特集「冷媒」 2014/01 11 02 「環境効率に向けた オーストラリアの 取り組み」 ステファン S.ジェンセン 冷媒のゆくえ 14 ハイプレッシャー取扱い のトレーニング 08 エコライン― 次世代のレシプロ圧縮機 はじめに 冷媒のゆくえ 「低温」への 高い需要。 冷媒とは それ自体が 科学である。 専門家が語る 代替冷媒への 長い道のり CO2 (R744) もますます重要になってきています。 (14ページ:CO2トレーニングセンタ ーについての記事を参照)。市場は常 に変化しています。技術や冷媒の変化、 さらに法律の枠組みなどの急速な変化に ついていくことは、中小企業にとって決して 簡単なことではありません。 現代社会を大きく変えた冷媒技術。この技術のおかげで、食品を新 鮮に保ち、長期間の保管が可能になり、地球規模でのサプライチェー ンを支え、室内を快適な温度に保つことができるのです。約5000年 もの間、 「冷やす」という技術は、空気や水、そして氷を使って温度を 下げるという単純なものでした。しかし、最初の冷却装置の発明によ って、新しい作動流体が使用されることになり、新しい挑戦が始まり ました。ここでは、テクニカルプログラムマネージャーであるヘルマン・ レンツ氏とアプリケーションエンジニアリングおよび商品パフォーマ ンスの責任者であるハインツ・ユルゲンセン博士に冷媒の化学、経済、 エコロジーについてお聞きしました。 レンツ氏:政府としても、正確な生の情報に基づく判 断が必要になってきます。その良い例が最近の「EUFガス規 制」の改訂です。私たちもコンサルタントとして直接参加することで、 感情論になりがちな議論を事実に基づいた取り組みへと導くため の努力をしています。 お二人にお聞きします。最近、自動車産業における「冷媒」の課題が 「Tagesschau(今日のレビュー)」というドイツの番組にも取り上げ られましたが、このテーマの難しさはどこにあるのか、また、なぜ今こ んなに話題になっているのでしょうか? 自然冷媒や合成冷媒についての議論のことですか? ヘルマン・レンツ ハインツ・ユルゲンセン博士:さらに、環境・安全面だけでなく、商業 用・産業用途においては、クリアしなければならない条件がたくさん あります。たとえば、長期にわたる化学的安定性や材料の適合性、エ ネルギー効率、熱力学的性能、そして、もちろん価格面の問題もあり ます。 ほとんど不可能に近いですね。コンポーネンツのサプライヤーとして、 できることは何だとお考えですか?その役割とは? ハインツ・ユルゲンセン博士 2 ユルゲンセン博士:私たちには、お客様の環境保護と経済的ニーズの 両者の折り合いをつけた商品を提供するという責任があります。コン ポーネンツのサプライヤーとして、将来の冷媒を見据えながらも、個 々のニーズに対応した適切でバランスのとれたソリューションの提供 が必要です。つまり、これからの作動流体に対して最適化したコンプ レッサーを提供しながら、なおかつ、長期的に効率的で安定した安全 な運転を実現するためのあらゆる努力が求められるのです。同時に、 お客様に対するトレーニングや、常に最新の情報を提供するという面 zhu difeng / fotolia, Science Photo Library / Corbis, Gernot Walter/rotwerk ヘルマン・レンツ氏:自動車産業の状況についてはよくわかりません が、こういうことが話題になるということ自体、私たちが直面してい る根本的な課題を示していると言えます。つまり、冷媒には、さまざ まな要求が、しかも、同時に求められているということです。たとえば、 これからの自動車エアコンには、環境に良い安全な冷媒が必要にな ってきます。なるほど、ごくあたり前のことです。しかし、実際にこれを 実用化し評価することは、決して容易いことではありません。 レンツ氏:そうです。経済や政治、思想などが全く異なる利益団体が、 それぞれ独自の目標や価値を求めて、衝突してしまうのです。環境保 護団体は、当然のことながら環境面が最優先課題ですから、自然冷 媒に偏ってしまいます。しかし実際は、冷媒として適した自然物質は 有毒であったり、可燃性が高い場合もあります。CO2にしても、熱力 学的な特性から、使用が適切だとは言えません。その一方で、従来 の合成冷媒が排気されることで、地球温暖化に大きな影響を与える ことは否定できません。しかし、毒性がなく可燃性も低いため、安全 面での要求が極めて低いというメリットがあります。技術的、実用的 にみて、どちらにも長所と短所があるのです。いずれにしろ、地球温 暖化係数を軽減する自然冷媒や合成物質(フッ素化オレフィンなど) の方向へ移行していくのは間違いありません。したがって、環境に影 響を与える物質の段階的削減を積極的に推進するためには、EUが 定めた目標以外の要素も考慮しなければなりません。 それは、具体的にどのような取り組みですか? ユルゲンセン博士:それぞれの用途に応じた正しい商品をいかに提 供するかということになります。しかし、前述のように、ビッツァーで はこれまでずっと取り組んできたことでもあり、ごくあたり前のこと です。プロパンやCO 2、アンモニア対応の商品が確実に成長し、用 途もさらに広がるはずです。レシプロ圧縮機エコラインシリーズで も、あらゆる冷媒への対応が可能になっています(8ページの記事を 参照)。我が社のみならず、業界全体にとっても非常に大きな課題 となるのは、可燃性冷媒を使った冷却装置をいかに開発するかです。 テトラフルオロエタン (R134a) 地 球 温 暖 化係 数 を 大 幅に 削減しようとすれば、合成 冷 媒 にお けるフッ素 の 量を 減らす必要がありますが、それ によって可燃性が 高くなってし まいます。 