よって帰無仮説を棄却しないため、家族構成には放送年代による差はないこと
がわかった。調味料のコマーシャルにおいては、年代に関係なく一定の家族構成
割合が存在するようだ。ここで一つ、浮かぶ疑問がある。コマーシャル内での家
族構成の割合は、実際の日本における家族構成別の割合と比較するとなにか特徴
を持っているのだろうか。この特徴をつかむことができれば、調味料のコマーシ
ャルが何を意図して構成されているのかを把握することができると思われる。
そこで次に、 2000(平成12) 年に行われた国勢調査の結果と比較して分析す
る。 2000(平成12)年の国勢調査による家族構成は、表 3-2-4 の通りである。
表 3-2-4.平成 12 年国勢調査による家族構成(1)
総数(千人)
%
夫婦のみ
17686
8%
夫婦と子供
51992
25%
男親と子供
1297
1%
女親と子供
7328
4%
祖父母+親子
18746
9%
その他
111424
53%
合計
208473
これによると、
「その他」の比率が大きいようである。実際の家族構成はコマーシャ
ルに登場する家族とは異なり、多様であることがこの表からは伺うことができる。し
かしこれでは有意差ができることは明らかであるので、
「その他」について少し修正を
加えることにする。先のコマーシャルの家族構成の分類における「その他」とは、調
査の中で「兄弟姉妹のみ」という家族構成が多く登場したため作成した項目である。
したがって、国勢調査における「その他」の項目の中から「兄弟姉妹のみ」の項目を
抽出し、分析することとする。表 3-2-5 に、実際に調査に用いた国勢調査からの抽出
項目とその値、パーセンテージを記した。
表 3-2-5.平成 12 年国勢調査による家族構成(2)
総数(千人)
%
夫婦のみ
17686
18.13%
夫婦と子供
51992
53.30%
男親と子供
1297
1.33%
女親と子供
7328
7.51%
祖父母+親子
18746
19.22%
兄弟姉妹
292
0.51%
18
2
これを用いて、 χ 検定を行った。
帰無仮説H0:
調味料 CM と国勢調査の家族構成は同じである
対立仮説H1:
調味料 CM と国勢調査の家族構成には違いがある
結果は以下の通り。
2
検定統計量
χ 値
自由度
φ
有意確率
p値
20.802
5
0.00088282
<
α= 0.05
よって、有意差が認められるため、仮説は棄却される。どうやら各年代と実際の家族
構成の割合との間では、ばらつきが生じているようである。どんなばらつきであるの
か特徴をつかむため、残差を調べる。残差は表 3‑2‑6 の通り。
表 3‑2‑6.国勢調査と比較した場合の調整化残差
夫婦
両親+子供
男親+子供
女親+子供
祖父母+親子
兄弟姉妹
合計
-0.37916
-1.112914 2.10056106 2.6815989
-2.61313
1.939527
国勢調査
0.37916
1.1129139 -2.1005611 -2.681599
2.613126
-1.93953
よって調味料のコマーシャル全体では、「女親+子供」や「男親+子供」が多く「祖
父母+親子」が少ない、という特徴を持っていることがわかった。ここから、コマー
シャルでは実際の世帯構成よりも「父または母の片親+子供」での登場回数が多く、
「祖父母+親子」という拡大家族の構成が少ないことがわかる。
それでは次に、年代ごとの特徴をつかみ、個食化の傾向を探るため、先の項で検定
に用いた「登場人物構成」分類の中から「一人」項目を抽出し、加える。これを単独
世帯とみなし、検定を行うことにする。国勢調査での単独世帯の人数は以下の通りで
ある。
12911
平成 12 年国勢調査での単独世帯数(千人)
これを用いて検定を行ったところ、結果は以下の通りになった。
2
検定統計量
χ
自由度
φ
有意確率
p値
71.391
12
1.76E-10
<
α= 0.05
よって帰無仮説を棄却するため、世帯構成にばらつきが生じていることがわかる。ば
らつきを調べるため、先ほどと同じように残差の検定を行った。すると表 3‑2‑7.の
ような結果が得られた。
19
表 3‑2‑7.家族構成の調整化残差
一人
夫婦
夫婦子供
男親子供
女親子供
祖父母+親子
兄弟姉妹
1996/1997
5.676291
-2.451281
-2.57141
-1.528
0.6987508
-2.42786
1.414102
2002/2003
1.012719
0.4178512
-1.7449
3.1324
0.8027438
-1.84015
0.195852
国勢調査
-5.89982
1.800403
3.796715
-1.388
-1.318888
3.753134
-1.42046
ここから以下の特徴あるばらつきを見つけることができる。
1996/1997
は
一人
が多く
夫婦、夫婦+子供
2002/2003
は
男親子供
が多く
国勢調査
は
夫婦子供
祖父母+親子
祖父母+親子
が多く
祖父母+親子
夫婦+子供
が少ない
がやや少ない
一人
が少ない
2002・3 年に「男親+子供」が多い点については、1993 年に開始された週休 2 日制
などの制度が浸透してきたことによって、父親と過ごす時間が子供たちに増えた背景
が伺われる(実際には父親の残業、子供の塾や習い事通い等で増えていない可能性も
考えられるが、コマーシャルを制作する上ではそれほど考慮される問題ではないだろ
う)。祖父母+親子は先ほどの結果と同じように、コマーシャル全体での登場回数がと
ても少ない。また、国勢調査の結果から、実際の方が「夫婦+子供」の割合が高いこ
とがわかる。家族構成人数に関しては、いずれも国勢調査の数値の方が、構成人数の
多いものが多く、コマーシャルでは人数の少ない構成の割合が大きい。ここから、仮
説②現在の家族のコマーシャルは核家族化をしている、に関して、以下のようなこと
がわかる。
1.
核家族化している、という仮説は、
「祖父母+親子」の割合がどちらの年代で
も少ない点においては正しい。しかし、年代間の比較ではなく、現実とコマーシ
ャルにおいての比較にのみ核家族化の傾向はあらわれている。
2.
特に 1996・97 年において「夫婦」
「夫婦+子供」の割合が小さいことと 2002・
03 年において「男親+子供」の割合が大きいことから、年代間の比較では、核家
族化しているという仮説は棄却され、むしろ偏った家族、あるいは家族の一部を
強調して登場させる傾向がある。
3.2.4. 結論
節の最初で立てた仮説①現在のコマーシャルの方が登場人物はより少ない構成に推
移している、②現在の家族のコマーシャルは核家族化をしている、はいずれもある条
件下で立証された。それらを総合すると、以下のような結論が導き出される。
20
1.1996・97 年よりも 2002・03 年のほうが家族での登場回数が増えているが、コマ
ーシャル全体で偏った家族あるいは家族の一部を強調している可能性が高い
2.1996・97 年よりも 2002・03 年のほうがアニメやCGなど、人物を登用しないコ
マーシャルが増えている
3.コマーシャル全体よりも国勢調査のほうが「祖父母+親子」の占める割合が大き
い
21
3.3. 男女差の分析
3.3.1. 男女差について
1−2 でも述べたとおり、1975 年から 76 年にかけて話題となった「ワタシ作る人、
ボク食べる人」
(ハウス食品、シャンメン)というコマーシャルがある。これは男女の
役割を差別するものであるとして、女性団体から激しい非難を受け、コマーシャルは
放送中止になった。それからもうすぐ30年がたつ。あれほど声を荒げて男女差別を
訴えた団体はコマーシャルに影響を及ぼしたのだろうか。大仮説Ⅱ.男女平等社会を
うたっている現代においても男女の役割差は未だ存在する、を検証するため、現在の
コマーシャルにおける男女の役割についてここでは考察していきたい。この節では、
調査項目の「体験ショット(飲食)の有無」
「(ありの場合)だれが体験したか?」
「調
理場面の有無」
「(ありの場合)誰が調理したか?」の4項目を用いた。まず、
「食べる
人」
「作る人」全体の男女差について、4分類全てを合わせた検定を行い、その後各分
類別の検定を行うこととする。
3.3.2. 全体での男女の役割差の検定
表 3-3-1.男女別役割(全体)
男
女
合計
食べる人
139
166
305
調理する人
57
125
182
合計
196
291
487
4分類の合計数を表3−3−1に示した。これをみると、
「調理する人」の項目が女
2
性に多いことが見て取れる。そこで、 χ 検定を行い、食のコマーシャル全体で男女
の役割に差があるかどうかを調査した。その結果は以下の通りである。
帰無仮説 H0:
コマーシャル全体における男女の役割には差がない
対立仮説 H1:
コマーシャル全体における男女の役割には差がある
自由度
φ=
1
有意水準
α=
0.05
2
9.631
χ 値
有意確率
p=
0.001913
<α
22
よって帰無仮説を棄却するため、食のコマーシャルにおける役割には、差が存在する
ことがわかった。それでは実際にどんな差が生じているのかを、残差を求めることに
よって調べることとする。調整化残差を表 3-3-2 に示した。
表 3-3-2.調整化残差
男
女
食べる人
3.103
-3.103
調理する人
-3.103
3.103
よって、以上の残差検定の結果、食べる人は男が多く、調理する人は女が多い、とい
う特徴が浮かび上がってきた。これを見ると、約 30 年前の「ワタシ作る人、ボク食
べる人」の時代から、コマーシャルの描く男女の役割像は変化していないのでは、と
考えられる。そこで、次の項では、各分類の男女の役割差について検証していく。
3.3.3. 分類別での役割差の検定
「食材」「菓子」「調味料」「即席」。この 4 つの分類別では、それぞれどんな特徴が
存在するのか。今度は先ほどの男女別に加え、「子供」「全員」「その他」「なし」とい
う項目を加えて検定する。これはそれぞれの特徴をよりつかむため、また多種多様な
コマーシャルに対応するため、様々な項目を設けて調査したためである。
帰無仮説 H0:「各分類」の男女の役割差はない
対立仮説 H1:「各分類」の男女の役割差は存在する
表 3-3-2 にそれぞれの男女差の検定結果について表で示した。なお、それぞれのク
ロス表・検定過程については、付録2に示した。これを見ると、
「食材」は有意水準 α
=0.05、
「調味料」は有意水準 α=0.1 において仮説を棄却し、有意差がみとめられるこ
とがわかった。
3-3-2.各分類別男女差・検定結果
自由度
φ=
2
χ 値
食材
菓子
調味料
即席
1
1
