Clinical Case Studies Teenaged Siblings with Progressive Neurocognitive Disease David Haarburger1,*, Rudi Renison2, Surita Meldau1, Roland Eastman2 and George van der Watt1 1 Division of Chemical Pathology, Groote Schuur and Red Cross War Memorial Children's Hospitals, National Health Laboratories Service, University of Cape Town; 2 Division of Neurology, Groote Schuur Hospital, University of Cape Town. * Address correspondence to this author at: C17 NHLS Laboratory, Groote Schuur Hospital, Private Bag, Observatory, 7937, South Africa. Fax +27-21-404-4105; e-mail [email protected] 臨床症例研究 進行性の神経認知疾患の 10 代の兄弟姉妹 ■症例説明 二人の兄弟姉妹は、進行性の神経機能低下の精密検査のために紹介されてきた。上の子は、認知機能 の退縮と、全身性の強直間代てんかんとなる寝たきり状態が進行しており、歩行困難となった 9 歳ま では無症状であった 16 歳の少年であった。下の子は、6 歳で同じような症状が発症した 14 歳の少女で あった。兄弟姉妹は血縁関係のない家族の 6 人の子供のうち、最も年齢が高かった。両方の子供は、 時々、新鮮な農産物と動物性タンパク質を摂取し、主に高炭水化物(トウモロコシ)がベースとなる 食事を食べていた。症状が発現するまで、彼らは正常に発達していた。両方の子供は、バルプロ酸ナ トリウムによる治療が上手くいかなかった。診断の際、彼らは最小のコミュニケーションスキルと、 重度の認識機能障害を示した。彼らは四肢に痙攣性麻痺があった。 その兄の脳波検査は、広汎性で可能性の高いてんかん発作病巣を明らかにし、脳コンピューター断層 撮影は、白質の最小化による著しい脳萎縮を示した。初期のラボ検査の結果、全血球測定、電解質や 尿素の測定、甲状腺や肝機能テストは、全て基準値以内であった。梅毒血清検査は、陰性であった。 遺伝的代謝性疾患のスクリーニングには、血漿アミノ酸や尿有機酸の測定を行った。年上の男の子に 対し実施された検査結果は、Table 1 に示す。 1 ■考慮されるべき質問 1.ホモシシテインを最も上昇させる (>50 μmol/l) 、最も一般的な原因は? 2.どの栄養素の欠乏が、ホモシシテイン濃度の増加に関連するのか? 3.血漿ホモシステイン濃度の増加に伴う有害な影響は? ■考察 ホモシステイン ホモシステインは、非必須で、蛋白質を形成せず、チオールを含有するアミノ酸であり、血中におい て、速やかにホモシステインや他のジスルフィドに酸化される。僅か 1%が、遊離還元型として存在す る。ヒトにおいてホモシステインの一つのソースは、必須アミノ酸、メチオニンの脱メチル化であり、 2 つの中間化合物、S-アデノシルメチオニン (SAM)3 と S-アデノシルホモシステイン (SAH)を介する。 ホモシステインは、再メチル化経路、もしくはトランス硫化を介して不可逆的にシステインへ分解さ れることによって、メチオニンに再生されることが出来る。 血漿ホモシステイン濃度の増加は、いくつかの機序を介して有害作用を生じる (1)。ホモシステインは、 酸素分子と反応し、ホモシスチンや活性酸素種を産生する。それはまたチオール化タンパクを生成す るタンパクとの、ジスルフィドを形成することが出来る。加えて高濃度のホモシステインは、リシン 残基を翻訳後、修飾するかもしれないチオラクトンを形成するために縮合し、多量体化、構造変化や 変性をするホモシステイン化タンパクを形成する (2)。酵素のホモシステイン化は、活性の完全な欠損 を生じる。 高ホモシステイン血症 高ホモシステイン血症は、かなり一般的で人口のおおよそ 5%に生じる。大抵のケースは、B12、B6 も 2 しくは葉酸の栄養欠乏によるもので、全てのケースの 3 分の 2 を占める (3)。葉酸は、ホモシステイン の再メチル化に必要であり (Fig. 1)、その不足は高ホモシステイン血症の有力な原因となる。ビタミン B12 と、少ないながら B6 の欠乏は、ホモシステイン濃度の上昇を促す。なぜなら、それらはそれぞれメ チオニン合成酵素や、シスタチオニン合成酵素のコファクターであるからだ。しかしホモシステイン 濃度を調節するリボフラビンの役割については、あまり重要ではないが、リボフラビンはフラビン依 存性酵素メチレンテトラヒドロ葉酸レダクターゼ (MTHFR)に必要とされる。高ホモシステイン血症を 発症する他の原因は、腎臓病やメトトレキサートや亜酸化窒素、特定の抗痙攣薬を含む薬物によるも のだ。 遺伝性の抗ホモシステイン血症は、軽度 (<50 μmol/L) もしくは、重症 (>50 μmol/L)の型で生じ、血漿 総ホモシステイン濃度に基づく。