基本設計書 - 文字情報基盤整備事業

基幹系住民情報から業務システムへの
汎用的文字コード変換方式の実証
基本設計書
対象団体:藤沢市
実施企業:日本電気株式会社
2013年9月10日
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)
目
次
1 実証実験の概要............................................................................ 1
1.1 実験の背景 ............................................................................. 1
1.2 実験の目的 ............................................................................. 2
2 実験対象業務の現状・課題・課題解決のための仮説 ............................................ 3
2.1 自治体における業務システム間データ連携の現状 ........................................... 3
2.2 藤沢市における業務システム間データ連携環境 ............................................. 4
2.3 業務システム間データ連携の課題 ......................................................... 5
2.4 課題解決のための仮説 ................................................................... 6
2.4.1 基準文字セットの採用と MJ 文字情報一覧表の活用 ..................................... 6
2.4.2 MJ 文字情報一覧表を活用した文字コード変換方式の策定................................ 8
3 システムの要件........................................................................... 12
3.1 文字コード変換方式 .................................................................... 12
3.2 文字コードマップ作成ルール ............................................................ 14
3.3 文字変換基盤システム .................................................................. 15
3.3.1 実装要件 ......................................................................... 15
3.3.2 機能要件 ......................................................................... 19
3.3.3 非機能要件 ....................................................................... 21
4 システムの実施条件 ....................................................................... 22
5 システムの基本設計 ....................................................................... 23
5.1 文字コード変換方式 .................................................................... 23
5.2 文字コードマップ ...................................................................... 26
5.2.1 作成が必要な文字コードマップ ..................................................... 26
5.2.2 ファイル仕様 ..................................................................... 33
5.3 文字コードマップ作成ルール ............................................................ 35
5.4 文字変換基盤システム .................................................................. 36
5.4.1 文字コード変換機能 ............................................................... 37
5.4.2 文字コードマップ保持機能 ......................................................... 39
本設計書の構成
章
1
2
3
標題
実証実験の概要
実証実験対象業務の現
状・課題・課題解決のため
の仮説
システムの要件
4
5
システムの実施条件
システムの基本設計
内容
実験の背景、目的に対する理解を行う。
自治体業務におけるデータ連携の現状、連携運用におけ
る課題、課題を解決するための仮説提示として開発対象
システムを定義する。。
前章にて定義したシステムの実現前提、実装要件、機能
要件を説明する。
実験の実施条件、前提について説明する。
前章までに説明したシステムの現状、要件、実施条件を
踏まえた、システムの基本設計について説明する。
関連資料
資料名
文字コードマップ作成ルール
縮退マップ作成ルール
文字コードマップ利用ガイド
縮退マップ利用ガイド
説明
文字変換基盤システムの中核を成す、文字コードマッ
プ・縮退マップ作成の考え方および作成手順を示してい
る。ソフトウェア設計とは性格が異なることから別資料
としているが、本設計書の別紙というべき資料。
文字コードマップ・縮退マップの運用手順を示す資
料。
用語集
用語
MJ 文字図形名
JIPS
説明
文字情報基盤文字図形名の略称である。
文字情報基盤に関しては、IPA の「文字情報基盤整備事業」
のサイトを参照されたい。
日本電気株式会社が開発した日本語処理システムの総称であ
る。本設計書では、同システムで利用する文字符号化方式お
よび/または符号化文字集合を指す。
JIPS の符号化文字集合は、JIS C 6226-1978 をベースに拡張
文字を 9 区~13 区に追加した基本面と、拡張漢字を追加した
拡張面の 2 面から構成され、前者を「JIPS G0」、後者を「JIPS
G1」とそれぞれ呼ぶ。
JIPS の 文 字 符 号 化 方 式 に は 、 JIPS(J) と JIPS(E) が あ る 。
JIPS(J)は JIS C 6226-1978 の文字符号化方式と同じであり、
JIPS(E)は JIPS(J)の上位 1 バイト/下位 1 バイトをそれぞれ
EBCDIC に変換したものである。
1
G2000
文字符号化方式としてのシフト JIS、符号化文字集合として
の CP932 を利用して、JIPS G0/G1 を表現する方式である。CP932
の符号化文字収容領域を複数面切り替える方式を採ってお
り、JIPS G0 の文字集合を収容した基本面、JIPS G1 の文字集
合を収容した拡張第 1 面、ユーザー外字を収容するための拡
張第 2 面~拡張第 30 面の計 31 面から構成される。基本面を
除き、シフト JIS コードの前にエスケープシーケンスとして
「^1」~「^U」を付与することで面切り替えを実現している。
シフト JIS を利用可能な処理系において、JIPS の符号化文字
集合を採用する際に利用される。
藤沢市では、基本面と拡張第 1 面の 2 面のみを利用している。
CP932
Microsoft コードページ 932 の略称であり、Windows が OS 内
部のエンコーディングにシフト JIS を採用していた時代の文
字符号化方式および符号化文字集合を意味する。本設計書で
は、符号化文字集合を指す用語として用いている。
UTF-8
本設計書では、Unicode の文字符号化方式を示す意で用いて
おり、「Unicode (UTF-8)」という表現も同じ意味で用いる。
JIS2004
本設計書では、JIS X 0213:2004 の略称として用いるが、主
に、同規格の符号化文字集合を示す意味で用いる。
エンコーディング
本設計書では、文字符号化方式の別称として用いる。
文字セット
本設計書では、符号化文字集合の別称として用いる。
文字コード変換
一般的にはエンコーディング変換を指すが、文字セットが異
なる場合、字形が類似する文字に変換する、該当外文字に変
換するといった文字セット変換も包含する場合がある。
本設計書では、文字セット変換まで含む意味で用いる。
文字コードマップ
システム間のデータ連携において必要となる、連携元と連携
先とのエンコーディングおよび文字セットの対応関係定義を
列挙したものを意味する。
縮退
本設計書では、異なる符号化文字集合間でのデータ変換時に
おいて、変換元の文字字形を字形が一致しない変換先の文字
字形で代替することを意味する。
独自名
本設計書では、MJ 文字図形名に対応付けられない文字を識別
するための一意な名称を意味する。
該当外文字
文字コード変換時、変換元文字に対応する変換先文字が存在
しない場合に、単に変換をスキップすると、変換エラーを検
出しにくくなる。このため、「〓」「◎」「☆」といった通常利
用しない文字に変換することでエラーを検出しやくする手法
が一般的である。本設計書では、「〓」「◎」「☆」といった文
字を該当外文字と総称する。
藤沢市文字セット
藤沢市が住民情報のマスタデータを管理するのに利用してい
る符号化文字集合を意味する。JIPS G0、JIPS G1、およびユ