レンツ氏:冷媒の変化によって影響を受 けるのは製造者だけではありません。その設 置のあり方や最終顧客への影響も軽視できません。 その安全性と簡易性から、業務用冷却装置や空調には合成冷媒の 使用が定着しています。しかしそこには、冷却装置の関連業者が危 険物取り扱いに慣れていないという側面もあります。ところが、アン モニアなどの有害物質やプロパンなど可燃性冷媒、あるいは、CO2 の高圧使用へと商業用システムが大きくシフトしていくことによって、 全く新しい環境と大規模な情報提供やトレーニングが求められ、そこ までの大きな変革を検討するには膨大な時間が必要になってきます。 同時に、安全性や製造責任に関する新しい法的な課題も出てきます。 では最後に、 「冷媒の今後のゆくえ」について一言お願いします。 ユルゲンセン博士:今後も活発な議論が行われることと思いますが、 どこに向かうかは明確です。つまり、地球温暖化係数の直接的な低 減、用途ごとに特化した冷媒の選択、そして、これは私見ですが、自 然冷媒の割合も高まってくると思います。しかし、冷媒および装置の エネルギー効率は、今後も重要な要素であることには変わりないで しょう。 レンツ氏:新しい技術への道は、短距離レースではなくマラソンであ ると考えています。そして、誰もが、マラソンに備えて徹底的な準備 をしなければなりません。 詳しくは最新の冷媒レポート をご覧ください。 3 世界からの声 世界からの声 アンドレア・ヴォイト ヤング・ヨー EPEE 事務局 (ドイツ) サムヨング・マシナリー社部長 (韓国) ハ・クオック・ニー 欧州エネルギーおよび環境パートナーシッ プ (EPEE) は段階的削減を支持しています が、各用途における最適な冷媒を選択できる柔軟 性を残しながら、地球温暖化に影響の少ない冷媒 の使用を奨励しています。EPEE は非常に多面的 な団体であるため、禁止に対しては基本的に批判 的な立場をとっています。たとえば、ハイドロフル オロカーボン (HFC) の禁止は、 デンマークのスー パーマーケットでは技術的・エネルギー的には問 題がないかもしれませんが、南イタリアではCO2 がエネルギー的な解決策にならないため状況が 異なります。一般的に、 自然冷媒が使用されるのは、 エアコンよりもむしろ産業用途です。ですから、炭 化水素などの可燃性冷媒の使用による安全性リス クが極めて高くなります。また、CO2は、 (まさにエ アコンの使用が求められる) 外気温度が高い場合 には効率が良くありません。 国や地方の安全規定においても、建物内での可 燃性冷媒の使用を禁止しているところが多いのも 事実です。 ウェス スタ タン・エレクトリカ カル ル・レフ レフリジャレ ャレ レーション・エンジ エ エンジニアリ ンジ ジニアリ ジニ アリング社 ング社 (ベ (ベトナム) トナム) 現在ではR22冷媒がよく使われていますが、 オゾン層破壊の原因にな るという欠点があります。CO2は環境に対して「クリーン」なことから関 心が高まっていますが、 まだまだ新しい用途であるため、設備や運転には専門 的スキルが必要です。CO2を使った事例が出てくることで、 この自然冷媒への 投資や使用に対する安心感も高まるのではないかと思います。ここで大きな課 題となるのは、新しい専門知識が必要になることと、高い冷却能力を持つCO2 冷却設備を提供し、設置できる企業をいかに見つけられるかということです。 冷媒 ̶ 世界からの声 エルベ・デュクロ ハーヴェ・マーティーノ カルフール (フランス) レノックス HVAC & R 社欧州担当取締役 (アメリカ、 ダラス) フランス政府がハイドロフルオロカーボン (HFC) 冷媒税を設置しようとしていますが、その際 の税金額算出のため、会社の設備のHFCレベルの削減もしくは全廃した場合のシステムや解決 策を検討せざるを得なくなりました。北ヨーロッパやドイツでは、自然冷媒を使った設備がかなり増えて いますが、 フランスでは、 業界 (小売り業者や設置業者) が冷媒の新しい基準(Fガス規制、税金など) を 期待していることもあり、事情が異なります。フランスのカルフールでは、新設の店舗や大規模リニュー ア ル に 関し て は 、随 時 自 然 流 体 を 使 用 す ると い う 戦 略 を とって い ま す 。国 内 の 各 種 団 体 (Perifem、FCD、CGF) と協力しながら、HFC税導入による経済面を含むさまざまな影響や、自然冷媒 の使用に関する会社の考え方を検討中です。 4 欧州連合による環境規定の設定 が予想され、冷媒の選択は、我が 社のお客様にとってこれまで以上に重要 になってくると思われます。レノックス HVAC&R社では、環境にやさしい冷媒 の実現に向けてあらゆる努力をしていま す。冷媒移行テーマを技術革新の最前線 に置き、レノックスHVAC & R EMEIA 社が、商業用HVAC分野ではレノックス のブランド名で、冷却分野では Heatcraft Europe の名前で活動を展開 韓国では、モントリオール議定書に もとづき、2013年からハイドロク ロロフルオロカーボン (HCFC) を段階的に 削 減し、2 0 4 0 年 までに 全 廃 の 予 定 で す。HCFCのスムーズな削減を実現するべく、 政府は、移行期間中のHCFCの生産・消費に 対して年間制限を設け、民間企業に対して、 代替冷媒の研究開発を奨励するための計 画を策定するとともに、代替設備への新規 投資のための助成金を交付することを発表 しました。