鳥取大学教育学部 研究報告 (自然科学)

鳥取大学教 育学部
研究報告 (自 然科学 )
40 (1991), 15-24
整容用衣料品に関する着用実態 について
伊藤
紀子 *・ 梶川
豊代 *・ 山田 智子 **
Noriko ITo,Atuyo KAIIKAWA and Tomoko YAMADAI Consulner's Attittde to
Foundation Ganments
(1991年 4月 20日
1.
目
受理 )
白匂
す ばらしい経済発展 に支 えられて,女 性 の美 に対す る願望 は,増 々過剰な もの となってお り
痩身美追求 の立場か ら整容用衣料品は,若 い女性 を中心 におおいに注 目されてい る。 身体拘束
衣料品のなかで もブラジャー,ガ ー ドルは,女 性特有 のボデ ィー ラインを強調 し,身 体 を美 し
,
く見せる目的,す なわち,整 容機能 の立場か ら広 く女性 に着用 されてい ると考 え られる。 また
最近では脚線美 を誇大 に標榜 したサポ ー トス トッキ ングや他の新製品 も次 々 と発売 されてい る。
雑誌等で も, これ らの衣料 に関する特集が組 まれ,多 種類 の商品が紹介 され,選 び方や着用方
法 の指導 もなされてい ることか ら,整 容用衣料品 の着用に対する消費者 の文
↓応の仕方 も変わっ
,
て きてい ると考え られる。
そ こで, 高校生か ら社会人 まで を対 象 に, 痩身に対す る考 え, 整容用衣料 品 の うち ブラ
ジャー,ガ ー ドル,サ ポ ー トス トッキ ングの着用実態 について,現 状 を↓
巴握するための基礎資
料 を得 ることを目的 として調査 を実施 した。
2. 整容用衣料品の広告の現状
新聞,雑 誌等 の広告は,整 容用衣料品の購入や着用動機 に大 きく影響する と考 えられる。そ
こで,整 容用衣料品の広告 の実態につい て,1989年 10月 1日 から10月 31日 の 1か 月間の新聞 4
紙 ,雑 誌 18誌 に掲載 された広告 を調査分類 した。その結果 は表 1の とお りで ある。雑誌 のその
他 の 2誌 は妊婦 を対 象 とした ものと,マ ラソンやジ ョギ ングをする人 を対 象 とした もので ある。
ブラジャー,ガ ー ドルを含 むシェイプア ップファンデ ーションは,女 性週刊誌 ,女 性 ファッ
シ ョン雑誌 を中心に広 告 の掲載 が多 い。サポ ー トス トッキ ングの広告 は,新 聞,婦 人雑誌,女
性 ファッシ ョン雑誌 にみられた。1989年 3月 か ら 4月 頃までに,書 店や美容院等 で 目にふれた
女性週刊誌の整容用衣料品に関する広告では,シ ェイプア ップファンデ ーシ ョンとサポー トス
トッキ ングの比が11対 17で あるのに対 し,1989年 10月 では25対 13と サポ ー トス トッキ ングの広
告 の割合が減少 してい る。この傾向 は,田 村 ら1)の 報告 と同様 で ある。 また,価 格 は, 4月 以
*被 服学教室
**倉 吉東高等学校
伊藤
紀子 ・梶川
豊代・ 山田 智子
表 1 整容用衣料品の広告の実験
発行回数
A
B
C
D
E
一般週刊誌
女性週刊誌
婦 人雑 誌
│ :
l i
│
れ
十章◆馨ここζv永
1989年 10月
づ〒み
痩身用刺 R
31
2
0
31
1
1
0
31
1
2
0
31
0
0
0
4
0
0
0
0
4
0
0
0
4
0
0
0
4
0
0
0
2
1
5
0
4
2
0
2
0
0
2
0
2
2
0
0
0
2
3
2
0
2
0
2
1
2
3
1
1
2
2
2
0
0
N
4
4
O
P
Q
女性 ファッション
雑誌
R
S
