平成19年度学校経営診断の実施結果

平成19年度学校経営診断の実施結果
平 成 19年 10月
都立学校経営支援委員会
は じ め に
教育が果たすべき役割は極めて重要であり、社会環境の変化に柔軟に対応しながら、絶
えずその在り方を見直し、子どもたち一人一人に適切な教育を提供していくことが求めら
れている。都民に信頼され、それぞれの都立学校が魅力ある学校づくりをすすめていくた
めには、自律的に学校の質的な向上を図るとともに、その内容や成果を都民に説明し、改
善に生かしていくことが重要である。
各都立学校においては、平成13年度から、
「学校運営連絡協議会」を設置し、学校の運
営や教育内容に関して、保護者や地域住民の意見を的確に反映するとともに、学校自らが
家庭や地域社会に対して積極的に発信するなど、開かれた学校づくりを推進してきた。
また、平成15年度から、全都立学校に「学校経営計画」及び「学校経営報告」を導入
し、策定・公表を行っている。これは、学校の自律的改革を促進し、教育サービスの質的
向上を目指すため、マネジメント・サイクルの仕組みを用いたものである。まず、校長が
「目指す学校」を明らかにし、その目標達成のための中期的目標及び具体的方策、及び数
値目標を示す。そして、的確に学校経営を実施するとともに、実際に行った教育活動の成
果を「学校経営報告」で明らかにし、次年度以降の改善につなげていくものである。
さらに、平成16年度から都教育委員会は、
「学校経営診断」を実施し、都立学校の教育
活動を評価・検証するとともに、その結果得られた課題及び問題点を解決するため、個々
の学校に対して適切な支援・指導を行っている。
平成16年度、17年度については、重点支援指定2年目の学校を診断対象として、そ
れぞれ、15校、14校を診断した。また、平成18年4月から、「東京都学校経営支援セ
ンター」が設置されたことを踏まえ、経営診断による支援の強化として、重点支援指定校
以外にも診断対象校を拡大し、平成18年度、19年度とも、それぞれ36校の都立高校
を対象として、診断を実施した。
診断に当たっては、学校経営支援センターが中心となり、学校の教育活動全般について、
事前に学校に診断方針を示してヒアリング・授業参観を行った後、見出した課題やその解
決策等を提示し、意見調整を図るなどの手順を踏み、校長支援につながる診断になるよう
努めてきた。その結果を「平成19年度学校経営診断の実施結果」としてまとめたので、
広く公表する。
今後は、更に実施方法や評価内容の改善を図りながら、精度を向上させることにより、
都立学校の教育活動を支え、学校の組織的な教育力を引き出し、課題の解決や更なる改善
が図れる仕組みとして、学校経営診断を充実させていくものである。
平成19年10月
都立学校経営支援委員会
目
次
はじめに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1
目次・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2
平成19年度学校経営診断の実施結果について・・・・・・・・・・・・・・・
4
外部専門委員の意見・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
6
学校経営診断書
1
江北高校・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
11
2
南葛飾高校・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
15
3
工芸高校・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 19
4
つばさ総合高校・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 23
5
本所高校・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 27
6
小松川高校・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 31
7
科学技術高校・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 35
8
豊多摩高校・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 39
9
園芸高校・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 43
10
練馬高校・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 47
11
小川高校・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 51
12
町田工業高校・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 55
13
松が谷高校・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 59
14
日野高校・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 63
15
東村山高校・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 67
16
農産高校・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 71
17
竹早高校・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 74
18
向丘高校・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 77
19
六郷工科高校・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 80
20
晴海総合高校・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 83
21
三鷹高校・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 86
22
神代高校・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 89
23
雪谷高校・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 92
-2-
24
目黒高校・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 95
25
赤羽商業高校・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 98
26
鷺宮高校・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 101
27
武蔵丘高校・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・104
28
大泉高校・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・107
29
光丘高校・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・110
30
南多摩高校・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・113
31
北多摩高校・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・116
32
武蔵高校・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・119
33
清瀬高校・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・122
34
福生高校・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・125
35
国分寺高校・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・128
36
小平南高校・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・131
資料
1
平成19年度学校経営診断実施要綱・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 134
2
都立学校経営支援委員会委員名簿・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 136
3
都立学校経営支援委員会幹事会名簿・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 137
4
都立学校経営診断部会名簿・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 138
5
最近の都における主な教育改革・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 140
6
都立学校における学校経営診断に関するPDCAサイクル・・・・・・・・ 141
7
本文中に表記のある主な事業名等について(解説) ・・・・・・・・・・・142
学校経営支援センター経営支援顧問の意見 ・・・・・・・・・・・・・・・・・143
-3-
平成19年度学校経営診断の実施結果について
1 診断の目的
東京都教育委員会が、都立学校の教育活動を評価・検証し、その結果得られた課題及び問題点を
基に個々の学校に対し適切な支援・指導を行うことで、魅力的な学校づくりに資する。
2 今年度診断対象校
平成18年4月より、学校経営支援センターの設置に伴って、診断対象校を拡大し、重点支援校
以外の学校に対しても診断を実施している。
《 重点支援指定2年目校 》
(1) 江北高校
(2) 南葛飾高校 (3) 工芸高校
(6) 小松川高校 (7) 科学技術高校 (8) 豊多摩高校
(11)小川高校
(12)町田工業高校 (13)松が谷高校
《 その他の対象校 》
(16)農産高校
(17)竹早高校
(18)向丘高校
(21)三鷹高校
(22)神代高校
(23)雪谷高校
(26)鷺宮高校
(27)武蔵丘高校 (28)大泉高校
(31)北多摩高校 (32)武蔵高校
(33)清瀬高校
(36)小平南高校
(4) つばさ総合高校 (5) 本所高校
(9) 園芸高校
(10)練馬高校
(14)日野高校
(15)東村山高校
(19)六郷工科高校
(24)目黒高校
(29)光丘高校
(34)福生高校
(20)晴海総合高校
(25)赤羽商業高校
(30)南多摩高校
(35)国分寺高校
3 診断方法
各学校から提出された学校経営計画や自己評価に関する書面に基づいて、学校経営支援センター
が中心となって、学校ごとの特色に応じた診断方針を定め、事前に学校に提示を行った上で、ヒア
リング及び授業参観を実施した。
なお、重点支援指定2年目校については、学校経営診断の専門性と客観性を担保するために、外
部有識者を加えて診断を実施した。
4 診断結果の概要
「都立学校の自己評価指針」をもとに、
「学習指導」
、
「進路指導」
、
「生活指導」
、
「特別活動・部活動」
、
「健康づくり」
、
「募集・広報活動」
、
「学校経営・組織体制」などについて診断を行った。
各学校の状況を踏まえ、個々の学校ごとに指導内容、教職員の取組、組織運営の在り方について、
学校経営診断書の中で、取組成果と、今後期待される改善の方策について助言を行っている。
(1) 学習指導
(ア)取組成果
・ 難関大学などへの進学希望者が多い学校では、国公立大学やセンター試験などに対応した教
育課程への見直しを行うとともに、7時間授業の実施などにより授業時数の確保を図っている。
・ 基礎的・基本的な学力の定着が必要な学校では、宿題や小テストの重視による自学自習習慣
の育成に取り組むとともに、朝学習や朝読書によって基礎学力の習得に努めている。
(イ)改善の方策
・ 生徒の更なる学力向上が必要な学校では、校内研修の充実等によって、校内の共通理解を図
るとともに、教科目標の設定を見直すことで、一層の授業力向上を図ることが必要である。
・ 家庭学習時間が十分に確保されていない学校では、教科ごとに目標を設定し、予習復習の進
め方の指導を導入するなど、一層の指導上の工夫を行っていく必要がある。
-4-
(2) 進路指導
(ア)取組成果
・ 進学実績の向上に重点的に取り組む学校においては、実力テストを定期的に実施し、学力デ
ータ等を蓄積するとともに、データの分析に基づいた進路指導に活用している。
・ 専門高校などでは、専門性を生かした資格取得を重視し、補習・補講を充実させ、受検を奨
励することで、生徒の達成感や学習意欲向上に結び付けている。
・ 多くの学校では、大学入試など進学対策の補習・補講や、進学指導に関する校内研修などを
充実させている。
(イ)改善の方策
・ 難関大学などのより高い進学実績が求められる学校では、生徒の意欲を持続させるため、教
員個々や学年単位での努力を一歩進め、全校での進路指導体制を確立する必要がある。
・ 進学対応の学力向上が必要な学校では、生徒の希望進路に合わせた補習・補講を一層、拡充
させる必要がある。
(3) 生活指導
(ア)取組成果
・ 遅刻や頭髪、服装などが課題の学校では、統一した基準を生徒に示すとともに、全教職員で
の校門前の指導や始業時ベル着席など、粘り強く指導し、校内が落ち着きつつある。
(イ)改善の方策
・ 遅刻防止などに取り組んでいる学校では、継続的に指導していく必要がある。
・ 一層の授業環境の向上が必要な学校では、授業規律の確保について、教職員が一体となった
指導を継続していく必要がある。
(4) 特別活動・部活動
(ア)取組成果
・ 多くの学校では、生徒の部活動への参加を奨励し、熱心な部活動の指導に取り組むとともに、
特色ある学校行事や、生徒会活動の活性化によって自主性を育成している。
(イ)改善の方策
・ 部活動や地域連携などの更なる活性化を図っていくことと併せて、学習と部活動の両立につ
いて校内での共通理解を図り、統一した指導を行っていくことが必要である。
(5) 学校経営・組織体制
(ア)取組成果
・ 多くの学校では、委員会などにおいて、十分な議論・検討を踏まえた企画内容が、企画調整
会議に提案され、内容の更なる精査や進行管理が行われるようになってきている。
・ 自律的改革についての教員からの提案を募ったり、分掌内での再検討を指示したりするなど
により、校内の意識啓発を進めている学校が増えている。
(イ)改善の方策
・ 校内の共通理解を深め、広報活動などで一層、連携した取組を展開することが必要である。
5 診断結果の活用について
各学校においては、次年度開始までに、学校経営診断書の評価内容を含めた教育活動に関する成果
と分析結果を取りまとめ、学校の自己評価である「学校経営報告(原案)
」及び、その報告内容に基づ
いた、次年度の「学校経営計画」を策定し、次年度の教育活動における具体的な目標と方策を設定す
る。
診断書で示された課題については、各学校に対して学校経営支援センターが本庁各部と連携しな
がらきめ細かい支援を行い、学校の自律的改革に向け改善を図っていく。
-5-
外部有識者の意見
小松 郁夫 委員(国立教育政策研究所教育政策・評価研究部長)
今年で4回目の学校経営診断活動に関わらせていただきました。その経験を通して、最も強く感じ
たのは、都立学校の経営が年々「進化」しているということでした。学校組織の進化は、都立学校が
組織としての体裁を徐々に整備してきていることによって、明確に認識できました。各学校が目的や
目標を明確にし、そのためのヒト、モノ、カネなどの経営資源を戦略的に配備することができるよう
になってきました。今後は、学校経営計画と学校経営評価がPDCAの学校組織マネジメントのサイ
クルの中に、スパイラルに連続するよう、さらに工夫することが重要ではないかと思います。
第二の感想は、各学校の現状や課題と関連するでしょうが、個々の教員が自校の学校経営計画の中
の授業改善に関して、課題や目標を主体的に受け止め、日々の教育活動で実践できている学校とまだ
そのようになっていない学校があり、教員がいることでした。学校経営診断は、学校組織のマネジメ
ントの改善や革新が主たる目的ですが、教職員自身にとってみれば、日常の授業実践、経営企画・事務
業務などが、組織全体の目的にどのように関連しているかが気になるところです。
「優れた学校」や「効果的な学校」とは、なによりも教育活動、特に授業の質が高い学校です。学
校経営計画を立案するにあたって、教員が「授業で勝負する」ということをもっと真剣に受け止め、
学校全体で校内研修や授業改善に取り組むことが期待されます。部活動などで特色を出すことも一計
ですが、学校は「確かな学力」を定着させることに、より力を注ぐべきではないでしょうか。授業参
観をして、優れた授業が増えてきた、という評価をするまでには至りませんでした。
第三の感想は、管理職のリーダーシップが4年間の間に、着実に高まってきたと感じたことです。
主幹や主任層との面談で、多くの学校で「校長の経営方針の下に・・・」という説明を聞きました。
分掌業務も着実に組織的意思決定がなされていること、組織的協働体制が構築されていることなど、
適正なリーダーシップとミドルアップダウンの経営形態が浸透していることを実感しました。
今後の課題としては、教育委員会が自らの設置する学校を経営診断するという手法について、どの
ような意義と課題があるのかを見極める必要があると思います。特に、学校経営支援センターの日常
業務をこの学校経営診断ではどのように評価すべきかなどを検討して欲しいと思います。
桑田 耕太郎 委員(首都大学東京都市教養学部経営学系教授)
都立高校経営診断に参加したのは2年目であるが、今回は、重点支援の成果が上がっている高校と
まだ十分な成果が出ていない高校の顕著な差をみることができた。高い成果を上げている高校は、校
長・副校長だけでなく各教員が重点支援目標を良く理解し、そこにコミット(関与)していた。また
りょう
重点支援目標そのものが明 瞭 かつ簡素で、目指すべき高校の姿がシンプルに記述されている。これに
対し、あまり成果が上がっていない高校では、例えば前任者が立てた目標で自分はまだ良く理解して
いないと管理者が主張し責任を回避したり、管理職や教員が抱く現状の問題認識や目標認識について、
両者の間でかなり大きなギャップが存在していることがわかった。また、目標は総花的で、個々の教
員によって認識の仕方が異なるものが設定されていたようである。
今回の経営診断で、多くの高校で共通に見られたもう一つの問題は、学校経営に対する満足度など
の調査項目で、学校・教員側の認識と、生徒・保護者の認識が大きく食い違っているものがいくつか
見られた点である。学校・教員側が比較的高いスコアをつけているにもかかわらず、生徒・保護者あ
るいは地域住民のスコアが低い項目がいくつか見られた。特に問題なのは、こうした問題を分析して
その原因を探り、対策を講じていないということである。
これらのことからわかるのは、重点支援を実質的な成果に結びつけていくためには、各高校の管理
者に対し、各高校の目指す理念と一貫性のある目標策定のプロセスについて十分な指導が必要だとい
うことである。まず第1に、目標策定プロセスに、管理職だけでなく、教員や生徒・保護者の代表者、
-6-
さらには地域の代表者を参加させるよう努力する必要がある。こうすることによって、まず管理職と
教員が一致して目標に対する共通理解を持ち、それにコミットするとともに、利害関係者にも広く理
解を求めることができるからである。
第2に、学校管理者に対して、例えば「目標による管理(MBO)
」や「バランススコアカード(BSC)
」
といった体系的な目標策定システムをツールとして指導する必要があるだろう。もちろんこれらは万
能の手法ではないので、それぞれ欠点を持っているが、少なくとも管理者や教員が学校経営の目標を
一貫した体系的なシステムとして認識することを可能にするとともに、具体的な目標とそれを達成す
る手段関係について、議論することを可能にする。こうした議論を通じて、学校管理者だけでなくす
べての教員や、場合によっては生徒・保護者・地域社会の方々などの理解と、コミットメント(関与)
を得ることが可能になるのではないだろうか。
第3に、どのような手段を講じればどのような成果が生まれるのかという知識を、体系的に管理者
に提供する必要がある。学校経営支援センターは、既に多くの事例やデータを蓄積してきているので、
そうしたデータを学校経営の知識として体系化し、学校経営者に提供することが必要であろう。
都立学校に「経営」という考え方を導入することはきわめて重要であるが、その際には、学校経営
するということはどういうことなのか、その際どのような知識や手段が利用可能なのかを十分に提供
しなければ、重点支援プログラムも単なるばらまきに終わってしまう可能性がある。経営をするには、
それにみあったある程度専門の知識が必要なのであろう。
鵜川 正樹 委員(株式会社ナカチ公会計研究所代表取締役)
私は、数年前に学校別財務諸表の作成と活用を支援していたことから、学校のマネジメントの体制
づくりと学校支援センターの設立過程を見てきた。今回、学校経営診断の現場に立ち会って、都の学
校経営改革への強い意思を実感することができた。以下はその全般的なコメントであり、ご参考にな
れば幸いである。
1.校長による目標設定と自己評価による経営改革の推進
学校に経営計画と実績評価というマネジメント・サイクルを導入して、経営改革と教育改革を本格
的に進めている。校長のリーダーシップ、目標の設定と達成に向けた努力、経営支援センターによる
サポート、多面的な業績評価等が、一体となって推進されていることは特筆すべきことである。
2.個々人に対応した目標設定と対応
今回訪問したのは、困難校(その中の重点支援校)と呼ばれる高校であり、経営目標として、中途
退学者の減少、上位進学校をめざした現役合格率の向上、部活動の活発化等を掲げ、目標達成のため
の懸命な指導と努力がなされている。目標はひとつの指標であり、経営上の目標であるが、生徒個人
の人生の選択は多様であり、ひとりひとりの生徒が自分に自信と愛情をもって生きていくことができ
るような、プラス志向の目標設定と柔軟な対応を今後も進めていくことを望むものである。
3.生徒の目的意識を喚起するような授業力の向上
訪問した学校では、生徒の目的意識があいまいで、教員が教科書を解説するような授業だけでは、
生徒の目的意識を喚起することが難しい面もあった。そのような状況で、人間として良いことと悪い
ことを明確に言明し、人格的に生徒と真正面から向き合い、授業を進めている教員がいることに感銘
を覚えた。そのような授業力を体得することの必要性を強く感じた。社会に出てからは、問題に対す
る回答はひとつではなく答えがないこともある。自分で問題の所在を把握して解決の方法を考えるよ
うな授業(教育)がますます求められていると思われる。
-7-
平松 享 委員(安田教育研究所副代表)
都立高校では、多くの学校で似通った悩みを抱えていることが、今回の診断を通して分かりました。
とくに、学力レベルの近い学校同士では、地域は遠く離れていても、それぞれがまったく同じ課題に
取り組んでいることに驚きました。
学力レベルの高い学校では、大学進学のための組織的な体制づくりが多く課題となっています。学
年団による指導から、進路部が主体となった継続的、統一的な進路指導へ、改善の必要性は認識され
つつありますが、具体的な動きの見られない学校も少なくありません。
学力中位の学校では、家庭学習時間の短いことが悩みのひとつです。平日、1時間未満しか勉強し
ない生徒が大部分を占めるような学校が数多くあります。授業前に小テストを実施するなど、さまざ