軽症の原因は、メチレンテトラヒドロ葉酸レダクターゼ (NAD(P)H) (MTHFR) 遺伝子の 677C>T (Ala222Val)や 1298A>C (Glu429Ala)の変異により、部分的な MTHFR 欠損を 生じる。677C>T 変異は、ホモ接合体の 70%の酵素活性をもつ、熱不安定タンパクを生成する。 重症遺伝性高ホモシステイン血症の最も一般的な原因は、シスタチオニンβ−シンターゼの欠損 (古典的 ホモシスチン尿症Ι型)であり、200,000人から335,000人に1人の確率で発症する (4)。一般的でない原因 は、MTHFR 欠損であり、メチオニンシンターゼ (5-メチルテトラヒドロ葉酸-ホモシステイン メチルト ランスフェラーゼ (MTR、別名 CblG)の変異で生じる)の欠陥や、メチオニンシンターゼレダクターゼ (5-メチルテトラヒドロ葉酸-ホモシステイン メチルトランスフェラーゼレダクターゼ (MTRR、別名 CblE))の変異体や、ホモシスチン尿症遺伝子上のメチルマロン酸尿症(コバラミン欠乏)cblD タイプ (MMADHC)遺伝子の Cb1D 変異体-1 の欠陥のようなビタミン B12 代謝の欠損による。 患者のフォローアップ 二人の青年期の兄弟の若年発症型進行性の認知障害の臨床症状は、遺伝性代謝障害の可能性を示唆し た。重症高ホモシステイン血症の所見は、ホモシステイン代謝の障害を示唆した。典型的な筋骨格異 常 (長骨過成長、高アーチ型口蓋、叢生歯)や水晶体亜脱臼が見られないので、シスタチオニンβシンター ゼの欠損は考えられない。赤血球葉酸、血漿ビタミンΒ12、血漿シスタチオニンの濃度が標準値内であ り、大赤血球症ではないことからビタミンの欠乏の可能性は排除される。加えて、尿酸メチルマロン 酸や2−メチルクエン酸濃度が、標準値内であり、ビタミンΒ12の欠乏、もしくは多くのビタミンΒ12の代 謝異常の可能性が除外される。重症高ホモシステイン血症の残りの稀な遺伝的原因のうち、MTHFR の 欠損だけが、検査及び臨床所見と一致する。 MTHFR 活性は、培養皮膚繊維芽細胞により測定された。両患者において、MTHFR 活性は、コントロ ールの<5%であった。遺伝子配列は、MTHFR 遺伝子の新規の c760C>T (Pro254Ser)変異のホモ接合体を 明らかにした。家族スクリーニングは、両親が同じ変異のキャリアであることを確認し、加えて、ま だ無症状のホモ接合体を持つ 6 歳の兄弟も同様に特定された。 非血縁家族で、稀な劣性障害を生じる新規のホモ接合の変異の発見は、驚きだった。同じ祖先の個人 からさらに 182 の無関係な DNA サンプルでは、その変異に対し陰性であることを示したが、最近持ち 出された局所的な創始遺伝子効果は、その可能性を残している。 発症した兄弟は、高濃度の葉酸摂取 (毎日 20 mg)を開始し、3 か月以内に発作はバルプロ酸ナトリウム 3 が中止できるまで回復した。認知機能は、両方のケースにおいて穏やかに向上したが、残念なことに、 痙縮はのこった。 MTHFR 欠損 MTHFR は、細胞質酵素であり、メチレンテトラヒドロ葉酸の還元反応を触媒し、メチルテトラヒドロ 葉酸 (メチル THF)を生成する。 MTHFR 欠損 (MIM236250)は、常染色体劣性遺伝疾患であり、葉酸代 謝で最も一般的な生まれつきの障害であり、神経学的および血管の合併症を示す。150 人以上の患者と 50 以上の疾患を引き起こす変異が報告されている (5, 6)。臨床経過の重症度は、発症年齢と残存酵素活 性に良く相関し、三つの型が記述されている (7)。幼児での発症型は、速やかに進行し、生後一年目か ら低血圧、無気力、食欲不振、仮死、発作や小頭症が見られる。小児期発症の型は、1-10 歳位の子供 に影響を与え、一般的に発達遅延、歩行障害、運動失調や発作を示す。脆弱、痙攣性不全麻痺、背柱 所見や知覚変化、発語障害が組み合わさった錐体路徴候は、不定ながら見られ、血栓症や水晶体脱臼 は稀である。成人の型は、小児型と同様の形態を示すが、末梢性神経障害や精神症状も顕著である。 病態生理学 重症高ホモシステイン血症は、早期のアテローム性動脈硬化症や動脈および静脈両血栓症と関連する。 罹患率や死亡率の主要な原因は、血栓塞栓症や脳血管発作、末梢性動脈血栓症、心筋梗塞である。低 メチオニン濃度と高ホモシステイン濃度によって、高い SAH/SAM 比も生じ、神経伝達物質の合成、ミ エリン塩基タンパクの翻訳後メチル化修飾、DNA メチル化などの遺伝子発現のエピジェネティックな 調節に必須である 115 以上の異なるメチル化反応を阻害する (8)。脳萎縮と白質変化は副次的に脱ミエ リン化や血管症状を生じる。これらすべての要因は、この障害の神経病態に寄与することが提唱され ている。加えて、自然の葉酸の中で、メチル THF のみがかなりの量で血管-脳バリアを通過し、機能的 に低い脳葉酸濃度を生じる (9)。 治療. 初期の診断と治療は、重症 MTHFR 欠損に関連した重篤な神経学的結果を改善するかもしれない (5)。 治療のゴールは、 再メチル化障害を回避する事であり、生化学的パラメーターを修正し、通常の神経 発達を確かめることである。これは、メチル化 THF やメチオニンを補充することによって達成され、 メチオニン欠乏の補正や血漿ホモシステインの還元を生じる。