平成27年度 アメリカ超短期派遣プログラム 報告書 東京工業大学 グローバル人材育成推進支援室 平成28年4月 目次 1 研修の概要 1.1 研修の目的(大橋).....................................................3 1.2 研修日程と参加学生の紹介.............................................4 1.2.1 研修日程(大橋) ...............................................4 1.2.2 参加学生(羽室) ...............................................6 2 スタンフォード大学 2.1 スタンフォード大学について(木(知)) ..................................7 2.2 スタンフォード大学での活動...........................................7 2.2.1 キャンパスツアー(碩) .........................................7 2.2.2 講義(塗師) ...................................................9 2.2.3 d-school(平尾) .............................................10 2.2.4 学生交流(平尾) .............................................10 2.2.5 研究室訪問(羽室) ...........................................11 2.3 その他.............................................................12 2.3.1 自由時間....................................................12 自由時間(上岡) ..............................................12 自由時間(塗師) ..............................................14 2.3.2 東工大卒業生との交流(碩) ...................................16 2.3.3 企業訪問....................................................16 DISCO(辻) ..................................................16 SAP(木下(知)) ..............................................18 3 ワシントン大学 3.1 ワシントン大学について(山野) ......................................19 3.2 ワシントン大学での活動.............................................21 3.2.1 講義(大橋) .................................................21 3.2.2 筒井先生による留学の説明(上岡) .............................21 3.2.3 キャンパスツアー(山野) .....................................22 3.2.4 学生交流(木下(崇)) .........................................23 3.2.5 研究室訪問(辻) .............................................24 3.2.6 パネルディスカッション(青山) ...............................25 3.2.7 MSE Graduate Visiting Day(木下(崇)) ........................26 3.3 その他.............................................................27 3.3.1 自由時間....................................................27 1 自由時間(青山) .............................................27 3.3.2 企業訪問....................................................28 Boeing(大橋) ...............................................28 3.3.3 バスケットボール観戦(李) ....................................29 4 所感 4.1 青山..........................................................30 4.2 上岡..........................................................30 4.3 李............................................................31 4.4 大橋..........................................................32 4.5 木下(崇) .....................................................32 4.6 碩............................................................33 4.7 辻............................................................33 4.8 羽室..........................................................34 4.9 平尾..........................................................34 4.10 山野.........................................................35 4.11 木下(知) ....................................................36 4.12 塗師.........................................................36 5 参考資料 2 1 研修の概要 1.1 研修の目的(大橋) 本プログラムは、グローバル理工人育成コースの下記の4つのプログラムのうち、4) 実 践型海外派遣プログラムの一環として実施された。 1) 国際意識醸成プログラム:国際的な視点から多面的に考えられる能力、グローバルな 活躍への意欲を養う。 2) 英語力・コミュニケーション力強化プログラム:海外の大学等で勉学するのに必要な 英語力・コミュニケーション力を養う。 3) 科学技術を用いた国際協力実践やプログラム:国や文化の違いを越えて協働できる能 力や複合的な課題について、制約条件を考慮しつつ本質を見極めて解決策を提示でき る能力を養う。 4) 実践型海外派遣プログラム:自らの専門性を基礎として、海外での危機管理を含めて 主体的に行動できる能力を養う。 グローバル理工人コースにおける4) の実践型海外派遣プログラムのねらいは、1)~3) の プログラム履修後に学生を海外に派遣し、現在まで育成された能力を活用し、自身の今後 の研究やキャリア形成の参考となるような経験を積むことであり、本コースの集大成とし て位置づけられている。 実践型海外派遣プログラムは、下記の3つの能力の育成を目指すものである。 1) 自らの専門性を基礎として、異なる環境においても生活でき、業務をこなす力を持ち、 窮地を乗り切るための判断力、危機管理能力を含めて自らの意思で行動するための基 礎的な能力を身に付けている。 2) 異文化理解が進み、相手の考えを理解して自分自身の考えを説明できるコミュニケー ション能力、語学力、表現力を身につけている。 3) 海外の様々な場において、実践的能力と科学技術者としての倫理を身に着け、チーム ワークと協調性を実践し、課題発見・問題解決能力を発揮して、新興国における科学 技術分野で活躍するための基礎的な能力を身につけている。 米国超短期派遣プログラム(スタンフォード大学、ワシントン大学ほか)は、グローバ ル理工人育成コースの一環として2013年度から実施された。