まな試みは行われていますが、必ずしも良い結果に結びついていません。
学力レベルの低い学校では、基礎学力の不足、低い学習意欲、未熟な規範意識など、課題は山積し
ています。分かりやすく元気の出る授業を行うことや、行事や部活動を通して、地域や学校への帰属
意識を高めることなどが求められていますが、容易な業ではありません。
診断のための学校訪問では、困難な課題に取り組んで、かなりの成果をあげている場面を直接目に
しました。進路学習を学校独自のプロジェクトとして長年にわたり育ててきた事例、徹底した生活指
導とキャリア教育で学校をよみがえらせた事例、インパクトのあるメッセージで新設校としての学校
像を伝え、生徒保護者の信頼を得ている事例など、これまでの都立では考えられなかった工夫と努力
で、みごとに課題を克服しています。これらの学校で出会った先生方からは、現状認識の的確さと改
革への強い意志を感じました。
都立高校には、生徒の発達段階や学力レベルに応じた、学校経営の新しいモデルが必要だと思いま
す。この診断書が、同じ悩みを持つ他校の課題解決へのヒントとなることを期待します。
平沢 茂 委員(文教大学教育学部教授)
高等学校の様子を見て一番大きく感じたことは、授業が生徒の心に響いていないということである。
教科書の解説か、プリントの穴埋めと解説、こういう授業が生徒の心に届くのかということである。
こう書くと、天に向かって唾するようなところもあって心苦しい。相変わらず暗唱主義を絵に描いた
ような大学の入試が立ちはだかっているからである。
しかし、そうでない傾向もどんどん出始めているし、大学全入の時代に入ってもいる。高校の授業
も早急に変わらなければならない。でなければ、早晩、高校は無用の長物になりかねない。いやそれ
は、言い過ぎだと思われるなら、R.P.ドーア『学歴社会―新しい文明病』
(松井弘道・訳/岩波書
店)を読んでみて欲しい。あるいは、1970年代に公刊されたOECDの報告書『リカレント教育』
を読んでみて欲しい。日本の中等教育が急速な崩壊を始める可能性は十分にある。いや、もしかする
ともう始まっているのかも知れない。
それを食い止める道はただ1つ、授業改善である。訪問したどの高校でも授業研究が実施されてい
ない。大学ですら、授業研究の活動が広がっている時代である。部活命で高校に通うというのは、学
校教育の本道とは言えまい。授業に向き合う生徒のモチベーション(動機付け)をどう作るか、その
モチベーションを生かして生徒の心に響く授業をどう工夫するか、多くの高等学校の課題である。
-8-
学校経営診断書
1 江北高校
学校経営診断書 −江北高校―
○
○
○
○
○
所在地
創 立
診断対象
生徒数
主な指定等
足立区西綾瀬4−14−30
昭和13年1月22日(当時:東京府立第十一中学校)
全日制課程(普通科)
877名(男449名〔51.2%〕、女428名〔48.8%〕)
重点支援校(平成18年度指定)
Ⅰ 経営診断結果(総括)
■現状 地域の熱い期待を担い、
「東京東部の上位進学校」を掲げ、文武両道を目指している伝統校です。
「攻めの学習、攻めの進路」のスローガンのもと、生徒の進学希望を実現するため、平成15年度より二
学期制、7時間授業を導入し、授業時数の確保とともに進路指導の充実に取り組んでいます。
■成果 19年度入学生から教育課程を変更し、より一層、進学に対応した教育課程を編成しました。この教
育課程の編成により、英語・国語などの主要教科の時間数を十分に確保し、総合的な学習の時間を利用した
キャリア教育を進める土台をつくりました。
主幹を中心にして土曜日授業の導入を議論する中で、教員の授業改善に取り組む意識が向上してきていま
す。さらに、
「小中高夢のかけ橋推進事業」等では、日程調整など、校内外の難しい調整を図りながら地域
と連携して取り組みました。
■課題と改善の方策 学習指導、進路指導の充実に取り組んでいますが、自宅学習時間や進学実績については、
成果としては目標水準にまで至りませんでした。自己の可能性に向かってチャレンジするという姿勢が弱く、
安易に指定校推薦に流れてしまう生徒もおり、一般受験でより高い目標に向かって挑戦しようとする生徒数
の増加には結びついていません。また、土曜講習を実施する中で、活発な部活動を生かしながら、どのよう
に学習指導と部活動とを両立させるかという課題が浮き彫りになりました。
改善に向けては、より一層、校内での議論を重ねていく中で、学習と部活動とのけじめをつけさせる指導
や、生徒の自主的・自律的な時間管理を促す指導の在り方について、学校全体としての共通理解を図り、教
員一丸となって取り組んでいくことが必要です。
Ⅱ 経営診断結果
診断ポイント① 学習指導 学力の伸長を目指した組織的な取組
○ 教育課程の見直しを行い、各学年に「総合的な学習の時間」を配置し、3年間を見通したキャリア教育の
一層の充実を図りました。また、国語や英語の履修単位数を増やすなど、進学対応の教育課程を編成しまし
た。しかし数学など、まだ検討が必要な教科・科目もあります。
○ 毎日、全学年で始業時間前の10∼15分間程度、主要教科を中心にプリントを使用した朝学習を実施し
ています。また、主要教科を中心に夏季講習として、基礎学力と受験対応の38講座が開講されました。
朝学習は学年単位で行われていますが、学年により指
100%
導の強弱があり、途中で挫折する学年も出るなど、確固
90%
とした指導のあり方が問われています。
80%
○ 生徒は、真面目、素直で明るいという評価はあります
70%
60%
が、家庭学習の時間が少ないことが課題です。学習時間
3時間以上
50%
が1時間未満の生徒は全体で60%以上に達しています
2∼3時間
40%
1∼2時間
(図1)
。主要教科を中心に宿題を課すように取り組みま
30%
1時間未満
したが、
英語・数学のみの実施に終わってしまいました。
20%
○ 学力向上委員会を設置し、生徒の進路意識に関する調
10%
0%
査・分析及び土曜授業の検討などを行いました。土曜授
(調査時期)
18当初 19当初
18当初 19当初
〈対象)
業については、部活動との両立などの観点から、教員の
(1年) (2年)
(全体) (全体)
(図1) 生徒の自宅学習時間
共通理解を図ることが難しく、従来から行っていた土曜
- 11 -
1 江北高校
講習を継続して実施することになりました。
○ 生徒による授業評価を受けた校内研修をはじめ、授業力向上に関する研修は、組織的には実施されていま
せん。教員の授業力向上に向けた取組姿勢を喚起するため、校内研修を充実させていくことが必要です。
○ 予備校の講義映像を活用した「オンデマンド講習」は、19年度からの導入となりましたが、生徒の受講
用としてはもちろんのこと、教員の指導力向上のためにも活用するなどの工夫を行っていくことが必要です。
診断ポイント② 生活指導 自主・自律の生活態度育成のための組織的な取組
○ 生徒は比較的落ち着いており、学校運営連絡協議会の報告では、
「挨拶ができる」
、
「部活動による朝の清掃
活動を行っている」など、保護者や地域から一定の評価を受けています。しかし、一部の地域住民からの声
としては、自転車のマナーの改善や冬季の身だしなみの悪さなどの指摘が寄せられました。
○ チャイム着席、授業中の携帯電話使用禁止等の指導、頭髪指導、遅刻指導等については、学年が中心とな
り生活指導部と連携しながら行われており、成果が定着してきています。ただし、これらの指導が学年と生
活指導部に任せっきりになっているという傾向があります。
○ 生徒のアルバイトは原則禁止、やむを得ない場合に届出制として指導していますが、実際には徹底が図ら
れていません。学校運営連絡協議会の報告では「アルバイトが生徒の生活に大きな影響を与えている」と指
摘されていますが、学校としてその実態調査・把握を行っていないという課題があります。この点について
は早急な実態把握と対応策の検討が必要です。
○ 生徒による自主的な部活動の時間管理は、課題となっています。例えば、朝練習の時間管理がルーズで授
業に遅刻する生徒もおり、けじめをつける態度を育成するため、校内で議論を深め、教員が一貫した指導を
行っていくことが必要です。
○ 足立地区学校保健連絡会の取りまとめ役として、都立学校、保健所、校医、PTA等で構成される連絡会
を行っています。この連絡会を生かして、喫煙防止の標語を生徒から募集し、足立区主催の健康フェスタに
応募するなど、学校としての健康づくりにも取り組んでいます。
診断ポイント③ 進路指導 組織的・計画的な進路指導に向けた取組
○ 「総合的な学習の時間」を各学年1単位設定し、進路
(%)
60
指導部が中心になって3年間を見通したキャリア教育
四年制大
50
学
を進める土台をつくりました。
短期大学
40
また、模擬試験結果の公表会(1、2年で各2回)を
専門学校
30
定点観測的に実施し、業者等の入試分析会などへの参加、
就職
近隣他県の進学校への派遣及び報告会を実施しています。 20
さらに、新たに保護者配布用進路シラバスを作成し、
10
その他
18年度入学生から配布しました。生徒の個人別進路デ
0
15年度 16年度 17年度 18年度
ータの共有化を図るため、新たに共通の入力様式を完成
(図2) 進路実績の変化
させ、よりきめ細かな進路指導を目指して活用を始めて
います。
(人)
35
○ 大学への進学実績は徐々に増えつつあります(図2)
。しかし、
30
目標とする進学実績の中身については成果を上げることができませ
25
国公立大学
20
んでした。センター試験の受験者200名、国公立大学合格者6名
15
以上、四年制大学・短期大学現役進学率52%以上、明治大学・青
明治大・青山
10
学院大レベル
山学院大学レベルの私立大学合格者数35名以上が当初の目標でし
の私立大学
5
0
たが、結果はそれぞれ160名、1名、57.6%、17名であり、
16年度 17年度 18年度
目標値には届きませんでした。
(図3) 進学実績の変化
原因としては、生徒や保護者の進学に対する意識として、一般入
試で高い目標の大学に挑戦することを避け、力のある生徒までが安易に指定校推薦などに流れてしまってい
ることがあります。また、教員の側の進路指導に対する考え方や指導方法にばらつきがあり、部活動さえし
っかりしていればよしとする教員や進学指導の仕方がわからない教員が少なからずいるということが挙げ
られます。
- 12 -
1 江北高校
○ 1年生から組織的な進路指導を進め、適切な進路目標を立てさせ、それに向かって計画的に学習する習慣
をつけさせていくこと、教員側でも指導方法や指導内容及び指導時期等に関する研修を積み重ね、共通理解
を図った上で自信を持って進路指導を進めていく必要があります。また、
「メイクドラマ江北プラン」と名
づけた進路指導体系を更に工夫するとともに、その到達目標を明確に示して一層の教職員全体への浸透を図
ることが重要です。
診断ポイント④ 特別活動・部活動 文武両道を目指した活動の工夫
○ 部活動加入率は、当初目標には及ばなかったものの84%と高水準を維持しています。特に、軟式野球部
は夏季大会3位、秋季大会2位で関東大会出場、ラグビー部は他校との混成チームだが関東大会出場、サッ
カー部は都大会ベスト32に入るなど活躍しています。また、演劇部、和太鼓部、吹奏楽部などの活動も盛
んです。
○ 部活動や体育祭、文化祭等の学校行事と学習を両立させるため、二学期制の課題であった行事と前期末考
査の設定時期の関係を見直し、19年度に向けて文化祭を9月初旬に配置することによって前期末考査まで
の学習期間を十分に確保できるよう改善を行いました。しかし、年2回実施の球技大会など思い切った精選
ができなかった行事も残っており、今後の課題となっています。
○ 最大の課題は、部活動における生徒の自主的、自律的な時間管理です。7時半前後からの朝練習において
は、今まで以上に短時間集中型のメニューを準備するなど、両立を前提とした指導を徹底する必要がありま
す。そのためには、部活動に対して顧問間の温度差なく実践できるよう、共通理解を深めることが重要です。
診断ポイント⑤ 広報・募集活動 積極的に取り組む広報活動
(倍)
2
○ 都立高校合同説明会の他、足立区内、旧5地区、旧5・6地区
1.8
の一部で行われた学校説明会に参加し、目標数を上回る1017
1.6
名の参加者を得て、教育活動の特色などを説明しました。また、
1.4
2月には受験者相談会も開催しました。
1.2
○ 18年度から初めて中学校訪問を実施しました。募集対策委員
1
会が中心となって計画し、近隣中学校30校程度を訪問しました。
16年度
17年度
18年度
江北高校にとっては画期的なことです。
(図4) 一次入試倍率の変化
○ 一次入試倍率は、
前年度をやや上回る数値を確保しましたが
(図
4)
、都立高校全体が数年ほど前から学校組織を挙げて中学校訪問に取り組んでいる中では、相当遅れてス
タート台に立ったというところです。今後は、委員会レベルの対応から、情報の収集や発信の仕方を工夫し
て、教員全体での協力を得ながら広報活動を充実させていく必要があります。
診断ポイント⑥ 学校経営・組織体制 企画調整会議を中心とした組織体制づくり
○ 企画調整会議では、情報の共有化とともに改革推進のための実質的な議論が行われています。たとえば、
主幹・主任等によって構成されていた学力向上委員会には、新たに教科代表も加えることを決定するなど、
改革への体制づくりを進めるとともに学力伸長を目指した勉強合宿の実施等の検討が行われ始めました。
○ 主幹、主任はベテラン教員が多く、調整機能を発揮しながら分掌等の取りまとめや進行管理を遂行してい
ます。しかし、学校改革を加速度的に行うためには、主幹・主任が、一層のリーダーシップを発揮し、校長
の指示・方針を深く理解した上で各分掌等での指導などを行うとともに、教員の建設的な意見を受け止めな
がら分掌として取りまとめていくことが必要です。また、企画調整会議として位置づけられた時間割の範囲
内では時間が不足し、深まった議論が成り立ちにくいため、新たな対応策を検討しているところです。
○ 経営企画室では、校長の学校経営計画実現のため、校内環境の整備等を通した積極的な改善提案などを進
めており、今後も経営企画室からの改革が期待できます。
診断ポイント⑦ その他 地域に開かれた学校づくり
○ 17年度から実施している「小中高夢のかけ橋推進事業」として、家庭科の授業の一環として、保育園で
行う保育実習や、サッカークリニックと称して10月から12月にかけて、土曜日に中学生を招いて生徒が
指導するサッカー教室などを行っています。また、卓球やバスケットなどで中学校との連携を行ったり、地
域での奉仕活動の取組として、夏季休業中に近隣中学校でのプール指導の補助を行ったりしています。近隣
- 13 -
1 江北高校
中学校から、
「学習ボランティアをぜひお願いしたい」という要望も寄せられるようになっています。
○ 地域の保育園や中学校等との日程を初めとした調整、校内での調整などには、難しい面もありますが、工
夫をして実施しています。部活動の連携では、中学生に対するより一層効果的な広報活動を展開するため、
部員も一緒になって出身校訪問をするなど、PR活動に努めているところです。
○ サッカークリニックでは、土曜日の練習後の夕方に時間を設定せざるを得ないため、活動時間の制約があ
ると同時に部活動顧問の負担が大きくなっていることも課題となっています。
Ⅲ 自律的改革の内容(概要)
■重点支援校指定の概要 (18∼20年度の取組内容)
< 攻めの学習、攻めの進路>
○ 進学に対応した教育課程の編成
○ 習熟の程度に応じた授業・少人数授業の展開、校内実力診断テストの実施(年2回)
○ サテライト合同講習“つどい”の拡充、同窓会と連携した長期休業中の補習及び土曜講習の充実と改善
○ 「メイクドラマ江北プラン」に基づいた進路指導の充実、保護者用シラバスの作成
○ 地域の奉仕活動に参加する生徒の拡大(生徒会・部活動単位から一般生徒への拡大)
■主な目標(20年度末まで)
○ 進学に対応した教育課程の実施(19年度入学生より)
○ 進学対応の7時間目における習熟の程度に応じた授業の展開
○ 国公立現役進学者2ケタ以上 更に進学実績を高める計画の策定
○ 受験倍率1.3倍以上の維持
○ 学校創立70周年での進学実績でのアピール
■18年度の目標とその成果(概要)
<重点目標(抜粋)>
<達成状況(18年度末)>
60%以上
① 家庭学習1時
間未満の生徒
各学年40%以下
(主要教科等で宿題及び予習の徹底)
② 大学センター
試験の参加者数
160名
200名
(保護者用進路シラバスの作成、個人別進路 (1学年用の保護者用進路シラバス配布。個人
データの共有化によるきめ細かな進路指導) 別進路データ共通入力様式の作成・活用)
③ 現役進学率
52%以上、国公立大学6名以上、明治大
学・青山学院大学レベルの私立大学35名以
上(放課後補習、土曜講習、休業中の講習や
オンデマンド講習など学習環境の整備)
90%以上
全国大会・都大会へ出場する部活動5部以上
④ 部活動加入率
⑤ 一次学力検査
の最終倍率
1.3倍以上。
合同説明会の参加者数1000名以上。
57.6%、国公立大学は1名、明治大学・青
山学院大学などの私立大学へは17名。
(土曜講習3講座、休業中の講習38講座開
講、オンデマンド講習は19年度から稼動)
84% 軟式野球部は夏季大会都3位、秋季大
会準優勝し関東大会出場。演劇部は都代表。東
京マラソンにはアトラクション等へ6部11
9名の参加
1.36倍。合同説明会の参加者1017名。
募集対策委員会が中心の中学校訪問の実施。
Ⅳ 学校経営診断を受けての校長意見
―
生徒の教科学習面における現状と課題を明確に整理することができ、教職員の共通理解も深まった。今後に向
けて教職員の意識を一層高め有効な具体策を遂行して行く力を得た。
今後は、生徒の学力向上を図り、より高い進学実績を実現させる。また、教科指導の成果を高めより高い進学
実績を実現させる。生徒のモチベーションを3年間維持、向上させるよう取り組み、学習習慣の定着、自主自律
的学習時間の増加、教科ごとの学力水準判定尺度の開発、教科の組織的指導体制の確立、授業力向上研修の徹底
等を目指す。
(江北高等学校長 磯部 直樹)
- 14 -
2 南葛飾高校
学校経営診断書 −南葛飾高校―
○
○
○
○
○
所在地
創 立
診断対象
生徒数
主な指定等
葛飾区立石6−4−1
昭和15年1月12日(当時:東京府立第十六高等女学校)
全日制課程(普通科)
615名(男290名〔47.2%〕、女325名〔52.8%〕)
重点支援校(平成18年度指定)
Ⅰ 経営診断結果(総括)
■現状 授業規律の確保など規範意識の確立を目指し、遅刻防止や身だしなみの指導に取り組むとともに、楽
しく分かりやすい授業、キャリア教育の充実などを目標に掲げ、改善を図っています。
■成果 企画調整会議を中心とした組織の確立など、学校経営の適正化を進めています。また、生徒による授
業評価や校内研修を通じ、教員の学校経営参画意識が向上し、頭髪指導をはじめ、全校を挙げての生活指導
を充実させており、落ち着いた学校生活が定着し始めています。また、キャリア教育では「キャリアブック
レット」を作成し、新たに計画・実施した1年生の移動教室の中で活用するなど新しい試みがなされていま
す。
■課題と改善の方策 生活習慣や授業規律の確立、キャリア教育の充実など、始まったばかりの取組を継続し
発展させていくことが今後の課題です。また、生徒の状況に即した授業力向上についても取り組んでいく必
要があります。生徒、教員の両方に、良くなった、できるようになったという成就感・達成感をもたせなが
ら改善を進めていくことが望まれます。
100
人
80
Ⅱ 経営診断結果
3年
2年
1年
60
40
診断ポイント① 学習指導
20
生徒の学力の実情に応じた授業改善に向けた工夫
0
○ 平成15年度には90名以上の中途退学者があり、中途退
学者の減少が学校にとって大きな課題でした。16年度には
大きく減少させましたが、その後は横ばいの状態で、18年度は前年
よりやや増える結果になりました(図1)
。中途退学者も含めて進級で
きなかった理由としては、学業不振と学校生活・学業不適応が約8割
を占めており、中途退学防止のためには、学習指導の充実が大きな鍵
であるといえます(図2)
。
15年度
○ 学校経営の適正化を進める中で、授業観察の実施、年間指導計画・
週案の作成、学校運営連絡協議会の学校評価や生徒による授業評価の
実施などに、
教員が協力的に取り組むことができるようになりました。
特に校内研修会には、多くの教員が参加し、現状や課
18年度
経済的
理由, 3
進路変
更
16%
学業不
振
45%
学校生
活・学業
不適応
34%
(図2)進級できなかった理由
(18年度)
肯
定
的
回
答
の
割
合
楽しい:生徒
楽しい:教員
ていねい:生徒
ていねい:教員
90
80
70
60
50
アンケートでの回答
40
○肯定的回答
強くそう思う・比較的
そう思う
○否定的回答
全くそう思わない・
比較的そう思わない
30
% 20
︶
- 15 -
17年度
100
︵
題、その解決策について協議しました。
○ 18年度の学校運営連絡協議会の学校評価では、
「授
業を理解できている」という設問に対する肯定的な回
答が、
生徒62%、
保護者52%であったことに対し、
教員は19%でした。また特に、
「生徒は授業を楽しい
と感じている」という設問に対する肯定的な回答は、
生徒54%であったのに対して教員27%、
「授業はて
いねいに行われている」という設問に対する肯定的な
回答は、生徒64%であったのに対して、教員93%
でした(図3)
。生徒に学ぶ楽しさを味わわせることが
16年度
(図1) 中途退学者数の推移
10
0
16年度
17年度
18年度
(図3)「生徒は授業を楽しいと感じている」「授業はていねい
に行われている」という設問に対する回答の経年変化
2 南葛飾高校
できていないと悩みながら、少しでも高校の勉強を理解させようと、分かりやすい授業を行う努力をしてい
る教員の姿が浮かび上がってきます。
○ 徐々にではありますが、16年度からの3年間で「授業は楽しい」と回答した生徒が増えてきており、1
8年度は半数以上が肯定的な回答をしています。中には、生徒の興味・関心をよくつかんで、扱う教材を吟
味・工夫している教員や、実験・実習など体験的な学習を効果的に取り入れて授業を行っている教員もいま
す。こうした取組を積み重ね、
「楽しく分かりやすい授業」を実現させていくことが求められます。
診断ポイント② 進路指導 キャリア教育を取り入れた進路指導の充実
○ 3年間の進路指導計画を作成し、1年生からのキャリア教育の流れを作ることに取り組んでいます。18
年度は、進路啓発の一環として高校生活のルールと意味を考えさせるため、1年生用の「キャリアブックレ
ット」を作成しました。また、
「進路の手引き」も生徒の実情に合うように内容の改訂に取り組み始めました。
また1学期末には1年生全員を対象に、1泊の移動教室を実施しました。ここでは「キャリアブックレッ
ト」や「進路の手引き」などを活用しながら、外部講師や教員による講話等の指導を行いました。18年度
の1年生の進路希望調査では「未定」が年度始めに30%であったものが年度末の調査では10%に減少す
るなど、生徒の意識に変容が見られており、1年生の早い時期から、高校生活や将来のことを自分のことと
して考えさせた進路指導の成果といえます。さらに19年度には生徒が入学して間もない5月にこの移動教
室を実施するとともに「キャリアブックレット」は順次、2年生用、3年生用を作成する予定であり、今後
の一層の成果が期待できます。
○ 2・3年生の総合的な学習の時間では1学級2展開の少人数で、求人票の見方の紹介や調べ学習、上級学
校訪問、職場見学などを行っています。この他、生徒の進路啓発のためにインターンシップ、介護体験、保
育体験、ボランティア活動など、学校外の体験的学習を取り入れました。
○ 2年生では17年度に引き続き、希望制による「進学クラス」を1クラス設定して、進学希望者にはその
実現を図るクラス編成を行っています。2年生の進路希望
45%
は、年度末までに、四年制大学・短期大学進学希望者が増
40%
四年制
大学・
加し、20.8%に、進路希望未定の生徒が減少し、11.
