秋 田大 学

Akita University
秋
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総 合基礎教 育研 究紀要
人 と 表 現』
1
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『特集
ジ ャ ンル の不 連 続 性 とア イ ロニ ー
ー トマ ス
・ ミ ドル ト ン の シ テ ィ ・コ メ デ ィ を め く る 一 考 察 -
佐 々木
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「芝居 の 目指 す ところは、昔 も今 も 自然 に対 して
いわ ば鏡 を向けて ・・・生 きた時代 の本 質 をあ り
『ハ ム レッ ト』 3幕 2場
の ままに示 す こ となのだ 。 」
17世 紀初 頭、急速 な人 口集 中が もた らす劇 的 な変貌 と矛盾 の渦 中にあ った ジ ェー ムズ朝 ロ
ン ドン とその住民 を映 すべ く、演劇 はあ らたな鏡 を掲 げた。即 ち風刺 的 トー ン或 いは陰謀 のモ
テ ィー フを共有 し、我 々が のちにシテ ィ ・コ メデ ィとい うサ ブ ・ジャ ンル名で呼ぶ ことにな る、
一群 の喜劇 が立て続 けに生み 出 され たのであ る。
1)
その なかで も トマ ス ・ミ ドル トン (
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)の喜劇 は、 そのテ クス トが一見異様 な まで に 「不連続性 」 '
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い るこ とが、 最大 の特徴 とい え るだ ろ う。つ ま り劇 を構成 す る、例 えば ジ ャ ンル、 キ ャラクタ
ー、 モテ ィー フ、 プ ロ ッ ト、テーマ等 の内部 に、複数 の要素が共存 あ るいは葛藤 してい るのだ。
従 って、 ミ ドル トンを見 る/ 読 む とは、密 か な陰謀 に満 ちた シテ ィ ・コメデ ィの ロン ドンに も
似 て、予漸不 可能 な不連続性 に満 ちたテ クス トとい う迷路 を さ まよ う体験 とな るだ ろ う。 とす
れ ば、 これ まで ミ ドル トンの テ クス トの顕著 な特徴 と して常 に挙 げ られて きた 「ア イ ロニー」
とい う特 質
2)
も また、 こう した不 連続性 そ の もの と当然密接 な関わ りを持 つ ので はなか ろ う
か0 本 稿 は こ の 作 業 仮 説 を 、 ミ ドル トン の シ テ ィ ・コ メ デ ィの 代 表 作 A dk!
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)を例 に とって検 証 す る試 みで あ るO議 論 の拡 散 を避 け るため に、論点 は この
喜劇 で と りわ け顕著 な 「ジ ャ ンル の不 連続性 」
3)
と 「ア イ ロニー 」 の関係 に絞 られ る ことに
な ろ う。
さて まず誰 もが最初 に遭遇 す る
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とい う題 名お よび登場 人物表 につ
いて考 えてみ よ う. 1
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か も人物 表 を見れ ば、乙女 の名 は Mo
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同時 に 当時娯 婦 の隠語 で もあ り、実 際、 ミ ドル トン 自身 も何 度 もその意味 で用 いて い る となれ
ば、 どうであ ろ うか。4) のみ な らず、 Mo
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識 に浮上 して こ よ う. つ ま りそ こには意 図的 に d
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一 の方 もそれ に応 じて、 清純 な乙女 の住 む ロン ドン
で最 も華 やか な商店 街 とい う昼 の顔 か ら、娼婦 の 出没 す るいかがわ しげな盛 り場 とい う夜 の顔
まで そ の トー ンに幅 が生 じる こ とにな ろ う。従 って この劇 の題 お よび人物表 の中では、 「チー
プサ イ ド小町 」 と 「チー プサ イ ドの辻 君 」 とい ういわ ば正反 対 の物語 素がせ め ぎあ って い る と
い うこ とにな る。 言 い換 え るな らば、 そ こには今後 出現 す るはずの この劇 の ジ ャ ンル の不連続
性 が、 いわば雛 形 と して既 に/ 常 に提 示 され て い るの だ。 そ して、 この よ うに劇 世界 に参入 し
よ う とす る瞬 間 に ジ ャ ンル へ の期 待 の形 成 を妨 げ られ る とき、 そ こに生 じるのが無 心の没入 を
拒 む劇 世界へ の違和 感 あ るいは距 離感 、 す なわ ち一般 に 「アイ ロニー 」 と呼ばれ る効果 であ る
こ とは言 うまで もな いだ ろ う。
