ゼミ生講義 - KENBUNDEN

CONTENTS
目次 ……………………………………………………… 1
立花隆より ……………………………………………… 2
新入生の君へ ゼミ長より …………………………… 3
立花ゼミって? ゼミの歴史 ………………………… 4
近年の取材実績 ………………………………………… 5
ゼミ生マニュアル これが立花ゼミの活動だ!…… 6 ~ 7
ゼミ生のスケジュール帳 ……………………………… 8
ゼミ生のカレンダー …………………………………… 9
2010 年度企画紹介 …………………………………10 ~ 16
『二十歳の君へ』―書籍化企画― ………………17 ~ 21
駒場祭講演会 理系サイド …………………………… 22
文系サイド …………………………… 23
ゼミ生他己紹介 ………………………………………24 ~ 27
編集後記 ………………………………………………… 28
裏表紙:新歓日程表示
隆より
立花
新入生の君へ
ゼミ長より
Q.
「立花ゼミって、何やってるの?」
このゼミに入ると,この質問を何度となく投げかけられることとなる。
毎週水曜に集まる。下北沢でご飯を食べる。読んどけ本を教わる。最先端の科学に触れる。文
理がつながる。世界を飛び回る(東欧,エジプト,北朝鮮…)。日本中を走り回る(旅行や取材)。
PC スキルがつく。作家とお茶をする。本を出版した。学外とつながる。ゲリラ演劇を決行する。
取材先でバイトが決まる。恋愛指南を受ける。プレゼンが上手くなる。著名人と知り合いになる。
秘密結社に入会する。古典を学ぶ。サブカルに強くなる。講演会を開く…
何と、いよいよ何をやっているのか分からない
2011 年度ゼミ長 福井康介
東京大学文科 2 類 2 年
大学では自分の好きなことが学べる。
しかし,大学の授業に出席して座ってい
るだけでは得られないものがある。
立花先生の言葉を借りれば,
「ナマの現実に触れること」だ。
あふれ出す好奇心を武器に,自分の興味に真正面からぶつかっていく。
それは,政治,物理,芸術,恋愛,アニメ,軍事,文学,エロス…何だっていいんだ。
そんな時,この「立花隆」の肩書きが役に立つ。
駒場の2年間で何が生涯の資産としていちばん残るかといえば、詰めこんだ知識でもなく身に付けたスキルでもない。ここで作る友人
関係だ。多くの人がここで生涯の友人を得る。生涯の友人が得られないとしても、生涯残るような、さまざまな刺激との出会いを体験す
る。その出会いは、人間であったり、書物であったり、あるいは心身両面の体験であったりする。あるいは単なる短い言葉との出会いで
もあったりする。ある場合には、それは視野に入ってくる、あるいは耳に入ってくる同年輩の周辺の人間が発するさまざまのシグナルに
よって与えられる、いわくいいがたい思いがけない刺激かもしれない。そのような刺激的な出会いにまだめぐまれていない人は、自らそ
のような出会いを積極的に求める探索活動をする必要がある。
このリーフレットがそのような出会いのきっかけかもしれない。
「類は友を呼ぶ」が、あらゆる探索活動の基本的方法論だ。自分の「類」がいそうな方向めざして、感度をいっぱいに上げた自分のア
ンテナを振り向けるのだ。そして、自分の「類」の候補者を見つけたら、ニコッとほほえみかけるか、「コンニチハ」といってみる。半
分は外れるが、「アタリ」の予感があとの三分の一くらいから得られかもしれない。
このリーフレットの中にきみの心に残る一言があったとすれば、それは「アタリ」の予感がするということだ。コンタクトしてみる価
値がある。
立花隆 略歴
本名 橘隆志
ジャーナリスト・ノンフィクション作家・評論家
東京大学大学院情報学環特任教授・立教大学大学院 21世紀社会デザイン研究科特任教授
1940年 長崎県長崎市生まれ。
1964年 東京大学文学部仏文科を卒業後、文藝春秋社に入社。同社退社後、東京大学文学部哲学科に学士として再入学。在学中にジャー
目で,現実を見たい。
この耳で,当事者の話を聞きたい。
この手で,それを世界に伝えたい。
この
直接,人と出会い,話すというのは大きな衝撃となる。
「立花ゼミって何をやっているの。」
だから,こんな質問を受けたとき,僕はこう応える。
A.「分からないのなら、一度来てみるといい、
ゼミの風を感じに」
ナリスト活動を開始、生物学や資源問題から人物評、学生運動まで、幅広い内容の執筆を手がける。
1974年 『文藝春秋』誌上にて『田中角栄研究 その金脈と人脈』を発表、当時の田中角栄首相を退陣に追いやるなどし、日本社会に大き
新入生のみなさん,大学の自由にちょっぴり不自由を感じたとき,このゼミの扉を叩いて欲しい。
な反響を呼ぶ。以降、日本共産党・中核・核マル・総合商社・農協・ガン・脳死問題など、社会の最前線を鋭く批評し続ける。
1995年 東京大学客員教授に就任し、1996年に教養学部にて第一期立花ゼミを開講、以来中断を挟んで現在まで続く。
ここには学問の風が吹いている。 2010年現在も科学・政治・文学・哲学などの幅広い知識を元に、旺盛な言論活動を続けている。
著書に『田中角栄研究』『宇宙からの帰還』『青春漂流』『脳死』『臨死体験』『ぼくはこんな本を読んできた』『精神と物質』『エーゲ』『天
皇と東大』ほか多数。
意外な経歴としては、1995年のスタジオジブリ映画『耳をすませば』にて主人公の父役で声優出演している。
2
立花隆より
新入生の君へ ゼミ長より
3
近年の取材実績 ( 敬称略 )
人物
機関・施設
リリー・フランキー ( オトナ )
国立天文台 森見登美彦 ( 作家 )
村方千之 ( 指揮者 )
中座真 ( 棋士 )
NOSIGNER( デザイナー )
藤子不二雄 A( 漫画家 )
糸井重里 ( ライター )
中村明久 ( 植字工 )
藤崎圭一郎 ( デザインジャーナリスト )
平野啓一郎 ( 作家 )
原研哉 ( デザイナー ) 内田樹 ( 思想家 ) ――立花ゼミの歴史は古い。
第一期
96 総合科目 応用倫理学
サイバーユニバーシティ
「調べて書く」
97「調べて書く、発信する」
98「環境ホルモン入門」
「二十歳のころ」出版
00「新世紀デジタル講義」
第二期
05「SCI」
第三期
07「見聞伝」
五月祭 徹底討論!核融合
駒場祭 憲法集中講義
08 駒場祭 特別講演会 リベラルアーツ
「今語られる、東大、学生、全共闘」
09
駒場祭 特別講演会「二十歳の君へ」
第四期
壁設置 プリクラ設置
10 立花教官退官・サークル化
?
駒場祭 若者論 / 宇宙論
11「二十歳の君へ」出版
村山斉 ( 宇宙物理学者 ) 西山雄二 ( 哲学者 ) そもそもは、15 年前の 96 年に、立花先生
池上高志 ( 複雑系科学者 )
が駒場で「応用倫理学」の授業をもった
宮台真司 ( 社会学者 ) ことから始まる。
立花隆 ( ジャーナリスト ) 永江朗(評論家) 最初はその授業のサポートチームのよう
な形でスタートした集まりが、その後「全
太田克史 ( 編集者 ) 第二期、第三期とちょっとずつテーマを
大築匡 ( 生協書籍部店長 ) 学自由研究ゼミナール」として第一期、
川上未映子 ( 作家 ) 変えながら 09 年まで続いた。これがいわ
笈入建志 ( 往来堂書店店長 ) ゆる「立花ゼミ」である。基本的にはど
基礎生物学研究所 生理学研究所 分子科学研究所 核融合科学研究所 ATR 国際電気通信基礎技術研究所
東京大学
理学部
農学部
神岡宇宙素粒子研究施設
数物連携宇宙研究機構
分子細胞生物学研究所 京都大学
理学部
霊長類研究所 思想家・内田樹が激動
の若き日を語る
大阪大学
理学部
レーザーエネルギー学研究センター 名古屋大学理学部
東北大学理学部 など
内山節 ( 哲学者 ) の期もみな一貫して「自分の興味のある
福島真人 ( 科学者 ) ことを調べて、発信する」活動を行って
いた。
宮嶋茂樹 ( 戦場カメラマン ) その集大成として、第一期では『二十歳
Eric Heidsieck( ピアニスト )
清水亮 ( ゲームデザイナ ) のころ』を新潮社から出版(文庫化もさ
れてます、駒場生協にも売ってる)、第二
期では科学サイト「sci」(http://sci.gr.jp/)
を作成し初月 100 万ヒット、第三期では
毎年駒場祭でシンポや講演会を打ち上げ
NHK が取材に来るほど話題を呼ぶ、など
伝説はさまざま残っている。
前年度も書籍 ( 書籍! )「二十歳の君へ」
を出版するなど、活発に活動している。(**
戦場カメラマン・宮嶋茂樹
に、現代の写真報道の
「最前線」を聞く
▲分科会の様子
作家・森見登美彦に小説を
書く原動力を麹町のカフェ
でインタビュー
ページ参照! )
こ ん な 感 じ で 先 生 の 意 思 に 反 し て(?)