ーザー外字から構成される。
ホストコンピュータ
本設計書では、藤沢市に設置されている ACOS-4(日本電気製)
を指す。
オープン系プラットフォー 本設計書では、Windows または Linux 系 OS の環境を示す。オ
ム
ープン系 PF と略する場合がある。
オープン系プラットフォー オープン系プラットフォームのうち、Windows OS の環境を示
ム(Windows)
す。オープン系 PF(Windows)と略する場合がある。
2
オープン系プラットフォー
ム(Linux)
ホストシステム
オープン系業務システム
副本 DB システム
副本 DB
窓口証明書交付システム
被災者支援システム
連携先システム
連携元システム
実証実験環境
AP
UCS
文字変換基盤システム
オープン系プラットフォームのうち、Linux OS の環境を示す。
オープン系 PF(Linux)と略する場合がある。
本設計書では、ホストコンピュータ上で動作する住民情報の
マスタデータベースを含む住民基本台帳システムなど主要な
業務システムを包括的に指す。
本設計書では、オープン系プラットフォーム上で動作する、
各種業務システムの総称を意味する。
住民情報を格納する住民基本台帳データベースの副本である
データベースおよびそのデータベースを管理するシステムを
指す。単に副本 DB と称する場合は、住民基本台帳データベー
スそのものを指す。
本設計書では、藤沢市役所の窓口において住民票の写し等を
発行するシステムを指す。オープン系プラットフォーム上で
動作するため、前項のオープン系業務システムに含まれる。
災害発生時に地方公共団体が被災者を支援するために必要と
なる、各種機能を実装したパッケージシステムである。西宮
市が開発し、LASDEC より全国の地方公共団体に無償で公開さ
れている。LASDEC サイトの下記 URI を参照のこと。
https://www.lasdec.or.jp/cms/9,10137,21.html
実装としては、Web アプリケーションの形態を取っており、
サーバを Linux 上に構築し、クライアントは任意のブラウザ
で動作するとしている。
藤沢市では同システムを採用している。
本設計書では、ホストシステムとデータ連携する窓口証明書
システムおよび被災者支援システムの総称を意味する。
本設計書では、窓口証明書システムおよび被災者支援システ
ムとデータ連携するホストシステムを指す。
実証実験を実施する環境を示す。業務システムが稼働する環
境に実証実験環境を構築すると、業務運用に何らかの影響を
与えるリスクがあることから、業務システムと同等の環境を
別途構築して実証実験を実施する。
本設計書では、アプリケーションの略称を意味する。
Universal Multiple-Octet Coded Character Set
全世界の文字を包含する情報交換用の符号化文字集合であ
る。
今回の実証実験用に開発した文字コード変換環境を一元管理
するシステムである。
3
1 実証実験の概要
1.1 実験の背景
電子行政推進に関する基本方針(平成 23 年 8 月 3 日高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本
部決定)に、文字情報基盤を活用した「氏名等の正確性と社会全体での利便性・効率性を考慮した
仕組みの検討」が重要施策の一つとして掲げられた。独立行政法人情報処理推進機構(以下「IPA」
という)では、内閣官房情報通信技術(IT)担当室、経済産業省とともに文字情報基盤整備事業を
推進しており、その成果物には、平成 23 年 10 月から公開している「平成 22 年度電子経済産業省
推進費(文字情報基盤構築に関する研究開発事業)」による成果物をはじめとする住民基本台帳ネ
ットワーク統一文字と戸籍統一文字の全ての漢字を包含した約 6 万文字の漢字(図 1-1参照)
のフォント、文字図形データ及び文字情報一覧表等がある。
図 1-1
文字情報基盤漢字
(出典:IPAmj 明朝フォント(Ver.002.01)の符号化状況)
http://ossipedia.ipa.go.jp/ipamjfont/faq/pdf/ipamjm_imp.pdf
上記の属性値は報告書作成時点のものであり、変更される可能性があります。
地方公共団体または地方公共団体の行う行政事務を受託している企業・団体の情報システムで
は、住民記録、税、福祉等、用途に応じた多様なシステムから構成されることが多い。これらの
処 理 で は 人 名 ・ 地 名 等 、 多 様 な 文 字 を 扱 う 必 要 が あ る が 、 JIS 規 格 等 の 標 準 文 字 セ ッ ト に は人
名・地名等で使われる文字が十分に含まれていないため、より大きな、ベンダー固有の文字セッ
トが用いられることが多い。各自治体で独自に作成した文字が追加されることも多く、住民の異
動などに伴い文字の追加も逐次発生している。これら文字のコード体系や管理の仕組みに統一性
1
が欠けている結果、自治体システムの相互接続において、文字コードの変換や管理に複雑なシス
テムが必要となり、構築コスト、運用コストが上昇する問題が生じている。近年はコストダウン
や災害時の事業継続性等の観点からクラウドサービスの導入が検討されることも多いが、その際
のシステム統合や連携にあたっても、文字の体系の不整合は大きな問題となっている。
2011 年 3 月に発生した震災においては、被災者支援等のために急遽必要となった新たな情報処
理のためのシステムを既存システムへ接続する場合、あるいは支援自治体が業務支援を行う場合
などに、文字コードの不一致による問題が多く発生した。
文字情報基盤整備事業で作られた文字情報一覧表(以下「MJ 文字情報一覧表」という)及び字
形データを用いることにより、文字に係るシステム連携の問題の解決を図り、コストダウンを図
るとともに、さらには災害に強い、柔軟性の高いシステムの構築へ応用することが期待される。
1.2 実験の目的
本実証実験は、前述の背景を鑑み、地方自治体等において人名・地名等を扱うシステムの構築
と運用の効率化を図るために、文字情報基盤整備事業の成果物を如何に活用すべきかについて、
実際の活用現場からの知見を収集するために実施するものである。
具体的には、文字情報基盤整備事業の成果物を、自治体において人名漢字等に係る情報処理を
行うシステム構築に適用し、その利点と課題について、コスト(運用/構築)、性能、職員に対
する利便性、住民サービス面、法・制度面、新旧システムの両立性、事業継続性、リジリエンス
性等の観点から明らかにすることを目標とする。
さらに、得られた知見は、他の自治体が同様のシステムを構築する際に活用できるよう公開
し、また、API やデータの共通化等、標準化に係る将来の検討に役立てるものとする。
なお、本実証実験は神奈川県藤沢市
1
にご協力をいただき、住民基本台帳を中心とする自治体
業務をつかさどる業務システム間(住民基本台帳システムと窓口証明書交付システム、被災者支
援システム間 2 )のデータ連携を題材として、

連携対象ごとに複数の文字コードマップを管理する課題

災害時など緊急時に事前に文字コードマップが作成できない課題
の解決につながるかの評価を行い、知見を得ることを目的として実施するものである。
1
藤沢市は人口約 40 万人 の神奈川県を代表する都市の一つで、先進的な ICT(情報通信技術)の取り組みでも
知られている。災害対策にも先進的に取り組んでおり、早くから財団法人
地方自治情報センター(LASDEC)
提供の被災者支援システムを運用する体制を確立している 。
2 住民基本台帳システム、窓口証明書交付システム、被災者支援システムの詳細については報告書「3.1 実証実
験対象システム」を参照されたい。
2
2 実験対象業務の現状・課題・課題解決のための仮説
2.1 自治体における業務システム間データ連携の現状
自治体における税や福祉など一般に基幹系業務
3
と呼ばれる事務は、主に住民基本台帳に登録
された住民を処理対象としている。そして、業務処理で用いる住所や氏名、生年月日といった住
民の情報は住民基本台帳に登録されたものを用いる。
そこで、税や福祉などの基幹系業務システムは、住民基本台帳を管理する住民基本台帳システ
ムから必要な情報の提供を受けて業務を実施することとなる。(図 2-1参照)
転入や住所変更などの
移動登録
住民基本台帳システム
住民基本台帳
個人住民税システム
国民年金システム
国民健康保険システム
図 2-1
福祉システム
自治体における住民基本台帳情報の流れ
情報の提供方法は、ネットワークを介して自動的に行われるものや必要に応じて手動で行われ
るものなど多様である。ここではこれらを総称して「データ連携」と呼ぶこととする。
提供される情報の中で重要なものが氏名および住所である。特に氏名については行政事務にお
ける原点は戸籍であり、住民基本台帳の氏名は戸籍の氏名と同一でなければならない。さらに、
多くの基幹系業務においても住民基本台帳を基礎とするよう法で定められており、同一の氏名を
使うこととなる。また、法定されていない業務についても、住民の混乱を避けるなど様々な理由
から一般的に住民基本台帳と同一の氏名が用いられる。
そのため、自治体の基幹系業務システムの運用にあたっては、上記のような情報提供の流れ全
体で氏名が同一となる(厳密に字形が一致する)よう管理を行うことが求められる。
3 主なものとして、住民記録、印鑑登録、税務(固定資産税、個人・法人住民税、軽自動車税、収滞納管理
等)、保険・年金(国民健康保険、国民年金、介護保険、後期高齢者医療保険)、福祉(障害者福祉、生活保
護、児童手当、乳幼児医療等)などがある。
3
2.2 藤沢市における業務システム間データ連携環境
藤沢市では、長年ホストコンピュータを使用して住民基本台帳システムや税システムなど、多
くの基幹系業務システムの運用を行っている。しかし、窓口証明書交付システム、被災者支援シ
ステムや福祉システムなど、一部の業務システムは Microsoft Windows Server OS や Linux を用
いたホストコンピュータ以外の環境(以下「オープン系プラットフォーム」という)で運用され
ている。
藤沢市の住民基本台帳情報の流れは、ホストコンピュータ上で動作している業務システムは住
民基本台帳システムの情報を直接参照している一方で、オープン系プラットフォームで動作して
