体育・保健体育研究委員会

体育・保健体育研究委員会
1 研究のエッセンス
(1) 研究テーマ
動きの高まりと学びの深まりを実感できる体育授業
~学習内容をクローズアップする教材を中心に据えた授業づくり~
(2)研究テーマ設定の理由
確かな学習成果に裏打ちされた運動の楽しさ,運動を学ぶ楽しさを全ての子たちに味わわせたい。
そのためには,学習内容を具体的に抽出することが前提となる。そして,それをクローズアップする
ことができる教材を構成し,その教材を軸に単元展開や学習課題について検討していく必要がある。
(研究内容に示す「授業づくりの4視点」
)その中で子どもたちの動きの高まりと学びの深まりを実
感できるような体育学習はどうあったらよいかを検討していきたいと考え,本テーマを設定した。
(3)研究の内容
本年度は,研究の対象をボール運動のサッカータイプに絞り研究を進めた。各学年段階において指
導すべき内容の検討と,そのための指導方法の具体化を研究課題に,以下の4点を授業づくりの視点
としながら実践的な研究を行った。
① 学習内容を明確化する
学習指導要領の内容と子どもの実態から学習内容を決めだしていく。
「わかりやすさ」や「技能の獲得のしや
すさ」などの観点から,単元展開において確保できる時間数やそのプロセスを想定して,学習内容を取捨選択し,
その単元で子どもたちに何を学ばせるのか明確にしていく。
② 学習内容をクローズアップする教材作り
学習内容が明確となるように,素材としての運動種目を再構成する。コートや用具を工夫し,運動技能を緩
和した子ども用の規格にしたゲームにすることと,ゲームの状況判断の対象を焦点化したり,その選択肢を減少
させたりすることを通して学習内容がクローズアップされる教材を作る。
③ 教材の良さを引き出すための単元展開と学習課題
よい教材があっても,学習内容を明確にして単元展開が構成されていなければ子どもたちは確かな学力を身
につけることはできない。学習を終えた時に,子どもたちが何をできるようになっているのかという,ゴール
イメージをしっかり持って単元を構成することが大切である。また,1時間1時間の学習課題を子どもに沿っ
たものにしなければ,わかって,かかわって,できる学習にならない。その為に,子どものつまずきを,子ど
もたちに問い返し,子どものつぶやきや発言を教師がつないで学習課題を設定していかなければならない。
④ 小学校低学年から中学校までの系統性(運動技能,戦術,知識)
ゲーム,ボール運動の中で本年度はサッカータイプの系統性を作成する。
系統性の中で,スモールステップで低学年から中学生に学習をつなげていかなければ,単発的な学びになって
しまい,学年に応じた,さらに学びの深まりのある学習になっていかない。そこで,下記のような学びの深まり
を進めていきたい。
低学年…1人称
自分とゴールの関係(シュートできるかできないか。どちらのゴールにシュートをするか。等)
中学年…2人称
自分と一人の味方の関係(シュートかパスか。ゴールが空いていればシュート,空いていなけ
れば味方にパスをする。
)
高学年…3人称
自分と2人の味方(シュートかパスか。どちらの味方にパスをすれば有効か。また,1本のパ
スの後,どう動けばシュートにつながる動きになるか。連動を少しずつ生み出す。
)
(4)研究の成果
昨年度に引き続き「授業づくりの4視点」を前提として,運動領域の特性(面白さ,課題性)や
系統性(運動技術,戦術,知識)を明らかにしていく作業が不可欠ということから,本年度は系統
性について小学校低学年段階から中学校までボール運動のサッカータイプに絞り,実践しまとめる
ことができた。技能差や運動経験差がある子どもたちでも,教材の工夫でどの子も運動の特性に触
れ,一緒にゲームに夢中になって取り組む姿が見られた。
(5)残された問題と今後の方向
中学年から中学校まで今回の実践では,攻撃と守備の人数が同じ,イーブンナンバー制(攻撃側
のプレーヤーと守備側のプレーヤーの数が同じ)で学習を進めた。ゴール型の大切な学習内容でも
ある「有効空間を奪い合う」という視点で考えると,有効空間が分かりづらかったり,安心してボ
ールを保持することできないことで有効空間へ適切なパスを出すことができなかったりした。しか
し,攻撃より守備の人数が少ない,アウトナンバー制(攻撃側のプレーヤーの数を守備側のプレー
ヤーの数より多く)の課題でもあるボールを持っていない攻撃側のプレーヤーに守備側のプレーヤ
ーがついてしまい,パスが出せなくなり,ボールが動かなくなってしまうということは今回の授業
実践では,少ないことも分かった。今後,イーブンナンバー制とアウトナンバー制の教材開発や他
の領域での系統性を考えた指導計画を作成し授業実践されるように研究を深めていきたい。
2
