57 蕊蝋&蝋蝋雛蝋i:iijii幽醗騒麺 5 ▲~10:-F里 )竺鐸ユ窪&超141選: 隆曾 児童期(小学生の時期) 爾5章のねらい雌紬轆蕊鯛)馳雌蝋騒鰔/ ,6.掴P、.》'し 57.tj全渥値1hF,上 Lb2 鰯身体と心のアンバランスな発達段階を理解する。 鰯抽象的な思考が生まれるプロセスを知る。 蝋思いやりや社会性の発達の大切さを考える。 郷軽度発達障害について理解する。 51.児童期の発達の全体的な様子 5-1-1.身長・体重の驚異的な変化 小学校6年間でもっとも大きく変化するのが,身長や体重といった目に見え る部分の変化である。成人ではほとんど変化がないこうした測度は,ほぼ一次 関数に近いような形で,年齢の変化にともなって確実に増えていく。 図5-1は,児童期前後の平均身長と平均体重の変化を示したものである。 1.1m程度であった幼稚園児が,小学校6年間で40cm以上成長していること がうかがわれる。体重についても,20kg足らずであった幼稚園児が,6年間 でおよそ2倍の体重になる。 このように,児童期は体が驚異的に大きくなっていくという特徴をもってい る。その変化の割合は,実際には乳幼児期のほうがずっと大きいのであるが, 児童期にはこの身体の見かけ上の大きさの変化が,運動能力の変化にもつなが っている,というもう1つの大きな特徴をもっている。 585児童191(小学生の時期) 0000000 6543210 身長(叩) 体重(、》 0000 4321 0 身長の変化 1111111 体重の変化 50 56789101112 56789101112 年齢[エー勇字=て=三百zl 年齢 図5-1体重と身長の変化(学校保健統筒1調査・平成17年度版よ')作成) 5-1-2.運動能力の変化 運動能力にはさまざまなもの(①長座体前屈,②握力,③上体起こし,④反 復横とび,⑤50m走,⑥20mシヤトルラン(往復持久走),⑦立ち幅とび,③ ソフトボール投げの8つの能力)があげられる(「平成15年度体力・運動能力 調査報告書」より作成;巻末の図B~図I参照)。 運動能力において,男女の性差が大きくあらわれるので,男女別に見ていく ことにしよう。 図B~図Iから明らかなように,児童期では8つの運動能力の指標のうち, 7つについては基本的に男子の方が運動能力が高い。唯一,長座の体前屈(か べを背に足を伸ばして座り,その状態での手のひらの位置と,最大限前屈した 時の位置)についてのみ6年間一貫して女子の方が高い運動能力を示すが,こ れも中学校3年生(15歳)あたりから男女逆転している。 握力,上体起こし,反復横とび,50m走においては,児童期の11歳頃まで は右上がりにその能力が増し,男女差はわずかである。 それに比べ,持久力を要求するシャトルランや,瞬発力を要求する立ち幅跳 びやソフトボール投げでは,児童期の早いうちから男女差があらわれ,年齢を 追うにつれてその差が拡がっていることが分かる。 こうした運動能力の性差は,単なる成長・発達が生み出す性差だけでなく, 小学校から中学校へという学校種間の移行とそれにともなうジェンダーの意識 5-2.個性の発達としての認知発達59 のあらわれという側面もあることを見逃してはならない。 5-1-3.二次性徴期 児童期の後期は,男子で精通,女子で初潮という二次性徴*の始まる時期で あり,こうした時期の子どもたちには適切な心構えを含めたアドヴァイスが必 要とされる。この時期は,性ホルモンの働きで,身長・体重の変化以上に身体 に大きな変化が起き始め,心(子ども)と体(大人の入り口)のアンバランス で精神的にも不安定になりやすい。 こうした二次性徴の発現は時代を追って徐々に早くなっており,これを成熟 前傾現象とよぶ。また,同様に時代を追って同年齢の子どもを比較すると身 長・体重等の値は徐々に大きくなっており,これを成長加速現象とよぶ。さら にこの2つの現象を総称して発達加速現象とよんでいる。 S-2個性の発達としての認知発達 児童期は認知発達にとって劇的な変化の見られる時期である。ここではピア ジェ(PiagetJ)の認知発達理論の枠組みを援用しながら,その発達のようす を見ていくことにしよう。 