ピリドキシンやコバラミンは、ホモシ ステインのクリアランスを強化するために補われ、リボフラビンは残存する MTHFR 活性を高めるため に投与される。SAM は、カルニチン de novo 合成に必要とされるので、カルニチンサプリメントが推 奨されている。ホモシステインは、また、別のメチル基ドナー、ベタインを介してメチオニンをメチ ル化することが出来る。これは、酵素ベタイン-ホモシステインメチルトランスフェラーゼを介して生 じ、肝や腎臓のみで生じる。 早期治療は、発達上の回復と更なる神経の悪化を予防する点で、良好な結果をもたらすかもしれない が、治療がこのケースのように遅れて始まる場合、治療効果はあまり大きくない。 新生児スクリーニング 4 完全な MTHFR 欠損の早期の診断と治療の実証が、その利点をはっきりと支持するにもかかわらず、 この障害の新生児スクリーニング (NBS)は、ほとんど行われていない。ホモシスチン尿症に対する現在 のスクリーニングは、血漿メチオニンの増加を特定することに基づき、非古典的ホモシスチン尿症を 検出しないだろう。誤った時期でのサンプル収集や、母乳の低いメチオニン濃度は、このテストの診 断感度を悪くしている。NBS によって検出される基準値内のメチオニン濃度を示す、古典的なホモシ スチン尿症の症例も、まだ記述されている。この問題に対処するために、NBS プロトコルでホモシス テインの測定法が最近、検討された (10)。一般に成功したものの、ホモシステインの安定性や新生児期 のその濃度の変動に関して、不確実なものもある。この種のスクリーニングが主流の評価手法になる まで、臨床医は MTHFR 欠損は現在の NBS によって同定されない、治療可能な代謝性疾患の一つであ ると考えるべきであり、したがって、血漿の総ホモシステインは、進行性の神経障害を持つ幼児もし くは子供の精密検査で考慮されるべきである。 ■覚えておくべき点 • • • • 重症高ホモシステイン血症で最も一般的な原因は、シスタチオニンβ−シンターゼ欠損 (ホモシス チン尿症Ι型)であるが、他の遺伝性の要因として、MTHFR 欠損や、MTR (CblG)や MTRR (CblE) 変異が考えられる。 高ホモシステイン血症 は、ホモシステイン、メチオニン、メチルマロン酸や赤血球平均血球体 積を測定することで診断できる。 完全な MTHFR 欠損の早期の診断と治療は、病気の進行を抑制し、神経顎堤治療効果を改善する かもしれない。 MTHFR 欠損は、現在の NBS によって診断されない重症高ホモシステイン血症を引き起こす。 したがって、進行性の認知障害を持つ幼児または子供に対して、異なる診断を行うべきである。 • Acknowledgments We thank Professor Brian Fowler of Basel University Children's Hospital for performing the enzyme studies. Footnotes This manuscript was presented previously as a poster at the Annual Congress of the Neurological Association of South Africa on March 16, 2012. 3 Nonstandard abbreviations: SAM, S-adenosylmethionine; SAH, S-adenosylhomocysteine; MTHFR, methylenetetrahydrofolate reductase; 5 methylTHF, methyltetrahydrofolate; NBS, newborn screening. 4 Human genes: MTHFR, methylenetetrahydrofolate reductase (NAD(P)H); MTR, 5-methyltetrahydrofolate-homocysteine methyltransferase; MTRR, 5-methyltetrahydrofolate-homocysteine methyltransferase reductase; MMADHC, 5-methyltetrahydrofolate-homocysteine methyltransferase reductase. Author Contributions: All authors confirmed they have contributed to the intellectual content of this paper and have met the following 3 requirements: (a) significant contributions to the conception and design, acquisition of data, or analysis and interpretation of data; (b) drafting or revising the article for intellectual content; and (c) final approval of the published article. Authors' Disclosures or