平成 16 年度後期 公開授業の記録 講義名 「芸術の歴史と理論」 (文化史の中の音楽) 担当教師 文化教育学部 高野茂 日時 平成 16 年 11 月 17 日第二校時 授業の概要 今回参観をした授業は二回一組の後半に当たっているとの説明が授業者の高野先生からあっ た。受講者数は約196名。前回(前半)の参観をしていないので、今回の授業(後半)のみに ついて感想を以下にまとめています。 授業は、大きく分けて、以下の三つの部分(①、②、③)から構成されている: ①Gustav Mah1er(1860-1911)の『子供の魔法の角笛』から「高き知性への讃歌」 。 ○ 授業者の解説(概要):GustavMah1er(1860-1911)、オーストリアの交響曲作曲家。 ○ 歌曲では、 「さすらう若人の歌」(1880)、 「子供の魔法の角笛」(1888)、 「亡き子をしのぶ歌」 (1902)、中国の詩に基づいた「大地の歌」(1908)、などの作品がある。交響曲にしばしば声楽 を採り入れ、また歌曲を交響曲的な構想で書くなど異質にみえる 2 つの分野が作品の中で密 接に結びあっている点に特徴がある。 ②Richard Wagner(1813-1883)の『ニーベルンゲンの指輸』(Der Ring des Nibelungen)から「ジークフ リート」 。 ○ 授業者の解説(概要):Richard Wagner(1813-1883)、ドイツの作曲家。楽劇(オペラ)の大作「ニ ーベルンゲンの指輸」の初演は 1876 年。詩と音楽と舞台とが完全融合したドラマを作ることを根 本理念としている。現代音楽における無調音楽や十二音音楽の先駆的役割を果たした。 ○ 『ニーベルンゲンの指輪』について(概要):Wagner 作詞・作曲の楽劇(序劇と 3 部作)。 独立した 4 部分から成り、上演に 4 晩を要するので 4 部作ともいわれる。正式には「ラインの 黄金」を序とし「ワルキューレ」 、 「ジークフリート」 、 「神々のたそがれ」と続く 3 部作。前後 20 数年をかけて作られた。作品は管弦楽の編成も 108 名という膨大なもので、半音階的和音による 偽終止的効果によって段落なく長く続いていく感じを与える、いわゆる無限旋律の使用、示導動 機の有機的な用法、など Wagner 独自の手法を用いている。曲中に含まれる「神々のラルハラ入 城」 、 「ワルキューレの騎行」 、 「森のささやき」 、 「ジークフリートのラインの旅」 、 「葬送行進曲」 などは単独でも広く親しまれている。 ○ 『ニーベルンゲンの指輪』の粗筋:全世界の支配権を象徴する黄金の指輸をめぐって、地下 の国に住む小人族ニーベルンゲンと北欧の主神ウォータンが激しい闘争をして最後にいずれも 没落し献身的な愛に基づく自由な世界が生まれるというもの。 ③Oliver Messiaen(1908-1992)の『鳥のカタログ』から「もりひばり」 。 ○ 授業者の解説(概要):Messiaen(1908-1992)、フランスの作曲家、オルガン奏者。 人間性への復帰を主張し、カトリック的な世界観と音楽観に立脚した特異な作風で知られる。 40 年代末からは先端的な作風に移行し、前衛的な諾流派に強く影響を与えた。 「主の降誕」(1935)、 「時の終わりの四重奏曲」(1941)、 「アーメンの幻影」(1943)、 「幼児イエズスヘの 20 のまなざし」 (1944)、 「トゥランガリラ交響曲」(1948)、 「オルガンの本」(1951)などが有名。 上記①、②、③のそれぞれについて、授業者から作品の内容説明と背景説明(授業用資料が印刷 物で配布され、特に①については、歌詞がドイツ語とその日本語訳で示されていた)があり、その 後、実際に、①と③については CD による音声のみの演奏聴取、②については DVD を利用した 動画と音声による歌劇の録画の視聴を行った。 作品の背景と内容を理解させ、作品を聞く上でのポイントを指摘しており、シラバスにに示さ れた授業の日的は達成されているように思われた。 (記録者 文化教育学部 古賀雅子)
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