政府によるプロジェクトの場合、法 律では、すべての公共建築物の全建築予 算の最低30%を新しい再生可能エネル ギーに割り当てることが義務付けられて います。さらに、 「100万軒のグリーン ホーム計画」を掲げ、2020年までに 太陽光発電、地熱、風力、燃料電池 などのエネルギーを使用し、低い 電力消費で地球温暖化係数を低 減できるグリーンホームを100 万軒建設する目標を設置していま す。 しています。冷却ソリューションをグロ チームが優れた革新的技術を活用するこ ーバルに提供するトップ企業として、環 とで、最適化された冷媒充填が可能です。 境にやさしいソリューションへの移行と マイクロチャンネルコンデンサなどの新 ともに、最善の総保有コストの実現とい しい技術の採用により、設備内の冷媒量 う使命があります。つまり、お客様の を大幅に削減することができるのです。 二酸化炭素排出を削減しながら、投資の この技術を自然流体やHFC R404Aの代 全体コスト削減のサポートを行うことで 替物質と組み合わせることにより、CO2 す。Heatcraft Europe社においては、 排出削減への取り組みをさらに強化して CO2などのクラス1(非可燃性)冷媒を います。 検討することで、地球温暖化係数の低い 冷媒の選択に努めています。また、技術 5 世界からの声 世界からの声 ディミトリス・タイリス アナ・アレクサンドゥルー カルヴァン・ハング ヌエン・バン・タイ タイリス A.E.V.E. 社取締役 (ギリシャ、 アテネ) マルコ & アレックス社プロダクトマネージャ (ルーマニア、 ブカレスト) ETECO エンジニアリング・ トレーディング社 (台湾) フング・ トリ・レフリジャレーション・インダストリー JSC(ベトナム) 今年になってから、少なくとも2つの公式議論が行われまし たが、HFCは業界全体にとって非常に重要な問題であり、 小売業界のほとんどが今後どうなるかに懸念を示し、段階的削減や 廃止は望んでいないのが現状です。ギリシャのような暑い気候では、 自然冷媒への移行は解決策として最適ではないため、そういった 動きは見られません。300 kW 以上の大きな設備には優れた解決 策となる R717を除いて、 自然冷媒は今のところただ投資額と経 費が高いだけのものです。 既存の冷却装置の多くがR404Aを使用しているた め、Fガス規制については議論が行われています。スー パーマーケットチェーンのなかには、既存のR404Aシステムを R407F、R134aやCO2に変更する費用の情報を求めている 動きが見られます。さらに、 新しい冷却装置の必要条件にも変化 が見られます。たとえば、CO2は商業設備での用途が中心で、当 然ながら大規模産業用途ではNH3となりますが、新規制の施行 前は、産業用冷却でのNH3は必須ではありませんでした。 ここ数年間、自然冷媒について数多く の議論がなされてきました。お客様の なかには、冷蔵用のNH3/CO2亜臨界装置やヒ ートポンプ用CO2遷臨界装置を使用しておられ る事例もいくつか見られます。こういった事例に 興味を示されるお客様も多く、 自然冷媒への移 行がより顕著になってくると思われます。自然 冷媒を使用した装置の設置や運転のための新 技術への期待が非常に高まっているのです。 低温用途での R404A 使用に関しては、 R407A、R407F へ切り換えることを検討しています。R22からR410Aへ の切り換えは今が良い機会だと考えています。R134a用コンプレ ッサーはまだコスト高です。NH 3は、大規模冷却設備・装置での使 用が有望です。CO2はまだまだ使用が難しく、危険を排除するため には、それなりの装置の設計・製造が必要になってきます。これに対 しては、 まだ理論的な検討が始まったばかりです。CO2システムを 現実化するには、政府や国際機関による専門的な支援がまず必要 になってくるでしょう。 Y. S. シン ダイスン・マレフ社マーケティングマネージャー (韓国) ルネ・プリジャン 現在、市場においてはR22冷媒が一般的に使用さ 能だと思います。韓国政府の方針としては、現状の輸入量である 2011 れていますが、 これを廃止し、HFCや自然冷媒を促 年と2012年のHCFC平均輸入量の4分の1を、毎年、前年度の4分の1 進すべきだということは広く理解されています。 しかし、に削減することで、将来的には全廃をめざしています。環境省は今年5月 この規定に関す これに対するエンドユーザーや、 メーカー、政府の反応 に「大気汚染防止」という新しい法律を導入しましたが、 は、 どちらかといえば受動的です。我が社では、自然 る詳細や関連情報はまだ公開されていません。こういったことからも、個 冷媒の市場状況を見守っている段階ですが、 2∼3 人的には、韓国政府が大気汚染や環境保護に本気で取り組む意志がある 年以内には、自然冷媒へ一斉に移行することが可 のかどうか疑問を感じるところです。 アンドレアス・ボニ 建築技師事務所 ADT+ (フランス) 新フロンガス規定で義務付けられているため、R744 とR 7 1 7 の 方 向 へ 確かに向かっています。C F Cと HCFC は削減段階にあります。 トゥルオング・ノック・ティン ベト・エンジニアリング社 (ベトナム) 6 MB フリゴ・グルパ d. o. o. 社テクニカルディレクター (クロアチア、 ザグレブ) テコ・ゲセルシャフト・フュル・カルテテクニーク社販売主任 (ドイツ) 環境政策に関する議 側として無視できない局面があり、 これが「環 中期間でみた場合、商業施設での冷却における 論 や 、工 事 関 係 者 、境への直接的影響」の問題と対立してしまうの 自然冷媒の使用はさらに増え続けることが予 装置サプライヤー、特に運営 です。