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(5年生)の感話「『かわいそう』では済ませない」

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「かわいそう」では済ませない 五年 K・K みなさんは、ペットを飼ったことがありますか。私は小学五年生の頃からト
イプードルを飼っていますが、皆さんの中にもペットを飼った経験がある人は
少なくないと思います。ペットを飼ったことがある人、飼っている人は、その
ペットを家族同然に考えているのではないでしょうか。私は生き物の種類に関
係なく、飼っている人が家族と考えているかどうかがペットと生き物の違いで
あると思います。金魚釣りで釣ってきた金魚だとしても、何年も一緒に暮らし
ているならペットと言えると思います。私ももちろん自分の犬のことは家族だ
と思っていますし、犬も私たちと同じ時にご飯を食べ、私と同じベッドで寝て、
家族が集まってなにかをしている時には当然のようにそばにいるため、自分も
家族の一員なのだと認識しているのだと思います。ペット、特に犬を愛玩動物
として家族同然だと考える人が多くなってきたのは、今の日本全体に言えるこ
とです。犬と人間との関わりが始まったのは遠い昔、何万年も前のことです。
人間は犬の吠える声によって肉食獣から逃げることが出来る、犬は人間の食べ
残しの残飯をもらえる、という双方が利益を得られる関係がありました。人間
が犬を狩りや他国との戦争のために飼いならし始めたのは一万二〇〇〇年前で
す。今も人間と犬の間に一応主従関係はあるものの、その距離は時間を追うご
とに近くなっていると思います。しかし一方最近のペット業界では多くの問題
が未解決のままになっています。今回の感話では、犬を中心としたペットの問
題について述べたいと思います。 ペットの抱える問題において、一番大きな問題とも言えるのが、殺処分の問
題です。多くの人は何となく知っていると思いますが、ニュースでも、世間の
中でもそこまで取り上げられることはありません。きっとそれは殺処分の問題
は知れば知るほど目を背けたくなるようなことばかりだからです。しかしその
ままにしておいて何とかなるという問題ではありません。現在の日本では、一
年に犬は十万匹、猫は二十万匹、つまり約一〇〇秒に一匹が殺されています。
そしてその半分以上が一歳に満たない子犬、子猫なのです。また、殺処分の方
法は安楽死だと思っている人も多いかもしれませんが、実際そんなに良いもの
ではなく、炭酸ガスで窒息させられた後、焼却炉で焼かれます。中には炭酸ガ
スで死ぬことの出来ないものもいて、生きたまま焼かれてしまうこともあるそ
うです。わたしはこれを知ったとき、ナチスの収容所を連想せずにはいられま
せんでした。現在も、それも日本でこのようなことが起こっています。また。
ペットを保健所に連れてくる人のいい分は本当に動物が好きで飼っているのか
分からないようなものばかりです。引っ越すから、子どもが生まれたから、世
話に疲れたから、かわいくないからなど、ペットを飼う人として信じられない
ものも多くあります。私は中学二年生でこのような悲惨な状況を知ってから、
この問題について目を向けなくてはいけない、そしてなにか解決策を見つけた
いと思うようになりました。私がこの問題に注目し始めた後に動物愛護法が改
正されました。二〇一三年のことです。動物愛護法というのは動物の虐待と不
適切飼育の防止と人間と動物の共生の実現のために作られた法律で、一九七八
年に制定され、約五年ごとに改正されています。二〇一三年に改正された主な
点は、今まで保健所の職員は理由がなんであろうと受け取りを拒否することは
できなかったのが、全うな理由がない限り受け取りを拒否出来るようになった
点です。これによって私は不幸なペットが少しは減るかと思いましたが、それ
は甘い考えでした。 昨年の十月から十一月にかけて、栃木県で七〇匹の犬の死骸が発見されると
いう事件がありました。同時期に、佐賀県で衰弱した犬二〇匹近くが保護され
ました。群馬県でも同様の事件が報告されています。栃木県の事件で遺棄され
ていたのはほとんどがミニチュアダックスフンドやトイプードルといった小型
愛玩犬であり、高齢の雌が多かったためにブリーダー業者の遺棄ではないかと
考えられています。愛玩としてペットを飼う人が増えたため、それで利益を得
ようとするブリーダーも増えています。しかしそのブリーダーの中には動物の
命を商品としか考えていないような人も多くいるのが現状です。母犬・母猫は
年を取るまで子どもを生まさせられ、汚く狭いゲージのなかで、散歩には一度
も連れて行ってもらえないまま衰弱し、以前はそのまま保健所行きになってい
ました。それももちろん許せないことですが、動物愛護法改正の後、不要にな
った母犬・母猫を保健所では引き取ってもらえなくなったために自分で餓死さ
せたりするブリーダーが増えました。法律が改正されたとしても、ペットが幸
せになったとは全く言えない状況です。また、ペットショップで売れなかった
ペットも半分は保健所へ、二十六%は動物実験の被検体に、二十四%はブリー
ダーの元に送られます。どの道を辿っても、普通に生きていける確率はとてつ
もなく低いのです。 なぜこのように罪のない命がいたずらに奪われていくのでしょうか。その原
