【 平成26年 一般質問 自由民主党 2月定例会-03 月 11 日-07 号 】 平成26年3月11日 32番 波多洋治 皆さん,おはようございます。 自由民主党岡山県議団波多洋治です。 今回で 40 回目の質問になります。本日も,傍聴席の皆さん,ありがとうございます。 初めに,3年前の3月 11 日の東日本大震災を振り返ってみたいと思います。 その日,ソチオリンピックただ1人のゴールドメダリスト羽生結弦選手は,当時 16 歳で,東北高 校の1年生でした。アイスリンク仙台で練習中,建物が大きく揺れ,スケート靴を履いたまま外へ 逃げたのであります。自宅も被害,ライフラインもとまり,彼は4日間の避難所暮らしをしました。 練習場も使えず,約 60 回のアイスショーの公演について技術と感性を磨き,夢と希望を抱いて,苦 節3年,ついに世界の頂点に立ったのであります。 その日,平成 23 年3月 11 日午後2時 46 分 18 秒,三陸沖 130 キロの太平洋の海底を震源とする マグニチュード 9.0,発生時点における日本観測史上最大の地震,最大震度は宮城県栗原市で震度7, 宮城,栃木,福島,茨城4県 38 市町村で震度6強を観測,最大の波の高さ 40.1 メートルにも上る 巨大津波が発生,ことしの2月 10 日時点で震災による死者,行方不明者は1万 8,520 人,建築物の 全壊,半壊 40 万 78 戸,ピーク時の避難者約 47 万人以上,ことしの2月 13 日時点の避難者はなお 約 26 万 7,000 人であります。日本政府は,直接的な被害額を 16 兆円から 25 兆円と試算,これは世 界銀行によると,自然災害による経済損失額としては史上1位。 そして,地震から1時間後,波の高さ 14.15 メートルの津波に襲われた東京電力福島第一原子力 発電所は,全電源を喪失し,原子炉が冷却できなくなり,メルトダウンという炉心溶融が発生,水 素爆発により原子炉建屋が吹き飛び,大量の放射性物質の漏えいが発生,重大な原子力事故に発展 しました。この事故は,国際原子力事象評価尺度で最悪のレベル7,チェルノブイリ原子力発電所 事故と同等に位置づけられました。周辺一帯の福島住民の避難は長期化しております。今日なお, 復旧,復興の道は遠く,我々はただただ一日も早い復興を祈るばかりであります。 平成 26 年度においても,政府は,地方の喫緊の課題である防災・減災対策に取り組めるよう,5,000 億円を計上するとともに,震災復興特別交付税 5,723 億円を確保,震災地域の復旧復興対策を加速 させようとしております。天災は忘れたころにやってくるというならば,我々はこの東日本大震災 の災害を常に忘れず,国,県,市町村が一体となって国民の生命と財産を守る,災害に強い強靱な 日本実現のための国土強靱化策を強力に推進しなければなりません。 我々県民もまた,共助としての地域の防災組織の構築とともに,みずからの安全はみずからで守 るという自助の精神を忘れることなく,安全性確保の備えが必要であります。水や食料の備蓄など の事後防災のみならず,災害発生のまさにそのときに安全性確保に必要な対策,例えば自分の住宅 の耐震化,家具などの固定化など,事前防災と呼ばれる対策にも取り組み,安全・安心の創造に向 けて地道な努力を積み重ねなければなりません。 伊原木知事は,提案説明において,東日本大震災については一言も触れておられませんが,この 震災からの教訓もたくさんあるのではないかと思います。私は,全国民がこの日を永遠に忘れない ために,3月 11 日を震災記念日あるいは災害を忘れない日,また粗衣粗食の日などとして,歴史に 1 刻むべきではないかと思います。東日本大震災から3年目の本日,どうぞ知事の思いをお聞かせく ださい。 さて,これより教育問題に特化して,知事,警察本部長並びに教育長に,提言を交えてお伺いし たいと思います。 伊原木知事は,今議会の提案説明において,本県の明るい未来に向けて,好循環を生み出す揺る ぎない基盤を築くため,まずは教育再生を最重要課題と位置づけ,一心に取り組んできたと表明さ れました。