いる業務システムは住民基本台帳システムの情報を直接参照できないため、定期的に住民基本台
帳システムから情報の提供を受け、それぞれ必要な情報のコピーをオープン系プラットフォーム
で保持している。(図 2-2参照)
ホストコンピュータ内の業務システムにおいては氏名の表示・印字環境が同一であり、データ
も同じものを用いるので氏名の同一性に問題は生じない。一方で、ホストコンピュータからオー
プン系プラットフォーム上の他の処理系に情報を提供しコピーを保持させる方式では、処理系に
よって採用している文字セットや文字フォントが異なり、利用できる文字コードや表示・印字で
きる文字が異なるため、氏名の同一性に問題が生じる場合がある。
藤沢市においてもホストコンピュータにて行われる業務システムと福祉システム、窓口証明書
交付システム、被災者支援システムなどホストコンピュータ以外のオープン系プラットフォーム
で行われる業務システムでは文字体系が異なり、情報提供に際して氏名の同一性に配慮しつつデ
ータ連携が行われている。
各業務システムがどのような文字体系を利用可能であるかは各システムの導入時期や採用する
パッケージソフトウェアなどの要件で異なり、藤沢市のみならず多くの自治体で複数の環境が混
在している。
4
転入や住所変更などの
移動登録
ホストコンピュータ
住民基本台帳システム
直接参照
個人住民税
システム
住民基本台帳
国民年金
システム
情報の提供
国民健康保険
システム
福祉システム
窓口証明書交付
システム
コピー
コピー
図 2-2
被災者支援システム
コピー
藤沢市における住民基本台帳情報の流れ
2.3 業務システム間データ連携の課題
前述の通り、藤沢市では業務システム間のデータ連携に際し複数の文字体系が混在しているこ
とから、現状ではデータ連携の対象ごとに文字コード変換を行っており、それぞれに文字コード
マップを定義する必要が生じている。例えば、ホストコンピュータと窓口証明書交付システムの
データ連携においては「藤沢市文字セット
4
(JIPS)から G2000
5
へ変換する 1 対 1 の文字コー
ドマップ」が、ホストコンピュータと被災者支援システムのデータ連携においては「藤沢市文字
セット(JIPS)から UTF-8 でエンコードされた JIS X0208:1990 範囲に縮退させる文字コードマ
ップ」が、それぞれ定義されている状況にある。
これらの文字コードマップは連携対象ごとに様々な場所や方式にて定義、管理されているた
め、システム構築や運用における職員負担が極めて大きなものとなっている。
さらに藤沢市では、今後、ホストコンピュータ上の業務システムをオープン系プラットフォー
ムへ移行する検討がされている。そのため、連携対象が増加することが予見されるが、全ての業
務システムの文字体系を完全に統一させることは非現実的であり、複数の文字コードマップを柔
軟かつ効率的に維持する仕組みがより一層必要とされる状況にある。
4
藤沢市 では、 住民基 本台 帳システ ムはホ ストコ ンピ ュータ上 に構築 されて いる 。また、 住民基 本台帳 シス テ
ムは、住民基本台帳情報を取り扱う上で必要となる符号化文字集合をホストコンピュータの文字セットである
JIPS G0 および JIPS G1 文字集合にユーザー外字を追加する形態で構成されている。これを藤沢市文字セット
という。
5 G2000 とは、シフト JIS を 2 面切り替えることで JIPS G0 と JIPS G1 の文字セットを収容する方式であり、
窓口証明書交付システムはこの方式に対応した専用設計を採用している。
5
2.4 課題解決のための仮説
2.4.1 基準文字セットの採用と MJ 文字情報一覧表の活用
そのような状況下、文字コードマップを柔軟かつ効率的に維持していくためには、基準となる
文字セットを持つことが有効であると考えられる。これは、異なる文字体系を持つ複数のシステ
ム間でのデータ連携を考える際、それぞれのシステム間での文字コード対応を考えるのではな
く、基準となる文字セット(以下「基準文字セット」という)を仲介して文字コード変換する方
法である。(図 2-3参照)
住民基本台帳システム
個人住民税システム
文字コード変換
文字コード変換
基準文字セットによるデータ連携
文字コード変換
文字コード変換
文字コード変換
国民健康保険システム
国民年金システム
福祉システム
図 2-3
基準文字セットを用いた複数システム間のデータ連携
藤沢市の場合は、現状はホストコンピュータからの情報提供がほとんどであるが、例えば災害
時にホストコンピュータが利用不可となり、被災者支援システムに窓口証明書交付システムのデ
ータを移す場合などのことを考えると、G2000 と UTF-8 でエンコードした JIS X0208:1990 の文
字コードマップが必要となる。このとき、G2000 と JIS X0208:1990 を直接対応づける文字コー
ドマップを個別に作成するのではなく、基準文字セットを活用することで、「基準文字セットと
G2000」、「基準文字セットと JIS X0208:1990」の 2 つの文字コードマップを組み合わせること
で対応可能とする。
しかしながら、基準文字セットの採用にあたっては以下の要件に留意する必要がある。
6
(1) 基準文字セットは広く公開が可能であること
住民基本台帳からの情報提供が必要な業務システムを新たに調達する際に公平性を確保する
には、基準文字セットが広く公開されることが望ましい。現在の藤沢市文字セットはベンダ
の独自仕様である JIPS をベースとしており、標準仕様に則るものではなく、その内容も広く
公開されるところではないため、基準文字セットとして採用するには適切でない。
(2) 基準文字セットは汎用性を有すること
基準文字セットは汎用的なものであることが望ましい。例えば被災時に一部のシステムが利
用不可となり代替システムに取り換える、あるいはクラウド上のものを代わりに利用する、
さらには災害対策の専用システムを新規に導入するといった場合、利用可能な状態で残った
庁内のシステムとデータ連携するには基準文字セットとの文字コードマップを作成すること
となる。そのとき、基準文字セットが汎用的であり、広く他団体やクラウドでも基準文字セ
ットを用いたデータ連携が採用されていれば、他団体やクラウドはすでに基準文字セットと
の文字コードマップを作成していることとなる。したがって、文字コードマップごとその環
境を利用することができ、導入作業の効率化を図ることができる。(図 2-4参照)
○○システム
住民基本台帳システム
文字コード変換
文字コード変換
基準文字セットによるデータ連携
住民基本台帳システム
○○システム
文字コード変換
文字コード変換
文字コード変換
国民健康保険システム
国民年金システム
福祉システム
他団体やクラウドなど
文字コード変換
文字コード変換
基準文字セットによるデータ連携
文字コード変換
文字コード変換
文字コード変換
国民健康保険システム
国民年金システム
福祉システム
図 2-4
災害時の代替システム導入
7
(3) 基準文字セットは文字セットとして安定していること
基準文字セットとして長期にわたって利用するには変化が緩やかであることが望ましい。常
に内容が変化するものでは基準文字セットとして不向きである。
(4) 基準文字セットは大きな文字レパートリを有していること
基準文字セットの文字レパートリが少ないと対応のつかない文字が増えてしまい実用的では
なくなる。理想的には文字コードマップを作成する全ての文字セットを包含することが望ま
しい。ユーザ外字も含めればすべてを包含することは無理があるが、可能な限り網羅されて
いることが望まれる。
基準文字セットに必要な上記 4 つの要件を考えると、文字情報基盤整備事業の成果物(以下「文
字情報基盤」という)はこれらを全て備える唯一とも言える極めて貴重な標準仕様であることが
わかる。すなわち、十分な安定性と広い文字レパートリを有し、そして完全に公開されているた
めに汎用的に利用することができるということである。
そこで、住民基本台帳を中心とした業務システム間データ連携における課題に対する解決策の
仮定として、文字情報基盤、具体的には「MJ 文字情報一覧表」を基準文字セットとする文字コー
ドマップの管理および文字コード変換方式の導入を考える。
2.4.2 MJ 文字情報一覧表を活用した文字コード変換方式の策定
MJ 文字情報一覧表を基準文字セットとした場合、文字コード変換の仕組みは従来の文字コード
間の直接対応を定義する文字コードマップ(図 2-5参照)を定義する方法とは異なり、次のよ
うな二段階での文字対応を整理することとなる。(図 2-6参照)

連携元文字セット(藤沢市文字セット)から基準文字セット(MJ 文字情報一覧表)に変換
するための文字コードマップ

基準文字セット(MJ 文字情報一覧表)から連携先文字セットに変換するための文字コード
マップ
8
図 2-5
従来の文字コード間の直接対応を定義する文字コードマップ
図 2-6
基準文字セットを利用した文字コードマップ
藤沢市文字セットから MJ 文字情報一覧表に変換するための文字コードマップを「連携元文字コ
ードマップ」、MJ 文字情報一覧表から連携先文字セットに変換するための文字コードマップを「連
携先文字コードマップ」と呼ぶこととする。
連携元文字コードマップ、連携先文字コードマップでは、MJ 文字情報一覧表上に対応付ける MJ
文字図形名が存在しない場合、MJ 文字図形名に代わって文字コードマップ内で一意となる名称を
付与する。その上で、連携元文字コードと MJ 文字図形名、および連携先文字コードと MJ 文字図
形名が、それぞれ必ず 1 対 1 で対応付くようにする。一意とするために付与する名称を「独自名」
と呼ぶ。「独自名」についての詳細は「5.2.2 (4)独自名」を参照されたい。
また、連携元文字コードマップと連携先文字コードマップで同じ文字に対応づけられない場合、
類似の文字など別の文字に置き換える「縮退マップ」を定義し、できるだけ多くの文字の変換を
可能とする。縮退マップでは縮退関係を MJ 文字図形名同士の対応関係で定義することにより連携
9
元、連携先どちらの文字セットやエンコーディングにも依存せず縮退関係を定義可能とする。
(図
2-6参照)文字コードマップの詳細は5.2に述べる。
これら3つの文字コードマップ(連携元文字コードマップ・縮退マップ・連携先文字コードマ