1
1
16.299
0.162
3.722
0.797
有意水準
α=
0.05
0.05
0.05
0.05
有意確率
p=
5.40849E-05
0.687706
0.053685
0.371904
23
食材と調味料の残差を調べたところ、食材・調味料ともに「調理する人」は女性が
多く、「食べる人」は男性が多かった。3-3-2 での全体の検定結果と同じく、ここでも
男女の役割が分かれて描かれていることがわかった。
次に、先の4項目を加えた検定も行った。
帰無仮説 H0:「各分類」の登場人物間に役割差はない
対立仮説 H1:「各分類」の登場人物間に役割差は存在する
結果は表 3-3-3 の通り。
表 3-3-3.分類別登場人物役割・検定結果
食材
菓子
調味料
即席
5
5
5
5
25.349
197.832
18.636
25.349
0.05
0.05
0.05
0.05
0.000119
8.26E-41
0.002246
0.000119
自由度
2
χ 値
有意水準 α
確率
検定結果は帰無仮説を棄却し、登場人物の役割について有意差が認められた。これ
もクロス表・検定過程は付録3に示した。この結果を見ると、以下のような特徴を持
っていることがわかる。
表 3-3-3.分類別役割の特徴
分類
役割
多い
少ない
食材
食べる人
男と子供
女
調理する人
女
男と子供
食べる人
女
なし
調理する人
なし
女
食べる人
子供
その他
調理する人
その他 女
子供
食べる人
男
なし
調理する人
なし
男
菓子
調味料
即席
「食材」は女が調理をして男または子供が食べることが多いようである。これは一
般的な家庭でよく見られる役割分担であり、男女共働きが増えている今日においては
女性の役割負担を重く圧迫している状態でもある。一般的な食品のコマーシャルのイ
メージとして、多くの人が思い浮かべるパターンではないだろうか。
「菓子」は女が食
24
べるカットが多く、調理場面はなしであることが多い。これはもっともな特徴である。
なぜなら、
「菓子」は完成品として販売されるものである。
「菓子」を作る場面は、
(ホ
ームメイドをうたっている商品以外は)パティシェが作っている場面などでなければ、
挿入のしようがないと考えられるからである。また、女が食する場面を多く描いてい
る理由は、
「菓子」の購買層が男性に比べて女性が多いこと(参考文献)などがあげら
れると考えられる。先ほどの検定でも男女差はほとんど差がなかったが、こちらでも
やや女性が多い程度であった。
「調味料」の「調理する人」で「その他」が多かったの
は、
「調味料」のコマーシャルでは「説明者と聞き手」という項目の割合が大きかった
ためだと考えられる(3.6 登場人物の検定参照)。また、次いで女が調理することが多
かった。「説明者と聞き手」パターンのコマーシャルでは食する場面が少ないためか、
食べる人は子供が多かった。
「即席」では調理場面はほとんどなく、男が食べる場面が
非常に多かった。これは男性の方が即席の食品にお世話になる機会が多いということ
だろうか。また、「即席」では一人で登場する場面も多いという検定結果がでている。
男性の単身者をおもにターゲットとしているため、このようなコマーシャルが多いと
推測される。
25
3.4. 登場人物の年齢分布の分析
主な登場人物の年齢・食材
主な登場人物の年齢・菓子
60
50
45
50
40
35
40
25
人
人
30
30
20
20
15
10
10
5
0
上
89
以
79
0
〜
8
10
0
〜
69
0
〜
59
7
4
5
6
0
0
〜
49
39
〜
0
〜
29
〜
0
9
0
90
〜
〜
1
2
3
0
〜
0
10
0〜
19
9
上
0以
〜
79
70
80
〜
69
59
〜
60
〜
49
40
50
〜
39
29
〜
〜
20
30
9
19
〜
10
0〜
89
0
年齢
年齢
主な登場人物の年齢・調味料
主な登場人物の年齢・即席
35
60
30
50
25
40
人
人数
20
15
30
20
10
5
10
0
上
以
89
8
10
0
0
〜
79
69
7
0
〜
59
6
0
〜
49
〜
5
0
〜
39
4
0
〜
29
3
0
〜
0
2
9
0
90
〜
〜
1
0
〜
0〜
19
9
上
0以
10
〜
〜
79
80
69
70
〜
〜
〜
59
60
49
50
39
40
30
〜
29
〜
20
9
19
〜
10
0〜
89
0
年齢
年齢
グラフ 3-4-1.各分類の年齢ヒストグラム
3.4.1. 年齢分布について
コマーシャルを見ていて気づくことは、登場人物には若い男女が非常に多いということ
である。若い顧客をターゲットにした商品だけではなく、全体的に年齢層が若いような印
象を受ける。そこでこの節では、各分類に登場人物の年齢層に差があるのか、また実際の
年齢分布と比べて差異が生じているのか、を検証する。なお、本論文での調査には「主な
登場人物の年齢」という項目を設定して検証したため、主な登場人物と思われる人物がい
26
ない場合(団体で登場し、主な登場人物と判定させる要因のなかったコマーシャル)につ
いては、カウントしていない。また、団体(例えば家族)で登場した場合などでも、明ら
かに一人を主役として設けられている場合には、本調査に加えた。これらの判定はいずれ
も主観によるものである。
まずグラフ 3-4-1 に、各分類のヒストグラムを示した。これを見ると、主な登場人物の年
齢には各分類それぞれに特徴があるように感じられる。また、全体的に若年層が多く、本
来人数が多い 50 代以上の人間の登場回数が非常に少ないような印象を受けた。そこで、こ
こでは以下のような仮説を立て、それについて検証していくこととする。
仮説①:分類間では、主な登場人物の年齢層にはばらつきがある。
仮説②:コマーシャルに登場する人物の年齢層と、国勢調査での現実の年齢層にはずれが
生じている。
3.4.2. 各分類間の登場人物年齢分布の検定〜仮説①の検証〜
まず、仮説①各分類間では、主な登場人物の年齢層にはばらつきがある、について検証
を行うこととする。以下に各分類の統計量を示した。
表 3-4-1.各分類の統計量
平均
分散
中央値
標準偏差
最大値
最小値
食材
36.94406
208.8278
35
14.45088
100
3
菓子
23.74359
129.6406
25
11.38598
60
3
調味料
38.57658
187.2464
39
13.6838
70
5
即席
31.41667
180.7866
30
13.44569
65
2
これをみると、各分類でだいぶばらつきがあるように思われるが、はっきりとはわからな
い。そこで各々2分類ずつで F 検定を行い、その結果によって分散を等しいと仮定するか
等しくないと仮定し、スチューデントの t 検定を行った。その結果を以下に表で表した。
表 3-4-2.各分類の検定結果
分類
食材
F 検定
菓子
食材
8.93E-15
等しくない
0.275282
等しい
0.361641
等しい
0.189648
等しい
0.000699
等しくない
0.025677
等しくない
2.88E-16
等しくない
即席
0.029769
等しくない
6.56E-07
等しくない
即席
0.417251
等しい
2.88E-05
等しくない
調味料
菓子
調味料
判定(平均は)
等しくない
即席
菓子
t検定(両側)
0.004036
調味料
食材
判定(分散は)
この表からわかることは、食材×調味料の場合のみが分散・平均ともに等しく、この2つ
は母分散・母平均に差がない、ということである。また、
「菓子」分類は他の3分類のいず
1
れとも分散・平均ともに等しくなく、そのほかの組み合わせは、分散は等しく、平均は等
しくない。ここから「菓子」分類は明らかに他の分類とは違う年齢層を登場人物として用
いていることがわかる。この理由は、「菓子」分類のターゲットが子供や若者といった、比
較的低年齢層であることが一要因として考えられる。また、「食材」×「調味料」の検定結
果がいずれも等しかったということは、この二つの分類は年齢層が同じである。確かに、
いずれもきちんと「料理をする」ことが前提として必要であるため、ターゲットとしても
比較的年齢層は高いはずである。そこで、各分類ではどの年代が多く起用されているか、
2
登場人物の年齢のばらつきを、 χ 検定を用いて検証する。各分類の登場人物の年齢分布は
表 3‑4‑3 の通りである。
表 3‑4‑3.各分類の登場人物の年齢分布
0〜9
10〜19
20〜29
30〜39
40〜49
50〜59
60〜69
70〜79
80〜89
90〜
合計
食材
9
2
20
45
38
19
7
2
0
1
143
菓子
14
15
54
25
2
6
1
0
0
0
117
調味料
3
2
18
33
20
22
12
1
0
0
111
即席
6
13
50
42
21
15
9
0
0
0
156
合計
32
32
142
145
81
62
29
3
0
1
527
仮説を以下のようにたて、検定を行った。
帰無仮説H0:
各分類間の登場人物の年齢分布は同じである
対立仮説H1:
各分類間の登場人物の年齢分布には違いがある
検定結果は以下の通りである。
2
359.991
検定統計量
χ 値
自由度
φ
36
有意水準
α
0.05
有意確率
p値
4.57E-55
<
0.05
よって「各分類間の登場人物の年齢分布は同じである」という仮説は棄却され、各分類間
の登場人物の年齢分布には、ばらつきがあることがわかった。そこで、どのようなばらつ
2
きがあるのかを残差を調べ、分析する。また、この検定はこれまで行ってきた χ 検定に比
べ、非常に項目数が多いため、特徴を把握するのに時間がかかると考え、調整化残差の値
を以下のように判定し、表にまとめた。調整化残差は表 3-4-4、残差の判定は表 3-4-5 の通
りである。
残差の値が 1 以上
+
やや多い
2
残差の値が 2 以上
++
残差の値が-1 以下
-
残差の値が-2 以上
--
多い
やや少ない
少ない
残差の値が-1 から 1 0
特徴ではない
表 3-4-4.各分類の登場人物年齢分布の残差
0〜9
10〜19
20〜29
30〜39
40〜49
50〜59
60〜69
70〜79
80〜89
90〜
食材
0.130
-2.741
-4.092
1.240
4.352
0.662
-0.373
1.544
0
1.640
菓子
3.026
3.465
5.309
-1.688
-4.645
-2.526
-2.500
-0.928
0
-0.535
調味料
-1.673
-2.120
-2.868
0.588
0.871