その一方で、R744低温側カスケードが、想されます。また、考えられる解決策の多様性も、 側の責任・使命の追求により、 こ 中規模以上の企業では、先進技術としてすでに 運営側にとって不確実な要素となっています。 こ数年の傾向として、自然冷媒を 定着しています。また、F ガス規制改訂の提案に 我が社では、自然冷媒については特化した取り 使用した商業用冷却装置が増えて より、顕著な冷媒不足と価格の上昇が予想され 組みを事前に重ねて来たこともあり、あらゆる います。 しかし、自然冷媒を使用する ることから、中温度用途におけるGWP値の高 運営ニーズに対する知的な解決策を提供するこ ことになれば、効率と投資という運営 い冷媒の状況はさらに厳しくなっています。短・ とが可能です。 ヴォジョ・レマイッチ ベトナムでは、特に目立った傾向は見られませんが、政府はオ ゾン層 へ 影 響を与 える冷 媒に対 する制 限を設 けて いま す 。N H 3 は 依 然 とし て 大 規 模 冷 却 設 備 で は 支 持 さ れ て お り、R404A、R507A、R134aの使用も奨励されています。ベトナ ムでは先進工業国からの輸入装備が多く使用されているため、新し い冷媒の導入はむしろ簡単です。新しい用途ではR22の使用は減っ ています。NH3も冷媒として有望ですが、使用例は非常に限られてお り、研究段階にあります。 しかし、 シンガポールのスーパーマーケット でCO2が使用されているため、ベトナムでも思い切った使用に踏み 出すことも考えられます。 クロアチアでは、 最近、HFCの梱包やパッケージ表記 に 特 化した 議 論 が 行 な わ れました 。クロ ア チ ア は、2013年7月1日にEUに加盟したばかりですが、使い捨て 梱包材によるHFCの販売が不可能になり、代替として、 リサイ クルボトルが使用されるようになりました。さらに、R22の使 用も禁止されました。我が国の市場はCO2への対応準備が できておらず、高額な投資に踏み出そうという動きもありま せん。HFCを廃止し自然冷媒を使用した冷却装置を促進する 法律が制定されれば、 より明確な変化が見られると思われま す。 7 テクノロジー コスト削減 低エネルギー消費設計で、機種数も少なく、中温用途に おけるモーター電流も小さいため、 コンタクタやヒューズ、 ケーブル径の小型化が可能になり、 よりコスト削減につな がります。 テクノロジー 次世代へ レシプロ圧縮機の高度な技術 シュクロイディッツ工場長フランク・フールブリュックは、将 エコラインは さまざまな冷媒に対応する 新時代のレシプロ圧縮機です。 来を見据え、 「冷媒圧縮機の年間生産台数を20万台に拡 大」という目標を掲げています。高まる需要に応えるために は、生産台数を劇的に増やす必要があります。現在 750人 以上の社員を抱えるビッツァーのレシプロ圧縮機工場は、す でにヨーロッパ最大の規模を実現しています。 なかでも、汎 用 型 エコラインシリーズ の 伸び はめざまし 性能の向上 く、2012年には 142,000台以上のレシプロ圧縮機を市場 に投入。シュクロイディッツ工場では、1991年以降、7000万 シリーズ全体で冷却性能係数 (COP) が向上。標準公称 ユーロ以上の投資を行ってきましたが、今後2年間は、拡張に向 条件での比較では平均6%の向上となり、年間性能(季節的 け数千万ユーロが投入される予定です。フランク・フールブリュッ な効率) に影響する凝縮温度の低減では、 12%もの向上が クは、 「レシプロ圧縮機シリーズ―エコラインの導入後、 リードタ みられます。 イムの短縮が可能になりました。ゼロミス主義に基づくビッツァー の生産システムBIPROSは、我が社のグループ内でも実証された ソリューションですが、 これを駆使した生産を展開しているのです」 と語っています。 容量制御 周波数インバータによる優れた回転速度制御を実現。こ れにより、装置効率の最適化を図りました。さらに、 4気筒、 6気筒、 8気筒の全機種において、極めて柔軟で経済効果 の高い機械的容量制御を搭載しています。 多彩な用途 ビッツァーのエコライン圧縮機は、スーパーマーケットで の中低温冷却、低温貯蔵庫、凝縮装置、化学や医学・薬学分 野、業務用厨房、および高温ヒートポンプなどで使用され ています。 モーター圧縮機 1号 機 と3号 機 は 、ヒートポ ン プ や 特 殊 用 途 、 さまざまな冷媒に対応 R134a を使用した中温用途向けに開発されたモ 高い適合性 ーター圧縮機です。2号機は、蒸発温度0度までの エコラインシリーズは、特殊な圧縮機を必要とする CO2 8 エコラインシリーズでは、取付け穴形状をはじめ、吸引・排出ラインの接続、 バルブ位 はじめ R404A、R407A、R407C、 置や設置寸法など、ほぼ従来機種の設計を踏襲しています。そのため、従来機種と R407F、R507A、R290、R1270 などのあらゆる の適合性が高く、既存の設備における機種交換や修理を行うことでも、効率アップ 冷媒に対応しています。 が期待できます。 中低温冷却装置に対応し、あらゆる気候での使用 BITZER, KD BUSCH (R744) やR410Aなどの高圧冷媒を除いて、R134a を が可能です。 先進のロジスティックと生産システムを駆使した、 シュクロ イディッツ・レシプロ圧縮機コンピタンス・センター 9 導入例 分 析 転換期にある 南半球 カスケードによる 最強コンボの実現 2012年7月1日、オーストラリアではクリーン・エナジー・フュー 移行牽引への起爆剤:最も有効な起爆剤となるのは、上昇し続ける プロパンとCO2の組み合わせにより、 チャー(Clean Energy Future:CEF)という法律が施行されま 電気料金とそれに続く合成冷媒コストの増加だと言えます。