ップ)を利用した文字コード変換の流れを、被災者支援システムへのデータ連携を例に図示する
と図2-7のようになる。
MJ文字情報一覧表を基準とした文字変換方式
JIPS
ホスト
コンピュータ
縮退
JIPS
MJ文字
図形名
連携元
文字コード
マップ
MJ文字
図形名
UTF-8
縮退
マップ
UTF-8
被災者
支援
システム
連携先
文字コード
マップ
図 2-7 基準文字セットを利用した文字コード変換
(例:被災者支援システムへのデータ連携)
これらの文字コードマップは全体として矛盾なく対応がとられている必要があり、整合性を持
って管理する必要がある。さらにこれらの文字コードマップをもとに文字コード変換を行う機能
も必要となる。
そこで、本実証実験では文字コードマップの登録や修正などの管理および文字コード変換を行
えるシステム(以下「文字変換基盤システム」という)を構築する。(図 2-8参照)
藤沢市では現状、文字コードマップおよび文字コード変換環境は連携対象ごとに作成、管理さ
れており、窓口証明書交付システムに向けては AP サーバと呼ばれる中継システムで 、被災者支
援システムに向けてはホストコンピュータ上で それぞれ文字コード変換が行われている。
本実証実験では文字変換基盤システムに文字コード変換環境を集約し、連携先ごと、あるいは
連携元ごとに作成した文字コードマップを一元管理する。(表 2-1参照)
10
連携元システム
文字変換基盤システム
連携先文字
住民基本
台帳
システム
連携元文字
コード
変換
(JIPS→MJ
文字図形
名)
縮退文字
コード
変換
(MJ 文字図
形名→MJ
文字図形
名)
文字コード:
JIPS
縮 退 マ ップ
連 携 元 文字
コ ー ド マッ プ
図 2-8
コード変換
(MJ 文字図形名
→G2000)
連携先システム
窓口証明書
交付システム
文字コード:G2000
連携先文字
被災者支援
コード変換
システム
(MJ 文字図形名→
UTF-8)
文字コード:UTF-8
連 携 先 文字
コ ー ド マッ プ
MJ 文字図形名を介した文字コード変換
表 2-1
基準となる文字
文字コードマップ
文字コードマップの管理
文字コード変換場所
文字コードマップの修正
現状のデータ連携との違い
現状
解決策
藤沢市文字セット
MJ 文字情報一覧表
連携先ごとに準備
連携元文字コードマップ
JIPS(藤沢 市文字 セッ ト )→ 連携先文字コードマップ
G2000
縮退マップ の組み合わせ
JIPS(藤沢 市文字 セッ ト )→
UTF-8
ホ ス ト コ ン ピ ュ ー タ と AP 文字変換基盤システムに集約
サーバそれぞれに分散管理
ホ ス ト コ ン ピ ュ ー タ と AP 文字変換基盤システムに集約
サーバそれぞれに分散実装
原則固定
柔軟に変更可能
修正可能で あっても 対 象シ 運用方式の共通化が可能
ステムごとに個別対応
次章以降では、「文字変換基盤システム」の要件、実施条件を踏まえた、システムの基本設計
について説明を行う。
11
3 システムの要件
前章で述べた課題を解決する仮説として、本実証実験では文字情報基盤(MJ 文字情報一覧
表)を基準文字セットとして活用した一元的、汎用的な文字コード変換方式を定義し、文字コ
ード の対 応を 機 械的 な 手順 で作 成可 能 な文 字 コー ドマ ップ 作 成ル ー ルに 従っ て作 成 した 文 字
コードマップを利用して、「文字コード変換を一元管理可能な文字変換基盤システム」を実現
する。
本章 では 、 文字 コ ード 変換 方式 、 文字 コ ード マッ プ作 成 ルー ル 、文 字変 換基 盤 シス テ ムの
要件を述べる。
3.1 文字コード変換方式
文字情報基盤を利用した文字コード変換方式の要件は以下の通りである。
(1) 変換対象に依存しない変換方式の実現
連携元文字セットと連携先文字セットの対応関係を直接定義する「密結合による変換方式」
では、さまざまな業務システム間での文字コード変換を柔軟に定義することが難しい。
そ こ で 、 2 .4 .1 で 述 べ た よ う に 基 準 文 字 セ ッ ト を 媒 介 に し た 文 字 コ ー ド マ ッ プ に よ る
「疎結合の文字コード変換方式」が求められる。
(2) 文字情報基盤を基準にした文字コード変換の実現
同じく2.4.1で述べたように、基準文字セットの採用にあたっては、
 広く公開が可能であること
 汎用性を有すること
 文字セットとして安定していること
 大きな文字レパートリを有していること
でなければならない。
この条件を満たす「文字情報基盤(MJ 文字情報一覧表)」を活用して文字コード変換を実現
する必要がある。
12
なお、本実証実験においては少なくとも次の文字コードマップを実装する必要がある。
 「藤沢市文字セット」と「MJ 文字情報一覧表」の文字コードマップ
 「オープン系プラットフォームの文字セット」と「MJ 文字情報一覧表」の文字コードマ
ップ
(3) 利用可能な文字数が異なる文字セットへの対処
藤沢市文字セットは、住民基本台帳の情報を処理する前提に立っていることから、多くの
ユーザー外字を含む文字セットとなっている。
これに対して、一般的なオープン系プラットフォーム上の業務システムは、標準的な文字
セットを保有するに過ぎず、実装されているフォントの文字字形も一般的な文字規格の包
摂基準の範囲内でデザインされている。
このことから、藤沢市文字セットからオープン系プラットフォームの文字セットへの変換
を行うような場合を想定すると、大きい文字セットから小さい文字セットへの写像の定義
が 必 要 と な る 。 文 字 変 換 基 盤 シ ス テ ム に お い ては 容 易 に こ の 定 義 を 可 能 と す る必 要 が あ
る。
(4) 同一字形への柔軟なマップ定義
文字情報基盤を媒介にした文字コード変換を行う場合、IPAmj 明朝の字形は、藤沢市文字
セットが利用しているフォントと異なるデザインなので、藤沢市文字セットと MJ 文字情報
一覧表では全ての文字が 1 対 1 対応で同定できるとは限らない。
しかし、連携先システムが連携元システムと同様に藤沢市文字セットを利用している場
合、MJ 文字情報一覧表へ変換できなかったために、文字コード変換ができなかったり、異
なる文字に変換されてしまったりしては結果としておかしい。
このことから、MJ 文字情報一覧表への文字コードマップでは完全に 1 対 1 のマップが定義
できなかった場合にも、連携先文字コードへの適切な文字コードマップが柔軟に定義でき
るようになっている必要がある。
(5) 同定不可文字への対処
基準として利用する MJ 文字情報一覧表は自治体で利用する文字を広範囲に収録している。
13
しかし、藤沢市文字セットの全て、特にユーザー外字に対してすべて同定可能であるとは
限らないため、同定できない文字についても何らかの形で対処(変換)可能とする必要が
ある。
(6) 文字セットの保守性の確保
住民の転入などによりこれまで登録されていない外字を登録しなければならなくなった場
合や、外字として定義していた文字を MJ 文字情報一覧表に対応する文字に変更するといっ
た場合に、文字コードマップの関係性定義を容易に変更する、あるいは関係性を解除可能
とするための手段が実施可能でなければならない。
3.2 文字コードマップ作成ルール
文字 コー ド マッ プ を作 成す るに あ たっ て は何 らか のル ー ルに 基 づい て、 変換 元 の文 字 と変
換先の個々の文字の同定を行い、対応関係を定義することとなる。本実証実験では以下の方針
で同定作業を行う。
(1) 既存文字コードマップ資産の活用による同定作業の効率化
文字コードマップ作成は、基本的には1文字単位に対象となる文字の同定を行っていくこ
とになる。この際、既に作成されている文字コードマップを活用して、目視による同定作
業を可能な限り削減し、機械的にコードマップを作成することが作業効率化の上でも望ま
しい。
具体的に活用する資産は次のとおりである。

藤沢市文字セット一覧(文字一覧)
JIPS コードと字形の 1 対 1 対応を示すものである。

藤沢市文字セットと住基ネット統一文字コード 6 の文字コードマップ
JIPS コードと住基ネット統一文字コードの 1 対 1 対応を示すものである。

藤沢市文字セットと G2000 の文字コードマップ(JIPS、G2000 マップ)
JIPS コードと G2000 コードの 1 対 1 対応を示すものである。

総務省「市区町村が使用する外字の実態調査」 7 事業結果
総務省より藤沢市に事業結果として提供された資料で、藤沢市の「住基ネット残存外
字」 8 と MJ 文字図形名の対応関係を示すものである。
6
住民基本台帳ネットワーク統一文字コード
14

MJ 文字情報一覧表
(2) 公開された標準的なルールに基づく同定作業の実施
機械的に対応関係を定義できない文字については、個々に同定作業を行うこととなる。
同定作業を行うに当たっては、一般的に認められており、かつ、公開されている包摂基準
に基づいて実施することが求められる。
具体的には、前記の総務省「市区町村が使用する外字の実態調査」
(以下「総務省調査事業」
という)の成果物として、同定作業における包摂基準をまとめた「包摂基準書」を利用す
る。
3.3 文字変換基盤システム
本実証実験では、文字コードマップの登録や修正などの管理と、文字コードマップをもとに
した文字コード変換を行う機能を持つ「文字変換基盤システム」を構築する。以下にその要件
をまとめる。
3.3.1 実装要件
3.3.1.1 実装環境
文字変換基盤システムは、ハードウェアや OS などプラットフォームに極力依存せず、柔軟
な環境での動作が求められる。
そこで、文字変換基盤システムにおける実装環境の要件は次の通りである。
(1) オープン系プラットフォームでの運用
藤沢市においては、ホストシステムおよびオープン系システムのいずれもが存在するが、
稼働環境(稼働場所等)の選択肢の多さやインストールの容易性、稼働時間の制約等から
オープン系プラットフォームで動作することが望まれる。
7
8
総務省 自治体クラウドポータルサイトの「外字の実態調査に係る調査報告書等」のページ
(http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/c-gyousei/lg-cloud/02kiban07_03000021.html) を
