結婚前と後の変化∼出産後、妻が夫に求めているもの∼ 今もパートナーを愛していますか? 妊娠・出産を経て、新しい家族が加わると、夫婦の愛情が大きく変化しているようで す。特に夫への愛情が減ったと感じる妻が多くいます。出産後、夫への愛情が減ったと感じる妻と、出産後も変わらず夫を愛 している妻とでは、何が違うのでしょうか。夫婦の愛情を保つための大切な要素は、夫の行動にありました。 出産後、妻・夫ともにパートナーへの愛情が減る傾向 にあります。特に妻は、妊娠期に比べて出産後、30% 近く夫への愛情が減少しています。(下記のグラフ参照) 愛する人との結婚生活に、愛情が減るのはどうしてでし ょうか。 「夫は家族との時間を努力して作っている」、 「夫 は私をよくねぎらってくれる」との質問に、出産後も夫 を変わらず愛している妻は、出産後夫への愛情が減った 妻に比べ、多くが「あてはまる」と答えています。つま り夫の家事・育児の協力、妻にいたわる言葉をかけるな どが、妻の愛情変化に大きく関連しています。 配偶者を愛しているか? 80% 74% ☆ 妻のサポート ☆ 家事・育児に協力をしたくても、参加できない夫が多いようで す。そんな時、妻が育児や家事の楽しさを夫に伝え、参加を呼 びかけるのもいいかもしれません。 ●良好なパートナーシップを築くコツ● ・愛は言葉と態度から・・・欧米人に比べてシャイな日本人で すが、 「恥ずかしい」、 「言わなくてもわかるだろ」では、パート ナーに愛が伝わっていないかもしれません。態度と言葉で表現 してみてはいかがですか。 ・夫婦の時間を作る・・・夫婦の理解を深めるために、子ども のこと、お互いの仕事や趣味のことなどを話し合う時間を積極 的に作ることが、夫婦の愛情維持に大切です。 64% 70% 54% 全 60% 体 の 50% 割 40% 合 30% 52% 夫 妻 46% 37% 34% 20% 妊娠期 0歳 1歳 2歳 こどもの年齢 出典:ベネッセ次世代育成研究所 データ(2006 年∼2010 年 夫婦 288 組) ∼夫婦の絆から家族の絆へ∼ 私たちは、多くをパートナーに望み過ぎているの かもしれません。手を繋ぐだけで幸せを感じてい た頃があったのではないでしょうか。パートナー の存在の大切さがわかれば、愛は永遠に続くのか もしれません。夫も妻も愛する人のパートナーと して、互いに尊重し合い、ほんの少しの優しさと 思いやりがあれば、夫婦の絆、そして家族の絆が 強く結ばれることでしょう。 少子化・晩婚化社会脱却に一石を投じるか!? 緩やかに増加する「女姓婚」 結婚すると男性の姓を選択するのが一般的だが、最近女性の姓を選択す る「女姓婚」のカップルがにわかに注目されている。若者の非婚・晩婚の打 開策となるだろうか。 近年、少子化・晩婚化が社会問題となっているが、ここ数年の世界的な不景気が影響し、結婚することへのハードルが さらにあがったように感じられる。『結婚したいのにできない』という人をサポートする「婚活(=結婚のための活動)」と いう言葉が日本語に定着しているように、今の若い人の間では結婚願望がなくなったのではなく、あるのにできないとい う人も少なくないようだ。(下のグラフ参照) 女性 男性 「将来結婚したいと思うか」(20∼30代独身男女) 結婚するつ もりはない 16.7% いずれは結 婚し たい 53.7% すぐにでも 結婚したい 10 .2% 2∼3年以 内に結婚し たい 19.4% 結婚するつ もりはない 14.0% いずれは結 婚したい 50 .4% 男性 すぐにでも 結婚したい 13.9% 2∼3年以 内に結婚し たい 21.7% 女性 20∼30 代の独身男女のうち、「将 来結婚したい」(「すぐにでも結婚し たい」、「2∼3 年以内に結婚した い」「いずれは結婚したい」の合計) という人が男女とも80%を超え、 「結婚するつもりはない」という人 は15%前後に過ぎない。最近は若 者の間で非婚化も社会問題となりつ つあると言われているが、実際は結 婚願望を持ち続ける人が多数派を占 めている。 出典:平成 22 年度結婚・家族形成に関する調査報告書(2010 年)内閣府 では、結婚願望があってもできないとはどういうことな のだろう。最近は、長引く不況の影響で、男性の経済力の 低下や共働き家庭の一般化など、一昔前では考えられない ような社会に変わりつつある。今まで結婚していない人に その理由を聞くと男性では「結婚資金や結婚後の生活資金 不足」をあげる割合が多く、女性では「仕事に打ち込みた い」という答えも比較的多く見られる。実際に 20∼30 代 男性は年収に応じて結婚率が上がっているという内閣府 の調査結果も報告されている。