実践のエッセンス
事例① 単元名『ゴールを目指してボールをキック!ミニサッカー』【ゴール型ゲーム】(小4年)
(1) 学習内容の明確化
① 技能
・ ゴールを意識しながら攻防し,ゴールや味方をねらってけることができる。
→自分がシュートするか?味方にパスをしてシュートさせるか?=2人称
・ 周りの状況(攻防の様子,相手,味方,空いている場所等)を見て判断し,自分のプレーを
決定することができる。(「○○だから,○○する」)
② 関心・意欲・態度
運動に進んで取り組み,規則を守り仲良く運動をしたり,勝敗を受け入れたり,場や用具の
安全に気をつけたりすることができる。
③ 思考・判断
試合や活動に応じたよりよい行い方を考えたり簡単な作戦を立てたりすることができる。
(2) 学習内容をクローズアップする教材づくり
~3対3のゲーム・扱いやすいボール・シンプルなルール~
ゴール型ゲームは,ゴールの決定をめぐって攻防する運動である。サッカーを素材としてゲーム
を考えた場合,足が中心のボール操作となるため,技能差が大きくなることが考えられる。そこで,
3対3でゲームを行うことで一人あたりのボールに触れる機会を多くした。また,人数を少なくす
ることで密集することを避け,自分がシュートするのか,味方にパスをするのか判断を容易にした。
また,子どもたちが扱いやすいように易しいボール(スポンジボール・新聞ボール等)【用具の工
夫】にしたり,ゲームができるだけ途切れずに進むように(壁を使ってアウトボールを無くす)【場
の工夫】したりした。ルールについては,複雑にすると理解に時間がかかる。また,条件を限定す
ると,決まった展開しか生まれなくなり,学習の幅を必要以上に狭めてしまう。そのため,今回は,
できるだけシンプルなコートづくりをした。
(3) 教材の良さを引き出すための単元展開と学習課題
~メインゲームの逆算から単元・授業を構想する~
3対3のメインゲームから逆算して活動を決めだしていく。活動2には,メインゲームに繋がる
「パスの技能」,「相手を見る」,「空いているスペースを見つける」,「パスが受けられる位置
へ動く」といった要素が含まれている。活動1には,活動2で必要となるボールを扱う技能を中心
に組み込んだ。ウォーミングアップには,運動に対する心と体の準備と共に,ボールを持たない時
の判断の基準となる「相手を見る」という要素が含まれている。
単元でのゴールイメージを持って単元構成を組み替えていった。活動の決めだしは,そのゴール
イメージからの逆算となる。そして,子どもたちは1時間の授業の中でメインゲームに向けて活動
を積み重ねていく。
1時間1時間の学習課題は,子どものつまずきを映像や写真で見せることで,子どもから発信さ
せる。そのつぶやきや発言をつないで学習課題を設定し,子どもに確認することで,課題を子ども
たちに共有させてきた。
①
ゲ
ー
ム
1時間の流れ(参考文献:『サッカー指導の教科書』,公益財団法人日本サッカー協会著,東洋館出版社)
・3対3
・周りの子どもたちは壁役
・4人のチームで交代しながら行う。
・シュートを決めた子が交代する。
・シュートが決まらなかった場合は,教師の合図
で交代する。
・2人1組ボール1個。
・違うゲートを3~5個通過
<発展>
・ゲートの数を増やす。
・2個のゲートを1回で通すのも有り。
・競争してみる。
活
動
2
・3対1で守備側にボールを取られないようにパ
スを回す。
・時間で交代(1分程度)。
・どこに動いたらパスをもらえるか気づかせる。
よりゲームに近い状況で
・2人1組ボール1個。
・1人がコーンを超えるボールを投げ,もう1人
がキャッチする。
→キャッチボール
ボールに慣れる
→ももに当ててキャッチ
→ももに当てて足で止める
→足で止める,足でコントロール
・コーンを開く→キックでパス
活
動
1
・コート内でおにごっこ
・コーンにタッチしていればつかまらない。
・コーンにタッチしている子は,他の逃げている
子に「おどきになって!」と言われたら,コー
ンをあけわたす。
<その他のおにごっこ>
・こおりおに…氷を溶かすための動きを工夫。
・三角おに…状況を判断する。タイミングをとる。
ウ
ォ
ー
ミ
ン
グ
ア
ッ
プ
ボールを持たない時の動きの元を作る→駆け引き,相手を見て動く習慣づくり
②
時
間
単元展開と評価計画 小学校第4学年 領域名 ゲーム:「ゴール型ゲーム」(8時間)
学習活動に即した評価規準
主なねらい・学習活動
関心・意欲・態度
1 オリエンテーション
2
・ 学習の仕方を確認する。
・ 用具や場の使い方や約束の確認
・ 活動やゲームに取り組む。
2 振り返り・片付け
1 用具や場の準備
2 ウォーミングアップ(協力おにごっこ)
3 学習課題の確認
ゴールをねらってキックをしよう!
