薬と健康の豆知識 監修:中川 輝昭 薬学博士、昭和大学薬学部大学院非常勤講師、 富山医科薬科大学医学部非常勤講師 運動するとどうして汗がでるのでしょうか? 汗を出す主な目的は体温の調節です。 運動をすると筋肉が伸縮しますし、この時に発生するエネルギーは、血液で運 ばれた栄養素と酸素とが反応して造られるのですが、全てが運動エネルギーにな るのではなく、3 / 4は熱エネルギーになります。 熱エネルギーの大半は体温を保つために使用され、熱エネルギーが余った場合、 汗として体外に放出されます。運動をすればするほど熱エネルギーはたくさん出 るので、汗を出して水分を蒸発させて、体温を調節する必要があります。 運動でからだを鍛えている人は、この体温調節が上手く、汗を出す能力が優れ ているので、時間をかけて大量の汗を出せるのですが、普段運動をしていないと そうはいきません。 一流のスポーツ選手は、1時間かけて3リットル以上の汗を出せるのに対して、 普通の人では30分で0.8リットルほど出した後には、それ以上汗が出なくなるた め、体温が上がり過ぎてダウンしてしまうのです。 汗はクーラーの役割を? 汗はからだの冷房装置の役割を果たしています。運動をしたり、気温が高くなっ たりすると、体温も高くなるため、自然と汗が出ます。そして、汗が皮膚から蒸 発する時、からだの熱を奪うので皮膚が冷え、からだが涼しくなるのです。汗の 量が1リットルだと、体重60㎏の人の場合には体温が12℃下がる換算となり、 体温調節効果は大きいと言えます。 汗が出るおかげでどんなに暑くても或いはどんな運動したときでも体温を 36℃から37℃に保っていられるのです。
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