さて それ で は テ クス ト自体 か ら 「ジ ャ ンル の不 連続 性 」が露 呈 して い る箇 所 を取 り上 げ、
アイ ロニー と絡 めて 具体 的分析 を してみ るこ とに しよ う。 まず、 いか な る劇 で あれ その基調 を
設定 す る上で いわ ば要 とな る導入 部 (1幕 1場 )か ら、例 を引 くこ とにす る。
ここで は主筋 とお ぼ しきプ ロ ッ トが 展 開 され、結婚 を無理 強 いす る無理解 な両親 、悲 嘆 に く
れ る主役 のか弱 い乙女 、 そ して敵 役 が順 次 登場 して くる。 となれ ばテ クス トは、 この劇 がル ネ
ッサ ンス期 の大部 分 の喜劇 とジ ャ ンル を共有 して い る、 とい うメ ッセー ジを発 して い る ことに
な るだ ろ う。 つ ま り様 々 な障壁 に引 き離 されて い る若 いカ ップル が、苦 難 の末 それ を乗 り越 え
て結 ばれ るとい う、 お馴 染 み の ロマ ンチ ック ・コメデ ィの ジ ャ ンル で あ る。従 って、例 えば フ
ラ ンシス ・ボーモ ン トの Th
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るほ ど、我 々以 上 に この ジ ャ ンル を熱知 して いた ジ ェー ムズ朝 の観 客 であれば、次 の展 開 と し
て は ヒロイ ンに相応 しい ロマ ンチ ックな恋 人 の登場 を待 ち受 けて いたは ずで あ る。 ところが そ
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と語 り、 ヒ ロイ ン を 「獲 物 」 "
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621)の墜 ちて い く人妻 ビア ンカ と誘惑者 フ ロー レンス公 の関係 で あ
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と台 詞 だ け を 取 り出 せ ば 、 ロ マ ン チ ッ ク ・コ メ デ ィの 主 人 公 に 相 応 しい。 の み な ら ず、
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と、 ヒ ロイ ンの肉体 へ の あか らさ まな欲 望 に満 ちて い るoつ ま り彼 の視線 の先で、愛 を捧 げ る
べ き 「貞淑 な 乙女 」 M。1
1は、既 に欲 望 の対象 と して 「追 い求 め られ る娼婦 」 Mo
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遂 げて い るの だ。 そ して こ う した若 者 が 主役 となれ る喜劇 ジャ ンル とは、 愛が支配原理 の ロマ
ンチ ック ・コ メデ ィで は な く、欲 望 が行 動原則 のサ テ ィ リック ・コメデ ィで あ るこ とは い う ま
で もないだ ろ う。 つ ま り To
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.の この予想外 のせ りふ は、 これ までテ クス トが発 して
い た ジ ャ ンル ・メ ッセー ジに対 す るノイ ズ と して機 能 して い るので あ る.従 って ここで は、 題
名 が告知 して いた 「ジ ャ ンル の不 連続 」が 早 くも生 じて い る とい うこ とにな ろ う。 そ して この
よ うに ジ ャンルへ の信頼 感 あ るいは 主 人公 へ の感情 移入 とい う、通常 の劇 で は最初 に整備 され
るは ずの条件 を欠 い て劇 世界 に参 入 す る こ とを強 い られ る者 は、恐 ら く劇 の題及 び人物 表 に遭
遇 した ときと同一の、 この劇 世界 に対 す る微妙 な違和感即 ち 「アイ ロニー」 を、 ここで再 び 必
然 的 に味 わ うので は あ る まい か 。
また一 方、 シテ ィ ・コ メデ ィ こそが ジ ェー ムズ朝 の作 家 と観 客が 自 らの 「今 」 を表象 すべ く
選 んだ新 たな鏡 で あ って み れ ば、 その代 表作 に生 じるロマ ンチ ック ・コメデ ィ とサ テ ィ リック
・コメデ ィの この裂 け 目に、 古 き良 き共感 的 な祝祭 空 間 ロン ドン と、収奪 を こ ととす る新 しい
商業 空 間 ロン ドンの 間 にそ の とき生 じて いた裂 け 目を 「兆候 的 」
8)
に読 み とるこ とも、 あ る
いは可能 か も知 れ な い。 そ して テ クス ト自体 を社会 的象徴 行為 と して捉 え、 そ こに生 じる不 連
続 に社会 が 内包 す る矛盾 の有 り様 を読 み取 る とい うこの視 点 は、 テ クス トと 「歴 史」が交錯 す
る地点へ と我 々 を必然 的 に導 いて い くこ とにな ろ う。
7)
次 に、 3幕 2場 の Si
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rの庶 子 の洗礼 のお祝 いの場 面 を例 に取 ってみ よ う. ここは、 こ
の喜劇 で最 も有 名 な い わ ば見 せ場 で あ り、 同時 に穀誉 褒旋相 半 ばす る箇 所 で もあ るo例 えば、