そのためには,学力の問題,少年非行率,暴力行為の発生件数等,厳しいレベルにある が,何よりも落ちついて授業の受けられる環境を取り戻すことであり,生き活きプランというフィ ールドに新たな種をまき,たくましい芽を育む実行元年として,重点戦略である教育県岡山の復活 に向けて強力に推進すると明言されました。教育再生にかけた,まことに力強い所信の表明であり ます。 ところで,私は昨年6月,知事に対して,教育県岡山復活のために,県庁の内部組織として部局 横断的な統一組織をつくるべきだと申し上げました。それに対して知事は,統一的,部局横断的な 組織を新たに設置し,総合的に施策を推進することは一つの手段であると考えていると答弁されま した。しかるに,今回,私は,知事みずからが新たな組織を設置すると期待をしておりましたが, 全く教育再生にかける統一的,部局横断的組織はかないませんでした。 教育再生に関係すると思われる平成 26 年度予算を,重点戦略の重点事業のみを調べてみますと, 県民生活部では,少年非行防止対策等推進事業として 1,800 万円,教育委員会では,不登校児童生 徒の解消対策に1億 6,500 万円,頑張る学校応援事業に 3,000 万円,いじめ,暴力行為への対策に 2,600 万円,警察本部では,犯罪の起きにくい社会づくりの推進に 70 万円,目指せ少年非行情勢の 改善策等に 4,200 万円となっております。まとめて申し上げますと,平成 26 年度の重点事業は 49 事業,その総額は 165 億 7,600 万円であり,うち,学力向上プログラム,徳育推進プログラム,子 育て支援プログラム等9事業の総額は 110 億円,さらにそのうちの学力向上,いじめ防止,不登校 対策,少年非行対策関係は5事業,約3億円であります。 知事は,教育再生に向けてこれほどの財源確保をしながら,これを統一的,総合的に所轄する教 育再生局,仮称ではありますが,そのような組織をなぜ立ち上げないのですか。岡山県には総合政 策局がございます。今回の生き活きプランの策定に本領を発揮したと思われますが,しかしなお, 総合政策局として,財源と権限の弱さから,一抹の不安を覚えております。 仮にも教育再生局を立ち上げ,組織横断的な人材を確保し,その上に事業費と人件費を計上し, さらに施策施行の権限を与えるならば,教育再生のために独立に値する新たな組織を立ち上げるこ とが可能ではないか,まさしく教育再生策の選択と集中ができるのであります。知事の言うスピー ド感を持って全力で取り組む施策こそ,教育再生のための組織づくりではありませんか,知事の御 所見をお聞かせください。 次に,少年非行と不登校問題,そしてその解決策について,警察本部長並びに教育長にお伺いい たします。 岡山県は,平成 24 年中,10 歳から 19 歳の少年人口 1,000 人当たりに占める刑法犯少年の割合は 10.7 人で,全国ワースト1位であります。非行率の全国平均が 6.5 人でありますので,この数字は 非常に高いと思われます。と同時に,これは県警察の,犯罪は許さないという決意と,真面目に懸 命に捜査活動に当たり,検挙,補導したという数値でありますので,県警察の御努力に対して,ま ずもって敬意と感謝を申し上げます。 2 そこで,本部長に幾つかお伺いいたします。 犯罪を犯した全ての人が検挙されるわけではありませんが,平成 25 年中に県警察が検挙した全刑 法犯人員に占める少年の割合はどのくらいでしょうか。 また,その割合から,いまだ検挙されていない事件のうち少年による犯行件数を推測することは 可能ですか。 さらに,県警察として,なぜ岡山県は少年非行率が高いのか,その原因をどのように分析されて いますか。 次に,岡山県で検挙,補導等した少年は,平成 24 年中 2,069 人,このうち 14 歳以上の刑法犯少 年は 1,504 人,中学生は 1,005 人,実に 48.6%であります。この刑法犯少年と中学生の不登校生徒 との関係はございますか。 ところで,本部長,この検挙,補導というのはどういう意味でしょうか。