3
4
4 活動1~2
・ ペアでボールを使った活動をする。(ボー
ルコントロール)※手を使っても良い。
・ ゲームで生かせるようなパスをテーマに
した活動をする。(多数ゴールゲーム)
5 ミーティング・ゲーム(3対3)
・ ゲーム中のめあてや個人目標を確認する。
・ ゴールをねらってキックすることを意識
する。
6 振り返り・片付け
運動の技能
ゴール型ゲーム
の行い方を知る
とともに,活動や
ゲームに関わろ
うとしている。
(観察)
ミニサッカーをやろう!
1
思考・判断
ゲームに進んで
取り組もうとし
ている。(観察・
学習カード)
友だちのよい動
きを見つけ,自分
の運動の参考に
している。
ゲームで,基本的
なボール操作(け
る,止める等)が
できる。(観察)
時
間
主なねらい・学習活動
1 用具や場の準備
2 ウォーミングアップ(協力おにごっこ)
3 学習課題の確認
5
6
7
8
ゴールをねらってシュートしたり味方をね
らってパスをしたりしよう!
4 活動1~2
・ ボールコントロール※できるだけ足で。
・ パスをテーマにした活動をする。3対1の
ボール回し
5 ミーティング・ゲーム(3対3)
・ ゲーム中のめあてや個人目標を確認する。
・ シュートを決めるためにゴールを見るこ
とや攻守でのボールを持たない動きにつ
いて確認する(攻…広がる・相手から離れ
る,守…ゴールを守る・ボールを持ってい
る相手に向かう 等)
6 振り返り・片付け
1 用具や場の準備
2 ウォーミングアップ(協力おにごっこ)
3 学習課題の確認
パスを生かしてゴールを決めよう!
4 活動1~2
・ ボールコントロール※できるだけ足で。
・ ゲームで生かせるようなパスをテーマに
した活動をする。(3対1のボール回し)
※相手を意識しながら
5 ミーティング・ゲーム(3対3)
・ ゲーム中のめあてや個人目標を確認する。
・ パスを生かしてゴールを決めることを意
識する。
6 振り返り・片付け
学習活動に即した評価規準
関心・意欲・態度
思考・判断
友だちと協力し
て用具の準備や
片付けをしよう
としている。(観
察)
友だちのよい動
きを見つけ,自分
の運動の参考に
している。
運動の技能
ゴールや味方を
意識してシュー
トやパスをする
ことができる。
(観察)
規則を守り,友だ
ちと励まし合っ
て練習やゲーム
をしようとした
り,勝敗の結果を
受け入れようと
したりしている。
(観察)
ゲームに進んで
取り組もうとし
ている。(観察・
学習カード)
ゴール型ゲーム
の特徴に合った
攻め方を知ると
ともに,簡単な作
戦を立てている。
(観察・学習カー
ド)
ゴールやボール,
相手や味方の位
置などを意識し
てボールを持た
ないときに動く
ことができる。
(観察)
(4)まとめ
①メインゲーム(3対3)そのものを味わう
メインゲームには,それ自体に学習内容に関わるメッセージが込められている。子どもたちが
魅力を感じてのめり込むことによって,自然と課題や解決のヒントが見えてくるものが理想であ
る。ルール等で条件をつければ,教材のもつメッセージは明確となる。しかし,条件が多くなれ
ば,複雑になり,自由度が低くなってしまい,難しいものとなってしまう。まずは子どもたちに
とってやり方が分かりやすく,本気になってそのものを味わうことができるようなメインゲーム
を据えることが大切である。
②運動量の確保
体育で「わかる」「できる」「かかわる」をより多く味わう場面は,運動を通して活動してい
る場面である。その時間をより多く確保することが,授業のマネジメントの最も重要な点となる。
子どもたちが授業の終わりに汗をかくほど教材に夢中になることが,学習内容を身に付けるため
のベースとなる。
③個の目標設定と成功体験への明確なフィードバック
主体的な取り組みを促すために,個別の目標設定が大切である。そして,目標に向かって努力
する姿や,成功場面に対してタイミングよく,明確にフィードバックすることにより,学習に対
する成就感や意欲が高まっていく。「啐啄同時」のタイミングを見極める目をもちたい。