35%
短期大
4%となりました。
学
30%
専門学
○ 外部機関と提携し、進路講習を継続的に18回実施しま
校等
25%
した。これまで、公務員試験については最初から諦めて全
く受験者がいませんでしたが、
初めて1名が挑戦しました。 20%
就職
15%
18年度の進路実績では四年制大学進学者が16.6%と
なり有名私立大学に3名合格するなど、四年制大学・短期
10%
その他
大学への進学率が徐々に伸びてきています(図4)
。
5%
また進学が伸びている反面、18年度の3年生の進路決
0%
15年度
16年度
17年度
18年度
定率は、約70%と、目標より10%低くなりました。し
(図4) 進路状況の推移
かし、18年度の1、2年生は、進路指導部を中心とした
計画的な指導を受けており、今後の成果が期待されるとこ
ろです。
診断ポイント③ 生活指導 授業規律など規範意識の確立に向けた取組
○ 規範意識の育成を大きな課題として、昼の正門指導や校内巡回指導、朝夕の正門指導などを行っています。
また、服装等、身だしなみの指導を重視し、特に、重点項目である頭髪指導では、統一した基準を生徒に分
かり易く示した上で、違反した生徒は生活指導部で指導されるだけでなく、多くの教員からも繰り返し注意
を受けるよう、全校体制で指導を実施しています。その結果、生徒の頭髪の状況は以前に比べて落ち着いて
きたものとなっています。特に18年度の1年生は、学年の指導が徹底し、指導に従う雰囲気が出てきまし
た。
○ 学校運営連絡協議会の学校評価では、生徒や保護者の60%が、
「生活指導により基本的生活習慣が身につ
いている」と答えていますが、教員は10%にとどまっており、多くの教員が自校の生活指導にまだ自信を
もてていない状況がうかがわれる結果となりました。今後は、学校全体ですべての教員が同じように指導を
行うとともに、違反した生徒を指導するだけでなく、頑張っている生徒を積極的に褒めることで、生徒、教
員の両方に「自分たちはきちんとできる」という成就感・達成感を感じさせ、さらに前向きに取り組んでい
- 16 -
2 南葛飾高校
けるようにしていくことが必要です。また、達成できたことを定着させる一方、スモールステップで、全教
員が協力して取り組む目標を1つずつ増やしていくことが求められます。
○ 授業規律の確立に向けて、授業の始めに生徒を教室に入れるための教員による巡回の強化や、学校運営連
絡協議会協議委員やPTA役員などによる授業参観や校内巡回などを行ってきました。また、19年度には
「授業規律チェックシート」を作成し、授業規律の守れない生徒の状況をシートに記入し、教科担任から学
級担任を経て生活指導部へと連絡する体制を構築し、担任や生活指導部が、生徒の状況を把握できるように
しました。今後は、チェック項目を一層、精選するなどの工夫により、全教員が同じ姿勢で取り組めるよう
にしていく必要があります。
○ 遅刻指導については、遅刻回数によって学年指導、生活指導部指導、校長説諭と段階的な指導体制を取り
入れましたが、別の観点から遅刻防止を図るため、19年度は、朝のホームルーム時間でのドリル学習の導
入を検討しています。
○ 喫煙防止について、健康への影響等を保健や家庭科などの授業で取り上げるとともに、PTAの協力を得
た校内外の巡回指導を行いました。また、教育相談活動では、スクールカウンセラーや東京都教育相談セン
ターと連携し、生徒471回、保護者15回、教員45回の相談をするとともに、教員対象に年間5回の事
例研究・指導法研究を行い、生徒理解の促進にも取り組みました。この結果、2名の生徒が学校に復帰する
ことができたり、保護者の悩みへの対応が生徒に良い影響をもたらしたりした事例があったなどの成果があ
りました。
このように心と体の両面から健康づくりに取り組むことを通じて、生徒の落ち着いた学校生活を保障する
とともに、規範意識の育成への手がかりとしていくことも、今後一層、期待されます。
診断ポイント④ 特別活動・部活動 帰属意識を高める特別活動・部活動
○ 文化祭、体育祭などの学校行事については、実行委員会が中心となって活動させることを通じて、生徒の
自主性の育成に取り組みました。特に応援団や装飾作りは、生徒が達成感を味わうことのできる良い機会と
なりました。学校運営連絡協議会の学校評価では、保護者の72%、生徒の73%、教員の87%が、
「体育
祭や文化祭を楽しむことができた」と回答しています。
○ 部活動については、サッカー、野球、バスケットボール、テニスなどの運動部が活発に活動を行っており、
そう
柔道部も部員が増えてきました。また、筝曲部で外部指導者による技術指導を年間で30回実施するなど、
日本の伝統文化に関する部活動にも力を入れました。生徒の学校への帰属意識を高め、学習面や生活指導面
においても頑張る意欲や姿勢を育てるため、今後とも、部活動の一層の活性化が期待されます。
診断ポイント⑤ 学校経営・組織体制 企画調整会議の充実による組織体制づくり
○ 学校経営の適正化については、特に委員会の設置等にかかわる規定や会議録を整備するとともに、管理運
営規程を踏まえた、企画調整会議を中心とした学校運営を推進してきました。また、学校運営連絡協議会の
協議委員が職員会議に出席するなどして、開かれた学校経営に努めてきました。
これらの取組の結果、校長の方針の下、企画調整会議を中心として全校を挙げて組織的に学校改革に取り
組むための基盤ができつつあります。今後は教員個々の熱意を学校全体のものとして発展させ、分掌や学年
が協力しながら、生徒の生活習慣や学習状況を一つ一つ地道に改善していくことにより、生徒、教員の両方
が、成就感、達成感をもてる学校にしていくことが必要です。
また、中途退学防止に向けての取組の一環として、経営企画室が教員にだけでなく保護者・生徒に対して
も直接、奨学金制度や授業料等にかかわる情報を積極的に提供するなど、今まで以上に、学校が一体となっ
て組織的に中途退学防止に取り組む姿勢が明確になってきています。
診断ポイント⑥ その他 奉仕や授業公開を通した地域連携
○ 教科「奉仕」については、19年度実施に向けて奉仕活動推進委員会を設置し具体的な地域連携の準備を
進めてきました。例えば高校生による梅田小学校への野球部の部活動指導に10名、立石中学校での剣道指
導に10名が参加するとともに、かつしかボランティアセンターと連携した障害者親子水泳教室を4回、地
元町会の運動会の支援を1回実施しました。また、2年生を中心として、
「小中高夢のかけ橋推進事業」など
で学校外での奉仕体験活動を行い、50名以上が参加しました。
また、総合的な学習の時間などでの職場見学、介護等の奉仕体験、家庭科での保育実習、
「奉仕」等の中で
インターンシップ、ジョブシャドウ(仕事をしている人と行動を共にすることで学ぶ職業教育)などの実施
- 17 -
2 南葛飾高校
について検討しています。
○ 授業公開については、中学校の生徒・保護者の来校者数を1回につき100名以上を目標とし、18年度
は2回実施し、197名の参加を得ました。
今後、生徒募集対策とも結びつけて、地域との連携を図った教育活動や授業公開等を充実していくことが
期待されます。
Ⅲ 自律的改革の内容(概要)
■重点支援校指定の概要 (18∼20年度の取組内容)
< 南葛フェニックス ― キャリア教育を推進し、学力向上・進路実現を保障する ― >
○ 入学した生徒全員が、南葛飾を母校として卒業できる学校
○ キャリア教育を推進し、全生徒の学力向上を保障し、進路を保障する学校
○ 国公立大学進学も公務員就職もできる中堅進学校
○ 自他を愛し、地域を愛し、社会貢献のできる学校
○ きめ細かな指導と開かれた学校づくりを通じて、規範意識の育つ学校
■主な目標(20年度末まで)
○ 中途退学者の減少を図る。
○ 単位の履修・修得状況の改善及び原級留置者の減少
○ 生徒指導の充実、授業規律の確保
○ 進路未決定者の減少
○ 進路希望の実現(国公立大学、公務員を含む)
■18年度の目標とその成果(概要)
<重点目標(抜粋)>
生徒・保護者による授業評価実施
校内研修2回
保護者等と連携し、生徒の授業規
律の確保を徹底
外部機関と連携し、補習・補講を
組織的・継続的に実施
1年生の進級率90%以上
3年間の進路指導計画の作成
組織的な進路指導
<達成状況(18年度末)>
① 授業の工夫・改善
実施(校内研修の出席率が向上するなど教員の姿勢が
向上)
② 授業規律の確保
学校運営連絡協議会協議委員の授業参観やPTA役
員による校内巡回を実施
③ 組織的な補習・補講
公務員試験に挑戦する生徒が出た。
四年制大学進学者16.6%(2年前より3.4%増)
④ 中途退学者の減少
71%(1年生29名が中途退学)
⑤ 進路指導の充実
進路指導計画を作成
1年生で意識向上のための移動教室を実施
新たに作成したキャリアブックレットを活用
⑥ 教育相談の充実
スクールカウンセラーや教育相 年間5回の事例・指導法研究を実施
談センターと連携して実施
年間相談件数500名以上(生徒、保護者、教員)
⑦ 授業公開による学校 中学校の生徒・保護者の来校者 197名(2回実施)
PR
数100名以上(1回につき)
Ⅳ 学校経営診断を受けての校長意見
重点支援校の指定を受けたことにより、目指す学校像が明確になり、学校経営の適正化を図りながら、全校を挙
げての生活指導を充実させることができた。また、キャリア教育を推進する点では、生徒用の冊子を新たに作成し
たり、新規の学校行事を活用するなどして、生徒の学校生活を有意義なものとし、生き方・あり方の指導にも取り
組めたこともあり、成果を上げることができたと思う。
今後は、本校が目指す学校像に対して、一層地域の方々や各中学校の理解と協力を得ながら、本校生徒の生活習
慣や授業規律の確立をし、また、生徒の学力向上、キャリア教育の充実などを図り、生徒、教員、地域の方々、そ
れぞれが、
「南葛は、確かに良くなった」と実感できるよう、さらなる改善を進めたい。
(南葛飾高等学校長 大平 一男)
- 18 -
3 工芸高校
学校経営診断書 −工芸高校―
○ 所在地
○ 創 立
○ 診断対象
文京区本郷1−3−9
明治39年7月24日(当時:東京府立工芸学校)
全日制課程(工業科:マシンクラフト科、インテリア科、デザイン科、
グラフィックアーツ科、アートクラフト科)
○ 生徒数
527名(男115名〔21.8%〕、女412名〔78.2%〕)
○ 主な指定等 重点支援校(平成18年度指定)
Ⅰ 経営診断結果(総括)
■現状 工芸・デザイン教育専門の工業高校として、平成19年度で100周年を迎える伝統校です。社会の
即戦力として活躍できる人材の育成や、大学等への進学にも対応できる確かな学力を身に付けさせることを
目指して、学校改革に取り組んでいます。
■成果 17年度より「5つの満足度の向上」を掲げて、授業、進路指導、生活指導、特別活動、学校生活の
5つの領域で教育活動の充実を図っており、授業、進路指導は生徒の満足度が向上しています(図1)
。
また、
「工芸高校夢コンペ」を開催し、延べ494名の中学生からの参加を得るなど、工芸教育の特色と伝
統を生かした広報活動を展開しています。
「将来構想プロジェクト委員会」等を中心として、組織的な募集・
広報活動が行われています。
■課題と改善の方策 進路指導に対する満足度は向上
90
していますが、生徒の第一希望を実現するためには、
80
実効性のある教育活動の充実が必要です。
70
%
い
今後は、工業科の各学科の特性や教育内容を活かし
60
ながら、生徒一人一人の希望進路を実現するために、
50
進路指導部を中心として、学校全体での進路指導体制
40
を再検討していく必要があります。キャリア教育の視
30
16年度
17年度
18年度
授業
点を踏まえての教科指導を行うとともに、保護者にも
進路指導 生活指導 特別活動 学校生活
(図1) 「5つの満足度」の推移
積極的に情報提供して保護者の理解と協力を得てい
く工夫が必要です。
Ⅱ 経営診断結果
診断ポイント① 学習指導
生徒一人一人の個性を伸ばし、学力の向上を目指す学習指導
い
○ 生徒は、専門教科の授業等で得た知識・技能を作品制作に活かしての、各種コンテストへの応募に積極的
です。18年度は、高校生ものづくりコンテスト(木材各部門)全国大会出場、デザイン甲子園最優秀学校
賞及び文部科学大臣賞、手工芸美術展日本手工芸文化協会
委員長賞などの成果を上げています(図2)
。コンテストへ
の応募によって、生徒の創作意欲が喚起され、作品制作の
技術の向上に結びついています。
こた
○ 大学進学を希望する生徒のニーズに応えるため、校内研
修を実施するとともに19年度からの教育課程を検討し、
3年間で履修可能な英語の単位数を14単位から18単位
まで拡大しています。また、長期休業日中の補習等につい
ても、17年度の51講座から18年度は78講座に増や
しました。
- 19 -
(図2) 「全国高等学校インテリアデザイン展
(デザイン甲子園)
」文部科学大臣賞受賞
3 工芸高校
○ 授業への満足度は向上していますが、普通教科、専門教科と分けてみると、専門教科への満足度が83%
あるのに対し、普通教科は58%となっています。また、学校評価で、
「進路希望(就職・進学)を踏まえた
授業が行われている」と回答した割合は、教職員では75%、生徒は20%、保護者は14%となっており、
かい
乖離が見られます。今後は、普通教科の授業については、学科の枠を越えて、習熟の程度に応じた授業や希
望進路に対応したクラスを編成し授業を行うなど、これまでと角度を変えた対策を講じ、生徒一人一人のニ
ーズに対応していく工夫が必要です。
診断ポイント② 生活指導
集団における規範意識を高め、社会性を育成する生活指導
○ 全校集会やホームルーム活動を通しての集団における規範意識の育成、セーフティ教室や交通安全教室を
通してのルール・マナーの習得、日常の授業や生活を通してのあいさつ、遅刻及び身だしなみの指導などが
行われています。来校者が多い学校ですが、生徒はよくあいさつをし、また、場面をわきまえた身なりをす
る習慣ができています。
○ 生徒の「生活指導に対する満足度」は46%と低い傾向が続いています。今後は、まず、生活指導上の目
標について、教職員間で共通認識を持ち、具体的な取組方針を決めて、生徒や保護者に周知・徹底しながら、
教員が組織的に指導していくことが必要です。
診断ポイント③ 進路指導
キャリア教育の充実と、生徒の希望を実現する進路指導
○ キャリア教育の全体計画に基づき、学年ごとに進路指
100%
導の重点目標を立てて取り組むよう改善しています。1
80%
学年では、自己の適性や将来の目標について考えるため
わからない
そう思わない
60%
の進路ガイダンスを実施しています。2学年では、イン
40%
どちらかというと
そう思わない
を実施するとともに、
「進路の手引き」を2学年から配布
20%
どちらかというと
そう思う
するようにし、2学年の秋には進路希望を決定するよう
0%
ターンシップ(36名の生徒が参加)や進路ガイダンス
に改善しています。また、進路ガイダンスに保護者も参
そう思う
職 員
生 徒
保護者
(図3) 「進学対策は充実しているか」
加できるようにしたり、保護者対象の進路説明会(約1
70名の保護者が参加)を実施したりしました。実績としては、進路決定率が17年度の86%から18年
度は91%へと向上しています。
○ 進路指導に対する満足度は17年度の53%から18年度は54%と微増にとどまっています。学校評価
では、
「進学対策は充実しているか」などの進路指導に係る5つの設問のほとんどについて、生徒及び保護者
が「わからない」と回答している割合が25%から35%を占めています(図3)
。今後は、工芸高校の進路
指導の内容が、生徒や保護者に適切に理解されているかどうかを分析し、生徒の希望進路の実現に向けて3
年間の進路指導計画を再構成していく必要があります。また、保護者には、進路ガイダンス等への参加を促
進し、積極的に情報を発信していくことが求められます。
診断ポイント④ 特別活動・部活動
生徒の自主性を高める特別活動・部活動
○ 「工芸祭」は、生徒が作品制作など日頃の授業の成果を発表する場として、重要な学校行事となっていま
す。門の装飾、プログラム・ポスター・バッヂのデザインなど、教員の指導のもと、生徒自ら企画し、運営
することで大きな達成感を得られる場となっています。その他に体育祭や卒業制作展でも、生徒による自主
的な行事運営を行っており、学科ごとの先輩から後輩といった縦の人間関係を深める機会となっています。
○ 部活動については、放課後でも工業科の作品制作や実習レポートの作成に取り組んでいる生徒が多いため、
部活動を集中的に行う時間が十分に確保しにくい傾向にあります。作品やレポート作成と部活動との両立は
今後の課題となっています。
診断ポイント⑤ 健康づくり
生徒の健康に対する関心を高める健康づくりへの取組
○ 18年度よりスクールカウンセラーの配置を受け、週1回の相談日を開設するなど、
「心の悩み相談」体制
- 20 -
3 工芸高校
の充実を図っています。しかし、生徒の相談室の利用は少なく、学校評価の「悩み相談」に対する満足度も
41%と低い評価になっています。今後は、スクールカウンセラーと養護教諭、保健厚生部・生活指導部、
クラス担任の連絡体制の見直し、スクールカウンセラーを講師とした教育相談に係る校内研修の実施などに
より、スクールカウンセラーと教職員との連携を確立するとともに、生徒の個別相談についての教員の認識
を高めていくことが必要です。
○ 生徒の健康に対する関心を高める取組として、2年生を対象に毎年「薬物乱用防止教室」を実施していま
す。今後は、セーフティ教室等を活用して、計画的に健康教育を実施したり、ホームルームを利用しての健
康教育の在り方を検討していくなど、健康づくりに関する教育活動の充実が求められます。
診断ポイント⑥ 募集・広報活動
工芸・デザイン教育の特色を生かした募集・広報活動
○ 工芸高校の特色ある活動として、18年度に一番の成果を上げたのが、
「工芸高校夢コンペ」です。これ
は、
「将来構想プロジェクト委員会」による広報事業の一つで、都内中学生を対象に、ハガキに自分の将来の
夢を表現してもらい、それを文化祭の期間に展示し、優秀な作品
を表彰するという企画です(図4)
。開催初年度にもかかわらず、
494点の応募がありました。その成果もあって、19年度の推
薦による入学選抜倍率は、18年度の3.2倍から3.4倍に増
加しました。学校の特色を生かした企画として、今後も「工芸高
校夢コンペ」の更なる発展が期待されます。
○ 授業公開には953名、学校説明会には705名の中学生及び
保護者の来校がありましたが、12月には学校として初めて個別
相談会を実施し、195名の参加がありました。さらに、重点支
援予算によって購入したグラフィックデザイン用のパソコン機器
(図4)
やプロジェクターを活用して、各学科の特色を生かした中学校へ
「工芸高校
の出前授業を18回、工芸高校を会場とした体験教室を18回実
夢コンペ」の
施し、212名の中学生が参加しました。また、地域行事への参
募集チラシと
加は、文京区梅祭と飯田橋技術専門技能祭(現在は都立中央・城
展示の様子
北職業能力開発センター)へ生徒の作品を展示するという形態で
参加するほか、
千代田区児童館と連携した活動も実施しています。
このような活動は、工芸高校の教育活動を広く知ってもらうよい
機会となっています。今後は、地域や小中学校、高校や大学、企
業といった連携先をさらに拡大し、工芸・デザイン教育の普及を
い
図るとともに、連携先の教育力を自校の教育活動に活かしていく
取組が期待されます。
診断ポイント⑦ 学校経営・組織体制
教職員の協働による学校経営の推進への取組
○ 工芸教育に共通する基礎的な専門技能を習得させるため、
「プレゼンテーション講習会」を1回、
「デッサ
ン講習会」を2回実施しました。特にデッサン講習会については、美術系大学と連携し、講師を大学から招
いて、デッサンの技術指導を行うように工夫・改善した結果、美術系の学校や企業へ進む希望をもつ生徒の
こた
ニーズに応える一助となりました。これらの講習会は学科の枠を越えて組織的に実施されており、生徒の技
能の向上はもとより、教員相互の研修の機会が増え、指導力の向上にもつながりました。このような教職員
の協働による取組は、他校でも参考にできるものとして評価できます。
○ 17年度から設置した「将来構想プロジェクト委員会」では、
「工芸高校夢コンペ」の企画や、
「デッサン
講習会」の改善などを検討しています。この委員会で検討された内容は、企画調整会議に提案され、企画調
整会議の場で内容の精査、進行管理が行われています。しかし、企画調整会議では、分掌からの報告や分掌
間の意見調整、職員会議の議題整理などに時間が取られています。今後は、企画調整会議が、
「将来構想プロ
ジェクト委員会」を適切に進行管理するとともに、各分掌や委員会での議論を踏まえた十分な議論を行いな
がら、企画・立案機能を一層高めていくことが求められます。
- 21 -
3 工芸高校
Ⅲ 自律的改革の内容(概要)
■重点支援校指定の概要 (18∼20年度の取組内容)
< 優れた感性と確かな技術で夢をかたちに
― 伝統の技からデジタルまで
― >
○ 生徒、保護者の授業・進路指導・生活指導・特別活動・学校生活に対する満足度を向上させる。
こた
○ 高度な専門的知識を習得させることで、企業、大学等の期待に応える学校づくりを推進する。
○ 東京における工芸・デザイン教育をリードし、特色ある教育活動を推進する。
○ 産学連携(企業との連携)、高大連携(大学との連携)により、共同研究等を推進する。
○ 地域との連携を図り、奉仕活動を推進する。
■主な目標(20年度末まで)
○ 5つの満足度(授業・進路指導・生活指導・特別活動・学校生活)の95%達成
こた
○ よき伝統を継承しつつ、企業や大学等の期待に応えていく、教育課程の編成
○ 工芸祭、卒業制作展など、特色ある学校行事の更なる充実
○ 企業、大学、小中学校、地域との積極的な連携による教育活動の充実
■18年度の目標とその成果(概要)
① 補習・補講の充実
進学・検定対策講座
土曜講座
② 5つの満足度の向上
③ 生徒募集対策
④
⑤
⑥
⑦
⑧
⑨
⑩
企業・大学へのPR
出前授業・体験授業
中学校訪問
大学等との連携
求人企業数
講習会の充実
地域行事への参加
⑪ 入選応募倍率の確保
<重点目標(抜粋)>
55講座
15講座
2講座
①授業 普通教科60%・専門85%
②進路指導 70% ③生活指導70%
④特別活動 85% ⑤学校生活85%
授業公開参加者数950名
学校説明会参加者数900名
関係者の来校30名
中学校へ20回以上
在校生、教職員による訪問130校
高校(1校)
、大学(3校)
260社
プレゼンテーション1回、デッサン2回
(実施)
推薦4.0倍、学力検査1.8倍
<達成状況(18年度末)>
英・数・国を増やし、78講座開講
16講座
1講座
①普通教科58%・専門83%
②54% ③46%
④80% ⑤84%
953名
705名 (他に個別相談会195名)
18名
36回
教職員による訪問74校
大学(1校)
368社
1回、2回
文京区梅祭、飯田橋技術専門技能祭、千
代田区児童館との連携
推薦3.4倍、学力検査1.5倍
Ⅳ 学校経営診断を受けての校長意見
学校経営診断の診断結果では、本校の具体的な取組に対し成果や実績として評価できる部分と課題の解決や計画
の修正が必要な部分などが個別的かつ具体的に示され、本校の現状を客観的に把握することができた。
今後は、診断で示されたポイントや外部及び内部評価等を踏まえた分析を行い、分掌や委員会ごとに成果と課題
を整理するとともに、重点支援校として掲げた目標の達成をめざし具体的な改善策を盛り込んだ次年度の計画を検
討する。
(工芸高等学校長 浦岡 勉)
- 22 -
4 つばさ総合高校
学校経営診断書 −つばさ総合高校―
○
○
○
○
○
所在地
創 立
診断対象
生徒数
主な指定等
大田区本羽田3−11−5
平成14年4月1日
全日制課程(単位制総合学科)
720名(男279名〔38.8%〕、女441名〔61.2%〕)
重点支援校(平成18年度指定)
Ⅰ 経営診断結果(総括)
■現状 環境教育に特色のある総合学科の教育活動で専門性や個性を伸ばし、人間性と国際性を身に付けさせ、
視野の広い生きる力を養う教育を目指している学校です。
■成果 平成18年度末で開校5年目の新しい学校ですが、入学選抜の応募状況は堅調であり、基礎学力のあ
る目的意識を持った生徒が入学しています。また、恵まれた施設・設備・教員配置を生かして、生徒の適性
や興味・関心に応じて様々な教科・科目を展開するとともに、総合学科の特色であり、キャリア教育の柱で
もある「産業社会と人間」や進路ガイダンスを通じて、系列を生かした進路実現がされています。
また、部活動やボランティア活動、委員会活動等の課外活動も盛んです。
■課題と今後の改善の方策 アンケート調査によると、生徒の家庭学習時間が少ないことが課題です。生徒の
家庭学習習慣を付けさせ、着実に学力を伸ばしていくことが必要です。また、進路指導については、国際社
会の大きなテーマでもある環境教育に先進的に取り組んでいるという、学校の特色を十分に活用して、AO
入試・センター試験対策の指導の充実を図ることも大切です。着任教員はもちろんすべての教職員が、総合
学科教育の理念と理想を正しく理解し、共通理解の下、今まで以上に協働して改善や現状の発展に向けて取
り組んでいく必要があります。
Ⅱ 経営診断結果
診断ポイント① 学習指導
家庭学習を習慣づけ、基礎学力を向上させる取組
○ 毎年実施している家庭学習時間の調査によると、
「家庭学習をほとんどしない」生徒は17年度65%から
18年度は68%、
「1時間以上する」生徒は17年度12%から18年度は15%となっています。家庭学
習時間については、きわめて不十分な状況であり、大きな課題です。
家庭学習習慣の定着に向けて、英語・数学・国語でドリル学習や小テストを行っている教員もいます。し
かし、全教員の共通した取組とはなっておらず、個々の担当者任せになっている状況です。家庭学習の定着
については、指導の方法を統一して、教科ごとの共通の課題として取り組んでいくことが重要です。その際、
ただ家庭での学習課題を与えて、提出させチェックするだけでなく、教科ごとに家庭学習の進め方や方法な
どを生徒に示し、自分に合った家庭学習の手法を見つけさせていくことが必要です。教科として家庭学習の
方法を数例作成して、予習を中心とした自学自習に取り組む方法や、指示された課題やプリントに取り組み、
理解の定着を図る方法などを示し、生徒それぞれの習熟の度合いに応じて家庭学習の方法を選択させ、実施
の状況を点検することも一案です。また、家庭学習
3.3
時間調査を、年に3∼4回程度実施して学習時間チ
3.2
ェックを定例化し、生徒への意識付けや達成状況の
3.1
3
変化を記録することが大切です。
○ 基礎的な学力に課題のある生徒について、教科会
2.9
や学年会で取り上げて対策を立てたり、生徒による
2.8
授業評価を活用して日常の授業の改善を進めていま
2.7
点
すが、統一した具体策はなされていません。定期テ
ストだけでなく、校内で学年ごとに実力テストを実
- 23 -
3.22
3.13
3.15
2.92
2.9
平均値(4点満点中)
14年度
15年度
16年度
17年度
(図1) 生徒の授業満足度
18年度
4 つばさ総合高校
施し、学習の現状の定点観測をして、学習の到達度を全国的な指標等で確認し蓄積することで、進路指導の
ポートフォリオ(蓄積した指標)として活用することも大切です。
○ つばさ総合高校として求められる基礎学力のレベルについて、学習指導要領で示される評価規準を基本と
して教科ごとに定め、教科としての改善策をしっかりと作成することが必要です。個々の教員の努力によっ
て、日常的な補習などを実施していますが、どの担当の教員にあっても等しく確実に基礎学力を習得できる
よう、学年や教科などで組織的に展開していく必要があります。
○ 生徒による授業評価の活用として、評価を踏まえての改善を各教員や教科ごとに実施し、年3回の教員全
体の研修会を実施しています。平均値としては向上していますが、中には、否定的回答が1学年で約45%
をしめる教科や、
「板書を見やすくしてほしい」
「話が聞き取りにくい」
「教科書を使っていない」
「ノートが
とら
取りづらい」など、解決を図っていかなければならない個別記入意見もあります。教科としての課題と捉え
し
て、真摯に改善に取り組んでいくことが大切です。
診断ポイント② 進路指導 理系・工業系希望者に対する進路指導の充実
○ 理系・工業科目選択者数は、ほぼ横ばいで、他の選択教科・科目と比べると人気が低迷傾向にあります。
理系・工業系の科目は、学校の地域性や前身の羽田工業高校の伝統から重視している科目であり、中学生
への体験学習を実施するなどにより、入学前から理系・工業系への適性や興味・関心を喚起することを目指
しています。しかし、在校生については、理系・工業系希望者への進路指導についての具体的な対応がとら
れていない状況で、シラバスの見直しや教育内容のアピールをするなどの、一般的な方策にとどまっていま
す。
今後は、総合学科の利点を生かしながら、進路選択にも有効な教科・科目の設定をすすめていくなど、施
設・設備の有効活用ができる教育課程の再編を考えることが必要です。
○ 総合学科高校の特色である「産業社会と人間」や進路ガイダンスを通じて、適性や興味・関心に応じて選
択した系列の授業を生かした進学先の決定に取り組んでいます。また、土曜日や休業中に進学対策として、
補習を実施し、生徒へ積極的な参加をすすめています。総登録者が前年度に比べ47%増の1381名とな
っていますが、ほとんどの教員が担当して実施するものの、教科として分担したり、進路指導部の全体計画
に位置づける実施とはなっていません。学校としての進路指導の戦略として、組織的な補習補講計画を作成・
実施することが大切です。
診断ポイント③ 生活指導 授業態度・身だしなみの改善、遅刻の減少を図る体制
○ 生活指導上の大きな問題はなく、授業規律や身だしなみについてもほぼ良好ですが、定期考査期間中を中
心に、頭髪、身だしなみチェックを実施し必要に応じて改善の指導をしています。また、遅刻についても、
回数が増えた場合は学年の指導により対応しています。
○ 校舎が新しく明るいため、著しく校内が汚れているとの印象はありませんが、十分に清掃活動ができてい
ない所があります。生徒には、身近な環境教育の実践の場としリサイクルやごみの分別と並んで、清掃活動
が大切であることを伝えるとともに、指導する教員にも責任をもたせる必要があります。
診断ポイント④ 特別活動・部活導 特別活動の充実、部活動による地域貢献
○ 環境先進校としてISO14001(環境マネジメントの国
際規格)を取得し、環境教育の実践をすすめています。年間を
通じて、
教員も生徒も主体的に熱心に活動をしています。
特に、
ISO14001活動の発表の場として「高校生環境サミッ
ト」を年1回開催して、日頃の活動研究発表や、エコ体験の実
施、海外の専門家による講演などを実施し、自校の生徒・保護
者や他校や地域の来場者に紹介をしています。
こうした取組は、
つばさ総合高校の良きブランドイメージとして、学校のPRや
- 24 -
(図2)高校生環境サミット
4 つばさ総合高校
情報発信の有効な機会となっています。
しかし、主体的に取り組む教員や生徒の負担が大きいことが課題です。自発性を重視しつつも、学校とし
ては、校務分掌組織として位置付けるなどによって、継続的に取り組んでいくことが大切です。
○ 部活動については、全天候型400mトラック、開閉式プール、広いサッカーコートなどの恵まれた環境
を生かして、文化部・運動部とも熱心な活動が行われており加入率は70%を超えています。
また、部活動を通じての地域貢献として、運動部による地域中学校との合同練習会の実施や、チアリーデ
ィング部・吹奏楽部等の地域イベントへの参加や、福祉部のボランティア活動への参加など、年間60回以
上の地域交流活動を実施しています。
診断ポイント⑤ 健康づくり 生徒が主体的に心と体の健康づくりに取り組める指導
○ 配置されているスクールカウンセラーを活用して、週1回カウンセリング連絡会を開催しています。スク
ールカウンセラー、学年担任、キャリアカウンセラー、養護教諭によって、配慮を要する生徒情報の共有化
や教育相談活動の改善に取り組んでいます。
診断ポイント⑥ 募集・広報活動 入選受験倍率の維持・向上を図る広報活動
○ 広報活動については、総務部が企画立案して
おり、組織的に機能しています。
倍
3
2.5
過去6年間の入学者選抜倍率については、推
薦入試が平均2.52倍、一次入試が平均1.