ずるずるとつづいていたゼミも、立花先
生の退官により去年で打ち切りとなった。
しかし、たとえ単位が来なくなったとして
も、好奇心が終わったわけではない。授
業としては、もう続けられないけど、じゃ
あ今後はサークルとしてやっていけばい
アポ取りの時点で断られた取材も沢山あり
ます。だいぶ凹みます。しかし、会いたい
人に会えたときの喜びは、何ものにも代え
難いものがあります。
い。
そんな経緯で、今年も、第三期「見聞伝」
の続きとして、ゼミを運営していきます。
4
立花ゼミって? ゼミの歴史
近年の取材実績
5
■ ゼミ生マニュアル これが立花ゼミの活動だ!
■ 会いたかった人に会いに行く
企画
会って、話を聞く。それではじめてわかることも
ある。テレビや本の中でしかあったことのなかっ
た人を目の前にしてお茶を飲む。目をキラキラさ
せて最新の研究の話をしてくれる人もいれば、ぽ
つぽつと若かった頃の話をしてくれる人もいる。
取材は楽しい。
■ 取材三種の神器
■ 問題意識を企画にする
もしくは会いたい人に会うための口実として。
企画の内容は完全に興味の赴くまま。自由。面白
ければよし。ただし危ないのは勘弁ですが。
依頼
■ 企画を立てたら
見があったりする。
もしくはメーリスを回してみてもいい。最初は緊
張するけどね。優しい先輩に協力してもらったり
叩かれたりする。
■ 企画を進める
企画によっては読書会から始めたりする。勉強会
を開いたりはんだづけしたりするだけの、依頼文
を出さない企画もある。また、そんなに人が集ま
らない時も多いだろう、しかし、一人でも頑張っ
て進めている企画には勝手に人が集まってくる。
というかみんな「企画」の名目で好きなことやっ
てるだけでは…
「大丈夫それが立花ゼミだ」
6
そして最も面倒な部分。
企画が止まる原因 No.2
カメラと、ボイスレコーダーと、記録用の手帳。 取材することだけで満足しがちですが、せっかく
取材前になると、同行者募集!カメラとボイスレ なので公開しよう。伝えよう。
コーダーも貸してくださいとのメーリスが飛び交
う。取材前には同行者と打合せして、具体的質問
■ 記事にする
内容を詰めておこう。緊張するのは当たり前。し
取材の録音を文字起こしたり、聞きながら記事
かし準備はしっかり!
質問によっては思わぬ話が聞けることも…!?
を書きます。okoshiyasu2 が文字起こし用プレイ
ヤーの定番。撮った写真や、もらった資料なども
参考に。
まずゼミの場で発表し賛同者を募ってみる。仲間
が見つかればブレストしてみる。話すだけでも発
■「見聞伝」の伝えたいの部分
■ 熱意を伝えて会いに行こう
■ 公開する
依頼文を書いて出す。
文字にするとこれだけのことだが、企画が詰まる
原因ナンバーワンの恐ろしい作業である。
なにせ。
書いて出した文章で、自分の人柄を憧れのあの人
に伝えてしまうことになるのだから。
■ 依頼の書き方
ゼミにノウハウ ( 電話突撃やフォームから送信な
ど ) やテンプレートは揃っているので、困ったら
先輩にきこう。
あとは熱意があればなんとかなる。
書いた文章はメーリスに流すか話しやすい先輩方
に見てもらってください。優しく叩いてもらいま
しょう。( 叩かれない時もある )
取材
書いた記事は本人に送って掲載許可を貰う。
公開方法は、見聞伝 (http://kenbunden.net) に投
稿 ( 一番簡単 ) や、このような雑誌を作成 ( デザ
インの勉強にもなる )、又は別団体のフリーペー
パーに載せてもらう。はたまた、文藝春秋と協力
し、書籍にして出版 (17 ページ参照! ) するなど、
行動力次第で何でもできます。
公開
7
この某ゼミ生のスケジュールを見ても分かるよ
うに、バイトやサークル とゼミ は、両立可能
である。
むしろゼミ生のほとんどはサークルや学生団体
を掛け持ちしている。
勿論、学業との兼ね合いは可能だが、
何故かゼミ生には留年そして休学
がかなり多い。
何の祟りだろうか
月
火
バイト
サークル
16 時~ 21 時
18 時~ 21 時
その後コンパ
水
木
金
土
バイト
〇〇氏取材
日
18 時~
18 時~ 21 時
17 時~ 21 時
13 時~
サークル
その後呑みへ
18 時~ 21 時
立花ゼミ
美術館
依頼文作成
2011 年度 年間予定
4 月 入学式
5 月 五月祭
7 月 試験
ゼミの活動の根幹たる
「見たい聞きたい伝えた
水曜 定例会
コンパ
取 材。 そ の 詳 細 は 6 ~
い」を実践するゼミ生た
も基本的なものが、毎週水曜の
パと称して(主に下北
7 ページを参照されたい
るもの、博物館や美術館、
18 時から 21 時まで行われる定
が、簡単にまとめると
映画館に研究施設、果て
例会である。ここでは、
【1】依頼文作成
はスラム街など、興味の
新企画の報告
【2】アポを取る
沸いた場所に足を運ぶこ
進行中の企画の進捗報告
【3】事前準備
とを厭わない。時には 1
完結した企画の研究発表
【4】取材
人で、時には他のゼミ生
各企画分科会
【5】文字起こし
と共に訪問し、身になる
に加え
の手順で行われる。取材
知識を蓄えていく。上級
ゼミ生講義
実績は即ちゼミ生として
生が様々な訪問を行って
イベント打ち合わせ
の実績になるので、各人
いるので、それらについ
新ゼミ生や見学者との交流
奮起されたい。
て行って視野を広げても
など、ゼミの主な活動がここで
らいたい。
行われる。場所は学生会館(学
ゼミ生のスケジュール帳
某ゼミ生のカレンダー
年間予定を抜粋
6 月 見学
取材
!!
ゼミ生のカレンダー
「立花ゼミってどんな活動するの?」
「学業や他のサークルと両立できるの?」
(とある月の第2週より抜粋)
8
一口メモ
そんな疑問に答えるべく、某ゼミ生から極秘に
スケジュール帳とカレンダーを入手、
これを一挙公開する
ゼミ生のスケジュール帳
某ゼミ生のスケジュール帳
立花ゼミの普段の活動の中で最
館)や生協コミュニケーション
プラザ(コミプラ)が多い
定例会の後は大抵コン
沢金近辺で)食事会が
行われるし、他の機会
にも時々コンパを行
う。酒はほどんど入ら
ないのでまったりした
空気。ゼミ生同士で好
きな話をしてのんびり
過ごしつつ、情報交換
や親睦を深める場とし
て機能している。先輩
からバイトの紹介や、
漫画や書籍の貸し借
り、果ては先輩の人脈
の斡旋など、コンパに
8月
9月
10 月
11 月 駒場祭
12 月
新歓(4 月)
言うまでもなく、有能な新ゼミ生を集める貴重な時期。ここで色々
なゼミ内外の人間と面識を作る事で、後々人脈が生きることになる。
五月祭(5 月下旬)
今年度、ゼミとしては始めて五月祭に出店出店を行う一方、理系イ
ベントのロマンティック理数ナイトも開催する。これらが成功する
かどうかは新入生の働きに大きく期待がかかっている。
合宿(夏休み中)
ゼミ生で夏学期のまとめをし、駒場祭に向けて動き出すと共に、
お泊りして花火でもして夏を満喫しましょうか、くらいの軽い
合宿。
駒場祭(11 月下旬)
ゼミとしては最も大きなイベントの一つで、
夏休み前から始動する。
毎年立花先生を中心にトークセッションなどを行っていたが、昨年
は立花先生を呼べなかったので、今年の課題となっている。一方、
プリクラを設置したりアイドルグッズ店出店したり、裏で変なこと
やってるので、学園祭気分も十分味わえる。
1月
代替わり(1 月下旬)
2 月 試験
執行部が形成される。役職は、ゼミ長、副ゼミ長、Web 長が基
3月
駒場生中心の立花ゼミでは、この時期に新 2 年生を中心とする新
本だが、年によって大きく変わる。イケメンがゼミ長になる傾向
が強いので、傾向対策を万全にしよう。
出て損は無い。
ゼミ生のカレンダー
9
ゼ
企
「『二十歳の君へ』 -書籍化企画-」
⇒ p.17 ~ 21 参照
介
障として機能すること示す。AERA と NHK
クローズアップ現代に取り上げられた
歴史、音楽、特撮、ゲーム、金融、心理学
いのか分からなくて……」などと、依頼文
……この知のカオスこそが、立花隆ゼミの
を出さなくなり、挙句には依頼文作成経験
の無い 1 年生が多数を占めるに至った。そ
んな時、誰かが考え付いた。
第3講「ウルトラマン神話体系」
マリーアントワネットを髣髴とさせるこの
第 4 講「ポケモン社会学講座
一言から、イタコを通じて天国のあの人た
タマムシ大学出張講義」
ちに依頼文を書くという、宗教じみたゼミ
第 5 講「金融資本主義社会における
は幾度と無く暗礁に乗り上げた……
生教育が始まったのであった。
大学生の将来展望」
(ナレーション:田口トモロヲ)
第 6 講「大学生の為のメンタルヘルス」
「駒場祭講演会」⇒ p.22 ~ 23 参照
第 7 講「電線鑑賞ノスヽメ
路上監察学入門」
り、科学の面白さを伝えたいと思っている
が実際場の空気が白けるだけで会話に生か
せない人。そんな人達のための企画です。
るノリで面白おかしく、しかし真面目に、
1 分ほどのオチのある話にまとめて発表し
ていました。右の出張講座をご覧あれ。
ロマンティック
理数ナイト
一分科学の集大成として五月祭で開催予
定。多くの理系を憧れさせ、夢中にさせる
学問世界。理系だけのものにしておくには
勿体ない!学問を夢見る学生は勿論、研究
を語らせたら右にでるものはいない教授
陣、更には当日の聴衆も巻き込んで、東大
で一番ロマンティックな理系を決めよう!