現在で パワフルな効果を追求。 した。この法律では、合成冷媒に対して、炭素当量に換算した課 は、R134aがより多く使われるようになり、CO2/R134aを使用したカ 税が導入されていますが、個々の流体の地球温暖化係数(GWP) スケードシステム (スーパーマーケット)、中小規模用の2段階NH3シス に応じて、そ の 流 体に対して 支 払うべき 税 額 が 決まります。ま テム、小型NH3膨張乾式システムなどの使用が著しく増加している他、 た、CEF法の一部である炭素税の影響で電気料金が値上がりして 圧縮機やファンでの可変周波数駆動の使用や、適応制御技術をなど、 よ います。さらに、こういった政府の方針に加えて、電力会社でも、 り進んだ制御・監視装置の使用も増えてきています。 パイオニア精神とは、勇気と強い決意、そし って、R744噴出を防ぎ、スムーズな運転再 優れた効果を実現:回転数制御式の圧縮機 て緻密な判断力です。まず、 プロパンとCO2 開ができるようにしています。さらに、安全バ と周波数インバータ制御コンデンサーファ という自然冷媒のメリットとして、運営コスト ルブを取り付け、装置の安全性を強化しまし ン、R290用空冷式サブクーラ、R744用加 が低いこと、政府による高額な助成金が期待 た。 熱低減器の使用により運転コストを最適化。 できること、そして将来性の高さが挙げられ ここ数年間、大幅な値上げを行っています。なかには、電気料金が 電子式噴射バルブと全熱交換器のゆったり ます。 しかし、その反面、冷却装置の設計に プロパンは優れた熱力学的特性を備えて は、特定の条件をクリアしなければならない いますが、可燃性物質でもあります。カスケ という新たな挑戦が待っています。運転の安 ード装置の冷媒供給部分は、入室権限が必 全性を確保するためには、安全装置を搭載し 要な機械室に設置されるため、充填量制限 自然冷媒を使用していること、高いエネル 設計上の策を講じることで、 どんな場合でも に関するEN378規定はありませんが、内部 ギー効率、熱回収原理を採用していること 安全であるという保証が必要になってくるの と外部に緊急停止スイッチ、危険源の標示や から、当設備は、 ドイツ連邦経済・輸出管理庁 です。 外部電源を装備する必要がありました。 した設置寸法も効率アップにつながっていま す。 ガス濃度が許容範囲を超えた場合には、 および必要とされる部品を合わせた全投資 会社 シモン H ステイナー社の事例をご紹介 2段階ガス警告装置が換気装置を制御し、 額の35%に相当します。残りの資金につい します。同社では、 ライフサイクルコストがカ 機 械 室 の 安 全を確 保します。空 気 排 出 設 てはドイツ復興金融公庫(KfW)のエネルギ ギとなるため、 この強力冷媒コンボを使った 備には、換気排出装置を使用し、ガス漏れ ー効率プログラムから有利な条件で融資を 他の部分に流出するのを防ぐため、プロパ 2012年10月の導入以降、当設備はシモ 高圧部分の安全性:カスケード装置には、回 ン装置は下部に取り付けられています。当 ンHステイナー社にてシームレスな稼働を 転数を制御した3台のレシプロ圧縮機を搭 然のことながら、装置は、労働安全衛生規則 展開、現在ではブライン出口温度−38度、 載し、上段にはR290(プロパン)、下段には (BetrSichV)に基づいたリスク評価に合 COP値は最大 2.3 を誇っています。 格したものを使用します。 このような対策は、 亜臨界で使用されます。また、停電時には、 組織レベルで簡単に実現できる、経済的で 温度の上昇によって圧力が許容範囲を超え 効果の高い対策と言えるでしょう。 ないよう、 非常用冷却装置と非常用電源を使 執筆:ロベルト・バウスト、エンジニア。 ロベルト・シースル社(ドイツ、オーバー ハヒング)にて技術相談および販売を 担当。 10 ドロフルオロカーボン(HFC)への課税に対する反応は否定的で います。排気量の少ない未来をめざして、おそらくこれらの設備の約半 した。HFC冷媒の価格も300∼500%(一部ではそれを上回る) 数が、今後10∼15年の間に移行せざるを得なくなります。最も打撃 の値上がりがみられ、HFC 冷媒を支持する層の反応も、予想通り を受けるのは、新設備への資金の獲得や移行への動機づけが難しい 否定的なものでした。 30,000∼35,000の中小規模の施設所有者です。エネルギーコスト kW∼300kWの範囲となります。 これは、 1台につき135米ドル/ MWh えます。2011年11月に可決されてから2012 年7月の施行までの の電気料金をもとに、中小規模の商業設備における実際の資本コスト 間、業界に与えられた準備期間は1年足らずで、GWPの低い解決策 とエネルギー消費コストを試算したものです。これまでこの規模の設備 に関する情報も不足しているという始末でした。 しかも、連邦と州の において、 アンモニア冷却装置の使用はあまり採用されなかったのです 法制間で矛盾もあり、自然冷媒による冷却装置や空調システムの導 が、それにはさまざまな理由があります。たとえば、 この市場では、合成 冷媒を支持する傾向が顕著であったこと、 HFCによるソリューションが広 く標準化していたこと、公正な情報が入手できなかったこと、あるいは、 こういった大きな壁に直面しながらも、業界ではCEF法の狙いを 受けています。 します。漏れたプロパンがCO 2 装置などの る冷却・空調設備への全投資額は900億米ドルに達するとも言われて 入を妨げる深刻な要因となっています。 