2.965
2.760
0.523
0
-0.517
即席
-1.387
1.409
1.713
-0.197
-0.788
-0.993
0.174
-1.126
0
-0.649
表 3-4-5.残差判定の結果
0〜9
10〜19
20〜29
30〜39
40〜49
50〜59
60〜69
70〜79
80〜89
90〜
食材
0
--
--
+
++
0
0
+
0
+
菓子
++
++
++
-
--
--
--
0
0
0
調味料
-
--
--
0
0
++
++
0
0
0
即席
-
+
+
0
0
0
0
-
0
0
よって残差判定の結果より、各分類の特徴として次のことがわかる。
「食材」は30代〜4
0代が多く、10代〜20代の若い年齢層に少ない。また、「菓子」は0〜20代の若者や
子供が非常に多く、それ以上の年代は少ない。先ほど「菓子」分類のターゲットが、子供
や若者といった比較的低年齢層であることが一要因であると考えたことが、ここで立証さ
れたわけである。それゆえ40代以上についてはほとんど登場することがない。
「調味料」
は「菓子」とは反対に、30代以上特に50代や60代の登場回数が多くなっている。「即
席」はやや若い年代が多いものの、他の分類に比べて全体的にまんべんなく登場している
ような印象を受ける。購買層と同じ年代の登場人物を起用することで、親近感や購買意欲
を誘っているとすれば、これらはまさしく各分類の顧客層であり、販売ターゲットである
と考えられる。
3.4.3. 国勢調査とコマーシャルの年齢分布の検定〜仮説②の検証〜
仮説②コマーシャルに登場する人物の年齢層と、国勢調査での現実の年齢層にはずれが
3
生じている、を検証するため、平成12年国勢調査のヒストグラムもグラフとして図示し
た。グラフ 3-4-2 がそうである。
年齢分布・国勢調査
百
万
25
人数(百万)
20
15
10
5
上
89
0
10
0
9
0
〜
8
0
7
以
79
〜
69
〜
59
0
6
0
5
0
4
〜
49
〜
39
〜
29
〜
〜
0
0
3
2
1
0
〜
0〜
19
9
0
年齢
グラフ 3-4-2.日本の人口ヒストグラム
これと先の4つを比較すると、やはり年齢分布にはばらつきがあるように見える。そこ
2
で、先ほどと同じように χ 検定を行い、ばらつきの有無を調べることにする。検定に用い
た観測値は表 3-4-6 の通りである。
表 3-4-6.コマーシャル全体と国勢調査の年齢分布
0〜9
10〜19
20〜29
30〜39
40〜49
50〜59
60〜69
70〜79
89〜89
90〜
合計
CM
32
32
142
145
81
62
29
3
0
1
527
国勢調査
11926
14035
18212
16891
16716
19176
14842
10051
4147
701
126697
(千人)
これを用いて、「コマーシャル全体と国勢調査の年齢分布には差がない」との仮説のもと
検定を行ったところ、以下の結果がでた。
2
χ 値
233.343
自由度
φ
9
有意水準
α
0.05
有意確率
p
3.3E-45
検定統計量
<
0.05
よって、有意差が認められたため、コマーシャル全体と国勢調査の結果すなわち実際の
年齢分布との間には、差異が存在することがわかった。そこで、調整化残差を求め、3−
4−2で用いた基準のもと残差判定を行い、それぞれの特徴について検証する。表 3-4-7 が
4
調整化残差の値、表 3-4-8 が残差検定の結果である。
表 3-4-7.コマーシャルと国勢調査での年齢分布の残差
0〜9
10〜19
20〜29
30〜39
40〜49
50〜59
60〜69
70〜79
89〜89
90〜
CM
-2.626
-3.661
8.226
9.578
1.476
-2.159
-4.434
-6.255
-4.223
-1.125
国勢調査
2.626
3.661
-8.226
-9.578
-1.476
2.159
4.434
6.255
4.223
1.125
表 3-4-8.残差判定の結果
0〜9
10〜19
20〜29
30〜39
40〜49
50〜59
60〜69
70〜79
89〜89
90〜
CM
--
--
++
++
+
--
--
--
--
-
国勢調査
++
++
--
--
-
++
++
++
++
+
よって残差判定の結果より、以下の特徴があることがわかる。
「コマーシャル全体」では 20
代・30 代の割合が顕著に多く、40 代もやや多い。しかしそれ以外の年代は全て国勢調査の
結果すなわち現実の人口分布のほうが、割合が多い。ここから、コマーシャルは 20 代から
30 代の年代を多く起用し、登場人物が実際の人口分布の割合と比べて、非常に若い年代を
映し出していることがわかる。
3.5.
登場人物構成の分析
登場人物構成
69
分類
即席
調味料
菓子
41
66
57
68
食材
0%
一人
家族
37
20%
友達
45
15
11
44
41
24
40
31
40%
説明者と聞き手
23
60%
3.5.1. 登場人物構成について
5
34
53
17
80%
0
14
40
その他・アニメ
グラフ 3-5-1.各分類別の登場人物構成
23 3
4
100%
有名人含む
私たちが普段見ているコマーシャルの中では、視聴者に商品を購入させようとする販売
者の意図を背景に背負いつつ、様々な人物が説明やドラマを繰り広げている。例えば登場
人物たちは、ホームドラマを演じることもあれば、解説者と聞き手といった純粋な意味で
のコマーシャルを繰り広げることもある。ドラマの面白さにつられて商品に興味をもつこ
ともあれば、真摯な商品解説を聞いて本当に商品に惚れ込み、購買意欲をそそられること
もある。登場人物の演じる役割は、商品購入の大きな要因を担っていると考えられる。そ
こでこの節では、4つの分類の間では、登場人物構成には違いがあるのかどうかを検定し、
もし差異が存在するならばどのように異なるのか、を詳しく分析することにする。
3.5.2. 登場人物の検定
まず、視覚的に登場人物の構成を示すため、グラフ 3-5-1 に各分類別の登場人物構成を図
示した。これを見ると、各分類間でのばらつきがあるような印象をなんとなく受けるが、
これだけでは詳しい差異は読み取ることができない。そこで、データのクロス集計結果を
表 3-5-1 に示した。
表 3-5-1.登場人物構成のクロス表
一人
家族
友達
説明者と聞き手
その他・アニメ
有名人含む
合計
食材
68(58.75)
40(38.5)
31(33)
17(27)
40(37.5)
4(5.25)
200
菓子
57(58.75)
11(38.5)
41(33)
24(27)
53(37.5)
14(5.25)
200
調味料
41(58.75)
66(38.5)
15(33)
44(27)
34(37.5)
0(5.25)
200
即席
69(58.75)
37(38.5)
45(33)
23(27)
23(37.5)
3(5.25)
200
合計
235
154
132
108
150
21
800
値は観測値(期待値)の形で表している。この表によると、他分類に比べて「菓子」分類の
「家族」での登場が少ないような印象を受けるのではないだろうか。また、「調味料」分類
の「友達」も他分類に比べて少ないような印象を受ける。どうやら、各分類間での登場人
物構成には差が生じているように思われる。そこで以下のように仮説を立てた。
帰無仮説H0: 各分類間の登場人物構成は同じである
対立仮説H1: 各分類間の登場人物構成には違いがある
2
この仮説に基づいて有意水準 αを α=0.05 と設定し χ 検定を行ったところ、以下のような
結果が得られた。
2
検定統計量
χ 値
113.240
自由度
φ
15
有意確率
p値
3.84002E-17 <
6
α=0.05
よってp<αより、帰無仮説 H0は棄却され、各分類間の登場人物構成には差異があるこ
とが認められた。
では次に、各分類のばらつきの特徴について、より具体的に調べることにする。先ほど
の検定の過程で求められた期待値とデータの観測値より調整済み残差 dij を求めたところ、
表 3-5-2 のような結果が得られた。
表 3-5-2.登場人物構成の調整化残差
一人
家族
友達
説明者と聞き手
その他・アニメ
有名人含む
食材
1.658
0.311
-0.440
-2.389
0.523
-0.638
菓子
-0.314
-5.695
1.760
-0.717
3.2423
4.469
調味料
-3.182
5.695
-3.960
4.062
-0.732
-2.681
即席
1.8372
-0.311
2.640
-0.956
-3.033
-1.149
よって、
食材は
やや「一人」
が多く
「説明者と聞き手」
が少ない
菓子は
「有名人含む」と「その他・アニメ」
が多く
「家族」
が少ない
調味料は
「家族」と「説明者と聞き手」
が多く
「友達」と「一人」
が少ない
即席は
「友達」
が多く
「その他・アニメ」
が少ない
ということが特徴としてわかった。なお、食材について「やや多い」と表記したのは、
残差の+値が特徴付けられるほど大きくなかったためである。その他の表記傾向について
は、いずれも「特徴」と呼ぶに値しうるものであると思われる。まず「菓子」分類に「そ
の他・アニメ」が多かったのは、お菓子を購入する購買層が、他の分類に比べると低年齢
層を多く含むことがあげられると考えられる。
「菓子」のコマーシャルでは、玩具つき菓子
なども多く含まれているからである。また、「有名人含む」が多かった理由としては、「菓
子」は嗜好品であるため個々人の好みによって大きく異なる分野である。
「一度買ってみる」
という購買意欲をそそるには、味そのものよりも、「あの有名人が食べていた」というイメ
ージやブランドが先行するのではないだろうか。次に「調味料」分類に「家族」が多かっ
たのは、調味料は他の3分類と比較すると、純粋に調理をして食事をする時に用いられる
ことが多いためだろう。また、「説明者と聞き手」については、調味料をより幅広く使う方
法を視聴者に示すことによって、購買意欲を高めようとの意図からだと思われる。よって
コマーシャルの分類による登場人物の構成には、確かに個々の特徴があり、商品のターゲ
ットにあわせた戦略がとられていることがわかった。即席については、屋台などの場面を
用いて友達同士で食する場面等が多かったためか、「友達」が多かった。食品のコマーシャ
ルにおいて、購買層に合わせた登場人物の構成をすることでターゲットの購買意欲を高め
ることが狙いであるならば、その結果として個食化の傾向を強く描き出しているとも見て
7
取れる。
家族構成の分析
3.6.