男t生 ファッンヨン
雑誌 。その他
T
U
V
2
0
0
2
0
0
0
2
4
0
0
2
0
0
()
前 は10000円 を超 え る ものや3000円 以上 の ものが ほ とん どで あ ったが ,10月 の広 告 で は500∼
1000円 が大部分で あ った。販売方 法 は,通 信 販売 か ら店頭販売 へ と移行 し,発 売 メ ー カ ー もあ
ま り知 られて い な い メ ーカ ー か ら大手 メーカーヘ 移行 して きて い るこ とが特徴 的で あ る。広 告
の表示 も 4月 以前 は「 モデル・ タ レン ト・ ス チ ュワーデ スの 間 で も大 ブ ーム !」 ,「 下半 身 の タ
ル ミを引 き締 めス リム な脚線美 をつ くる」,「 細 くみせ て るだ けで満足 で すか ?」 な ど強 力 なサ
ポ ー トカ を前面 に出 し細 くなる と思 わせ る よ うな表示 で あ ったが ,10月 の広告 の表示 は,広 告
に対 す る規制 (1988.11.16施 行 )と も関連 して 「 しなやか フ ィ ッ トJ,「 ナチ ュラル な透 明感」
「ほ どよいサ ポ ー ト効果」 な ど,誇 大広告 の 減少 と強力 なサ ポ ー トカ よ りは き′
心地 を重 視 した
,
,
軽 やか な フ ィ ッ ト感 と透 明感 をポイ ン トに, ソフ トにサ ポ ー トして「足 を きれ い にみせ る」 ヘ
変化 して い る。 これ らの ことか ら,1989年 4月 の本調査段 階 にお い て は,サ ポ ー トス トッキ ン
グの着用 が拡 大す る状 況下 にあ った と考 え られ る。
整容用衣料品に関する着用実態 について
表 2 所属別調査対象者 の 身体特性
大 学
生
取
大
社 会人
高校生
鳥
対象者人数
年
齢 (歳 )
身
長 (伽 )
重 (範 )
体
バ ス ト (cm)
ウエス ト (cm)
ヒ ッ プ (cm)
ローレル指数
阪
242
187
210
171
164
19 5
18 7
35.6
158 1
158 7
158 6
156 3
513
813
52.0
51 1
51 2
82 5
81,9
82 9
62 1
52 2
61,4
64 4
87 9
89 6
88 4
89 1
130,0
130 0
127 6
134,6
3.調
査
方
法
調査対象者 は年齢 による違 い を見 る立場か ら,地 方 に在住する高校生 ,大 学生 ,社 会人 の女
性 と,地 域 による違 い をみる立場か ら都市に在住す る女子大学生 で ある。調査対象者 の身体特
性 は表 2の とお りである。 日本人女性 の平均的体位 と比較 して,身 長は大 きい反面,体重力Ⅵヽ
さ く,痩 身型 で ある とい える。調査期間は,環 境気温 が 20° C前 後 に安定 した1989年 4月 下旬
に行 った。冬期や夏期 の着用状態が,防 寒,防 暑 を重視す る傾向にあるのに対 し, 4月 下旬 は
気候 も安定 し,身 体拘束衣料品へ の関心度や着用状況 もほぼ安定 した季節であるといえる。調
査方法は,調 査票 を配布 し,回 収する自記式調査 である。有効回収数 は,地 方 に在住す る高校
生242人 ,大 学生 187人 ,社 会人171人 の計600人 と,都 市 の大学生210人 の合計810人 である。調
査内容は,痩 身 について,ブ ラジャー,ガ ー ドル,サ ポ ー トス トッキ ングの 3つ の整容用衣料
品に対す る着用状況,着 用 目的,着 用効果等 と調査対象者 の身体特性 で ある。なお,記 入にあ
たっては無記名 とした。