CAVAZZINA ‒ visuelle kommunikation, Dipl.-Ing. Robert Baust, Stefan S. Jensen 先進カスケードシステムを導入しましたが、 が発生した場合の汚染空気を外部に排出 もちろん、既存設備の改善は大きな市場です。オーストラリアにおけ 地域もあります。CEF法自体に対する当初の反応や、とりわけハイ が増大するなかで、中小規模の冷却能力は、採算を考慮すると、140 (BAFA) による最高水準の資金援助を得る ここでは、ハッラータウにあるホップ加工 過去5年前で2倍になり、5年後にはさらにその2倍になるという オーストラリア政府の対応:CEF法導入のやり方はまずかったと言 ことができました。その援助額は、冷却装置 R744(CO 2)を使用しています。R744は テクノロジー社社長 ステファン S. ジェンセン氏 スキャンテック社の専門家 ステファン S.ジェンセン氏が オーストラリアの状況を語る 自然冷媒のなかでも、威力を発揮する 細部にわたる検討が必要でした。 スキャンテック・レフリジャレーション・ 反映した技術的ソリューションを開発する動きが始まっています。 しか 政府の対応の遅れ、心理的な壁などの要素が挙げられます。 しかし、 アン モニア冷媒の優れたエネルギー効率は明らかです。 し、政府は低排出設備へと移行する最終使用者の支援を行っている ものの、 自然冷媒 (NR) による冷却・空調ソリューション支持層に対す アンモニア冷媒の可能性:冷却装置からの逸散排出(冷媒の漏えい) る支援は、残念ながら不足しているのが事実です。NR支持層は、業界 と冷却装置の電気エネルギー消費による間接的排出という2つの課題 全体のわずか一部ですが、22万人の従業員を抱え、国内生産電気量 に同時に対応できるのがアンモニア冷媒です。アンモニアは、合成冷媒 に比べて蒸気圧縮サイクルの効率が高いため、さまざまな行政管轄 での法律が直面している問題に対する1つの解決策となり得るので す。 の約23%を消費し、その排気量は、国全体の排出量の15 ∼16%を 占めています。オーストラリアにおける 「冷却技術者」 と呼ばれる専門 家は50人未満と言われており、関連する職業訓練プログラムもあり ません。 11 導入例 導入例 一キャビネット内に3つの棚を組み合わせ、キ 空調および食品冷却分野で ながら、それ以外にも、中温用の2次 ャビネットには、防音装備の換気装置や照明、 は、壮絶な冷媒革命が起き 冷媒の可能性を追求するというの 月ごとのエネルギー消費量を細かくチェック オランダの冷却設備設置会社であるフリ・ し、経費節約のためにあらゆる努力をしていま ヤード社のバート・ファン・デア・ヴェッケン す」 と語るのは、 フランス、 レンヌの北西約100 氏も、R407Fのメリットについて賛意を示 各種探知器を装備し、CO 2漏えいに備えた安 るだろうと考えています。今は誰も が私たちの戦略でした。それにより、 キロに位置するスーパー・チェーン「インテルマ し、 「中短期におけるR404AやR507Aの 全性を確保しています。採用したのは、CO2カ が ‘鬼が出るか蛇が出るか’ と行く末 冷媒の使用量を最小限に抑え、法令 を 見 守って い る 印 象 が ありま す 制定後は、既存の設備を変更するこ が、2006年時点では2011年に予 となく冷媒の移行が容易に行えるか ルシェ・ トレギュー」の店長アンリ・ピエルメ氏。 代替として有望です。GWPが1850ですか スケードシステムです。低温用CO2ユニットに スーパーの効率アップをめざして、 ピエルメ氏 ら、新Fガス規制草案によると、2020年以 は、並列に接続した3台の半密閉型圧縮機ビッ は、 このたび店舗面積を3,000平方キロメー 降も使 用が 可能になります」と述べていま ツァー・オクタゴンを使用、平均温度には、第2 トルに拡大しましたが、それに併せて冷却設備 す。これは、フリ・ヤード社やその顧客である 世代の半密閉型圧縮機を3台からなる2基の を一新、冷媒 R22、R408A、 R404Aからカ プラス・スーパーマーケットにとっても、2店 セットを使っています。こうして、 スーパー「エク スケード式 R407F/CO2 設備へ移行しまし 舗の R407F 導入の動機づけとしては十分 ストラ」ではCO 2 冷媒のメリットを活かした稼 た。 な理由になったと言えます。 働が実現しました。そこでは、CO 2ならではの ジャン・ミシェル・デロー フランスのチェーンストア、 オーシャンの技術部長に聞く ことなく、 4か月かけて段階的にスムー ら始まり、技術者が新しい装置を取 り付ける間、スーパーでは既存の R404Aによる圧縮機で営業を 継続。要件を綿密に分析した後、 設置会社であるサール・セント ラル・フロワ社が、 2台の新し い 冷 却 ユニットを取り付けま 縮機を使用、 −25℃の2つの冷蔵室 スーパーマーケット の新しい道 用への供給を行います。中温ユニット には、 14室用の4台のビッツァー圧縮機 ここでは、ヨーロッパとブラジルの事例を掲げ を採用しました。その結果、明らかな効果 2つの方向性を探ります。 ントラル・フロワ社の社長ミシェル・ルクセル氏 あり、最終的な制限値や禁止事項については 発表されていません。) 熱力学的特性、高い性能、低い出口温度による 冷媒としての優れたエネルギー効率が十分に 発揮されています。具体的な効果としては、冷 却のエネルギー消費を約15%削減に成功。 ブラジルでの新しい方向性:このブラジルの さらに、環境面では、CO 2には毒性がないこ いますが、否定的な反応は一切ありません。 