分類
家族構成
即席
7
調味料
7
14
2
12
1 4
35
6
19
03
菓子 1 4 1 301
5
食材
23
0
夫婦
夫婦子供
5
5 2 3
20
男親子供
40
女親子供
60
祖父+親子
80
その他
グラフ3−6.分類別家族構成
3.6.1. 家族構成分析について
コマーシャルを見ていると、よく見かけるのは一人で登場するもの、友達と登場する
もの、家族で登場するもの、と様々である。これはもちろん当然で、食事とは他人とのコ
ミュニケーションをはかり、様々な人間関係を育むための社会的行動であるためであろう。
ところで、この節ではあえて食コマーシャルの「家族構成」のみに焦点をあてている。そ
れはなぜか。私は現在、大学生で親元を離れているため単身であるが、そもそもは両親・
弟・祖母の5人家族である。しかし、食のコマーシャルを見る限り、
「両親と子供」や「片
親と子供」、または「夫婦のみ」などの核家族世帯はよく見ることができるのに対し、「祖
父母を含んだ家族」をほとんど見受けることができない。また、分類別家族構成のグラフ
3−4を見ると、分類別の「家族」での登場回数の差がかなり顕著である。登場人物の人
間関係については次項で分析するので、まずはそれぞれの分類における家族構成に違いが
あるかどうかを分析する。また、違いがあるならば、それぞれに何か特徴があるのかどう
かについても検証する。また、平成12年国勢調査における家族・世帯構成のデータ値と
も比較し、どのような違いがあるかを調べた。まず、以下のように仮説を設定する。
仮説①:各分類における家族構成には、それぞれの分類の購買対象を反映した差異がある
仮説②:コマーシャルで描かれる家族構成には、平成12年国勢調査の結果との間にばら
つきが生じている
8
これらの二つの仮説を検証するため、コマーシャル調査項目から「登場人物構成」の「一
人」の場合と「家族で登場した場合の家族構成」全てを用いた。
3.6.2. 家族構成の検定〜仮説①の検証〜
まず、各分類の「家族構成」についての観測値(表 3-6-1)と期待値(表 3-6-2)は以
下の通りである。
表 3-6-1.家族構成の観測値
夫婦
夫婦子供
男親子供
女親子供
祖父母+親子
兄弟姉妹
合計
食材
5
23
5
5
2
3
43
菓子
1
4
1
3
0
1
10
調味料
7
35
6
19
0
3
70
即席
7
14
2
12
1
4
40
合計
20
76
14
39
3
11
163
表 3-6-2.家族構成の期待値
夫婦
夫婦子供
男親子供
女親子供
祖父母+親子
兄弟姉妹
合計
食材
5.276
20.049
3.693
10.288
0.791
2.902
43
菓子
1.227
4.663
0.859
2.393
0.184
0.675
10
調味料
8.589
32.638
6.012
16.748
1.288
4.724
70
即席
4.908
18.650
3.436
9.571
0.736
2.699
40
合計
20
76
14
39
3
11
163
一見、観測値と期待値との間にはほとんど差異は存在しないように感じられる。次に仮説
を次のように立てた。
帰無仮説H0: 各分類間の家族分布は同じである
対立仮説H1: 各分類間の家族分布には違いがある
2
この仮説に基づいて有意水準 αを α=0.05 と設定し χ 検定を行ったところ、以下のよう
な結果が得られた。
2
検定統計量
χ 値
12.8067
自由度
φ
15
有意確率
p値
0.61722634 >
α=0.05
よって p>αより帰無仮説は棄却されないため、「各分類間の家族分布は同じである」とい
9
う仮説は正しいことがわかる。
以上より、各分類間での「家族」出現回数には違いはあるけれども、家族分布はそれぞ
れ同じだということがわかる。よって、仮説①「各分類における家族構成には、それぞれ
の分類の購買対象を反映した差異がある」は、棄却されることがわかった。ターゲット別
に家族構成を設定しているわけではなく、「食品のコマーシャル」というカテゴリー内での
独自の家族設定があることがわかった。
3.6.3. 国勢調査を含む検定〜仮説②の検証その1〜
それでは、CM での家族分布と実際の家族分布とを比較するとどうなるだろうか。3−2
にも示したが、2000(平成12)年の国勢調査による家族構成は、以下の通りである。な
お、ここでもやはり「その他」とは、「兄弟姉妹のみ」という家族構成が多く登場したため
作成した項目であるので、国勢調査における「その他」の項目の中から「兄弟姉妹のみ」
の項目を抽出して分析を行うこととする。
表 3-6-4.平成 12 年国勢調査による家族構成(再掲)
総数(千人)
%
夫婦のみ
17686
18.13%
夫婦と子供
51992
53.30%
男親と子供
1297
1.33%
女親と子供
7328
7.51%
祖父母+親子
18746
19.22%
兄弟姉妹
292
0.51%
2
これを用いて先ほどと同じように仮説を立て、有意水準α=0.05 として χ 検定を行うと、
以下のような結果となった。
2
検定統計量
χ 値
自由度
φ
有意確率
p値
369.588
5
1.059E-77
<
0.05
よって限られた項目内において、コマーシャル内の家族と実際の家族構成については、有
意差が認められた。仮説②は正しかったといえるだろう。そこで次に、コマーシャルと実
際の家族のそれぞれの特徴を(すでに現実のほうが多種多様な家族構成であることはわか
っているため、今回分析した 6 項目のみについて)調べることとする。先ほどの検定の過
程で求められた期待値とデータの観測数より調整済み残差 dij を求めたところ、表 3-6-5 の
ような結果が得られた。表 3-6-6 には、3−4で用いた残差検定を以下の基準で行った。
10
残差の値が 1 以上
+
やや多い
残差の値が 2 以上
++
多い
残差の値が 5 以上
+++
非常に多い
残差の値が-1 以下
-
残差の値が-2 以上
--
少ない
残差の値が-5 以下
---
非常に少ない
やや少ない
残差の値が-1 から 1 0
特徴ではない
表 3-6-5.国勢調査と CM 合計の調整化残差
夫婦
夫婦子供
男親子供
女親子供
祖父母+親子
兄弟姉妹
CM 合計
-1.952
-1.735
8.037
7.915
-5.638
14.779
国勢調査
1.952
1.735
-8.037
-7.915
5.638
-14.779
表 3-6-6.国勢調査と CM 合計の残差検定の結果
夫婦
夫婦子供
男親子供
女親子供
祖父母+親子
兄弟姉妹
CM 合計
-
-
+++
+++
---
+++
国勢調査
+
+
---
---
+++
---
この結果を見ると、「男親または女親と子供」という「片親+子供」の家族構成は、実際
の割合よりも非常に多用されていることがわかる。また、
「兄弟姉妹」のみでの登場回数も
非常に多く、「祖父母+親子」という構成での割合は実際よりもかなり少なくなっている。
また、
「夫婦」
「夫婦と子供」については、国勢調査の結果の方がやや多かった。ここから、
3−2節でも述べたが、コマーシャルでは実際の家族構成に比べて非常に偏った家族構成
をなしていることがわかる。
3.6.4. 個食傾向の検定〜仮説②の検証その2〜
さて、この節では家族構成の特徴と差異について検証してきたわけであるが、本論文の
テーマは「個食化の傾向を探る」ことである。そこで、家族構成の先の6項目の他に調査
時の項目として設けた「一人」項目を「単独世帯」という位置づけで加え、もう一度検定
を行うこととした。これにはいくつか理由が存在するが、1.菓子・即席めんなどは特に、
個人で食するものであるため個食化の傾向が強いように思われること、2.大学生・単身
赴任者などの単独世帯は、今日の人口の1割強を占め、家族構成として無視できない位置
にあること、などからである。また、先の家族構成の分析中に加えなかったことは、「説明
11
者型コマーシャル」の中に一人で登場するものがいくつか存在するため、「世帯」の構成人
数をそのまま表すものではないと考えたため、先の検定において意味があるとは考えられ
なかったからである。
2
さて、有意水準 α=0.05 での χ 検定を行った結果、以下のようになった。
検定統計量
2
χ 値
166.024
φ
24
p値
3.2999E-23
自由度
有意確率
<
0.05
よってばらつきが生じていることがわかるため、先程と同じ方法で調整化残差を求め、各々
の特徴を求めた。調整化残差は表 3-6-7、残差検定の結果は表 3-6-8 である。
表 3-6-7.個食化の検定・調整化残差
一人
夫婦
夫婦子供
男親子供
女親子供
祖父+親子
その他
食材
2.944
-1.354
-1.242
1.088
-1.896
-1.400
0.436
菓子
6.356
-2.003
-3.899
-0.760
-1.406
-1.826
-0.408
調味料
-2.857
-0.538
1.725
1.721
3.339
-2.478
0.436
即席
3.392
-0.480
-3.364
-0.781
0.794
-1.907
1.213
国勢調査
-8.719
4.036
6.092
-1.419
-1.088
7.316
-1.755
表 3-6-8.個食化の検定・残差検定の結果
残差検定の結果
一人
夫婦
夫婦子供
男親子供
女親子供
祖父+親子
その他
食材
++
-
-
+
-
-
0
菓子
+++
--
--
0
-
-
0
調味料
--
0
+
+
++
--
0
即席
++
0
--
0
0
-
+
国勢調査
---
++
+++
-
-
+++
-
この結果を見ると、国勢調査の結果は4分類よりも「祖父母+親子」が非常に多く、「一
人」が非常に少ないことがわかる。つまりコマーシャルでは全体的に、単身での登場回数
が多く、祖父母を含んだ家族での登場や高齢者の登場が少ない傾向にあるようだ。また、
「夫
婦+子供」も非常に多く「夫婦」も多い。食材・菓子・即席においては「一人」がいずれ
も非常に多い、または多いことから、これら3つの分類のコマーシャルにおける家族構成
は、「単身でも便利な食生活」を映し出すことにより、個食化の傾向の一端を担っていると
考えられる。
「食材」は「一人」項目が多いものの、その他の項目については比較的理想値
に近く、安定であるといえる。菓子と即席は単身で食することを前提として販売されるも
12
のであるため、この結果は当たり前といえば当たり前ではある。しかしそれゆえに個食を
促す一要因として憂慮されるところではないだろうか。例えば菓子であれば、個食傾向を
促す「一人」での登場よりも、家族みんなで菓子を食する場面を描いたほうが、
「菓子は一
人で食べるもの」とのイメージを覆し、個食化の進行を止めるきっかけになるのではない
だろうか。特に「菓子」
「即席」からは個食化、また家族のそろわない状態での食事を、助
長させることが可能性として考えられる。また、この2つの分類(特に菓子)は、若年層
をターゲットにしていることが 3.4 年齢分布の分析からみてとれる。このことと合わせて、
これらふたつのコマーシャルからは若者を個食化に導く危険性が非常に高いと考えられる。
反対に「調味料」のコマーシャルでは、登場人物の年齢層が 50〜70 に多かったことと、
「一
人」での登場がコマーシャルの4分類の中で唯一マイナスであったことなどから、個食化
を助長させる危険性は他と比べて低いと考えられる。
13
4. 結論
4.1.