Potential Conflicts of Interest: No authors declared any potential conflicts of interest. Received for publication June 1, 2012. Accepted for publication January 4, 2013. © 2013 The American Association for Clinical Chemistry References 1. Ramakrishnan S, Sulochana KN, Lakshmi S, Selvi R, Angayarkanni N. Biochemistry of homocysteine in health and diseases. Indian J Biochem Biophys 2006;43:275–83. 2. Jakubowski H. The pathophysiological hypothesis of homocysteine thiolactone-mediated vascular disease. J Physiol Pharmacol 2008;59:155–67. 3. Selhub J, Jacques PF, Rosenberg IH, Rogers G, Bowman BA, Gunter EW, et al. Serum total homocysteine concentrations in the Third National Health and Nutrition Examination Survey (1991–1994): population reference ranges and contribution of vitamin status to high serum concentrations. Ann Intern Med 1999;131:331–9. 4. Oladipo O, Spreitsma L, Dietzen DJ, Shinawi M. Increased homocysteine in a patient diagnosed with Marfan syndrome. Clin Chem 2010;56:1665–8. 6 5. Schiff M, Benoist JF, Tilea B, Royer N, Giraudier S, Ogier de Baulny H. Isolated remethylation disorders: do our treatments benefit patients? J Inherit Metab Dis 2011;34:137–45. 6. The Human Gene Mutation Database. http://www.hgmd.cf.ac.uk/ac/all.php (Accessed June 2013). 7. Tsuji M, Takagi A, Sameshima K, Iai M, Yamashita S, Shinbo H, et al. 5,10-methylenetetrahydrofolate reductase deficiency with progressive polyneuropathy in an infant. Brain Dev 2011;33:521–4. 8. Lee CC, Surtees R, Duchen LW. Distal motor axonopathy and central nervous system myelin vacuolation caused by cycloleucine, an inhibitor of methionine adenosyltransferase. Brain 1992;115:935–55. 9. Levitt M, Nixon PF, Pincus JH, Bertino JR. Transport characteristics of folates in cerebrospinal fluid; a study utilizing doubly labeled 5-methyltetrahydrofolate and 5-formyltetrahydrofolate. J Clin Invest 1971;50:1301–8. 10. Gan-Schreier H, Kebbewar M, Fang-Hoffmann J, Wilrich J, Abdoh G, Ben-Omran T, et al. Newborn population screening for classic homocystinuria by determination of total homocysteine from Guthrie cards. J Pediatr 2010;156:427–32. Fig. 1 欠陥が起こり得る点を灰色で強調したホモシステイン代謝の概要 検査所見も示す。