参照されたい。
上 記 調 査 報 告 書 の 資 料 4「 外 字 実 態 調 査 の 報 告 」 (http://www.soumu.go.jp/main_content/000154850.pdf)の
P2 を参照されたい。
15
(2) プラットフォームに依存しない言語での開発
文字変換基盤システムは、Windows OS、Linux および UNIX 系 OS など様々な環境で運用でき
ることが望ましいことから、これらの環境に依存しない Java 等の言語での開発が望まれ
る。
3.3.1.2 実装形態
藤沢 市を は じめ と する 自治 体に お ける 一 般的 な業 務シ ス テム の デー タ連 携方 式 とし て は、
次の 2 種類があり、このいずれにも対応していることが必要となる。
 オンライン連携
窓口証明書交付システムのように、連携元システムにおいて連携すべき情報の変更が行わ
れたなら、プログラム間通信等により即時に結果を連携先システムに反映するような連携
方式である。
 バッチ連携
被災者支援システムのように、リアルタイムでのデータ連携は行われず、日次であるとか
必要の都度、ファイル転送等のバッチ処理により更新データの反映あるいは一括更新が行
われるような連携方式である。
オンライン連携およびバッチ連携での要件は以下の通り。
(1) オンライン連携における文字コード変換機能独立化の実現
オンライン連携においては、次のいずれかの方法によりコード変換を行っているのが一般
的である。
 プログラム間通信によるデータの送受信を担うデータ連携 AP にそれぞれ文字コード
変換機能を作りこむ
 文字コード変換環境を独立化し、データ連携 AP がそれを利用するようにする
16
例えば、藤沢市の窓口証明書交付システムでは、文字コード変換を行う中継システム(以
下「AP サーバ」という)上に、データ連携 AP に対応した文字コード変換機能を個別に構
築している。(図3-1参照)
しかし、様々な業務システムへ共通的な変換機能を提供可能とするとの観点から、個別に
構築するのではなく、文字コード変換を必要とする処理から文字変換基盤システム上の文
字コード変換機能を呼び出す方式とすることが望ましい。(図3-2参照)
図 3-1
図 3-2
オンライン連携(文字コード変換を個別構築)(例:窓口証明書交付システム連携)
オンライン連携(文字コード変換を独立)(例:窓口証明書交付システム連携)
17
(2) バッチ連携における文字コード変換機能独立化の実現
被災者支援システムのように、ファイル転送によるバッチ連携を行っている場合には、次
のいずれかにて文字コード変換が行われる。
 連携元システムのファイル出力側で文字コード変換を実施
 連携先システムのファイル読み込み側で文字コード変換を実施
 独立した文字コード変換用 AP を作成して文字コード変換を実施
例えば、藤沢市の被災者支援システムでは、連携元システムのファイル出力側に文字コー
ド変換機能を実装している。(図 3-3参照)
しかし、バッチ連携における汎用性を考慮すると、ファイル出力側やファイル読み込み側
に文字コード変換機能を実装させず、独立した AP として文字変換基盤システムの文字コー
ド変換機能を呼び出し可能とすることが望ましい。(図 3-4参照)
ホストコンピュータ
住民基本台帳システム
業務AP
データ出力
AP
オープン系PF(Linux)
被災者支援システム
文字
コード
縮退
住民基本台帳
(JIPS)
図 3-3
文字
コード
変換
データ
読込AP
文字コード
マップ
業務AP
住民基本台帳のコピー
(UTF-8)
ファイル連携
バッチ連携(連携元で文字コード変換)(例:被災者支援システムとの連携)
ホストコンピュータ
住民基本台帳システム
業務AP
データ出力
AP
オープン系PF(Windows)
オープン系PF(Linux)
文字変換基盤システム
被災者支援システム
文字
コード
縮退
住民基本台帳
(JIPS)
図 3-4
ファイル
連携
文字
コード
変換
文字コード
マップ
データ
読込AP
ファイル
連携
業務AP
住民基本台帳のコピー
(UTF-8)
バッチ連携(文字コード変換を独立)(例:被災者支援システムとの連携)
18
3.3.2 機能要件
文字変換基盤システムは次の機能より構成される。
 文字コード変換機能
文字コードマップを利用して文字コード変換を実現する。
 文字コードマップ保持機能
文字コードマップを一元的に管理する。
以下、これら 2 つの機能に対する要件を述べる。
3.3.2.1 文字コード変換機能
文字コード変換機能における要件は以下の通りである。
(1) 変換可能文字セット
藤沢市のホストシステムおよびオープン系業務システムで利用されている表 3-1の文字
セットを変換可能とすること。
表 3-1
変換対象文字セットおよびエンコーディング一覧
対象業務システム
住民基本台帳システム
文字セット
藤沢市文字セット
エンコーディング
JIPS
窓口証明書交付システム
藤沢市文字セット
G2000
被災者支援システム
JIS X0213:2004
UTF-8
(2) 非漢字への対応
本機能で扱うデータは、漢字以外の非漢字も含まれることから、非漢字についても次のよ
うな対応により変換可能とすること。
 漢字と同様に文字コードマップの定義に従って変換する
 変換先として外字を追加登録可能とする
上記、要件については次のような理由に基づくものである。
19
窓口証明書交付システムが発行する住民票などの各種証明書、被災者支援システムが発行
するり災証明書のデータ項目は大きく「氏名」、「住所」、「その他」に分類され、各項
目がどのような文字種を含むかを整理すると、表 3-2のようになる。
(A)の「アラビア数字」、「アルファベット」、「記号」および「ひらがな・カタカナ」に
ついては、自治体の業務システムが採用する様々な処理系において、例外的な一部の文字
を除き、共通して実装されていると考えられるので、文字コードマップ定義に従った 1 対
1 での確実な変換が期待できる。
(B)の変体仮名については、人名で利用されており、また字形のバリエーションが多いと
いう点で漢字と同様の条件下にあるが、MJ 文字情報一覧表には変体仮名は収録されてお
らず、標準規格にも収録されていないため、連携先にて外字として登録することとなり、
追加した外字への変換も可能とする対応が必要となる。
(C)のその他文字(印影イメージのような自治体が独自に作成している記号)についても、
連携元と連携先で同一字形を保持している可能性が無く、連携先にて外字として登録する
こととなるため、(B)の変体仮名と同様の対応が必要となる。
表 3-2
氏名、住所、その他の項目における使用文字種
漢字
非漢字
(A)
アラビア
アルファ
記号
ひらがな・
数字
ベット
カタカナ
氏名
○
×
○
×
○
住所
○
○
○
○
○
その他
△
○
○
○
○
○:使用される △:一部使用される ×:使用されない
(B)
変体仮名
○
×
×
(C)
その他
文字
×
×
○
(3) 対象文字セット拡張への考慮
本実証実験においては、上記「(1) 変換可能文字セット」にて示した業務システムにおけ
る文字セットが対象になるが、将来的な業務システムの変化や対象業務システムの拡大を
考慮すると、利用していない文字セットに対する変換機能の追加を考慮する必要がある。
20
3.3.2.2 文字コードマップ保持機能
文字 コー ド マッ プ はデ ータ 連携 す る業 務 シス テム が追 加 され た 場合 、更 新さ れ る可 能 性が
ある 。ま た、 デ ータ 連 携の 仕様 の見 直 しな ど に伴 う文 字コ ー ドマ ッ プ定 義の 修正 も 発生 し う
る。
文字 コー ド マッ プ の保 守お よび 確 認の た めの 文字 コー ド マッ プ 保持 機能 にお け る要 件 は以
下の通りである。
(1) 文字コードマップの登録、更新、削除
文字コードマップの登録、更新および削除が可能であるとともに、登録および更新時には
整合性が確保されること。
また、登録、更新に際しては処理結果が一覧にて確認できること。
(2) 文字コードマップ一覧出力
登録されている文字コードマップについて確認を行えるよう、文字コードと MJ 文字図形名
の対応関係を字形も含めて一覧表出力が行えること。
(3) 文字コードマップ作成の効率化(表計算ソフトの活用)
文字コードマップ作成を効率的かつ容易に行えるよう、市販の表計算ソフトを活用して文
字コードマップの作成が行えるようにすること。
3.3.3 非機能要件
文字変換基盤システムに対する非機能要件は以下の通りである。
(1) 可用性、運用・保守性、セキュリティ、システム環境・エコロジー、移行性
藤沢市における業務システム追加時のポリシーに従うこと。
(2) 性能・拡張性
窓口証明書交付システム、被災者支援システムのデータ連携において、既存システムへ負
荷などの影響を及ぼさないこと。
また、将来の状況変化に応じた拡張を可能とするために、特定の処理系に依存しないこと。
21
4 システムの実施条件
本章では、藤沢市における実証実験の実施条件を述べる。
実証 実験 の 実施 に あた って 、業 務 シス テ ムの 改変 およ び 運用 に 影響 を与 える 処 理の 追 加は
いずれも行えないことから、実証実験実施に関する条件は以下の通りである。
(1) 実証実験専用の環境での実施
既に述べたように業務システムの改変および運用に影響を与える処理の追加が行えないこ
とから、実証実験のために業務システムから完全に分離した環境を構築する必要がある。
具体的には、データ連携先である窓口証明書交付システムと被災者支援システムについて
本番環境と同等の実証実験環境を本番環境と別に構築する。
(2) データ連携 AP の出力データを入力とした実証
上記と同じ理由により、住民基本台帳システムが稼働しているホストコンピュータおよび
AP サーバの利用ができず、これらと実証実験環境に構築した窓口証明書交付システムとの
オンラインによるデータ連携が行えないことから、ホストコンピュータ上のデータ連携 AP
にて出力されたファイルを入力情報として利用する。
(3) 同一ハードウェアでの窓口証明書交付システムと文字変換基盤システムの運用
窓口 証 明書 交付 シ ステ ムの 実 証実 験環 境 であ るオ ー プン 系プ ラ ット フォ ー ム(Windows)上
