IMF 新専務理事にクリスティーヌ・ラガルド氏を 選出

ビジネス
IMF 新専務理事にクリスティーヌ・ラガルド氏を
選出
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国際通貨基金(IMF)は、性的暴行事件の渦中に辞任したドミニク・ストロスカーン前専務
理事の後任に、フランスのクリスティーヌ・ラガルド氏を正式に選出した。7 月 5 日付で
就任、任期は 5 年間。
専務理事選には、メキシコ中央銀行のアグスティン・カルステンス総裁も立候補してい
たが、IMF 理事会は総意に基づいて、前フランス財政相のラガルド氏を新専務理事に
選出した。1944 年に IMF が創設されて以来、女性のトップ就任は初となる。
ラガルド氏は選出を受け、「大変名誉なことだ」と述べた。また、ニコラ・サルコジ仏大統
領は「フランスの勝利」と評した。カルステンス総裁はラガルド氏の勝利を祝福し、「ラガ
ルド氏の下、IMF がその正当性、結束力、そして有効性を確実なものにするために、ガ
バナンス強化において意義ある進展を追求することを期待する」と話した。
ラガルド氏がすぐに直面する課題の 1 つは、国際的危機の永続につながる可能性があ
るギリシャの債務不履行を回避すること。氏は、IMF や欧州連合(EU)がさらなる支援の
必須条件と考える緊縮財政措置の実施に向けた迅速な行動を、ギリシャに促した。
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国内
平泉と小笠原諸島が世界遺産リストに登録
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国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産委員会は 6 月、平泉の文化遺産
(岩手県)と小笠原諸島(東京都)を世界遺産に認定した。7 月 25 日現在、ユネスコのリ
ストに記載された日本の世界遺産は 16 件。文化遺産と自然遺産の両方が含まれる。
「平泉―仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺産群―」は、平安時代(794~
1185)後期に奥州藤原一族によって造られた 5 件の資産から成る。これらの構成資産
には、堂の内外に金箔が施された金色堂で名高い中尊寺、金鶏山などが含まれる。
平泉の世界遺産登録は、3 月 11 日の震災と津波で大きな被害を受けた東北地方にと
って、観光回復への起爆剤となると期待される。「歴史上、平泉は戦争や激動の時代
から、東北復興の中心となってきました。今後、平泉は震災からの復興・再生のシンボ
ルとなるでしょう」、と達増拓也岩手県知事は述べた。
希尐な動植物の生息地である小笠原諸島は、東京から約 1,000 キロメートル南にある 30
以上の島々で構成される。「東洋のガラパゴス」と呼ばれ、自然資産の宝庫である小笠原
諸島には、絶滅危惧種のオガサワラオオコウモリなどが生息している。
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科学
夢をかなえた古川宇宙飛行士
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日本人宇宙飛行士・古川聡さんの子どものころの夢は、特撮テレビ番組のヒーロー、ウ
ルトラセブンのように宇宙を飛ぶことだった。6 月、彼の夢はついにかなった。古川さんと他
2 名の宇宙飛行士を乗せたソユーズ宇宙船が、国際宇宙ステーションに向けて、カザフスタ
ンから打ち上げられたのだ。
古川さんは、1964 年横浜生まれ。東京で医師としての訓練を受け、1999 年まで病院に勤務。
その後、宇宙飛行士になるためのトレーニングを受け始めた。しかし、チャレンジャー号や
コロンビア号の事故などの影響を受け、スペースシャトル計画に遅れが生じたため、古川さ
んは 6 月 8 日に初の宇宙飛行を迎えるまでに、12 年間待たなければならなかった。
古川さんは、ロシアのセルゲイ・ボルコフ飛行士と米国のマイケル・フォッサム飛行士ととも
に、国際宇宙ステーションに約半年間滞在する予定。これまでのところ、古川さんは宇宙酔
いに悩まされている。ツイッター上で、「特に急に頭を動かすと、気持ちが悪くて吐き気がす
る。頭の芯も重い。何とかしてください!」とつぶやいている。
古川さんは国際宇宙ステーションに滞在中、キュウリの栽培を予定している。これは、重力
が食物栽培にどのような影響を与えるのかを評価するための実験の一部である。この実験
に関して古川さんは、「キュウリを食べたくなるだろうが、残念ながら許されていない」と話し
た。
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カルチャー
村上春樹氏、日本の原発政策を批判
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人気作家の村上春樹氏が、スペインのバルセロナで行われたカタルーニャ国際賞授賞
式のスピーチで、日本の原子力政策を批判した。村上氏は福島第一原子力発電所で
今も続く危機的状況は、「われわれ自らの手で犯した罪である」と述べた。
『ノルウェイの森』『1Q84』などのベストセラー小説で知られる村上氏は、6 月にカタルー
ニャ国際賞を受賞。1989 年に創設されたこの賞は、毎年、カタルーニャ自治州政府に
よって、人文科学分野において顕著な功績を残した人物に贈られる。これまでに、ミャ
ンマーの民主化運動指導者アウン・サン・スー・チーさんや、フランスの人類学者クロー
ド・レヴィ=ストロース氏が受賞。
村上氏は福島の原発事故について、1945 年に広島と長崎に原爆が投下されて以来、
日本人が歴史上体験する 2 度目の核の悲劇であると指摘したと伝えられている。「放
射能がこの世界や人間の身にどれほど深い傷跡を残すのかを、われわれは原爆被害
者の犠牲の上に学びました。だからこそ、日本人は核に『ノー』と言い続けるべきだった
のです」、と村上氏は述べた。
また、村上氏は賞金 8 万ユーロを、3 月 11 日の震災と津波の被害者、および原発事故
の影響を受けた人々を支援するために寄付することについても言及した。
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お悔やみ
刑事コロンボを演じたピーター・フォーク氏死去
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コロンボ刑事役で知られる米国の俳優ピーター・フォーク氏が 6 月 23 日、ビバリーヒル
ズで亡くなった。83 歳だった。アルツハイマー病を患っていたと伝えられている。
フォーク氏は、1927 年 9 月 16 日ニューヨーク生まれ。舞台および映画俳優として、顕著
なキャリアを築いた。1972 年、ニール・サイモン脚本によるブロードウェイ作品『二番街
の囚人』でトニー賞を受賞。また、ギャング映画『殺人会社』(1960)、フランク・キャプラ
監督のコメディ映画『ポケット一杯の幸福』(1961)で、アカデミー賞にノミネートされた。
しかし、多くのファンにとってフォーク氏は、長期放映されたテレビシリーズ『刑事コロン
ボ』の主役――葉巻がトレードマークのコロンボとして記憶に残っているに違いない。
1968 年、フォーク氏は『刑事コロンボ』の第1作、『殺人処方箋』で、コロンボ刑事役とし
て初登場。13 シーズンにわたってコロンボ役を務め、同テレビシリーズでエミー賞を 4
回受賞した。
コロンボ刑事が犯人を追い詰め、核心を突いた質問を浴びせるときにしばしば使う口
癖、「あっ、最後にもうひとつだけ(聞いてもいいですか)…」は世界中の多くの人々に知ら
れている。
フォーク氏は生前、よれよれのトレンチコートを着たコロンボ刑事について、「彼はまる
で洪水の犠牲者のように見える」と話していた。「あなたは彼に同情するだろう。彼は何も
見ていないように見えるが、すべてを見ている。」
注:記事は 2011 年 7 月 25 日現在の情報を基にしています。
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