そんな中、このような現状 を打開する新しい結婚のスタイルが注目されているとい うことが新聞に紹介されていた。 それは結婚して女性の姓を名乗る「女姓婚」というもの である。女性の姓を名乗ると聞くと「婿養子」をイメージす るが、「女姓婚」は女性の親と養子縁組をする必要はなく、 婚姻届で妻の氏を選択するだけで実現する。 単にこれだけのことだが、男女それぞれにメリットがある ようだ。女性は姓を変えることなく仕事が続けられ、夫の 家に入るのではないので嫁姑問題が回避できる。一方、男性 は女性に姓を変えてもらうことで感じる『自分が養う』とい う義務感から解放される。女姓婚なら、男女とも従来の結婚 観から解放され、互いに助け合って新たな家庭を築いていこ うと思えるのではないだろうか。 厚生労働省の調査では、結婚した夫婦のうち女性の姓を選 択したのは 2000 年は 3.0%、2010 年は 3.7%とわずか ではあるが増えている。元来、結婚するにあたり夫婦どちら の姓を選択してもよいのだが、今この「女姓婚」が注目されて いるというのは、家事育児の分担などライフスタイルが多様 化する今の時代を反映しているのだろう。結果的に女姓婚を 選ばなくても、どちらの姓にするのかを話し合うことで、お 互いを尊重し、よりよい関係を築けるのではないだろうか。 今後ワーク・ライフ・バランス(=仕事と家庭の両立)を考 える上で無視できない結婚観なのかもしれない。 今までに結婚しない、していない理由(20∼30代独身男女) 男女とも 1 位:適当な相手にめぐり合わないから 男性 女性 2位 結婚後の生活資金が足りないと思うから 2位 自由や気楽さを失いたくないから 3位 結婚資金が足りないから 3位 まだ若すぎるから 4位 自由や気楽さを失いたくないから 4位 必要性を感じないから 5位 異性とうまく付き合えないから 5位 趣味や娯楽を楽しみたいから 6位 趣味や娯楽を楽しみたいから 6位 異性と上手く付き合えないから 出典:平成 22 年度結婚・家族形成に関する調査報告書(2010 年)内閣府 参考文献:『産経新聞』2012 年 1 月 7 日朝刊 一面 『神戸新聞』2011 年 12 月 1 日朝刊 文化欄 さまざまな恋人関係や夫婦の愛のかたちがありますが、なかには、相手を腕力や暴力によって服従させる誤ったかたち もあります。 「DV」という言葉をご存知ですか?何となく知っているようで知らない言葉なのではないでしょうか。配偶 者や恋人からの暴力。自分たちの身近には起こらないと思われがちな DV(ドメスティック・バイオレンス)ですが、内 閣府の調査によると、結婚したことのある女性の3人に 1 人が配偶者などからの何らかの暴力を経験しています。 配偶者や恋人との関係で思い当たることはありませんか? 認識を深めるために、下のチェック項目を既婚者は妻や夫を、 未婚の場合はパートナーを想定して一緒にチェックしてみましょう。 男性編 何かうまくいかないことがあると相手のせいだとよく考えてしまう 藤木美奈子さん 相手が自分だけで物事を決めたりするととても不愉快になる プロフィール 相手が自分の意見を主張すると不機嫌になり腹がたつ 相手に威圧的な行動や言動をしたことがある(おどかすなど) 友人・家族の前で相手を侮辱した態度や言葉を発したことがある 他人がいるときは相手に接する態度が変わる(外面がいい) あなたは怒りだすと相手に物を投げたりひどいことを言ったりすることがある (普段とガラリと態度が変わる) 相手が望まない時でも性行為を強要したことがある 相手に暴力をふるった後やひどい口論のあと、暫くはやさしくなる 女性編 相手の機嫌が常に気になる 自分のしたいことがあっても、相手の機嫌次第でできないことがある 相手の言うことが理不尽でも我慢してしまうことがある 自分のためにお金を使うと、後ろめたい気持ちになることがある 相手の機嫌が悪いのは自分のせいではないかと思ってしまう ※ 博士(創造都市)。NPO 法人 WANA 関西代表理事。龍谷 大学准教授(短期大学部社会 福祉学科)。障がい者の就労 移行支援事業所(コスモスケ アサービス)顧問。 経歴 貧しいシングルマザーの子 どもとして全国を転々とし、 児童虐待、DV被害を経験す る。女子刑務所勤務を経て、 1995 年女性の社会的自立を 支援する個人事業を営む女 性グループWANA関西を 設立。2008 年男女共同参画貢 献で知事表彰を受ける。女性 の地位向上貢献など 3 度受 賞。著書・講演多数。 チェック項目はすべて DV にあたります。 平成 23 年度伊丹市 DV 防止セミナー「傷つけ合う家族」講師:藤木美奈子准教授の資料より抜粋。 