以下は、本プログラム参加学 生12 名が記した米国研修の活動報告である。 3 1.2 研修日程と参加学生の紹介 1.2.1 研修日程(大橋) date(Feb) 17 18 day time Wed Thu activities UA838 Narita 18:20~SF10:35~Stanford PM Free 9:00~9:15 Introduction of the Stanford Univ. by SJEC 1) 9:15~10:45 Campus tour by SJEC 10:45~11:45 Interaction with SJEC 11:45~12:00 Transfer 12:00~13:00 Lecture: Prof. Takashi Maruyama (University of Occupational and Environmental Health, Japan: 丸 山崇先生(産業医科大)) 13:00~14:00 Lunch with Prof. Maruyama 14:00~16:15 Free 16:30~17:50 Lecture: Prof. Richard Dasher (Japanese Business and Culture; JBC) 19 Fri 18:00~ Dinner with JBC class students 9:00~10:30 Visit SAP https://ja.wikipedia.org/wiki/SAP_(%E4%BC%81%E 6%A5%AD) 12:00~13:00 d. school tour http://dschool.stanford.edu/about/ 13:00~14:00 Lunch 15:00~16:00 Lab visit: Maya Nagasawa 16:30~17:30 Lab visit: Jun Nishida 18:00~ Dinner with Tokyo-Tech Alumni members 20 Sat Free 21 Sun Free 22 Mon AM Visit DISCO http://www.disco.co.jp/jp/ 23 Tue PM Disco~SF UA291 SF16:05~Seattle18:18 8:30~ Brief introduction: Prof. Ohuchi 8:45~ Lecture: Prof. Tsutsui 10:00~ Self-introduction 11:30~ Lunch 12:30~14:00 Boeing company tour( http://www.boeing.com/ ) 4 24 25 Wed Thu AM MSE 2) classes(with our choice) 13:30~14:50 Research Seminar: Prof. Alex Jen 15:00~16:30 Discussion with UW-Japanese students 16:30~18:00 Discussion with UW-JSA 3) 18:30~ Dinner 9:30~12:30 Lab visit 14:00~ Football Stadium tour 17:00~ MSE Graduate Visiting Day Reception and Research Poster-Session 26 27 Fri Sat PM MSE classes(with our choice) 14:30~ BBQ with MSE students 18:00~20:00 Osaka night with UW-JSA PM Free 13:00~ Women’s Basketball UW vs Colorado Free 28 Sun UA7929 Seattle 12:20~ 29 Mon ~Narita 15:40 1) SJEC = Stanford Japan Exchange Club 2) MSE = Material Science and Engineering 3) JSA = Japan Students Association 5 1.2.2 参加学生(羽室) 本プログラムに参加した学生は以下の 12 名である。 無機材料工学科 2 年 生命科学科 3 年 電気電子工学科 2 年 青山航大 上岡未来 李恒 情報科学科 3 年 情報工学科 3 年 土木環境工学科 3 年 大橋耕也 木下崇央 碩騰 情報科学科 3 年 高分子工学科 3 年 建築学科 3 年 辻陽平 羽室優衣 平尾しえな 化学工学科 3 年 生命科学科 3 年 国際開発工学科 3 年 山野正晴 木下知己 塗師豪太 6 2 スタンフォード大学 2.1 スタンフォード大学について(木下(知)) a) スタンフォード大学はアメリカ合衆国カリフォルニア州スタンフォードに本部を置く私 立大学である。地理の面からみても歴史の面からみてもシリコンバレーの中心に位置して いるといえる。また、東京都杉並区と同じ面積のキャンパスを持つ。 設立の経緯としては、鉄道王リーランド・スタンフォード氏が亡き息子の名前を後世に 残す為にハーバード大学への寄付を申し出たところ大学側はこれを拒否したため、その資 金でカリフォルニアに設置されたのが始まりとなっている。 現在では西のハーバードと呼ばれ、QS 世界大学ランキングでは世界で3位に位置してい る。著名な卒業生としては Google の共同創業者ラリー・ペイジ氏やヒューレットパッカー ド共同創始者ウィリアム・ヒューレット氏など、有名企業の創業者が名を連ねる。 2.2 スタンフォード大学での活動 2.2.1 キャンパスツアー(碩) 2/18 の朝9時前に、スタンフォード大学構内の Visitor Center に集合して、マップをも らったり、そこの職員さんにいろいろ質問した。その後、スタンフォードに在学している SJEC の方々と合流して、案内してもらった。SJEC とは、日本文化に興味のある学生で構 成される団体であり、定期的にイベントを開催している。 まずは、スタンフォード大学内の一番高い建築物である Hoover Tower を見た。少しタイ トなスケジュールだったため、登ることを午後の自由時間に回し、そのまま通過した。そ の後、スタンフォード大学の広い芝生である Oval に向かった。芝生を上からみると Oval の形になっているためそういう呼び方をされている。Oval のすぐ向かい側が、Main Quad という四角形の広場がある。それを囲んでいる建築群の外側もきれいな四角形になってお り、Oval と Main Quad と同じ中心線を共有している。そのため、地図からみるとその地 域の素晴らしい整列感を感じられる。幅広い中心線の道の両サイドに空まで届いているよ うに見える木が植えられていて、開放感を感じて気持ち良かった。その道に沿って行くと、 Main Quad の中心に位置する Memorial Church にたどり着いた。Memorial Church は、 スタンフォード大学創始者が自分の息子を記念するために建てた教会である。自分は教会 に詳しくないが、外観が美しく、中が広く、彩りのガラスと凝っている壁画がきれいとい う印象だった。ツアーの最後として、スタンフォード大学関連商品を沢山売っているブッ クストアに行った。Stanford という字が書いてある様々な商品があり、地下に教科書も置 いてあった。安売りの中古品の本も多かった。 スタンフォード大学の全体的な印象としては、敷地と道が広くて色とスタイルの統一感 がいい大学だと思った。敷地が広すぎて、自転車を持っていないと講義に遅れてしまうと 7 いう状況であるため、ほとんどの学生が自転車で移動しているそうだ。そのためか、東工 大のように駐輪場の設置とかはなく、どこにで も自転車を止められるような Bicycle friendly な環境である気がした。一方、一週間でカリフォルニアのあちこちを歩き回った結 果、自転車文化はスタンフォード大学だけではなく、カリフォルニア全域に存在するので はないかと気づいた。現地人の持っている自転車は全部機能がすごくよさそうで、電車と バスのような公共交通機関にも乗れることに驚いた。また、建築物は全部、本体が土黄で 屋根が赤であり、ヨーロッパ風の彫刻が多い。この広さと統一感と溢れている緑で、スタ ンフォード大学がアメリカ内で抜群の景色を持つ大学と知られているだろう。 Oval Hoover Tower Memorial Church 典型的な建築物 8 Main Quad Memorial Church 内 2.2.2 講義(塗師) 午前中は医学部の丸山崇先生による睡眠学の授業を受けた。丸山先生は日本の産業医科 大学からスタンフォード大学にいらして睡眠障害について研究されている。東工大には医 学部がないので、この授業を受けて珍重だと感じた。