5-2-1.ピアジェ理論の基本概念 ピアジェは,認知発達の基本を,主体と環境との相互作用としてとらえた。 人間は生まれた段階で,生命維持装置としてのさまざまな反射行動をレパー トリーとしてもっている。頬に何か(母親の乳首)が触れたら,その方向に顔 を回転させる(ルーティング)。顔を動かせば唇に乳首があたる。そうすると それを口に取り込み,吸い始める(サッキング)。吸い始めると母乳がでてき えんげ て,口に入った!【)のは飲み込む(燕下)。こうした一連の行動の下図(設計図) をシェマとよぶ。そのシェマが対象としているものがエイリメント(滋養物) である。生命はこうした,ルーティング→サッキング→燕下といった一連のシ *二次性徴とは,身体的・生物的な`性的変化(初潮・精通現象など)のことをさし,そうした二 次性徴を経験したことによって,心理的・主観的な変化が見られることを第二次性徴という。 605児童期(小学生の時期) エマと,乳首・母乳といったエ》イリメントの相互作用で維持が図られる゜ シェマにエイリメントを取り込むことを同化,エイリメントがシェマの変更 を要求することを調節とよぶ。たとえば「握る」というシェマに母親の指やお 箸等が触れれば文字どおり「握る」(同化)ことになるが,大きな動物のぬい ぐるみの足があてがわれた時には,そのままでは握れない。そこでいったん手 のひらを大きく開いて(調節),その後握る(同化)。 このように,人間の行動は同化と調節のくり返しと見なすことができる。そ らせん のくり返しは,同じ平面上で同イヒと調節をくり返すのではなく,螺旋状に変化 していく。そのシェマは,最初は授乳のような感覚・運動的なものであるが, 次節に示すように,そのシェマが前提とするエイリメントが次々と高度なもの になっていく。しかしながら基本的にはシェマ(人間の側)とエイリメント (環境の側)のバランス関係の不断の修正であり,これを均衡化とよぶ。した がって,発達とは同化と調節のくり返しによる均衡化過程であるともいうこと ができる。 5-2-2.思考の発達 ピアジェはこうしたシェマの変化過程を,4つの段階に分けて考えた。 まず最初が,感覚運動的シェマと「モノ」のエイリメントで成り立つ感覚運 動期である。文字どおり,感覚器や運動器が主体となる,2歳頃までの乳幼児 の思考の特徴である。「カラダ」と「モノ」のかかわりの時期,ということが できる。 次に「モノ」の背後の「イメージ」や「シンボル」を用いることができるシ ェマに変わっていく。しかしながらその「用い方」は,体を動かして物を扱っ ていた感覚運動期の特徴,すなわち,特定のシェマが特定のエイリメントを対 象としている,というレベルを脱しえない。この段階を,前操作期とよぶ。言 葉遊びやごっこ遊びで,「モノ」を離れた思考ができる。およそ7歳頃までを さす。 小学生になる児童期は,「概念」をエイリメントにもつシェマが活発に用い られる時期といえる。しかしながらこの時期の「概念」は,背景の具体的な 「モノ」を前提にした概念であり,完全にモノの世界から切り離されたものと 5-2.個性の発達としての認知発達61 はならない。この時期を具体的操作期とよぶ。 この時期の思考の特徴に,「視覚的配置状況の過剰な力」がある。 彗議;鵠騰;門目:同剛 示す子どもは,標準刺激,移行刺激 灘蝋熱冒■二霞薑毫uiに談彗佑Ⅲ 「どっちが多い?」 げられ,結果的にどちらかが多い, という判断を示す。「形状を変えた(下の図の細線は眼球運動を示したものである) だけでは本質的な量は変わらない」という保存の概念が,視覚的探索活動とい う,「具体物」に規定された行動のせいでうまく作動していない好例である。 小学生期のこの時期は,シンボルの操作そのものはできるが,完全に具体物 から切り離されたシンボルの操作にはなっていない。ある時は具体物がシンボ ル操作の促進要因になり,ある時は逆に阻害要因となる(上記,保存概念な ど)。 11~12歳頃からは,シェマは完全に具体物から切り離されたシンボルや数 値の操作が可能なものとなり,エイリメントにはそうした,論理・数学的なシ ンボルが用いられるようになる。