【参 考】 企画提案書の書き方のポイント

【参 考】 企画提案書の書き方のポイント
(作成:NHK放送研修センター CD
武 田 一 則)
① どうして企画提案が必要なのだろう?
限られた放送枠を奪い合うライバルは多い。予算や人員、限られたリソースを考えると、放送にな
る企画はわずか。
「今」放送する値打ちがあるもの、視聴者のためになるものを選別する。
企画が通れば組織が動く。取材し放送した時の、労力・費用・効果・困難を見通さなければならな
い。番組はときに危機を招くもの。放送が出ることで誰が喜び、誰が怒るのか。誰の得になって、
誰には不都合なのか。放送内容に余計な後ろ指をさされるようなことはないか。デスク CP 部長など
経験豊富な者の目にさらして企画をより良い方向にリードし危機回避に気配りする必要がある。
②
企画提案の出発点
不本意な放送枠でも面白い企画を提案するのがプロ。第一に、本人が面白がれない提案は迷惑千万なだけ。
取材・ロケ・ポスプロを通じて、仲間をヤル気にさせられる企画か。ただし、社会現象を巻き起こすスクー
プなどそう見つかるものではない。ネタだけですんなり番組になることなんてない。新聞、雑誌やインター
ネットの後追い情報でも、視点や切り口の工夫次第で面白さ、新しさが見つかればOK。堂々とやろう。
③
同じネタでも、提案しだいで落ちるものと通るものがある
見どころある提案かどうかの一次採否は一瞬で決まる! 視聴者は、
「関係ない、つまらない、時間の無駄」
とちょっとでも感じたらチャンネルを変える。審議する人たちも視聴者の視線で提案を見る。一発で、
「イ
ケそうじゃん」と予感させることが肝要。何度も提案を読み返すなんてありえない。ましてや書いてないこ
とまで善意に解釈してくれるほど甘くはない。
→ 全く予備知識がなくても面白く読めるか
→ あなたのメッセージが伝わるように書かれているか
→ もっと知りたい、わかりたいと思わせたら勝ったも同然!
④ 「いい企画」と感じさせるための提案作り4つのポイント
1)タイトルと書き出しの 3 行が魅力的
出し惜しみせずバーンと書き出すのが、人を惹きつける最良の方法。番組のファーストシーンと同じ。タ
イトルは「おっ、○○のことをこんな切り口でやるのか」とピンと来る魅力的なものを目指そう。書き出
しの 3 行で面白そうに思えない提案は読まずにポイ。余計な前置きや理念は頭が痛くなるだけ。字数の無
駄。
「今、ここにとっても面白いことがある。面白い人がいる」と核心部分をズバッと書き出そう。
2)文章がすっきりして、論旨が明快
企画提案文書は、取材メモではない。自分だけわかっても仕方ない。取材報告の論文でもないから網羅性
は不要。文章は短く、論理展開は明快に。企画の実現に必要な事を、A4の提案用紙 1 枚に凝縮させよう。
次のような論理展開は審議者になじみがある。自分でもまとめやすい。
1)今ここにとても面白いことがある。
(つかみ)
例)オタマジャクシや小魚が空から降ってくる事件が全国で多発。茨城の山本さんが撮ったビ
デオではなんと 100 匹が路上や車上に散乱。
2)その背景にどういうことがあるのか。
(意味づけ)
例)
歴史上同様の記録は各地に残されている。
ヨーロッパではカエルが降ったという報告もある。
原因は、いたずら説、鳥説、竜巻説など諸説あるが決着はみていない。
3)この企画にはこんな面白いシーンがありますよ、というヤマ。
(見せ場)
例)人工竜巻で防災研究をしている「つくば気象研究所」は、茨城県で 100 件/年起きている程
度のつむじ風が田んぼのオタマジャクシを上空 100mまで吹き上げることを実験で証明
4)番組がめざすテーマとタッチ。
(演出上の味付け)
例)大江キャスターが怪現象の謎をコミカルに追求しつつ、身近にある大気の意外なパワーを明
らかにする 10 分。
3)これなら面白い番組になる、というシーンが目に浮かぶように書き込まれている
テレビ番組は「内容」だけではだめ。人の心を打つ映像と音声で勝負。
「ここでこう勝負すれば、きっと
面白いシーンが撮れる」という取材ポイントを具体的に書き込もう。神は細部に宿る。目に浮かんだワン
シーンからぐっと奥行きが広がるような、物語性のあるディテールを意識しよう。
→このディテールを得るには、取材時の豊かな想像力と綿密な観察力(現場での発見)が大切
4)提案を審議する人たちを安心させる
○固有名詞は取材のリアリティの証明。地名・団体名・人名・数字などが間違っているなど問題外。疎か
にしないことが取材者としての礼儀。
○危うい企画に挑戦する場合は「本当にこれは取材できるのか?」という不安を解消させる必要がある。
予想される突っ込みには説得材料をそろえておこう。出演者や協力者は確保できているのか。その場にカ
メラは持ち込めるのか。関係者に生命の危険が及ぶことはないのか。予算オーバーはないのか。
○世界初、ノーベル賞もの、などありがたみと権威付けも有効(ただしさりげなく、やりすぎは逆効果)