睡眠障害というのは眠気がしなくて も体が眠っていていきなり貧血を起こしてしまうことらしい。世界でメジャーな原発事故 に該当するチェルノブイリやスリーマイルも従業員の睡眠障害に起因しているそうだ。授 業後は丸山先生と昼食を共にして研究活動とこちらでの生活についてお話をうかがった。 丸山先生の講義 丸山先生との昼食 午後は、リチャード・ダッシャー先生の経営工学の授業”Japanese Business and Culture ” を受けた。ダッシャー先生は、US-Asia Technology Management Center の所長であり、 この日のテーマは日本の企業文化だった。パネルディスカッション形式で、東工大生とス タンフォードの学生がサンドウィッチするように座った。ダッシャー先生は喋るスピード がゆっくりだったので比較的聞き取りやすかった。この講義が終わった後、ダッシャー先 生を含むクラスに出席したスタンフォード大の学生とピザを食べながら交流の時を持った。 9 ダッシャー先生の講義 授業後ピザを食べながらおしゃべり 2.2.3 d.school(平尾) d.school はスタンフォード大学の学生なら誰でも参加出来るコースで、様々な学部の学生 が集って、design-thinking の手法を実践的に学んでいる。 大学が定期開催する簡易ツアーに参加したが、その時にも活発に話し合う学生のグルー プがいくつも見られた。この空間は design-thinking がしやすいように内装や家具に沢山の 工夫が見られ、その空間設計手法はシリコンバレーの最先端のオフィスなどにも採用され ているそうである。 実際の社会にある問題を見極め、それに対する解決法を考察する。人々の実態に寄り添 い、分野や職能にとらわれない自由な発想力を育て、本物のリーダーを輩出し続けている。 日本ではどこにも見られないもので、とても刺激的であった。 d.school 内の様子 2.2.4 学生交流(平尾) キャンパスツアーの後に、さらに数名のスタンフォード大学の学生に合流してもらい、 大学生活の事などについて話を聞いた。スタンフォード大学には留学生という枠がそもそ 10 もない訳だが、集まって貰えた学生も、ずっと米国に家族と住んでいたという学生が大半 だった。 学生の皆さんには、学習のこと、生活のこと、将来のことなどについて聞いた。日本の 学生より学習に時間をかけているのと、自分の進む学科や分野をじっくり迷える環境があ るのが印象的であった。 SJEC メンバーとの集合写真 SJEC メンバーとの QA 2.2.5 研究室訪問(羽室) スタンフォード大学で Ph.D を取得するために留学中の二人の日本人学生の方にお会い し、話を伺ったのちに研究室を見学した。 ■長澤麻耶さん 長澤さんは現在 Bioengineering の研究室でタンパク質のナノ粒子によるターゲットデリ バリーの研究を行っている。彼女がスタンフォード大学に留学するまでのいきさつや、実 際にいつどのような準備をしたのか、スタンフォード大学を選んだ理由などを伺った後、 彼女の研究室のある Shriram Center Bioengineering & Chemical Engineering という建物 を案内していただいた。ガラス張りは分野の壁を越えて研究を行うことを表していること、 M1 の冬には準備を始めなければならないことなどが印象的だった。 ■西田純さん 西田さんは現在 Ph.D の 5 年生であり 2 次元赤外分光法の研究を行っている。長澤さんと 同様、彼にも留学について質問し、TOEFL は 4 回ほど受験すると自分の得意な話題が出て 高得点が取れる可能性があることや、奨学金は必ず日本で準備した方がよいこと、映画や 政治にも詳しいと欧米人とコミュニケーションがとりやすいことなど、かなり具体的なア ドバイスをいただいた。また、フーリエ変換などを用いて彼自身が組み立てた 2D-IR の装 置を見せていただいた。 11 長澤さんの研究室訪問 2.3 その他 2.3.1 自由時間 ■自由時間(上岡) 西田さんの研究内容の説明 1日目 朝からスタンフォード大学でレンタルサイクルをして、自転車でシリコンバレー・マウ ンテンビュー周辺をまわった。この辺りの地域は急な坂道は少なく気候も良いため、街並 みを眺めながら自転車で長距離を移動するだけでも楽しめた。 ●Computer History Museum マウンテンビューにある、名の通りコンピュータの歴史に関する様々な展示がなされて いる博物館。1996 年設立の博物館で、様々なメーカーのコンピュータやゲームなどを年代 を追って見ることができる。このあたりでは有名な観光地のようである。情報系、機械系 が好きな方は特に楽しめる内容となっていた。 展示物だけでなく各所に液晶や電子パネルが設置されており、当時の CM を見ることが 出来る。レトロなゲーム機が置いてありお試しプレイが出来たり、Google カーは運転席に 座ることが出来たりと、ただ見て回るだけではなく楽しめるような工夫がされていた。 Google Car Computer History Museum 内 12 ●Google 休日に来たためか、観光客らしき人はちらほらいたものの、従業員と思われる人はほと んど見当たらなかった。ショップやカフェも閉まっており、中を見学できる雰囲気でもな かったため、残念ながらキャンパス内をぐるりと回るくらいしか出来なかった。各所に停 めてある珍妙な色の Google 専用自転車に乗ろうとしたら従業員用だと言われてしまったこ とも個人的には残念であったものの、十分に楽しめた。楽しそうなオフィススペースに、 社員食堂やカフェ、なんとボーリング場もあるそうなので、ぜひ一度見学をお勧めしたい。 キャンパス内は広々として公園のようで、社員がビーチバレーをして遊んでいる光景も 見られた。この目立つ色をした専用自転車は、ブレーキが片方にしかついていなかったり、 ペダルを逆に回してもブレーキがかかるようになっていたりと、なかなか面白い作りにな っている。 Google 社内 Google 社員専用自転車 ●Facebook やはり休日だからなのかキャンパス内に入るのは難しそうだったため、キャンパス入り 口の看板前で写真を撮るに留まった。なお、上空からみるとぐるっと駐車場で囲まれた敷 地はまるでテーマパークのようになっており、このキャンパスのデザインはディズニーか ら二人のコンサルトを呼び、パロ・アルトの町並みの様にしたいと依頼したそうだ。 Google 同様、是非見学をオススメしたいスポットである。 Facebook 社の駐車場 Facebook 社前の看板 13 ■自由時間(塗師) 2日目 サンフランシスコでメジャーな観光地と言えば、ケーブルカー、フィッシャーマンズワ ーフ、ゴールデンゲートブリッジ!私達は、泊まったホテルの最寄り駅 California Avenue から電車で1時間ぐらいかけてそこらへ行ってきた。ホテルからサンフランシスコまでは 東京~横浜ぐらいの距離があった。サンフランシスコの繁華街は様々な店で賑わっていて 敷地が非常に広い。日本でいう銀座の商店街、御徒町のアメ横、原宿の竹下通り、横浜の 中華街などいろんなものが混ざったような感じだった。その大きな町を通過してからのケ ーブルカーに乗ったりフィッシャーマンズワーフでお土産を買ったりゴールデンゲートブ リッジを渡ったりした。 ケーブルカー スタッフがケーブルカー を回転させている様子 このケーブルカーは、ジェットコースターのように傾斜が急な坂を上ったり下ったりす る。どんなに近距離しか乗らなくても始発から終点まで乗っても、運賃は一律7ドル。私 はそのとき所持金3ドルぐらいしかなかったが、一緒にいた友達が貸してくれたので幸い 乗ることができた。普通の電車であれば終着駅に着いて折り返すとき車両自身は回転せず にそのまま逆方向にバックするが、ケーブルカーの場合は終着駅に着いたら地面に設置さ れているターンテーブルというものを使って車両を 180 度回転させる。ケーブルカーはバ ックすることが不可能らしい。そのため運転手さんのミスでオーバーランしたりしてしま うと大変なことになる。 14 フィッシャーマンズワーフのシンボル レストランで食べた蟹 フィッシャーマンズワーフと言えば蟹!!なので待ち合わせ場所のシンボルマークにも蟹 の絵が描かれている。右図の大きい蟹は 35 ドルもした。5人で食べたので1人当たり7ド ルだった。余談だが、蟹をシチューにつけて食べる料理であるクラブチャウダーが大人気 である。昼食後は海沿いのお土産屋へ。私達は行かなかったが、水族館もある。 クラブチャウダー ゴールデンゲートブリッジ ゴールデンゲートブリッジは、全長 2737m、高さ 228m。1937 年に4年の工事を経て完 成した。余談だが、ゴールデンゲートブリッジは世界一飛び降り自殺の多い建造物である。 2014 年時点では 1653 人もの人がこの橋から飛び降りている。 