カーエアコン用コンプレッサー の開発におけるMotionSolve

カーエアコン用コンプレッサー
の開発におけるMotionSolve
活用事例
株式会社ヴァレオジャパン
コンプレッサプロダクトグループ
高橋 秀行
Jul 2015
Jul 2015 I 1
発表内容
HyperWorks導入背景
MotionView/MotionSolve活用背景
活用事例紹介
まとめ
Jul 2015 I 2
HyperWorks導入背景
複数のソフトウェアが使えるライセンス形態にメリットがある
OptiStruct FEMによるコンプレッサーのチャンバー内共鳴
予測、HyperStudy・HyperMorphによる形状最適化
OptiStructによるエンジンへの取付剛性最適化・軽量化
MotionSolveによる振動要因調査
Jul 2015 I 3
MotionView/MotionSolve活用背景
従来:駆動トルクなどを準静的な荷重計算式で評価
動的(とくに非線形)な振動に関する要因は、机上計算結果から
わからない。(実験だのみ)
MotionSolveによる弾性体を含めた機構解析により、共振・
自励振動や衝突に起因する荷重計算を可能としたい。
Jul 2015 I 4
活用事例紹介
凝縮器の冷却が不足する時など、高圧縮時のみ
発生する何らかの『打音』が原因であったため、
周波数による原因調査が難しい事例であった。
コンプレッサー内部の微細な挙動や荷重変動を
MotionSolveで把握し、設計変更による振動の
変化から原因の特定を試みた。
Rumbling noise
Compressor
Mobile air conditioning
Jul 2015 I 5
解析モデル
可変の様子や、バルブの挙動もシミュレート
できるようにした。(バルブが原因かも?)
Minimum stroke
Maximum stroke
Jul 2015 I 6
モード合成法で使用する弾性体
リードバルブを弾性体とし、テトラ2次要素を使用した。
(2D要素だとRBE2を跨いだところの応力が不連続になってしまう)
バルブ表面にRBE2
Interface Nodeが必要
(変形の等高線に沿って)
接触用の
非線形ばね
Jul 2015 I 7
接触に用いた非線形ばね
食い込み量に比例したばね定数・減衰係数を使用
RigidToRigidContactを使うよりも圧倒的に解析が速い。
接触点が既知であれば弾性体の接触にも使える。
Example
Example
(ばね定数)
接触点
食い込み
(減衰係数)
接触点
食い込み
Jul 2015 I 8
シリンダー内における冷媒量の計算
Gi = Gi-1 + Gin*dt - Gout*dt
[kg]
[kg]
[kg/s]*[s]
Gin
Piston
[kg/s]*[s]
Gout
G
*1 [m/s]
M*Vi = M*Vi-1 + F1*dt - F2*dt
[kg]*[m/s]
[kg]*[m/s]
[kg*m/s2]*[s] [kg*m/s2]*[s]
=[N]*[s]
=[N]*[s]
状態方程式
断熱変化の関係式
ノズルの流量と圧力比との関係式
F1
M
V
冷媒量をダミーボディの力積として扱い、
外部ソルバーを用いずにMotionSolve内
だけで計算させることができた。
NV以外にも体積効率などの計算に活用できる。
Jul 2015 I 9
F2
算出された筒内圧の一例
全体として1回転に6回大きく力が変動する。
Jul 2015 I 10
運転条件
引数として、音が検出された圧縮比が8となるこれらの条件
を使用した。
Compressor speed
3000 r/min
Discharge pressure
2.0 MPa[gage]
Suction pressure
0.16 MPa[gage]
Crank chamber pressure
0.16 MPa[gage]
Suction superheat
10 ℃
Jul 2015 I 11
ベアリング荷重解析結果
バルブの衝撃荷重は思った
ほどではなかった。
Thrust bearing
Front radial
Rear radial
Jul 2015 I 12
連続的な衝突現象
ストッパーの衝撃荷重がスラストベアリングへと伝わっている。
ストッパー
Distance
ストッパー
Force on stopper
Jul 2015 I 13
条件を振ったときのスラストベアリング荷重結果
圧縮比が高い領域でのみ荷重変動が大きくなるという、実
機と同じ傾向が見られる。
音振悪化の要因が、ストッパーの連続的な打撃現象であるという
ことがMotionSolveの結果から予想された。
Jul 2015 I 14
設計変更による原因の特定
Original
Modified
Stopper distance
ストッパーの衝突速度
を下げ、衝撃荷重を下
げることで実際に振動
レベルが下がるかで
確認する。
Jul 2015 I 15
スラストベアリング荷重(解析結果)
圧縮比が高い領域で存在した大きな荷重変動が、設計変更
で下がる。
Jul 2015 I 16
スラストベアリング荷重(解析結果)
台上実験の制約により、圧縮比8以下で最大値をとるこれら
2点について確認する。
Jul 2015 I 17
ストッパーの相対速度(解析結果)
ストッパーの衝突速度が約14%にまで下がっている。
Original
Modified
Jul 2015 I 18
ベアリング荷重(解析結果)
A=HF
[H]は変えないので、{F}の変化はそのまま{A}の変化に。
Comparison of maximums
(compression ratio  8)
Thrust bearing
[N p-p]
Radial bearing [N p-p]
Front
Rear
Original
4549
698
369
Modified
992
246
631
Thrust bearing
[N rms]
Original
265
Modified
206
-2.2dB
Radial bearing [N rms]
Front
Rear
59
69
32
76
Jul 2015 I 19
解析および実験結果比較
解析結果
実験結果
-1.4dB
Force
Force
Exciting
Acceleration
-2.2dB
Original
Modified
Thrust
bearing
Others
Original
Modified
設計変更で起振力が下がることが確認でき、音振悪化の要因
がストッパーの連続的な打撃現象であったことが検証された。
Jul 2015 I 20
解析および実験結果比較
解析結果
実験結果
-1.4dB
Exciting Force
Force
-2.2dB
-2.2dB
-2.2dB
Thrust
bearing
Others
70%
30%
Original
Modified
Original
Modified
解析と実験の両方を検証することでより詳細な現象を把握する
ことができ、さらなる改善の一助となる。
Jul 2015 I 21
まとめ
1
MotionSolveを用いることで、実験では把握しづらい
内部部品の微細な打撃現象を効果的に把握した。
2
MotionSolveを用いた検証を通して、可変容量コンプ
レッサーの起振力を低減させた。
3
クリアランスの音振影響度調査への応用など、内部部
品改良のさらなる発展が期待される。
Jul 2015 I 22
Jul 2015 I 23