2006年米国中西部日系企業動向調査について 2007年7月20日 在シカゴ日本国総領事館 在シカゴ日本国総領事館は、当館管内の米国中西部10州 (イリノイ州、インディアナ 州、アイオワ州、カンザス州、ミネソタ州、ミズーリ州、ネブラスカ州、ノースダコタ州、 サウスダコタ州及びウィスコンシン州)で活動する日系企業の動向を把握するため、表記 の調査を実施しました。調査では、管内各州の日系事業所にご協力いただき、アンケート 用紙の送付、電話聞き取りを実施し、事業所数、従業員数の集計を行いました。調査結果 は、米国・州政府関係者、管内各州の報道機関等にも広く公表され、米国における日本ビ ジネスの理解促進に貢献しています。2005年の調査結果(注1)は以下のとおりです。 1.業種別構成比 (1)事業所数(注2):製造業(64.5%(うち、実際に製造活動を行っている事 業所27.2%))、商業(12.2%)、運輸・倉庫業(7.6%)等 (2)従業員数:製造業(90.5%(うち、実際に製造活動を行っている従業員56. 2%))、商業(3.4%)、サービス業(2.7%)等 2.対前年増減比 (1)事業所数:2004年に引き続き、4州(注3)全体で2.5%(25事業所)の減 少。自動車・同部品、電機・電子部品及びサービス業の減少が大きく影響。 (2)従業員数:4州全体で1,4%(1,140人)の増加。2004年の増加率0. 4%を上回り、2年連続の増加。事業所数の増減とは対照的に、自動車・同部品、電機・ 電子部品の増加が大きく貢献。 (3)実際に製造活動を行っている事業所・従業員数:4州全体で事業所数が1.5% (4事業所)減少するも、従業員数は3.1%(1,370人)の増加。2001年以降、 従業員数が初めて増加に転じた。 注1 小売店を除く。 注2 ある企業の10州内にある事業所(本店、支店、駐在事務所等)を、それぞれ 1 事業所として計上。 注3 2005年1月より IA、KS、MO、NE、ND、SD の6州が当館管轄州に加わっているが、2004年と の比較は、利用できるデータのある既存4州(IL、IN、MN 及び WI)をベースに行っている。 概 要 1. 業種別特徴:自動車関係、化学、電気・電子等の製造業が中心 事業所数の業種別内訳は、製造業が全体の64.5%(726事業所)を占めて おり、製造業のウェイトが高くなっています。製造業の他には、商業が12. 2%(137事業所)、運輸・倉庫業が7.6%(85事業所)を占めています。製造 業の内訳では、自動車・同部品が167事業所、化学品が121事業所、電気・ 電子が119事業所であり、製造業全体の56.1%を占めています。 従業員数の業種別内訳は、製造業が全体の90.5%(86,250人)を占め、次 いで商業が3.4%(3,190人)を占めています。製造業の内訳では、自動車・ 同部品だけで全体の52.33%を占め、49,820人の雇用を創出しています。 次いで、電気・電子(6.9%、6,600人)、その他機械(6.3%、5,9 50人)と続いています。 製造業のうち、「実際に製造活動を行っている事業所(いわゆる工場)」の割合は、全 事業所数の27.2%(306事業所)、全従業員数の56.2%を占め、53,5 50人の雇用を創出しています。日本企業にとって、中西部地域は米国内の重要 な生産拠点として機能していることが分かります。 2.地域別特徴:都市部にとどまらず、広範な地域で活発な事業活動 事業所数及び従業員数の州別分布をみると、米国第3の都市であるシカゴを擁す るイリノイ州に事業所・雇用が集中しており、製造業が集積しているのは勿論の こと、商業、運輸、サービス業といった第 3 次産業の事業所・雇用が他州に比べ 集中しているのが分かります。 インディアナ州では、自動車・同部品関連の事業所が集中していますが、従業員 数の分布ではその集中度合いがさらに顕著であり、日系自動車産業が同州にもた らす雇用効果が如何に大きいかが分かります。 アイオワ州、ミネソタ州、ミズーリ州及びネブラスカ州においても、自動車・同 部品製造業における従業員数が多く、アイオワ州ではタイヤ・ゴム製造業の従業 員も多いことが分かります。 事業所の立地を州別にみると、カンザス州、ミネソタ州、ミズーリ州及びウィス コンシン州では、カンザス・シティ、ミネアポリス、セント・ルイス、ミルウォ ーキー及びマディソンといった都市部に集中している一方、イリノイ州、インデ ィアナ州では州内の各地域に分散しています。 また、製造業を中心に、従業員総数1,000人を超える大規模事業所の多くが 各州の都市部以外の地域に立地している中で、特に、インディアナ、イリノイの 一部ではインターステート(州間高速道路)に沿った事業所の団地化がみられます。 これは、製造業を中心とした日系企業は米国進出にあたり、「交通の利便性」を 重視している結果が反映されたものと思われます。 3.過去 5 年間の特徴(イリノイ、インディアナ、ミネソタ、ウィスコンシン) 事業所数は、過去 5 年連続して減少しています(2000年→2005年:15. 3%減)。他方、業種別傾向では、自動車・同部品製造業及びタイヤ・ゴム製造 業が事業所数を維持しているのに対し、建設業(55.6%減)、金融・保険・ 不動産業(44.9%減)及び金属・鉄鋼業(31.6%減)では減少傾向が顕 著なものとなっています。 また、2001年以降減少していた従業員数は、2004年に増加に転じ、2年 連続の増加となっています。業種別にみると、医薬品製造業(29.2%増)及 び自動車・同部品製造業(8.0%増)が増加傾向にある一方で、金融・保険・ 不動産業(77.2%減)、金属・鉄鋼業(76.8%減)、建設業(64. 7%減)、タイヤ・ゴム製造業(51.7%減)及び商業(50.7%減)は減 少傾向が顕著なものとなっています。 近年の日系事業所の動向からみた日本からの進出状況の特徴として、金融・保 険・不動産及び金属・鉄鋼等のウェイトが低下する一方、自動車・同部品及び医 薬品製造業の位置付けが相対的に高まりつつあることが指摘できます。 なお、現地採用従業員数の動向をみると、2001年から3年連続して減少して いましたが、2004年以降、2年連続で増加しており、日系事業所が中西部で の雇用を生み出す上で大きな役割を果たしていることが伺われます。 4.中西部の魅力と日系事業所の役割 中西部は、労働力、原料・部品等の資源が調達しやすく、かつ、製品の輸送にも 便利な環境が形成されており、日本企業の活動拠点として魅力的な条件を備えた 地域といえます。 他方、日本からの直接投資を通じた日系事業所の活動は、①地元就労の限られた 地域を含む雇用機会の提供、②米国企業に対する派生需要の創出、③日本から米 国に対する技術移転の促進、④州政府等に対する歳入財源の提供等を通じて、米 国地域経済の発展に大きく貢献していることが窺がえます。
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