私達はフィッシャーマンズワーフの近くで自転車を借りてゴールデンゲートブリッジを 渡って反対側のスポットまでサイクリングをした。行きは上り坂で大変だった。漕ぐより 押した方が速いことも。帰りは下り坂だったので行きの半分ぐらいしか時間かからなかっ た。 橋を渡るときは自転車か歩きかで通行する場所が離れている。真ん中に車道を挟んで太平 洋側の道路は自転車用でフィッシャーマンズワーフ寄りの道路は歩行者用である。 15 2.3.2 東工大卒業生との交流(碩) 2/19 の夜に、蔵前工業会シリコンバレー支会の先輩方と一緒に夕食をさせていただいた。 様々な経歴、体験、職業を持っている方々の話を聞き、大変勉強になった。東工大を卒業 してスタンフォードの修士課程在学中の先輩、アメリカに二回も留学した先輩、アメリカ で何度も転職した先輩方とお話しできて、視野が広がり、物事に対する考え方も増えたり 変わったりした。 まず、アメリカでの勉学や生活、就職はどのような感じなのかについて、大体把握でき た。例えば、アメリカ大学院の申請過程、アメリカの企業の雰囲気がもっと自由であるこ と、カリフォルニア州の天候がよく、人種差別があまりないのでアジア人にとって住みや すいことなど、いろいろな情報が手に入った。また、まだ学部生である自分たちの進路な どに関する悩み、戸惑いがかなり解決され、本当によかったと思う。こういう場を設けて いただいて本当に助かった。 蔵前工業会シリコンバレー支会の方々と交流 交流会後の集合写真 2.3.3 企業訪問 ■DISCO(辻) DISCO 社を一言で表すと、半導体製造装置メーカーである。B to B ビジネスが主であり、 半導体を製造する企業に対して、半導体を加工する機器やその部品を販売している。コン シューマとしては Intel、Toshiba、Samsung などが挙げられ大企業相手に製品を販売して いることが分かる。ちなみに DISCO 社のミッションは「高度な Kiru, Kezuru, Migaku 技 術によって遠い科学を身近な快適につなぐ」である。 カルフォルニア州での最後の予定として DISCO 社の見学を行った。日本企業であるが、 見学をさせていただいたのはシリコンバレーにあるオフィスであり、日本とはまた違った 雰囲気を感じることができた。 当日の見学の流れは、1)賀来哲(かくさとし)さんから DISCO 社の紹介をしてもらい、2)2つのグループに別れ、装置の見学をし、3)片方のグループが装 置の見学を行っている間に賀来さんに様々な質問をする、といった流れであった。 16 1)~3)まで順番に話していただいたことと、自分の感想を書いていく。 まず 1)DISCO 社の紹介であるが、上で述べたように DISCO 社は半導体の加工を行う装 置の製造販売を行っているのだが、現在の半導体がナノメートル単位の細かさで製造され ていることから分かるように、加工は加工でも「精密さ」に重点が置かれた加工が可能な 装置を製造販売している。この加工の技術は DISCO 社がまだ第一製砥所という社名であっ たころからの知識の蓄積があってこそのものであり、ベンチャー企業などにとって変わり にくい分野であるのではないかと感じた。また紹介の中で Apple 社の iPhone について少し 話があったので書いてみる。2016 年現在販売されている iPhone 本体には CPU 以外にも 様々な用途のために半導体が使われているが、それらは全て Apple 社が製造しているので はなく、多くの企業が別々に製造したものを Apple 社が組み合わせているのである。その iPhone に組み込まれている多くの半導体の 5 割以上に DISCO 社の加工装置が使用されて いるとのことで、その割合の大きさに驚いた。 次に 2)加工装置の見学である。今回見学できたのは「Kezuru」と「Migaku」を行う装 置であった。本当の半導体に使われる材料を用いて実演してもらうのかと予想していたが、 流石にそうは行かず半導体に真似た金属を用いて実演してもらった。薄くする前後の金属 板を触ったが、ものの数分で荒い金属板が驚くような薄さの光り輝く金属版になった。み んなで触っていたらあまりの薄さにパキッと折れてしまったのはよく覚えている。 賀来さんの説明 加工装置見学 最後に 3)賀来さんへの質問である。DISCO 社自体への質問だけでなく、シリコンバレー についての質問、さらにはアメリカについての質問も出た。すべての質問内容は書ききれ ないので特に印象に残ったものだけ書いていく。まず社内通貨について。世界中にある DISCO 社のオフィス全てにある制度で、社員が別の社員に仕事を依頼するときその依頼内 容、期間、その他状況を踏まえて仕事を請け負う金額を個人で設定して、仕事を完了でき れば報酬としてその金額分通貨がもらえるのである。個人の仕事に対するマネジメントが 意識されるおもしろい制度だなと感じた。ほかにもシリコンバレーにオフィスがあること の良さについて話をしてくれた。シリコンバレーはその立地からビジネスで成功した人、 17 しようとしている人が多く集まる。そのため企業や個人のためになる人脈がつくりやすい という特徴があるとのことだ。確かに、納得できることが多かった。最後に DISCO 社とは 関係がないのだが、賀来さんにアメリカの食について質問した答えが「おいしくない」に は心の底から共感した。アメリカで何回か、日本食は偉大だ、と思ったうちの一回が DISCO 社の見学でのこのコメントであった。 DISCO 社の看板 ■SAP(木下(知)) DISCO 社での集合写真 b) SAP はドイツに本社を置くソフトウェア会社であり、その売上高は世界第四位に位置し IBM に次ぐ世界トップレベルの企業であるといえる。 上述の d.school の項目で述べられている design thinking によって成功している会社であ る。 とにかく人を観察することで、何がどのような状況でよく売れるのかなどをデータ化す る。このような design thinking により得られたデータをもとにサッカーW 杯でドイツ代表 を選手がボールを保持する時間を最小化するという戦術のもとに支援し、見事に優勝とい う結果を生む要因の一つとなった。 今回は、 SAP の小松原さんに会社の説明及び見学案内をしていただいた。 仕事場は design thinking に最適なホワイトボードの壁になっており、いたるところにポストイットが貼っ てある。また、天井はコンクリート打ちっぱなしになっている。これは未完成なところで 仕事をするほうが何かを完成させようという意欲が湧くからなのだそうだ。 また、天井を覆う無数の管はオフィスの様々な場所に伸びており、これはアイディアのつ ながりを意味している。 18 ホワイトボードの壁 コンクリートの天井とたくさんの管 小松原さんの社内案内 SAP 社での集合写真 3 ワシントン大学 3.1 ワシントン大学について(山野)c) ワシントン大学は1861年に設立されたワシントン州立の総合大学である。シアトルにあ るメインキャンパスの面積は約284万平方メートル、学生数は約4万5千人を有しており、年 間予算は円換算で約7680億円にも及ぶ。図書館の数はシアトルキャンパスと、タコマとボ セルにある分校を合わせると16にも及ぶ。留学中は数多くある図書館の中でも大学の中心 にあり、シンボルともなっているスザロ図書館に行った。ただ広いだけではなく、古風な 感じの本の閲覧スペースや自習スペース、さらにフードコーナーやDVDのレンタル所等まで あり、自分が知っている日本の大学図書館と比べて様々な点で異なりまた立派であった。 さらに大学内には日本から寄贈された桜並木も存在する。他にもたくさんの植物がキャン パス内に生息し、天気のいい日にはレーニア山等をキャンパスからみることもできて自然 19 の雄大さを堪能できた。 続いて歴史について記すと1861年に開校した後当初は学生不足や予算不足により中断を 繰り返してきたが、後に法科大学院や医学大学院といった大学院が開校し現在に至る。 そして学業においては2015年時点Times Higher Educationが調査した世界の大学ランキ ングで26位を誇る。また数多くある専攻の中では、アメリカ国内の大学ランキングにおい て微生物学が2位、免疫学、薬理学が6位、臨床医学が8位と医学・生理学分野が特に優れて いる。 さらにスポーツも盛んにおこなわれており、特にバスケットボールやアメリカンフット ボール、バレーボール等の球技が人気である。アメリカ西海岸でスポーツの実力がある12 の大学からなる団体PAC-12に所属しており、複数の競技でPAC-12の主催する大会に出場 している。ワシントン大学の学生たちのスポーツチーム名はハスキー犬をマスコットキャ ラクターにしているため「ハスキーズ」と呼ばれる。また学内のスポーツ施設も充実して いる。例えば7万人以上収容できるハスキースタジアムと呼ばれるアメリカンフットボール スタジアム、約1万人を収容できるバンク・オブ・アメリカ・アリーナと呼ばれるバスケッ トボールアリーナ、ハスキー・ボールパークと呼ばれる野球場等がある。 