事例では、世界各国のスーパーマーケットがエ 漏れもなく、シール剤やバルブもまだ交換せ ネルギー効率の高い代替冷却ソリューション と、GWP値が1であるため、温暖化に直接影響 ずに使っています」と、 この事例を始めとした な実績を活かし、 ビッツァー・ブラジルでは、国 は、 「我が社ではこの冷媒を定期的に使用して R407F の性能に満足されているようです。 に注目しているのがよくわかります。サンパウ を与えないというメリットがあります。このよう ロのサンベルナルド・ ド・カンポにあるスーパー「 内における33基のCO 2 設備をすでに設置し エクストラ」では、高価な合成冷媒をCO 2に変 ています。 更した設備へと移行しました。新設備では、同 12 低くサステイナビリティの高い の機械室の冷媒ソリューションとして ソリューションに適応するため 注目すべき選択肢です。アンモニア 的 な 暫 定 措 置 の 採 用を ネルギー効率という意味では面白 余儀なくされることにな い事例です。GWPが20以下である ります。加えて、ハニウ HFOの可能性には不透明な部分が 企業では、HFOを そうでなければ、冷媒史の片隅に追 ベースとした長期的 いやられてしまうことになります。と 代替冷媒が取沙汰さ はいえ、使用量や漏えい率が低いた れていますが、何ら実験 め、小規模設備(空調や集合住宅な 高い価格が予想され、HFO 験段階の疑わしいものを避け、新規 流体は結局「時流に乗り遅れ 制が市場に導入される段階になって 然冷媒のみになってきます。現状 R744 クリマライフ誌の担当者によれば、サール・セ (編集者注:Fガス規制は、現在立法段階に いうスタンスを取っています。地球 では、HFO冷媒がCO 2 以外の唯一 温暖化削減への取り組みとは、投資 の選択肢です。 しかし、その使用は による収益を損なうことなく、段階 暫定的なものであるため、 1次冷媒 的に行なわれるものでなければなら としての低温用CO 2 の促進は当然 ないと考えています。 カナダのスーパーマーケットでも CO2のみを使用した冷却装置が Jeann Michel Miche ch Deroo eroo oo / ad adisa / Fotolia っています (クリマライフ誌提供) 。 2014年以降になる見通しです。さ る」感が無きにしもあらずです。土壇場の決断を避けるためにも、す そうなれば、残された選択肢は自 べてを慎重に予測しながら進めると 積を30%拡張したにもかかわらず、エネルギ 費電力は、R404Aの場合よりも10%低くな 率的な冷媒に着目している化学者 がいないのは残念です。このような 段階の域を出ていません。ど)では有望ですが、可燃性の問題 入 手 困 難 なことに加 えて 、は無視できません。個人的には、実 が現れています。冷却ユニットを増やし、面 ー費用の削減に成功し、R407Fを使用した消 た最初の会議の評価結果の発表も ェルやアルケマ、デュ あります。実用化が進み、競争力を ポンなどの化学系 持てば有望な選択肢になりますが、 環境にやさしく効率の高い冷却ソリューションを求めて 可能性を追求する世界のスーパーマーケット。 (3台×6H25.2Y+1台×6H35.2Y ) ギー消費など、 ブラインに替わる効 イギリス の余裕を与えてくれなければ、でもテストを行いましたが、 が提案しているR290の使用も、 エ 投資を抑えるために過渡 3台 す。CO 2 低温ユニットには、 のビッツァー2 EHC-3K-40S圧 果は遅れに遅れ、2010年に開かれ 媒に対する課税をもくろんでいる したCO 2 回路です。これは、我が社 という事実です。政府がGWPが でもテスト段階ですが、中温度用途 4∼7人の技術者が担当。営業を中断する ず、CO 2 / R404Aシステムの設置か らです。 しかし、特にポンプ用エネル ブラインに代わる選択肢 らに、考慮しなければならないのは、状況から、 として興味深いのは、 ポンプを使用 フランス政府がGWの高いHFC冷 工事中も休まず営業:新設備への変更は、 ズな移行を行なうことができました。ま 定されていたFガス規制の審議結 すでに40台以上も稼働 13 トレーニング おわりに 冷媒のたどる 未来とは? 理論と実践に 基づく確かな トレーニング 冷媒を取り巻く世界は複雑です。ここでご紹介 ハイプレッシャー トレーニング 地球温暖化係数1のCO2冷媒はエコのベンチマーク ロッテンブルクでは、 30 か国以上か を担いつつある CO2 (R744) 。 しかし、 そ ら約 550人が参加し、 ブラジルでは の使用には訓練が必要です。オゾンにやさし 1000人を超える CO2 冷媒の専門技 く、可燃性や毒性もないという性質を備えた 術者を育成してきました。ビッツァーの R744 ですが、CO2 の特性に合わせた安全 3つのセンターでは、 いずれも、設計エンジ 装置や監視装置の設計が必要になってきま ニアを始め、保守エンジニアやエンドのお客 す。たとえば、 超臨界用途では、高い運転圧力 様に対して、理論と実践の知識を提供してい や 5.2 bar と -56.6℃ の三重点をいかに安 ます。実用に即したトレーニングシステムを活 全に制御するかが課題になります。 用することで、実際の場面で必要となる正し い運用・整備のためのあらゆる知識を身に付 けることが可能です。 トレーニングでは、専門 ーニングに注力していま の講師が自然冷媒である す。2006 年にはオースト 二酸化炭素を活用するた ラリアに CO2トレーニン グセンターを設立、2008 年にはブラジルでのセン 「2009 年にパートナー めの理論的・実践的知識を 伝授し、 ビッツァー製品や 企業がスーパーマーケッ CO2 冷媒用途をとりまく ターを発足させました。