に、文字変換基盤システムを同居させることとする。(図 4-1参照)
実証実験環境
ホストコンピュータ
オープン系PF(Windows)
住民基本台帳システム
業務AP
文字変換基盤
システム
データ連携
AP
窓口証明書交付システム
データ
連携AP
業務AP
DB
オープン系PF(Linux)
被災者支援システム
データ
連携AP
DB
業務AP
DB
図 4-1
実証実験のシステム構成図
22
5 システムの基本設計
本章では、前章までに述べた要件および制約条件を踏まえた基本設計を述べる。
5.1 文字コード変換方式
文字コード変換方式の概念図は以下の通りである。(図5-1参照)
図 5-1
文字コード変換および縮退の概念図
9
(1) 変換方式
連携元システムの文字セットから MJ 文字情報一覧表に変換するための文字コードマップを
「連携元文字コードマップ」、MJ 文字情報一覧表から連携先文字セットに変換するための文
字コードマップを「連携先文字コードマップ」と呼ぶこととする。また、MJ 文字情報一覧
表を基準文字セットとした変換方式では、同じ文字に対応づけられない場合、類似の文字
など別の文字に置き換えるマップを定義し、これを「縮退マップ」と呼ぶこととする。
9
図中の「MJ 文字図形」は文字情報基盤漢字の文字図形を意味する。
23
文字コード変換は、MJ 文字情報一覧表を媒介にして次のような段階の変換を行うことによ
り連携元文字セットから連携先文字セットへの変換を実現する。
ア) 連携元文字コードマップによる連携元文字コードから MJ 文字図形名への変換
イ) 縮退マップによる連携元の MJ 文字図形名から連携先の MJ 文字図形名への変換
ウ) 連携先文字コードマップによる MJ 文字図形名から連携先文字コードへの変換
文字コード変換に利用する「連携元文字コードマップ」、「縮退マップ」および「連携先
文字コードマップ」は、一貫性を持った対応付けが必要になるため、これら 3 種類のマッ
プをまとめて「マップセット」として管理する。
以降では、これらのコードマップについて述べる。
(2) 連携元文字コードマップ/連携先文字コードマップ
連携元文字コードマップは、連携元文字セットの個々の文字と MJ 文字図形名との対応関係
を示したものであり、連携先文字コードマップは連携先文字セットの個々の文字と MJ 文字
図形名との対応関係を示したものである。
ここで、連携元文字コードまたは連携先文字コードと MJ 文字図形名を対応付ける際、必ず
しも字形が一致する MJ 文字図形名が存在するとは限らない。
対応付ける MJ 文字図形名が存在しない場合には、MJ 文字図形名に代わって文字コードマ
ップ内で一意となる名称を付与する。その上で、連携元文字コードと MJ 文字図形名、およ
び連携先文字コードと MJ 文字図形名が、それぞれ必ず 1 対 1 で対応付くようにする。
一意とするために付与する名称を「独自名」と呼ぶ。「独自名」については5.2.2に定
義する。
また、連携元の藤沢市文字セットを MJ 文字情報一覧表と同定する場合、包摂基準の関係か
ら藤沢市文字セット上の複数の文字が同じ MJ 文字図形名に同定され、N 対 1 のマップとな
ってしまう部分がある。この場合にも重複した MJ 文字図形名側に一つを残し、他に独自名
を付与し 1 対 1 になるように調整する。その際に、同一字形である MJ 文字図形名は独自名
を付けた文字に対する類似文字として管理することとする。
24
連携元文 字コー ドマ ッ プ、連携 先文字 コー ド マップの 具体的 な仕 様 は5.2.1.1お よび
5.2.1.2に定義する。
(3) 縮退マップ
縮退マップは連携元が対応する MJ 文字図形名と連携先が対応する MJ 文字図形名との対応
関係を示したものである。
連携元文字コードマップでは連携元文字コードと MJ 文字図形名が、連携先文字コードマッ
プでは連携先文字コードと MJ 文字図形名が1対1に対応しているため、連携元と連携先と
で文字セットが異なる場合には連携元の MJ 文字図形名の集合と連携先の MJ 文字図形名の
集合が完全には一致していない場合が想定される。
本実証実験に照らし合わすと、連携元システムは住民基本台帳の電子データを処理する前
提に立っていることから、人名・地名で用いる大量の拡張漢字やユーザー外字を含む文字
セットを保有するのに対して、連携先システムは一般的なオープン系システムが備える文
字セットの範囲しか保有していないことが想定される。
そこで、住民基本台帳システムの文字セットのようなより大きな符号化文字集合から被災
者支援システムの文字セットのようなより小さな符号化文字集合への写像を定義するため
に、字形が完全に一致してはいないが類似性が高いであるとか、意味概念が等しいなどの
根拠に基づいて、異なる MJ 文字図形名への対応付けを定義するのが縮退マップである。
縮退により、連携元の MJ 文字図形名と連携先の MJ 文字図形名との関係は、必ずしも 1 対 1
ではなく、N 対 1 の関係となる場合がある。
縮退マップの詳細は5.2.1.3に定義する。
(4) 非漢字の扱い
本実証実験では、既存製品を拡張する形態で MJ 文字情報一覧表を媒介にした文字コード変
換を実装する。そのため、アラビア数字、アルファベット、記号、ひらがな・カタカナは
既存製品の機能を流用して文字コード変換することとする。
25
一方、変体仮名およびその他文字は既に述べたように外字の追加によって変換を実現せざ
るをえず、また本実証実験の検証対象外でもあるので、対応する文字コード変換先が存在
しないことを表す該当外文字に変換することとする。
5.2 文字コードマップ
ここ では 、 本実 証 実験 にお いて 作 成が 必 要と なる 文字 コ ード マ ップ の種 別お よ びフ ァ イル
仕様について述べる。
5.2.1 作成が必要な文字コードマップ
5.1に述べているように文字コード変換方式として、連携元文字コードマップ、連携先文
字コードマップ、縮退マップの 3 段階により変換を行う。
5.2.1.1 連携元文字コードマップ
連携元文字コードマップは、連携元システムの文字コードから MJ 文字図形名(または独自名)
への対応を定義する文字コードマップである。マップのレイアウトは「表 5-5
連携元文字
コードマップ項目一覧」に示す通りである。
作成が必要となる連携元文字コードマップは表 5-1の通りである。
表 5-1
作成すべき連携元文字コードマップ
種別
名称
連携元文字コードマップ
ホストシステム側マップ
連携元システム
エンコーディング
文字セット
JIPS
藤沢市文字セット
「ホストシステム側マップ」は、連携元システムが JIPS エンコーディングで表された藤沢市
文字セットを利用するシステムである場合に利用する文字コードマップである。本実証実験で
は、ホストコンピュータ上の住民基本台帳システムが、連携元システムの場合に利用すること
になる。
「ホストシステム側マップ」の定義対象は藤沢市文字セットの漢字領域である。藤沢市文字
セットの漢字領域は、JIPS 内字の範囲では JIPS コードの 3021~737E、B2A1~D7FE の範囲が該
当し、ユーザー外字の範囲では、漢字として作成された文字となる。ユーザー外字の漢字範囲
26
については、関連資料「文字コードマップ作成ルール」の「3.1.2 ホス トシ ステム 側マ ッ プの
定義範囲」を参照されたい。
連携元文字コードマップの定義に際しては、連携元システムの文字の字形と MJ 文字図形と
の同定作業が必要であるが、
「ホストシステム側マップ」定義の際の同定作業においては、
「3.
2 文字コードマップ作成ルール」で説明した方針に沿って、以下の優先順位で同定先を決定
する。
1. 「藤沢市文字セットと住基ネット統一文字コードとの文字コードマップ」と、MJ 文字情
報一覧表に定義された、MJ 文字図形名と住基ネット統一文字コードの対応を突き合わせ
ることで同定先が機械的に決まるものはその同定先を採用する。
2. 「総務省調査事業」の結果として、「字形一致」あるいは「デザイン差」として同定先
が決まるものはその同定先を採用する。
3. 「総務省調査事業」の結果として「同定不可能文字」となっているものについては、改
めて同定先を調査し、「字形一致」あるいは「デザイン差」の文字が発見できればそれ
を同定先とする。
また、同定結果として一致する文字がなかったが、総務省調査事業の結果が「類似文字」で
あったもの、および、改めて同定先を調査した結果として「類似文字」となったものは後の縮
退マップ作成時の参考とするために「類似文字」の MJ 文字図形名を表 5-5に示す「類似文
字図形名」に記載する。さらに、同定結果と併せて、同定作業における判断の記録も表 5-5
に示す「付帯情報」に記載する。
同定作業の詳細については、関連資料「文字コードマップ作成ルール 3.1 ホストシステム
側マップ」で説明しているので参照されたい。
5.2.1.2 連携先文字コードマップ
連携先文字コードマップは、MJ 文字図形名(または独自名)から連携先システムの文字コード
への対応を定義するマップである。マップのレイアウトは「表 5-6
連携先文字コードマッ
プ項目一覧」に示す通りである。
作成が必要となる連携先文字コードマップは、表 5-2の通りである。
27
表 5-2
種別
連携先文字コードマップ
作成すべき連携先文字コードマップ
名称
G2000 マップ
連携先システム
エンコーディング
文字セット
G2000
藤沢市文字セット
JIS X0213 マップ
UTF-8
JIS X0213:2004
「G2000 マップ」は、連携先システムが G2000 エンコーディングで表された藤沢市文字セット
を利用するシステムである場合に利用する文字コードマップである。本実証実験では、窓口証
明書交付システムが連携先システムの場合に利用することになる。
「G2000 マップ」の定義対象は藤沢市文字セットの漢字領域であり、「ホストシステム側マッ
プ」と同一である。
「G2000 マップ」の定義に際しては、定義対象が「ホストシステム側マップ」と同一であり、
かつ G2000 コードと JIPS コードは 1 対 1 に対応することから、
「ホストシステム側マップ」と
「藤沢市文字セットと G2000 の文字コードマップ」を突き合わせることで機械的に作成する。