事例② 単元名 「ターゲットキック~ねらって思い切りけろう~」
【ボール蹴りゲーム】
(小 1 年)
(1)教材づくりの意図
足でボールを操作する経験には,小学校低学年の段階で差があるが,経験のある子もあまりない子
も,まとをよくねらってキックしたり,強く当てたりできたときに喜びや達成感を味わえる。ボール
に存分慣れ親しみながら,敵に邪魔されないで,ねらってボールを蹴ったり,思い切り蹴ったり,た
くさん蹴ったりすることで,自分の課題にチャレンジすることをねらった。
(2)教材の実際
←段ボール
①まとあてゲーム
◇ルール
・4~5人でチームを組む。
・段ボールを3コ用意し,順番に蹴り,全員続けて
当てたら,段ボールを減らして的を小さくしていく。
※発展⇒距離を変える(①3m②5m③7mなど)
①
③
②
⇒助走を加える。
⇒かけ声をかける
・
「まとまでとどけ イチ・ニ・サン」 サンで蹴る。
・待っている子が横に並んで,かけ声をかけてあげる。
②押し出しゲーム
◇ルール
・段ボールを真ん中の線上に置く。
・ボールは1人1個からスタート。
・段ボールに向かってキック。
(必ずスタートのラインにボールをセットして
からキックさせる。
)
・段ボールにボールを当てて相手陣地へ動かし,
タイムアップ時に自分の陣地に段ボールが少な
いチームの勝ち。
・ボールを拾って時間内は何度でもチャレンジで
きる。
(3)時間計画(全6時間)
時間
1
2
30
40
4
学習の準備
5
6
○W-UP(ボールをつかった基礎感覚づくり)
○ボールを用いて鬼ごっこ(ドリブルおにごっこ,たまごおとし等)
10
20
3
8~10m
①
まとあてゲーム
・チーム全員が続けて当てられたらステップアップする。
②
押し出しゲーム
(2 グループに分けて)
オリエンテ
ーション
②押し出しゲーム
(グループ対抗戦)
学習のまとめ
単元のまとめ
片付け
(4)考察
低学年児童には1人1個のボールがほしい。自分のボールがあると動きが活発になりやすい。今回
は 1 日分の新聞紙を丸めてガムテープで巻いた新聞紙ボールを使用した。ねらったり,強く蹴ったり
するためにキックの簡単なポイント(ねらった蹴り方や強く蹴る蹴り方,ボールを蹴る足の場所,助
走など)を学習課題にして,練習に取り組めた。単元が進むにつれて,スムーズな助走から勢いよく
キックできる姿や,置いたボールをどこの段ボールにめがけて蹴るか,しっかりと見定めてキックす
る姿が見られ,技能の高まりを感じた。押し出しゲームでは,自分がねらった段ボールに勢いよくボ
ールが当たることで,大きく動くことに喜びを感じ,何回もチャレンジする様子が見られた。
事例③ 単元名 「パスをつないでゴール!センタリングサッカー」 【ゴール型】 (小5年)
(1)学習内容の明確化
①技能
・ゴールを意識しながらボールを保持し,フリーの味方にパスをしたりゴールをねらったりして
蹴ることができる。
・ボールを保持した味方からパスを受けることができる場所へ動くことができる。
②態度
・運動に進んで取り組み,ルールを守り助け合って運動をしたり,場や用具の安全に気を配った
りすることができる。
③思考・判断
約25cm
・ルールを理解し,自分のチームに応じた作戦を立てることができる。
(2)内容をクローズアップする教材づくり
①ボールの工夫
・パック型のクッションボールを使用した。ボールと違い,跳ねること
が無いので扱いやすく,また硬くも無いのでボールに対する恐怖心も
生まれにくいため,積極的にボールに関わることができる。
②センタリングゾーン
・コート内両サイドにボールをフリーで受けることができるゾーンを作
る。安心してボールを保持し判断すること,ボールを持たないときのサポートの動きを学ん
でいくことをねらいとした。
③3対3のゲーム
・ボールにより多く関わることをねらい,オールコート(体育館半面)の3対3とした。
(3)教材のよさを引き出すための単元展開と学習課題
時間
10
20
30
40
1
2
3
4
5
6
7
8
オリエン