県警察として,検挙, 補導した少年に対してどのような対応をされているのですか。 また,非行に対する責任をどのように教育し,検挙等した後の処分はどのようになるのですか。 さらに,非行から立ち直らせるために,県警察として取り組んでいる教育活動や支援活動があれ ばお教えください。 次に,教育長にお伺いいたします。 私は,中学生の不登校の実態をつかんでいます。その一端を申し述べ,教育再生に対する私見を 申し上げたいと思います。 その不登校生徒の実態とは,親の言うことを聞かず,家出や外泊を繰り返し,喫煙は常態,中に は手に入れ墨をしている子もいます。仲間が何人もおり,徒党を組み,時に万引き,喝上げをし, 行動半径も広く,越境中学校との争いもあります。自由出校ですが,椅子に座ることは針のむしろ に座ることであり,教室の出入りや授業も全くの自由です。教室では,次第に腐ったリンゴになっ ていっています。初めは迷える子羊ではありましたが,放し飼いの中で,次第にオオカミのごとく に変容し,坂道を下っていくのが目に見えるようであります。これらの生徒たちのことを,彼らと 呼ばせていただきます。 本県の少年非行率全国ワースト1位からの脱却は,まさしく彼らとの信頼関係を築くために何を すべきか,彼らに道を誤らせないために何をすべきか,彼らに夢や希望を持たせるために何をすべ きかであります。これこそが,不登校生徒に対する教育委員会の使命と責任であります。 さて,彼らがなぜ不登校になったのか。県教育委員会の発表している平成 24 年度における問題行 動等の調査のアンケート結果によりますと,中学校で理由の最も多いのが,不安など情緒的混乱, 無気力,友人関係をめぐる問題,そして遊び,非行と続きます。しかしながら,私が彼らと話をし たときに一番多かったのは,先生はうそをつく,先生は信用できんという教師に対する不信感でし た。次が,学力が大変おくれていること,また学力遅進の前兆は小学校のときから発生していたと いうこと,そして,ほとんどの子供たちに共通することは,ひとり親の家庭であり,圧倒的に母子 家庭であったということであります。 そこで,調査結果について,教育長にお伺いいたします。 第1に,不登校理由の不安など情緒的混乱とはどんな状況を指すのですか。 第2に,教職員関係を理由とするものは,中学生でわずかに 1.7%であります。この結果は,不登 校生徒本人に直接聞き取りをしたものですか。 私は,不登校の生徒が全てそうだと言うつもりはございません。さまざまな理由が複雑に交錯し 3 ており,不登校の理由を特定することは難しいと思います。しかし,私がつかんでいる不登校の実 態の子供たち,つまり道を外れ,傍若無人に振る舞う彼らの問題を解決しない限り,私は教育再生 はあり得ないと思います。 さて,生徒指導推進室は,平成 26 年度予算で,45 名の登校支援員を配置する事業を打ち出しまし た。教育長,これは,家庭環境が要因で不登校傾向にある小学生に対する支援員ですか。その支援 員の皆さんが,不登校傾向にある児童への適応支援や保護者等に対する相談支援に取り組むことは, そして事前に手を打つ不登校解消に向けた事業として,子供たちが落ちついて学習できる環境整備 のためにも,ぜひとも推進していただきたいと思います。 それでは,小学生の不登校よりもはるかに多い,現に不登校となっている約 1,500 名の中学生の 不登校生徒に対しては,どれだけの人材と予算をかけ,どのような施策を打ち出しているのでしょ うか。スクールカウンセラーや暴力行為対策アドバイザーといった方々で果たして十分なのでしょ うか。 ところで,話はかわりますが,県立倉敷まきび支援学校は,総工費 43 億円をかけ,本年4月開校 いたします。児童生徒数 236 人,職員数 119 人,人件費,運営費合わせて約 10 億円をかけます。わ ずか 236 人に対して取り組む特別支援教育に 119 人のスタッフを充て,約 10 億円をかけるのであり ます。県下全体の特別支援教育に要する人材と必要経費を上げれば,莫大なものになりましょう。 それを責めているわけではありません。