調査デ ー タの分析 は,高 校生,大 学生,社 会人 の所属別 ,地 域別,身 長,体 重か ら求めた肥
満度 を表す ローレル指数 の身体特性別 に統計処理 を行 い,比 較検討 した。
4.調
査
結
果
(1)痩 身 に対 す る考 え
やせ た い と考 えて い る人 は,痩 身美 を賛美 す る現 代 人 を反 映 して全体 で92.1%で あ った。所
葛 授 生
地方の大学生
地方0★ 4
都市の大学生
都市の式学生
社 会
社 会
^
図 1 痩身願望
プ
躙職
釧
爛醐婢
ツ
乗
ヒ
選R
葛 授 生
べ
図 2 気 にかかる部位
伊藤 紀子・梶川 豊代・ 山田 智子
属別 では,図 1に 示す とお り高校生,大 学生が いずれ も90%以 上であ り,社 会人 は86.5%と や
や低 い。個 々の体型 で気 になる部位 は,図 2に 示す とお り大腿部 ,下 腹部,ウ エス ト, ヒップ
下腿部等 の下半身へ集 中 してい る。所属間の気 になる部位 に有意差が認められ (p<0.01),高
校 生 。大学生 は,「 大腿部」 が,社 会人 は,身 長 に文
すす る腹囲が加齢 とともに増加することか
,
ら「下腹部」 が高 率 で あった。図 3の 痩身へ の試みは,い ずれ の所属 にお いて も「ダイエ ッ
ト」,「 スポ ーツ」 が多 く,「 何 もしない」 とした人 も多 い。特 に高校生 ,大 学生 は,「 ダイエ ッ
ト」 による痩身方法が約40%で あ り,若 者の痩身へ の問題点 を浮 き彫 りにしている。
園一団甥圏
ダイエツト
スポ_ッ
何もしない
鉢 拘束部 品
サウナスーツ
割嗣
未着用
高 授 生
jt方 の大4
その他
都市の大学生
社 会 人
図3
図4
痩身方法
ブラジャーの着用率
ワイヤー
なしブラ
Elワ イヤー入り
‐
圏
鯵笏
圃
'ラ
ブラスリップ
スポー
ツブラ
ボディネー
ッ
その他
言 板 生
地方の大学生
都市の大学生
社 会 八
図5
主に着用するブラジャーの種類
図6
ブラジャーの主な購入方法
騒 日 運 きている時
臣コ ー 日中
耳‐
圏
図7
タ
ト
出時
その他
ブラジャーの着用時間
(2)ブ ラジャーについて
ブラジャーの着用率 は,全 体 で98.5%で あ り,ほ とんどの人が着用 してい る。図 4か らわか
るよ うに, とくに大 学生の着用率 は100%で あった。主 に着用す るブラジャーの種類 は,図 5
に示 す とお りであ り,ワ イヤ ーな しブラジャー,ワ イヤ ー入 リブラジャーが高率 で着用 されて
い る。所属別 で着用す るブラジャーの種類 に有意差が認め られた (p<0.01)。 整容性 の高 い ワ
イヤ ー入 リブラジャーの着用 は,都 市 の大学生が最 も多 く,つ いで地方 の大学生である。一方
,
高校生 はワイヤ ーな しブラジャー を多 く着用 し,社 会人 はワイヤ ー な しとワイヤ ー入 リブラ
ジャーについでブラス リップの着用がみ られた。
整容用衣料品に関する着用実態について
主な購入方法 は,図 6に 示す とお り「商店・ デパー ト」 による購入が多 い。所属別 の購入方
法 に有意差 が認め られ (p<0,01),「 通信販売」 による購入 は,都 市 の大学生 に比べ 地方 の高
校生,大 学生,社 会人 に多 いことがわかった。
着用状 況 は「ほ とん ど毎 日」 の 人が高校生 93.7%,地 方 の大 学生 97.9%,都 市 の大学生
990%,社 会人94.6%で あ り,ほ とんどの人が毎 日着用 してお り,ブ ラジャーは私たちの生活
に定着 して い るとい える。 このことは,図 7の 1日 の着用時間 をみて も,「 起 きているときの