体験した。彼ら重度障害者の目に何が映っ
電子工作企画
設の参考にするというものである。クラクフのホテルでの顔合わせや先生主催のささやかなパーティ、ポーランド伝統料理の堪能もそこ
そこに、強制収容所のあったオフィシエンチウムで収容所を見学し、元収容者のスモーレン氏のお話を聞いた。恐らく参加した全員が言
今ちょっとアレがあれば、ちょっとこれ
を直せたら。僕達の身の回りは、そんな
「ちょっと」に満ち溢れている。百均で買
う?電気屋さんに修理?それもいい。でも
僕達には何でも作り出せる魔法の手がある
じゃないか?
「無かったら、作ればいいじゃない !」
二次元について
人間には錯覚というものがあります。み
なさんも、ミュラー・リヤーの錯視といっ
て、左の線のほうが長く見える左図 A の
ような錯覚を見たことがあると思います。
このような類の錯覚は枚挙に暇がありませ
んが、どうして人間の目に錯覚が起こるの
か、知ってますか。
面白い研究や科学の成果を、合コンで話せ
準備のため研究室訪問も並行して実施中。
的としては、戦争遺跡とその博物館としての利用の状況、及び保護の状況を視察し、陸橋のゼミで企画しているデジタルミュージアム建
第 2 講「00 年代ロック史」
死んでいる人間に書けばいいじゃない」
科学に興味はあっても敷居の高さを感じた
立花隆氏が、立教大学のゼミの生徒との間で企画した、2010 年 9 月 2 日から 5 日までの 3 泊4日、ポーランドを巡るツアーだった。目
真骨頂だ。
【これまでの講義】
第 1 講「満州とは何だったのか」
「生きている人間に書けないんだったら、
試す
合コン一分科学
アウシュビッツツアー
2010 年度企画紹介
を抱える。それをみなに語り、
共有しよう。
尻込みしちゃって……」「どこに出せばい
理
ているのか、知るために。
10
頼文書け」と。しかし、近年のゼミ生が 「
我々ゼミ生は、それぞれに一家言ある分野
とい壮大な講演会運営が始まったが、作業
こうして、新生ゼミ始まって早々の試練も
場の声を聞くと共に、自ら障害者の介護を
葉で語りつくせないほど斬新な体験し、未だに頭の中で整理がついていないほどだろう。詳細は参加者の口から聞くべし。
ゼミ生講義
立花ゼミの不文律に曰く「思い至ったら依
系 力 を 雑誌企画
近年の雑誌不況の深刻さに、雑誌好きのゼミ生
れていた。そんな施設をゼミ生が訪問、現
が立ち上がった。そもそも雑誌とはどんな媒体
は人間存在の認識など、現代世界が凝縮さ
なのか、何故雑誌は今衰退しているのか、これ
主義社会の構造、理想と現実の対立、果て
から雑誌とはどうあるべきなのか、本気で調査
度障害者施設には、福祉行政の実情や資本
したのが田村の一年。同人文芸雑誌や左翼雑誌
てきた重度障害者たち。彼らを介護する重
の編集会議に参加し、実際に文芸記事執筆に携
ション能力もなく、最弱者として阻害され
わ っ て き ま し た。 最 終 目 標 は 自 前 の 雑 誌 発 行
において、
「生産性」を持たずコミュニケー
だったが…新歓雑誌制作で一応のケリをつける
弱肉強食の自然淘汰が是とされる現代社会
運びとなった。
内田樹企画
内田樹に会いに行く―その単純極まりない
目 的 の た め に、 僕 た ち は 長 い 間 準 備 し た。
内田樹の本を読み漁り、ブログをチェック
し、当日ははるばる神戸まで出かけた。イ
ンタビューは話題が二転三転して、僕たち
はついていくので精いっぱいだった。それ
でも確かに、立派な人生の師に出会えたと
いう手ごたえがあった。
重度障害者施設
訪問
「文理二本立てで二つ講演会をしよう !!」
天国への依頼文
一分科学出張講座
めた。この結果は大学が人生前半の社会保
政治企画
それを可能にする経済的支援についてまと
昨年(2009年度)の立花ゼミの立花先生による最終
が低所得者層に属することを明らかにし、
講義は政権交替に関するものでした。これから、政治の
的には三鷹寮での調査からある程度の学生
システムは大きな変動期を迎える。この企画はその続き
の流布したそんなイメージに反証した具体
立花ゼミ最大の危機に際し、ゼミ執行部は、
として、民主党問題や小沢問題を若者がどう考えるかと
「東大生の家庭は必ずお金持ち」メディア
立花隆が駒場祭に来ない ?!
いうことをテーマに本や雑誌記事を皆で読み、議論をす
貧困と東大
駒場祭
すめました。新入生がたくさん参加してくれたので、企
現
く
書籍化
画は長く続きました。議論の成果は、フリーペーパーN
代
ゼ
EWTRALの記事(「政治家小沢 一郎は死なない?」)
社
紹
抜
り
切
を
会
画
になりました。
二 〇 一 〇 年度
ミ
ミを知る
1 分超流動
先程のミュラー・リヤーの例で考えると、
線の先の短い線から、人間は左図 B を想
理科の実験で使ったメスシリンダー、あ
像します。この2本の線は奥行きの違う、
の目盛りの読み方はシリンダーの壁際の盛
つまり自分からの距離が異なる2本の直線
り上がった所でなく、内側のへこんだ所を
に見えるのです。片方の線は奥に、もう片
読んだでしょう。この端が盛り上がる理由
方の線は手前にある場合、それらが同じ長
は壁と水に引力が働いているためで、それ
さに見えるということは、奥の線の方が本
でも水分子は分子間力や摩擦、重力によっ
来長い直線であるということです。人間の
て登ることはないのです。
脳は、それを踏まえて立体処理しているの
しかし、ヘリウムを絶対温度近くまで冷
で、このような錯覚が起こるのです。
却した液体ヘリウムは、摩擦や分子間力が
さて、これを更につきつめると、人間の
ないです。なので逆らう力が働かなず、実
目はそもそも二次元的な情報しか受け取る
際に壁を登りだします。そして外と内の水
ことが出来ません。両目の視差などを利用
位が同じになるまで流れ出していきます。 して、頭の中で三次元的に組み上げていく
この現象を超流動と呼びます。
のです。これはどういうことかというと、
さて、実を言うと、この話は落ちがあり
人間からしたら二次元も三次元も本質的に
ません。正確には、ひとつ考えはしました。 は同じであるのだから、二次元しか見てい
「僕の気持ちも溢れだして君の心を満たし
ない人たちを差別するのはいけませんよ、
て同じ水位になるまで愛を注ぎたい」と。 ということになります。
しかし、えっ君の気持って絶対零度近くま
合コンでオタクをカミングアウトしたい
で冷たいの?という返しがくるな、と思い
時、あるいは相手からカミングアウトされ
落ちになりませんでした。
たとき、上手にこの話を使ってください。
2010 年度企画紹介
11
探 求する
文 化を
文学企画
立ち上げ当初の名前は「使い捨て文学」企
画だった。増え続ける出版物と作家、一週
間で入れ替わる人気。何故こんな本出版す
る気になったんだろう。何故こんな本が売
れるんだろう。あの作家、昔の作品は良かっ
た。あまり同じ本を何度も読み返さない。
これは「今は本が多すぎるんじゃないか」
という危機感を作家や編集者、評論家、読
者にぶつける企画。「こんな時代に、あな
……?」という願いを裏付けたいのです。
ジュディ充企画
Twitter 上でジェンダーの話で盛り上がっ
ていたところ,流れでジュディス・バト
ラー『ジェンダー・トラブル』を読むこと
になりました.一部は英語の原書を参考
にしました.真面目に読書会をしたあと,
考えたこと.「さてさて,今の僕たちには
何 が で き る の だ ろ う か?」subversive で
performative な cultural practice をやって
いくためには ... ?