充実した特別支援教育は,障害者に優しく,すばらしい ことであります。不登校の児童生徒とて同じことです。個人の能力や適性にかなう教育を施さなけ れば,人は救えないのです。 特別支援教育に対する手厚い指導や保護に比べて,不登校児童生徒に対する施策は余りにも貧し く,限定的で,その場しのぎの策でしかありません。不登校対策事業にもっと予算をかけ,人材を 充て,特別な施策を打ち出すべきです。教育長さん,そう思いませんか。御所見をお聞かせくださ い。 次に,教育再生策について申し述べます。 まず第1に,中学校のカリキュラムを見直すべきです。高校進学率が 98%という時代です。中学 校は,高校進学のためのステップです。しかし,中学校を人生の最後の学校とする生徒もいるので す。まさしく彼らは,高校進学など毛頭考えてはいないのです。しかるに,現在の中学校には,彼 らの性格を把握し,一人一人の多様な個性や能力を伸ばす,つまり彼らの個別に応じた受け皿がな いのです。少人数あるいはマンツーマンで基礎学力をつけてくれるところはないのです。 彼らは,中学校を卒業したら,社会人として働きます。しかし,誰も社会人になるための教育を してくれないのです。たとえ中学校卒業であっても立派な社会人として生きる道を教えてくれる人 はいないのです。 教育長,今まさに彼らのために,職業教育,キャリア教育を中心に据えたカリキュラムを考える べきときです。そのカリキュラムには,基礎的学習と体力の錬磨はもとより,体験学習としてのさ まざまな職場体験や,希望する技術を取得する学習や,また当然のことながら,社会人として必要 な最低限の礼儀やモラルなどであります。 彼らは,もはや大人以上の体力を持ち,スマホを駆使する力を持ち,異性とつき合う能力を持っ ています。今日の非行率全国ワースト1位や不登校の状況を考えるとき,どうしても中学校のカリ キュラム再編が彼らのために必要なのです。教育長さん,そう思いませんか。教育長の御所見をお 伺いいたします。 4 第2に,現行中学校に彼らのための特別なクラスをつくる必要はありません。民間には,フリー スクールとかフリースペースとかと呼ばれる施設があります。そこでは,学習はもとより,各種ス ポーツ,手芸や工作,栽培や調理,登山やピクニックなど,主として身体を活動させるさまざまな 指導を取り入れています。 そこで,提案です。オフィシャルフリースクールをつくるべきです。教育委員会の知恵と力を結 集し,職業教育を中心に据え,きちんとしたカリキュラムに基づいた公立のフリースクールをつく るのです。その上で,不登校対策の専門的な指導員や支援員を採用したり,教員OBを募ったり, 地域のボランティアを募集してもいいでしょう。彼らの目線で寄り添い,語り合い,時に寝食をと もにする覚悟を持って取り組む,そうすれば必ず人間的な信頼関係が生まれます。そのときにこそ, 彼らの行く手を照らす希望の光が見えてくると確信いたします。 さらに,第3として付言すれば,地域全体を彼らの学校とする取り組みが必要です。例えば地域 の中小,小規模事業所と提携し,大いに彼らを地域に出すべきです。そして,彼らの持っている課 題を解決させていくのです。教育長さん,そう思いませんか。教育長の御所見をお伺いいたします。 以上で一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。 【答弁】知事 自由民主党の波多議員の質問にお答えいたします。 まず,東日本大震災についての御質問でありますが,私としても,震災のこと,被災地や被災者の ことを決して忘れることなく,震災からの多くの教訓を将来に伝えていかなければならないと考えて おり,改めて,お話の自助,共助を含めた防災・減災対策にしっかりと取り組んでいかなければなら ないとの思いでございます。 3月 11 日を震災記念日とすることについては,先般,国会でも議論されており,今後,国におい て適切に検討を進めていただきたいと存じます。 次に,教育再生のための組織づくりについての御質問であります。 