Ad-Cbl、アデノシルコバラミン; B6, リン酸ピリドキサール; Cbl, コバラミン; CBS, シスタチオ ニン-β-シンターゼ; CGL、シスタチオニン-γ-リアーゼ; FAD、フラビンアデニンジヌクレチオド; Hcy、ホモシ 7 ステイン; MC、大赤血球症; Met、メチオニン; Met-Cbl、メチルコバラミン; MMA、メチルマロン酸; メチオニンシンターゼ; THF、テトラヒドロ葉酸; 基準値内; 低-正常、正常値の低限近く MS、 ■論評 Ivo Barić1,2,* Author Affiliations 1 2 Department of Pediatrics, University Hospital Center Zagreb and University of Zagreb, School of Medicine, Zagreb, Croatia. * Address correspondence to the author at: Department of Pediatrics, University Hospital Center Zagreb, Kišpatićeva 12, Rebro, 10000 Zagreb, Croatia. Fax +385-1-2376023; e-mail [email protected]. この症例報告は、診断の遅れによる遺伝性代謝性疾患の悲劇的結果を示す、数えきれない例の一つを 記述したものである。数年の間、同じ症状を呈する二人の兄弟がいるのにかかわらず、正しい診断に 繋がらなかったという事実は、更に痛ましい。 この話は、予期されない神経性症状を持つすべての患者に対し、総ホモシステインの測定を行うこと の必要性を強調している。なぜなら、特にホモシステイン血症に関連する代謝性疾患は、治療可能で あるからだ。遺伝性代謝性疾患の低い発病率と、大半の医師のその病気に対する経験不足から、医師 はしばしば異なる診断のリストの最後に代謝性疾患を考える。ホモシステイン血症に関連した病気に 対する診断が遅れる理由は他にもある。いくつかの病気のマーカーとして、ホモシステインは代謝性 スクリーニング (アミノ酸と有機酸で行われるように) に含まれるべきという限られた知識と、総ホモ システインがスタンダードなアミノ酸分析では測定されず、別途になされなければならないという無 知がある。これらの理由や、総ホモシステインのみがホモシステインの体内蓄積を表すと高ホモシス テイン血症の異なる診断を議論している間、著者たちは、この病気の臨床兆候 (長骨過形成や水晶体亜 脱臼)が見られないことから、シスタチオニンβ-シンターゼ欠乏は、ありそうもないと言った。しかし ながら、読者たちは、この病気が血管系にのみ症状を呈するかもしれないことを考慮すべきだ。Fig. 1 に関連していくつかの点が挙げられる。最初に、大赤血球症は、高ホモシステイン血症の原因を識別 するために信頼できない。なぜなら、平均血球体積は、多くの因子に依存するからである。2 番目に、 コバラミン代謝 CblC や CblF の遺伝性疾患を持つ患者において、メチオニン濃度は低い。3 番目に、 CblJ 欠損が、近年報告されており、CblF で観察されたものと同様の所見を示す。 Footnotes Author Contributions: All authors confirmed they have contributed to the intellectual content of this paper and have met the following 3 requirements: (a) significant contributions to the conception and design, acquisition of data, or analysis and interpretation of data; (b) drafting or revising the article for intellectual content; and (c) final approval of the published article. Authors' Disclosures or Potential Conflicts of Interest: Upon manuscript submission, all authors completed the author disclosure form. Disclosures and/or potential conflicts of interest: 8 Employment or Leadership: None declared. Consultant or Advisory Role: None declared. Stock Ownership: None declared. Honoraria: None declared. Research Funding: I. Barić, grant no. 108-1081870-1885 Ministry of Science, Education and Sport, Republic of Croatia. Expert Testimony: None declared. Patents: None declared. Received for publication May 4, 2013. Accepted for publication May 20, 2013. © 2013 The American Association for Clinical Chemistry ■論評 Dennis Dietzen* Author Affiliations Department of Pediatrics, Washington University School of Medicine, St. Louis, MO. * Address correspondence to the author at: Washington University School of Medicine, Box 8116, One Childrens Place, Rm. 2N68, St. Louis, MO 63110. Fax 314-454-2274; e-mail [email protected]. 