み」,「 一 日中」が大部分 を占め るこ とか らも諾 け る。 しか し,「 一 日中」着 用す る人が 15∼
30%あ り,就 寝時のブラジャーによる身体拘束 は,衣 服衛生学的立場か ら問題である。
期待す る効果は,「 身だ しなみ」 とい う人が50.6%と 多 く,つ いで「バス トの形 を整 える」
44.2%,「 ゆれを防 ぎ安定 させ る」34.9%,「 習慣」250%で あ り,社 会生活 を意識 して着用 し
て い る人が多 いこ とが うかがえ る。所属別の傾向 を図 8-1に 示す。ブラジャー に期待す る効
果 は,所 属別で有意差 は認め られず (p>0.05),い ずれの人 も「バス トの形 を整 える」,「 ゆれ
を防 ぎ安定 させる」 とす る整容性 を重視 した機能 と「 身だ しなみ」,「 習慣」 の社会的機能 の両
面か らブラジャー着用 して い る。図 8-2の ローレル指数別 についてみると,標 準体 型 に近 い
ロー レル指数 ■0∼ 139動 においては,「 バス トを大 きくみせ る」 が多 いの に対 し,ロ ー レル指
数 の高 い肥満 タイプの人は「ゆれを防 ぎ安定 させ る」効果 を目的 とす る人が多 くみ られた。
方の大学生
'も
部市の大学生
臣∃ バストの形を整える
■■ ゆれを防き安定させる
圏 甑
賜勿 バス トを大 きくみせる
圏圏 保温
厖阿 その他
囲一閣吻閥吻
だし
な
み
ね身
高 校 生
9/‐ しなみ
バストの形を整える
ゆれを防ぎ安定 させる
甑
バストを大 きくみせる
保温
その他
社 会 人
図 8-2 ブラジヤーに期待す る効果
(ロ ー レル指数別)
図 8-1 ブラジャーに期待する効果
実際 の着用効果 については,「 どちらともいえない」 とする人力汚2.4%,「 効果がある」 とす
る人44.6%で あった。
ブラジャー を着用 しない理由としては,「 窮屈 さ」 や「肩 こ り」 などブラジャーの拘束力 を
問題 とす る人がいた。
(3)ガ ー ドルについて
下半身拘束用 のガー ドルの着用率 は全体 で60.4%で あ り,ブ ラジャーの98.5%に 比べ て,か
な り低率 で ある。所属別 の着用率
(図
9-1)に 有意差が認 められ (p<0,01),高 校生が最 も着
用
締結利
図 9-1 ガー ドルの着用率
を用
未七用
図 9-2 ガー ドルの着用率 (ロ ー レル指数別)
伊藤
紀子 ・梶川
豊代 ・山田 智子
用率が低 く,大 都市 の大学生 と社会人の着用率 が高 い。図 9-2の ロー レル指数別 にみ ると
ロー レル指数力S大 きくなるにつ れて,ガ ー ドルの着用率 もわずかに上昇 してい る。主 に着用す
るガー ドルは,シ ョー トガー ドルの ソフ トタイプとハー ドタイプが全体でそれぞれ69.1%,
,
24,3%と 多 く,な かで もシ ョー トガー ドルを着用 してい る人が多 い。一方, ロングガー ドル
,
ボデ ィスーツ等 を着用する人は少ない。 また,整 容性 の高 いハー ドタイプよりはソフ トタイプ
カ畝子まれる こともわかった。所属別 の傾向 は,高 校生 。大学生に比べ て社会人 の ロングガー ド
ル,ボ デ ィース ー ツの着用が多 い (図 10-1)。 ローレル指数別着用 ガー ドルの種類 は,図 10-2
に示す とお り,ロ ー レル指数 の大 きい人ほどロングガー ドルやボデ ィースー ッを着用する こと
がわかった。
国一閥賜圏
ショートfソ フト
ショート(ハ ード
ロシゲ(ソ フト
ロング(ハ ード】
ボディスーツ
その他
高 校 生
地方の大学生
)
園
■■
園翻
磁笏
囲閥
,
,
と ト
シヨートイ
'フ
ショート(ハ ード