今まで、永江朗さん(評論家)、森見登美
彦さん(作家/『四畳半神話体系』『夜は
短し、歩けよ乙女』)とその担当編集者さ
ん(祥伝社)、太田克史さん(講談社 BOX
編集長)に直接取材、川上未映子さん(作
家/『乳と卵』『へヴン』)にメールインタ
ビューなどさせて頂いた。他にも、文芸サー
落語企画
を生み出す,その独特の「間」や「表情」,
「仕
草」などは正に芸術の域である。そんな噺
家の話法の極意を盗み,日々の会話に一花
文春にて。誰かが百人一首の話をし始め
た。食いつく一同。ひどく懐かしがる一
将棋企画
将棋企画は、「二十歳の君へ」でプロ棋士
に取材をして生まれた、スピンオフ的な企
画です。その先生のご案内で、プロの対局
見学・将棋講座・指導対局と盛りだくさん
の将棋会館ツアーを行いました。他にも、
女流プロ対コンピュータの世紀の一局を観
戦、定例会で解説するなど、ルールを知ら
ない人にも楽しめる、将棋の面白さを探る
企画でした。
12
2010 年度企画紹介
同。昔めっちゃ覚えた!中学んとき大会が
あった!意外といまでも忘れてないもんだ
よねー。そこでまた誰かが。
「こんだけ人数いるなら試合できるじゃん。
今度ゼミでやろうよ」
かくしてゼミ百人一首大会は開催され
た。なぜかゼミ外部の人まで巻き込み、東
大生にありがちなプライドを握りしめた参
加者たちの試合はなかなかにアツかった。
また第二回もやりましょう。
……と、うちはこういうこともやっちゃ
うゼミです……。
本屋企画
失われた時を求める
んな配置で並べ、どうやって客に興味を
スト著「失われた時を求めて」文庫版全
星の王子さま
英独仏三ヶ国語
読書会
くなってきた。誰にでも、死ぬ前に一度は
読んどけ!と言えるほどのマンガがきっと
測定していく、というものである。20 世
出版業界は不況である。少ない利率、小規
何なるものだろうか。われわれはどれほ
として、本屋にはこれからも社会に活気と
我々の世代はみんなマンガに囲まれて大き
13 巻を読破しつつ、読書に要した時間を
紀のもっとも偉大な小説とも言われるこの
を迫られている。適当に配本で来た新刊だ
漫画企画
企画内容は企画名の通りマルセル・プルー
持っていたりする。
波に飲み込まれてしまう。本屋を愛する者
家さん・編集者さんに会いに行こうと画策
『二十歳の君へ』の編集作業で徹夜中の
みました。」
け並べて待ってるだけでは、きっと時代の
今年度は特に取材に力を入れて、色んな作
百人一首大会
ンの「失楽園」と「ボヴァリー夫人」を読
台頭……この時代、本屋のあり方は見直し
ンタビューに行くつもりです。
のにはとりあえず包容する、雑食系企画。
きな作家がいる人は問答無用、当企画へ
いぜい感想を聞く程度です。去年はミルト
の売り上げ横ばい、Amazon や電子書籍の
のみでしたが,来年度は噺家の方々へのイ
情は、「文学」「本」「出版」と名のつくも
ディープな話し相手がいなかった人、大好
に批評などをしあうことはありません。せ
模店に不利な流通システム、書籍そのもの
咲かせる。今年度は月に1回程度の鑑賞会
小説を書いて文学賞にネタ応募もした。実
が好きな人、好きだけど今まであんまり
なく、読書体験そのものにあるので、読後
し、小規模店でも大手に負けない魅力を
伝統芸能「落語」。人々を惹き付け,笑い
にお邪魔したり、企画参加者同士でリレー
話してくれることはたくさんあります。本
を読みます。企画の趣旨は読後の思索では
持ってもらうか。同じ系列店でも結構違う
クルと座談会を行ったり、文学賞の贈賞式
中。学生だから会ってくれる・学生だから
この企画はその名前の通り、とにかく名作
本屋にも個性がある。どんな本、雑誌をど
たは何を思い本と向き合うのか」そして
結局は、「それでも本好きでいていいよね
名作を読む
巨編を読み終えたとき、得られる感慨は如
どの時を失い、どれほどの喪失感(と感
動)を味わうことになるのだろうか。そん
な実に示唆に富む逆ギレに基づいて企画さ
れた。プルーストの、時にズートロープの
ように克明に疾走し、時に白日夢の様に緩
慢に移り行く意識の流れ、また、時に年代
物のワインの様に芳醇に香りたち、時にフ
情報を送り続ける存在であってほしい。
リードリッヒの絵画のように消え入るほど
じゃあ、どうすればいいんだ? これから
み合わさって様々な表情を見せる彼の記憶
の本屋、出版業界を考えて行く上で、この
不況の中でもなお、お客さんがわざわざ
その店を選んで足を運ぶような本屋には、
きっとヒントがあるはずだ。というわけで、
一冊はあるはずである。しかし、それを表
この企画は、頑張っている本屋を見に行き、
にする機会というのは決して多くはない。
本屋の将来を考える企画です。
の眩さの中にある美しい文体、それらが組
を追いかけ、そこに没入してはあまりの冗
長さに退屈してを繰り返し、次第にこの第
一級の小説を読んでいく意義を自ら問い直
し、辟易し、読むという行為自体の作用、
意義という次元に立ち返ってまで、そこに
生産性を見出そうとし、スノビズムと好奇
心と義務感との狭間で悩み、自己嫌悪した
あの名著『星の王子さま』を英独仏の三ヶ
この企画が生み出す価値は、その「一冊」
末に、遂に読むことを放棄するまでがこの
国語で読みました.こういう企画ができ
を集結させ、それを共有する事にある。で
企画の流れである。ちなみに私は 3 巻の
るのも立花ゼミならではです.『星の王子
きるだけ多くの人からその人にとっての
終盤までの間に 4 日ほどの時を失ったらし
さま』のクライマックスはきつね(Fox,
「絶対的なこの一冊」を集めるのだ。でき
Fuchs, renard) が 王 子 さ ま(the little
る限り幅広い層から、好きなマンガのタイ
prince, der kleine Prinz, le petit prince)
トル、その理由、好きなシーン&場面を調
に 誰 か が 誰 か に な つ く(tame, zähmen,
査・集計、リストに名前が挙がったマンガ
apprivoiser)ことのすばらしさを話すシー
をゼミ生で読み、レビューを書く。最終的
ンです.世の中には何千何万と人がいるけ
に、集計したデータ、ゼミ生のレビューを
が、今やスタンダートとなっている。プレ
れど,人が人に〈なついた〉とき(原書で
まとめた冊子を作成し、公開することを目
スリー、ビートルズ、レッド・ツェッペリ
出した文字はいかに人間に影響を与えてい
apprivoiser となっているこの単語,本当
指す。
ン…時間が過ぎることで、果たして文化の
るか、形、システム、歴史、これらのカテ
価値は変わるのか、変わるのであればどの
ゴリーから見つめていきます。要は文字好
は訳すことができません),かけがえのな
い。
文化と時間の変化
かつてカウンターカルチャーだったもの
文字企画
文字から人間を見つめる試み。人間が作り
い存在になります.王子さまは,自分には
シンプルながらも、「見たい、聞きたい、
ようなメカニズムなのか。それを解き明か
きなら来なさい、と言うこと。最近はルー
バラがいた,と気づきます.その理由は「水
伝えたい」という立花ゼミ本来の理念に
すべく、国会図書館にて古いエンターテイ
ン文字勉強会をやりました。ゲシュタルト
をあげたから」なのでした.