詳細については、関連資料「文字コードマップ作成ルール
4.1 G2000 マップ」で説明してい
るので参照されたい。
「 JIS X0213 マ ッ プ 」 は 、 連 携 先 シ ス テ ム が UTF-8 エ ン コ ー デ ィ ン グ で 表 さ れ た JIS
X0213:2004 文字セットを利用するシステムである場合に利用する文字コードマップである。本
実証実験では被災者支援システムが連携先システムの場合に利用することになる。
「JIS X0213 マップ」の定義対象は JIS X0213:2004 のうち、MJ 文字情報一覧表と対応する範
囲である。具体的には JIS X0213:2004 の文字符号に 1 対 1 に対応する UCS コード番号が、MJ
文字情報一覧表の「対応する UCS」項目と一致する文字を対象とする。
「JIS X0213 マップ」の定義に際しては、MJ 文字情報一覧表の「対応する UCS」の項目から機
械的に作成する。詳細については、関連資料「文字コードマップ作成ルール 4.2 JIS X0213 マ
ップ」で説明しているので参照されたい。
28
5.2.1.3 縮退マップ
縮退マップは、連携元文字コードマップの MJ 文字図形名(または独自名)から、連携先文字
コードマップの MJ 文字図形名(または独自名)への対応を定義づけるマップである。マップの
レイアウトは「表 5-7
縮退マップ項目一覧」に示す通りである。
文字コードマップの定義に際して、連携元文字コードマップの MJ 文字図形名が連携先文字
コードマップに存在しない場合がある。その際、連携先文字コードマップに存在する他の MJ
文字図形名(または独自名)へ対応づける「縮退」を定義し、文字コード変換を可能とする。縮
退先を決定するにあたっては、連携元文字コードマップに記載されている、字形が類似する文
字と見なせる MJ 文字図形名(類似文字図形名)、および、連携元文字コードマップ作成時の同
定作業における判断の記録を参考に、縮退先となる適切な MJ 文字図形を連携先文字コードマ
ップから探し出し、同定する作業が必要となる。この同定作業における判断の記録も合わせて
縮退マップの「付帯情報」に記載する。
また、縮退が発生しない場合、即ち、連携元文字コードマップの MJ 文字図形名と同一の MJ
文字図形名が連携先文字コードマップに存在する場合には、縮退マップへ定義することも、省
略することも可能とする。ただし、独自名を付与している場合は省略できない。「5.1 (2)連
携元文字コードマップ/連携先文字コードマップ」の項で説明したように、独自名は、連携元
文字コードマップ、連携先文字コードマップそれぞれで一意となるように付与されるので、同
じ字形を表す場合でも連携元文字コードマップ、連携先文字コードマップで異なる値となる。
このため、独自名の場合は必ず縮退マップで対応関係を定義する必要がある。
縮退マップ作成作業の詳細については、関連資料「縮退マップ作成ルール」で説明している
ので参照されたい。
作成すべき縮退マップは、表 5-3の通りである。
表 5-3
種別
縮退マップ
作成すべき縮退マップ
名称
全文字マップ
縮退元文字セット
藤沢市文字セット
縮退先文字セット
藤沢市文字セット
内字縮退マップ
藤沢市文字セット
JIPS
JIS X0213 縮退マップ
藤沢市文字セット
JIS X0213:2004
29
「全文字マップ」は、藤沢市文字セットの漢字領域を藤沢市文字セットの漢字領域範囲に(縮
退させずに)1対1に対応させる縮退マップである。本章の前段で既に説明したように、縮退
が発生しない場合の定義は省略可能であり、独自名に対する定義が必須部分となる。
全文字マップは「藤沢市文字セットと G2000 の文字コードマップ」を用いて、連携元文字コ
ードマップの藤沢市文字セット(JIPS コード)と連携先文字コードマップの G2000 コードを対
応付けることができ、両マップの同じ文字を確認することができる。確認結果を用いて、同じ
文字に対応する連携元、連携先双方の MJ 文字図形名あるいは独自名を紐づけることで機械的
に作成する。
「内字縮退マップ」は、藤沢市文字セットの漢字領域を JIPS 内字の漢字範囲に縮退させる縮
退マップである。藤沢市文字セットは JIPS 内字とユーザー外字から構成されているため、ユ
ーザー外字に対応する連携元文字コードマップの MJ 文字図形名(および独自名)を JIPS 範囲
に対応する連携先文字コードマップの MJ 文字図形名(および独自名)に縮退させるマップと
なる。
内字縮退マップは、以下の手順で作成する。
1. 連携元文字コードマップに「類似文字図形名」の定義があり、その文字が内字範囲の場
合、それを縮退先とする。
2. 「類似 文字 図形名 」の 定義が 無い か、あ って もその 文字 が内字 範囲 ではな い場 合、MJ
文字情報一覧表上で、連携元の「同定文字図形名」に対応する MJ 文字図形名の定義と
「対応する UCS」が同じ文字、「戸籍統一文字番号」から同じ親字・正字を持つ文字、「大
漢和」から同じ大漢和番号の親字番号を持つ文字を検索し、縮退先とする。
3. 以上で縮退先が決まらない場合、個別に手動で各種データベースを検索するなどして縮
退先を探す。
詳細については、関連資料「縮退マップ作成ルール 3.2 内字縮退マップ」で説明している
ので参照されたい。
30
「JIS X0213 縮退マップ」は、藤沢市文字セットの漢字領域を JIS X0213:2004 範囲に縮退さ
せる縮退マップである。JIPS 内字の範囲、ユーザー外字の範囲には共に JIS X0213:2004 に対
応する字形が無い文字があるため、これらの MJ 文字図形名(および独自名)を JIS X0213:2004
範囲に対応する連携先文字コードマップの MJ 文字図形名に縮退させるマップとなる。
JIS X0213 縮退マップは以下の手順で作成する。
1. 連携元文字コードマップに「類似文字図形名」の定義があり、その文字が JIS X0213:2004
範囲の場合、それを縮退先とする。
2. 「類似文字図形名」の定義が無い場合、MJ 文字情報一覧表上で連携元の「同定文字図形
名」に対応する MJ 文字図形名の定義と「X0213」の値が同じ、「IVS」から基底文字が同
じ、
「戸籍統一文字番号」から同じ親字・正字を持つ文字、
「対応する UCS」が同じ文字、
「大漢和」から同じ大漢和番号の親字番号を持つ文字を検索し、縮退先とする。
3. 連 携 元 文 字 コ ー ド マ ッ プ に 「 類 似 文 字 図 形 名 」 の 定 義 が あ る が 、 そ の 文 字 が JIS
X0213:2004 範囲ではない場合、
「同定文字図形名」に替えて MJ 文字情報一覧表上で連携
元の「類似文字図形名」に対応する MJ 文字図形名の定義について第 2 項と同様の検索
を行う。つまり、類似文字図形名を基準に、その類似文字を検索して、類似文字の類似
文字を縮退先とする。
4. 以上で縮退先が決まらない場合、個別に手動で各種データベースを検索するなどして縮
退先を探す。
詳細については、関連資料「縮退マップ作成ルール 3.3 JIS X0213 縮退マップ」で説明して
いるので参照されたい。
5.2.1.4 マップセット
「5.1 (1) 変換方式」で説明したように、連携先文字コードマップ、縮退マップおよび連
携先文字コードマップの 3 種類のマップは、対象業務に応じて、「マップセット」として管理
する。「マップセット」の組み合わせは、表5-4の通りである。
31
表 5-4
マップセット名
全文字マップセッ
ト
連携元文字
コードマップ
ホストシステム側
マップ
内字縮退マップ
セット
JIS X0213 縮退
マップセット
マップセットの組み合わせ
縮退マップ
全文字マップ
連携先
文字コードマップ
G2000 マップ
ホストシステム側
マップ
内字縮退マップ
G2000 マップ
窓口証明書交付
システム
ホストシステム側
マップ
JIS X0213 縮退
マップ
JIS X0213 マップ
被災者支援シス
テム
32
対象業務
窓口証明書交付
システム
5.2.2 ファイル仕様
連携元文字コードマップ、連携先文字コードマップおよび縮退マップはいずれも CSV 形式に
て文字コードマップを定義するものとする。
(1) 連携元文字コードマップ
連携元文字コードマップの仕様は表 5-5の通りである。
表 5-5
項番
項目
連携元文字コードマップ項目一覧
カラム位置
説
明
1
連携元文字コード
第1カラム
連携元の文字コードを記述する。
2
同定文字図形名
第2カラム
連携元文字コードと同定した MJ 文字
図形名 を記 述す る。 同 定でき ない 場
合は独自名を記述する。
3
類似文字図形名
第3カラム
第2カ ラム に独 自名 を 指定し た場 合
で MJ 文字情報一覧表上に類似文字が
ある場合には、その MJ 文字図形名を
記述する。
4
付帯情報
第4カラム
マップ作成時の記録等を記述する。
なお、 本項 目は 文字 変 換基盤 シス テ
ムで文 字コ ード 変換 時 には参 照し な
い。
(2) 連携先文字コードマップ
連携先文字コードマップの仕様は表 5-6の通りである。
表 5-6
項番
項目
連携先文字コードマップ項目一覧
カラム位置
説
明
1
同定文字図形名
第1カラム
連携先文字コードと同定した MJ 文字
図形名 を記 述す る。 同 定でき ない 場
合は独自名を記述する。
2
連携先文字コード
第2カラム
連携先の文字コードを記述する。
3
付帯情報
第3カラム
マップ作成時の記録等を記述する。
なお、 本項 目は 文字 変 換基盤 シス テ
ムで文 字コ ード 変換 時 には参 照し な
い。
33
(3) 縮退マップ
縮退マップの仕様は表 5-7の通りである。
表 5-7
項番
項目
縮退マップ項目一覧
カラム位置
説
明
1
縮退元文字図形名
第1カラム
縮退元の MJ 文字図形名または独自名
を記述する。
2
縮退先文字図形名
第2カラム
縮退先の MJ 文字図形名または独自名
を記述する。
3
付帯情報
第3カラム
マップ作成時の記録等を記述する。
なお、 本項 目は 文字 変 換基盤 シス テ
ムで文 字コ ード 変換 時 には参 照し な
い。
(4) 独自名
連携元文字コードまたは連携先文字コードと MJ 文字図形名を対応付ける際、対応付く MJ 文字