この時期を形式的操作期とよんでいる。ここ では,抽象概念や知識が新たなシンボル操作を可能にし,具体物からは完全に 切り離された論理・数学的世界が構築される。 5-2-3.具体物と抽象的記号のはざまで 上記のピアジェの思考の発達についての議論は,感覚運動期から形式的操作 期へ,という認知発達の発達段階や方向性を示したものとして大いに意義のあ るものであるが,「モノ」への感覚・知覚や運動的働きかけがどのようにして 表象され,内化されて操作されるようになるのか,について理解するためには, 表象活動そのものについての議論(田中,2004)もしておく必要がある。 まずは,目のまえに「モノ」を感覚する状態,「pre(眼前に)‐Sense(感覚 625児童期(小学生の時期) する)」する状態である。いわゆる「経験」そのものであり,コルブ(Kolb, 、A,1984)のいう,具体的経験そのものである。これをレベル0の表象活動 としよう。感覚運動期の活動はすべてこうしたものだといえる。逆に,形式的 操作期においてもこうした,現物に触れる具体的経験をすることもある。 次に,「モノ」ではあるが,「モノ」全体ではなく,その-部あるいは置き 換えられた物を使って現物の代用とする活動がある。たとえば「モノ」の模型 や,ビデオ・写真等を対象とした活動で,これをレベル1の表象活動としよう。 ここでもまだ,「表象」活動はあらわれず,現物の「サイン」としてのさまざ まな代用物を用いる。 その次のレベルにいたって初めて「表象」が生まれ,必要とされる。表象と は,pre-senseしているものを,再度(re-)頭の中で出現(pre-sense)させる ことであり,その’re-pre-senseしたものに名前がつけられるとそれが「シン ボル」となる。 そのシンボルが,表象した本人やごく一部にしか通用しないレベルのものを レベル2の表象活動,一定のコミュニティや地域・民族等で共有されて用いら れるレベルのものがレベル3の表象活動である。すなわち,シンボルが盗意的 で共通性をもたないレベルをレベル2,公共`性をもちその背後の文法(シンタ ックス)をしっかりもったものをレベル3とする。 レベル1の表象活動は主に前操作期で,レベル2は具体的操作期に,レベル 3は形式的操作期にそれぞれ特徴的な活動としてあらわれるが,それぞれの発 達段階で異なったレベルの表象活動が行なわれるのが実態である。 とくに児童期の段階では,抽象的な諸概念を飛躍的に吸収していく時期であ り,そうした諸概念(シンボル)を,具体性を保ちつつ(レベル1)具体物か ら離れ(レベル2),シンボル間の論理・数学的操作が可能(レベル3)なよう に育てていく,きわめて重要な時期であることが分かる。 しかしながらこのとき,表象のレベルには,レベルをあげていく(0→1→ 2→3へと変化)と思考の公共`性や経済性・効率が高まるが逆に,生々しい実 感や感情は徐々に減っていくという,シンボルの表象性のパラドックス(田 中,1996;2000)があることも理解しておく必要がある(図5-3)。 5-3.社会`性の発達63 思考の経済性 ・効率 大きさ・強さ 生々しい実感・感情 0 123 シンボルの表象性のレベル 図5-3シンボル表象性のパラドックス 53社会性の発達 小学生の児童期にはいると,生活圏も交流する年齢層も拡がり,社会`性の発 達についての飛躍的な進展が見られる。 5-3-1.遊びの発達 児童期の社会性の発達には,学校内での教室活動が大きく貢献する。1日の うちの3分の1の時間をそこで過ごすのであるから,教授学習活動を中心とし た学級内での子どもたちの諸活動の量的・質的なアレンジメントに責任をもつ 教師の役割はきわめて大きい。 そうしたある種フォーマルな活動の中で意図的に社会性の形成が図られるの が教室場面であるが,実際の社会性の発達は,インフォーマルな遊びの場面で 培われることが多い。 遊びは子どもたちの社会的行動の典型であり,以下に述べる認知発達にとっ ても欠かせない重要な機能の1つである。 