実際に行ってワシントン大学の学生たちの様子をみてみると、日本の大学の学生より自 分の大学に対して誇りをもっている人が圧倒的に多いと感じた。またキャンパス内の広場 などでサークル活動等何か作業をしている人の姿はあまり見かけなかった。話を聞いてみ ると、日本のサークルと同じようなものは無いらしいので、広場などで活動するという文 化はあまりないのかもしれない。 今回の留学では東北大学の学生の方々と共に、ワシントン大学で働いていらっしゃる大 内先生が企画してくださったプログラムに参加した。そのプログラムで、ワシントン大学 の学生、日本人留学生との交流、研究室訪問、講義参加、キャンパス案内等が行われた。 スザロ図書館 レーニア山とキャンパス内の自然 20 3.2 ワシントン大学での活動 3.2.1 講義(大橋) ワシントン大学の大内教授がアレンジしてくださった講義に実際出席する機会があった。 講義は全部で 14 つ程あり、その中から自分の興味に応じて参加するという形式だった。参 加者全員が、自分の専門分野の講義を選択できた訳ではないが、このプログラムの目的は、 実際の講義の雰囲気を知り自信をつけてもらうことであり、完璧に講義内容を理解するこ とではないことを承知していたので、参加者はそのような姿勢で講義に出席していた。 実際に私は、化学系の講義に参加した。ディスカッション形式の講義ではないこともあ り、雰囲気は教授が多数の学生に一方的にレクチャーする所謂日本形式のものと変わらな い印象を受けた。しかし、講義中に寝ている学生は居らず積極的に質問をしている点は日 本と異なり、見習うべきだと感じた。講義内容は、専門外であるにも関わらずある程度理 解でき、自分に大きな自信を持つことができた。 大内先生の講義 筒井先生による留学の説明 3.2.2 筒井先生による留学の説明(上岡) ワシントン大学の Dept. of Human Centered Design and Engineering に所属しており、 言語学の研究を行い、また日本語教育界を牽引してきた筒井教授に、アメリカの大学にお ける研究のしくみや特徴、留学で成功するための秘訣、研究室が学生に求めることなど、 今後の留学を考えるために役立つ多くのことを教わった。 まず初めに、日本とアメリカの研究体制の違いを教わった。教授、准教授、助教授…と 役割は日本と似ているものの、アメリカでは一人一人が独立しており、日本のように教授 が辞めて准教授が昇格したり後を継いだりというしくみとは違う。また、研究費の多くが 助成金から成り立っていること、学生の募集の仕方も日本とは大きく異なり、“より意欲の ある、優秀な学生”を研究室に呼ぶために教授達からの積極的な働きかけが大きい。 次に、コミュニケーションについてのお話を聞いた。アメリカにおけるコミュニケーシ ョンの特徴や、学生として成功するためのコミュニケーションの取り方などを教わった。 21 筒井先生に限らず、現地で交流した各国の学生や先生方も似たようなお話をしていたが、 アメリカでは自分の考えをはっきり主張できること、聞けばすぐ解決することはちゃんと 聞き、聞くことに躊躇しない、物事を自分から進んでやり、自分をどんどんアピールする ことが大事なのだと強く感じた。これらは学生の間だけでなく仕事をしていく上でも大事 なことであり、この点を意識して学生生活を送っていけるかで今後の道に大きく影響する と思われた。 他にも研究室が学生に求めていること、E メールの送り方など、丁寧に多くのことを教え てくださり、最後は質疑応答にも丁寧に答えていただいた。英語や留学に限らない多くの 貴重なアドバイスをいただくことができた。 3.2.3 キャンパスツアー(山野) ワシントン大学のプログラム3日目の午後、ワシントン大学の学生の方にハスキースタジ アム及びバンク・オブ・アメリカ・アリーナを案内していただいた。最初に案内されたバ ンク・オブ・アメリカ・アリーナは収容可能人数約1万人のバスケットボールアリーナで、 案内された際、女子バスケットボールチームの練習風景を見学することができた。またア リーナの隣には、ハスキースタジアムに関する歴史やそこで活躍したワシントン大学の選 手たちの記念品や写真等が展示されたブース、及びワシントン大学のスポーツチームであ る「ハスキーズ」に関わる商品が並ぶ店もあった。店ではハスキーズの応援グッズも多く 取り揃えられ、大学が本格的に応援していることがうかがえた。その後案内されたハスキ ースタジアムは収容可能人数7万人以上のアメリカンフットボールスタジアムで、観客席だ けではなく、フィールドの中や建物の上の階にある実況席等も見学することができた。ま た案内中に選手たちとすれ違うこともあり、その体格から相当なトレーニングを積んでい ることが見て分かった。 個人的には歩くことで、予習した時以上にハスキースタジアム及びバンク・オブ・アメリ カ・アリーナ一の大きさを実感ことができた。そして一州立大学がこれほど大きな施設を もち、運営していることにアメリカの豊かさがうかがえた。 バンク・オブ・アリーナ ハスキースタジアム内① 22 ハスキースタジアム内② ハスキースタジアム内③ 3.2.4 学生交流(木下(崇)) 私たちは BBQ と Osaka Night というイベントでワシントン大学の学生と交流する機会 があった。BBQ は大内先生が開催してくださったイベントで、私たち東工大生、東北大学 生の他にも大内研究室に所属している大学院生、ワシントン大学に留学している日本人学 生も参加していた。Osaka Night はワシントン大学の日本人学生会が主催しているイベン トである。日本人学生会の目標はより多くの人に日本の文化を知ってもらうことだと教え ていただいた。残念ながら私は Osaka Night のチケットを入手することができなかったた め、主に BBQ と自分の体験について書いていこうと思う。 BBQ ではビーフパテをグリルの上で焼き、それをケチャップとマスタードを塗りトマト やアボカドをのせたバンに挟んで食べた。ビーフパテのジューシーでスモーキーな感じが トマトやアボカドのさわやかな味わいに見事にマッチしてとても美味だった。私は BBQ の 時に大内先生の研究室の学生 2 人、そしてワシントン大学に留学している日本人学生 2 人 と話す機会があった。日本人学生は早稲田大学の国際教養学部の留学プログラムでワシン トン大学に来ており、アメリカの大学に留学して大変だったことや、講義の内容について の話を聞くことができた。また、大内先生の研究室の学生の 1 人は日本に興味があり、新 幹線をアメリカにも作ってほしいが政府の役人の頭が固いせいでなかなか実現しそうにな いと嘆いていた。そして、もう一人の大内先生の研究室の学生とは BBQ で話していた時、 良かったら飲みに行かないかと誘ってもらえた。彼の名前は Joey さんで、東北大の青木さ んと夜に一緒に飲む約束をした。 その夜、大学近くのパブで Joey さんと青木さんと落ち合った。Joey さんは他にも 2 人の 知り合いを連れてきてくれた。名前は Hu さんと Wang さんで 2 人は中国からワシントン 大学に入学しており英語がとても上手かった。高校からはインターナショナルスクールに 通っていたため、英語を話せるようになったと言っていた。そのあとは他愛もない会話で 盛り上がったが、アメリカにはアジア系だと韓国人と中国人が多く来ているということ、 23 中国の文化でも日本の影響を多く受けている部分があるということが分かってとても新鮮 だった。また日本の大学はどんな感じかについて説明したり、3 人からアメリカの大学生の 生活や、夏休みに行うインターンについても聞いたりすることができた。 ワシントン大学の学生と交流することによって、いろいろな話を聞いたり文化の違いを 理解したりすることができて、とても充実した時間を過ごすことができた。 BBQ の様子 3.2.5 研究室訪問(辻) ワシントン大学での3日目の予定が研究室訪問であった。ワシントン大学教授の大内 先生の計らいで幾つか分野の研究室を訪問することができたのだが、私、辻の専門に近い ものがなく残念であった。案内は Ohuchi Lab.の博士課程の YiHsun に行っていただいた。 ここに訪問した研究室全てについて書いていくのは単調になってしまうので全体を通して 私自身がとくに印象に残ったこととその感想を書いていく。 研究室は材料系と生命工学系の分野がメインであり、この分野の日本の研究室が一体 どのようなものなのか自分は知らないので比較することはできない。印象としては、見学 ツアーで各研究室を紹介していただいたそれぞれ研究室の学生や教授は、自分が行ってい る研究内容が好きであるという印象を受けた。自分と同じ分野の研究室の方と話をしたら 盛り上がりそうだなと思った。またどの研究室を他学科との複合研究を行っていて、興味 深かった。