パスを使った練習
テーショ センタリングゾーン パスを出した後に動きだそう。
ン
でパスをもらおう。
総当たり戦
ゲーム
(4)教材の実際
センタリングゾーン
◇コート内は3対3 (1チーム4~5人)
◇得点を決めたら交代。 (自分で得点板に得点を入れる)
◇得点は誰が入れても1点。
◇交代がなかなか出来ない場合は先生の判断で交代をする。
◇得点が入った場合は,コート中央から始める。
センタリングゾーンルール
◇センタリングゾーンには相手守備は入れない。攻撃チーム
のフリーゾーンとする。
(5)実践の様子
・ボールをクッション型にしたことでボールへの安心感からどの児童も積極的にボールに関わること
ができた。しかし,ボールに積極的に関われることから,フリーのスペースを有効に使う意識が薄
く,ボールによって行ってしまう姿が見られた。センタリングゾーンでパスをもらう動きや,セン
タリングゾーンへドリブルしパス,シュートを選択しプレイする様子が見られるようになっていっ
た。
事例④ 単元名 「ミニサッカー」 【ゴール型】 (中3年)
(1)
学習内容の明確化
① 技能
・安定したボール操作を行うことができる。
・相手チームの動きに応じてボール保持者はシュート→パス→ドリブルの順で選択できるよ
うになり,ゴールを奪うことができる。
② 関心・意欲・態度
・フェアプレーを大切にして自己の責任を果たそうとし仲間の学習を援助しようとしている。
③ 思考・判断
・チームの得意な攻撃パターンにするために,相手チームの動きに応じた動きを考えたり,
指示を出したりすることができる。
④ 知識・理解
・サッカーの特性や試合の行い方について,理解できる。
・技能の名称や行い方について,学習した具体例を挙げることができる。
(2)
学習内容をクローズアップする教材つくり~ミニサッカー(4対4 低いゴール)~
サッカーを素材としてゴール型のゲームを考えると,足によるボール操作が課題となる。小学
校での授業や休み時間を除くとサッカーのような足でボールを操作する活動はほとんどしていな
い。また本校3学年においてのサッカー経験者はわずかである。そのため,ボールへ触れる機会
を多くすること,また運動が苦手な生徒でもシュート→パス→ドリブルの選択しながらの攻防を,
考えやすくすることをねらいミニサッカーとした。また2年次までのゴール型の学習は自らの動
きでスペースをつくったり空いているスペースに動いたりして,自らがゴールを奪うようにする
展開であった。そのため,3年次では相手の動きから仲間(ボール保持者)がシュート→パス→
ドリブルの順で選択できるような,ボールを保持していないときの動きにも着目させ,得点が生
まれるまでに仲間とかかわり合い,協力をしてプレーする大切さを理解させることによって,得
点した時の喜びをチームで共有できることをねらった。
(3) 単元展開
時
め
あ
て
学
習
活
動
1
オリエ
ンテー
ション
2
3
ボール操作の練
習をしよう。
・チーム決め
・パス練習
・ドリブル練習
4
5
ゴール前にスペ
ースをつくり攻
撃をしよう。
6
7
8
9
10
11
相手チームの動きに応じてボール保持者がシュート
→パス→ドリブルの順で選択できるように味方が動
き,ゴールを奪おう。
12
まとめ
・セットポジシ
ョンからの攻
撃練習とゲー
ムを行う。
(ハーフコート)
・セットポジションからの攻撃練習を基に攻守が切
り替わったタイミングや,アウトオブプレーの際
の動きを確認と練習。
・リーグ戦
(試合は前・後半3.5分 ハーフタイム2分)
・単元
のまと
めを行
う。
(4)実践の様子
少人数チームであったことから,個人の役割が明確であった。そのため,ボール保持者がシュー
ト→パス→ドリブルの順で選択できるような,味方の動きにも着目させやすく,意図的な動きにつ
ながった。また,選択単元のため,コート5面の準備と片づけを毎時間行ったことが原因で活動内
容が削られてしまうことがあった。内容を充実させるために,より授業のマネジメントと活動内容
の精選が必要であると感じた。