ミユ リエル ・ブラ ッ ドブル ックの 「エ リザベ ス朝 の ドラマで も最 も下 品な もの」 とい う断言 も
あれ ば、 ブライア ン ・ギ ボ ンズ の 「ミ ドル トンの喜劇 世界 の小宇宙 」 とい う賞賛 もあ る 。
8)
しか し本稿 の視 点 は、 サ ミュエル ・シ ェー ンボー ムが その先駆 的 な論文 でいみ じ くも用 いた
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9)
とい う形 容 に最 も近 い 。 つ ま りミハ イル ・バ フチ ンが そ の 「ラ プ レー論 」
10)
で解 き明か した民衆 的世 界 像 と重 ねて 、例 えば この場 に顕著 な 「尿 」 をめ くるスカ トロジカル
なイ メー ジ群 を、 そ の両 面価 値 性 ・祝 祭 性 、 あ るいは グ ロテ ス ク ・リア リズ ム とい う視 点か ら
理解 しよう とす るス タ ンスで あ る。 テ クス トか らイ メー ジの連 な りを逐 一引用 す るのは些か 煩
雑 なので、 こ こで は レヴ ェル ズ ・プ レイ版 のR
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パ ー カーの手際 の良 い整理 を利 用 させ て も ら
うこ とに しよ う。
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のみ な らず この場 は、 出産 、過 剰 な飲 食 、性 的放縦 とい った グ ロテ スクな身体性 の強調 で埋 め
尽 くされて い る とい って も過 言 で は な い.そ こにお祝 い に集 まった女性 達 は、 A
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- 13 -
Akita University
産 の様 子 を語 り、 ワ イ ンを浴 び るよ うに飲 み、 コ ンフ イ ッ トを貴 り食 い、若 い男 にキス を浴 び
せ 、泥酔 して倒 れ、 いわ ば乱 痴 気騒 ぎを繰 り広 げ るのであ る。バ フチ ン流 に言 えば、 そ こで は
口、排 鯉 口、 生殖器 な ど体 の あ らゆ る穴 が大 き く開かれ、身体 と世界 の境 界線 が打 ち破 られ る
こ とにな る. そ して この グ ロテ ス クな生成 す る肉体 の イ メー ジ こそが、 中世 か らル ネ ッサ ンス
にか けて、民 衆 的 ・祝祭 的 イ メー ジ体 系 の まさに核 心 にあ った こ とは、 その 「ラ プ レー論」 で
バ フチ ンが 見 事 に解 きあ か した と こ ろで あ る。 した が って 、バ フチ ン経 由で我 々は そ こに
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またそれ が引 き起 こす吠 笑 を、復 元 して 聞 き取 るこ とが可能 であ ろ う。 またそれが標識 として
指 し示 す ジャ ンル は 、 いわ ゆ るグ ロテ ス ク、 或 いは カー ニパ レス ク と称 され る喜劇 のは ずで あ
る。 だが他 方、 ジ ェー ムズ朝 の ロ ン ドンにお け る C血e
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e - 「市場 」 は、既 にその治外 法権
的 自由を失 い、利潤 追求 を至 上命 題 とす るいわば ホ ップズ的商業空 間 に変容 しつつ あ った こ と
は、例 えばスーザ ン ・ウェ ル ズが
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と、 その画期 的 な シテ ィ ・コ メデ ィ論 で強調 す る ところで あ る。 となれ ば 、 16世紀 中葉 の ラ
プ レー には可能 で あ った市場 の祝 祭 性 及 び そ こに託 され たユ ー トピア的 メ ッセー ジの無条件 の
肯定 は 、 17世紀初 頭 の シテ ィ ・コ メデ ィの書 き手達 には既 に不可能 で あ った こ とにな るだ ろ
う。 この喜劇 にお い て も、 従 って 、 それ が置 かれ た歴 史的条件 に対応 す るか の よ うに、 女性 達
の繰 り広 げ るカーニ パ レス ク/ グ ロテ ス ク ・コメデ ィは、無条件 には称 揚 され ない。つ ま り彼
女 た ちの グ ロテ ス ク に変容 す る身体 は 、 Al
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itの皮 肉 な まなざ しに よって、批 判 ・監視 され て
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い るので あ るO ジ ャ ンル の視 点 か ら見 れ ば、 カーニパ レスク/ グ ロテ ス ク ・コメデ ィがサテ ィ
リヅク ・コメデ ィに よって 分 断 され、 入 り組 んだ形 で ジ ャ ンル の不連続 が生 じて い る とい う こ
とにな るだ ろ うか .例 えば女性 達 の旺盛 な食欲 は、 A