図形名が存在しない場合、同定文字図形名に MJ 文字図形名に代わって「独自名」を定義する。
また、連携元あるいは連携先の複数の文字が同じ MJ 文字図形名に同定され、N 対 1 のマップと
なってしまう場合、MJ 文字図形名に対応する定義を一つに限定し、他は同定文字図形名に MJ
文字図形名の代わりに「独自名」を付与し、対応関係が 1 対 1 になるように調整する。
「独自名」は各文字コードマップ内で一意であれば形式は問わないが、運用をわかりやすくす
るために文字セット内で一意の値を表 5-8の命名規則で定義することとする。
34
表 5-8
独自名の命名規則
命名仕様
文字コー
ドマップ
種別
連携元
文字コー
ドマップ
文字コード
マップ名
識別子 1
識別子 2
ホストシステム側
マップ
MJUDC
連携先
文字コー
ドマップ
識別子 3
L
識別子 4
番号
01
XXXX
10 進数
4 ケタ
(0000~
9999)
142051 10
G2000 マップ
02
JISX0213 マップ
03
番号
9999 に
対応する
連携先
文字コー
ド(*)
-
^081FC
0000301
3
* 「番号 9999 に対応する連携先文字コード」に関する説明
縮退マップで縮退不可とされた文字は、縮退不可であったことが識別可能な文字を代替出
力する必要がある。この文字を該当外文字と呼ぶ。このような場合、「〓」「○」「☆」とい
った文字を当てるのが一般的だが、本実証実験では「〓」を出力することとし、独自名の
番号 9999 に対して、「〓」に対応する連携先文字コードを割り当てることとする。
5.3 文字コードマップ作成ルール
文字コードマップの作成ルールについては、関連資料「文字コードマップ作成ルール」「縮
退マップ作成ルール」として整備したので参照されたい。
10
藤沢市の全国地方公共団体コード
35
5.4 文字変換基盤システム
本項では、文字変換基盤システムの設計について述べる。
文字変換基盤システムの構成を図 5-2、機能概要を表 5-9に示す。
文字変換基盤システム/窓口証明書交付システム用サーバ
管理用端末
文字変換基盤システム
文字コード
変換機能
文字コードマップ
保持機能
窓口証明書
交付システム
(同一サーバ内に
実装する)
コード変換
ライブラリ
(既存製品)
Java実行環境
Internet
Explorer 8
Web サーバ(IIS)
Windows Server 2008
Windows 7
図 5-2 実証実験における文字変換基盤システムの構成
表 5-9 文字変換基盤システムの機能一覧
項番
機
能
概
要
1
文字コード変換機能
変換対象のテキストファイルを読み込み、マ
ップセット名で指定される文字コードマップ
に従い文字コード変換を実行し、結果をテキ
ストファイルとして出力する。
2
文字コードマップ保持機能
管理用端末からの指示に従って、文字コードマ
ップの登録、更新、削除などを行うとともにマ
ップセットによる管理を行う。
また、縮退文字一覧を出力する。
36
文字変換基盤システムを利用した、作業フローの概要は図 5-3の通りである。
業務システム
住民基本台帳
システム
文字変換基盤システム
窓口証明書交付
システムおよび
被災者支援システム
文字コード
変換機能
文字コード
マップ保持機能
文字コード
マップ登録
管理用端末
文字コードマップ作成
指示
マップセット
登録
文字コード
マップ確認
文字コード
マップファ イル
指示
縮退文字一覧
出力
縮退文字一覧
表示
文字コード
変換
データ出力
住民情報ファイル
(変換前)
指示
文字コード変換
住民情報ファイル
(変換後)
データ読込
文字コード
マップ更新
マップセット
削除
指示
文字コードマップ作成
指示
マップセット
登録
図 5-3
文字コード
マップファ イル
文字変換基盤システムによる作業フロー
以下、文字コード変換機能、文字コードマップ保持機能について述べる。
5.4.1 文字コード変換機能
文字コード変換機能は、変換対象となるテキストファイルを読み込み、マップセット名で指
定さ れる 文字 コ ード マ ップ に従 い、 適 切な 文 字コ ード 変換 を 実行 し 、結 果を テキ ス トフ ァ イ
ルとして出力する。
文字コード変換機能は、Java コマンドの形態で実装することとする。
37
文字コード変換機能を構成する詳細機能のブロック図を図 5-4に示すとともに、以下に詳
細機能の概要を述べる。
図 5-4
文字コード変換機能
ブロック図
(1) 連携データ入力機能
(ア) テキストファイルを1文字単位に分解する。
(イ) エンコーディングの妥当性を検証し、連携元エンコーディングとして不適な場合は
ログに出力して、処理を中止する。
(ウ) 1文字単位に「入力データ→MJ 変換機能」、「縮退機能」、「MJ→出力データ変換
機能」および「非漢字変換機能」を呼び出す。
38
(2) 入力データ→MJ 変換機能
(ア) 連携元文字コー ドマッ プを参照して、 文字コ ード(連携元エン コーデ ィング)を MJ
文字図形名あるいは独自名に変換する。変換できたものは「縮退機能」に渡す。
(イ) 変換できない文字コードについては、「非漢字変換機能」に渡す。
(3) 縮退機能
(ア) 縮退マップを参照して、「入力データ→MJ 変換機能」で得られた MJ 文字図形名あ
るいは独自名を縮退先の MJ 文字図形名あるいは独自名に変換する。
(イ) 変換できない場合には、ログに出力して処理を中止する。
(4) MJ→出力データ変換機能
(ア) 連携先文字コードマップを参照して、「縮退機能」で得られた縮退先の MJ 文字図形
名あるいは独自名を文字コード(連携先エンコーディング)に変換する
(5) 非漢字変換機能
(ア) 非漢字マップを参照して、連携元文字コードから連携先文字コードに変換する。
(イ) 変換できない場合には、ログに出力して処理を中止する。
(6) 連携データ出力機能
(ア) 「MJ→出力データ変換機能」と「非漢字変換機能」の出力する文字コードを連結し
て、変換結果としてテキストファイルを生成する。
5.4.2 文字コードマップ保持機能
文字コードマップ保持機能は、Internet Explorer、Firefox などのブラウザから利用可能
な、文字コードマップの登録、更新、削除などの機能を提供するとともにマップセットを単位
とした管理を行う機能である。(図 5-5参照)
本実証実験の目的を鑑み、運用管理者のみ操作可能とするなどのアクセスコントロールは実
装しないこととするが、操作ログについて記録するものとする。
また、実行結果は実行内容に応じて画面に表示させるものとする。
以下に詳細機能の概要を述べる。
39
【動作対象とするブラウザ】
Internet Explorer 7
Firefox ver.16
図 5-5
文字コードマップ保持機能
ブロック図
5.4.2.1 マップセット登録機能
マップセット登録機能は、連携元文字コードマップ、連携先文字コードマップ、縮退マ
ップの 3 種のマップの整合を確認した上で、指定されたマップセット名を識別子として 3 種
のマップをまとめてマップセットとして登録する。(図 5-6参照)
マップの整合に問題がある場合は、エラーリストを表示する。
登録先にはシステム環境として定義した保管先フォルダにマップセット名に対応するフ
ォルダ(マップセットフォルダ)を作成し、そこへ CSV ファイルを複製し保管するものとす
る。同時にフォルダの登録内容、登録日次など運用保守に必要な管理情報を記録したテキ
ストファイル(マップセット管理情報)を同フォルダに作成する。
また、縮退文字一覧ファイルを生成し、後述の縮退文字一覧出力機能と同様の縮退文字
一覧を結果として表示する。
40
文字変換基盤システム(サーバ)
サーバストレージ
管理用端末
マップセット
登録画面生成
マップセット
登録画面表示
連携元文字
コードマップ
マップファイル
受領
マップセットフォルダ
マップセット名
指定および
マップファイル
アップロード
マップセットフォルダ
マップファイル
整合性検査
マップセットフォルダ
エラーあり
連携先文字
コードマップ
マップセット
管理情報
マップセット登録
縮退マップ
エラーリスト生成
エラーリスト表示
文字コー
ドマップ
縮退文字
一覧
図 5-6
縮退文字一覧
生成
縮退文字一覧
表示
マップセット登録機能
詳細機能のブロック図
5.4.2.2 マップセット削除機能
マップセット削除機能では、マップセットの一覧を表示し、削除対象として指定された
マップセットを削除する。(図 5-7参照)
文字変換基盤システム(サーバ)
サーバストレージ
管理用端末
マップセット
一覧画面生成
マップセット
一覧画面表示
削除マップセット
名指定
マップセットフォルダ
マップセットフォルダ
マップセットフォルダ
マップセット
管理情報
マップセット削除
文字コー
ドマップ
縮退文字
一覧
図 5-7
マップセット
一覧画面生成
マップセット
一覧画面表示
マップセット削除機能
41
詳細機能のブロック図
5.4.2.3 縮退文字一覧出力機能
縮退文字一覧出力機能は、マップセット登録時に生成した縮退文字一覧ファイルをもとに、
縮退が発生している文字の一覧である縮退文字一覧を表示する。 (図 5-8参照)
縮退 文字 一 覧は 連 携元 文字 コー ド マッ プ 、縮 退マ ップ 、 連携 先 文字 コー ドマ ッ プに よ る一
連の変換関係を示すものとする。すなわち、連携元文字コード→MJ 文字図形名(連携元)→MJ
文字図形名(連携先)→連携先文字コードを串刺しで表示する。
表示では、MJ 文字図形名(連携元)、MJ 文字図形名(連携先)に対応して IPA 文字情報基盤サ
イトから取得した MJ 文字図形名のイメージをもとにした表示を行う。連携元文字コードおよ
び連携先文字コードに対応する連携元、連携先システムの文字字形の表示は行わないこととす
る。
文字変換基盤システム(サーバ)
サーバストレージ
管理用端末
マップセット
一覧画面生成
マップセット
一覧画面表示
縮退文字一覧
表示対象
マップセット名
指定
マップセットフォルダ
マップセットフォルダ
マップセットフォルダ
マップセット
管理情報
文字コー
ドマップ
縮退文字
一覧
図 5-8
縮退文字
一覧画面生成
縮退文字
一覧画面表示
縮退文字一覧出力機能
42
詳細機能のブロック図