則った企画であることを自負している。
ンメント雑誌を蒐集、これを読解した。
崩壊をしたい人は是非。
2010 年度企画紹介
13
に北海道を旅しようと言ったそうな。そし
遊
てそれに何人もゼミ生が集うのだから、本
当にゼミ生は阿呆ばかりである。その先に
ある地獄を誰も予想すらしていないのだか
ら…
京都旅行
五条河原ノ落書ニアル、此頃都ニハヤル物
旅
Dialog in the Dark
んで
企画
食
べて
一年の頃にこれを体験した衝撃が忘れられ
ず、また立花ゼミの後輩たちにもこの衝撃
を経験してほしかったので、希望者を募っ
おり、しかし共通するとこ
90 分。暗闇での時間は、人間という存在
ろも沢山あって、刺激的な
に様々な問いかけを投げる。そしてその問
議論が展開されていた。
いが導き出す答えはつまるところ、
「人間
は面白い」というシンプルでありながらも、
した暗闇がどのような構造
とっても、今から経験する暗闇の時間が忘
れ難いものになればいいなと思いながら。
になっていたのか、思いだ
せる範囲でそれぞれマップ
中での出来事は、敢えて書かない。興味を
パフェ企画
精神的距離と時間が驚くほどに縮小される
無限の奥行きを持つ事実なのである。
全 員 で 描 い た。90 分 過 ご
たばかりの一年生や進学に悩む二年生に
ヲバ知ラムトテ、坂東ヨリゼミ生トイフ齢
視覚以外の四感が研ぎ澄まされ、他者との
りの感じ方は当然異なって
最後に、「暗闇の地図」を
て再びこのイベントに行ってきた。入学し
をして
《暗闇》に対する一人ひと
学するゼミ生
どこかの阿呆が、レンタカーで 3 日間寝ず
哲
北海道 0 泊 3 日
自殺ツアー
を描いてもらったのだ。こ
持った方はぜひ体験して頂きたいと思う。
哲学系あさこの恋
愛講座
パフェには子供の夢が詰まっている、と思
僕がここに書くことは、終わってから全員
れがめちゃくちゃ面白くて、大きさ・方向・
う。小さい頃、豪華なパフェはガラス越し
でブレイン・ストーミングとディスカッ
場所ともに他人の地図と情報があまり重な
に見本を見つめるしかなかった。食べられ
ションをしたことを付け加えておくぐらい
らない!
モノナリ。雅ナル京ノ趣、イトオカシ。
たとしても、安っぽいパフェらしからぬパ
だ。
奇食企画
五感のうちのたった一つを遮断しただけで
に立つ「教養」だとするなら、当「三分間
でも、時は流れ、今や大学生となった僕た
実はツアーを体験する前の待ち時間で「《暗
これほどまでに人間の「共通」理解は崩れ
恋愛哲学」は、合コンに顔を出そうか迷っ
百聞は一見に如かず、百見は一食に如かず。
ち。バイトすれば、1 時間で 1000 円ぐら
闇》にどのようなイメージを持っている
去る。なにが普通でなにが共通なのかなん
ている方や、実際に今好きな人いるのだけ
見・聞・伝だけが学びじゃない!食べちゃ
いは稼げるようになった。2 時間も働けば、
か」というテーマで予め各自ブレイン・ス
てそこに絶対的な区切りは存在しないし、
どどうしたらいいかわからない、それなり
豪華なパフェが食える身分になった。今こ
トーミングをしてもらっておいた。《暗闇》 「世界」も決してたった一つではない。人
に恋愛をしてみたいけど、そもそも好きに
そ、永遠の夢を叶える時なのだ。我らの夢
から思いつく言葉やニュアンス・感情を自
間は絶対的な存在ではなくて、偶然的なも
なれそうな異性が周りにいない、というあ
を!
由に書き留めておいてもらったのである。
のや脆い基盤に立脚して《共通》や《ノー
なたの背中をそっと押してあげる「ちょっ
そしてツアーが終了してから再び、《暗闇》
マル》といった概念を成立させているに過
といい話」です。
この企画では、都内のおいしいパフェをひ
のイメージや暗闇で体験した中で印象的
ぎない。そうした観点から、フーコーやベ
たすら食すことを目的とする。ファミレス
だったことをそれぞれ書き出しておいても
ンヤミンの議論、さらにはモリヌークス問
こでは人と人とがどのように結び付いて生
のパフェなんかは対象外。底まで本気でな
らった。それをもとに、各自が感じたこと
題といった様々なテーマへと繋げながら、
活しているのだろうか。
ければ、パフェにあらず。気付いたんだが、
や他者との相違、気付きなどを巡ってディ
二時間にあまりにわたるディスカッション
一日にパフェ2つはきつい。
スカッションを行った。
を 行った。
二十余為ル者ドモ京ヘトゾ参リケリ。短キ
間トイエド、上方ノ風俗ヲ具サニ記録セシ
メ、坂東江戸ヘト下リテ後、是ヲ報告セシ
里企画
らゆる知が無機的に平面化される現代。学
無縁社会という言葉が流行る現代におい
て、古くからの生活様式、共同体の精神ら
食で世界最臭の缶詰をほおばり、アンモニ
しきものがいまだに息づいている、伝統的
アが目に沁みる韓国の発酵刺身に舌鼓を打
な「里」というものが日本にはまだ残って
つ。その先は、画一的な学びへの異議申し
いるのか、そして、もしあるとしたら、そ
立てか。はたまた物好きの伊達酔狂に帰す
のか。
そうした里のあり方には、都会で暮らす現
答えを決めるのは君自身(の舌)だ!
感のようなものを打破するヒントが隠され
お化け屋敷企画
その名の通り、東京の地下鉄で鬼ごっこを
ているように感じる。都会と群馬県上野村
やろうという企画です・・・が、まだ実行
とを行き来する二重生活を続ける中で、独
の段階には至ってません。なので新入生の
自の思想を展開してこられた内山節先生に
化け屋敷も日進月歩、最新鋭の技術が投
皆さん、興味が御有りでしたら是非企画者
お話しを伺い、そのお話も基に、イメージ
入されていた!未だ味わぬ不思議な体験
である後藤に一声かけてください!楽しみ
に近い「里」を選定、実際に現地に訪れ、人々
ながら複雑な東京の地下鉄を学びましょ
の生活の様子を調査することにした。
を求めてゼミ生がお化け屋敷を訪問して
て、恋愛における様々な問題を解決するヒ
ントを探ります。
B
oys on the
大学生にもなってお化け屋敷?だが、お
U
nderground
みた。
2010 年度企画紹介
エロス企画
【検閲削除】
21
北朝鮮ツアー
世紀の現代において、未だ閉鎖され
た独裁的な国家体制を維持する、朝鮮民
主主義人民共和国こと北朝鮮。経済の発
展、民主主義の普及、基本的人権、報道
の自由、いずれを取っても世界最低クラ
ス。
し か し、 北 朝 鮮 と 国 交 を 結 ぶ 国 家 は、
中 国 や ロ シ ア、 更 に イ ギ リ ス、 ド イ ツ、
イタリア、カナダなど欧米主要国を含め、
実に162ヶ国。日本人の抱く「鎖国し
た国家」像に程遠いデータである。我々
が 想 像 す る「 独 裁 国 家 」「 最 貧 国 」 と い
う像には、どこか偏見と誤解が含まれて
いるのではないか。
そうゼミ生が考えたのであれば、あと
は辿る道は一つである。自分の足で北朝
鮮に赴き、自分の目と耳で「見」て「聞」
いた事実を、「伝」えるのみ。
韓国、ロシア、中国を経由しつつ、ゼ
ミ生が北朝鮮へ出向き、我々の知らない
ナマの姿に迫る!未だ帰らぬ彼らの無事
な帰国を祈る。
新興宗教企画
今、新しい宗教の動向が注目されようと
している。新宗教だけでなく伝統宗教を
含 め た 今 後 の 宗 教 の 在 り 方 も 気 に な る。
新興宗教企画では、新宗教をさまざまな
角度から調べ、考えてみたい。勉強会を
行ったり、取材に行ったりしたいと考え
ているが、今になって動き始めたような
企 画 な の で、 未 定 の 部 分 も 多 い。 昨 年
度は、宗教学者の島田裕巳先生に取材に
行った。
新興宗教、福祉、在日問題、腐敗行政、
同和利権…。私たちの暮らす平穏な日常
のすぐ隣には、ぽっかりと「穴」が空い
ている。
ゼミ生が正月の大阪で見たものは底知
れぬ深い闇だった。現代的なレジャービ
ルのすぐ裏に並ぶ、大規模な脱法風俗街
と同和マンション。
しかし、それこそが社会の縮図なのか
もしれない。
大学生の大学生による大学生のための
社会見学。次は東京、沖縄へ。
2010 年度企画紹介
ディープツアー
う!
