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インターネットコードレス電話システムにおけるグローバルローミング

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平成 12年度卒業研究発表会(日本大学工学部情報工学科)
B-7
インターネットコードレス電話システムにおけるグローバルローミング
Global Roaming in Internet Wireless Telephone System
096037 角
将高
[竹中研究室]
イン ター ネ ット/
イン トラ ネ ット
1.はじめに
インターネット発展にともない音声通信をインターネ
ットにより行う Voice over IP(VoIP)が注目されている。
VoIP は音声をパケット化し、インターネットを介して送
信し、パケットを音声に復元することによりインターネ
ットを介した音声通信を実現するものであるが、音声通
信の経済化、音声と Web アプリケーションの組合せによ
るサービスの高度化等の要請により、今後益々発展する
ものと想定される。
本研究は、VoIP と携帯電話における移動性を加味した
インターネットコードレス電話システムについて、その
方式構成、特にグローバルローミング方式について検討
している。従来のローミング方式においては、電話番号
と端末の位置情報を一元的に管理する網サービス制御局
を用いた集中管理方式が用いられている。しかし、この
方式は事業所や地域といった比較的小規模なネットワー
クには設備コスト等の面から適用が難しいという問題が
ある。本研究は、この問題を解決する新たなローミング
方式の確立を目標としている。
2.VoIP の技術動向と課題
2.1 VoIP の技術動向
VoIP の技術仕様は、ITU-T(国際電気通信連合電気通
信標準化部門)や IETF(The Internet Engineering Task
Force)で検討されており、ITU-T では、H.323 として
標準化されている。現在の版数は第4版であり、200
0年11月に制定されている([1])。
ここでは、この技術仕様に従って VoIP の技術概要を紹
介するとともに、現在商品化が行われている VoIP シス
テムの課題を明らかにする。
H.323 で示されている VoIP システムの構成を図1に
示す。この図の H.323 端末は、IP インターフェースを
有す電話機や TV 会議システムなどの端末である。ゲー
トウェイは、既存電話網や ISDN の端末と H.323 端末の
相互接続を実現する。ゲートキーパは、電話番号の IP
アドレスへの変換や H.323 装置間の帯域管理などを行
う。
H .3 2 3
M CU
H .3 2 3
端末
Q oS
保証
LA N
アナログ電話網 など
V .7 0
端末
H .3 2 4
端 末
H .3 2 3
端末
H .3 2 3
ゲ ー トウ ェイ
H .3 2 3
ゲ ー トキ ー パ
TEL
H .3 2 2
端末
N - IS D N
TEL
H .3 2 0
端末
H .3 2 1
端末
図 1 . H .3 2 3 の ス コ ー プ
H.323 における通信の基本手順は RAS(Registration
and Administration Status)手順により端末やゲートウ
ェイとゲートキーパ間でアドレス解決をした後、
H.225.0 にて装置間を接続する。なお、音声通信の基本
接続手順を図2に示す。本手順はファーストコネクトと
呼ばれる手順で H.323 第 2 版勧告に定義されている。な
お、図中右の欄には関連する勧告番号を付記している。
ゲ ー トウ ェ イ
装置
ゲ ー トキ ー パ
ゲ ー トウ ェ イ
装置
TE L/
フ ァ ク シ ミ リ/
PBX
発呼
DT
ダイヤル
AR Q (電 話 番 号 、 接 続 許 可 申 請 )
R AS
AC F (IPア ド レ ス 、接 続 許 可 )
SETUP(呼 設 定 + H.245)
AR Q (電 話 番 号 、 接 続 申 請 )
H.225.0
H.245
AC F(IPア ド レ ス 、接 続 許 可 )
RBT
A LER T(呼 出 し )
呼 出し
C O N N EC T(応 答 )
応答
通話中
D T : ダ イ ヤ ル トー ン
R AS : 登 録 、 運 用 、 状 態 イ ン ター フ ェ ー ス
音声
R B T : リ ン グ バ ッ ク トー ン
図 2. H .323v2 接 続 手 順 (フ ァ ス ト コ ネ ク ト )
2.2
VoIP の課題