発達遅延もしくは後退の事例は、小児科において最も一般的で難解である。表現型の特徴は、非特異 的であり、歩行障害、認知障害、発作、卒中や精神症状と含む。治療可能な代謝性障害の検出の失敗 は、患者に一生の障害を負わすかもしれない。新生児スクリーニングプログラムは、これらの条件を 包括的に同定することができないので、臨床医は、これらの条件の生化学的基礎や検出ツールについ て考えなければならない。 カルボニル基 (=C=O)は、ビオチン依存的な反応で代謝される。メチル基 (-CH3)、メチレン基 (-CH2-)や メチリジン基 (-CH=)のような、酸化を受けにくい単一炭素ユニットの代謝は、葉酸によって促進され る。葉酸依存的な分子種は、プリン、ピリミジン、クレアチンやミエリンを含み、DNA 合成からエネ ルギー供給まで、多様な細胞機能に働く。ホモシステインの蓄積は、診断上感度が良いが、葉酸代謝 を壊す非特異的なインジケータである。ホモシステイン血症 (尿症)は、栄養失調、シスタチオニンβ-シ ンターゼ変異もしくは、葉酸やコバラミン代謝異常から来るかもしれない。これらの代謝異常を検出 9 しかつ定義する万能の方策はない。総血漿ホモシステインの標的免疫測定が一般に普及しているが、 代謝の調査は、主にアミノ酸、カルニチンエステルや有機酸の包括的なプロファイルから始められる。 ホモシステインは、酸化型ホモダイマー、ホモシスチンとしてアミノ酸プロファイルで検出される。 従って、ホモシステインの微増は、包括的な代謝プロファイルに速やかに認識されないかもしれない。 これらの疾患において、ホモシステイン濃度は同程度で、補助代謝物質はその機序を決定するために 検討されなければならない。基準値内もしくは低い血漿メチオニン濃度は、葉酸もしくはコバラミン 依存性メカニズムを示唆する一方、メチオニンの増加は、シスタチオニン-β-シンターゼ欠損と関連す る。メチルマロン酸のコハク酸への転換は、アデノシルコバラミンを必要とするので、メチルマロン 酸は、コバラミンの状態のインジケータとして働く。様々な方法でそのメタボロームを定義すること ができるにもかかわらず、診断や治療のアプローチは未だ、遺伝子分析を必要とする。全ての事例に おいて、検査ラボと臨床医の密接な関係は、適格な診断および治療に必須である。 (訳者 間下 有子) Footnotes Author Contributions: All authors confirmed they have contributed to the intellectual content of this paper and have met the following 3 requirements: (a) significant contributions to the conception and design, acquisition of data, or analysis and interpretation of data; (b) drafting or revising the article for intellectual content; and (c) final approval of the published article. Authors' Disclosures or Potential Conflicts of Interest: Upon manuscript submission, all authors completed the author disclosure form. Disclosures and/or potential conflicts of interest: Employment or Leadership: D. Dietzen, AACC Board of Directors. Consultant or Advisory Role: None declared. Stock Ownership: None declared. Honoraria: None declared. Research Funding: None declared. Expert Testimony: None declared. Patents: None declared. Received for publication April 22, 2013. Accepted for publication April 29, 2013. © 2013 The American Association for Clinical Chemistry 10
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