Dr.ETTEMEYER 社 技術資料 No.01-98 3D-Vibro

Laser
Measurement
Corporation
Dr.ETTEMEYER 社 技術資料
No.01-98
3D-Vibro-ESPI による触媒コンバータの振動析
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3D3D-ESPI による触媒コンバータの振動解析
はじめに
1995 年、BMW アルピナ B12 は電気加熱式触媒コンバータ(EHC)を採用した最
初のシリーズとして日本及びヨーロッパのマーケットに紹介された。 [1文献参照]こ
のコンバータの開発において、発生する固有振動の解析にスッペクル干渉計が用いら
れた。
振動解析の問題点
電気加熱式触媒コンバータの振動解析の大きな問題として、その内部構造が挙げら
れる。
(図 1 参照)コンバータの母材は波上の金属板で構成されていて、外側の円筒
上の構造体とは、それぞれ異なるスチフネ
スと振動モードを示す。したがって、それ
ぞれの振動状態を知りえる事は、このコン
ポーネンツの寿命を最適化するために非
常に重要な事柄である。しかし、このコン
ポーネンツの実験解析は非常に困難を極
める。なぜならば、母材が薄い金属板で構
成されているのため接触方式での計測を
拒んでいるからである。光学的なアクセス
による計測も、素材の非常に薄い断面によ
り困難が予想された。その上、複雑な構造
の母材及び外部構造体の面内外の振動を面で計測する事が求められた。そこで、ESPI
(Electronic Speckle Pattern Interferometry)による計測が、この実験解析のため
の最適な手段である事が見出され採用された。
3D3D-ESPI について
3D-ESPI は振動測定の実験にも、よく用いられている。本システムは小型のエレ
クトロオプティカルセンサヘッド、Nd:YAG レーザ(SHG、ファイバーを含む)と堅
牢なコントローラと解析ソフトで構成されている。センサヘッドには高分解能 CCD
カメラと 4 方向からのレーザイルミネーション光学系から成る。この 4 方向からのイ
ルミネーションシステムより面内の 2 軸方向、面外方向の情報を取り込む事が出来る。
これにより変形した被測定物の 3 方向のコンポーネンツを測定する事を可能にした。
(図 2 参照)測定感度は光学系によって異なるが、通常は 0.1μm以下である。ESPI
の測定原理の詳細は[2]の文献を参考にしていただきたい。
1
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振動解析
実験のセットアップにお
いて、コンバータはほとんど
力の受けない状態に設置さ
れ、加振器によって振動させ
られる。
(図 3 参照)供給さ
れる発振周波数は 1000Hz
か ら 6000Hz で あ る 。
Nd:YAG レーザ(SHG)は
音響光学素子によってスト
ロボ上のイルミネーション
に生成される。ストロボ発光
の周波数と位相は加振器の
発振に依存して制御され、像を取り込むためのタイミングは振幅の頂点で行われる。
(図 4 参照)次にイルミネーション発光の位相は 180°シフトされ振幅の下方で行わ
れる。位相の異なる 2 枚の画像を比較する事により振動状態を観察する事が出来る。
この手法により、加振周波数を変化させた時の、被測定物の振動モードが連続的にモ
ニタする事が可能になった。また、発生する振動振幅の調整にも用いられる。
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定量的な解析
観察されているイメージは Windows95/98 の OS 上で、簡単に定量的な解析が可能
である。本システムは 30nm∼100nm の測定感度を有し、この感度は光学系の構成に
依存する。測定結果は様々な方式で表現でき、例えばカラーグラフィックス、3D、
断面表示等。標準的なソフトウェアへの取り込みも可能で簡単に後処理が出来、異な
る計算方式と実験結果の組み合わせも可能にしている。
触媒の表面形状による問題
無機材料開発部原理的にESPIは、被測定物表面からの乱反射された光を使用す
る。前にも述べたように触媒コンバータの内部構造は薄い金属板を用いて特殊な形状
で構成されている。図5に電気
加熱式触媒コンバータの標準的
なデザインを示す。明らかに計
測面の、ほとんどが空間で覆わ
れている事がわかる。このため
計測面から反射して ESPI のカ
メラに戻る光は、ほんのわずか
な量でしかない。そこで、使用
するレーザを高出力タイプに変
更し、カメラの焦点を僅かにぼ
かした。これによって被測定物
から十分なレーザの反射光を得
られ、取り込まれたイメージを高品質で解析する事を可能にした。
3
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振動モードの表示
振動モードはカメラシステムの座標系に記録される。図 6(左)に X 方向(水平)
の測定結果を示す。この図の緑色は振幅の幅が小さい状態を表し、青色と赤色はプラ
スとマイナス方向の最大振幅を示している。同様に、図 6(右)は Y 方向(垂直)の
振動成分を表示している。振幅の状態を示すカラーも左の図と同じである。
EHC のデータ解析
X と Y 方向の組み合わせによる表示は、母材の部分品が固有振動数にて発振し変形
している様を容易に理解させてくれ
る。2D での表示は放射上の曲げモ
ードとしての最大変形が常に二つの
支持点の間で発生している事を示し
ている。
(図 7 参照)ESPI は 400Hz
から 6000Hz の範囲内における全て
の固有振動数が測定可能である。相
対する方向の最大変位を解析するこ
とにより各々の周波数におけるピー
クの値が与えられる。異なる結果を
比較する上でピークの値を適合する
ファクタで正規化する必要がある。
4
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結果
この様な形状を有する EHC の1次の振
動モードは 1500Hz 以下で見出された。こ
の周波数は寿命に対して危険な値であっ
た。そこで、1次の固有振動モードを高い
周波数域に移行するように設計変更がな
された。
(図 8 参照)ESPI では設計変更
による周波数シフト(1次の振動モードを
2000Hz 付近に移行させる)の確認も可能
である。この変更により 2000Hz から
4000Hz の範囲の振幅も約 85%減少した
事が確認されている。
おわりに
Dr.ETTEMEYER 社の ESPI 技術は、EHC の様な複雑な構造体の最適化や調査において高
い能力を提供できる。非接触で難易度の高い被測定物を面として捕らえ、3 次元の情
報を測定するため、短時間で効果的に振動問題の解決方法を見出す事を可能にした。
参考文献
[ 1 ]F.J.Hanel,E.Otto,R.Bruck.T.Nagel,N.Bergau, Practical Experience with the
EHC
System
in
BMW
ALPINA
B12,
1997
SAE
International
Congress ,Detroit,Michigan,Febr.24.-28.1998
[2]R.Jones, and C.Wykes, Holographic and speckle Interferometry, 2nd edition,
Cambridge University Press ,Cambridge 1989
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問い合わせ先
株式会社 レーザー計測
〒167-0051 東京都杉並区荻窪 5-22-1 ネオ荻窪ビル1F
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