博士課程の学生が多かったのも自分が感じた特徴の一つである。 研究室見学そのもの以外にも移動中に案内をしてくださった YiHsun との会話で、彼 が英語のネイティブスピーカーでないことで英語の勉強に苦労して、スピーキング能力は ワシントン大学に来てから鍛えたことや、ドミトリーの値段が高すぎて普通の人には借り られないこととその理由についてなどの話をした。 24 研究室訪問 3.2.6 パネルディスカッション(青山) 大内教授がお声掛けをしていただいた、現地に留学中の留学生と現地に住む日本人や日 本とのハーフの学生さんなど 10 人強の方を迎えて、主に現地の生活の様子や現地の学校関 連のことなどについてのパネルディスカッションを行った。 多くの話題についてお話をされていたが、ここでは、私が特に印象的だった授業の違い についての話をさせていただく。まず、お話に上がったのは、ワシントン大学の工学部の 授業のレベルは、日本の大学のレベルよりも低いと思われるとのことだった。しかしなが ら、その授業のレベルは、授業の内容をマスターすれば、研究はできるということが保証 されるレベルはあるらしく、もしそのレベルに満足がいかなければ、自己責任でさらに高 度なことを学べるというものだ。私も実際に現地の授業を受けてみて感じたが、英語によ る障害を取り除けば、ワシントン大学の授業の方が簡単だった気がする。ただ、留学生が 口々に言っていたのは、身につくということを考慮すれば、海外の方が良いとのことだっ た。その理由として海外では、たくさんの課題が出されるらしく、毎日予習や復習に多く の時間を割かなければならないということが伺われる。私が聞いた英語の授業の例では、 いわゆる日本の授業で行うリーディングの解説やリスニングの問題を授業で解くことなど 一人でできることは、あらかじめ宿題として与えられていて、授業ではひたすらスピーキ ングをするそうだ。海外の授業は、その場でしかできないことに充てる時間を大切にして、 それによる効果(結果)を効率良く引き出すような授業が展開されているように思われた。 その一方で、私が二年間授業を東工大で受けてきて思ったこととして、すべての科目で はないが、英語の授業など、どちらかというとただ授業をこなすということに焦点に当て ている授業があったと感じる。私が思うに、私たちが今学部で学んでいることは、テスト を乗り切るためということも大事だが、社会に出る最後の学びに専念できる場で、生き抜 く力を高めるために学んでいると思う。しかしながら、私には、学校の授業の中には、焦 点がテストにしかないものが存在するように思えてならない。それは、もちろん自分の心 25 構えから来るものでもあると思うが、私だけではない周りの学生の考え方や学校自身の考 え方も影響してくると思う。日本の学力のレベル、技術力はとても高いものだったと今回 の留学を通して改めて感じた。しかしその使い道を知らないまま学んでいては、学問を我々 の暮らしに活かすことができず、ただの知識になる。何をするために学ぶのかを常に意識 させるような授業を展開させていくことがこれからの教育に必要な一つの要素なのかなと 考えることができた。 日本人留学生との QA 3.2.7 MSE Graduate Visiting Day(木下(崇)) Graduate Visiting Day とは、アメリカの優秀な大学生を集めて、大学院の Research Group が研究内容を説明するイベントで、アメリカではどの大学でも行われているという。 ワシントン大学もその例外ではなく、今回私たちは特別に材料工学科(MSE)の Graduate Visiting Day に参加させていただくことができた。 MSE の Graduating Visiting Day は MSE の建物の入り口付近で行われ、赤ワインや白 ワイン、サラミや果物といった食べ物や飲み物がビュッフェ形式でふるまわれた。まず始 めに材料工学科長の挨拶から始まり、その後は材料工学科所属の教授が紹介された。挨拶 が終わると参加者は自由に会場内を動き回り、興味のある内容を研究している研究チーム の前で足を止めていた。会場内では材料工学科の研究チームが壁際に待機しており、参加 者が来ると壁に貼ってあるパネルを用いて熱く自分たちの研究内容をアピールしていた。 会場内の雰囲気は思っていたほど堅苦しいものではなく、参加者はワイン片手に教授と 26 談笑したり、研究チームの大学院生と熱心に議論をしていたりしており、非常に盛り上が っていた。私は最初は研究についての話を聞いていたが、自分の専攻ではなかったため理 解することができなかった。そのため、最終的にはアメリカの大学院生活や研究室の雰囲 気についてなどの簡単な質問しかできなかったが、そのような質問にもとてもフレンドリ ーに答えていただけた。 Graduate Visiting Day に参加したことによりアメリカ人大学生の研究に対する意識の 高さに改めて脱帽するとともに、自分と比較して研究や勉強に対する意識の差に危機感す ら覚えた。この危機感を忘れることなく日々しっかりと勉強していこうと決心した。 MSE Graduate Visiting Day の様子 3.3 その他 3.3.1 自由時間 ■自由時間(青山) シアトルの自由時間は、23 日の夕方、27 日の午前中とそれぞれの日の夜と少ない時間し かなかったが、各自、自由に行きたいところに行った。自由行動の主な場所は、大学周辺 もしくはシアトルダウンタウンだった。 大学周辺では、現地に留学している学生さんのお勧めもあって、ワシントン大学から歩 いて 30 分ほどにある Gas Works Park に行ってきた。あいにく私が行った時は、天気が曇 っていたが、シアトルの市内を一望できる景色は見応えがあった。また、この公園では旧 石炭ガスプラントの一部がモニュメントとして公園に残されていて、その発想の斬新さが 印象的だった。 27 Gas Works Park の様子 シアトル市内の Star Bucks 1 号店 大学のすぐ近くにはショッッピングセンターがあり、夕食や買い物に行った。そこで、 時間式で水が飛び出す仕組みになっている亀とカエルの像が、ある一定の時間間隔でアメ リカの文化を感じさせる物語を演出していた。銅像と噴水を組み合わせて物語を作り、小 さい子や観光客の休憩時間を和ませる発想は、自分にとっては初めてだったため新鮮だっ た。 私は、市内には、ほとんど行ってないが、Pike Place Market や Space Needle などが主 な観光地みたいだ。今回のプログラムでは、スケジュールの関係上、無理だったが、バー ベキューの時に知り合った現地の学生さんは、時間があれば案内してくれると言っていて、 また街の人は親切な方が多かった印象を受け、とても過ごし易い 5 日間だった。 3.3.2 企業訪問 ■Boeing(大橋) シアトルで我々は、世界的に有名である航空宇宙企業、ボーイング社の見学ツアーに参 加した。ツアーでは、携帯電話の持ち込み及び写真撮影が固く禁止されており参加者全員 がチェックを受けた。私はメモ帳とボールペンを持ち込もうとしたのだが、それらの使用 も禁止されるくらいにセキュリティは厳しかった。 ツアーは、ボーイング社の歴史に関する動画を見ることから始まった。このツアーは我々 に特別に用意されたものではなく、一般人に向けて用意されているので、やはりここでも 聞き取りに関して英語力不足を痛感した。 20分ほどの動画を見た後は、参加者約40人とガイド1人でバスに乗り工場へ移動し た。我々は、ボーイング社でも一番大きい工場へ行き、ガイドの説明の元歩いて見ること ができた。工場内では、飛行機のパーツ毎にセクションが分かれていて、最後にそれらを 合体させるとのことだった。工場はめまいがする程広く、実際には飛行機が6機入る程度 の大きさだそうだ。 28 最後に最新鋭のジャンボジェット 787 を制作している工場へ行った。飛行機の窓に電子 カーテンを導入するなど、様々な技術が取り込まれているそうだ。 普段利用している飛行機にこんなにも多くの人が関わっている驚きを感じ、セキュリテ ィの厳しさに安心感を覚えた。 ツアー後にはショップもあり、参加者はそこで買い物を楽しんでいた。 ボーイング社工場 ボーイング社展示ブース 3.3.3 バスケットボール観戦(李) 東工大メンバーは 2 月 27 日にワシントン大学 vs コロラド大学の女子バスケットボール リーグ最終戦に招待された。女子バスケとはいえ、体格は立派なもので男子プレーヤー顔 負けの豪快なプレーが散見される一方で、繊細なパスワークや緻密なベンチワークなど終 始見どころの尽きない内容であった。ホームサポーターの熱烈な声援を背に、ワシントン 大学は序盤から堅実な試合運びを見せ、リードを保ったまま最終第 4 ピリオドを迎えた。 一方でこの試合はシーズン最終戦ということもあり、4 年生にとっては引退試合も兼ねてい た。