本県の教育再生に向けては,県教委を初め,知事部局,警察において,それぞれ専門性を発揮しな がら,市町村とも連携協力し,責任を持って取り組んでいるところでございます。お話の統一的,総 合的に施策を推進する組織の設置までは考えておりませんが,青少年の健全育成に部局横断的に取り 組む青少年対策マトリックスを設置しており,その機能を十分活用することが大切であると存じます。 また,国の教育委員会制度改革案では,首長を主宰者とする総合教育会議の設置も議論されており, その動向も注視する必要があると考えております。 以上でございます。 【答弁】教育長 お答えいたします。 まず,不登校問題についてのうち,アンケート結果等についてでありますが,不安など情緒的混乱 とは,登校の意思はあるものの,体の不調を訴え,登校できず,登校時間が過ぎれば改善し,そうし た日が継続する,また,漠然とした不安を訴え,登校しないなどの状況であります。調査には教職員 が回答しておりますが,回答の際には,学級担任など,子供の状況をよく把握している教職員による 5 本人との面談や家庭訪問等の内容,関係機関からの情報など,個々の子供の状況を十分把握した上で 判断することとしております。 次に,登校支援員等についてでありますが,登校支援員は小学校に配置し,別室指導や家庭への働 きかけ等を行うものであります。中学校では,不登校者数の増加や欠席日数が長期化することなどを 踏まえ,まず,課題の多い中学校に配置する非常勤講師 40 名分,全中学校に配置するスクールカウ ンセラー 125 名分,スクールソーシャルワーカー 25 名分,さらに,落ちついた学習環境を確保する ための暴力行為対策アドバイザー6名分等,合わせて約2億 9,500 万円の予算を計上しております。 こうした事業の効果をさらに高めるため,学校が家庭としっかり連携し,さまざまな関係機関の協力 も得ながら取り組むよう,引き続き支援してまいりたいと存じます。 次に,特別な対策についてでありますが,県教委ではこれまでも,学校に対し,休み始めの3日間 の早期の対応として,電話連絡や家庭訪問を実施するよう働きかけるとともに,スクールカウンセラ ーの中学校への全校配置に加え,スクールソーシャルワーカーの大幅な増員,暴力行為対策アドバイ ザーの派遣等を行ってまいりました。こうした事業の効果を検証した上で,中学校の不登校の芽は既 に小学校にあるとして,新たに小学校を対象に,中核となる教員の育成や登校支援員の配置,スクー ルカウンセラーの拡充等,不登校の未然防止の対策をしっかり強化することとしております。 次に,中学校のカリキュラム再編についてでありますが,お話の生徒に対しては,教員が情熱と気 概を持って本気で粘り強くかかわり,学校生活に目を向けさせることが基本でありますが,生徒一人 一人の状況を踏まえ,別室等を確保し,学び直しの機会を設けたり,お話の職業教育に関する体験的 な活動等をまずはプログラムとして設定することは一つの方策と考えており,研究してまいりたいと 存じます。その際,退職教員や手に職を持った地域の方などの協力を求めるとともに,こうしたさま ざまな人たちと触れ合うことで,礼儀やモラルの大切さに気づかせるよう取り組むことが重要である と考えております。 最後に,オフィシャルフリースクール等についてでありますが,県内の学校において,便所掃除を 教員や地域の方とともに行ったり,学校を挙げて放課後の学力補充に取り組むことで,非行傾向の生 徒の生活が落ちついた例があります。このような事例に学び,教員が本気で非行傾向の生徒に向き合 い,かかわりを持つことが大切でありますが,学校を中心とした取り組みだけでは効果が上がらない 場合には,フリースクールではありませんが,児童相談所と連携し,県立の児童自立支援施設での生 活,教育等を通じた自立のための支援も考えられるところであり,お話の事業所等,地域の方の協力 も有効な方策と存じます。 以上でございます。 【答弁】警察本部長 自由民主党波多議員の質問にお答えいたします。 少年非行問題についての御質問であります。 