2012 年 2 月に藤木美奈子さんの「傷つけ合う家族」と いう、DV 防止セミナーの講演がありました。 正直なところ、人権を勉強する以前、DV には、あまり 興味がなかったので、殴る、蹴るなどの暴力だけを DV と いうのだと早合点していました。DV には、さまざまな形 があり、例えば、夫であれば生活費を入れない、妻に仕事 をさせないなどの「経済的暴力」や親やきょうだい、友人 との付き合いを制限するなどの「社会的隔離」なども暴力 にあたるそうです。そう気づけば、身近にも夫が生活費を 入れないため離婚した例が何件かありました。これまで離 婚には暗いイメージがありましたが、元妻たちは、経済的 には不安だけど子どももいきいきして精神的には良かった と安堵の様子でした。 藤木さんご自身も児童虐待や DV 被害を経験されていて、 言葉では言い表せない苦しみがあったと思います。現在は、 その体験を通じて女性の自立を支援する活動や SEP(社会 的スキル訓練の手法を用いた自尊感情回復プログラム)を実 施されています。講演会を聴いて改めて被害者の立場にたっ て DV を考えるということの大切さを知りました。 最後に、「DVは戦争と同じでなくならない」と話されてい ましたが、多くの方に知識をもっていただき、被害者は「気 づく」ことによって、少しずつでも減らすことができると思 います。もし身近に被害者がいたらまずは専門家に相談する ように伝えてほしいと思いました。 暴力とは、「腕力」に限らず相手に対して優位に立つものを利用して相手を服従させ、自己の考え方、価値観や利益を相手に強制する行 為。本質的に理不尽なもの。 「安心」 「自信」 「自由」という人間らしく生きる権利を奪うこと。そして、DV は被害者の心や身体にダメー ジをあたえ、暴力が介在する家庭環境では子どもの成長にも深刻な影響を与える。 (伊丹市 DV 防止セミナー「傷つけ合う家族」資料より) 女性のための公的相談機関 伊丹市DV相談室:072−780−4327 まずは、専門家に「相談」が大切です!匿名でも OK 相談時間 面接・電話相談 平日 9 時∼17 時 30 分 (土・日・祝日・年末年始は休み) 伊丹警察署(生活安全課) 072−771−0110(代表) 伊丹市立女性・児童センター 072−744−0141(日常生活の悩みなど 電話相談専用 第 1・2・3・5 木曜と第 4 日曜 13 時∼17 時) ▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼ 編 集 後 記 いろんな人がいていろーんな考え方があるから互 いに刺激しあって人生は面白いのだと私は思いま す。ふと、考えて立ち止まった時に「こんな考え方 もあるのか」と com-com を手にとってもらえれ ば嬉しく思います。 ありがとうございました❤ ▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼ 素晴らしい編集委員の方々と出会えたことに、感謝 しています。今回は夫婦の愛について書きました。 Vol.9で取り上げたスウェーデンでは、子ども を親や友人に見てもらい、夫婦二人でデートをする そうです。昔のあるCMのように、おじいちゃん、 おばあちゃんになっても手を繋ぐラブラブな夫婦 でずっといたいです❤ 前回のスウェーデンのワークライフバランスからが らりと変わり今回は日本の結婚にまつわる内容を取 り上げました。 結婚している人もこれから結婚する人もいろんな視 点から結婚するということ、あるいはパートナーと の関係を改めて考えてもらえるきっかけになればい いなと思っています❤ 伊丹市男女共同参画情報紙 3 ページでご紹介した藤木先生の「人間はさまざま な権力関係の中で生きている」という言葉が心に残 りました。複雑な人間関係の中でも無理せずいつも 楽しく!が私のモットー。そしてもっと多くの方に com-com に興味をもっていただけたら嬉しいで す❤ 「com-com(コムーコム)」 vol.10 発 行・編 集/伊丹市同和・人権推進課(男女共同参画担当) 2012年3月/2,000 部 男女共同参画情報紙編集委員/川 ・古家・水谷・山本 本紙へのご意見・ご感想は下記へお問い合わせください。 〒664−8503 兵庫県伊丹市千僧 1−1 TEL:072−784−8146/FAX:072−780−3519 E-mail:[email protected]
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