3 章の各仮説と結果について
3 章では 5 つの節にわたり、各仮説の検証を行ってきた。ここではもう一度、それらの仮
説と結果について簡単にまとめることとする。
3−2.1996・97 年と 2002・03 年の比較分析については、個食化の傾向を探るという
本論文の大仮説に基づいた①現在のコマーシャルの方が登場人物はより少ない構成に推移
している、②現在の家族のコマーシャルは核家族化をしている、という二つの仮説を設定
し、1996・97 年と 2002・03 年に放送されたコマーシャルの中から、本論文での分類「調
2
味料」について年代ごとにサンプル 100 を抽出し、 χ 検定を行った。その結果、仮説に
ついて次のことがわかった。仮説①については、1996・97 年の方が一人で登場することが
多く、2002・03 年の方がアニメや CG などを駆使したコマーシャルが多かった。ここから、
人物の起用が少なくなっているという点において、登場人物はより少ない構成に推移して
いるといえる。しかし同時に、1996・97 年の方が家族で登場することもやや多いという結
果が出た。そこで家族構成を検定し仮説②を検証したところ、有意水準 α=0.05、0.1 両方
において「2つの年代での家族構成には差がある」という対立仮説が棄却され、家族構成
に関しては差がないことがわかったため、仮説②は立証されなかった。そこで平成 12 年の
国勢調査の結果との検定を行い、コマーシャル全体と実際の社会における家族構成の差異
について検証した。その結果、調味料のコマーシャル全体では、「女親+子供」や「男親
+子供」が多く「祖父母+親子」が少ない、という特徴を持っていることがわかった。こ
こから、コマーシャルでは実際の世帯構成よりも「父または母の片親+子供」での登場回
数が多く、「祖父母+親子」という拡大家族の構成が少ないことがわかった。ここから、
コマーシャル全体においては、現実よりも核家族化の傾向が強く、何らかの意図から一部
の家族を強調して放映していることがわかった。
3−3.男女差の分析については、コマーシャル全体の男女差の有無と、分類ごとの男
女差の有無について検証した。コマーシャル全体の男女差については、「食べる人は男が多
く、調理する人は女が多い」という特徴が浮かび上がってきた。これを見ると、約 30 年前
の「ワタシ作る人、ボク食べる人」の時代から、コマーシャルの描く男女の役割像は変化
していないといえるようだ。次に、分類ごとの比較を行ったところ、
「食材」は有意水準 α
=0.05 について、
「調味料」は有意水準 α=0.1 について「男女差はない」という仮説を棄却
し、食材と調味料ともに「調理する人」は女性が多く、「食べる人」は男性が多かった。ま
た、登場人物の役割についても同様の検定を行ったところ、分類ごとの特徴(商品の性質
や購買ターゲット)をよくとらえた結果があらわれた。「食材」は女が調理をして男または
子供が食べることが多い。「菓子」は女が食べるカットが多く、調理場面はなしであること
14
が多い。「調味料」はコマーシャルで「説明者と聞き手」が多かったためか、調理する人は
その他が多かった。次いで女が多く、「母親が作り子供が食する」場面が多かった。「即席」
では調理場面はほとんどなく、男が食べる場面が非常に多かった。
3−4.登場人物の年齢分布の分析については、①分類間では、主な登場人物の年齢層
にはばらつきがある、②コマーシャルに登場する人物の年齢層と、国勢調査での現実の年
2
齢層にはずれが生じている、という二つの仮説をたて、これについて t 検定・χ 検定を行
った。仮説①については t 検定の結果「食材」×「調味料」が分散・平均ともに等しく、こ
の2つは母分散・母平均に差がないことがわかった。また、「菓子」分類は他の3分類のい
ずれとも分散・平均ともに等しくなく、そのほかの組み合わせは、分散は等しく、平均は
等しくない。ここから「菓子」分類は明らかに他の分類とは違う年齢層を登場人物として
2
用いていることがわかる。次に χ 検定・残差検定から、各分類の特徴として「食材」は3
0代〜40代が多く、10代〜20代の若い年齢層に少ない。また、
「菓子」は0〜20代
の若者や子供が非常に多く、それ以上の年代は少ない。40代以上についてはほとんど登
場することがない。「調味料」は「菓子」とは反対に、30代以上特に50代や60代の登
場回数が多くなっている。「即席」はやや若い年代が多いものの、他の分類に比べて全体的
にまんべんなく登場している、という特徴をつかむことができた。また仮説②についても
ばらつきが有意であることがわかった。「コマーシャル全体」では 20 代・30 代の割合が顕
著に多く、40 代もやや多い。しかしそれ以外の年代は全て国勢調査の結果すなわち現実の
人口分布のほうが、割合が多い。ここから、コマーシャルは 20 代から 30 代の年代を多く
起用し、登場人物が実際の人口分布の割合と比べて、非常に若い年代を映し出しているこ
とがわかる。
3−5.登場人物構成の分析は「各分類間の登場人物構成は同じである」と帰無仮説を
2
たて χ 検定を行ったところ、有意水準 α=0.05 について棄却され、登場人物の構成にばら
つきがあることがわかった。特徴としては、「食材」は「一人」が多く「説明者と聞き手」
が少なかった。
「菓子」は「その他・アニメ」
「有名人含む」が多く、
「家族」が少なかった。
「調味料」は「家族」
「説明者と聞き手」が多く、
「友達」
「一人」が少なかった。即席は「友
達」が多く、
「その他・アニメ」が少なかった。購買層に合わせた登場人物の構成をするこ
とでターゲットの購買意欲を高めることが狙いであったとしても、結果として個食化の傾
向を強く描き出していると見て取れる。
3−6.家族構成の分析については、仮説①各分類における家族構成にはそれぞれの分
類の購買対象を反映した差異がある、仮説②コマーシャルで描かれる家族構成には、平成
12年国勢調査の結果との間にばらつきが生じている、という二つの仮説をたてた。これ
らを検証したところ、仮説①に関しては棄却され、分類ごとの差異はなく、食品のコマー
シャル全体としての、ある一定の家族構成の割合が存在することがわかった。次に仮説②
については有意差が認められ、正しいことがわかった。その差異については、3−2節で
検定を行ったときとほぼ同様の結果が得られた。また、各分類と国勢調査の結果について
15
個食化の傾向を探る検定も行った。これにもばらつきがみとめられ、国勢調査の結果は4
分類よりも「祖父+親子」と「夫婦+子供」が非常に多く「夫婦」も多い反面、
「一人」が
非常に少ないことがわかった。ここから、コマーシャルでは、現代の家族の全体像ではな
く、一部の家族を強調して放映していることがわかった。特に「菓子」や「即席」などは、
3−4節での若年の登場傾向が多いことに加えて、ここでも「一人」での登場が多いこと
がわかり、「個食化」の意識を若年層に広めている危険性が高いことがわかった。
4.2.
結論
「個食化の傾向は、コマーシャル放送年代には関係ないが、現実世界とコマーシャルと
の間では生じている」。これが結論である。食品のコマーシャルの分析を行うことで、現在
の家族像や食事をする回数などが背景に浮かび上がってきた。現在の日本社会において個
食化が進んでいることは事実である。また、コマーシャルにおいて個食の傾向が強い(分
類にもよる)ことも事実である。それではこの「コマーシャル」と「個食化の傾向」、2者
の関係が、個人の行動を刺激→反応、原因→結果で説明する「直線因果律」で説明できる
ものであるのか、それとも「円環因果律」のように、反応の連鎖が円環をなしているのか。
しかしそれは本論文ではどの因果関係を持っているかは、導き出すことができなかった。
青木は「食事と家族」の中で、次のように述べている。
『現代の日本の社会はめまぐるしく動いている。日本のライフスタイルも「家族」から
「個族」へ変わろうとしている、とも言われている。2013 年には「夫婦と子ども」の世帯
に代わって、
「一人で暮らす」単独世帯が最も多い数になるとも予測されている。家族単位
から個人単位の社会への移行も考えられることかもしれない。 ―中 略 ―どんなに機能的に
なっても、人が人間関係を学ぶ基礎は、誕生以来生活をしている家族のサークルの中にあ
る、ということを忘れないようにしたいものである。』
食品のコマーシャルにおける個食化の傾向は、やがて来る個人単位の社会を先取りし、
そのニーズに合わせた販売戦略の一端であるかもしれない。
5. 参考文献
z
参考文献
岩村暢子「変わる家族
変わる食卓」(勁草書房、2003)
16
柏木重秋編「広告機能論」(ダイヤモンド社、1979)
国民生活センター編「食と生活−勤労者世帯の夕食実態−」(光生館、1984)
鈴木由紀生・小川俊樹「日常生活からの心理学入門」(教育出版、2001)
豊川裕之「食生活の現代的課題」(放送大学教育振興会、1996)
仁科貞文「新広告心理」
(電通、1991)
正岡寛司・望月嵩「現代家族論」(有斐閣、1988)
八巻俊雄「比較世界のテレビCM」
(日経広告研究所、1994)
NHK 放送世論調査所編「日本人の食生活」(日本放送出版協会、1983)
「日本国勢図会
z
2002/03 年版」(矢野恒太記念会、2002)
参考論文
青木義子「食事と家族」
(鈴木浩二編『こころの科学 85』p.28-33、日本評論社、1999)
今泉容子「テレビコマーシャルの食シーンに見る女たち」
(『文藝言語研究・文藝篇 39』p.86-124、筑波大学文芸・言語学系、2001)
「日本と韓国の食のテレビコマーシャル−映像文法の比較」
(『文藝言語研究・文藝篇 40』p.76-120、筑波大学文芸・言語学系、2001)
z
参考ホームページ
(株)宣伝会議「CM@Navi」
総務省統計局「平成 12 年国勢調査」
URL:http://www.cmnavi.net/
URL:http://www.stat.go.jp/data/kokusei/
社団法人日本植物油協会「植物油インフォメーション」
URL:http://www.oil.or.jp/bn/index.html
17
付録目次
付録 1.項目別分類方法 .........................................................................................................19
1.1. 分類方法
19
1.2. 分類
20
1.3. 年次別データ
21
2
付録2.L×M 分割表とΧ
検定過程 ....................................................................................22
3.2.2 登場人物の分析〜仮説①の検証〜 のデータ
22
3.2.3 家族構成の分析〜仮説②の検証〜 のデータ(単独世帯なし)
27
3.2.3 家族構成の分析〜仮説②の検証〜 のデータ(単独世帯あり)
28
3.3.2 全体での男女の役割差の検定 のデータ
29
3.3.3 分類別での役割差の検定 のデータ
30
3.4.2 各分類間の登場人物年齢分布の検定〜仮説①の検証〜 のデータ
32
3.4.3
国勢調査とコマーシャルの年齢分布の検定〜仮説②の検証〜 のデータ
34
3.5.2 登場人物の検定 のデータ
3.6.2 家族構成の検定〜仮説①の検証〜
35
のデータ
36
3.6.3 国勢調査を含む検定〜仮説②の検証その1〜 のデータ
37
3.6.4 個食傾向の検定〜仮説②の検証その2〜 のデータ
39
18
付録 1.項目別分類方法
5.1.