第 4 ピリオドでは監督の粋な計らいにより、スタメン出場を果たせなかったベンチの 4 年生プレーヤーを積極的に起用し、超満員のホームコートに最後の見せ場が用意された。4 年生が得点を重ねるごとに会場のボルテージは上昇し、訪問者である我々さえ熱くなるひ と時であった。ワシントン大学女子バスケットボールチームはシーズン最終戦の vs コロラ ド大学戦に勝利し、有終の美を飾った。 29 バスケットボール試合 4 所感 4.1 青山 今回の私の留学の目的は、将来長期の留学をするための視察でした。留学をする前、ア メリカは世界で一番進んでいる国というイメージが強烈だったためにとても高度なことを やっていると期待していたのですが、思っているほどではなく、東工大で学んでいること に誇りを持つことができました。私がこのように考えることができたのは、このプログラ ムを立案していただいたワシントン大学の大内教授から「勉強はどこでもできる。大事な のは君がどう感じたのか・・・。 」というアドバイスを頂いたことが大きかったと思います。 私は、勉強をする場所にとらわれすぎていて、本当に大事な学問に向き合えていなかった ということに気がつくことができました。ただ、海外で学ぶということは、いろいろな意 味で自分を成長できるとも考えているので、これからも準備を継続して、機会を見つけて 挑戦したいと思う。 また、今回の留学での大きな収穫として素晴らしい先輩や同学年と知り合うことができた ことだと思います。みなさんの行動力や将来に対する考え方、物事に対する姿勢など、ど れを取っても私にとって吸収すべきことが多かったです。このような尊敬できる先輩方や 同級生と行動できる機会を与えて頂き、本当にありがとうございました。 青山航大 4.2 上岡 初めてのアメリカ、初めての海外、未熟な英語力…私にとって初めて尽くしの留学であ り、出発前は無事に約 2 週間を終えられるだろうかととにかく不安でした。が、実際に行 ってみると、見るものやること1つ1つが大変刺激的で、日を追うごとに不安や戸惑いよ 30 りも楽しさやわくわくの方が上回っていきました。将来アメリカに行く、もしくは長期留 学する可能性を考えるとなった時、実際に現地で様々なものを見て経験しないことには考 えようがないと思ったのが、このプログラムの参加のきっかけでした。そして実際に参加 してみて、想像以上の刺激に溢れた毎日、予想もしていなかった発見や出会いがそこにあ り、言語面では苦労しながらもアメリカでの生活になじめていた自分がいました。帰国後 の価値観や日本の見方も変わりました。 心残りがあるとすれば、現地であまり積極的にコミュニケーションをとろうと動けなか ったことでした。元々の性格もあったとはいえ折角の機会を活かしきれず、わかっていな がら勇気を出し切れなかったことに、現地にいた時も帰国してからももどかしく悔しい思 いをしました。その感覚を含め、このプログラムを通して感じ学んだ全てのことを、今後 の人生に生かしていきます。 語り切れないほど様々なことがありましたが、生きてきて最も充実した2週間になりま した。参加できて本当に良かったです。最後に、たくさん迷惑をかけ、お世話になった先 生方や支援室の方々、一緒に参加した仲間の皆さん、そして現地で出会った方…全てに感 謝してもしきれません。ありがとうございました。 上岡未来 4.3 李 「将来世界トップレベルの大学院で Ph.D.を取得したい!」と以前から抱いていた目標に 至るための 1 つのステップとして本プログラムへの応募を決めた。理工系の世界最高峰ス タンフォード大学や、学生レベルで東工大との関わりが強いワシントン大学の 2 大学にお ける学生との交流や講義参加、研究室見学を経て最も印象に残ったのは、両大学に関する ことよりもむしろ東工大の位置づけを再認識できたことである。今自分が置かれている状 況で最大限の努力をしない限り、将来世界に目を向けた時に競争に生き残っていけないと 痛感したと同時に、東工大における東工大生としての最大限の努力は、海外のエンジニア や研究者と互角に渡り合うのに十分な力を発揮しうると確信した。 また、学生リーダーという役職も貴重な経験となった。私は本プログラムにおける最年 少参加者となったが、年齢差にとらわれず視野を広く持ち要所要所で全体をまとめていく 経験は、今後の学生生活を実り多くしていくための 1 つの大きなターニングポイントとな ると確信している。 李恒 31 4.4 大橋 私は、情報系の専攻ということもあり、以前からアメリカのシリコンバレーに行きたい と思っていた。今回の派遣では、シリコンバレーの企業見学やスタンフォード大学の同じ く情報系の学生らと話す機会が沢山あり、とても意味のある派遣になったと思う。 このプログラムに参加する前は、海外の大学院に行くという選択肢は考えもしなかった。 しかし、実際にスタンフォード大学で ph.D 取得を目指している方々のお話しを聞き、自分 の中で海外の大学院に通う選択肢ができた。そこでやはり一番の壁となるのが、英語力、 特にリスニング力だと感じた。専門性ももちろん大切だが、現地の大学の講義に参加して、 東工大とさほど専門性に違いはないと感じた。スピーキングは、ジェスチャーやその他の 要因で何とかなるが、リスニングが出来ないと会話自体成立しないことを痛感した。 帰国後は、専門の勉強に加え英語の勉強のモチベーションも高く、今後の自分の進路に 大きな影響を与えてくれる2週間だったと思う。 大橋耕也 4.5 木下(崇) 今回のアメリカ超短期留学に参加した目的は、世界でも評価の高いアメリカの大学生が どのような教育を受けてどのような研究室生活を送っているのかを自分の目で確認するこ とであった。今回の米国派遣でアメリカの大学は日本のそれとは全く違うことにとても驚 かされた。 大学の講義では日本とは違い、生徒が講義中に頻繁に質問したり意見を述べたりしてお り、先生もそれを奨励しているようだった。先生を友達だと思って質問すると怖くないと いう現地の学生の言葉がとても印象に残っている。また、筒井先生からアメリカの大学の 研究室で歓迎されるのは質問や自分の意見をしっかりと言い、積極的に物事に挑戦する学 生だと聞いた。確かに研究室見学や MSE graduate Visiting Day でも積極的に自分の意見 や考えを言い、自分のやりたいことがはっきりとしている学生が多いように感じた。改め て自分のやりたいことは何かということを考えさせられ、また私も自分の意見をわかりや すく説明して、積極的に物事に取り組んでいく姿勢を心掛けなければいけないと強く感じ た。 またアメリカの学生は平日のほとんどの時間は勉強をしているという話を聞き、自分の勉 強量が圧倒的に不足していることを痛感した。 また、スタンフォード大学の d.school に取り入れられている design thinking という考え 方にもとても興味を引かれた。 design thinking は現場を直接観察し現状をより深く理解し、 それに対する発想を創出し、試作をして検証するというプロセスを素早く繰り返すことに よってまた新たな発想につなげるという手法のことで、ものづくりは常に現場の人間をも とにして考えている。これによって、市場や技術をもとにものづくりをしていた今までの 32 考え方では生まれなかった新しい発想を作り出すことができると説明していた。初めて聞 く考え方の手法であり、design thinking によって生み出されたものが製品化された例もあ るということだったため、d.school の方に紹介していただいたデザインシンキングに関する 本も時間を見つけて読んでいこうと思う。 2 週間弱という短い期間だったが、とても貴重な経験ができたと思う。ここで得られた教 訓を日々の生活に生かしていこうと決心した。 木下崇央 4.6 碩 高校の頃からずっとアメリカに行きたくて、また、今後アメリカの大学院に進学するこ とも少し考えていたので、今回学校のプログラムを通して行けて本当に有り難かったです。 まずアメリカの日常生活についてですが、アメリカのドラマや映画などが大好きで沢山 見てきたので、実際行ってみてあまり印象と変わらなかったです。行ったことがないとこ ろに来たという興奮より、むしろすぐ馴染めて居心地の良さが多かったです。 個人的に、異国に行くとき、いわゆる観光スポットなどに興味が薄く、現地の普通なと ころの街並み、人々の日常生活を体験・観察することが楽しいと思っています。週末に宿 泊地のあたりを散策し、farmers market に出店していた方々と世間話もできてすごく面白 かったです。アメリカ人の明るくて外向的な性格、アメリカン英語のしゃべり方、人種の 多さ、道路の広さなど、自分で体験して、やはり本当にそうなのだと、思いました。 しかし、当たり前のことですが、旅行・交流の時と、長い期間の留学・生活の場合の心 境は全く違うと思います。派遣中の快適さの中で、もし本当に留学したら直面する未知な ハードルも心配で、大学訪問の時にいろいろな方々から情報とアドバイスをいただいて本 当に助かりました。