まず,割合等についてでありますが,平成 25 年中に県警察が検挙,補導した全刑法犯人員は 5,430 人で,このうち少年は 1,829 人で,33.7%であります。 この割合から,少年による未検挙の犯行件数を推測することについては,例えば1人が数件,数十 件の犯行を行う場合や,数人共同して1件の犯行を行う場合があり,検挙人員の割合と検挙件数の割 合の比較で未検挙の件数を推測することは困難なところであります。 6 また,本県の非行率の高い原因についてでありますが,少年の非行の背景には,少年自身の規範意 識の低下,少年を取り巻く環境の問題など,さまざまな問題や要因が絡まっているものと考えており ます。その中で,本県の少年非行の特徴として,非行少年のうち約半数が中学生で,低年齢化が進み, 早い段階で非行を犯していることや,暴行,傷害等の粗暴犯で検挙,補導された少年の割合が高いこ となどが上げられます。 次に,中学生についてであります。 県警察では,保護者等からの少年相談に積極的に応じており,平成 25 年中,中学生のいわゆる不 登校に関する相談を,非行少年2人に係るものを含んで 10 件受理しており,適切な指導助言を行っ ております。また,平成 25 年中,保護者等の同意を得て立ち直り支援を行った 49 人の中学生の非行 少年のうち 12 人が,いわゆる不登校でありましたが,これ以外は把握しておりません。 次に,検挙,補導等についてであります。 刑罰法令に触れる行為を行った少年のうち,14 歳以上の少年は犯罪少年として検挙し,14 歳未満 の少年は触法少年として補導しており,少年の年齢によって,その手続も異なっております。 犯罪少年につきましては,法定刑が罰金以下の事件は家庭裁判所に,また法定刑が懲役,禁錮以上 の事件は検察庁に送致等をしております。その後は,家庭裁判所等において,少年に応じた所要の措 置が行われており,保護観察所による保護観察処分や,児童自立支援施設,少年院等の担当機関等に おいて必要な教育等がなされているところであります。 一方,触法少年につきましては,殺人等の凶悪な罪に係る行為を行うなどした少年は家庭裁判所に 送致し,それ以外の行為を行った少年は児童相談所に通告するなどしており,その後は,担当機関等 により所要の措置が行われ,児童福祉司等による指導や児童養護施設等における指導がなされるなど, 必要な教育等がなされております。 最後に,県警察として取り組んでいる立ち直り支援活動についてでありますが,県警察では,少年 警察ボランティア等と連携して,落書き消去活動等の社会参加活動,ハイキングや卓球等のスポーツ 活動,野菜の種まき,収穫等の農業体験活動のほか,宿題指導等の学習支援活動も実施しているとこ ろであります。 以上でございます。 【再質問】 御答弁をいただき,ありがとうございました。 知事さんにお伺いしたいと思いますが,新たな組織の設置は考えていないという御答弁でござい ました。私は,まさに教育の危機的,そういう状況の中で,知事が本来所轄と違う教育問題を一番 に取り上げて教育再生を表明されたわけですけど,であるならば,それが実現できる組織,私はそ れが教育再生局と思っておりますけれども,それは単にネクタイ売り場や食料品売り場を一緒にす るという話ではなくて,教育,次の時代を担う子供たちをどうするかというその一点に絞ってつく るべきだと,もしここでつくれないという状況なら,私は行政というものに対する不信感を抱くん ではないかと,我ながら思っております。 というのは,非常に頑強な行政で,強力なセクト主義や縄張り意識や,あるいは部局に絡む権益 などがハードルになってできないというようなことであれば,知事が声高に教育再生を叫んでも, 結局,誰が一体,統一的指揮命令系統の中で教育問題を考えていくのか。同じ子供たちを,県民生 7 活部じゃ,いや県警じゃ,教育委員会と,そういうようなことでなくて,これは岡山県の子供は県 の宝でございますので,それを育てる統一的な組織をつくるべきだというふうに思います。知事の 教育再生にかける思いと組織づくりについて,いま一度お答えをいただきたいと思います。 