64倍とも、きわめて良好な結果が出ています。
1.93
2.37
2.14
1.61
2
2.74
2.67
2.62
2.56
1.52
1.51
1.68
1.59
1.5
1
それぞれの専門教員が技能を生かして、視覚的
0.5
な募集案内を工夫して作成したり、週2∼3回
0
14年度
15年度
16年度
17年度
(図3) 入学者選抜倍率
程度と頻繁なホームページの更新に取り組ん
18年度
19年度
推薦
学力検査
だりしています。ホームページ年間アクセス数
50000件の目標に対して、55173回となり、学校見学会2回、学校説明会3回実施し、参加者数2
100名の目標に対して、1988名参加となるなど、ほぼ数値目標を達成しています。
今後は、現状の高倍率に甘んずることなく、中学生や保護者の視点に立った、案内資料の作成や、説明会
やプレゼンテーションの工夫、系列についてのシラバスの整備や体験学習の実施など、継続的に取り組んで
いく必要があります。
診断ポイント⑦ 学校経営・組織体制 全教職員が意欲的に取り組む協働体制
○ 教職員の学校評価についてのアンケート回収率が、47%と低くなっています。回収の方法等の課題もあ
りますが、学校改革や経営改善についての当事者意識が薄い教職員がいると考えられます。主幹や各分掌の
主任等を中心とした企画調整会議の構成員を活用して、
学校評価を次年度の改善につなげる方策が大切です。
○ 教職員へ決定事項や伝達事項の迅速な周知を図り、校務のIT化を進めるため、パソコンの整備を計画し
ていますが、一人一台の配置は完成していないため、会議録の迅速な作成と回覧、関連資料の配布や掲示を
するなどにより周知・徹底を行っています。また、学年会議に分掌担当者が出席したり、管理職・主幹によ
る経営会議を週1回開催したりするなどの取組を進めており、企画調整会議の方向性や、主幹の担当する校
務の進捗状況の確認などが行われるようになり、良好な成果が出ています。
○ 教員の人事異動に伴い、総合学科高校の理念等を正しく伝え、発展させることは、つばさ総合高校の大き
な課題であり、管理職・主幹層の教員を中心に強い危機感をもっています。一部の教員は、手間のかかる教
育活動を避け、どこの学校でも行っているような一般的な学習内容に取り組みたがる傾向があります。着任
教員には、校長のビジョンを明確に示し、具体的に指示するとともに、総合学科高校の理念や教育活動につ
いて十分な研修を実施することが必要です。
- 25 -
4 つばさ総合高校
Ⅲ 自律的改革の内容(概要)
■重点支援校指定の概要 (18∼20年度の取組内容)
<進化して、次代へ羽ばたく“つばさ総合”―先進的IT・環境・理系教育で進路の幅を広げます>
○ 先進的な総合学科教育で、キャリアプランに基づく自己目標に挑戦できる学校
○ 幅広い5系列の選択で学力や能力、個性を伸ばし、希望進路をしっかり実現できる学校
○ 人や環境を大切にする豊かな人間性と国際性を身に付け、安心していきいきと学べる学校
○ 特色ある教育課程、独自色のある進学指導、日頃の面倒見のよさで、素直で明るい生徒を育てる
■主な目標(20年度末まで)
○ 生徒の進路希望を実現させる充実した教育・支援
○ 生徒のキャリア目標充実化と、高い総合能力の修得
○ 先進校をベンチマークした特徴的で魅力的な総合学科教育の追及
○ 学校PRの充実と校務能率化
○ ITを活用した効果的な校務運営
○ “つばさ総合”らしいIT・環境教育・理系教育の実施
■18年度の目標とその成果(概要)
① 希望進路実現
② 学習習慣の改善
<重点目標(抜粋)>
希望進路実現率85%以上
系列関連合格者65名以上
家庭学習時間30分以上
<達成状況(18年度末)>
82%
66名
30分以上は15%(微増)
③ 理系工業教育の 理系・工業系科目選択者数(延べ)
活性化
1300名
1381名が選択
④ 特色ある教育活 海外交流の実施
動の導入・活性化 ISO14001活動目標値の達成
海外短期留学4名、
ISO14001目標達成
環境サミットへ17団体250名が参加
推薦2.4倍
学力1.6倍
⑤ 入選倍率の維持
推薦2.7倍 学力1.7倍
⑥ 教職員の協働
体制の改善
学校評価協働関連項目の前年比向上
学校評価協働関連項目62.5%が良好との
評価(前年比+3.2)
Ⅳ 学校経営診断を受けての校長意見
重点支援校としての課題がより明確になった。特に、学習指導において、基礎学力向上の取組として家庭学習の
定着を図るべき生徒への具体的な指導について教科指導のあり方を中心に学校全体で取り組んでいくことの重要
性が明確になった。
開校 6 年目に入り、開設時の教員の異動に伴い、総合学科の高校としての理念や教育活動について着任者がよく
理解するための校内研修等の機会を持つことが重要である。また、経営方針を明確に示すと共に、主幹・主任の役
割を重視し、情報の共有化を図り、協働体制を創っていく。
生徒の適性や興味・関心、進路希望を中心に施設・設備や地域性を活かした教育課程をはじめとする特色ある教育
活動の再編が必要である。総合学科高校の先進校としてキャリア教育を柱とする進路実現を最重点課題とする。
(つばさ総合高等学校長 荒川 兼一)
- 26 -
5 本所高校
学校経営診断書 ―本所高校―
○
○
○
○
○
所在地
創 立
診断対象
生徒数
主な指定等
墨田区向島3−37−25
昭和6年4月1日(当時:本所区第一実業女学校)
全日制課程(普通科)
712名(男358名〔50.3%〕、女354名〔49.7%〕)
重点支援校(平成18年度指定)
Ⅰ 経営診断結果(総括)
■現状 「キャリア教育と生活指導を軸とした中堅校の活性化」をスローガンとしており、
「SFプログラム
[Self−Fulfillment(自己実現)プログラム]
」と名付けた独自のキャリア教育に特色が
あります。生活指導は、頭髪指導・遅刻指導など熱心に取り組んでおり、部活動も盛んです。また、特進ク
ラスを設置し、学力向上と生徒の進路希望実現に向け取り組んでいます。
■成果 「茶髪ゼロ」
、
「遅刻ゼロ(5分前登校)
」
、
「あいさつの励行」による生活規律の確立、特進クラスや
土曜の授業、夏期講習による学力向上、
「SFプログラム」による3年間を見通した組織的なキャリア教育、
部活動活性化など、自律的改革に熱心に取り組んでいます。キャリア教育を中心とした取組について、平成
18年度文部科学大臣表彰を受賞しました。また、四年制大学への進学率は、16年度22.4%、17年
度30.4%、18年度が42.0%と年々向上しています。
■課題と改善の方策
進学実績については、明治大学・青山学院大学レベル以上の大学への現役進学者を出す
までには至っていません。生徒には上の目標に挑戦せず、進学確実な大学を推薦入試やAO入試で受験する
傾向があります。今後は、一層の、志望大学に挑戦させるための進学指導の充実と、学力向上を目指した教
育課程の編成や授業改善などの工夫が必要です。
特進クラスは、17年度から設置され、19年度には特進クラスの生徒が初めて大学を受験します。特進
クラスは基本的に希望制で編成しており、今後の運営に当たっては、特進クラスを対象とする進路説明会や
保護者会を充実させるなど、保護者や生徒に特進クラスの意義や目的について十分に理解してもらいながら
進めていく必要があります。
Ⅱ 経営診断結果
診断ポイント① 学習指導 特進クラスの取組と、
「授業力マニフェスト」による授業力向上
○ 入学時、生徒の約5割は四年制大学への進学を希望しています。しかし、16年度卒業生の四年制大学進
学率が22.4%と、生徒の進路希望を十分に実現させることができていませんでした。そこで、17年度
から特進クラスを設置するなど、学力向上と進路希望の達成に向け取り組んでいます。
四年制大学進学率は18年度には42.0%と向上しました。19年度末には特進クラスの生徒から初め
ての卒業生が出ることになるため、今後の成果が期待されるところです。
○ 特進クラスの運営に当たっては、特進委員会が中心となって、毎週1回委員会を開いて、生徒の学習状況
や入試動向の分析、先進校の情報の解析、特進クラス用シラバスの作成と周知などに取り組んでいます。そ
の結果、生徒の平日の平均家庭学習時間は、一般クラスの約0.5時間に対して、特進クラスの生徒は約1.
4時間となりました。また、休み時間に教室で自主的に学習する生徒の姿が増えつつあります。
今後は、特進クラス・一般クラスともに、定期的に生徒の学習到達度を評価し、全教員の共通理解を図り
ながら、生徒の学力向上に結びつく指導方法や学習内容を工夫していく必要があります。
○ 17年度には年間学習計画の見直しを行い、各科目A4版2枚以上の分量を義務付け、各科目の「ねらい、
留意点、評価の観点と方法」を明示するなど、内容の充実を図りました。また、18年度には授業力向上の
- 27 -
5 本所高校
ため、全教員が「授業力マニフェスト(授業改善のための公約)
」を提示し、
「ポイントを押さえた板書を工
夫する」や「上級学校進学に必要な応用問題などを教材として取り扱う」などの授業の工夫や改善について
公約する取組を行っています。また、各科目共通のマニフェストとして「小テストの毎週1回実施」を推進
しています。しかし、
「家庭学習時間が毎日1時間以上」の生徒は28%であり、十分な家庭学習習慣の定
着に当たっては、今後も更に指導方法を工夫していく必要があります。
○ 17年度には土曜の講習を、18年度からは土曜授業を、特進クラスを設置していない3学年も対象とし
て年18回実施しています。また、夏季休業中には講習を合計438時間実施し、3泊4日の勉強合宿も行
っています。
診断ポイント② 進路指導 「SFプログラム」による組織的なキャリア教育
○ 「インターンシップ応援事業推進校」として、独自のキャ
リア教育プログラムである「SFプログラム」を策定し、1
学年「自己理解」
、2学年「自己啓発」
、3学年「自己実現」
25.0%
をテーマに、
「総合的な学習の時間」で3年間を見通した進路
15.0%
指導を行っています。
10.0%
キャリア教育の取組について、マスコミで紹介されたり、
5.0%
「キャリア教育と生活指導の推進」の活動と成果で、東京都
0.0%
教育委員会表彰を受けたり、18年度キャリア教育文部科学
大臣表彰を受賞するなど、外部からの評価を得ています。1
8年度末の進路未定率は1.7%(卒業生243名中4名)
20.2%
20.0%
14%
10%
12.1%
8%
4.6%
14
15
16
17
6%
1.7%
18
19
(図1)卒業時進路未定者の割合 (年度)
実績
数値目標
(図1)
、中途退学率は1.3%でした。
○ 校務分掌としてSF部を設置し、SFプログラム指導案の更なる改善と、SF事業の計画と運営について
の検討を毎週行っています。また、企画調整会議においてスケジュール管理と課題分析を行っています。各
授業では改善された指導案に従い、開発したキャリア教育のワー
クシートを活用して、全教員で分担したティームティーチングに
よる指導を行っています。
1学年のプログラム「プロに聞く」では、伝統工芸職人や消防
署長などの職業人12名を招いた講演会や、調べ学習を行ってい
ます。調べ学習発表会では、重点支援校予算で全教室配備された
コンピュータを用いてのパワーポイントによる発表や、寸劇によ
る発表を行っています(図2)
。
2学年では、全員が近隣の事業所で1日または2日間のインタ
ーンシップを行っています。また、大学の教員による模擬授業や
(図2)調べ学習の様子
上級学校訪問を実施しています。
3学年では、コミュニケーション能力と意志決定能力を育成することを目的にディベート学習を行い、自
己実現に向けた学習の完成を目指しています。
○ 17年度から「本所高&墨田区立中キャリア教育ネットワーク」を立ち上げました。18年度には、墨田
区教育委員会と連携して墨田区立中学校12校の進路指導主任と合同研修会を年2回実施したり、中学校と
連携して中学校からの6年間を見通したキャリア教育の在り方についての研究協議を行ったりしています。
第二回の合同研修会では、1学年のキャリア教育授業「プロに聞く」の授業公開と、墨田区立中学校進路指
導主任の講演を行い、都立高校103校110人の教員の参加を得ました。他校への波及効果の点からも高
く評価できる取組です。
○ SF部は担当する少数の教員による努力に支えられている状況です。今後は、進路指導部、学年SF担当、
学年進路指導担当との業務の分担と確認を行うことで、より効果的な取組となるように工夫していく必要が
あります。
- 28 -
5 本所高校
診断ポイント③ 生活指導 頭髪指導、遅刻指導、時間の厳守などの規範意識の確立
○ 「遅刻ゼロ」
・
「茶髪ゼロ」
・
「あいさつの励行」は生徒
指導の核となっています。
「5分前登校」を基本として呼
びかけており、
「遅刻ゼロ」週間では18年度は4回「全
校で1人も遅刻者がいない日」を達成しています。1日
平均遅刻率は1.8%で(図3)
、遅刻者数は1クラス平
均0.7人、生徒の年間皆勤率は17.3%と良好な状
況を維持しています。
7.0%
6.0%
5.0%
4.0%
3.0%
2.0%
1.0%
0.0%
現在、早朝の校門指導は生徒指導部の教員を中心に行
われていますが、登校時の生徒の様子を全教員が見て課
6.6%
4.5%
3.6%
14
15
16
3.0%
3.0%
1.9%
1.8%
17
18
(図3)一日平均遅刻率
実績
数値目標
2.7%
19
(年度)
題を共有するためには、生徒指導部以外の教員も担当す
るように取り組むことも必要です。
診断ポイント④ 特別活動・部活動 部活動推進指定校としての取組
○ 部活動加入率は75%と高い水準にあり、バドミントン部が東京都ベスト8となるなど活発です。家庭・
学校・地域社会が一体となった健全育成をねらいとする「トライ&チャレンジ」では、バスケットボール部、
ハンドボール部、バドミントン部が中学校との部活動交流を行いました。また、ブラスバンド部は地域交流
として地域の福祉施設「羽ばたき園」でボランティアコンサートを実施しました。18年度から部活動推進
指定校となっています。グラウンドの広さなど施設上の制約がある中で、練習場所の活用方法や練習方法が
工夫されていますが、校外の練習施設の活用など、更なる工夫を行っていく必要があります。
診断ポイント⑤ 健康づくり 学校保健委員会による健康づくり教育
○ 学校保健計画を策定し、健康講演会を2回実施するなど健康教育を積極的に進めています。食育に関する
アンケートを生徒と保護者に実施して、調査・分析した結果を6地区PTA研修会で発表するなど、健康づ
くりへの取組が学校と保護者で連携して行われています。
診断ポイント⑥ 募集・広報活動 中学生・保護者・塾に対する募集・広報活動
○ 広報・保健部が中心となって、募集・広報活動を計画的に実施し、学校説明会2回(のべ700人参加)
、
中学校訪問100校、塾対象説明会(1回)
、定期的な授業公開などを行っています。また、制服を一新する
とともにセーターやベストを指定したり、新たにパンフレット・ポスターを作成したりといった、募集・広
報活動に取り組んでいます。その結果、推薦入試倍率5.4倍、一般入試倍率1.6倍など、入選倍率が高
水準を維持しています。また、地域清掃を年5回実施するなどの地域への奉仕活動や、地域住民へ隅田川花
火大会での校舎屋上開放を行うなどの地域貢献も行っています。
診断ポイント⑦ 学校経営・組織体制 授業力向上のための授業研究と校内研修の充実
○ 2年次研修・4年次研修を活用した授業研究と「まなび」による授業研究(英語、地歴)を9回実施する
とともに、校内研修を年3回実施して、教員の授業力向上を図っています。組織的な授業力向上を推進して
いくためには、本所高校の特色である精緻なシラバスや「授業力マニフェスト」
、生徒による授業評価と連動
した授業研究を推進するとともに、校内研修に際しては、全教員が必ず年に1回は発表・報告するような参
加型の校内研修を実施していくことが必要です。
- 29 -
5 本所高校
Ⅲ 自律的改革の内容(概要)
■重点支援校指定の概要 (18∼20年度の取組内容)
< 規律と創造 −キャリア教育で、君の「未来構想」を実現しよう− >
○ 3年間を見通した「キャリア教育SFプログラム」
、
「2学年全員インターンシップ」等の実施
○ 学力向上のため、特進クラスや講習、勉強合宿などの実施
○ 授業力向上のため、授業力マニフェストや授業研究などの実施
○ 校門指導やチャイム着席指導などの実施 茶髪ゼロ、遅刻ゼロなどの生活指導の徹底
■主な目標(20年度末まで)
○ 四年制大学進学者
32%以上
○ 長期休業中の講習
430時間以上
○ 遅刻1日平均
2.5%以下
○ 中途退学率
0.8%以下
○ 卒業時進路、浪人・未定者 10%以下
■18年度の目標とその成果 (概要)
<重点目標(抜粋)>
32%以上
400時間以上
23%以上
1.9%以下
5%以下
1.5%以下
<達成状況(18年度末)>
42%
428時間
17.3%
1.8%
1.7%
1.3%
⑦ 英検・漢検 準2級以上
合計100名以上
91人
⑧ 2月末時点の部活動加入率
72%以上
75%
⑨ 学校保健委員会の実施
3回実施
2回実施
⑩ 入学選抜倍率
推薦5.5倍以上
一次1.5倍以上
9回以上
3回以上
推薦5.4倍
一般1.6倍
9回
3回
①
②
③
④
⑤
⑥
四年制大学への進学率
長期休業中講習時間
年間皆勤率
一日平均遅刻率
卒業時進路未定率
中途退学率
⑪ 授業研究
校内研修
Ⅳ 学校経営診断を受けての校長意見
卒業時進路未定者(フリーター)率、1日平均遅刻率といった「本所オンリーワン」の数値目標が達成できたの
は、毎週のキャリア教育SF部会による企画・運営と、全クラス T.T.(複数教員による授業)の総合学習、毎朝の
5分前登校指導といった、教職員全員による組織体制の成果に他ならない。学習指導面では MARCH 以上の大学
合格実績が未達成課題であり、特進クラス設置3年目の結果が出る今年度、改善に力を入れている。
あい
今後も、狭隘校としての立地条件を克服するべく、教育活動の創意工夫や、支援予算の効果的活用により、生徒・
保護者・地域に満足していただける質の高い学校経営を推進する。
- 30 -
(本所高等学校長 戸田 弘美)
6 小松川高校
学校経営診断書 −小松川高校―
○
○
○
○
○
所在地
創 立
診断対象
生徒数
主な指定等
江戸川区平井1−27−10
大正5年4月1日(当時:南葛飾郡立実科高等女学校)
全日制課程(普通科)
882名(男473名〔53.6%〕、女409名〔46.4%〕)
重点支援校(平成18年度指定)、進学指導推進校
Ⅰ 経営診断結果(総括)
■現状 城東地域の伝統校としての実績を背景に、国公立大学現役合格者27名、明治大学、青山学院大学レ
ベルの私立大学現役合格者123名を輩出するなど、
「ワンランク上の進学校」を目標に、進学実績の向上
を目指した学校づくりを推進している学校です。
■成果
隔週土曜日の教育活動や長期休業中等の補習、数学や英語での習熟の程度に応じた授業や少人数授業、
独自の進路指導計画である「ウィンズプロジェクト」による進路学習などに取り組んでおり、大学進学率や
主要大学の現役合格者数が向上しています。
また、地域と連携した行事を推進して、都民・保護者等から
の評価を得ており、このことは入学者選抜における安定した応
募倍率に反映されています。
■課題と改善の方策
進学実績の向上をさらに図っていくこと
が、今後の課題です。数値目標にセンター試験の各教科得点率
を設定するなど、一歩進めた進学指導を展開する必要がありま
す。そのためには、評価規準を明確にしたシラバスを作成して
授業活動を展開し、外部模試等による定点観測を通じて評価を
行うなど、PDCAサイクルによる授業改善に取り組んで、主
(図1) 授業風景
幹層による進行管理の下で組織的・計画的な進学指導体制を構
築する必要があります。
Ⅱ 経営診断結果
診断ポイント① 学習指導 学力向上を目指した土曜授業や補習等の実施
○ 長期休業日等の弾力的運用を活用して年間約20回の土曜授業を実施するとともに、7時間授業等を活用
することにより、週5日制の場合に比べ単位の多い教育課程を編成することができました。その結果、余裕
をもって大学入試に十分対応できる授業を展開することができました。
○ 個に応じた指導を推進するため、数学と英語については、習熟度別少人数での指導を導入しています。
1学年∼2学年前半は基礎学力を充実させるため、少人数のクラス編成によりきめの細かい指導を行い、
2学年後半からは、習熟度別の他に進路別の要素を加味したクラス編成によって、進学に向けた授業内容を
展開しています。
○ 夏季休業中には、主に3年生を対象とする補習を68講座開設し、延べ4429人が受講しました。また、
冬季休業中には、12講座を開設し、延べ584人が受講しました。これ以外にも、通年の補習を3講座開
設し、朝の始業前に学習活動を行いました。
- 31 -
6 小松川高校
診断ポイント② 進路指導
「ウィンズプロジェクト」による独自の進路学習
○ 3年間を通した進路学習体系である「ウィンズプロジェクト」により、3年間を通じて、生徒が「未見の
我」を発見し、主体的に自己実現を図るような指導を展開しています。1年生では「発見」を目標とし、職
業資格研究や進路講演会を実施しています。また、2・3年生では「探究」を目標とし、2年生では、学部
学科研究、お茶の水女子大学、首都大学等の教授等による大学模擬講義、東京大学、筑波大学等への研究室
訪問、地域研究、3年生では、課題研究や選択活動を実施しています。
○ 進路指導部では、進路指導部通信「時計台」を毎週発行し、進学情報や勉強方法、職業選択に関する情報
提供を行っています。
「時計台」は、生徒・保護者に対する情報提供にとどまらず、教職員への意識啓発の点
でも効果的なものとなっています。
○ こうした進路学習と学力向上を目指した学習指導により、現役大学進学率(短期大学含む)は69%に達
し、
センター試験出願率は93%に達しました。
また、主要大学の現役合格者が、国公立大学が
平成17年度の17名から18年度の27名に、
早稲田大学、慶応大学レベルの私立大学が17
140 人
120
100
80
年度の7名から18年度の14名に、
明治大学、
60
青山学院大学レベルの私立大学が17年度の8
40
7名から123名に増加するなど、成果を上げ
20
ることができました。
0
H11
○ 研究室訪問は生徒の進学意欲の向上に役立っ
H12
H13
H14
H15
H16
H17
H18
(図2) 現役大学合格者の推移
てきましたが、大学側がオープンキャンパスに
国公立大学
重点を置くようになり、18年度は6つの大学
早慶上智
年度
明治、青山学院など
での実施にとどまりました。
診断ポイント③ 生活指導
地域と連携した行事の推進
○ 地域と連携した行事を推進することにより、生徒の活躍を都民・地域住民に見てもらうとともに、生徒自
身が地域からの期待を感じ取って自律的に行動することを学べるように支援しています。18年度は、江戸
川区民まつりに生徒会や吹奏楽部、ダンス部が参加して日頃の練習の成果を披露し、また、小松川平井ふる
さとまつりには茶道部が参加し、地域の方々に抹茶のサービスを行いました。
診断ポイント④ 特別活動・部活動
部活動の活性化による生徒の自己実現の達成
○ 陸上競技部は新人戦東京都大会で6位に入賞し、ソフトボー
ル部は公立選手権で都16位に位置しました。また、剣道部は
東京都高体連の秋季大会Ⅱ部で男子団体2位、柔道部は同じく
東京都高体連支部大会で男子団体5位に入賞しました。文化部
では、吹奏楽部に楽器を整備し、部員数が69名から82名に
増加しました。
○ 部活動の活性化を図るためには、顧問の技術指導の技量を高
めながら積極的な指導に当たっていく必要があります。
診断ポイント⑤ 健康づくり
生徒による清掃美化活動
(図3) 吹奏楽部の活動風景
○ 生徒の環境保全への意識を高めるため、全校 集会等でごみの減量について指導するとともに、生徒全員
に年1回、ごみの分別収集当番(20∼30分程度)に当たらせて、ごみ分別の意義を実感させるように取
り組んでいます。その結果、18年度には前年度比で、紙ごみ(ミックスペーパー)を50.8%、不燃ご
- 32 -
6 小松川高校
みを94.9%に減らすことができました。これによって、一般廃棄物処理費の支出を76万7千131円