ま ト、ベルデマールに初めて 具体的な課題について、 よ た、 2010 年11月以来、 設置した CO2 冷媒装置 り掘り下げた内容を提供し ロッテンブルクの CO2 ト レーニングセンターでは、 「Learn and Train」を モットーに、定期的な研修 を行っています。これまで がヒントになったのです。」 ています。 ダーとして、大規模な投資にも積極的に取り組ん 媒とは、経験豊富な専門家のみぞ知る世界だとい でいます。また、世界各地の政治機関や関連組織に う印象を持たれたことと思います。 とはいえ、冷媒 も関与することで、 規制や立法プロセスの方向性 における課題は、 実に幅広い需要から持ち上がっ を導き、 未来のゆくえを定めるうえで大きな役 たもので、冷却や空調装置の製造側から運営側ま 割を果たしています。さらに商品開発では、冷 アレッサンドロ・ダ・シルヴァ、応用技術者 最新の および養成員 トレーニング 日程は 環境、社会における責任のバランスを取ることが 解していただけるべく、 わかりやすい商品づく 重要なのです。 りに取り組んできました。その模範となるのが、 のキーワードは、 冷却装置を設計するうえで考慮 業界をリードする汎用レシプロ圧縮機―エコ ラインです。そして、 この成功のカギとなるのが、 すべき数多くの条件の一部にすぎません。予測 卓越した技術革新であり、 これこそがまさに、 私 1300以上のスーパーマーケットが遷臨 可能な未来において、 普遍的で理想的な冷媒な たちの技術的リーダーシップの証明とも言え 界CO2冷却装置を設置しています。 トップは どはありません。世界経済をリードする国々でさ るでしょう。 市 場 調 査によると、E U 内だけでも デンマークの 424店舗で、 イギリス (267店舗) とド えも、描いている未来への道は多種多様で、 冷却 イツ (166店舗) がそれに続きます。 私たちの基本スタンス: お客様への私たちのお する理由はここにあります。 約 束とは 、あらゆる冷 媒に最適な圧縮機を提 80年におよぶ経験と実績:ビッツァーは、冷 供すること。だからこそ、 却ソリューションのパイオニアをめざしています。 パートナー企業との協 パートナーや運営側との密なる協働により、 カ 働によって、世界のど スタマイズされた適切な解決策を提供すること こにあっても、最適な ができます。あらゆる事例に対応する普遍的な 冷却・空調ソリューシ 手法は存在しません。常に、お客様にカスタムメ ョンをお届けできる イドのソリューションを提供する―これが私た のです。 ちの強みです。 設備の運営者が不安を抱き、 技術研究者が苦悩 北米ではCO2ソリューションがようやく定着してき ましたが、 ブラジルでも、そのエネルギー効率とエコ ロジー特性が注目されるにつれて、CO2 圧縮機に切 り換えるお客様が増えています。技術的には、亜臨 界・遷臨界 CO2 用の圧縮機には、堅牢性や安全性、 信頼性、効率といった特殊な要求を満たさなければ なりません。 ビッツァーでは、開発段階における極めて高い水 準を実現、それ以来業界標準となっています。さらに 地域や要件の特殊性への対応もおまかせくだ ASERCOM にも認証されましたが、 これまで同団体 により認証された CO2 冷媒用圧縮機は、 ビッツァー 製品のみにとどまっています。 こちらから 14 門的な知識とノウハウです。一方で、 業界のリー したさまざまな情報や意見をご覧になり、 自然冷 気候保全、規制、効率、そして安全性―この4つ めざましい実績をあげる CO2 冷媒 Science Photo Library / Corbis 商業用途において、 ますます重要な役割 そこで、 ビッツァーでは、CO2 圧縮機の開発 お客様とともに。 でを含むあらゆる層に係ってきます。つまり、 収益、 媒の課題を取り巻く複雑な世界をお客様に理 高圧取り扱いの難しさをいかにクリアするかが課題 と製造に加えて、 お客様対象の充実したトレ 理想の冷媒を求めて、 さい。これまで、 HFC冷媒における実績に加えて、 クリスチャン・ ワーラーズ博士 CO2 のような高圧冷媒、 アンモニアやプロパンを ビッツァー社 使った装置においても経験を重ねてきました。そ 最高財務責任者 して、 それを支えてきたのは、高い評価を誇る専 (CFO) 15 発行人 BITZER Kühlmaschinenbau GmbH Eschenbrünnlestraße 15 71065 Sindelngen // Germany www.bitzer.de より広い用途への使用が可能です。 多目的レシプロ圧縮機−エコラインシリーズ登場。 R134a をはじめ、さまざまな冷媒に最適なコンプレッサーです。群を 抜く高冷却能力と COP で、使用範囲もさらに拡大。より幅広い用途で のさらなる効率化が可能になりました。 詳しくは、www.bitzer.de をご覧ください。 コンセプト/編集 pr+co GmbH 社 (シュトゥットガルト) アートディレクション/デザイン ゲルノット・ウォルター さらに効率アップ。 編集責任 パトリック・クープス 監修責任 クリスチャン・ワーラーズ博士 (最高財務責任者) 写真 KD BUSCH 社 アンドレアス・ケルナー 印刷/制作 Sautter GmbH 社(ロイトリンゲン) エコライン A . P S. 12 0 8 _ K- E C O L I N E _ b a s i c . D E //
© Copyright 2025 Paperzz