因の一つは日本のペットに関する制度です。日本は他国からまだペットを家畜
として見ている、ペット後進国と言われています。例えばドイツですが、ドイ
ツでは罪のないペットの殺処分は0です。ドイツでは、ペット、特に犬は家畜
ではなく、一緒に仕事をするためのパートナーだという認識が以前からあった
ためにペットに対する処遇は厚いようです。ドイツには保健所のような場所は
なく、引き取り手がいないペットは飼ってくれる人が見つかるまで保護施設で
暮らします。寿命や病気で死んでしまうことはあっても、処分されることはな
いのです。また、日本のようにショーウィンドウに動物が並べられる生体展示
販売はほとんどありません。小さい頃から多くの人の目にさらされ、狭いとこ
ろで生活するのはペットにもストレスです。ドイツは法律で生体展示販売の時
に床面積の大きさや室温など、守らなければならない規定が多く、これを満た
そうとすると莫大なコストがかかってしまうため、ショーウィンドウで売るこ
とは少ないようです。また、イギリスでは生体展示販売は禁止されています。
日本での、気軽にペットを買うことができる環境が殺処分の数を増やしている
と思います。 殺処分数が多い原因のもう一つの理由はペットに対しての私たちの無知です。
私はここまで日本の現在のペットの問題について話してきましたが、そのこと
を全て知っていたという人はペットを飼っていて、動物に興味を持っている人
でもなかなかないと思います。私自身、感話を書くにあたって改めて調べた事
柄もあります。それに、この殺処分のことを書くのは私も少し気が引けていま
した。それは残酷な現実をはっきりと言葉にして述べるのが怖かったからです。
それに、聞く側からしてみれば、このような悲惨な事実を知らなくても良かっ
たと思うでしょう。私は小さい頃から動物が好きで、動物の面白い習性につい
ての本に始まり、保健所の抱える問題についての本なども読んできました。私
は、動物についての知識を得るにしたがって人間の勝手で命を奪われるペット
を助けたいと思うようになりました。そして今、進路もたくさん悩んだ上で、
大学では動物についての専門的な知識を学びたいと思っています。その知識で
何かしらの支援をしたいです。受験が終わるまではまとまった時間も、もちろ
んお金もない私に今出来ることは少ないですが、今回この感話を聞いている皆
さんだけには、この現状を知っておいてもらいたいと強く思います。私たち人
間が考えることをやめてしまえば罪なき命は奪われ続けるだけですし、この問
題は一部の人が考えるのではなく、私たちとペットとのこれからの関わり方を
大きく左右する問題として日本全体で考えていかなければならないことだと思
います。人間というのは本当に自分勝手でひどい生き物です。でも、同時に人
間は他の人のこと、他の動物のことでも思いやることができる生き物でもある
と思います。 もし、今後ペットを飼おうか迷っている人がいたら、保健所から引き取るこ
とを一度検討してみてほしいと思います。保健所の犬は人になつかない、とい
われていますがそれは長年過ごした飼い主に捨てられたトラウマがあるからで
す。保健所にいる犬は半数以上が生後一年経っていないような子どもで、前の
飼い主がいたとしても覚えていることはほとんどありませんし、譲渡するため
に紹介しているのは穏やかで健康な犬や猫のみなので、売っているペットとさ
ほど変わりはありません。最後に、
「ペットのおうち」というホームページを紹
介したいと思います。このホームページを紹介したいと思います。このホーム
ページには譲渡できるペットの性格や過している様子、またいつ処分されるか、
といった情報が書かれています。犬や猫だけでなく鳥や魚も取引されているよ
うで、条件を満たせば里親になることができます。里親になることは、小さな
命を救うだけでなく、不幸なペットを減らす大きな一歩になると思います。こ
れからペットを買う人の多くが里親になれば、ペットショップでペットが売れ
なくなるためブリーダーから買う数も少なくなります。そうすればペットが売
れ残ってしまうことも少なくなりますし、利益のみ追求しているブリーダーも
減るでしょう。 動物は言葉で訴えることが出来ません。人間が武器を持ってから、動物は人
間に訴える唯一の手段であった牙も爪も役に立たなくなってしまいました。そ
れをいいことに私たちの中には動物を自身の利益のために使おうとする人がい
るのも事実です。しかし何も言わないからといってこき使ったり、ただの商品
のように扱ってよい訳ではないのです。今、訴えることの出来ないペットたち
の声に耳を傾けることが、言葉を使える私たちに求められています。この現状
を知ってすぐ、何か行動を起こす人や里親になろうと考えてくれる人が簡単に
増えるとは思っていません。しかし、この問題は私たちに関係のないことでは
ないということ、現在も「かわいそう」では済まされないペットたちがいるこ
と、そしてこの問題について人間側である私たちが考えるのをやめてはいけな
いことを心の隅に置いておいてほしいと思います。一人でも多くの人がこの問
題について考えれば、一つでも多くのペットの命が幸せになれると信じていま
す。
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