古今東西の哲学者・思想家の思索を援用し
一日1パフェのルールのもとで進めます。
代人のだれもが抱える、行き場のない虚無
メトロ鬼ごっこ
14
「一分間科学」が、合コンの場において役
フェだけ。パフェは永遠の夢だったのだ。
いたいほど学びたい!文字情報が氾濫しあ
「人はなぜ、恋をするのか?」
15
2011 年度 企画紹介欄
『二十歳の君へ』
-書籍化企画-
【企 画 名】
【企 画 者】
【活動趣旨】
【活動内容】
ま
2009 年度ゼミ長 内藤拓真
ずはじめに、私たちが今年の 1 月に上梓した本『二十歳の君へ』の冒頭を載せておきます。
文学部社会学 3 年
……
ようこそ。
私たちは、東京大学立花隆ゼミの――いや、まだどこのなにものでもない、
来る日も来る日もただひたすらに思い悩んでばかりの大学生です。
知りたいことも、見たいものも、会いたい人も、次から次へと湧いてくるのに、
自分の進むべき道はいっこうに定まらない。
そんな板挟みの状態にある私たちが、もう一歩前へと進むための足がかりを求めて、
「かつての二十歳」のもとを訪ねました。
ここは、
キミたちが、
書く場所。
第一章「二十歳、扉をたたく」では、ゼミ生が会いたかった著名人、職業人へインタビューを行っています。
肩書きも境遇も考え方も様々な十六人。
おなじ「二十歳」というキーワードから多方面へと話題が飛び出していきましたが、
そのどれもが私たちの想像をこえてずっと深く、そして刺激的なものでした。
第二章「二十歳、頭をひねる」では、ゼミを主催なさってきたジャーナリストの立花隆先生が、
学生へ向けて行ったレクチャーの模様をお届けします。
七十歳の誕生日を迎えた節目のときに、二十歳の若者を早大で縦横無尽な「知」の旅へと誘います。
第三章「二十歳、思いわずらう」では、第一章、第二章の取材を踏まえて、
今まさに二十歳前後という年齢にあるゼミ生自身が、ありのままの想いを綴っています。
あまりに多種多様な内容で少し戸惑ってしまうかもしれません。
しかし、一見無関係そうな言葉や考え方も、奥のほうで思わぬ繋がりを持っています。
そういったリンクを発見するたび、君に撮ってこの本が持つ意味はどんどん深いもの
へと変わってゆくはずです。
そんな興奮を伝えたくて、私たちはこの本をつくりました。
さぁ――このはじまりを、二十歳の君へ。
(『二十歳の君へ』より)
……
16
2010 年度企画紹介
『二十歳の君へ』―書籍化企画―
17
7 月には、立花先生に特別講義をひらいていただきました。
70 人近くの有名無名の方々に取材したこの本を読んで、多くの若者が鼻息を荒くしたことだろう。
駒場祭で行った際は2時間。対してスライドは 100 枚近く。
時はたち、2009 年の駒場祭。
とてもじゃないけれど語りつくせませんでした。
立花ゼミが再び「二十歳」という時間、学生の若さ、青さと向きあう企画がスタートした。
今回は時間無制限で先生にお願いしていましたが、
それがこの「二十歳の君へ」。
文理の枠を超え、話と話が次々にリンクしていき、
3時に始まった講義は、夜9時すぎ、先生が
銀杏並木に落書き自由の掲示板を設けたり、おそらく前代未聞であろうプリクラを駒場に導入してみたり、
「これくらいで」
200 人の大人から「二十歳の君への宿題」をもらったり、
と言うまで続きました。
それを立派すぎる冊子にして配布したり、
へろへろでしたが、かつてない6時間でした。
立花先生の講演会をやってみたり。
若者らしく、お祭りらしく行ったイベントは楽しかったけれど、
悩める同輩に対して、おおよそ「生き方のみちしるべ」みたいなものは示せず、
わかったのは「さらに悩まなくちゃ」というぐるぐるの中にいるのが二十歳だ、ということでした。
夏休みも取材・執筆・編集を行いました。
その年末、立花事務所に文藝春秋の編集者さんを紹介していただき、「二十歳の君へ」を出版するはこびとなりました。
ここまでに原稿を揃えておけば、目指す成人の日の出版に間に合うという逆算でした。
ふつう「出版」といえば、著者は文章を書いて出版社に託し、出版社が文字を活字としてならべ直し、表記表現を校正し、装丁家が表紙
わからない語彙に注をつけるため、手分けしてたくさんの調べ物をしました。
私たちが当初締切り目標にしていたのは10月末。
をつけ、印刷会社で刷られて、本屋さんに並び
ます。
情報教育棟や PC の前に貼りつき、文章の推敲をかさねました。
「これ、誰が書いたの?
ほんとに東大生?」
1998 年、私たちの大先輩、「第一期立花ゼミ」が『二十歳のころ』を出版しました。
取材記事をインタビュイーとの間でやりとりしました。
そうして、担当編集者の方も「よくまとまっている」と言ってくれるところまで整理し、
よし、立花先生にお目通しを、となりました。
ですが、今回は、立花の学生が取材・執筆・編
集・校正・組版・装丁と、ほとんど印刷以外の
作業すべてをさせていただきたい、と私たちは
編集者さんに懇願しました。プロのやる仕事で
すし、売り物になる本を学生が 1 から8くらい
までを手がける。大変だとは見積もっていまし
たが、今思えば、一冊の本をつくるのは、あの
頃の想像などはるかに超えるほどの時間と労力を必要とするものでした。
2010 年、優秀で好奇心旺盛で「立花ゼミらしい」新入生をたくさん迎え、「どんな本にしたらいいか」「だれに取材に行こうか」「私たち
も書きたい」と話し合いを重ねました。会いたい人、話を聞いてみたい人に端から直撃メールを送ります。大学生が運営するフリーペー
パーや web サイトがゴマンとある時代です。『二十歳のころ』ほど、私たちの依頼にとり合っていただける方は多くないと思っていまし
た。せいぜい良くて(メールの返信が来る)打率が 1 割程度だろう、と。
ですから、先生から「ちょっときて」と電話をもらい、
「これじゃだめだよ」と言われたときの落胆ぶりったらありませんでした。
しかし、蓋を開けてみれば、
「糸井さん、とれた!」
「宮台さん、今からでも間に合う?」
と、朗報が多く、「やばい、紙面がパンパン」と嬉しい悲鳴をあげるほどでした。
イケメン俳優の向井理さんとかは返信、来ませんでしたけど(笑)
結果、本の帯には「ありえない」組み合わせの名前が並ぶことになりました。(下)
リリー ・フランキー
森見登美彦
村方千之
中座真
NOSIGNER
藤子不二雄Ⓐ
糸井重里
中村明久
藤崎敬一郎
平野啓一郎
原研哉
内田樹
村山斉
西山雄二
池上高志
宮台真司
『二十歳の君へ』 ―書籍化企画―
こだわれば
こだわるほど、
作業は果てしない
麹町にある文藝春秋の本社ビル別館には、作家さんがいわゆる「カンヅメ」になるための、ホテルのような執筆室があります。立花先生
「内田樹さん、行ってきます!」
18
正直な話、私たちは、
「まあ長くて一週間、けど編集さんも褒めてくれたし、先生の手直しも3日ほどかな」などとタカをくくっていました。
はそこで執筆、私たちはその横の会議室で待機、原稿の受け取り、編集。
そんな日々が 11 月はじめから 12 月の終わりころ、約 2 ヶ月も続いたのです。
先生は夜から明け方にかけて、私たちの編集した講義録を見て、推敲し・加筆します。
だいたい日付が変わるくらいに一度、そして先生が寝る前に一度、
執筆室にの扉をたたき原稿(手書き!)を頂きます。
先生から浴びせられる「これ、誰が書いたの?ほんとに東大生?」というお叱りを耐え、
それを会議室に持ち帰り、その加筆量に苦笑いしながら手書き原稿を文字に起こすのです。
と、言っても、その手書き文字も「立花文字」と名付けられるほど判読困難なミミズ文字。
私たちは徹夜続きで眠い目をなんどもこすりながら、
「◯◯性」の〇〇にはいるミミズが、一体なんの文字を成しているのか、必死に判読を試みました。
『二十歳の君へ』―書籍化企画―
19
結果から言えば、先生はそうした作業を 3 周行いました。
1 周目が終わったとき、私たちは歓声をあげて喜んだのですが、その喜びもつかの間、
先生はまた最初から文章を書き加えはじめます。
しかも加えるエピソードは次々に増え、最初に特別講義で話した筋などもはやどこへやら。
結局、見せる前に 5 万字程度だった原稿は 10 万字を余裕で越えていきました。