から61万4千559円(前年度比−19.9%)
に減らすことができ、校内予算として、15万2千
572円を節減することができました。
診断ポイント⑥ 募集・広報活動
学校説明会や授業公開等による広報活動の推進
○ 学校説明会や授業公開を10回実施するとともに、
中学校や塾等への訪問による広報活動を実施し、22
160 袋
140
120
100
80
60
40
20
0
17年度
18年度
00名を超える参加者がありました。従来は、学校公
4
開では教員が中心に説明や案内を行っていましたが、
(図4) 紙ごみ(ミックスペーパー)の量
5
6
7
8
9
10 11 12 1
2
3月
18年度には生徒会やボランティアの生徒が司会や
学校説明を行うようにしたところ、参加者から好評を得ることができました。
○ 全教員による中学校訪問100校を目指しましたが、訪問できたのは62校にとどまりました。今後は、担
当の分掌が組織的・計画的な訪問計画を確実に立案することが課題です。
診断ポイント⑦ 学校経営・組織体制
校内LANの敷設とコンピュータ設置
○ コンピュータを購入して職員室、進路指導室、保健室、各教科準備室に設置し、校内LANによって結び
ました。デスクトップ掲示板を活用して管理職から教職員への連絡や指示を行ったり、教職員間の連絡に使
用したりするなど、校内における意思伝達と連絡調整の促進に活用しています。今後は、教材等の資料の共
有化、進路指導等のデータベース化に取り組んでいく予定です。従来はこうした教職員間の連絡等を紙ベー
スで行っていましたが、これが電子化したことにより、紙資源の節約が期待できます。
Ⅲ 自律的改革の内容(概要)
■重点支援校指定の概要 (18∼20年度の取組内容)
< 生徒一人一人を鍛え、進路実現を約束する学校 ―社会のリーダーを育成する― >
○ 高い知力と品位を身に付けさせる。
○ 体力・気力・精神力を鍛える。
○ 保護者・地域から高い支持を受ける。
○ 地域の学校教育をリードする全日制普通科高校
■主な目標(20年度末まで)
○ 「ウィンズプロジェクト」の成果検証
○ 合唱祭の実施
○ 施設・設備の点検、教育(執務)環境改善についての計画・立案
○ 90周年行事を教育課程に位置付けた教育活動の積極的なPR
- 33 -
6 小松川高校
■18年度の目標とその成果(概要)
<重点目標(抜粋)>
<達成状況(18年度末)>
① 現役大学進学率
(短期大学含む)
70%の維持
69%
② センター試験出願率
80%以上
93%
③ 補習・補講の充実
75講座以上
83講座(夏季68、冬季12、通年3)
④ 自習室の開放
隔週土曜日の午後、図書室を開放 実施(夏季休業中は冷房のある会議室を開放)
⑤ 大学模擬講義
15講座
15講座
⑥ 大学研究室訪問
10校
6校
⑦ 部活動加入率
87%
84%
⑧ 大会等の成績
関東大会出場
陸上部3名が4種目で関東大会に出場
⑨ 学校行事
参観者2600名
2760名
(体育祭365・文化祭2095・合唱祭300)
⑩ 入選倍率
一次男女とも1.3倍以上
男子1.42倍、女子1.37倍
⑪ 全教員での中学校訪問
100校
62校
⑫ 学校公開
施設見学会
学校説明会
塾対象説明会
1回
2回
2回
2回
1回
2回
2回
1回 (他に授業公開4回)
Ⅳ 学校経営診断を受けての校長意見
教職員への周知と共に、全校生徒に対しても文面で学校経営診断の意義を周知し、全校体制で当日に臨んだ結果、
重点支援校の重みと自校に対する誇りを再認識する好機となった。
今後は、城東地域トップの進学校として、より実践的で系統的な学習指導・進路指導を、教務部・進路部のリー
ドの下、より組織的に取り組んでいく。また「文武両道」の教育目標を堅持し、社会のリーダーを育成するために、
部活動・学校行事の質の向上を図る。地域との連携を充実発展させると共に、募集・広報活動の工夫を重ね、10
0周年に向けて全員のモチベーションを高め、
「ワンランク上の進学校」を目指す。
(小松川高等学校長 江見 悦子)
- 34 -
7 科学技術高校
学校経営診断書 −科学技術高校―
○
○
○
○
○
所在地
創 立
診断対象
生徒数
主な指定等
江東区大島1−2−31
平成12年10月13日
全日制課程(科学技術科)
619名(男522名〔84.3%〕、女97名〔15.7%〕)
重点支援校(平成18年度指定)
Ⅰ 経営診断結果(総括)
■現状 科学技術科を専科とする専門高校として、課題研究などの充実とともに進学実績の向上に取り組み、
平成18年度は国公立大学に11名、薬学系大学に10名が合格するなどの進学実績を上げています。
教科指導の充実を図るともに、3年間を見通した「ダ・ヴィンチ・プラン」によるキャリア教育や特色あ
る部活動の活性化を図っています。
■成果 課題研究、長期休業日中の補習・補講、短期集中講座や数学、理科や英語の習熟度別少人数指導など、
理系を中心とした様々な学習活動を通じて、理系大学への進学で優れた実績を上げています。
い
また、演劇部が行う「サイエンスライブショー」などの、学校の特色を活かした行事を推進することによ
り、
「科学技術教育の学校」というブランドを、地域や都民・保護者等に発信しています。その結果、入学
者選抜においては、1.4倍∼1.7倍という手堅い応募倍率となっています。
■課題と改善の方策
AO入試などを中心とする推薦による大学進学から、一歩進めて、一般入試による国公
立大学や難関私立大学の合格実績を向上させることが、今後の課題です。そのためには、国語、数学、英語
の基礎学力の向上に取り組み、通常のクラスより一歩進んだ学習を行う「ペースアップクラス」の指導を充
実させる必要があります。そして、教科ごとにセンター試験での得点を目標設定するなど、より具体的な目
標管理による授業改善も必要です。
募集・広報活動については、小・中学生を対象にした取組に加え、学習塾や保護者に特化したPR活動を
検討するプロジェクトを立ち上げるなど、今後の方向性を具体的に検討していくことが求められます。
Ⅱ 経営診断結果
診断ポイント① 学習指導
理系進学校としての教科指導の充実
○ 科学技術への興味・関心が高い反面、基礎学力が不足しがちな生徒へのきめ細やかな指導を行うため、数
学、理科、英語で、習熟の程度に応じた授業や少人数授業を実施しています。また、2、3年生では、通常
のクラスより一歩進んだ学習を行う「ペースアップクラス」を2学年から1クラス編成し、幅広い学力に対
応するため、進学を強く意識した授業形態を実施しています。
○ 課題研究は、科学技術高校にとって「卒業論文」にあたり、教育課程上、最も重要視している教科です。
課題研究の学習活動は、2学年の後期から始まり、生徒は2∼5名の班を作り、自ら課題を見つけ、課題
に沿って研究や調査、実験、発表を行います。
「垂直壁面登坂ロボットの開発」という課題に取り組み、研究
や調査、実験、発表を行った後、さらにテーマを追究し、18年11月に行われた第13回東京都高等学校
工業科生徒研究成果発表大会で日本設計工学会賞を受賞するなど、大きな成果を上げた生徒もいます。
○ 基礎学力、進学対策、資格取得など様々な目的の補習・補講として、18年度は土曜日に135回の補習・
補講を実施しています。また、夏季休業中の夏期講座は1年生対象の11講座、2年生対象の9講座、3年
生対象の24講座を実施しました。
また、生徒の興味・関心を高める目的での短期集中講座として、18年度は123講座を実施しています。
薬学部の教授による講義、英検資格取得講座などを実施し、その結果、薬学部進学希望者の増加や英検準2
級合格者が16年度の12名から18年度は20名に増えるなど、着実な成果を上げています。
- 35 -
7 科学技術高校
しかし、生徒の受講希望が少なくて安定して開講できない講座も一部にあり、生徒の基礎学力の現状を正
確に把握し、生徒の実態に応じた講座の設定や精選などが今後の課題です。
診断ポイント② 進路指導
「ダ・ヴィンチ・プラン」によるキャリア教育の推進
○ 「ダ・ヴィンチ・プラン」は、研究者や科学技術者としてのキャリアを形成することを目指した、科学技
術高校独自の3年間を見通したキャリアプランです。
1学年では「自分の性格を知ろう」として、担任との面接指導などで、進路希望を含めた自己理解と、家
庭学習習慣の定着に取り組みます。2学年では「進路を具体的に考える」として、オープンキャンパスに参
加するなど、
「職業観・勤労観」を育成することを重視しています。3学年では「進路希望の実現を目指して」
として、自分の目指す進路を具体的に実現するために必要な学力や情報を提供し、資質向上を図ります。
○ AO入試合格を目標とした取組が充実しており、学校設定科目である「科学技術と人間」では、1学年の
生徒全員が学習発表会で発表学習を体験し、プレゼンテーション能力を高めます。また、年間を通じたホー
ムルーム等で、担任と進路指導部が連携して組織的
80 %
に面接指導を行っています。その結果、AO入試の
72
70
合格者は47名に達し、四年制大学現役合格者の3
59
60
0%を占めています。
四年制大学
50
50
○ 一方、18年度センター試験の受験者は、目標の
短期大学
専門学校
40
75%を上回る80%を達成するなど、一般受験に
就職
30
よる進学者も増えています。AO入試などに依存し
20
18
その他
20
13
た進学指導からの転換を目指すなど、進学指導の全
17
16
9
10
10
体計画を検証・評価し再編することが必要です。1
4
4
4
3
1
0
8年度の大学進学者の29%は文系に進学しており、
16年度
17年度
18年度
文系科目の補講・補習の充実を併せて図るなど、生
(図1) 過去3年間の進路推移
徒の実態に合わせた対応が不可欠です。
診断ポイント③ 生活指導
組織的な遅刻指導への取組
○ 17年度の遅刻指導対象者(月6回以上の遅刻者)は全校で80名となっていましたが、校長や生活指導
部の教員、生徒会役員による校門でのあいさつ指導や、生活指導部と学年担任による組織的な遅刻防止の指
導を行った結果、18年度は、全校で50%削減することができました。今後は、18年度に削減目標を5
0%と掲げた服装違反についても、遅刻指導と同様な組織的な対応が求められます。
診断ポイント④ 特別活動・部活動
生徒の自己実現を目指す部活動の充実
○ 18年度より「部活動推進指定校」に指定され、学校の特色
い
である「科学技術」を活かした部活動が実績を上げています。
科学技術部では、18年度「ものづくりコンテスト」化学分析
部門全国大会優勝、ロボット部ではマイコンカーラリー全国大
会に出場するなど成果を上げています。また、演劇部では、小・
中学生が参加する科学実験ショーである「サイエンスライブシ
ョー」を演出し、18年度は江東区の小学校3校に出前授業と
して実演されただけではなく、18年11月には、日本科学未
来館で一般入場者約240名に向けて発表し、多くの方から好
(図2) サイエンスライブショー
評を得ました。
○ 専門性の高い部活動の活性化を図るためにも、顧問教諭の知識と技術を高めていくことが必要です。公募
制人事等を活用することにより、計画的に部活動の顧問を配置することも考えられます。
- 36 -
7 科学技術高校
診断ポイント⑤ 募集・広報活動
特色ある教育課程と施設を活用した募集・広報活動
○ 校舎1階にある多目的ホール「サイエンススクエア」を利用して、
「光」や「音」など小学生でも分かるテ
ーマを設定して、展示や小学生自身が体験できる実験コーナーを設けた「科学技術展」を年2回開催し、5
0名ほどの小学生や保護者が訪れています。
○ ホームページについては、月11回以上の更新が行われ、常に最新の学校の状況を伝えるとともに、
「対象
者メニュー」を設けるなどの分かりやすくする工夫をしています。その結果、17年度に比較して18年度の
アクセス数は1.6倍になりました。今後は携帯電話からのアクセス増を見込んだ、携帯サイトの充実など、
こた
サイトへの訪問者のニーズにより応えるホームページづくりが求められます。
○ 一方、多くの高校では教職員による中学校訪問を募集・広報活動の中心に位置付けていますが、科学技術高
校では、17年度に学校見学で訪れた見学者にアンケート行った結果、教職員による中学校訪問が中学生とそ
の保護者の学校見学につながっていないと判断し、18年度は全教員による中学校訪問を中止し、代わりにホ
ームページによる広報に重点を移しました。しかし、中学校訪問を行わないことについては、今後どのような
結果に結びつくのか、客観的な分析と検討が必要です。
○ 13年度の一期生では、女子生徒が占める割合が全体の30%でしたが、18年度は20%と年々減少して
います。在籍する生徒の男女比を同じ程度にするために、ホームページで女子生徒が活躍する部活動の紹介を
行うとともに、学校説明会では、意図的に女性教員や女子生徒の存在をアピールしています。
診断ポイント⑥ 学校経営・組織体制
プロジェクトを中心とした課題解決のための組織体制
○ 18年度から修学旅行、校外講習などの10本のプロジェクトを立ち上げ、学年、分掌、委員会などを横
断する課題の解決を図っています。課題解決のスパンが年単位から月単位に変わったことで、機動的な課題
解決が実現しました。
○ プロジェクトの発足は企画調整会議で決定され、期限を設けて報告書を作成、開示を行って、既存の分掌
や委員会が引き継ぎ、具体的な課題解決に当たります。
○ しかし、プロジェクトが課題に解決に当たった場合、通常の分掌や委員会組織と比べ、課題の存在やプロ
ジェクトの進行具合が迅速にプロジェクトメンバー以外に伝わりにくいという課題もあります。今回の重点
支援の予算により全職員にコンピュータを配備し、校内LANを構築しました。今後、IT化の推進により
校内の課題の共有化が図られ、プロジェクトの進行状況が校内でいつでも、誰でもが知ることが可能となり、
より一層組織的に課題解決が図られるようになることが期待されます。
診断ポイント⑦ その他
組織的・継続的な校内研修の実施
○ 研究部が校内研修の企画・実施を行い「生徒に基本的な学力を身に付けさせるためには」
、
「奉仕」
、
「授業
力向上」をテーマに18年度は合計6回の校内研修を実施しています。校内研修には、常に50%以上の教
職員が参加していますが、より多くの教職員が参加できるように校内体制を整備することが課題です。
○ 18年度に「奉仕試行校」の指定を受けたことを踏まえ、先進校の事例を校内研修で取り上げて研究を行
いました。その結果、従来からアウトドア部が行っている近隣の公園整備のボランティアや、
「サイエンスラ
イブショー」のような小・中学生向け科学実験講座などが、奉仕のねらいに沿った形で実現できるか検討を
重ねることができました。19年度からは、教科「奉仕」で小学生向けの科学実験講座を中心に、奉仕体験
活動を実施しています。
○ 「生徒に基本的な学力を身に付けさせるためには」をテーマとした校内研修では、生徒にどのように家庭
学習を習慣付けるかが課題となり、その成果として、危険物取扱者の資格取得や英語の自宅学習用のeラー
ニング教材を開発することができました。今後、継続して教材の開発を行い、さらにコンテンツを充実し、
生徒の基本的な学力の定着を推進することが望まれます。
- 37 -
7 科学技術高校
Ⅲ 自律的改革の内容(概要)
■重点支援校指定の概要 (18∼20年度の取組内容)
< 一人一人が、ダ・ヴィンチになる ―理系大学進学を目指す―>
○ 理系進学校としての一層の特色化
○ 部活動の充実
○ 課題研究、コンテスト、大会の応募などを通じた生徒の自己実現
○ 3年間を見通した学習指導と進路実現
■主な目標(20年度末まで)
○ センター試験対策指導の充実
○ 生徒の学力状況や進路指導資料の詳細分析
○ 授業時数の増加と国・数・理・英の指導の充実、個に応じた指導の充実、シラバスの改訂充実
○ 予備校研修受講による指導力向上、教員研究成果の共有、普通科・専門分野の相乗効果向上
○ 広報活動及び特色ある施設を有効活用した生徒募集対策
○ 基本的生活習慣の指導充実、部活動の充実
○ 教員間の現状認識及び課題共有、校務処理の簡便化、会議の効率化と短縮
■18年度の目標とその成果(概要)
<達成状況(18年度末)>
<重点目標(抜粋)>
① 国公立大学現役合格者数
10名以上
11名
② センター試験出願率
75%以上
80%
③ 学校設定科目教科(科学技術と人間、 70%以上
70%以上
数理情報など)に対する肯定的評価
④ 頭髪違反者
ゼロを目指す。
(継続) ゼロ
⑤ 1、2学年の遅刻総数
20%削減
50%削減
⑥ 服装違反者
50%改善
40%改善
⑦ 部活動加入率
70%以上
70%
⑧ 体育祭の来場者数
700名
700名
⑨ ボランティア活動・地域交流
3回実施
科技高キャンペーン2回、地域清掃1回
⑩ 推薦入試応募者数
200名以上
183名
⑪ ホームページの更新
月平均6回以上
月平均11回
⑫ 校内研修会
3回実施
6回(基本的学力向上、奉仕、授業力向上等)
Ⅳ 学校経営診断を受けての校長意見
重点支援校2年目を迎え、当初の目標実現に向けて学校経営補正の必要を感じていた。経営診断をもとにして、
い
指摘をいただいた具体的な課題の解決に活かしてゆく。
本校は重点支援校の指定を受けたことが教育活動充実のばねになり、19年度に文部科学省から「スーパーサイ
エンスハイスクール」の指定を受け、特色ある科学技術科をさらに充実させる展望が開けてきた。今後は重点支援
校3年目を通して目標の実現に向けていっそう教育活動の充実をはかる。
- 38 -
(科学技術高等学校長 鳥居 雄司)
8 豊多摩高校
学校経営診断書 ―豊多摩高校―
○
○
○
○
○
所在地
創 立
診断対象
生徒数
主な指定等
杉並区成田西2−6−18
昭和15年1月12日(当時:東京府立第十三中学校)
全日制課程(普通科)
749名(男390名〔52.1%〕、女359名〔47.9%〕)
重点支援校(平成18年度指定)、進学指導推進校
Ⅰ 経営診断結果(総括)
■現状 創立67年の伝統を持ち、感性の育成を大切にする進学校として地域の期待に応えるため、授業力・
組織力・環境力をキーワードに学校改善を進めています。文部科学省の学力向上拠点形成事業実践研究推進
校等の指定を生かし、2学期制や45分7時間授業を行い、授業時間を確保する工夫に加え、放課後や長期
休業日及び土曜日に補習・補講を実施するなど学力向上に向けた取組を行っています。
■成果 夏季休業日中の校内研修や研究授業など授業力向上に取り組むとともに、学校間連携、土曜自習教室、
長期休業日中の補講、サテライト授業など、普段の授業以外にも多くの学習機会を設け、意欲的な生徒の要
望に応える取組を行っています。生徒の日々のあいさつや授業規律、校内美化などには改善が見られます。
■課題と改善の方策 授業は教師からの一方向のものが多く、生徒の姿勢が受け身となる傾向があります。家
庭学習時間が1時間以下の生徒が18年度の一年生で45%となっています。また、ここ三年間、上位大学
への進学実績が下がってきています。生徒を高い目標に向けて努力させる指導の徹底が課題です。改革の方
向性について、6人の主幹の力が結集されているとはいえない状況も見受けられます。
今後は、主幹がまず目指す生徒像について共通認識を持ち、現在の生徒の分析から課題を把握することが
必要です。そしてその課題を学校全体で共有し、課題解決に向けて取り組んでいくことが重要です。
Ⅱ 経営診断結果
診断ポイント① 学習指導 生徒の満足度を高める授業力の向上
○ 45分7時間授業を実施し、数学Ⅰと数学Ⅱで習熟の程
100 %
度に応じた授業、オーラル・コミュニケーションでは、1
80
クラス2展開の授業を行い、生徒の基礎・基本の充実と学
60
56
力の向上を図っています。授業規律については16年度入
55
40
学生から、一層、学年ごとに継続した指導を行うようにな
40
37
20
りました。現在では、生徒の多くはまじめに授業に取り組
0
んでいますが、訪問時には、居眠りをしている生徒や机上
15年度
16年度
17年度
18年度
にジュースを置いている生徒が数名見られました。授業へ
(図1) 生徒の授業満足度
の満足度は37%から56%に上昇しており、改善の兆し
分かりやすく興味・関心の持てる授業が多い
が見られます(図1)
。今後、生徒の意欲や関心を高める授
業内容や方法を工夫するとともに、予習・復習の定着や生徒の積極的な授業参加を促す工夫が必要です。
○ 大学合格者数や年間に2回実施する実力テストの結果などから見て、生徒の学力向上の点では十分な結果
とはなっていません。19年度からは、教務部が中心となって、各教科が作成した学習のねらい等の組織目
標を集約し、授業の充実を図る取組を始めていますが、教科目標の設定が具体性に欠け、定期考査において
も学年での共通問題を実施している教科は英語等となっています。わかる喜び・気付きの導きを促すような
発問の工夫や、生徒の体験的活動を重視するなど、積極的に生徒への働きかけを行ない学習への意欲を高め
るような授業を増やすよう教科として改善・工夫を図る必要があります。
○ 生徒の学習意欲向上や進路実現のために、サテライト授業や土曜自習教室を実施していますが、現時点で
はまだ参加者も少なく、今後の積極的な活用が求められます。土曜日の学習面での更なる活用の検討や、サ
テライト教材を生徒が利用するだけでなく、教員が授業づくりの参考にして、教材開発や発問の工夫につな
- 39 -
8 豊多摩高校
げることも一案です。
い
今後は、教科研修を充実し、文部科学省の「確かな学力育成のための実践研究推進校」の指定を活かし、
他の指定校と交流するなどして各教科の組織目標を具体化し、授業改善に取り組むことが必要です。
診断ポイント② 生活指導 規範意識を育て環境力の向上を図る組織的な生活指導の展開
○ 16年度から、一層、学年中心での生活指導に取り組むよう
%
100
79
78
になりました。あいさつの励行や遅刻の減少への取組、清掃指
80
導に力を入れた結果、校内美化も改善されました。また、
「授業
60
51
45
を大切にしよう」との呼びかけの下、教員・生徒の授業規律に
40
対する意識を高めて、授業中における私語、飲食、携帯電話使
20
用等についての注意喚起を行いました。そのため、保護者の生
0
15年度
16年度
17年度
18年度
活指導に対する満足度は向上しています。
(図2) 保護者の生活指導満足度
○ 生活指導では、生徒部が中心となって学年と連携したり、学
ルールを守らない生徒への指導は適切である
年間を調整したりする十分な体制にはなっていないことが課題
です。例えば、遅刻の指導が学年指導に留まって、全体の指導になっていない状況です。遅刻防止のため、
授業開始時に小テストを実施するなどの提案もありますが、学校全体の取組まではいたっていません。生徒
部や教務部、学年が連携して生活指導上の課題を学校全体で解決していく体制が必要です。
診断ポイント③ 進路指導 3年間を見据えた組織的・計画的な進路指導の展開
○ 学年中心の進路指導から、進路部が計画を立てて学年
人
350
国公立大学
と協力して行う指導体制に変化しつつあります。進路部
4
が調整して学校で実力テストを実施し、定点観測や分析
300
7
24
早稲田・慶
会を開催して課題を共有したり、学校で行う夏期講習等
250
応・上智・東
11
60
5
京理科
の募集の働きかけを行ったりしました。また、進路室を
12
5
明治・青山・
200
30
32
生徒が利用しやすいように資料整理をするとともに生徒
立教・中央・
28
38
法政
150
がインターネットを利用できるよう、PCを増設してい
日本・東洋・
駒沢・専修
210
100
ます。さらにサテライト講習を導入し、土曜自習教室を
156
140
開設するなど学習環境を整え、大学別入試問題集を整備
その他私立
50
大学
しました。
0
○ 進路実績としては、進路決定率は7割となり、四年制
(大学入学年度)
17年度
18年度
19年度
大学合格者数が増加しました。しかし、国公立大学や難
(図3) 現役四年制大学合格者数
関私立大学(早稲田、慶応、上智、東京理科)への合格
者数は減少傾向です。生徒が安易に、推薦や合格しやすい進路に流れる傾向にあることが反映されていると
考えられます。今後は、3年間を見通した計画的で組織的な進路指導を構築するとともに、
「進路のしおり」