社会性の発達という観点から遊びの発達を見ていくと,遊びの形態には第4 章第3節で述べた種類が存在する(Parten,1932本書pp53-54参照)。 645児童期(小学生の時期) この分類は主に乳幼児期の遊びについてのものであるが,児童期の子ども, さらに極端な高齢期の人についてもこうした種類は確認できる(以下,児童期 を(児),高齢期を(高)とする)。 ①傍観:(児)教室の窓から,休み時間ずっと校庭で遊んでいる仲間を見て いる。(高)窓から景色を眺めている。 ②ひとり遊び:(児)休み時間,ひとりで鉄棒で遊ぶ。(高)盆栽をいじって いる。 ③平行遊び:(児)2,3人の子どもが公園でゲーム機を持ってそれぞれ遊ん でいる。(高)集会所でそれぞれ編み物をしている。 ④連合遊び:(児)砂場で小山を作り,それぞれトンネルを掘っている。(高) 老人ホームの遊戯室でカラオケを楽しんでいる。 ⑤協同遊び:(児)公園のブランコで座って飛び降りる距離を競っている。 (高)公園でゲートポールを楽しむ。 5-3-2.ギヤングエイジ 児童期の遊びで典型的なものが,小学校3,4年生頃から始まる,4~5名の 同性の,きわめて排他的な仲良し集団での遊びである。ここでは多くが連合遊 びあるいは協同遊びであり,協同の目的が強ければ強いだけ排他的になり,時 には他の集団に対して攻撃的にさえ映ることもある。こうした時期をギャング エイジ(徒党時代)とよぶ。 ギャングエイジの特徴としては,その集団は自然発生的につくられたインフ ォーマル・グループであり,第一義的には心理的な安定感を求めるグループで あるが,特定の目的に向かって進む時は役割分担等を定めた社会的グループの 特徴も示す。 こうした遊び集団の中で,自己主張や自己抑制,自己調整の力といった社会 的コンピテンスが高められ,それがやがて社会的スキルの発達につながってい く。 5-3-3.道徳性の発達 児童期の社会性の発達にとってもつとも重要な課題の1つに,他者の感情や 5-3.社会性の発達65 意図を適切に理解し,共感性にもとづく向社会的な行動がとれること,をあげ ることができる。 向社会的行動とは,自分自身はいくらかのコストを払ってでも,他者のため に,報酬を得ることを目的とせずに自発的に行動することである。 たとえば,いつもなら授業の開始のチャイムがなり始めてすぐに駆け込めば 授業開始に間に合うことを知っている児童が,たまたまその日,休み時間の終 わり頃に下級生が鉄棒から落ちて怪我をしているのを目撃したとしよう。 この場合,見て見ぬふりをして教室に駆け込むか,すぐに助けに行ってあげ るかの選択が迫られる。助けに行ってあげれば必ず次の授業に遅れることは分 かっている。それでもなお,いたたまれず自然に助けに行き,保健室に連れて 行ってあげる,こうした行動が向社会的行動の典型である。 こうした向社会的行動を生み出すか,抑制するかについてはいくつかの要因 が考えられる。 その子ども自身が日常的に保持している道徳観や正義感,その子のもってい る共感性の強さといったパーソナリティ要因,相手との親しさといった個人 的・状況的要因等がそうした行動を生み出す。 逆に,自分さえよければいいという利己心や他者への配慮のなさ,自分の行 動についての自信のなさ等は向社会的行動を抑制してしまう(森下・信濃, 1995)。 ここで,向社会的行動の発現に大きな影響を及ぼすと考えられる道徳性につ いてふれよう。 道徳性は,普遍的社会規範の認識が向社会的行動発現を促すものであり,そ の規範は社会的習慣を示すものであったり,それを超えた普遍的・絶対的なも のであったりする。 道徳性を「慣習」との関係でうまくまとめたものにコールバーグの「道徳的 判断の3水準・6段階説」がある。 コールバーグ(Kohlberg,L,1969)は,道徳的葛藤場面を設定し,回答者に 判断を問い,その内容を表51のように分類した(小嶋,1991)。道徳的葛藤場 面とは,以下のような場面である。 665児童」9](小学生の時期) 『重い病気で死にかけている妻を助けるために,夫ハインツは高額の特 効薬を買うために金策に走り回るが,どうしても全額が集まらず薬屋に いろいろ頼んでもだめで,万策尽きて,とうとう強欲な薬屋からその薬 を盗んだ』 こうした場面で,「ハインツはそうすべきだったか,そうすべきでなかった か,その理由は何か」を問うた。