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と、祁捻 され て い る。 カ ー ニパ レス ク ・コ メデ ィでは称 揚 され る無尽蔵 の食 物及 び その飽 くこ
と無 き消 費が、 サ テ ィ リック ・コ メデ ィの視 点 か ら、 富 の浪 費及 び食 物へ の貴欲 さ として批 判
されて い るの だ。富 を蕩尽 す る こ とに意 味 を兄 いだ して いた中世 ・ル ネ ッサ ンスの民衆 文化 の
価 値観 が、富 を蓄積 す る こ とに意 義 を見 い たす近世 の ブル ジ ョア文化 の倫理 に よって裁 断 され
て い るとい って もい いだ ろ う。 しか し、 テ クス トは さ らに 2転 3転 す る。 Al
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t が女性 達 に鮮
易 して退 場 す る と同時 に、 サ テ ィ リ ック ・コ メデ ィは影 を潜 め、 ヒ ロイ ンの弟 で血 とい う道
化 役 の登場 とともに、 テ クス トはサ テ ユル ナ リア的様 相 を呈 して くるの だ.彼 に "
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2) を浴 びせ よ う と して、泥酔 の余 り転倒 す る者 まで 出 る始末 であ るO ところがカーニパ
レス ク/ グ ロテ スク ・コメデ ィの世界 が混 乱 の極 に達 した この瞬 間 に、今度 はあたか もそれ を
否定 す るか の よ うに、再 び Al
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t がテ クス ト上 に呼 び 出され る。 そ して彼 は た ち まち祝 祭 世
界 の住 人達 の注 意 を逸 ら して 、 実 に相応 しい こ とに彼 らを "
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と、彼 らが残 してい った染 み (-祝祭 の痕跡 ) を小永 で はないか と疑 わ しげに点検 しさ えす る
の だ。 カーニ パ レス ク/ グ ロテ ス ク ・コメデ ィを盛 り上 げ る陽気 な物 質 「尿 」 も、サテ ィ リッ
ク ・コメデ ィの視 点 か らは単 に 「美 しい刺繍 を施 した腰掛 け」つ ま りブル ジ ョアのステ ータ ス
・シ ンボル を汚 す否定的物 質で しか ないので あ る。 となれ ば、 こう した ジ ャ ンル の不連 続が 露
呈 す るパ ラ ドクシカル な瞬 間の連続 に、 た とえば ス トリブラス/ ホ ワイ トが提示 した枠 組 に倣
って、 グ ロテ ス クな身体 に共感 しそれ を映笑 して いた、 い まだ残 存 す る中世 ・ル ネ ッサ ンスの
民衆 文化 と、 グ ロテ スクな 身体 を嫌 悪 し "
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まさに勃興 しつつあ った近代 ブル ジ ョア文化 との葛藤状態 を読 み とるこ ともお そ ら く可 能で あ
ろ う。
また このジ ャ ンル の不連続性 故 に、 当然 この場 で は、祝祭 の映笑 とサ タイアの噸笑が 交替 で
生 じるこ とにな るは ずだ。 つ ま り誰 もが誰 もを笑 う民衆 の平等 な広場 の笑 い と、誰 かが 誰か を
笑 うブル ジ ョワの差 別 的 な私室 で の笑 いが反転 し続 け るので あ る。従 って、 この異質な笑 い を
交互 に笑 うとき我 々は、近 世初期 英 国 にお いて生 じて いた、二 つの文化 の葛藤状 態 を生 き直 す
こ とにな るので はあ るまいか。 それ は また、劇 世界 へ の単純 な没入 を妨 げ、我 々 を どち らの笑
い に も全 面的 には加 担 で きな い、 いわ ば ダ ブル ・バ イ ン ド的状 況 に追 い込 む こ とに もな ろ う。
つ ま りこ こで もまた ジャ ンル の不連続性 は、我 々が ミ ドル トンのテ クス トを見 る/ 読 む際 に感
じる独特 の皮 肉 な距 離感 覚 即 ちア イ ロニーが、 まさに生成 す る瞬間 と密接 に関わ ってい るので
あ る。 のみな らず、 この よ うにジ ャ ンル の不連続性 とい う同一 の構 造 を、劇 の要 とな る箇所 で
反復 す ることに よって、 か くも執 劫 に劇 世界 と我 々 との関係 に揺 さぶ りをか け るテ クス トと遭
遇 す る とき、 我 々は いつ しか、世界 と我 々 との一見不動 の関係 を も、相 対化 す る視 点 を獲得 し
始 め るので はあ るまいか 。
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イ ロニ カル な ス タ ンスが、 今 、 ここにあ る世界 に疑 問 を呈 し続 け るこ とで、 い まだ、 こ こに な
い世界へ と我 々 を誘 うた め の戦 略拘縮 晦で あ る とす るな らば、 ミ ドル トンのテ クス トには、 ソ
クラテ ス同様 、我 々 が真 の認識 (-ユ ー トピア) に達 す るための、 いわば産婆役 を果 た す可 能
性 す ら秘 め られて い る とい うこ とにな るので あ る.