分類方法
まず、項目を以下の分類方法で4つに分けた。
調味料
飲食物の味をととのえ、よい味にするための材料。
即席
温める、お湯をかける、ゆでるなどひと手間で料理が出来上がる形態のもの。
手間のかからないもの。
食材
料理の材料となる食品。但し、主食(パン・ライス)と調味料は除いた。
菓子
主食とではなく、嗜好品として食されるもの。通常の食事以外に食べる嗜好品。
砂糖・水あめ・餡(あん)などを加えた甘いものが多い。
○調味料
21項目 2898
調味料総合
味醂・料理酒
中華調味料
化学調味料
食酢
塩・砂糖
風味調味料
ケチャップ
香辛料
濃縮調味料
マヨネーズ
人口甘味料
醤油
ドレッシング
その他調味料
味噌
カレー粉・カレールウ
ジャム・バターピーナッツ
ソース・たれ
ルウ・ソースミックス
その他食品
穀類・麺類総合
調味済カレー・シチュー
即席みそ汁・吸物
即席麺類総合
調味済即席食品
ふりかけ・お茶漬けのり
乾麺・生麺
冷凍食品
シリアル
即席カップ麺
スープ
マカロニ・スパゲッティ
即席袋麺
缶詰・瓶詰
加工食品総合
その他・加工食品
○即席
○食材
16項目 4162
12項目 1658
食用油
液状クリーム・生クリーム
マーガリン
ハム・ソーセージ
肉・卵・魚
バター
水産練製品
小麦粉・天ぷら粉
チーズ
かつおぶし・削りぶし
その他・穀類
○菓子
生果実・生野菜
12項目 4598
アイスクリーム・シャーベット
クラッカー・ビスケット・パイ
せんべい・あられ・おこし
飴・キャンディ・キャラメル
ケーキ・カステラ・ドーナッツ
スナック菓子
チョコレート
プリン・ゼリー
ナッツ・豆類
チューインガム
和菓子
その他・菓子
19
5.2.
分類
次に、それぞれの項目で割合が大きい順に並べ替え、累積が90%のものまでをデータ
として用いることにした。なお、食材は累積90%に達した項目「マーガリン」が次の項
目「水産練製品」と同値 3.679131 であったため、特別に項目に加えることにした。
○調味料
13項目
○即席
10 項目
サンプル使用数
サンプル使用数
ソース・たれ
30
即席カップ麺
63
濃縮調味料
28
その他・加工食品
30
ルウ・ソースミックス
28
冷凍食品
27
カレー粉・カレールウ
27
即席袋麺
20
中華調味料
16
調味済即席食品
15
ドレッシング
15
ふりかけ・お茶漬けのり
11
味噌
10
シリアル
10
マヨネーズ
10
調味済カレー・シチュー
10
その他調味料
9
食酢
9
その他食品
7
香辛料
6
風味調味料
5
合計
○食材
スープ
8
即席麺類総合
6
合計
200
200
○菓子類
8 項目
8項目
サンプル使用数
サンプル使用数
チョコレート
41
スナック菓子
40
35
クラッカー・ビスケット・パイ
28
生果実・生野菜
32
アイスクリーム・シャーベット
27
肉・卵・魚
21
チューインガム
25
小麦粉・天ぷら粉
10
飴・キャンディ・キャラメル
24
ハム・ソーセージ
44
食用油
42
チーズ
マーガリン
8
プリン・ゼリー
8
水産練製品
8
ケーキ・カステラ・ドーナッツ
7
合計
合計
200
20
200
なお、データは使用する累積90%までの各項目の割合別にサンプルを抽出した。これ
はなるべく、抽出したサンプルが偏りなく、元のデータを反映するように配慮した結果で
ある。
それぞれの項目について1996年1月1日から2003年12月14日までのデータ
を検索し、検索結果一覧の通し番号を15とびに集計した。
5.3.
年次別データ
食品のコマーシャルの中から1−2の「調味料」分類において 1996・97 年次データと
2002・03 年次データをそれぞれサンプル 100 ずつ抽出した。それぞれの項目についてはデ
ータ検索を行ったのち検索結果一覧の通し番号を5とびに集計した。
21
付録2.L×M 分割表と χ2 検定過程
3.2.2
登場人物の分析〜仮説①の検証〜
10.
のデータ
観測値 f ij
説明者と聞き
一人
家族
友達
その他・アニメ
なし
合計
手
1996/1997
36
25
6
25
0
8
100
2002/2003
21
35
8
21
7
8
100
合計
57
60
14
46
7
16
200
家族
友達
その他・アニメ
なし
合計
11.
期待値 tij
説明者と聞き
一人
手
1996/1997
28.5
30
7
23
3.5
8
100
2002/2003
28.5
30
7
23
3.5
8
100
合計
57
60
14
46
7
16
200
その他・アニメ
なし
合計
2
検定統計量 χ 値を算出する。
12.
説明者と聞き
一人
家族
友達
手
1996/1997
1.974
0.833
0.143
0.174
3.500
0.000
6.624
2002/2003
1.974
0.833
0.143
0.174
3.500
0.000
6.624
合計
3.947
1.667
0.286
0.348
7.000
0.000
13.248
13.
自由度 φを 算出する。
φ= 1×5=5
14.
判定を行う。
有意確率≦有意水準 α →帰無仮説 H0 を棄却する
有意確率>有意水準 α →帰無仮説 H0 を棄却しない
α= 0.05
有意確率
p
=0.02116595
<
0.05
よって帰無仮説を棄却するため、差がある
22
15.
標準化残差 eij
説明者と聞き
一人
家族
友達
その他・アニメ
なし
手
1996/1997
1.405
-0.913
-0.378
0.417
-1.871
0.000
2002/2003
-1.405
0.913
0.378
-0.417
1.871
0.000
16.
3.2.3
調整化残差 d ij
一人
家族
友達
説明者と聞き手
その他・アニメ
なし
1996/1997
2.350
-1.543
-0.554
0.672
-2.693
0.000
2002/2003
-2.350
1.543
0.554
-0.672
2.693
0.000
家族構成の分析〜仮説②の検証〜
のデータ(単独世帯なし)
1. 観測値 f ij
夫婦
両親+子供
男親+子供
女親+子供
祖父母+親子
その他
合計
1996/1997
2
13
0
7
1
2
25
2002/2003
8
15
5
7
2
1
38
合計
10
28
5
14
3
3
63
夫婦
両親+子供
男親+子供
女親+子供
祖父母+親子
その他
合計
1996/1997
3.968
11.111
1.984
5.556
1.190
1.190
25
2002/2003
6.032
16.889
3.016
8.444
1.810
1.810
38
合計
10
28
5
14
3
3
63
2. 期待値 tij
2
3. 検定統計量 χ 値を算出する。
夫婦
両親+子供
男親+子供
女親+子供
祖父母+親子
その他
合計
1996/1997
0.976
0.321
1.984
0.376
0.030
0.550
4.238
2002/2003
0.642
0.211
1.305
0.247
0.020
0.362
2.788
合計
1.619
0.532
3.289
0.623
0.051
0.913
7.026
4. 自由度 φを 算出する。
φ= 1×5=5
27
5. 判定を行う。
有意確率≦有意水準 α →帰無仮説 H0 を棄却する
有意確率>有意水準 α →帰無仮説 H0 を棄却しない
α= 0.05
有意確
率
p=0.21870218 >
0.05
よって帰無仮説を棄却しないため、差はない
3.2.3
家族構成の分析〜仮説②の検証〜
のデータ(単独世帯あり)
1. 観測値 f ij
一人
夫婦
夫婦+子供
男親+子供
女親+子供
祖父母+親子
その他
合計
1996/1997
36
2
13
0
7
1
2
61
2002/2003
21
8
15
5
7
2
1
59
合計
57
10
28
5
14
3
3
120
一人
夫婦
夫婦+子供
男親+子供
女親+子供
祖父母+親子
その他
合計
1996/1997
28.975
5.083
14.233
2.542
7.117
1.525
1.525
61
2002/2003
28.025
4.917
13.767
2.458
6.883
1.475
1.475
59
合計
57
10
28
5
14
3
3
120
2. 期待値 tij
2
3. 検定統計量 χ 値を算出する。
一人
夫婦
夫婦+子供
男親+子供
女親+子供
祖父母+親子
その他
合計
1996/1997
1.703
1.870
0.107
2.542
0.002
0.181
0.148
6.553
2002/2003
1.761
1.934
0.110
2.628
0.002
0.187
0.153
6.775
合計
3.464
3.804
0.217
5.169
0.004
0.368
0.301
13.327
4. 自由度 φを 算出する。
φ= 1×6=6
5. 判定を行う。
有意確率≦有意水準 α →帰無仮説 H0 を棄却する
有意確率>有意水準 α →帰無仮説 H0 を棄却しない
α= 0.05
28
有意確率
p
=0.03812357
<
0.05
よって帰無仮説を棄却するため、差がある
6. 標準化残差 eij
夫婦+子
一人
夫婦
男親+子供
女親+子供
祖父母+親子
その他
供
1996/1997
1.305
-1.368
-0.327
-1.594
-0.044
-0.425
0.385
2002/2003
-1.327
1.391
0.332
1.621
0.044
0.432
-0.391
一人
夫婦
夫婦+子供
男親+子供
女親+子供
祖父母+親子
その他
1996/1997
2.569
-2.037
-0.532
-2.323
-0.066
-0.614
0.556
2002/2003
-2.569
2.037
0.532
2.323
0.066
0.614
-0.556
7. 調整化残差 d ij
3.3.2
全体での男女の役割差の検定
のデータ
1. 観測値 f ij
男
女
合計
食べる人
139
166
305
調理する人
57
125
182
合計
196
291
487
男
女
合計
食べる人
122.752
182.248
305
調理する人
73.248
108.752
182
合計
196
291
487
2. 期待値 tij
2
3. 検定統計量 χ 値を算出する。
男
女
合計
食べる人
2.151
1.449
3.599
調理する人
3.604
2.428
6.032
29
合計
5.755
3.876
9.631
4. 自由度 φを 算出する。
φ= 1×6=6
5. 判定を行う。
有意確率≦有意水準 α →帰無仮説 H0 を棄却する
有意確率>有意水準 α →帰無仮説 H0 を棄却しない
α= 0.05
有意確率
p=0.001913
<
0.05
よって帰無仮説を棄却するため、差がある
6. 標準化残差 eij
男
女
食べる人
1.467
-1.204
調理する人
-1.899
1.558
7. 調整化残差 d ij
男
女
食べる人
3.103
-3.103
調理する人