事前にアポを取って会っていただけた訪問先の自分の専門の教授方と、 接待していただいた日本人の先生方、アメリカの様々な場で活躍している東工大卒業生の 先輩方と話せて、大変勉強になりました。おかげさまで、まだ進路を確実に決めたわけで ないですが、どういう進路であろうと、決して簡単ではないという覚悟を持ちながら、出 会った困難を解決しようする決心さえあれば大丈夫という結論にたどり着き、すっきりし ました。今後もこういう気持ちで頑張ろうと思います。 碩騰 4.7 辻 たった2週間の派遣で自分に有意義なものを得られるとは正直思っていなかった。語学 力が伸びるとは言ってもたかが知れているし、アメリカという国の雰囲気を知るぐらいな らただの旅行でも変わらないだろうと思っていた。正直、今回の派遣は旅行の延長のよう 33 なものと思っていたことは否めない。しかし、終えてみればただの旅行ではなかった。自 分自身の能力などは大きく変わらなかったが、自分の意識、考え、目標がある程度具体的 に固まったと実感している。これから、それの実現のために準備をしていくつもりだ。 派遣を終えたあとに振り返って、大学関係者の方々が日程をオーガナイズしてくださっ たことを感謝したい。スタンフォード大学やワシントン大学だけでなくその他の見学など は自分で計画するのはあまりにも大変で、勉強や研究のある中でアメリカへ渡航できたの はもともと日程が決まっていたからであると心から思っている。 さて所感ということで、約2週間の派遣で印象深かったことがらについて書いていきた い。まずスタンフォード大学で現地の大学の学部生と話ができたときに、いろいろな質問 をして感じたのが、東工大の学部生と大きな違いはないということ。修士学生や博士学生 と長く会話できたらまた違う印象を受けるかもしれないが、学部生はそのように感じた。 そして日本の学生、とくに東工大生との大きな違いは英語ができるかできないか、ただそ れだけである。学生は大きな差はなくても、大学そのものの環境は大きな差があるなと感 じた。そして私はアメリカの環境の方が好きである。語学をどうにかしてやろうという意 思があれば、アメリカに留学、もしくは正規生として入学するのは非常に良い選択肢であ ると断言できる。 最後にアメリカに2週間滞在して、アメリカが合理的な国であるなと思った。交通機関 や社会の雰囲気などを含めて気持ちの良いものと言えないことも多々あったがそれは国全 体にとって無駄が少ないのかもしれないと、そのように考えてしまうものであったからで ある。 辻陽平 4.8 羽室 今回のプログラムは期待していた以上に得るものが多かった。 まず、行く前から不安のあった英語力については、やはりリスニングとスピーキングの 訓練をするべきであることを強く感じることができた。今後の英語学習のモチベーション となるだろう。次に、design thinking という概念を初めて知り、衝撃を受けた。また、留 学に興味があるような人は専門が弱い傾向にある、という指摘にはドキッとした。企業見 学や OB 会ではシリコンバレーの活気を感じ、将来ここで仕事ができたら、と思った。 どれも個人的に行く海外旅行では経験できないことばかりで、このような機会を得られ たことに感謝したい。今回の経験はわたしの今後の人生に必ず影響すると強く感じている。 羽室優衣 34 4.9 平尾 アメリカに留学する事は以前から考えていたが、今回の超短期留学でよりその考えを強 くもつことができた。その為に準備しなくてはならないことも沢山あるが、日本にはない 多様性や他分野との交流など魅力も多い。入学自体は日本のようなシビアさはないようだ が、入学後の進級や学位等の取得は非常に困難である。そのかわり、PhD をもっているこ とはそれだけで社会で認められることであり、日本の博士取得者に仕事がないというよう な事態は決して起きない。 大学以外にもサンフランシスコやシアトルの街そのものが非常に刺激的だった。街のス ケールが違うし、作り方も大きく異なる。また住民は多様性にあふれている。サンフラン シスコで盛大に春節を祝っていて、宗教に関わらず町中で楽しんでいるのがとても印象的 だった。 今後、英語の学習を継続的に行い、将来、アメリカで学び働くことができるように努力 したいと思う。 最後に、ご支援頂いたみなさまに感謝いたします。 平尾しえな 4.10 山野 今回のアメリカ留学は毎日新しい発見や交流があり、今までの人生の中で最も有意義な イベントの一つになりました。もともとこの留学に参加した目的はアメリカの企業もしく は日本企業の海外支部で働くということに興味があり、そのため海外で働くことに関する 情報を集めることとアメリカの生活を学ぶことでした。働くということに関しては留学プ ログラム中行われたいくつかの企業訪問で斬新な考え方を聞けました。例えば日本ではあ まり聞かない概念である、消費者の立場から製品やサービスを考えるdesign thinking、日 本人にありがちな自分の意見を言う前から自分で否定的にとらえることをせず、自信をも って発言すること等です。またアメリカの生活については、電車の切符の買い方等もちろ ん日本と大きく違うところもありましたが、大体のことは日本での生活で得た知識と現地 の人に聞くことで何とかなるものであるということを実感しました。アメリカで生活する ことに関連して今回の留学中用いた英語についても見直すいい機会になりました。留学前 一番不安に感じていたスピーキングについては予想より相手に伝わっていました。ただし なかなか言いたいことが出てこなくて、結果あまり話さなくなってしまうということもあ ったので、これからもっと積極的に話す姿勢を大事にしたいと思いました。また相手の話 すことが長くなると、リスニングができなくなってくるということにも気づけたので今後 リスニング力の強化も行いたいと考えています。 またアメリカの学生や文化だけではなく、この留学で一緒に行った仲間たちや、東北大 学の方々からも影響を受けました。前に記したように私は留学前、アメリカで働くことに 35 関する情報ばかりに興味を持っていました。しかし留学中会った仲間たちの話を聞くと、 アメリカの大学院に入って研究したいと考えている人が多く、その実現のため様々な努力 や挑戦をしていることを知りました。またアメリカの大学院に行くことにおけるメリット も聞かせてもらいました。仲間たちの話のおかげで、働くことだけではなくアメリカの大 学院に進むことやそこで研究をすることにも興味をもつようになり、私の将来について視 野を広げることができました。 最後に今回の留学を企画、引率してくださった先生方、アメリカでこの留学プログラム に協力してくださった方々に感謝申しあげます。ありがとうございました。 山野正晴 4.11 木下(知) 私は英語圏の国に行くのが初めてであったためプログラム参加前は非常に緊張していた が、終えてみると英語を学ぶモチベーションが格段に上がり行って良かったと自信を持っ て言える。また、以前は、米国の大学生はよく勉強するが日本の大学生は勉強しないとい う話を聞いていたため大きな焦りを感じていたのだが、実際に米国の大学の講義、研究室 を自分の目で見ることで焦りが消え、冷静にいま日本でできることをしようという気にな れたことが大きな収穫だと思う。そして、将来海外で博士号を取得してそのまま海外で就 職するという選択肢をイメージする良い機会となった。 木下知己 4.12 塗師 私は、高 1 の頃学校行事でオーストラリアへ行って以来6年ぶりの海外だった。たった の2週間とはいえ、このプログラムに参加して得られたことがたくさんあった。私は、日 本語においても英語においてもそうだが、話すのはできても聞いて理解するのが苦手なの で、もっと理解力をあげなければいけないと思った。日本の大学では、授業中に寝たり電 子機器をいじっている学生が当たり前かのようにいるが、アメリカの大学は競争が激しい のでみんな集中して聞いていた。私もアメリカの大学の学生達を見習うべきだなと思った。 塗師豪太 5 参考資料 節名に付随している括弧内がその節の執筆者です。 また、以下のような引用があります。 36 2.1 節 a): - Wikipedia(スタンフォード大学) http://ja.wikipedia.org/wiki/スタンフォード大学 2.3.3 節 b): - Wikipedia(SAP) http://ja.wikipedia.org/wiki/SAP_(企業) 3.1 節 c): - Wikipedia(ワシントン大学) http://ja.wikipedia.org/wiki/ワシントン大学 NOTHING IS A MISTAKE. THERE IS NO WIN AND NO FAIL. THERE IS ONLY MAKE. (d.school, Stanford University) 37 38
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