ロング(ツ フト
ロング(ハ ド
ボディスー
ツ
その他
'
,
)
)
都市の大学生
社 会 人
図10-1 主に着用するガー ドルの種類
図10-2 主に着用するガー ドルの種類
(ロ ーレル指数別)
主な購入方法は,ブ ラジャー と同様 ,所 属別 の購入方法 に有意差が認 め られ (p<0,01),都
市 の大学生5.6%に 対 し地方 の学生 お よび社会人 の平均が21,7%と 通信販売 を利用す る人の多
いこ とがわかった。
着用状況 は,全体 で「ほとんど毎 日」570%,「 週 に 2∼ 3回 」229%,「 週 に 1回 」,「 ほと
んど着用 しない」 とする人16.2%で あった。ブラジャーに比べ ると着用率 と同様 ,着 用状況 も
低 い。所属別 の傾向 は図11か ら,社 会人や都市 の大学生は,「 1ま とんど毎 日」 の人が多 い反面
高校 生 ・地方 の大学生 は着用状況が低 い。 ローレル指数別 では,ロ ー レル指数が大 きい ほど
,
,
「ほ とんど毎 日」 とす る人が多 くなる傾向であった。 また,一 日の着用時間 は,ブ ラジャーの
着用が「起 きてい るときのみ」 とす る人力消2.5%と 多 かったのに対 し,ガ ー ドルでは少な く
「外 出時のみ」 とす る人が436%と 多 く,ガ ー ドルの着用時間が ブラジャーに比べ て短 いこと
がわかる。図12の 所属別では,高 校生や地方 の大学生 は,社 会人や都市 の大学生 に比べ て着用
,
時間が短 い。
!
艶
ほとんど毎日
国
週に2-3団
│:‐
ト
タ
出時
起きている時
葛 校 生
一日中
駐 んど着用しない
田コ 渥に 1団
賜 その他
その他
地方の大学生
部市の大学生
社 会 ム
図■
ガー ドルの着用状況
図12 ガー ドルの着用時間
期待 す る効果 はブ ラジ ャー とは異 な り,「 下腹 部 をひ き しめ る」,「 ヒ ップ ア ップす る」,「体
の ライ ンを整 える」等 の整容効果 を期待 して い る人が 多 い。高校 生 ,大 学 生 ,社 会 人 の所属 別
間 に顕 著 な差 は認 め られ な い が ,図 13の ロー レル 指 数 別 で は,ロ ー レル指 数 の 小 さ い 人 に
整容用衣料品に関す る着用実態 について
霞目 下縦部をひきLめ る
園 ヒツプアツプする
ね 臨
1匿 コ テレビ
ト
:■ ■商店,デ パー
高 校 生
:‐
体のラインを整える
函露 保温
1該 擁 身た しなみ
鰯
甑
厖物 その他
園日為代
甥 新聞
囲 そFD他
地方の大学生
都市の大学生
社 会 八
図14 サポー トス トッキ ングの情報源
図13 ガー ドルに期待す る効果 (ロ ーレル指数別)
「ヒップア ップす る」効果 を期待す る人が多 いの に対 し,ロ ー レル指数 の大 きい人に「下腹部
をひきしめ る」効果 を期待する人が多 くみ られた。
実際 の着用効果 は全体で「 どちらともいえない」 とす る人が52.2%,「 効果があ る」 とす る
人力逹0.1%で あ り,ブ ラジャーの着用効果 と同程度であった。
ガー ドルを着用 しない理由は,「 持 ってい ないか ら」,「 す る必要 がないか ら」,「 窮屈 だか ら」
とす る人が高校生,大 学生に,「 窮屈 だか ら」 とする人が社会人に多 くみ られた。
(4)サ ポ ー トス トッキ ングについて
。
べ
サポー トス トッキ ングを知 ってい る人は全体 で89,3%あ り,高 校生 社会人 に比 ,大 学生
の方が よ く知 って い る。 情報源 は雑誌 が66.4%と 最 も多 く,つ いでテ レビ379%と なってお
・ パー トで情報 を