VoIP を実際に実現するためには、以下の課題を解決す
る必要がある。
① IP ネットワークにおける QoS 保証
② 電話番号−IP アドレス変換
③ インターネット電話利用における制約の解消
①については、IP ネットワークで音声パケットを転送
する場合、パケットの中継数が増大すると転送遅延が増
大し、音声品質が劣化する。この問題に対しては、中継
ルートの制約を行う、音声を優先転送する等の QoS
(Quality of Service)制御が必要となる。
②については、VoIP では電話番号から IP アドレスへ
の変換が重要となる。GK(Gate Keeper)により電話番
号と IP アドレス変換する。この機能については、現在
固定端末に実現されているが、移動端末に対してはロー
ミング機能を実装する必要がある。
③については、着信課金等の通常の電話サービスを受
けられない、警察/消防への特番接続ができない等の制
約である。これについては、既存網とのインターワーク
の高度化が必要となる。
本研究では、上記課題のうち②のローミングを可能と
するゲートキーパ機能の実現を対象とする。
3.インターネットコードレス電話システム
本研究が、VoIP におけるグローバルローミングの研究
対象とするシステムは図3に示す。インターネットコー
ドレス電話システムである。このシステムは、コードレ
ス電話を LAN に接続し、VoIP 技術で音声通信を可能に
するとともに、コードレス電話の子機を携帯端末のよう
に移動可能とするシステムである。この機能を実現する
ためには、ローミング機能が必要となる。以下、このシ
ステム構成([2])と問題点を説明する。
3.1
B -IS D N
H .3 2 1
端末
TE L/
フ ァ ク シ ミ リ/
PB X
システム構成
このシステムは、NSP、PPX、PT からなり、NSP(網
サービス制御局)は、すべてのネットワークの位置情報
(電話番号と IP アドレス)を管理する。 PPX(接続
制御装置)は各ゾーンに配置され、そのゾーン内の端末
の位置情報を管理する。 PT(端末)は、親機と子機か
らなり、親機は LAN に接続され、PPX と位置情報の交
換および他の親機と VoIP により音声通信を行う。子機
は、利用者と通常の電話機のインターフェースで接続制
御と音声通信を行う。子機と親機は無線インターフェー
スで接続される。
平成 12年度卒業研究発表会 B-7
接続手順の概要を図3に示す。PT は、自分のゾーン
の PPX に電話番号より通信相手の IP アドレスを問い合
わせる。PPX は、ゾーン内の端末か否かを判定し、ゾー
ン外の端末の場合、その端末の IP アドレスを NSP へ問
い合わせる。NSP は位置情報データベースを検索し、
PT に返す。PT はその返答された IP アドレスをもとに
接続を行う。PT が他のゾーンに移動した場合、該 PT は
移動先の PPX に位置登録を行うとともに、該 PPX は
NSP に対してもこの PT の位置情報の更新を依頼する。
このように文献[2]における位置情報検索方式および
ローミング方式は、NSP がすべての情報を管理する集中
管理方式となっている。
4.2 PPX 位置管理方式
ゾーンの新設にともなう、PPX が新設された場合の
PPX 位置情報の収得方式について、2つの方式を述べる。
他 ゾ ー ン へ の 通 信 ・接 続 を 行 う た め に
PPX間 で 通 信 し 、他 ゾ ー ン の 情 報 を得 る 。
W A N or LAN
PPX
PT
PT
図 4.PTの 位 置 情 報 取 得 方 式
PPX
PPX
各 ゾ ー ンの 通 信 を 管 理
通話用の端末
Z one
PT
PT
PT
PT
①
W A N or L A N
PT
PT
通 話 接 続 時 の 相 手 先 ア ドレス問 い 合 わ せ
通 話 接 続 時 の 相 手 先 ア ドレス問 い 合 わ せ の 応 答
端 末 間 で 接 続し 、通 話
Z one
NSP
PT
ゾー ン内の情報・
通信の管理を行う
通話用の端末
PT
す べて の 通信 接 続時 に仲 介を行う
PPX
PPX
PPX
PT
PT
管理センタ方式
図5に示すように PPX のゾーン番号と IP アドレスを
管理するサーバ(管理センタ)を設ける。新設 PPX は
管理センタにゾーン番号の申請を行う。管理センタは新
たに割り付けたゾーン番号と PPX の IP アドレスを他の
PPX に通知する。
通 話 接 続 時 の 相 手 先 ア ドレ ス 問 い 合 わ せ
通 話 接 続 時 の 相 手 先 ア ドレ ス 問 い 合 わ せ の 応 答