原稿をあげていくと同時に、組版や装丁といったデザイン関連の作業も進行して行きます。
新
入生の君へ。
合格おめでとうございます。
ようこそ、立花ゼミへ。
一緒に、いろんなものを、見て、聞いて、伝えていけたら、幸いです。
持ち込んだマックブックの鮮明なディスプレイの上で、文字が置かれていきます。
私もそうでしたが、おそらく、多くの人が、
「文章さえ書けば、あとはコピー貼りつけで流しこんで、すぐ終わりなんじゃね?」
なんて思っていることでしょう。
それが、ちがうんです。
フォントの組み合わせから字間、行間、段間。
漢字がいいのか平仮名がいいのか。
脚注の位置はどうするか、ルビはどうつけるのか云々……。
やはり、せっかくつくるのだからこだわりたい。
こだわればこだわるほど、作業は果てしない。
活字中毒を起こすほど、真剣に、重箱の隅々まで一文字一文字と向かい合ったつもりです。
作業はもちろん、睡眠、食事、学校の課題、駒場祭の準備、はんだづけ……。
ゼミ生が交代で泊まりこみ、会議室には私たちの生活臭が充満していました。
もっと悩まねば
もっと知らねば
もっと学ばねば
12 月も後半、クリスマスひいてはお正月すら危ぶまれましたが、
私たちはどうにか編集を終え、印刷会社にデータを受け渡しました。
長く、険しい日々でしたが、
出版不況の荒波の中、本を出版するという一部始終に本気で関わり、
私たちは、感慨や、経験値や、眼精疲労や、知識や、達成感など本当に様々なものを得ました。
しかし、この本づくりを通じてもなお、私たちは悩みの中にいます。
たしかに、学生時代に本を出したという事実は、それだけでも就職面接でドヤ顔できるシロモノだと思います。
大学生の大半は、学業の他にもサークルなりバイトなりで自己実現を目指していますが、
この本をつくるなかで、私たちのなかで何かしらの自己が実現したかといえばそうでもなく、
逆に私たちの若さ、青さを付きつけられ、さらに顔面蒼白、
『二十歳の君へ』書誌情報
単行本 : 336 ページ
もっと悩まねば、もっと知らねば、もっと学ばねば、という焦りに駆られています。
出版社 : 文藝春秋 (2011/01)
立花ゼミにいれば、著名人に会ったり、話したり、本を出せたりするかもしれません。
ISBN-13: 978-4163735207
それ以上に、ちょっと変わり者の同輩と、後輩と、先輩と、頭をひねり、「あーでもない、こーでもない」と議論し、
また自分にはない、いろんな刺激をもらったり、与えたり、
それを通じて、いままであることすら知らなかったものに出会ったり、世界のデカさに驚嘆したり、
やりようによっちゃ、ものすごく「いい悩み」ができる場所だと思います。
20
『二十歳の君へ』 ―書籍化企画―
ISBN-10: 4163735208
発売日:2011/01
価格:1300 円+税
*ゼミにて、注文すればもう少しお求めやすい
価格でご提供できます。先輩に相談してみてね。
『二十歳の君へ』―書籍化企画―
21
もりなんだけど、名前貸すと思って副責任
者やってくんない?」
とのお誘いに、え、いいけどとノリで答えてしまっ
たのが始まりであった。
方向性はぼんやりだった。文理融合させたいよね。
宇宙の話やりたいよね。理系で宇宙は物理学者でも
天文学者でも呼べばいい。でも文系で宇宙てなにす
るの?
決まらないテーマに決まらない講演者、会議になっ
ているのかすらわからないぐだぐだの会議と図書館
放浪で夏休みを食い潰した後、ようやく方向性が決
まった。よし、各地域の宇宙観と現代の科学的な宇
宙観を比べよう。天文学者と科学史家を呼ぶんだ。
そいでそのへんの歴史も踏まえてこれからはどうな
駒場祭 講演会
これは困った。駒祭まではあとたった二週間。他の先
生を探している時間なんて無いし、なんとかして出て
もらわなければ、せっかく紹介してくれた荒川先生に
駒
場祭で何をやったかがその年度の評価を決め
る、という雰囲気がうちのゼミにはある。昨
年は「二十歳の君へ」という、講演会からプリクラ
も申し訳が立たない。首謀者福岡の JK 棟での奮闘によ
まで、多様な一連のイベントを繰り広げた。講演会
り、なんとか出てもらうことに成功する。
は 1313 教室がいっぱいになり、その場で配布した
その後も金子先生が一週間音信不通になったり、岡村
パンフレットをもとに文春から書籍まで出版するに
先生から届いたスライドと銀河の写真に感動したりと、
至った。一昨年は「全共闘」シンポジウムと「教養教育」
様々に胆の冷えたり温まったりを繰り返して、なんと
講演会の二本立てで、いずれも大教室がいっぱいに
か講演会開催に漕ぎつけた。
なる集客だった。未だに google で「駒場祭」を検索
すると、1ページ目に全共闘シンポのページが上がっ
イベントひとつやるにしても、どれだけたくさんの
ている。
人の協力が必要で、どれだけの血と汗が必要なのか、
というのを知った。
じゃあ今年は何をしようか。立花先生の力を借り
イベント用のビラ一枚作るにもすごく大変なんだ。デ
ずに何ができるか。企画立案は、難航した。夏休み
ザイナーは魂削って文字並べてるんだ。
始まったくらいから、幾度とコミプラ3階ラウンジ
というわけで、新入生のみなさんもノリで色々やりま
るとおもうか二人に質問してみる
しょう。駒祭はいい機会だよ。大変
んだ、と。呼ぶ人もそれで決まった。
だし辛いし胃も痛くなるし寝れなく
依頼文書きにひどく手間取ったり
もなったけれど、いい経験にはなる。
したが、天文学者の方は、オムニ
敬語の使い方の勉強にもなったし ( ま
バス講義で神授業を繰り広げてく
(通称コミ3)で会議を繰り返した。
10
古市憲寿
トーク × セッション
小熊英二
りいちゃん、駒場祭企画理系講演会やるつ
2010年
パネルディスカッション
「と
20
宇宙の旅
理
系サイド
ドイサ系
文
しかし実際のシンポジウムについて、誰を呼んで
どういう議論に持っていくのかという話になると、
会議は暴れた。
ようやく話が具体性を帯びてきた頃にはもう世間は
秋休みで、それでも結果的に大物二人(小熊英二先
生、古市憲寿さん)をお呼びできたのだから、難儀
の山も越えてみればなんとやら。
「ありそうでなかっ
た」「よくぞ同じ土俵にあげたな」
(と来場者の方々
には言われた)というお二人の議論は、途中からは
ゼミ生も混じって白熱し、結局司会が遮って強制終
了するまで応酬がつづいた。終演後も、演者二人と
お客さん、あるいはお客さん同士で延長戦が盛り上
がり、おかげさまで借りてた部屋の鍵の返却が遅れ、
駒場祭委員からひどい罰金を取られた……というの
は蛇足か。(当日の書き起こしはゼミHPにもアップ
されている。
)
やりたいことはぼんやりとあっ
た。
駒場祭は祭である。焼きそばを焦
立花ゼミはサークルになった。
「一
がしてコスプレで練り歩きステー
だまだ、って言われるだろうけど )、
応、授業。」という枠からさえも離
ジで跳ねる、それも大学生のひと
れた岡村定矩教授にメールを出し、
天文学科に行きたくなったし、街中
れて、良かった面もあるし、悪かっ
つの有意義な形かもしれないけれ
すぐに連絡がとれた。が、科学史
の文字の書体に注目するようにも
た面もある。ゼミ生の仲がよく、以
ど、書棚に名前の埋まった「先生」
家のほうはそう簡単にはいかな
なったし、なにより人と協力するこ
前にも増して企画の自由さは広がっ
たちを格安のギャラで自分たちの
かった。荒川紘先生を呼ぼうと大
とを覚えた。実際協力と言ったって、
たが、単なる居場所になってしまっ
しつらえた壇上に引きずり出して
学に電話すると、先生が居らず連
空回りしてただけで本当に頑張って
ているとは言えないか。
くる――そういう大きいことをや
絡できないという。確実に大学に
たのは先輩方だったかもしれないけ
では単なる「馴れ合いの居場所」で
るのにも、
「祭り」はいい口実にな
いる曜日を聞き出しなんとか連絡
ど。
はなく、もっとなにかエネルギーを
る。テーマも上下関係もない、人
したが、PC がほとんど使えない環
とにかく、大きいことやるのにもあ
放つような居場所たりえるような学