り,マ スメデ イアによる情報が いかに大 きな影響があ るかがわかる。商店 デ
得 ている人は商品 の流通機構 の核心部 に居住 してい る都市 の大学生 に多 くみ られた (図 14)。
サポ ー トス トッキ ングを所有 してい る人は全体 で26.3%で ある。所属別 の所有率 は,高 校 生
17.8%,地 方 の大学生25,0%,都 市 の大学生34.3%,社 会人28.3%と 都市 の大学生が最 も多 い。
主な購入方法 は,ブ ラジャー,ガ ー ドルと同様 の傾向であった。購入価格 は,手 ごろな価格 の
∼1000円 が一番多 い。高価 なサポ ー トス トッキ ングを購入 した人 は810人 中,5000∼ 10000円 未
満が 2人 ,10000円 以上が 2人 であった。
い
着用状況 はサポ ー トス トッキ ングを所有 してい るにもかかわ らず,「 ほとんど着用 して な
い」人が所有者 の29.5%あ り,図 15に みるように,高 価 なものほど着用状態が悪 く,安 価な も
のほど着用状況が よい。図16の 着用感 をみる と,サ ポ ー トス トッキ ングの特性 を評価 して「ひ
きしまってよい」 とす る人は全体で67.9%と 多 く,な かで も価格 の安 い ものの着用者 に多 くみ
られた。 10000円 以上のサポ ー トス トッキ ングを購入 した 2人 の うち 1人 は,「 きつ くて苦 し
い」 と訴えていた。 ローレル指数別では顕著な差 はみ られなかった。
H
ほとんど毎g
週,こ 2-3団
週ヽ 1回
ほとんど若用しない
F
い
(‖ 御
)
_(lI争 4)
コ⑭
閣 rき しまつて良い
E・Elき つくてきしい
い
i■ ■ 従来0と つと分わら
閥
その他
その他
図15 サポー トス トッキ ングの着用状況 (価 格別)
図16 サポー トス トッキ ングの着用感 (価 格別)
ロー レル指 数別 の期待 す る効果 は図17に 示 す とお り,「 足 を細 くす る」 よ りも,「 足 を細 くみ
い
せ る」 が 多 い こ とか ら,ロ ー レル指数 の大 きい肥満 タイプの 人以外 は足 力群田くな る と う効果
伊藤
紀子 ・梶川
豊代・ 山田 智子
国一躙物
ね 研郭ある
足を48く 見せる
足を期 くする
足のむ くみを防ぐ
保温
その他
足を期 く見せる
園
‐
動屎がない
あ らともいえない
二を湘 くする
足のむくみをF7tく
保温
サポー トス トッキ ングに期待す る効果
(ロ ー レル指数別)
図18 サポ ー トス トッキ ングの効果の有無
はあま り期待 して い ないこ とがわかる。 着用効果 の有無 につい ては「 どちらともい えない」
人が過半数 を占め,効 果がある とした人は36.3%で あ り,ブ ラジャーの44.6%,ガ ー ドルの
40.1%に 比べ て も少 ない。図18の 期待する効果別では,広 告 の表示 に多 い「足 を細 くする」
,
「足 を細 くみせ る」 に対 し,「 どらちともいえない」 とする人が多かった。購入 または着用によ
る問題点 については,5000円 以上のサポー トス トッキ ング購入者が「色が気 に入 らなかった」
,
「値段が高かった」,「 はきに くかった」,「 厚 くて透明感がない」 などサポー トス トッキ ングの
問題点を訴えていた。
サポー トス トッキ ングを所持 していない理由として,「 値段が高 い」55.1%,聯 田くなるとは
思えない」36.7%を 挙げてい る。着用へ の興味 について,高 校生 ,大 学生 は,サ ポー トス トッ
キ ングを持 ってい る人が少ない にもかかわらず着用へ の興味が約 5割 み られた。
5.