その回答内容の分析から,道徳的判断の発達 には,慣習に基づく水準と,その前の,,慣習に言及しない水準,その後の慣習 表5-1コールバーグの道徳性発達段階(小嶋,1991,p、147より引川l) (注)表では,「盗んだのは正しい」,あるいは「llll違っている」とする一方の場合の理由づけの例を示してい る。しかし,逆の判断に伴う理由づけも,それぞれの水準について同様に成り立ちうる。】M1解しやすく するために/'1諾を変えたところがある。 5-4.児童期の発達のつまずきと障害67 を越えて判断する水準の3水準があり,それぞれ2つのレベルがあり,あわせ て6つの段階があることを明らかにした。 54児童期の発達のつまずきと障害 5-4-1.学校病理現象 小学校では,学校生活は教授一学習活動を根幹とした教室でなされる諸活動 が中心である。 それまでの,比較的個人の思うがままに動いていた佃の集まりとしての集団 生活と異なり,「学級」という新たな行動の枠組みが設けられることとなる。 「学級」には教える.学ぶという教授一学習機能を始め,役割取得訓練の機 能,向社会的行動や共感性の育成,集団規範の体得と自己欲求抑制の機能,社 会的欲求の充足機能等,さまざまな機能が期待されている。子どもたちは,教 師のそうした善意を十分には受けとめることができず,そうした機能が過剰な 期待として重くのしかかることがある。また,時には教師自身も抱えきれず, 学級崩壊という現象を生ずることもある。 こうして出てくる学校病理現象の代表が,不登校といじめである。 (1)不登校文部科学省の調査(平成15年度(2003年度)についての 結果)では,年間30日以上の欠席をするいわゆる不登校の子どもを抱える学 校は,依然全体の4割を越え10,000校にも及ぶ(図5-4)。 学年でいえば,小学生は数としては少ないが,学年があがるにつれ少しずつ 増えていく傾向にある。図5-5から明らかなように,不登校は中学校1年生の 段階で飛躍的に増えている。 不登校になったきっかけを,学校,家庭,本人のそれぞれの問題に帰属させ て見ていくと,全体としては本人の問題に起因する場合がもっとも多く (36%),次いで家庭生活の問題(29%),学校生活の問題(20%)となって いる。 本人の問題とは,病気欠席以外の本人に起因する問題で,いわゆる個人のパ ーソナリティの問題に帰属されるもので,全体から見ても29%がそこに起因 している。 685児童期('1、学生の時期) 30,000 25,000 マ ----つ ̄ ̄←一一一一-一一→ ̄ マ▼▽ 20,000 グー、 鐘15,000 □--..-..--匹-..--..-.国.一一一一一・回一一.--.--m 0.000 =゛ a----.…-…口・-….‐‐‐一巴一…一一一一画--.~~ ̄~~ ̄ 画一..… -..口一・一一一一画 5000 393199419951996199719981999200020012002200 1991199219931994199519961997199819992000200120022003 -←公立学校総数一国-不登校児童生徒在籍学校数 図5-4不登校の経年変化 04 ◆P 0■-I C ‐L b1r■6 賢い鰯馴武悔熱萠ロ湖弘解難が も0戸 「凸肛如γ;‐rj時‐討鮓、や ‐9-6■U」‐J‐p』bp0殆ヶmo‐卜0。!■十0 。-10,‐上■ JJF 凶.。午lbp・0.八一口J、唱岼‐γ‐Ⅲいい一M-r▲』ⅢⅢ 同 ロー‐ し ⑪町ヨト| o■■?と 099909j00 0000000000 44332211 人 、-〆 000000000 000000000 505050505 〆-, 「= ̄I 小1小2小3小4小5小6中1中2中3 旧軍筬7百扉蘆] 図5-5不登校児の学年別変化 家庭内の問題としては,親子関係に関わるものが半数を占めている(図5-6)。 