端 末 間 で 接 続 し 、通 話
管 理 セ ンタ
PPX
PPX
新 規 参 入 要 請 を
管 理 セ ンタへ 送 信
図 3.イ ン タ ー ネ ットコ ー ドレ ス 電 話 シ ス テ ム
W A N or L A N
3.2インターネットコードレス電話システムの問題点
このインターネットコードレス電話システムは、集中管
理方式のため、通話時の接続手順として、ゾーン間の通
信については、接続相手先の問い合わせが、PT から PPX
を経由し必ず NSP に行われる。ネットワークが大規模
になると、NSP への要求が集中し、レスポンスが低下す
る。このため、NSP は高い処理能力が要求される。また、
小さな地域やオフィス等の小規模なネットワークの場合
は、NSP 構築のためのコストの割合が大きくなる。NSP
故障時にすべての通信が行うことが、できなくなる問題
もある。
4.提案グローバルローミング方式
PPX
PT 位置情報収得方式
PT 位置情報収得方式に関して、本提案方式と前節で
述べた集中管理方式との相違点を述べる。自ゾーン内の
PT 位置情報収得の方法は集中管理方式と同様である。
ゾーン間に渡る通信の場合、本提案方式ではネットワー
ク全体の位置情報を管理する NSP がないため、PPX 間
で位置情報の交換を行う(図4)
。即ち、各ゾーンの PPX
は自ゾーンの PT だけでなく移動 PT の位置情報を管理
する。移動 PT 移動先の PPX が、該 PT の所属するゾー
ンの PPX へ移動先での位置情報を通知する。従って、
移動 PT へ通信する場合、移動 PT が所属する PPX に対
して位置情報を問い合わせることにより IP アドレスを
得ることができる。なお、電話番号から相手 PT の PPX
の位置情報を得る必要があるが、これは PPX 位置情報
データを各 PPX が保持しており、電話番号内のゾーン
番号から求めることができる。
新 規 PPX
PPX 新 規 参 入 要 請
PPX 新 規 参 入 応 答
マ ル チ キ ャ ス トに よ る PPX 位 置 情 報 更 新 通 知
図 5.管 理 セ ン タ方 式
②
マルチキャスト方式
図6に示すようにマルチキャストで隣接する PPX に
PPX 新設通知を送る。既存の PPX は保持している位置
情報(ゾーン番号と IP アドレス)のデータベースを新
設 PPX に送信する。新設 PPX は、このデータから未使
用のゾーン番号を獲得し、受信した位置情報 DB に自分
の位置情報を加え、既存の PPX に通知する。
PPX
PPX
本研究では、NSP を用いた集中管理方式の問題を解決
するため、PPX 間で相互に位置情報を交換する分散管理
方式のローミング方式を検討した。なお、グローバルロ
ーミングとは、ゾーン間にわたるローミングを意味し、
国際間のローミングも原理的に可能である。以下、本ロ
ーミング方式の基本となる PT 位置情報取得方式と PPX
位置情報管理方式について述べる。
4.1
PPX
PPX
シー ケ ンス 手 順
PPX
W A N or L A N
新規 参 入要 請
を 受 信 し た PPX
が返 信
PPX
PPX
新 規 PPX
シーケンス順序
マ ル チ キ ャ ス ト に よ る PPX 新 規 参 入 要 請
PP X 新 規 参 入 応 答 (PP X 位 置 情 報 )
新 規 参 入 者 は 、 受 信 し た PPX 位 置 情 報 に 自 分 の 情 報 を 加 え 更 新 す る
マ ル チ キ ャ ス ト に よ る PPX 位 置 情 報 更 新 通 知
図 6.マ ル チキ ャス ト方 式
5.むすび
インターネットコードレス電話システムを対象にグ
ローバルローミング方式の検討を行った。本システムは
実験システムを現在構築中である。今後は実験システム
において実現上の問題を明らかにするとともに、PPX 故
障時の対応、PPX 新設参入時の登録処理等について具体
化を図る予定である。
参考文献
[1] ITU-T,”ITU-T Recommendation H.323 Version2, Packet
based Multimedia Communications Systems,” 1998
[2] 特許 インターネットコードレス電話システム及び
このためのコードレス電話親機、コードレス電話子機並
びに接続制御装置 、特願平11−109067
[3]特集記事、 4.音声通信と IP 技術 、電子情報通信
学会誌 Vol.83 No.4、P.295-311、2000 年 4 月
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