-3.103
3.103
3.3.3
分類別での役割差の検定
のデータ
1. 観測値 f ij
食材
男
女
合計
食べる人
27
18
45
調理する人
11
43
54
調味料
食べる人
男
女
合計
32
32
64
25
49
74
57
81
138
男
女
合計
42
49
91
20
32
52
62
81
143
調理する
人
合計
38
61
99
男
女
合計
食べる人
38
67
105
調理する人
1
1
2
菓子
合計
即席
食べる人
調理する
人
合計
39
68
107
合計
30
2. 期待値 tij
食材
男
女
合計
食べる人
17.273
27.727
45
調理する人
20.727
33.273
54
調味料
食べる人
男
女
合計
26.435
37.565
64
30.565
43.435
74
57
81
138
男
女
合計
39.455
51.545
91
22.545
29.455
52
62
81
143
男
女
合計
1.172
0.824
1.996
1.013
0.713
1.726
2.185
1.538
3.722
男
女
合計
0.164
0.126
0.290
0.287
0.220
0.507
0.452
0.346
0.797
調理する
人
合計
38
61
99
男
女
合計
食べる人
38.271
66.729
105
調理する人
0.729
1.271
2
菓子
合計
即席
食べる人
調理する
人
合計
39
68
107
合計
2
3. 検定統計量 χ 値を算出する。
食材
男
女
合計
食べる人
5.478
3.413
8.891
調理する人
4.565
2.844
7.409
調味料
食べる人
調理する
人
合計
10.043
6.256
16.299
男
女
合計
食べる人
0.002
0.001
0.003
調理する人
0.101
0.058
0.159
菓子
合計
即席
食べる人
調理する
人
合計
0.103
0.059
0.162
合計
4. 自由度 φを 算出する。
φ= 1×1=1
5. 判定を行う。
有意確率p≦有意水準α →帰無仮説 H0 を棄却する
有意確率p>有意水準α →帰無仮説 H0 を棄却しない
α= 0.05(調味料のみα= 0.1)
31
食材
p= 5.41E-05
< 0.05 よって帰無仮説を棄却するため、差がある
調味料
p= 0.053685
<
菓子
p= 0.687706
> 0.05 よって帰無仮説を棄却しないため、差はない
即席
p= 0.371904
> 0.05 よって帰無仮説を棄却しないため、差はない
0.1 よって帰無仮説を棄却するため、差がある
6. 標準化残差 eij
食材
男
女
食べる人
2.341
-1.847
調理する人
-2.137
1.686
調味料
食べる人
男
女
1.082
-0.908
-1.007
0.844
男
女
0.405
-0.355
-0.536
0.469
調理する
人
菓子
男
女
食べる人
-0.044
0.033
調理する人
0.317
-0.240
即席
食べる人
調理する
人
7. 調整化残差 d ij
食材
男
女
食べる人
4.037
-4.037
調理する人
-4.037
4.037
調味料
食べる人
男
女
2.250
-2.883
-2.292
2.937
男
女
0.898
-1.126
-1.301
1.631
調理する
人
菓子
男
女
食べる人
-0.076
0.080
調理する人
0.605
-0.637
即席
食べる人
調理する
人
3.4.2
各分類間の登場人物年齢分布の検定〜仮説①の検証〜
のデータ
1. 観測値 f ij
0〜9
10〜19
20〜29
30〜39
40〜49
50〜59
60〜69
70〜79
80〜89
90〜
合計
食材
9
2
20
45
38
19
7
2
0
1
143
菓子
14
15
54
25
2
6
1
0
0
0
117
3
2
18
33
20
22
12
1
0
0
111
即席
6
13
50
42
21
15
9
0
0
0
156
合計
32
32
142
145
81
62
29
3
0
1
527
調味
料
2. 期待値 tij
32
0〜9
10〜19
20〜29
30〜39
40〜49
50〜59
60〜69
70〜79
90〜
合計
食材
8.683
8.683
38.531
39.345
21.979
16.824
7.869
0.814
0.271
143
菓子
7.104
7.104
31.526
32.192
17.983
13.765
6.438
0.666
0.222
117
調味料
6.740
6.740
29.909
30.541
17.061
13.059
6.108
0.632
0.211
111
即席
9.472
9.472
42.034
42.922
23.977
18.353
8.584
0.888
0.296
156
合計
32
32
142
145
81
62
29
3
1
527
2
3. 検定統計量 χ 値を算出する。
0〜9
10〜19
20〜29
30〜39
40〜49
50〜59
60〜69
70〜79
90〜
合計
食材
0.012
5.144
8.912
0.813
11.678
0.282
0.096
1.728
1.957
30.620
菓子
6.693
8.775
16.022
1.607
14.205
4.380
4.594
0.666
0.222
57.164
調味料
2.075
3.334
4.742
0.198
0.506
6.122
5.683
0.214
0.211
23.085
即席
1.273
1.314
1.510
0.020
0.370
0.613
0.020
0.888
0.296
6.302
合計
10.053
18.566
31.186
2.637
26.759
11.396
10.393
3.496
2.685
117.172
4. 自由度 φを 算出する。
φ= 3×8=24
5. 判定を行う。
有意確率≦有意水準 α →帰無仮説 H0 を棄却する
有意確率>有意水準 α →帰無仮説 H0 を棄却しない
α= 0.05
有意確率
p=3.09E-14 <
0.05
よって帰無仮説を棄却するため、差がある
6. 標準化残差 eij
0〜9
10〜19
20〜29
30〜39
40〜49
50〜59
60〜69
70〜79
90〜
食材
0.108
-2.268
-2.985
0.901
3.417
0.531
-0.310
1.314
1.399
菓子
2.587
2.962
4.003
-1.268
-3.769
-2.093
-2.143
-0.816
-0.471
-1.441
-1.826
-2.178
0.445
0.712
2.474
2.384
0.463
-0.459
-1.128
1.146
1.229
-0.141
-0.608
-0.783
0.142
-0.942
-0.544
調味
料
即席
7. 調整化残差 d ij
33
0〜9
10〜19
20〜29
30〜39
40〜49
50〜59
60〜69
70〜79
90〜
食材
0.130
-2.741
-4.092
1.240
4.352
0.662
-0.373
1.544
1.640
菓子
3.026
3.465
5.309
-1.688
-4.645
-2.526
-2.500
-0.928
-0.535
調味料
-1.673
-2.120
-2.868
0.588
0.871
2.965
2.760
0.523
-0.517
即席
-1.387
1.409
1.713
-0.197
-0.788
-0.993
0.174
-1.126
-0.649
3.4.3
国勢調査とコマーシャルの年齢分布の検定〜仮説②の検証〜
のデータ
国勢調査の結果からとったデータの値については百の位を四捨五入して千人単位で
記載したが、計算は本来の数値で行ったため、1.観測値と2.理想値については表
内の数値は実際とは若干異なる。
1. 観測値 f ij
0〜9
10〜19
20〜29
30〜39
40〜49
50〜59
60〜69
70〜79
80〜89
90〜
合計
CM
32
32
142
145
81
62
29
3
0
1
527
国勢調査
11926
14035
18212
16891
16716
19176
14842
10051
4147
701
126697
合計
11926
14035
18212
16892
16716
19176
14842
10051
4147
701
126698
2. 期待値 tij
0〜9
10〜19
20〜29
30〜39
40〜49
50〜59
60〜69
70〜79
80〜89
90〜
合計
CM
49.606
58.378
75.753
70.261
69.532
79.764
61.735
41.808
17.250
2.916
527
国勢調査
11926
14035
18212
16892
16716
19176
14842
10051
4147
701
126697
11926
14035
18212
16892
16716
19176
14842
10051
4147
701
126698
2
3. 検定統計量 χ 値を算出する。
0〜9
10〜19
20〜29
30〜39
40〜49
50〜59
60〜69
70〜79
80〜89
90〜
合計
CM
6.249
11.919
57.935
79.503
1.892
3.956
17.357
36.023
17.250
1.259
233.342
国勢調査
0.000
0.000
0.000
0.000
0.000
0.000
0.000
0.000
0.000
0.000
0.001
合計
6.249
11.919
57.935
79.504
1.892
3.956
17.357
36.023
17.250
1.259
233.343
4. 自由度 φを 算出する。
φ= 1×9=9
5. 判定を行う。
有意確率≦有意水準 α →帰無仮説 H0 を棄却する
有意確率>有意水準 α →帰無仮説 H0 を棄却しない
α= 0.05
有意確率
p=3.25E-45 <
34
0.05
よって帰無仮説を棄却するため、差がある
6. 標準化残差 eij
0〜9
10〜19
20〜29
30〜39
40〜49
50〜59
60〜69
70〜79
80〜89
90〜
CM
-2.500
-3.452
7.612
8.916
1.375
-1.989
-4.166
-6.002
-4.153
-1.122
国勢調査
0.005
0.007
-0.016
-0.018
-0.003
0.004
0.008
0.012
0.008
0.002
7. 調整化残差 d ij
0〜9
10〜19
20〜29
30〜39
40〜49
50〜59
60〜69
70〜79
80〜89
90〜
CM
-2.626
-3.661
8.226
9.578
1.476
-2.159
-4.434
-6.255
-4.223
-1.125
国勢調査
2.626
3.661
-8.226
-9.578
-1.476