に過去の大学別合格者数など生徒や保護者に必要なデータを掲載するなどの工夫を行っていく必要がありま
す。
○ 本校の保護者組織である「おやじの会」に協力を求めて自分の体験に基づいた進路講演会を実施したり、
また、高大連携では農工大、成蹊大、学芸大と提携したりしています。今後は、様々な進路行事を教科目標
などと系統的に連動させて、学校全体で、生徒の実態に合ったキャリア教育を構築することが大切です。
診断ポイント④ 特別活動・部活動 学校行事や部活動等、生徒の主体性をはぐくむ組織的な指導
○ 「学友会」という生徒会組織が主体的に学校行事などに関与し
ています。合唱コンクール、記念祭(文化祭と体育祭の総称)は、
実行委員会が早くから取り組み、その他風紀、保健などの委員会
が毎週定例で開かれています。また、部活動も盛んで生徒の参加
率が高く、部活動や行事への満足度が8割を超える高さです。
昨年度、プロテニス選手によるテニス指導が行われ、高い技術
とそれを裏付ける精神を学ぶ機会がつくられました。今後は、教
- 40 -
8 豊多摩高校
員等による適切な指導のもと、関東大会出場など高い目標に
100
向かって努力する雰囲気作りが必要です。来年度からの「文
80
化・スポーツ等特別推薦」の導入をきっかけに、計画的な指
60
導のもと、生徒の主体性を維持しながら、部活動や学校行事
40
などで高い目標を持たせる指導体制を構築していくことが
20
望まれます。
%
70
83
76
62
78
60
83
80
0
診断ポイント⑤ 健康づくり 組織的な学校保健計画の実施
15年度
○ 食育の観点から保護者の協力を求め、多くの生徒は自宅か
16年度
17年度
18年度
(図4)生徒の部活動・行事満足度
部活動
学校行事
ら弁当を持参しています。生徒の精神的なケアについては、養護教諭を中心に年間数回派遣されるスクール
カウンセラーを活用し、学年と連携した指導が行われています。しかし、学校保健計画については、多くの
教職員の共通理解となっていないなど、学校全体の取組とはなっていない実情があります。
今後は、現在行っている除草などの施設整備や清掃活動等の行事を保健計画と連動させるなど、各教科や
分掌、学年と連携し学校全体で組織的な活動に発展させていくことが求められます。
診断ポイント⑥ 募集・広報活動 地域と連携した組織的な広報活動
○ 学校だより「公孫樹」を発行して学校情報を発信したり、学習内容や学校生活の様子、卒業生の声など詳
しく紹介した「学校紹介2007」という冊子を作って中学生に配布しています。教員の中学校訪問は12
0校を超え、組織的に実施されています。また、中学生とその保護者を対象とした体験授業も18年度から
始めました。
○ 生徒の在籍状況は、これまで多く在籍していた杉並、世田谷、中野区以外の生徒が増加する傾向にありま
す。今後は、19年度から設置したPR委員会の仕事を明確にし、経営企画室と連携し、より広い地域の中
学生やその保護者へのPRを行う必要があります。そのため、ホームページの充実や学校公開の回数を増や
したり、通年の授業公開を充実したりして、いつでも中学生が授業を見に来られ、学校の特色を知ってもら
えるよう、開かれた学校づくりを積極的に推進していくことが必要です。
診断ポイント⑦ 学校経営・組織体制 主幹をはじめとした教職員の学校経営への参画意識の向上
○ 授業規律の確立や授業力の向上など、主幹を中心とした組織的な学校改革を進めていこうとしています。
しかし、変革への不安感が学校内に残っていて、学校経営参画に消極的な姿勢が主幹の中にも見受けられま
す。
19年度は定例の企画調整会議の他に主幹による会議を開き学校改革を進めようとしています。
しかし、
学校の施策が管理職のトップダウンが多く、
教職員からのボトムアップのものが少ないと考える人もいます。
○ 企画調整会議の活性化のためには、具体的で緊急な課題と中・長期的な課題に分けて、生徒の学力につい
て他校と比較するなどして分析したデータに基づいて議論するなど、各分掌の視点から情報提供や提案をさ
せたり、都の動向など各主幹・主任が話題を提供したりする工夫が必要です。そして、会議前に情報提供等
の役割分担を明確にすることで、会議に対する責任感を持たせ、会議内容を充実させることが必要です。
また、主幹会議の内容は、各分掌で報告させ、学校が今何を課題としているか、共通理解を図ることで、
学校の課題について、分掌や教科、学年が建設的に対応を考えるようになり、ボトムアップにつながってい
くと考えます。主幹・主任の意識が、分掌等の業務遂行だけに留まることなく、学校改革へ意欲をもって取
り組み、全職員に、企画調整会議が学校運営の核であることを再認識させるよう、学校運営に携わっていく
ことが重要です。
- 41 -
8 豊多摩高校
Ⅲ 自律的改革の内容(概要)
■重点支援校指定の概要 (18∼20年度の取組内容)
<「授業を大切にしよう」−活力ある学校生活、希望進路の実現へ−>
○ 授業内容の改善、学力向上
○ 組織的・計画的な進学指導体制の確立
○ 基本的生活習慣の確立、ルールとマナー、時間厳守などの指導
○ 自由と責任についての指導
○ 学習の場にふさわしい環境整備
○ 授業公開、体験授業等の充実
■主な目標(20年度末まで)
○ 継続した授業改善、授業力の向上
○ サテライト講習や土曜日自習教室の実施等
○ キャリア教育、進学指導体制の確立と進学実績の向上
○ 組織的な基本的生活習慣の確立に向けた指導
■18年度の目標とその成果 (概要)
<重点目標(抜粋)>
<達成状況(18年度末)>
① 生徒の授業に対する満足度
60%以上
56%
② 長期休業中の補講・補習
40講座以上
開講数は36講座だが、延べ参加者20
00名以上となった。
③ 希望進路決定率
60%以上
70%
④ 合格実績(現浪合計)
⑤ 大学入試センター試験参加者
平均点
国公立大20名以上
難関・上位私大80名以上
200名以上
英・数・国が全国平均以上
国公立大12名
難関・上位私大57名
217名
全国平均を超えていない。
⑥ 生活指導の保護者満足度
60%以上
78%
⑦ 部活動加入率
生徒の部活動満足度
学校行事満足度
90%以上
70%以上
70%以上
93%
83%
80%
⑧ 授業公開参加者
150名以上
107名
⑨ 中学校訪問
60校以上
120校
⑩ 一般入学選抜倍率
1.5倍
1.7倍
⑪ 夢のかけ橋推進事業
連携の推進
中学校7校と連携
Ⅳ 学校経営診断を受けての校長意見
学校経営診断を受け、学校の進むべき方向性に沿った取組や成果については概ね評価をいただいたが、進学実績
の向上と学校改革を支える組織体制と推進等の課題が明確になった。
今後は、教職員とともにこの診断を生かし、企画調整会議の一層の活性化による学校運営の改善と、学力向上に
向けた教科を中心としての組織的な取組を充実し、課題解決を図りたい。
重点支援校としての支援、助言を生かし、
「授業を大切にしよう」をスローガンに一層の取組の充実を図る。
(豊多摩高等学校長 間瀬 友典)
- 42 -
9 園芸高校
学校経営診断書 −園芸高校―
○ 所在地
○ 創 立
○ 診断対象
世田谷区深沢5−38−1
明治41年4月27日(当時:東京府立園芸学校)
全日制課程(農業科:園芸デザイン科、造園デザイン科、食品科学科、
園芸科、食品科、動物科)
○ 生徒数
393名(男129名〔32.8%〕、女264名〔67.2%〕)
○ 主な指定等 重点支援校(平成18年度指定)
Ⅰ 経営診断結果(総括)
■現状 恵まれた教育環境や施設・設備を活用して特色ある農業教育を推進し、専門的知識・技術を身に付け
た生徒の育成を目指している学校です。学科改編を含む自律的改革プランである「園芸リバイバルプラン」
に基づく学校改革と更なる特色化に取り組んでいます。
■成果 ボランティアなど学校外で積極的に活動し、いきいきと農業実習に取り組む生徒の姿から、農業学習
に対する意欲の高さがうかがえました。また、中途退学者や問題行動件数などが減少してきています。小・
中学校等7校2園と連携した地域清掃や、NPOとの連携により実施している「三宅島緑化プロジェクト」
などに取り組み、生徒の農業技術力や規範意識の向上を図っています。
■課題と改善の方策 学習指導の面では、専門教科の活動を基礎学力面で支えていくために、普通教科につい
ても授業研究などを実施し、授業改善に向けた組織的な取組を行うことが必要です。また、進路指導の面で
は、農業科の特色を十分に生かして、多様化する生徒の進路希望の実現を図っていくことが課題です。今後、
今まで以上に卒業後の就職先を開拓したり、大学教員による出張授業を実施したりといった取組が求められ
ます。募集対策の面では、中学校訪問をさらに拡大したり、日頃から小・中学生に対し恵まれた教育資源を
活用して学校開放を行ったりするなど、積極的な広報活動を進めていくことが必要です。
Ⅱ 経営診断結果
こた
診断ポイント① 学校経営・組織体制 都民のニーズに応えた魅力ある農業高校づくり
○ 平成15年度から農場問題検討委員会を設置し、都市型農業高校としての学校改革を検討した結果、他校
に存在する畜産学科ではなく、18年度から動物科を設置することになりました。18年度には、動物科一
期生を受け入れ、新たなカリキュラムを進めるとともに、2、3年次の教育活動を行う上で必要となる実習
用動物の充実や施設・設備の整備を行いました。入選倍率は動物科一期生1.84倍、二期生1.64倍と、
高倍率を維持しています。今後は、他県の教育活動なども参考とし
て、動物愛護コース、動物環境コースの教育内容を生徒の実態に合
わせて改善し、学科としての特色化を更に進めていくことが重要で
す。また、自然環境に恵まれた校地と同様に、保有する小動物への
ふれあいの機会を設けるなど、広く都民へ還元できるような方策を
今後実施していくことが必要です。
○ 学科改編に伴って、すべての学科の生徒に対し、農業の構造や日
本の農業が抱えている問題を学習する農業科学基礎(1年)などの
(図1)動物科実習風景
科目を設定し、専門内容だけではなく現代農業そのものを学ぶ機会を与えるように改善しました。また、技
能面では、農業の即戦力となりうる人材育成を目指し、卒業までに農業技術検定2級(短期大学卒レベル)
の資格取得を目指した指導を実施しています。
- 43 -
9 園芸高校
○ 現状では、個々の教員の努力が教育活動を支えており、専門教科と普通教科の連携や、主幹・主任の連携
といった面においてはまだ十分ではありません。今後は、地域連携や広報活動などの農業科を主体とした取
組に普通教科の教員も関わっていくことや学校経営を効率的に進めていくために主幹会議や企画調整会議を
中心とした組織体制づくりを進めていくことが必要です。
診断ポイント② 募集・広報活動 地域やNPOと連携した学校外活動と募集対策
○ 17年度からNPO法人園芸アグリセンターと連携し、噴火で失
われた三宅島の緑を増やすため、園芸高校の生徒が植林・植栽等の
活動に取り組む「三宅島緑化プロジェクト」を行っています。18
年度には他の都立農業科高校4校も参加し、
春秋2回実施しました。
また、近隣の小・中学校等7校2園とともに清掃活動を実施し、単
に落ち葉清掃だけではなく、希望する近隣住宅や区立公園への生け
せん
垣剪定なども行いました。今後は、これらの活動を継続、発展させ
るとともに、生徒の農業技術力を学校外で活用できる場を拡大して
いくことが求められます。
○ 農業科高校の入学者選抜倍率が低迷傾向
にある状況を踏まえ、17年度まで年間1回
140
であった体験入学を18年度は年間2回に
120
増やし、中学生に対するPR活動を改善しま
100
した。また、入学実績のある中学校や通学可
80
能な中学校を中心に夏季休業中などに訪問
を行い、訪問校数を前年比8%増とすること
ができました。地元の世田谷区からの生徒は
(図2)三宅島緑化プロジェクト
人
129 124
120
17年度
18年度
19年度
109
88
79
70
63
56
60
40
横ばいですが、今までよりも通学区域が拡大
20
しました。今後は、小・中学生に対し、日常
0
25 28
52
52
35
31
25 28
13
世田谷区
的に園芸科、動物科、食品科の教育資源を活
大田区
目黒区
品川区
18
9 7
港区
その他23区
市部
(図3)生徒の通学区域の推移
用した学校開放、体験入学を行うとともに、
中学校訪問校数の増加、ホームページの改善、広報誌の活用といった募集対策の強化を図り、農業科卒業後
の進路先の多様化について広報していくことも必要です。
診断ポイント③ 学習指導 教員の授業力及び生徒の基礎学力の向上
○ 農業系企業で活躍する卒業生を活用した校内研修を3回実施し、その内容を授業に活用することで生徒に
還元しています。他の都立農業科高校教員に対しても参加を呼びかけ、都立高校全体の授業力向上に貢献し
さん
ました。今後は、農業科教員の授業力向上に向けた研鑽をさらに充実させるため、企業へ派遣するなどの方
策も含めて検討する価値はあります。
○ 生徒の進路先は四年制大学や短期大学が近年増加しており、普通教科を充実させ大学進学に向けた学力を
保障することが必要となっています。数学、英語において習熟の程度に応じた授業を実施し、定期試験前後
の補習を行っています。しかし、補習などは教科担当者個人で実施されている状況です。今後は、普通教科
教員の授業力向上に向けた校内研修を設定し、互いの授業を参観し合ったり、国語の少人数授業を習熟の程
度に応じた授業に発展させることについて検討したりするなど基礎学力向上のための工夫が必要です。
診断ポイント④ 進路指導 生徒の自己実現を支援する進路指導
○ 動物科生徒の就職希望に応じて、
動物園や専門学校等との連携を図るべく関係機関との折衝を行いました。
19年度は、上野動物園の職員による講義を年間6回試行するとともに3日間の動物園実習を行います。今
- 44 -
9 園芸高校
後、上野動物園、井の頭動物園、葛西水族館でのインターンシップも予定しています。食品科生徒は、19
年度から専門学校と連携して、調理師や製菓衛生士の資格を取得することが可能となり、調理師には4名、
製菓衛生士には7名の生徒が取得を目指しています。また、大学進学希望者の増加に伴い、18年度は面接
指導や小論文指導を3年の4月から開始するなど充実させました。また、週2回、専門の学科以外の授業や
大学進学に向けた普通教科の発展科目を受講できる「他科選択」を設定しました。しかし、多様化する生徒
こた
の進路希望に応えるためには、動物科や園芸科の卒業後の就職先を開拓することやインターンシップに対す
る取組を拡大するなど、一層の内容の充実が必要です。また、専門教科に対する意欲を高めるために、上級
学校との連携により園芸高校独自では実習できない教育内容を提供したり、大学の出張授業など発展的な学
習を取り入れたりすることも必要です。
診断ポイント⑤ 生活指導 学校生活の規律に対する指導の充実
○ 「あいさつをする」
「ルールを守る」
「汗を流す」とい
35
った園芸高校の生徒指導3原則に沿って、生活指導の徹
30
底を図りました。中途退学者は、17年度の31名から
25
10名に、問題行動件数は、17年度の18件から13
20
件に、遅刻総数は、17年度の10249回から904
15
3回に減少しています。しかし、遅刻総数の当初目標は
6000回であり、まだ十分に改善されたとはいえませ
13,000
12,012
12,000
11,000
9,734
10,249
10,000
9,043
9,000
10
8,000
5
7,000
0
ん。19年度からは、遅刻指導に関するプロジェクトチ
6,000
15年度
16年度
17年度
18年度
(図4) 生活指導の状況
ームを立ち上げ、教務部が学期ごとの皆勤・精勤を表彰
中途退学者(人)
問題行動数(件)
遅刻者数(延人数)
したり、生活指導部が校門指導を組織的に実施したりし
ており、今後、生活指導体制をより一層組織的なものにしていくことが課題です。
診断ポイント⑥ 特別活動・部活動 農業クラブの充実と部活動の活性化
○ 農業クラブ活動では、全国大会で17年度1名だった農業鑑定競技優秀賞を3名が受賞し、測量競技では
都代表として全国大会へ出場するなどの実績を残しています。今後も、農業クラブの活動を充実させ、生徒
の農業に対する興味・関心や知識・技能を高めていくことが重要です。
○ 動植物の世話などの専門教科の活動が放課後や長期休業中に及ぶことが多いため、部活動に取り組むこと
は時間的に厳しい傾向があります。そういった中でも、女子バスケットボール部やテニス部などが限られた
時間を有効活用し熱心に活動しています。保護者や生徒のアンケートでは部活動の充実に対する期待の声も
あるため、園芸高校の教育活動を維持しつつ、部活動との両立を図っていく方策について、今後検討する必
要があります。
診断ポイント⑦ 健康づくり 個々の生徒に応じた教育相談機能の充実
○ 18年度はスクールカウンセラーへの相談件数が年間120件で、前年度の99件から2割程度の増加と
なりました。生徒自らが直接相談に訪れる場合もありますが、養護教諭のすすめによる相談や担任教諭が前
兆に気付いて相談するケースなどの方が多くなっています。また、教育相談委員会を設置することで、スク
ールカウンセラー、養護教諭、担任教諭の連携を図り、校内の相談体制が整備されつつあります。今後は、
い
カウンセリングマインドの知識を全教員が身に付けるための研修を実施したり、恵まれた自然環境を活かし
て生徒の精神面の成長に働きかけたりといった工夫が必要です。
- 45 -
9 園芸高校
Ⅲ 自律的改革の内容(概要)
■重点支援校指定の概要 (18∼20年度の取組内容)
< 輝け!未来に向かう園芸高校 ― 21世紀の農業と環境を支えるスペシャリストの育成 ― >
○ 循環型社会に寄与するため、環境重視型農業教育を導入し、地域連携・貢献・共生の教育活動を通して、経営感
覚を持ち、農業・環境技術を活用できるスペシャリストの育成を目指す。
○ 都民の多様なニーズにこたえた学科改編を行い、愛校心を高めながら、授業改善及び学力の向上、生活指導及び
教育相談の充実、生徒の進路実現、ボランティア活動に取り組む。
○ 「園芸リバイバルプラン」による学校改革により、教育内容の充実、四年制大学・短期大学への進路実現、資格
取得の拡大向上、募集倍率の向上が期待できる。
■主な目標(20年度末まで)
○ スクール・アイデンティティをもたせ、環境を保全し生命を尊ぶ心を養う。
○ 生活指導及び教育相談の充実を図る。(問題行動発生件数8件)
○ 教員の授業力及び生徒の基礎学力の向上を図る。(中途退学者数6名)
○ 学科改編を含む学校改革プロジェクトを推進する。(入選倍率1.5倍)
○ 家庭、地域、NPO、行政などと連携し、活力ある教育を実現する。
■18年度の目標とその成果(概要)
<重点目標(抜粋)>
① 四年制大学・短期大学
進学者
② 部活動加入率
③ NPOとの連携
④ 農業クラブ都連盟大会等
⑤
⑥
⑦
⑧
問題行動発生件数
年間遅刻累計
中途退学者数
資格取得
⑨ 入選倍率
⑩ 大学等との連携
20%
<達成状況(18年度末)>
26.3%
25%
テニススクール開催10回
2領域で出場
49.9%
35回
3領域で出場。(全国大会農業鑑定
競技優秀賞を3名が受賞した。)
16件以下(17年度18件)
13件
6400回以下(17年度10249回) 9043回
15名以下(17年度31名)
10名
漢字検定、英語検定、色彩検定、ワープロ検 いずれかの資格を40.3%が取得
定いずれかの取得者40%以上
1.5倍
1.31倍(園芸科0.86倍、食
品科1.88倍、動物科1.64倍)
四年制大学・短期大学・専門学校等4校以上 技術講習として専門学校2校と連携
⑪ 教職員の専門的力量向上
研修の充実
⑫ NPOと連携した三宅島 (実施)
緑化プロジェクト
⑬ 中学校訪問校数
前年比10%増
企業との連携で専門技術研修会3回
現地活動2回実施
前年比8%増
Ⅳ 学校経営診断を受けての校長意見
施設・設備の充実や関連機関との連携・推進など、教育庁や中部学校経営支援センターの力強いご指導・ご支援
をいただき、新設「動物科」の内容を充実することができました。また、今回の学校経営診断により、本校の課題
のいくつかをあらためて明確に把握できました。
現在、生徒は明るく意欲的な学校生活を送っています。生徒の多様な進路希望を実現させるため、確かな学力と
生きる力が身に付く教育活動を推進します。また、豊かな環境や農業技術を一層活用して、地域と共生する学校、
生徒が誇りをもてる学校となるよう努めます。
(園芸高等学校長 小川 敏雄)
- 46 -
10 練馬高校
学校経営診断書 −練馬高校―
○
○
○
○
○
所在地
創 立
診断対象
生徒数
主な指定等
練馬区春日町4−28−25
昭和38年12月28日
全日制課程(普通科)
674名(男345名〔51.2%〕、女329名〔48.8%〕)
重点支援校(平成18年度指定)
Ⅰ 経営診断結果(総括)
■現状 丁寧な生活指導を行い、落ち着いた学習環境を実現するとともに、部活動を活性化して、地域との信
頼関係を築いてきた学校です。面接などにより学習状況の確認を行いながら基礎学力の向上に努め、生徒の
進路希望の実現を目指しています。
■成果 以前は生活指導面で課題が多い学校でしたが、頭髪指導を中心に丁寧な指導を行った結果、生徒の問
題行動が減り、現在では落ち着いた学習環境が確保されています。進路指導においても、徹底した面接によ
る個別指導の重視や、長期休業中の補習・補講の講座の充実などに取り組み、進路未決定者を減少させてき
ました。また、部活動では女子バスケット部・野球部を中心に、活発に活動し実績を上げた結果、中学校と
の連携が生まれただけでなく、生徒募集の目玉となり、学校行事の中心として活躍するリーダーとなる生徒
の育成にもつながっています。
■課題と改善の方策 生徒の授業満足度が向上していない現状があり、生徒の実態にあった学習指導が更にで
きるよう、授業力の向上を図ることが今後の課題となっています。一部の教科で実施している「学習カルテ」
により生徒の学習進捗度を確認する取組を広げるなど、良い実践例については校内研修や研究授業を通して
紹介し、全教員の共通理解を図って、授業力の向上につとめることが必要です。
Ⅱ 経営診断結果
い
診断ポイント① 学習指導 生徒による授業評価を活かし学習意欲の向上を図る学習指導
○ 生徒による授業評価を実施し、教科ごとに改善策を
70%
生徒に提示するとともに、同時期に、38項目程度の
生徒の実態調査を実施し、生徒指導の一助としていま
す。しかし、生徒による授業評価の授業満足度の結果
60%
では、1回目より2回目の方が、満足度が低下する傾
向にあります(図1)
。今後は、生徒による授業評価の
50%
改善策をより具体的なものとし、研究授業や校内研修
を通して、実践例の検証を行うなど教員全体の授業力
向上に結びつけていくことが求められます。
40%
H17
1回 目
○ 生徒自身が定期考査だけでなく、小テストの結果や
学習進捗度の確認を行い、学習到達度を自ら把握する
「学習カルテ」は、英語・数学の一部で実施していま
H1 8入 学
H1 5入 学
H17
2回 目
H18
1回 目
H1 7 入 学
平均
H18
2回 目
H1 6 入 学
図1 授業満足度が「普通」以上の割合
す。教員と生徒が学習の進捗度について共通認識を持ち、生徒が学習意欲を向上させる方策を見つける上で
大変効果がありますが、毎時間の実施は教員及び生徒にとって負担感があることから、一部の教科にとどま
っています。今後は、
「学習カルテ」に関する校内研修会を実施し、効果的な実施に向けて、様式や実施回数
を教科ごとに検討して、主要教科を中心に年間授業計画を踏まえつつ導入していくことが必要です。また、
実施予定であった勉強合宿については、平成18年度は場所の確保ができず、実施できませんでした。今後
は、意欲のある生徒に対して、効率的な学習方法や学習への取組姿勢を示し、生徒間同士で切磋琢磨してい
- 47 -
10 練馬高校
くためにも、夏季における集中講座の実施など、その代替の対応が求められます。
○ 資格取得については、
「総合的な学習の時間」などを活用し指導を行っていますが、18年度は受検率や合
格率は目標値に達しませんでした。今後は、学年単位で検定を受検するなど学校全体で組織的に対応してい
く必要があります。
診断ポイント② 進路指導 個に応じた指導で、進路未決定者ゼロを目指す進路指導
