スポーツ文化論第1回 概論 講義予定 1:スポーツとは 2:スポーツの歴史1 古代から近世 7:スポーツと政治・ メディア・商業主義2 8:駅伝 3:スポーツの歴史2 近代スポーツの発展 9:スポーツと子ども 4:スポーツの歴史3 日本でのスポーツ 11:スポーツとドーピング 5:オリンピックとは 13:スポーツと根性 10:スポーツと女性 12:スポーツとバーンアウト 14 スポーツと高齢化 6:スポーツと政治・ メディア・商業主義1 15:各自リポート作成 スポーツの概念・意義 日本人のスポーツ観 学校体育とスポーツ 文化とは 大辞林 (1)社会を構成する人々によって習得・共有・ 伝達される行動様式ないし生活様式の総体。言 語・習俗・道徳・宗教,種々の制度などがその具 体例。(2)学問・芸術・宗教・道徳など,主と して精神的活動から生み出されたもの。 Wikipedia 人間が生み出した高い達成度を持つものを指すと共 に,人間の社会が長年にわたって形成してきた慣習 や振る舞いの体系を指す。 その他 人生の飾り。存在しなくても生きていける。 スポーツとは 大辞林:余暇活動・競技・体力つくりのために行 う身体運動。陸上競技・水泳・各種球技・ス キー・スケート・登山などの総称。 Wikipedia:人間が考案した施設や技術,ルールに よって営まれる,遊技・競争・肉体鍛錬の要素を含 む身体を使った行為。 研究社・新英和大辞典:(休養娯楽のために行う)運 動,競技,スポーツ。娯楽,楽しみ,慰み,気晴ら し,冗談,ふざけ,戯れ,からかい,冷やかし,笑 いもの,物笑い,おもちゃ,もてあそび物,めかし 屋,きざな人,ばくち打ち,突然変異 等々。 スポーツの語源 ラテン語のdeportare「休養・気晴らし・ 娯楽・運び去る・憂いを持ち去る」に由来 するといわれている。 中世のフランス語では desport となり, 14世紀のイギリス人が disport に転じ, 16世紀に sporte あるいは sport に省略し て用いるようになった。 英語化された当時は,まじめで義務的な事柄 からの気分転換,休養,娯楽を広く意味した。 16世紀には,戸外での楽しまれるゲームやき ばらしへ, 17∼18世紀には,野外での身体活動を伴う 気晴らしや娯楽,特に狩猟や賭を伴う勝負事や 見せびらかしへと, そして,19世紀中頃,戸外で行われる競技 的性格を持つゲームや運動を行うこと,および そのような娯楽の総称として使用された。 国際共通語としてのスポーツ スポーツの国際化に伴って共通認識が… 1968年ユネスコの国際体育・スポーツ会議で 「スポーツ宣言」として採択された。 遊戯の性格を持ち,自己または他人との競 争,あるいは自然的要素との対決を含む全て の身体活動がスポーツである。 しかし,これは競技スポーツの定義 スポーツの大衆化 1960年 西ドイツの「ゴールデンプラン」という スポーツの大衆化政策を皮切りとして 「みんなのスポーツ Sport for all」という考え方が 展開され, 「楽しみや健康を求めて,自発的に行われる運動」へ そして,生涯スポーツ論という考え方の登場で 「ライフステージ毎のQOLを高める運動・生涯に わたって自己開発を求める運動」として捉えられる ようにもなった。 スポーツは文化か? スポーツを人間の文化的営みとして考えるよう になったのは近年。それまでは,文化活動とス ポーツ活動を区別していた。 学校の課外活動に「文化部」と「運動部」が用いら れているように,スポーツ活動は「文化」ではな いような誤解が植え付けられた。 心身二元論:精神を高尚,身体を卑屈な物 ※ 明治時代にスポーツが流入した 時,日本人はスポーツを身体競技とし てのみ理解した。 そして,身体競技を体育(身体を鍛 える・強い兵士をつくる「手段」として 利用したため,「スポーツの豊かさ」は 捨て去られ,長い間スポーツが「文化」 とは見なされなかった。 スポーツの文化的特性 • 身体を基盤にした文化であること (身体は最も身近な自然である) • 自己目的的な身体活動であること • 基盤としてのスポーツマンシップと フェアプレイ(最も重要な要素) マナーとエチケット スポーツの価値の正当化 • スポーツを行わせる側の意味づけ スポーツの効用によって価値を正当化するもの。収入 増,健康増進,忠誠心の向上,健全な精神の向上,人 間性の向上,富国強兵。スポーツ実践から派生する社 会的価値に結びつけられたもの。→ スポーツ手段論 • スポーツを行う側の意味づけ スポーツの体験その者が意味と価値を持ち,自己目的 的な活動として正当化するもの。ここには,あくまで 勝利を追求する中で,身体の諸能力を高めようとする 考え方と,今ある身体の諸能力の自由な発揮による楽 しさを優先する考え方がある。→ スポーツ目的論 日本人のスポーツ観 • 江戸末期まで 武術・鍛錬・修行 • 明治 近代スポーツが入ってきた。外来スポーツを短期間に消 化する段階で,日本人独特の「スポーツの見方・考え方」 が生まれた。それは日本人が自ら楽しむために考案した のではなく,他から与えられたものだったため。また, 「武術」の考えが根底にあったため,「楽しむ」ことが否 定・最悪視され,いつの間にか「道」になり「人格を磨く」 「自己鍛錬」「修行」「いさぎよさ」「犠牲」といった精神的な ものが強調されるようになった。 → 精神論・根性論 ※練習すれば強くなる:しごけば強くなると言う錯覚 (罰練習が必要条件)。滅私奉公・がんばる スポーツと運動 特定の目的を持ち,一定の決まりに従うものがスポー ツ。スポーツは単なる運動ではなく,共有されている 意味と価値,共通の秩序に従って行われる運動であ る。犬もボールを追うが,それは犬の本能である。 サッカーで人がボールを追うのは,ゲームに勝つため であり,追い方はゲームの規則に従わなければならな い。得点が具体的に求められる運動の意味と価値であ り,規則は運動を支配する秩序である。 殴り合いとボクシングを区別するものこそスポーツの 文化。 体 育 幕末の軍制改革に伴い,注目された語に gymnastics この邦訳が明治元年に「体操」に固定され, 明治6年に学校体育の教科名として用いられ Physical education の「体育」という訳語は 「体の教」「身体に関する教育」「身体の教育」「身体教 育」「身教」を経て,明治9年に「身体教育」を簡略化 した造語として誕生。 教科名として登場したのは第二次大戦後。 「体操」は,学校教育の中の軍事教練という位置づけで行 われていた。それをスポーツと結びつけたために,ス ポーツが本来持つ「楽しむ」という要素が欠け,文化とし ての側面が否定された 近代スポーツの研究・普及に努めたのは明治11年開設の 体育伝習所(現・筑波大学)。卒業生が全国の高等師範学 校や師範学校に赴任し,学校教育を通して近代スポーツ が広がっていった。 そのため,大学スポーツが日本の頂点となっていく。そ の後,1960年代の高度成長期になってスポーツの中心 が大学から企業へと移る。 しかし現在は…
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