ドイツにおける 学術情報流通の革新へ の取り組みについて 独立行政法人 放射線医学総合研究所 情報業務室 石田敦郎 1 内容 1. 学術情報流通を取り巻く環境の変化 2. インターネット時代における 図書館の取り組み 3. ドイツにおける取り組み 1) 2) 3) 4) プロジェクト ネットワーキング(連携) 多様化(差別化) e-Science, e-Research 2 旧来の学術情報の流通形態 発掘、出版 流通 学協会 出版社 取次店 書店 収集、保管、供覧 図書館 モノ(本)の流れ=情報の流れ 左から右への一方向の流れ 3 インターネット時代の流通形態 発掘、出版 学協会 出版社 流通 収集、保管、供覧 取次店 インターネット 図書館 書店 大手出版社による 学術情報資源の寡占化 電子化による蓄積、 発信(直接配信) 読者の寡占化 Amazon等による 物流チャネルの寡占化 Googleによる 情報資源と情報チャネル の寡占化 情報源の多様化 4 図書館は? ストック(保管、蓄積)型から フロー(発掘~発信)型へ • 発掘: 保有情報資源のデジタル化による再発掘、 付加価値化、再活用の促進 • 収集、保管:デジタル情報のアーカイブ化 • 流通、発信:リポジトリ化 + オープンアクセス化 ポータルサイトの運営 図書館ネットワーク 圧倒的な情報資産+ 『図書館』というブランド、信頼 5 インターネット(仮想世界)との融合 デジタル/バーチャルライブラリ、Hybrid World • • • • • デジタル化 アーカイブ化 ポータル、ネットワーキング リポジトリ オープンアクセス 仮想世界への進出 ボーダーレス 「図書館に来れば 全部見られます」 仮想世界の取り込み 学術情報資源 囲い込みへの対抗 『学術情報流通のためのサイバーインフラストラクチャ』 6 ドイツにおける取り組み 1. 2. 3. 4. プロジェクト ネットワーキング(連携) 多様化(差別化) e-Science, e-Research 7 プロジェクト 1. デジタル化 – – – – – MDZ : Munich Digitization Centre Google Book : 17~19世紀資料のデジタル化 CONTENTUS : マルチメディア・データの統合保存方法の研究開発 GetInfo/PROBADO : 各種科学技術情報(非テキストデータ)の 統合検索技術の研究開発 IMPACT : OCRデータの品質改善方法の研究開発 2. アーカイブ化 – – – kopal : 長期保存・アクセスのためのシステムインフラの研究開発 nestor : 科学情報の長期保存に関する研究開発 PARSE.Insight : 長期保存に関する調査研究 8 プロジェクト 3. ポータル、ネットワーキング – – – – – – – EUROPEANA : EU電子図書館 DDB : ドイツ・デジタル・ライブラリ ViFas : 仮想専門図書館 EZB : 電子ジャーナル図書館 Vascoda : 総合学術検索サイト GoPORTIS : 専門図書館共通ポータル(TIB、ZB MED、ZBW) GetInfo : 科学技術総合ポータル (TIB、FIZ) 9 プロジェクト 4. リポジトリ – – PEER : ライブラリ、リポジトリ、学術出版社のコミュニティ DRIVER/COAR : グローバルなリポジトリインフラ、ネットワーク化の 調査、研究開発 5. オープンアクセス – – – – – OAPEN : EUのオープンアクセス推進ネットワーク OpenAIRE : EUにおけるオープンアクセスの共通基盤開発、推進 DINI : ドイツのオープンアクセス推進ネットワーク SCOAP3 : 高エネルギー物理学研究分野におけるOAの推進 GMS : 医学中央図書館におけるオープンアクセスの推進 10 ドイツにおける取り組み 1. プロジェクト – 期間限定 – ドイツ研究協会(DFG)、政府(国、州)、EU、財団 等による資金提供 – 専任の専門家集団 恒常的な図書館業務担当者とは別 2. ネットワーキング(連携) – 分散+ネットワーキング(≠中央集権) – 図書館間、ナショナル、EU、グローバル インターネットによるボーダーレス化 11 ドイツにおける取り組み 3. 多様化(差別化) – バイエルン州立図書館のデジタル化戦略 – 技術情報図書館の科学技術総合ポータル運営 4. e-Science, e-Research – マックス・プランクデジタル図書館が提案する研 究所の新しい研究情報インフラの形~eSciDoc 12 e-Science, e-Research これまでの機関リポジトリの運用イメージ 「査読、編集、発行された情報を、図書館員が 吟味し信頼性のあるものとして収録する」 (従来の図書館運営型) コンテンツが集まらない 先生/研究者が協力してくれない 問題提起-1:「誰のためのリポジトリ?」 13 e-Science, e-Research 問題提起-2:オープンアクセスの課題 研究者の価値観 学協会(誌) コアジャーナル 権威/ブランド インパクトファクター オープンアクセス (開かれた図書館) 「投稿者にどのようなメリット を提供できるのか?」 現場の研究者(情報提供者)を巻き込んだ 議論、取り組みが必要 14 e-Science, e-Research eSciDoc:研究所発のリポジトリのコンセプト 「研究者が、研究を進めていく中で発生する データ・情報を自ら収録し、発信する」 (デジタルリポジトリの新しい発想) 情報の発生から保管、発信までをサポートする 研究者のための情報蓄積・流通インフラ 研究現場とインターネットの融合 15 第2部 ワークショップ グループA • デジタル化 • アーカイブ • 長期保存 グループC • e-Science • e-Research • ジャーナル グループB ステージ • ポータル • リポジトリ • オープン アクセス グループD • プロジェクトファンド • ナショナルライセンス • EU/グローバル連携 グローバル連携 • その他 16 参考図書 酒井由紀子、クリステル・マーンケ編. ドイツにおける学術情報流通-分散とネットワーク, 日本図書館協会, 2008, 259p., ISBN978-4-8204-0813-0 17
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