○ 進路指導部の方針の下、担任が年間6回以上の面接指導を実施しています。特に、就職希望の生徒に対し
ては、毎週面接や試験などのきめ細かい指導を行い、進路未決定者の割合を20%から13%に(60名か
ら28名に)減少させています(表1)
。また、四年制大
年度
14
15
16
17
18
学・短期大学合格者数についても目標の65名を若干上
四年制大学
17%
回ることができました。今後は、進路未決定者ゼロを目
短期大学
13%
8%
8%
8%
7%
指すために、
進路指導部と学年担任団が連携して指導し、
専門学校
36%
32%
37%
32%
34%
働きながら学ぶことができる進路を示していくことが必
公務員・就職
5%
7%
6%
7%
11%
29%
39%
31%
15%
12%
20%
13%
要です。
その他
未定
○ 生徒の実態調査では、
「自分のしたいことがわからな
14%
18%
18%
22%
表1 進路状況
い」
「自分のしたいことに適性があるかどうかわからな
い」と答えた割合をみると、1学年の75%から2学年になっても73%と減っておらず、2学年になって
も進路を決めかねている生徒が多い現状があります。今後は、現状の生徒に合うようにキャリア教育の年間
計画を見直し、生徒一人一人が早期に進路方針を決定できる体制づくりが必要です。従前からの大学や専門
学校から講師を招いてのキャリアガイダンスに加え、全生徒にインターンシップを導入し、面接に新たな工
夫をするなどの指導の充実が必要です。
○ 学年担任団が面接指導を徹底して実施し、生徒個々を十分把握して指導に当たっていますが、転退学者数
は31名となり、目標値の20名以内を上回ってしまいました。今後は、継続的な個別指導とともに、保護
者への積極的な情報提供など家庭との一層の連携が重要です。
診断ポイント③ 生活指導 ルール・マナーを遵守し、規範意識を定着させる生活指導
○ 生活指導部を中心に、入学前・入学時から徹底した頭髪
指導、服装指導を行っており、頭髪や服装に問題のある生
徒はほとんど見受けられません。さらに、年5回1週間ず
つ行っている校門指導、毎日の昼の立ち番などを継続的に
行い、遅刻者数も減少しています(図2)
。
また、授業に参加しないなど問題行動がある生徒への対
応については、生活指導部と学年担任団が連携して厳しく
指導しており、時期を設定して校内巡回も行った結果、特
別指導が17件とここ3年間20件以内で推移しています。
今後は、このような生活指導体制を維持し、生徒の規範
35
30
25
20
15
10
5
0
H14
H15
1年
H16
2年
H17
H18
1・2年計
図2 一人あたりの遅刻回数
意識を定着させていくため、主幹が中心となって分掌ごとの連携を図り、教員全体が統一した生活指導を行
っていくことが重要となります。
○ 全体としては、落ち着いて学習に集中できる授業規律が確立されていますが、まだ一部の授業で、机上に
飲料を出す、携帯電話を操作するなど、基本的な学習マナーが守られていない事例があります。授業規律の
指導について校内研修を実施し、教員全員で授業規律を遵守させる週間を設定するなどの取組が必要です。
診断ポイント④ 部活動 学校のリーダーとなる人材を育成する部活動
○ 部活動が盛んで、野球部は高校野球選手権大会3回戦進出、バスケット部は男女とも都ベスト16などの
実績を上げており、その影響もあって部活動加入率が上昇しています。さらに、部活動に意欲的に取り組ん
- 48 -
10 練馬高校
でいる生徒の中には、学校行事の委員やホームルームのリーダー的な役割として活躍する生徒が現れていま
あいさつ
す。また、女子バスケット部が毎朝校門で挨拶を行うなど、部
80%
活動の生徒が中心となって生徒の規範意識の向上につながる取
70%
組を行っています。19年度の球技大会では、部活動の生徒が
60%
主体となって運営を行い成功しており、文化祭などの他の学校
行事においても同様の成果が期待されるところです。また、今
50%
後は、部活動に入っていない生徒も含め生徒全員が主体的に学
40%
校行事に参加していくことができるような指導などが必要です。
30%
H14
診断ポイント⑤ 特別活動 ボランティア活動や部活動による
H15
H16
H17
H18
図3 部活動加入率
加入率
地域連携を行う特別活動
○ 青少年育成対策委員会のボランティア活動へ部活動の生徒中心に60名が参加し、地域清掃には生徒会が
中心となって参加しています。今後は、地域連携の取組を、学校全体の活動として広げていくため、教科「奉
仕」における地域連携の充実や、地域を活用したインターンシップの積極的導入などが求められます。19
年度の教科「奉仕」では、建設局および地域団体と連携し、環状8号線の緑地帯(東京ふれあいロード)の
植栽に参加する予定であり、今後の広がりが期待できます。
診断ポイント⑥ 募集・広報活動 部活動交流の中学校との連携を通した募集・広報活動
○ 都立高校として有数の実績を誇るバスケット部では、中学
生を招いての合同練習や、練馬高校で行う小中学校部活動顧
年度
15
16
17
18
19
第一次 男子
1.27
1.30
1.41
1.19
1.11
第一次 女子
1.36
1.32
1.41
1.22
1.31
第一次 男女合計 1.31
1.31
1.39
1.20
1.20
推薦 男子
1.84
2.79
3.79
2.63
2.96
さらに、バスケット部向けの学校説明会や1年部員による母
推薦 女子
4.00
3.09
4.41
3.15
4.09
校訪問も実施しており、部活動を通しての生徒募集が効果的
推薦 男女合計
2.85
2.93
4.09
3.15
3.50
問の有志主催のバスケット大会において、小中学生62チー
ムが参加する中、部員が率先して運営や指導を行いました。
な学校PRにつながっています。今後は、
「小中高夢のかけ橋
表2 入学者選抜状況
推進事業」へ参加するなど、部活動交流を学校全体の取組としていくことが必要です。
○ 部活動のPR効果もあって、学校説明会参加者数は3年連続で増加し、18年度は490名(17年度4
10名)となりました。今後は、最近3年間下降傾向にある第一次募集の受検者数を増加させるため、募集
対策委員会が中心となり全教員で行う中学校訪問や、中学校への出前授業、中学生を招いての体験授業など
の取組を行うとともに、文化・スポーツ等特別推薦の導入などの検討を行うことが必要です(表2)
。
○ 地域連絡会である「練馬高校生の健全育成に関する懇談会」を含め、授業公開の参加者数は150名と目
標の人数を下回りました。今後は、生徒募集対策の観点からも、在校生の保護者だけでなく、広く中学生と
その保護者にも授業公開を積極的に呼びかけていくことが必要です。
診断ポイント⑦ 学校経営・組織体制 地域連絡会などを活用した開かれた学校作り
○ 毎年、地域との連絡会として「練馬高校生の健全育成に関する懇談会」を実施しています。地域の町会、
警察、中学校、学校運営連絡協議会などから50名前後の参加者があり、学校に対する活発な意見交換が行
われています。この懇談会で得られた意見を基に、主に生活指導の面で改善の取組を行っており、今後はそ
の改善状況について、ホームページや学校だより等を通して地元はもとより広く都民に成果を発信し、学校
に対する信頼をより一層高めていくことが必要です。
○ 学校の施設開放としては、校舎屋上のドームに設置されている天体望遠鏡を活用して、保護者や地域を対
象に天体観測会を年2回実施しており、毎回30名程度の参加を得ています。また、地域のテニス連盟にテ
ニスコートを、少年野球にグランドの開放を行っていますが、部活動の活発化により開放できる日数の調整
が難しくなってきている現状があります。今後は、施設開放利用団体も地域連絡会に参加してもらい、地域
連絡会と連携して施設開放の実施回数等を調整するなど、地域連携の取組を強化していくことが必要です。
- 49 -
10 練馬高校
Ⅲ 自律的改革の内容(概要)
■重点支援校指定の概要 (18∼20年度の取組内容)
<落ち着いた環境の中で希望進路を実現させる学校−自分の価値を高めて未来を拓こう>
地域から愛され、信頼され、支援されるような、地域に根ざした学校づくり
−生徒・保護者が「入学して良かった」
、教職員が「我が子も入学させたい」と言える学校づくり−
○ 確かな基礎学力の習得、生涯学習の姿勢の習得
○ 主体的に生きる社会人としての育成
○ 大学進学・専門学校進学・就職等、生徒の希望する進路の実現
○ 地域社会に根ざした教育活動、奉仕活動の充実
■主な目標(20年度末まで)
○ 転学・退学・原級留置者の減少
○ 進路実現率の向上、進路未決定者の減少、大学進学者数の増加
○ 行事・部活動の活性化、生徒の学校生活満足度の向上
○ 保護者・地域との連携、生徒のマナー・モラル向上
■18年度の目標とその成果 (概要)
<重点目標(抜粋)>
<達成状況(18年度末)>
① 入選倍率
推薦4.0倍、一般1.4倍以上 推薦3.5倍、一般1.2倍
② 四年制大学・短期大学合格者数
進路未決定者
③ 漢字検定合格率
硬筆書写検定合格率
65名以上
30名以内
30%以上
80%以上
66名
28名
22%
72%
④ 部活動加入率
60%以上
65%
⑤ 文化祭来校者数
1500名以上
900名
⑥ 授業公開への参加者数
250名以上
150名
⑦ 学校説明会への来校者数
500名以上
490名
⑧ 特別指導件数
15件以内
17件
⑨ 転退学者数
20名以内
31名
Ⅳ 学校経営診断を受けての校長意見
厳しくとも愛情ある生活指導、活発な部活動により、落ち着いた学校生活が営まれ、生徒の学校への愛着の高さ
を評価していただいた一方で、取組への課題もご指摘いただいた。
今後、全教職員で課題解決に向けて取り組み、生徒満足度が高い学校を作っていきたい。
特に、生活指導・部活動の面ではこれまでの取組により成果が上がっているので、今後は学習意欲を高める指導
に重点を置き、重点支援校としての本校の目標である「転退学者の減少、進路実績の向上」を具体的に見える形で
実現させていきたい。
(練馬高等学校長 宗像 敏夫)
- 50 -
11 小川高校
学校経営診断書 ―小川高校―
○
○
○
○
○
所在地
創 立
診断対象
生徒数
主な指定等
町田市小川2−1002−1
昭和54年12月19日
全日制課程(普通科)
748名(男396名〔52.9%〕、女352名〔47.1%〕)
重点支援校(平成18年度指定)
Ⅰ 経営診断結果(総括)
■現状 「授業ではぐくむ学力と規範意識、充実した授業で切り拓く中堅進学校」をスローガンに掲げ、授業
力向上に向けた校内研修や研究授業に意欲的に取り組み、組織的な生活指導や進路指導を行っています。
■成果 授業を大切にし、中堅大学進学を拡大するという校長の経営方針が明確であり、意思決定の仕組みが
確立されつつあります。授業規律の確保や教室の美化に全校的に取り組み、落ち着いた雰囲気の中で授業が
行われています。また授業力向上のための校内研修や研究授業を精力的に行っています。生活指導などは、
学校運営連絡協議会や地域からの評価を得ています。経営企画室の経営参画意欲が高く、また予算活用によ
る研修会の実施や施設・設備の充実及び人材確保などにおいて、重点支援校指定の効果を有効に活用し、教
育の質の向上に成果を上げています。
■課題と改善の方策 目指す中堅私立大学や国公立大学への合格に繋がる授業内容の充実や、生徒の学習習慣
の確立をより一層進めていくことが必要です。研修の成果を実際の授業でどのように生かしているのかなど
の授業改善の方策を共有していくことで、一人一人の生徒の学力を着実に伸ばすことが期待されます。
Ⅱ 経営診断結果
診断ポイント① 学習指導 授業力向上への取組と一人一人の力をのばす学習指導
○ 重点支援校指定による予算を有効に活用し、大学や学習塾関係者、進路関係業者や中学校教諭などを講師
として、進学、生徒による授業評価、生徒理解や面接手法などに係わる校内研修を年間10回行いました。
また研究授業は12回を数え、初任者や2,3年次の教員だけでなく、ベテランの教員による研究授業も行
っています。
夏期講習・補習の講座数を充実させており、平成18年度には155名
の生徒が参加しています。図書館を利用した始業前の朝自習も広がりをみ
せ、空き教室や渡り廊下に置かれた机で自習する生徒の姿も見られるよう
になっています。
○ 授業規律の確保に組織的に取り組み、授業を受ける姿勢が整った中で整
然とした授業が行われています(図1)
。
○ 一方で生徒による授業評価や業者テストの結果から、生徒の授業に対す
る満足度が減少している、家庭における学習時間が不足しているなどの課
題も明らかになっています。研究授業や授業後の研究会を充実させ、その
成果について検証し報告し合う場を設定するなどにより、生徒の実態に応
じた教材の工夫や魅力的で分かりやすい授業の進め方、宿題や小テスト等
に意欲的に取り組ませる工夫などが必要です。
- 51 -
(図1)授業風景
11 小川高校
診断ポイント② その他 奉仕の導入等に対応した教育課程の改善
○ 奉仕の導入に合わせて、大学進学に対応できるよう教育課程を改編しました。また、19年度からの本格
実施を視野に入れ、学校設定科目として「奉仕体験活動」を設定しました。教科指導や部活動におけるこれ
までの地域との繋がりを生かした地域の保育園や障害者施設と連携した活動に加え、保護者と共に学校と学
校周辺の清掃活動を行っています。清掃活動後には活発な意見交換が行われ、奉仕の授業の工夫につながっ
ていることは、高く評価できます。
○ 奉仕の時間は、校外での活動が行いやすく、全教員が係わる指導体制が確保できる7時間目に設定する工
夫をしています。また独自に「奉仕人材バンク」を作成し、本格実施に向けた体験活動先として地域の施設
等の登録を進めています。
○ 今後は、清掃場所の拡大や体験活動の仕方、心構えなどについて、より地域のニーズに合った取組方法や、
事前指導や事後指導の在り方を検証していくことが必要です。
診断ポイント③ 生活指導 授業規律の改善など、生活指導への組織的な取組
○ 頭髪指導や遅刻指導に加え、授業をとおしての生活指導の重視が小川
高校の特徴となっています。授業中の携帯電話使用禁止やガム、飲み物
などの飲食禁止、授業開始及び終了時のあいさつや前の授業の黒板をき
れいにしておくことなどについて、
組織的に指導を行っています。
また、
紙の分別や教室の美化にも取り組んでいます(図2)
。かつては、学年や
授業担当者によって差がありましたが、生徒指導部を中心に組織的に行
われるようになったことで、頭髪の問題が見られなくなり、あいさつの
習慣が身に付いてきました。このことは、学校運営連絡協議会や地域か
ら評価を得ています。
○ 今後は校内での連携や生徒及び保護者への説明を丁寧に行うことで、
マナーの向上などより高いレベルでの生活態度の向上に向けて、家庭と
(図2)ごみの分別状況
連携した教育をより強力に推進していくことが重要です。
診断ポイント④ 進路指導 3年間を見通した組織的な進路指導
○ 18年度から進路指導部において作成した3年間の進路指導計画に基づいて計画的な指導を実施してい
ます。合わせて上級学年でも3年計画を参考にした工夫・改善を行っています。
○ 重点支援校指定による予算を活用し、大学や学習塾関係者、進路関係業者などの専門家を招いて講演会を
実施しました。また3年間の進路指導計画に基づいて生徒向けの進路ガイダンスを17回実施しました。学
力や学習習慣の分析を進めるために業者テストを活用し、家庭
50 %
学習の不足などの課題が明らかになると進路指導部から宿題
45
や小テストの活用を提言するなど、精力的に取り組んでいます。
40
○ 小川高校の現役四年制大学進学率は上昇していますが
(図3)
、
35
今後は、3年間の進路指導計画を定着させると同時にその検証
30
を行い、進路実現に必要な学力等を分析するなど、教員一人一
25
人の授業改善に繋がるような取組へと発展させていくことが期
20
待されます。
15
16
17
18
19 年度
(図3) 現役四年制大学進学率
- 52 -
11 小川高校
診断ポイント⑤ 募集・広報活動 学校と地域の双方向の情報交換による募集対策と広報活動
○ 地域の施設等と連携した学習活動、地域行事への参加や主催、中学校や塾への訪問活動、地域への回覧板
や新聞の折り込み広告の活用など、精力的に募集・広報活
動を行いました。また学校と地域の双方向の情報交換とし
5
倍
4
て、学校のホームページ上に「あなたの意見箱」を設置す
3
る計画を進めています。
○ 推薦入試の倍率が大幅に低下し、志望者全体数としても
2
前年度を大きく下回りました(図4)
。原因調査のために中
1
学校へのアンケートを実施しましたが、小川高校の取組を
0
むしろ評価する結果が目立つなど、原因を明らかにするこ
とはできませんでした。前年度の推薦入試倍率の高さから
14
15
16
17
(図4) 入選倍率
推薦倍率
18
一次倍率
19
年度
逆の反響があったことが原因の一つと考えられます。
○ 今後は、入学した1年生へのアンケートを実施するなどにより倍率低下の原因を分析するとともに、教職
員の共通認識を深め、小川高校の特色を効果的に伝える広報活動を組織的に展開することが必要です。
診断ポイント⑥ 学校経営・組織体制 教職員が高い経営参画意識をもった効率的な組織運営
○ 経営方針が明確であり、教職員に周知されています。会議を適正に運営し、意思決定ラインを明確にする
など経営改革が推進されており、経営方針の下に効率的に学校が運営されています。
○ 教職員の適性を踏まえた校内人事や役割分担を行い、若手の教職員、中堅及びベテランの教職員や主幹・
主任など、各教職員がそれぞれの立場に応じて能力を発揮して、積極的に経営に参画しています。また重点
支援校指定による教員異動の公募制を有効に活用し、意欲的な人材を確保しています。
○ トップダウンとボトムアップのバランスのとれた学校経営を推進し、教職員一人一人が更に意欲的に学校
経営に参画していくことで、一層、効果的な学校経営を実現していくことが期待できます。
診断ポイント⑦ 学校経営・組織体制 積極的に学校経営に参画する経営企画室
○ 経営企画室における教育活動への関心は高く、経営企画室の
こた
一層の経営参画促進という経営方針に経営企画室が応え、18
年度から人員配置が減っている中でも意欲的に経営に参画して
います。
○ 予算管理の適正化を進め、経営企画室主導により教育活動に
効果的な予算、施設・設備の管理を行っています。重点支援校
指定による予算を教育活動に有効に活用するため、トレーニン
グ設備と視聴覚室を新たに設置しました(図5)
。また経営企画
室職員がホームページ委員会の委員長を務め、月に複数回更新
を行っています。
(図5)トレーニング設備
○ 管理職と経営企画室長が綿密な打合せを行うことで課題を明確にし、経営企画室が主催する研修会を行う
などにより、教職員の意識改革の確立が期待できます。
- 53 -
11 小川高校
Ⅲ 自律的改革の内容(概要)
■重点支援校指定の概要 (18∼20年度の取組内容)
<自己への挑戦、小川高校でジャンプ
― 授業で育む学力と規範意識、充実した授業で切り拓く中堅進学校 ―>
こた
○ 進学希望に応えるための授業力の向上と教育課程の改善
○ 組織的な生活指導
○ 組織的な進路活動
○ 地域に密着した募集対策・広報活動
○ 効果的な組織運営
○ 経営企画室の経営参画
■主な目標(20年度末まで)
○ 中高連携などによる校内研修会、ベテラン教諭も含めての研究授業、保護者・地域や教員相互の授業公開
などの充実
○ 目指す学校像に沿った教育課程の編成、地域の教育力を生かした教育課程の開発
○ 授業規律確保や朝自習の充実、部活動促進、地域行事の主催
○ 学力到達テストの実施・活用、進路部主催の校内研修会
○ 中学校訪問や印刷物による広報、ホームページの充実、地域行事の主催
○ 会議の適正化・効率化や校内規定の改訂、校内LANの活用
○ 経営企画室の主催する研修会、重点支援の活用や適正な予算執行
■18年度の目標とその成果 (概要)
① 生徒の授業満足度
② 各種講習会の参加生徒数
<重点目標(抜粋)>
前年比5%増
前年比5%増
<達成状況(18年度末)>
10%減(8割→7割)
5%以上増(103→155名参加)
③ 「奉仕」の試行と人材バンク設立
④ 朝自習の実施
⑤ 部活動加入率
(達成)
生徒の参加5%以上
前年比5%増
(達成)
5%以下(29名 全校750名)
前年比7%増(66%→73%)
⑥ 頭髪に課題のある生徒数
ゼロに近づける。
徹底した組織的取組でゼロ達成
⑦ 大学への進学者数(現役)
100名以上の継続
120名
⑧ 志望予定者数
前年度維持
大幅に減少 (推薦入試倍率低下)
⑨ 学校説明会来訪者数
前年度比5%増
⑩ 年間の授業参観者数
前年度比5%増
5%減(夏季休業中の訪問は1割増)
(571→540名)
12回の研究授業など多くの授業公開
で達成(168名→184名)
Ⅳ 学校経営診断を受けての校長意見
人は他者に見られることを意識したとき初めて自分を見つめるようになる。診断チームの皆さんを前に、現状を
説明するときの緊張感を全教職員で共有することが大切だと考えるようになった。
今後は一人一人の学力を向上させることをめざし、進路実現に必要な学力等の分析や家庭学習の習慣づけ等、授
業内容の充実を進めていきたい。また、校内研修の実践的活用を推進して、授業を始め様々な場面で総合的な指導
ができるように、教職員の資質と組織力の向上を目指していきたい。
「自己への挑戦」を志す中学生が、
「小川高校でジャンプ」しようと多数応募してくる学校となることが、様々
な支援をいただいた重点支援校としての使命と考える。
- 54 -
(小川高等学校長 小林 幹彦)
12 町田工業高校
学校経営診断書 −町田工業高校―
○
○
○
○
○
所在地
創 立
診断対象
生徒数
主な指定等
町田市忠生1−20−2
昭和37年12月1日
全日制課程(総合情報科)
481名(男370名〔76.9%〕、女111名〔23.1%〕)
重点支援校(平成18年度指定)
Ⅰ 経営診断結果(総括)
■現状 総合情報科を有する専門高校として、情報教育を核に情報活用能力を育て、資格取得の指導の充実や
ものづくり等の実践的な職業教育を実施しています。
■成果 施設・設備を有効に活用して情報技術教育を充実し、地域社会から信頼される学校として、小・中学
校、大学等や地域の関係機関と連携し、町田地域の科学技術教育の中心校として教育活動を行っています。
■課題と改善の方策 基礎・基本を重視し、きめ細かい指導をしていますが、生徒の実態や進路希望に応じた
分かりやすい授業やキャリア教育の推進、総合情報科に改編して5年を経過し、教育課程の検証や見直しが
必要です。生徒がさまざまな機会で成長している様子や、ものづくり教室等、町田工業高校で取り組んでい
ることを、地域や小・中学校に対してより積極的・組織的に情報発信を行うことも今後の課題です。
Ⅱ 経営診断結果
診断ポイント① 学習指導 資格取得を学習意欲に結びつける指導の工夫
○ 基礎学力の定着度に差がある状況を踏まえ、習熟の程度に応じた指導や少人数授業を中心にきめの細かい
学習指導を行っています。生徒の課題に応じた指導を行うため、総合情報科では平成14年度から放課後の
コンピュータを開放して、個々の生徒に教員が関わりながら補講を実施しています。18年度からは国語、
数学、英語を中心に1週間ずつ補習・補講を実施しています。さらに、生徒の興味・関心に応じた指導の工
夫などの組織的改善を一層進めていくことを期待します。
○ 専門高校としての特色化を進め、ものづくり指導や情報教育を中心とした資格取得指導を充実させ、生徒
に自信と意欲を醸成し、生徒一人一人がもつ能力を高める指導を実施しています。16年度は資格・検定取
得数が216件でしたが、総合情報科の5系列での指導の充実や漢字検定、英語検定等への指導を広げ、1
7年度は330件、18年度には352件となりました。19年度は400件と、更なる向上を目標として
います(図1、図2)
。
1年次
2年次
3年次
400 件
情報デザイン系列(合計20単位分)
基礎的な学習をし
300
ながら、5系列の学 アプリケーション系列(合計20単位分)
習を経験し、自分の
情報システム系列(合計20単位分)
学びたい分野を見
電気システム系列(合計20単位分)