2.159
4.434
6.255
4.223
1.125
3.5.2
登場人物の検定
のデータ
1. 観測値 f ij
一人
家族
友達
説明者と聞き手
その他・アニメ
有名人含む
合計
食材
68
40
31
17
40
4
200
菓子
57
11
41
24
53
14
200
調味料
41
66
15
44
34
0
200
即席
69
37
45
23
23
3
200
合計
235
154
132
108
150
21
800
家族
友達
その他・アニメ
有名人含む
合計
2. 期待値 tij
説明者と聞き
一人
手
食材
58.75
38.5
33
27
37.5
5.25
200
菓子
58.75
38.5
33
27
37.5
5.25
200
調味料
58.75
38.5
33
27
37.5
5.25
200
即席
58.75
38.5
33
27
37.5
5.25
200
合計
235
154
132
108
150
21
800
2
3. 検定統計量 χ 値を算出する。
一人
家族
友達
説明者と聞き手
その他・アニメ
有名人含む
合計
食材
1.456
0.058
0.121
3.704
0.167
0.298
5.804
菓子
0.052
19.643
1.939
0.333
6.407
14.583
42.958
調味料
5.363
19.643
9.818
10.704
0.327
5.250
51.104
35
即席
1.788
0.058
4.364
0.593
5.607
0.964
13.374
合計
8.660
39.403
16.242
15.333
12.507
21.095
113.240
4. 自由度 φを 算出する。
φ= 3×5=15
5. 判定を行う。
有意確率≦有意水準 α →帰無仮説 H0 を棄却する
有意確率>有意水準 α →帰無仮説 H0 を棄却しない
α= 0.05
有意確率
p=3.84E-17 <
0.05
よって帰無仮説を棄却するため、差がある
6. 標準化残差 eij
説明者と聞き
一人
家族
友達
その他・アニメ
有名人含む
手
食材
1.207
0.242
-0.348
-1.925
0.408
-0.546
菓子
-0.228
-4.432
1.393
-0.577
2.531
3.819
調味料
-2.316
4.432
-3.133
3.272
-0.572
-2.291
即席
1.337
-0.242
2.089
-0.770
-2.368
-0.982
7. 調整化残差 d ij
説明者と聞き
一人
家族
友達
その他・アニメ
有名人含む
手
食材
1.658
0.311
-0.440
-2.389
0.523
-0.638
菓子
-0.314
-5.695
1.760
-0.717
3.242
4.469
調味料
-3.182
5.695
-3.960
4.062
-0.732
-2.681
即席
1.837
-0.311
2.640
-0.956
-3.033
-1.149
3.6.2
家族構成の検定〜仮説①の検証〜
のデータ
1. 観測値 f ij
夫婦
夫婦子供
男親子供
女親子供
36
祖父母+親子
兄弟姉妹
合計
食材
5
23
5
5
2
3
43
菓子
1
4
1
3
0
1
10
調味料
7
35
6
19
0
3
70
即席
7
14
2
12
1
4
40
合計
20
76
14
39
3
11
163
夫婦
夫婦子供
男親子供
女親子供
祖父母+親子
その他
合計
食材
5.276
20.049
3.693
10.288
0.791
2.902
43
菓子
1.227
4.663
0.859
2.393
0.184
0.675
10
調味料
8.589
32.638
6.012
16.748
1.288
4.724
70
即席
4.908
18.650
3.436
9.571
0.736
2.699
40
合計
20
76
14
39
3
11
163
2. 期待値 tij
2
3. 検定統計量 χ 値を算出する。
夫婦
夫婦子供
男親子供
女親子供
祖父母+親子
その他
合計
食材
0.014
0.434
0.462
2.718
1.846
0.003
5.478
菓子
0.042
0.094
0.023
0.154
0.184
0.157
0.654
調味料
0.294
0.171
0.000
0.303
1.288
0.629
2.685
即席
0.892
1.160
0.600
0.617
0.095
0.627
3.989
合計
1.242
1.859
1.085
3.792
3.413
1.416
12.807
4. 自由度 φを 算出する。
φ= 3×5=15
5. 判定を行う。
有意確率≦有意水準 α →帰無仮説 H0 を棄却する
有意確率>有意水準 α →帰無仮説 H0 を棄却しない
α= 0.05
有意確率
p=0.61722634 <
0.05
よって、帰無仮説を棄却しないため、各分類間では家族分布に差はない。
3.6.3
国勢調査を含む検定〜仮説②の検証その1〜
1. 観測値 f ij
37
のデータ
夫婦
夫婦子供
男親子供
女親子供
祖父母+親子
兄弟姉妹
合計
食材
5
23
5
5
2
3
43
菓子
1
4
1
3
0
1
10
調味料
7
35
6
19
0
3
70
即席
7
14
2
12
1
4
40
合計
20
76
14
39
3
11
163
夫婦
夫婦子供
男親子供
女親子供
祖父母+親子
兄弟姉妹
合計
合計
29.6
87.043
2.192
12.316
31.343
0.507
163
国勢調査
17676.4
51980.957
1308.808
7354.684
18717.657
302.493
97341
合計
17706
52068
1311
7367
18749
303
97504
2. 期待値 tij
2
3. 検定統計量 χ 値を算出する。
夫婦
夫婦子供
男親子供
女親子供
祖父母+親子
兄弟姉妹
合計
合計
3.113
1.401
63.623
57.817
25.630
217.385
368.970
国勢調査
0.005
0.002
0.107
0.097
0.043
0.364
0.618
合計
3.119
1.403
63.729
57.914
25.673
217.749
369.588
4. 自由度 φを 算出する。
φ= 1×5=5
5. 判定を行う。
有意確率≦有意水準 α →帰無仮説 H0 を棄却する
有意確率>有意水準 α →帰無仮説 H0 を棄却しない
α= 0.05
有意確率
p=1.059E-77 <
0.05
よって帰無仮説を棄却するため、差がある
6. 標準化残差 eij
夫婦
夫婦子供
男親子供
女親子供
祖父母+親子
兄弟姉妹
CM合計
-1.764
-1.184
7.976
7.604
-5.063
14.744
国勢調査
0.072
0.048
-0.326
-0.311
0.207
-0.603
7. 調整化残差 d ij
38
夫婦
夫婦子供
男親子供
女親子供
祖父母+親子
兄弟姉妹
CM 合計
-1.952
-1.735
8.037
7.915
-5.638
14.779
国勢調査
1.952
1.735
-8.037
-7.915
5.638
-14.779
3.6.4
個食傾向の検定〜仮説②の検証その2〜
のデータ
1. 観測値 f ij
一人
夫婦
夫婦子供
男親子供
女親子供
祖父母+親子
兄弟姉妹
合計
食材
68
5
23
5
5
2
3
111
菓子
57
1
4
1
3
0
1
67
調味料
41
7
35
6
19
0
3
111
即席
69
7
14
2
12
1
4
109
国勢調査
13
18
52
1
7
18
0
109
合計
248
38
128
15
46
21
11
507
一人
夫婦
夫婦子供
男親子供
女親子供
祖父母+親子
兄弟姉妹
合計
食材
54.296
8.320
28.024
3.284
10.071
4.598
2.408
111
菓子
32.773
5.022
16.915
1.982
6.079
2.775
1.454
67
調味料
54.296
8.320
28.024
3.284
10.071
4.598
2.408
111
即席
53.318
8.170
27.519
3.225
9.890
4.515
2.365
109
国勢調査
53.318
8.170
27.519
3.225
9.890
4.515
2.365
109
合計
248
38
128
15
46
21
11
507
2. 期待値 tij
2
3. 検定統計量 χ 値を算出する。
一人
夫婦
夫婦子供
男親子供
女親子供
祖父母+親子
兄弟姉妹
合計
食材
3.459
1.325
0.901
0.897
2.553
1.468
0.145
10.747
菓子
17.909
3.221
9.861
0.487
1.559
2.775
0.142
35.954
調味料
3.256
0.209
1.737
2.246
7.916
4.598
0.145
20.108
即席
4.613
0.167
6.641
0.465
0.450
2.736
1.131
16.204
国勢調査
30.487
11.829
21.779
1.535
0.844
40.279
2.365
83.012
合計
59.724
16.751
40.919
5.630
13.324
51.856
3.928
166.024
4. 自由度 φを 算出する。
39
φ= 4×6=24
5. 判定を行う。
有意確率≦有意水準 α →帰無仮説 H0 を棄却する
有意確率>有意水準 α →帰無仮説 H0 を棄却しない
α= 0.05
有意確率
p=3.2999E-23 <
0.05
よって帰無仮説を棄却するため、差がある
6. 標準化残差 eij
一人
夫婦
夫婦子供
男親子供
女親子供
祖父母+親子
兄弟姉妹
食材
1.860
-1.151
-0.949
0.947
-1.598
-1.211
0.381
菓子
4.232
-1.795
-3.140
-0.698
-1.249
-1.666
-0.376
調味料
-1.804
-0.457
1.318
1.499
2.814
-2.144
0.381
即席
2.148
-0.409
-2.577
-0.682
0.671
-1.654
1.063
国勢調査
-5.522
3.439
4.667
-1.239
-0.919
6.347
-1.538
7. 調整化残差 d ij
一人
夫婦
夫婦子供
男親子供
女親子供
祖父母+親子
兄弟姉妹
食材
2.944
-1.354
-1.242
1.088
-1.896
-1.400
0.436
菓子
6.356
-2.003
-3.899
-0.760
-1.406
-1.826
-0.408
調味料
-2.857
-0.538
1.725
1.721
3.339
-2.478
0.436
即席
3.392
-0.480
-3.364
-0.781
0.794
-1.907
1.213
国勢調査
-8.719
4.036
6.092
-1.419
-1.088
7.316
-1.755
40