教育長ですが,皆さん御承知のとおり,日本の企業は 97%が中小,小規模事業所でございまして, そのうちの 79%が 10 人以下の小規模事業所でございます。そういうのが学区にはたくさんあるわけ で,恐らく中学校自体,そういう状況をつかめていないんじゃないかと。非常に閉鎖的といいます か,学校の中に閉じこもっている,そういう気がいたします。 そういう中で,例えば溶接工,板金屋,塗装屋,水道屋,土木屋,左官屋,大工,さまざまな料 理店など,そういうところが彼らの全ての学習の場所になるような,そういう体験学習を仕組んで いって,そして中卒であることを誇りに思って,世の中に勝負すると。しかし,その途中で学びが 必要であったと思ったときに,再び次なる高校,専門学校で学べるような,学び直しの制度や助成 制度をきちんとつくっていけばいいのではないかというふうに思います。中卒をぜひ金の卵に育て ていきたいという,そんな気がいたします。いま一度,教育長の思いを教えていただきたいと思い ます。 以上です。ありがとうございました。 【答弁】知事 教育再生をしたいのであればその組織をつくらなければいけないのではないかという質問に対し てお答えをいたします。 まず,私自身も,教育に関しては権限が,県と市町村,それから首長と教育委員会,教育委員会の 中でもそれぞれの委員,教育委員会の委員長,それから教育長と,さまざまに権限が分かれているこ とに対しては大変残念に思っておりますし,私はこれだけ教育について立て直しをしたいと思ってい る以上は,今よりも大きな責任を持って,権限を持って事に当たりたいと考えているわけでございま す。ただ,実際,教育の責任者が誰なのかと,権限はどのように配分をされるべきかということは法 律で規定をされていることでございまして,現在,国会でも議論をされておりますけれども,現在, 法律で決まっている権限があるにもかかわらず,私がその権限をとるような組織運営上動きをします と,まさに船頭多くして船が山なのかどこなのかに上ってしまうと。岡山の場合,登るべき山はいっ ぱいありますので,組織が迷走してしまうのではないかということも私の懸念の一つでございます。 私は,教育長も信頼をして,一緒にタッグを組んでやっていくつもりで再任をいたしたわけでござ いまして,ぜひ,新しい組織はつくりませんけれども,常にタッグを組んで,それから先ほど申し上 げました青少年対策マトリックスもしっかり活用しながら,議員がおっしゃられるような,岡山県庁 がしっかり一丸となった取り組みを進めてまいりたいと存じます。 以上でございます。 【答弁】教育長 再質問にお答えいたします。 私も現実に中学校で,教室に入れずに廊下にたむろしてるような,そういう生徒,それからお話に ありましたような,校外で傍若無人に振る舞っている,そういう生徒,これに対して教員が話をする とか寄り添ってるとか,そういうふうな状況で日々を暮らしていると,校外の場合はなかなか目がか 8 けられていないというような,そういう状況で,果たしてこれでいいのかと,こういう生徒が将来社 会をしょって立っていけるのかという,そういう問題意識は持っておりまして,ですから廊下でたむ ろするといったような状況ではなくて,彼らには彼らの別室あるいはいろんなところで学び直しの場 をつくっていくとか,そういったときに手に技術をつけさせるとか,そういったような場が必要では ないかなというふうに思っております。そういう中で,特に地元の事業所などの協力もいただきなが ら体験的にやってもらって,勉強が必要だなというふうになれば中学校へ帰る,あるいは中学を卒業 していけば高等学校のほうへ,高等学校のほうも定時制もありますし,通信制の高校もあります。学 び直しができるような学校という,そういうシステムはありますんで,いま一度この辺はしっかり研 究していって,将来無業者で本当に困ったなという状況にならないような,こういう手は打っていく 必要があるというふうには私も強く思っているところであります。 以上でございます 9
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