16)
- 15 -
Akita University
[注 ]
* 本稿 は 日本 シ ェ イ クス ピア協 会 第 34回大会
(1995年
10月 22日、於 広 島 女学 院
大 学 ) セ ミナ ー B 「トマ ス ・ミ ドル トンをめ くって」 で 口頭 発 表 した原稿 の 一部 に加 筆 修 正 を
加 えた もので あ る。
1) サ ブ ・ジ ャ ンル と して の シテ ィ ・コ メデ ィを包括 的 にあつか った研 究書 と して は、 L
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読 むべ き名 著 で あ ろ うが 、60年代 か ら7
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わ れ る.個 々 の作 家 のテー マや作 品 のモ テ ィー フを丁寧 に分析 、 分類 して い くそ の手 法 は現 在
も継 承 され て お り、例 えば最 近 も T.
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sの 立論 に多 くを負 って い る こ とを
デ ィの批 評 史 にお け る こ う した新 しい流 れ 、 と りわ け We
こ こに記 して お きた い 。
2) 例 えばわ が 国 の ミ ドル トン研 究 の先駆 者 笹 山隆氏 は そ の記念碑 的 論文 で 「彼 の作 家精神 の
基 底 に ア イ ロニ ー に貫 かれ た喜劇 的 ヴ ィジ ョンが あ って、 それ が ジ ャ ンル や主題 とはか かわ り
な く、彼 の ほ とん どの作 品 に か すか なが らもあ る共通 した色 調 を与 え て い る」 と述 べ て い る 。
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f. 「ジ ェー ム ズ時代 とチ ャール ズ時代 の演劇 」 『講座
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987年 ) 、 1
84責 。 あ るい は 海外 の ミ ドル トンの権 威
英米文学 史 5 劇 Ⅰ』所 収 (大修館 、
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91)と ミ ドル トンの
主要作 とアイ ロニ ー の結 び つ きを強調 して い る。
3) これ は もち ろん Fr
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あ る。社 会 的 ・歴 史 的考察 へ の 回路 を重視 す る80年 代 以 降 の新 しい批 評 の流 れ とジ ャ ンル批 評
を結 び つ け よ う とす るもの に とって、 この概 念 装 置 が考 察 の 出発 点 のひ とつ とな る こ とは、 い
まや共通 の認識 で あ る と言 って も過 言 で は あ るまい。
4) cf.OED'
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6) cf.「兆候 的読 解 」 "
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『資 本 論 』 を 論 じ る 際 に 提 唱 し た 読 解 法 だ が 、 前 掲 書 中 で Ve
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4)と、 その基 本 的前提 を分 か り易 く説 明 して くれ て い る。 また アル チ ュセール 自身 の 「兆
候 的読解 」 を参 照 した けれ ば、 『資 本論 を読 む』 (合 同 出版 、 1974年 )が まだ入手可能 で あ
る。
7) 象徴 的な こ とに、 そもそ もチー プサ イ ドとい う土地 の名が語源的 に 「市場 」の意味であ る。
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この特 異 な ロシアの思想 家、 なか ん ず くその祝祭理 論 の西欧世界 へ の衝撃 を真 筆 に受 け とめ、
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現 時点で鼻 も生産的 な形 で英文学へ応 用 して い る批 評書 としては、 P.
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991年 )
、206-231
頁 を参 照 の こ と。
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英 宝社 、 1
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