また,学校生活に起因するものの具体的な項目として,友人関係をめぐるト ラブルから不登校になるケースがもっとも多く(57%),次いで学業の不振か らくる不登校(16%)となっている(図57)。 さらにそうした不登校が継続してしまう理由を,学校生活上の影響(たとえ ばいやがらせをする生徒がいる,先生とうまくいかない等),遊び・非行(遊 ぶため,非行グループに入ったため等),無気力(無気力でなんとなく登校し 5-4.児童期の発達のつまずきと障害69 ない),不安など情緒的混 乱(登校の意志はあるが体 が不調等),意図的な拒否 (学校に行く意義を認めな い等),複合理由,その他 □家庭の生活環境の急激な変化 圏親子関係をめぐる問題 に分けて検討したところ, 小学校児童の不登校につい □家庭内の不和 ては,およそ30%が不安 ~▼ ̄マフ▼・ ̄ ̄可---● ̄ ̄ごローマ 図5-6家庭生活での原因 などの情緒的混乱から生 じ,同じく30%が複合的2 5 な理由となっている。 (2)いじめ文部科 学省の調査(平成15年度 16% N蕊鱗 (2003年度)についての結 果)では,小学校で報告さ れたいじめの件数は徐々に 減少しつつある。 図5-8から明らかなよう に,最近の調査では1995 年度(平成7年度)の全国 固友人関係をめぐる問題 ■教師との関係をめぐる問題 □学業の不振 圏クラブ活動部活動等への不適応 ■学校のきまり等をめぐる問題 圏入学転編入学進級時の不適応 図5-7学校生活での原因 の小学校でのいじめ発生率341%(3校に1校)をピークに,徐々にその発生 率は下がりつつある。それでも現在なお,11%(10校に1校)の学校でいじ めが認められる。 いじめの発生は学年があがるにつれ増え,男女に大きな差は認められない (図5-9)。 いじめの内容については,小学校では「冷やかし・からかい」に次いで「仲 間はずれ」が多い(図5-10)。 不登校やいじめの原因については,個人のパーソナリティに帰するもの,家 庭環境に帰するものなどがある。教師の立場からすると児童.生徒の学校での 生活の大部分を占める教授.学習活動の質の問題を自らに問いかけ,その改善  ̄ 70 5児童期(小学生の時期) 30,000 25,000 --一一一一一一一一→--- 20,000 15,000 10,OOO 図一一.. ̄ 、--国 aOOO O ~ 一巡] ~■Ⅵ --嵐一 --.-四・一…---口------ 巳一一一一固一一一・一・画 1994199519961997199819992000200120022003 +公立学校総数曇発生学校数 図5-8いじめ発生件数の経年変化 1200 1000 到 鶴 0 ilil 鰯 200 : l 鮒 400 霧 鑿 … 600 諒彫泣必悶鰯紬謎乞發蕊灘燭湿憾 釦 800 1年生2年生3年生4年生5年生6年生 厄勇字~目安字1 図5-9いじめ発生の学年変化 にむかう努力をすることもきわめて重要となる(田中,2000)。 5-4-2.軽度発達障害 小学生の普通学級クラスに「ちょっと気になる」子どもたちがいることもあ る。落ち着きのない子,よくおしゃべりし,まったく普通の会話をするのに 「本」の音読が極端にできない子,等々・ 従来特殊教育諸学校(盲学校,聾学校,養護学校,特殊学級)において教育 肌壯':獅蝿iilii;1W饗iiiWIiiii jfil蝋 5-4.児童期の発達のつまずきと障害71 、〃 0 割ハo/句n匹q、呪40%50%60%70%80%90%100% 一一 小学校 -- ̄ ̄  ̄…--- |Ni識i、瓢繍綱I圃砠暦翻麗囲 $= ̄ ̄ 甲尹房可 丁蕊ii 懸鬮蕊 鏑I■■ ■ に 写~■jヨーーニ己亭迄J ̄-z~…2 ロI」丘可丘詰一一 ・1勺卜 … 一 中学校 蕊蝿、 ■■ ̄ 灘 高等学校 ミミミ醒三= ---- ---- 特殊 教育諸学校 薗懸 、-- mf5m弔引U剰由田Uh □、H1ヨHj黒寵uUl樫、 眉u』■■■ 再一一 NqHセⅡ椚立型早■且二男H士隠Ⅱ 、ロコ円HH旦皿7Wヨーニ■ ■南? ̄ ̄ 鬮言葉での脅し■冷やかし・からかい .、---■■--上L▲dQ 訂」---F  ̄ F--1 pユ凸らニュー ̄ ロ持ち物隠し凶'千Ipjレーツ''し ̄不一v---…'- 0.