考
察
(1)ブ ラジャー,ガ ー ドルについて
ブラジャーの着用率 は,清 水 らの調査結果0よ りも高 く,特 に大学生 の着用率 は,100%で
あった。 また着用状況 も「ほとんど毎 日」 とす る人が94%以 上であ り,期 待する効果において
も整容性 と「身 だ しなみ」,「 習慣」 の社会生活を意識 して着用 されてい ることがわか った。
着用するブラジャーの種類は,高 校生にワイヤ ーな しのブラジャーの着用が多 く,ワ イヤー
入 りのブ ラジヤーの着用率 は,都 市 の大学生,つ いで地方 の大学生が高かった。 この理由とし
て,植 竹 の報告0と 同様 ,若 い大学生 の痩身へ の欲求 と女性 としての成熟度が挙げ られる。
ガー ドルの着用率 は,1979年 の声沢 らの調査結果動の47.4%に 比べ るとわずかに着用率が上
昇 してい るものの,ブ ラジャーの98.5%に 比べ てかな り低 く60.4%で あった。 さらに,着 用状
況,着 用時間 ともブラジャーに比べ て悪 い。 これ らの理由 として,プ ラジャーは,整 容性 と社
会性 の両面か ら着用 されて い るのに対 し,ガ ー ドルで は,「 下腹部 をひきしめる」,「 ヒ ップ
ア ップする」等,整 容性 を期待 して着用 されてい ることが挙げられる。 このことは,高 校生 の
着用率が低 いこ と,ロ ー レル指数 の大 きい人の着用率,着 用状況が よいこ とか らも明かである。
ブラジャー,ガ ー ドルの購入方法 は,商 店 ・デパー トにお ける購入が高率である。通信販売
による購入 も,間 壁 らの1985年 の調査結果①の 1%未 満 に比べ約 15%と 上昇 してい る。 この理
由として調査対 象者 が地方に在住する人が多 いこ ともある。 しか し,都 市 の大学生の通信販売
によるブラジャー,ガ ー ドルの平均的購入率5.2%と 問壁 の結果 を比較 して も,通 信販売によ
る購入が,女 性雑誌 を中心 とした広告 と関連 して,私 たちの生 活に大 きく入 り込んで きた こと
整容用衣料品に関す る着用実態 について
がわかった。
(2)サ ポー トス トッキ ングについて
サポー トス トッキ ングを知 って い る人 は多 く,そ の情報源 は雑誌 ,テ レビといったマスメ
デ イアであった。新製品の情報は これ らか ら入手 してい ることが うかがえる。 また,大 学生 に
知 ってい る人が多 いこ とか ら,若 い女性 を対象 とした女性週刊誌 ,女 性 ファッシ ョン雑誌 に
これ らに関する広告が多いこ とに併せて,お しゃれに関する情報に敏感であるとい える。所有
してい る人は,1989年 4月 本調査 が26.3%で あったのに対 し,1989年 10月 の国民生活 センター
の報告のでは80%で あった。 4月 以降は,大 手 メーカーが手 ごろな価格 の ものの発売 を開始 し
,
,
急速に所有者が増加 したと考えられる。広告 の実態をみて も10月 の調査 では,サ ポー トス トッ
キ ングの広告が減少 してい ることか ら,サ ポー トス トッキ ングの購入が 一般化 し,広 告 の必要
ッキ ングの価格が,1000円 未満が大部
性がな くなったとい える。 また,購 入 したサポー ト
しないで,従 来 のス トッキ ングを着用する
分 で ある ことから,サ ポ ー トス トッキ ングを特別視 ^ト
ー
ス
ング
た
と
を着用 し始め
考 えられる。サポー トス トッキ ングに期待する
感覚 でサポ ト トッキ
効果 の「足 を細 くす る」,「 足 を細 くみせ る」 ことにこだわらず,従 来のス トッキ ングよりひき
しまった着用感 を快適 と感 じ着用 してい ることが明か となった。
6. 結
=五
特殊機能 を付記 した広告 を整容用衣料品を中心 に収集 し,そ の実態をつかみ,整 容用衣料品
に関す る実態調査 か ら,こ れら衣料品の着用 に対する実態を検討 し,以 下 の結果 を得た。
① 整容用衣料品の広告 は,女 性 ファッシ ョン雑誌 ,女 性週干J誌 に多 くみ られ,そ れ らの通
信販売 を利用する人が以前 より増加 してい る。特 に,地 方 の利用率 は高 い。
②
ブ ラジャー,ガ ー ドルの着用率 は過去 の調査 と比べ て高 くなってお り, と くにブラ
ジャーはほとんどの人に着用 されてい る。
③
ブラジャーは整容効果 と身だ しなみとしての社会生活 の両面 を意識 して着用 されてお り