数もさして多くない(くせに知名
境 の た め、FAX で 連絡。が、講演
まり怖がらずにどんどん言い出して、
生団体ってなんだろう――そういう
度のある)立花ゼミだからこそ成
会には所用のため出られないとい
やってくれればいいんじゃないかな。
ことを社会学的見地から考えるよう
せることというのは想像以上に幅
う。ありがたい事に出来る限りの
面白そうなら協力は惜しみません。
なシンポジウムは出来ないか。
広くて深かったりする。
協力はしてくれるという。代わり
どうせ東大理系の二年生は暇だしね。
( いや、ていうか、本音としては、
に金子務という先生を紹介してい
ひとまず、駒場で目立っている学
ただけた。金子先生は宮沢賢治の
生団体の代表たち(アイセック、ド
講演会ひとつ作るってこんなに大
ことをしゃべらせてくれるなら出
リームネット、自治会、リディラバ、
変だったのかっていうのは、みん
てくれるという。しかし、それは講演会のテーマと
御厨ゼミなど)に取材に行った。「団
な身をもって体験すべき……)
は少しずれてしまう。科学史の話をしてくれと説得
体の理念」と「団体そのもの」の維持、のギャップ
しようとすると、貴方達とはすれ違ってしまったよ
文責 2011 年度副ゼミ長 鳥居萌 理科一類 2 年
に悩む人、自らの哲学でもって信念的に団体を回す
うですね。辞退させていただきます。とのメールが
人。立花ゼミとの比較の中で、それぞれに興味深い
とんできた。
話を聞けた。
(その内容は、資料として当日配布した。)
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駒場祭講演会 理系サイド
文責 2010 年度ゼミ長 廣安ゆきみ 文学部美学芸術学 3 年
駒場祭講演会 文系サイド
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編集後記
新入生の皆さん。ようこそ、立花ゼミへ、そしてこの新歓雑誌へ。新歓雑誌の編集を担当した、副ゼミ長の田村です。最後の余白を借
りて、今回の新歓雑誌についての後書きを、そして立花ゼミ全体について、記そうと思う。
新歓雑誌作成を引き受けるに当たり、僕は雑誌企画という企画の総括をするつもりだった。雑誌企画とは、企画紹介でも書いた通り、
雑誌という媒体に興味を持った僕が、立花ゼミに入って早々に立ち上げた、今年一年の僕の最大の課題であった。そもそも雑誌とは如何
なる媒体で、何故衰退しているのか、これからどうあるべきなのかを調べ、「最後にゼミの活動内容を載せた雑誌を販売する!」などと
壮大に息巻いていた。駒場祭でのゼミ雑誌発行を目指し、同人文芸雑誌の出版人や左翼系出版社などに取材に行き、ゼミ生で雑誌のあり
方について議論を交わすなど、当初はかなり真面目に活動していた。しかし、夏ごろにモチベーションが落ち、駒場祭での発行はおろか
企画記事を書く気すら失せかけていた。そんな時に、新歓パンフレットを作るということになったので、雑誌企画の一環として新歓雑誌
を作成し、それで雑誌企画の一応のケリをつけよう、ということにした。ちなみに、雑誌企画自体の調査報告は今も温めていて、データ
消失の危機(他己紹介にある「タムパソ死亡事件」)もあって遅れてはいるけど、また近い内にゼミ HP で発表していくつもりだ。
僕のこの一年の迷走ぶり、立花ゼミの一段面図でもあった。
立花ゼミと言うのは、サークルとなった今でも駒場内では結構権威のあるゼミで、駒場に数あるゼミの中で、恐らく最も自由度が高い。
それは、授業でなくサークルになったことの影響もあるし、そもそものゼミの気風でもあるだろう。その気風は、しかし同時に緊張感の
無さや帰属意識の薄さを生み出した。企画を立ち上げてみたものの完結せずに終わらせたり、企画や取材を自分で立ち上げずに何となく
ゼミに在籍したり、全体の作業でもなかなか一致団結して作業しなかったり。例年のゼミ長たちが悩んできたことだろう。
ただ、それに必ずしも悲観する必要も無い、と気付かされたのは、とある元ゼミ長と会話していた時のことだ。その元ゼミ長と放す機
会が偶々あり、これからのゼミの行く末について相談したのだ。僕は、正規のゼミとしての歴史を追えサークル化した立花ゼミは学生団
体としての道を選び、そのための目的意識の確立や組織構築をすべきだと考えているがどうだろう、と訊ねた。それに対しその元ゼミ長
は、いや、立花ゼミと言うのはいわゆる学生団体やサークルや非営利団体と異なり、そもそも単一共通の目的意識や組織としての体裁を
有さないからこそ、逆に駒場で社交の場として存在できるんじゃないかな、俺はそれを目指していた、と主張した。それは、ただの学生
団体やサークルでもなく、しかし正規の教育体系の中の他のゼミでもなく、立花ゼミじゃないと立ち得ない位置だ。それは、今まで何と
なくゼミのあり方に不安を抱いていた僕には、腹の底にストンと落ちるように納得がいったあり方だった。
立花ゼミは、本当に多種多様な人材が集まっている。他己紹介の経歴を見れば、イメージされる真っ当な東大生(というより学生)は
まずいない。皆どこか真っ当からはズレていて、しかしそのズレ具合は面白い事に皆別々の、しかし相当に量のある、一種のベクトルと
して、様々な方向に進んでいる。その中心にいるのが立花ゼミだ。時にベクトルは、その中心から飛び出してしまうだろう。実際、立花
ゼミ生にはゼミの企画などが高じて自らのサークルや学生団体を立ち上げたり、挙句には社会に飛び出して起業したりする者も多い(今
年もそのような猛者が何人もいる)。一方で、ゼミには常時色々な出自の人間がやってくる。多くはゼミ生の幅広い守備範囲に引っかかっ
て訪ねてくる。うちが事実上のインカレサークルであるのも、それに起因する。
これやこの 行くも帰るも分かれては 知るも知らぬも 逢坂の関(蝉丸 十番 後撰集雑一)
の逢坂の関のように、流動的だが絶える事の無い交流の結実点として、その存在意義を保つのだろう、と確信している。
新歓雑誌の編集に話を戻すと、皆作業に協力してくれないのではと悲観しかけたが、いざ編集作業が佳境にさし迫ると、皆がそれぞれ
の持つベクトル量を発揮して雑誌作成作業を担ってくれた。共に記事構成のプランを作成したり、文才を余す事無く埋め込んだ名文を
送ってくれたり、雑誌デザインのイロハや Adobe Indesign の使い方を懇切丁寧に教えてくれたり。いや、そんなベクトル量など関係な
く、作業中に twitter 上で労いの言葉を掛けてくれただけでも感謝しきりだった。それらの多彩なベクトルが上手く作用した結果として、
この新歓雑誌が出来た。これは、新歓活動の一環ではあるが、ある意味では僕の雑誌企画の集結でもあるし、ゼミ全体の潜在する力が垣
間見えた証でもある。この新歓雑誌が、ゼミのもう一つの断面図なのだ。
このゼミは、無数のベクトルの結実点の上にある。それぞれ膨大な量を有するベクトルたちがバラバラにならず、かつその結実点に乗っ
ているゼミを上手く前進させるには、それらを押さえる重石が必要だ。それをゼミ長なり副ゼミ長なり、或いは OB・OG、いや立花先生
なのかも知れないが、誰かが果たしていかなければいけない。ベクトルはどれも随分と勝手にしかもバリバリとこの点から離れようとす
るので、重石は相当重くなければいけない。今年もまた、この雑誌を読んで無茶な暴れ方をするベクトルが加わることを期待している。
存分にやってくれればいい。むしろ、突っ走るだけ突っ走って、立花ゼミ「らしくなく」成果を形にして欲しい。そのためにも、僕ら新
ゼミ運営に携わる代は、重くあろう。この後書きが、一つの決意表明たればと願う。
最後に、今回様々なゼミ生の協力を仰いだが、特に Indesign の使用法からデザインまで雑誌の何もかもを教えてくれた廣瀬暁春さん、
そして事実上二人三脚で本誌制作に当たった副ゼミ長の鳥居ちゃんに、この場で感謝の意を表して、編集後記を締めくくろうと思う。
新歓雑誌『TAKASHI』編集人 2011 年度副ゼミ長 田村修吾 東京大学文科三類 2 年
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編集後記