娃錦介虫目、の押しつけ目その他 の対象とされてきた視覚障害,聴覚障害,知的障害,肢体不自由,病弱・身体 虚弱,言語障害,情緒障害の子どもたちは全児童生徒数の約1.4%である(牟 田,2005)。しかしながら上記の,「ちょっと気になる」子たち,すなわち、, ADHD,高機能自閉症により,学習面や生活面で特別な教育的支援を必要とす る児童生徒数は通常の学級に約6%いるといわれる(文部科学省,2003a)。 こうした,身体障害や知的障害をともなわない,軽度の発達障害を軽度発達 障害とよぶ(p56も参照)。 (1)学習障害(、)学習障害(LearningDisabilities:、)は,基本的に全 般的な知的発達に遅れはないのに,聞く,話す,読む,書く,計算するまたは 推論する能力のうち特定のものの修得と使用に著しい困難を示すざまざまな状 態(文部科学省,1999)を意味する。 知的発達にはとくに問題はないのに,それに応じた学力が見られないことが mかどうかの大きな判断基準となっている(柘植,2002)。 (2)ADHD注意欠陥/多動性障害(AttentionDeficit/Hyperactivity Disorder:ADHD)は,文字どおり注意の障害(不注意),多動性(過度の動き) と衝動`性を特徴とする軽度発達障害である。 不注意とは,学業や仕事で細部まで注意を払うことができない,注意を持続 するのが困難で課題を完成できない,活動を組織し計画的に行なうことがむず かしい,勉強など精神的努力の必要な集中を要求される課題に取り組めない, il i ! : 111 図5-10いじめの内容 !  ̄ ̄ ̄ 725児童191(小学生の時期) 忘れっぽい,他の刺激で活動が中断される,会話に集中できないなどである。 また,多動`性とは,不適切な状況で動き回ったり走り回ったりするような多動, 椅子にすわっていてもそわそわと体を動かす非移動性の多動,しゃべりすぎな どである。衝動性とは,我慢ができない,順番が待てない,人のじゃまをする などである。小学生の3~5%に見られ,4対1から9対1で男児のほうに多 く見られる(牟田,2005)。 ADHDは長期間にわたって教室内での管理しにくい行動をともなうので, さまざまな教育的介入の方法が試みられている(DuPaul&Stoner,2003)。た とえば,一定の望ましい行動をとった場合にトークン(カード,スタンプ等) を与え,トークンと交換できる報酬や活動のリストを呈示し,それらと実際に 交換できるというトークン強化法などがある。 (3)高機能自閉症IQが正常範囲の下限(70)以上で,とくに問題がない のに,コミュニケーションができない,社会性の発達がない,興味関心の領域 が非常に狭い,想像力(相手の感情の想像も含む)の欠如の4点を示す場合, 高機能自閉症と診断されることがある(佐々木,2000)。 (4)アスペルガー障害1944年に最初の一連の症例を報告したアスペルガ ー(Asperger,H、)の名にちなんでつけられた軽度発達障害(牟田,2005)であ り,アスペルガー症候群とよばれることもある。WHOの基準によれば,アス ペルガー症候群は,話し言葉,理解言語,認知的発達には全般的な遅れはない のに人との社会的相互作用に質的な異常が認められ,限られた範囲への興1床か, 限定的・反復的・固定的な行動・興味・活動のパターンを示す。 アメリカ精神医学会の診断手引きではこれにさらに,「その障害のため,そ の人の活動する社会的・職業的・その他の重要な領域で,臨床上問題となるま での支障が生じている」という,社会生活上の機能障害が重要な要件として追 加されている(Gillberg,2002)。 ■参考書 梅本尭夫( 培風館 f修)落合正行・土井道栄(共編)2002認知発達心理学:表象と知識の起源と発達 田島信元.子安増生.森永良子・前川久雄・菅野教(編)2002認知発達とその支援シリー ズ臨床発達心理学2ミネルヴァ書房
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