ガー ドルは整容効果 を目的 として着用 されてい る。 また,ガ ー ドルの着用に際 し,高 校生
,
,
大学生,社 会人の所属や ローレル指数 によ り,種 類や期待する効果 に違 いがみ られること
がわかった。
④ サポ ー トス トッキ ングについては,広 告 の「足 を細 くする」,「 足 を細 くみせ る」 とい う
すする興味 とひきしまった着用感か ら,着 用率 を高
効果 は期待 で きない ものの,新 製品 にす
める過渡期 にあったとい える。
なお,本研究の一部 は,文 部省科学研究費補助金総合 A「 特殊機能 を付記 した衣料品の実態
とその着衣効果 について」 の平成元年度分担金に寄 った ことを記 して深謝す る。
引
用
文
献
田村照子他 :第 42回 日本家政学会研究発表要旨集,(1990),123.
日本家政学会編 :環 境 としての被服,(1988),107,朝 倉書店
清水裕子,戸 塚歌子,大 塚伊里子,松 島貴子 :繊 消誌,28(1987),17.
子 :家 政誌,39(1988),711.
植竹つヒ
芦沢昌子,岡 村幸子,田 中道一 :繊 維工学,32(1979),457.
.
伊藤
紀子 ・梶)│1 豊代・ 山田 智子
6)間 壁治子 ,赤 塚博江 :織 消誌 ,26(1985),464.
7)国 民生活 セ ンター :サ ポー トタイプのパ ンテ ィス トッキ ングの比較テス ト結果,(1989).
Abstract
The consurner's atitude of hese gaments was investigated.
who were consisted of 242
in Totton and 210,u
Tlis nvesigation was carrled on 810 females
gh sdlool students,187 colege students and 171 ful‐ nedged members of society
Or cOlege students in Osaka.On the other hand,adevertisements of foundation gar‐
ments were colected.
The results were sulmnarized as folows:
(1)A nurnber of adevertisement of fomdation gaments appeared in female's weemy and fas
on magazines.
Females of ths survey used mal order system for buttg foundation gaments wrnch appeared in these
maga2ineS. The ut za,on of mail order system was
treashg, Specialy,Totto
females more onen
used tt than Oosaka females`
(2)Brassiere was weared not only for makillg a body saart apearance but also for taking care of her per―
sonal appearance.The wearmg ratio of brassiere of this survey was lligller than that of other hvestiga―
tion of 1987.
G)Gttdle was matuy weared for foun&五 ion.The girdle's type and the purpose of weamag was different
according to age and Rohrel
dex.
(4) The support type stockings was in expanswe stage at this study These stockings do not erect on
making legs smart appearances. But,these stockingy glve the combrt sensation by high compression,
and give the feel of satisfaction because of new type goods.