極めます
機械システム系列(合計20単位分)
200
100
0
16年度
17年度
18年度
(図2) 資格・検定取得数の推移
(図1)総合情報科の5系列
○ 1年生では原則履修科目である「工業技術基礎」の学習などを通して学んだ知識・技術を資格取得に結び
つける取組を工業科と学年担任が連携して進めています。
電卓検定3級やワープロ検定3級などの入門的資格については、全員に挑戦させており、合格率は学年全
体で69%となっています。検定を受検し合格することで、町田工業高校での学習への意欲や、進学して更
に勉強を続けたいという意欲につながっており評価できます。
2年生からは系列に分かれて学習をしており、系列の特徴を生かした資格取得に取り組んでいますが、
「工
業技術基礎」での学習内容を総合情報科全体で体系化して、より早期に資格取得にチャレンジする学習環境
や教育課程づくりが求められます。
- 55 -
12 町田工業高校
今後も一層の指導の充実を図るとともに、より上位の級に合格するための指導体制や教員の研修、卒業後
に生かせる資格等の推進をしていくことが重要です。
○ 校内LANが整備されており、
「生徒による授業評価」などの集計、分析に力を発揮しています。資格取得
に向けて取り組むことによって、生徒自身の学習に対する意欲がどのように向上しているか、分析項目を工
夫することで、評価を活用してより実態に応じた改善につなげていくことが必要です。
こた
診断ポイント② 進路指導 生徒のニーズに応える進路指導
○ 町田工業高校は就職に対してきめの細かい指導と実績を上げています。
ものづくり教育を中心とした専門教育を実施し、就職を希望する生徒の
進路決定率は100%となっています。
18年度には、専門学校を含めた進学率が就職率を超えました。今後
は就職指導に加え、進学指導についても充実させることで、生徒の進路
こた
に対する幅広いニーズに応えていくことが強く求められます。
○ 進路指導室は進路データや進路先のファイリング資料が充実していま
す(図3)
。一般的に、3年生は進路決定の時期になると昼休みや放課後
(図3)進路指導室
に頻繁に利用するようになりますが、町田工業高校では1年生、2年生
の利用も多く見られます。面談室では、3年生に対しては生徒に自信をもたせるため
に面接に重点をおいた指導を実施しています(図4)
。今後も進路情報を適切に提供す
るとともに、キャリアカウンセリングの充実を図っていくことが期待されます。
○ 進路指導として、1年生では、職業の基礎的学習として、大学教授による幅広い職
業についての講話を実施しています。2年生では、アルバイト、パート、正社員の違
い等について外部講師を招いて指導しています。3年生は面接のやり方を中心に指導
を行っています。今後は、学校全体で3年間を見通した系統的なキャリア教育を実施
し、一層の進路指導の改善・充実に向けて取り組むことが必要です。
診断ポイント③ 進路指導 大学・企業等と連携した指導の工夫
(図4) 面談室
○ 進路指導部が中心となり、町田地区や卒業生が在学している大学等を
訪問し、町田工業高校の教育課程や生徒の学習成果などについての理
解・広報活動を行って、進路開拓を積極的に行っており評価できます。
○ 18年度には桜美林大学や東京工芸大学等4校の大学と高大連携の調
印を行いました。大学からは、聴講制度、インターンシップの受入、出
前授業、サマースクール、映像コンクール等の実施、町田工業高校から
は「色彩」の出前授業、オープンキャンパスのお手伝い、情報教育研究
会の視察などを実施しています。さらに、町田工業高校生のための体験
(図5)自転車の分解組立実習
教室、
「課題研究」での指導、デッサン教室開講、進学対策についてのア
ドバイス講座の実施が計画されています。
○ 地域の科学技術のセンター校を目指しており、地元企業との連携を重視して取り組んでいます。
あっ
商工会議所とは、インターンシップの斡旋、産業フェスタ等への出展等の連携がなされています。文具メ
ーカーからユニバーサルデザインについての体験型授業を受けています。また、自転車製造会社からは「自
転車の分解組立実習」の講義を受けています。学校での実習では体験できない講座の開設に協力を得ていま
す(図5)
。
情報技術に関する分野は専門性や先進性が求められます。今後は、企業での取組を教員が教科指導で活用
したり、研修の充実を図ったりするなど、継続的、組織的に取り組んでいくことが必要です。
診断ポイント④ 生活指導 基本的生活習慣の確立と規範意識の向上
○ 毎朝、校門でのあいさつ・声掛け指導を生徒指導部・担任を中心に行いながら生徒の様子を把握していま
す。頭髪・服装については定期的に一斉指導を実施しています。また、授業規律の確立のため、授業開始時、
終了時のあいさつの励行を行っています。回数を重ねるごとに効果が現れています。
○ 人権教育プログラムを作成し、自他尊重の精神を育てる指導を行っています。指導の継続や指導方法の共
- 56 -
12 町田工業高校
有化を図っていることは、大変評価できます。
○ 学級や部活動などにおいて生徒の居場所づくりに取り組んでいます。リーダーや集団を動かす経験をもつ
生徒が比較的少ないことから、生徒会活動を、生徒会担当が生徒主導へと移行させています。18年度は、
体育祭の応援合戦を生徒に任せたところ、自主練習を行うようになりました。また、文化祭では系列の企画
展示の充実が図られる、学年行事が係主体で進められるなどの成果が出ています。
こうした指導の結果、問題行動や特別指導の件数が大幅に減少しました(平成18年度 41件 19年
度 10月末日で6件)
。今後も、継続して基本的な生活習慣や社会人としてのマナーやルールを身に付け
る指導に取り組んでいく必要があります。
診断ポイント⑤ 特別活動・部活動 帰属意識の高揚に向けた取組
○ 数年前まで、生徒会活動は教員主導で行われていましたが、18年度からは生徒の自主性を高めるために
生徒会の自主的に活動させるようにしています。その結果、正門付近に花を植える活動が始まりました。
○ また、地域活動として、ユニセフの活動、町田市少年少女発明クラブ主催の「水ロケット大会」への協力、
ユースフォーラムなどの実行委員会への参加を行っています。地域と連携した活動に参加することで、町田
工業高校の生徒としての自覚や自己有用感の獲得、行動面での変容が期待できます。
○ 部活動では、1年生に全員加入を呼びかけ、1年生、2年生も高い加入率となっています。町田工業高校
の特色を生かしたマシンクラフト部は、エコノパワー燃費協議会全国大
会で、都立高校では最上位の成績をおさめています。他には、ロボット
部が3大会に連続出場しています。
また、多様な生徒が在籍しているので、生徒のニーズを取り入れた部
活動・同好会を創設しています。
工業高校としては女子生徒が多いので、
ブラスバンド部を立ち上げ、重点支援校予算を活用しています。部員も
年を追うごとに増えています(図6)
。
今後は、
生徒の取組を支え、
部活動の活動レベルを高めていけるよう、
(図6)ブラスバンド部
専門性をもった指導者の確保や活動のための環境整備が必要です。
診断ポイント⑥ 健康づくり 相談活動を中心とした心の健康教育
○ スクールカウンセラーの配置や重点支援校予算でカウンセリングルー
ムの整備を行いました(図7)
。
18年度のスクールカウンセラーによる面接実施人数は、1学期29
名、2学期46名、3学期32名(保護者、教員を含む)
、合計107
名となりました。さらに、アドバイザリースタッフ制度を活用して、主
に保護者と教員への対応を行っています。
(図7)カウンセリングルーム
○ 養護教諭、スクールカウンセラー、学級担任、生徒指導部等との連携
は密に行われており、連絡会議などが設けられ、適切な情報交換が行われています。今後も連絡会議の内容
を一層深めながら学校の課題に取り組んでいくことが必要です。
○ 教職員全員での相談機能を高めるため、保健部が中心となって、生徒全員が、誰か一人でも教員に相談で
きるようにするため、
「話してみませんか」というアンケートを実施して、生徒が自分から相談する先生を指
名することができるようにしました。日程は保健部が調整し、教員が面談を行い、面談を終えた教員は報告
書を作成して保健部に報告しています。これらの情報などをもとに、拡大学年会を開催して、教科を担当し
ている全教員で情報交換を実施しており、教員の意識が高まっています。学校全体の取組としてさらに発展
させていくことが期待できます。
診断ポイント⑦ 募集・広報活動 ものづくり教室等による小・中学校等との連携
○ 地域と連携し、地域の科学技術教育のセンター校として小学校や中学校との連携を図っています。
小学生パソコン教室の実施、中学生ものづくり教室では、クラフトデザイン、CGデザイン、動きのある
ホームページ作成、お散歩ロボットの制作を設け、生徒が学んだことを生かして講師役を務めています(図
8、図9)
。生徒は講師役を務めるために、日ごろから学んでいる内容を振り返り、教えるための学びの確認
を行っています。その結果、生徒のモチベーションが上がっています。
- 57 -
12 町田工業高校
小・中学生に対してものづくりの楽しさや町田工業高校の魅力を伝えていく試みとして高く評価できます。
また、中学生のものづくり教室に参加した生徒が町田工業高校に入学する例が増えてきています。
○ 近隣の消防署出張所からの依頼で、
情報デザイン系列の生徒が火の用心の大看板を作成しました
(図10)
。
町田市内からの通学生徒が多い町田工業高校は、地域と連携した取組を行うことが、学校の広報活動にも
結び付いています。今後も取組の継続と近隣の小学校、中学校への拡大が期待されます。
(図8)小学生パソコン教室
(図9)中学生ものづくり教室
(図10) 「火の用心」大看板
Ⅲ 自律的改革の内容(概要)
■重点支援校指定の概要 (18∼20年度の取組内容)
<地域社会に貢献する情報技術のセンター校 −多様な連携活動を通して−>
○ 生徒の能力育成:基本的な生活習慣の定着、基礎学力指導の充実、資格取得指導の充実
○ キャリア教育の充実:今まで以上にキャリア教育の充実を図り、進路指導の充実
○ 地域との連携:町田地区の科学技術の中心校として、地域の科学技術教育を推進
○ 生活指導の充実:服装、頭髪等高校生に相応しい指導を行い、居場所のある学校づくり
○ 学校理解の推進:専門高校への理解を進めるため、PR活動、各方面との連携活動を活性化
○ 退学者等への対応:35人学級、総合情報科への学科改編、学校への帰属意識の高揚
■主な目標(20年度末まで)
○ 生徒の能力育成:系列の特色を発揮し、ものづくりや資格取得等の具体的指導を実施する。
○ 多様な生徒に対して、習熟の程度に応じた指導、少人数授業を活用し、きめの細かい指導を実施する。
○ キャリア教育を充実させ、生徒の希望に応じた進路先の開拓と進路を保証する。
○ 特別活動や部活動を活性化させ、学校生活に対する意欲や帰属意識を向上させる。
○ 基本的生活習慣の確立、学校保健計画に基づく健康と安全の教育、相談活動の充実を図る。
○ 開かれた学校づくりとして、情報教育を通して地域と連携を図る。
■18年度の目標とその成果(概要)
<重点目標(抜粋)>
① 工業関係の競技会への参加の機会を増やす
② ものづくり教育を推進する
③ 奉仕体験活動の導入のための研究
こた
④
⑤
⑥
⑦
⑧
生徒のニーズに応える進路指導
生徒が自分たちで学校行事を運営する
町田市科学教室を教員が講師になり実施
心の健康教育・相談活動の実施
小学校児童を対象にものづくり教室を実施
<達成状況(18年度末)>
エコカー大会都立1位、ロボット大会出場
中学生ものづくり教室を6講座実施
企業と連携した奉仕体験活動を実施
全教員による面接指導を実施
体育祭、文化祭、学年行事で自主的な運営
赤外線センサー、発光ダイオード講座を担当
話しやすい教員との面談体制構築と実施
パソコン教室を実施、水ロケット大会協力
Ⅳ 学校経営診断を受けての校長意見
本校は、総合情報科5系列の取組が高く評価され教職員の励みとなり、情報技術教育を進めることができる。
今後は、情報機器の充実を図り地域に貢献できる情報技術のセンター校、総合情報科としての教育課程の改編を
進め情報活用能力を高める授業を展開する。さらに、生徒、保護者、都民から信頼される工業教育、キャリア教育、
地域連携を実施する。
(町田工業高等学校長 石坂 政俊)
- 58 -
13 松が谷高校
学校経営診断書 −松が谷高校―
○
○
○
○
○
所在地
創 立
診断対象
生徒数
主な指定等
八王子市松が谷1772
昭和55年12月25日
全日制課程(普通科 / 外国語コース)
840名(男358名〔42.6%〕、女482名〔57.4%〕)
重点支援校(平成18年度指定)
Ⅰ 経営診断結果(総括)
■現状 基礎学力の充実、外国語コースの特色を生かした国際理解教育を推進し、部活動・特別活動の充実な
こた
どを通して、地域に根ざし地域住民の期待に応える学校づくりに取り組んでいます。
■成果 教育課程の改善を行い、授業時間の確保に努めています。また、習熟の程度に応じた授業の実施科目
数を増やしたり、長期休業中の補習、講習の講座数を増やしたりするなど、生徒の学力の向上に取り組んで
います。進路指導では、3年間を見通した進路計画の策定を行い、より組織だった指導を可能にしました。
生活指導では、授業規律の確立に取り組むとともに、面談週間を設定し、家庭と連携しての指導を推進して
います。また、学校経営では、委員会組織の改編による学校組織の改善を行いました。
■課題と改善の方策 教育課程の改善や3年間を見通した進路計画について、いかに生徒の学力や進路実績の
向上に結びついたか成果を検証するとともに、教員の授業力向上について、研究授業や校内研修を計画的に
実施し、分かる授業、魅力ある授業に向けて改善していく必要があります。また、土曜日の教育活動や長期
休業中の補習、講習などについても、継続的にその内容の工夫を行う必要があります。そのためには、企画
調整会議や主幹会議を一層充実させて、学校組織を活性化させていくことが重要です。
Ⅱ 経営診断結果
診断ポイント① 学習指導 学力の向上と教育課程の改善
○ 平成18年度は、教育課程の
改善を行い、
「理科総合」や教科
「情報」など、本来低学年での
履修が望ましい科目を3学年か
ら1学年に配置するとともに、
地理歴史の「日本史A」と「地
理A」を選択制にしました。ま
た、外国語コースにおいて、
「オ
ーラル・コミュニケーションⅡ」
や「ライティング」の履修単位
(図1)授業風景
(図2)“e ラーニング”を活用した学習
数を増加させるとともに、3学年での外国語の自由選択科目
60%
を増やすなど、外国語コースの特色化を推進しました。今後
50%
は、
教育課程の改善の趣旨と照らし合わせて、
成果を検証し、
40%
更なる改善につなげていくことが必要です。
30%
56%
51%
48%
46%
20%
○ 習熟の程度に応じた授業を、18年度は、普通科では3科
10%
目、外国語コースでは2科目に増やして実施し、生徒の個に
0%
応じた学力向上に向け取り組んでいます(図1)
。
15年度
16年度
17年度
18年度
また、PCLL機器や“eラーニング”を活用した学習を
(図3) 生徒の授業満足度
実施し、英語教育の一層の充実を図りました。生徒全員に個
人別ID番号を割り振ったことで、随時の自学自習が可能になりました(図2)
。特に英語検定試験1か月前
から実施した4回の補習では、このシステムを活用し、毎回約25名が参加し、2級合格2名、準2級合格
- 59 -
13 松が谷高校
16名の合格者を出しました。
○ 長期休業日中の補習、講習を、進路指導部主導で組織的に計画しました。基礎学力向上のための補習は、
5講座52名、進学を支援するための講習は20講座295名となり、合わせて347名の生徒が参加しま
した。今後は、生徒の学力の伸びを把握し、客観的なデータを基に成果を検証し、一層の改善を図っていく
ことが必要です。
○ 生徒の授業満足度は、60%を目標にしていましたが、17年度56%から18年度は48%に下がって
しまいました(図3)
。研究授業の実施や校内研修の実施、生徒
時間
による授業評価の活用等により、一層、授業改善に取り組んで 1000
956
950
いくことが望まれます。
903
900
○ 「長期休業日等の弾力的運用試行校」として、土曜日の教育
847
839
850
活動を行うなどして、
授業時数の確保に努めました。
その結果、
800
総授業時数が、1学年では、17年度の903時間から18年
750
度は956時間に、2学年では、17年度の863時間から1
15年度 16年度 17年度 18年度
8年度は931時間に増加しました(図4)
。
(図4) 総授業時数(1学年)
診断ポイント② 進路指導 3年間を通した進路計画の策定と進路指導の充実
○ 従来は学年主導型であった進路指導について、進路指導部が中心となって、3年間を通した進路計画を策
定しています。全学年での基礎学力テストの実施による生徒の実力の定点観測など学力向上に関する計画の
みならず、キャリア教育も視点に入れた計画となっています。 88%
86%
86%
86%
今後は、策定した計画の成果を検証し、より生徒の実態に合
84%
うように、改善を積み重ねていくことが望まれます。1、2
82%
80%
80%
学年のより具体的な計画や、キャリア教育について、更に検
78%
討しながら計画に盛り込んでいく必要があります。
76%
進路決定率は年々上昇しています(図5)
。しかし、国公立
74%
74%
72%
大学や、難関・上位私立大学の合格者数(平成17年度 13
70%
名 18年度 4名)は伸び悩んでおり、進路計画を基にして、 68%
一層、個に応じた進路指導を充実させることが必要です。
15年度
16年度
17年度
18年度
(図5) 進路決定率
診断ポイント③ 生活指導 家庭と連携した生徒の健全育成
○ 生活指導部が中心となり、
定期的に指導期間を設定するなどして、
服装、頭髪指導に取り組んでいます。学校訪問時の授業参観では、
生徒の中には若干、頭髪等に乱れのある生徒が見受けられました。
今後とも継続して取り組んでいく必要があります。
また、教務部、保健部が連携し、授業規律の確立に向けて取り組
んでいます。教務部は、
「指導月間」と題した授業規律キャンペーン
を実施し、生徒の意識付けを行いました。また、保健部は、校内販
売飲料の検討により、ペットボトル飲料のみを販売することにしま
した。これにより、授業中は机上に飲み物を置いておかないよう指
(図6)授業風景
導することが可能になりました。学校訪問時の授業参観では、机上
に飲み物を置いている生徒はほとんどいませんでした(図6)
。また、保健部は環境教育の一環として、ごみ
の分別作業を生徒自身に行わせるなど、作業を通した生徒の意識づくりを積極的に行っており、評価できま
す。今後も、全教員が共通認識をもって生活指導に当たるようにすることが必要です。
○ 2週間にわたる面談週間を設定し、413家庭(全家庭の48%)の生徒、保護者と三者面談を実施しま
した。三者面談を希望しない生徒には、生徒との二者面談を実施しました。また、教科担任連絡協議会(拡
大学年会)を実施し、教員間の情報の共有化を図っています。学校と家庭との連携によって、生徒の健全育
成に努めていることは評価できます。
診断ポイント④ 特別活動・部活動 部活動の活性化と地域との連携の推進
○ 「奉仕体験活動必修化試行校」として、サッカー部、陸上競技部、男・女バスケットボール部、男子バレ
- 60 -
13 松が谷高校
ーボール部の5つの運動部と和太鼓部、ダンス部の2つの文化部が交流体験学習を行いました。102名の
生徒が参加し、学校外の学修として単位認定を行いました。運動部の生徒は部活動指導交流として中学生へ
の技術指導を、文化部の生徒は地域での演奏活動などの地域連携を実施し、19年度の全校実施に向けて「奉
仕体験活動」の基礎研究を行いました。
また、4つの運動部が都大会ベスト16以内に入りました。特に
女子硬式テニス部はインターハイ予選都ベスト8、都立対抗団体戦
等優勝の成果をあげ、アーチェリー部は関東選抜大会出場などの活
躍が見られました。グランドの簡易照明装置とウエイトトレーニン
グルームが設置され、今後、ほかの運動部も含め、更なる活躍が期
待できます(図7)
。
○ 外国語コースの特色ある学校行事の一つとして、夏季休業中に2
年生を対象にして夏季英語合宿を実施しました。参加者が19名と
予定していた人数より少なく、外国語コースの生徒に、いかに幅広
(図7)ウエイトトレーニングルーム
い英語の学習への意欲を向上させるかに課題を残しました。
診断ポイント⑤ 健康づくり 心身の健全育成
○ 東京都教育相談センターのアドバイザリースタッフ派遣事業を活
用して、アドバイザリースタッフによる教育相談を5日間設定し、
12名の生徒と1名の教員がカウンセリングを受けました。また、
余剰教室2教室を間仕切りして、4つの教育相談室を新設し、教育
相談体制の充実を図りました(図8)
。防音工事もされており、面
談週間のみならず、日ごろの生徒との面談でも活用されています。
(図8)教育相談室
充分な生徒理解に努めるきっかけとして利用していくことが必要で
す。
○ 主に運動部の生徒を中心に救急救命教室を夏季休業前に実施し、蘇生法、AED(自動体外式除細動器)
の使用方法、熱中症への対応方法などについて学びました。生徒の意識が高まるなど、さっそく効果が現れ
ています。今後は、運動部の生徒以外の生徒も参加させるなど、参加生徒数を増加させ、より多くの生徒の
健康づくりにつなげていくことが必要です。
診断ポイント⑥ 募集・広報活動・地域交流 組織的な広報活動の推進
○ 中高連携事業を実施し、サッカー部、陸上競技部、男・女バ
人
1059
1100
スケットボール部、男・女バレーボール部、ソフトボール部、
1000
男・女硬式テニス部、剣道部、野球部の11の運動部が参加し
858
853
900
ました。実施日数は57日、参加した中学校数は136校、参
801
800
加した中学生数は416名でした。
700
また、学校説明会を5回、中学生対象の体験学習会を1回実
600
施し、1059名の参加がありました(図9)
。
15年度 16年度 17年度 18年度
入学者選抜の改善として、文化・スポーツ等特別推薦を導入
(図9) 学校説明会参加延べ人数
しました。サッカー部、陸上競技部、男・女バスケットボール
部、男・女硬式テニス部、剣道部、野球部の6つの運動部に、30名の応募がありました。一方、入学者選
抜(学力)の最終倍率は、普通科1.26倍、コース1.13倍と目標の1.3倍には届きませんでした。
今後は、学校のホームページの更新を頻繁に行うなど、学校の最新情報の発信を迅速に行うとともに、組
織的な広報活動を実施し、入学者選抜倍率の向上を図ることが必要です。
診断ポイント⑦ 学校経営・組織体制 委員会組織の再編による学校組織の改善
○ 「教育課程」と「奉仕」の2つのプロジェクトチームを委員会として位置付けました。また、委員会組織
を15の委員会から12の委員会に再編成し、校務を効率化し、より機動力のある組織に改編しました。今
後は、これらの委員会をより活性化させて、意見のボトムアップを図るとともに、企画調整会議や主幹会議
の更なる充実を図り、学校全体の活性化に結び付けていくことが重要です。
- 61 -
13 松が谷高校
Ⅲ 自律的改革の内容(概要)
■重点支援校指定の概要 (18∼20年度の取組内容)
<部活動を推進し、生徒の健全育成を図るとともに、生徒一人一人の進路希望の実現を図る学校づくり>
○ 進路希望を具現化させるため、教育課程の改善を行うとともに、教育課程と関連付けた3か年間の進路指導計画
を策定する。特に「基礎学力診断テスト」の実施を含む基礎学力向上のための取組や、進学のための講習の充実な
どに取り組む。
○ 都や社会の情報を広く教職員に周知するため、教職員に配布する「副校長連絡」の内容を充実し、教員との面談
及び企画調整会議等において、意見交換を通して教職員の意識改革を図る。
○ 生徒の健全育成及び問題行動の早期発見のため、教科担任連絡協議会(拡大学年会)を新設するとともに、家庭
との連携を強化するため、三者面談を軸とした2週間の面談週間を実施する。また、ボランティア活動、体験学習
参加を軸とした、学校外の単位認定"学修"を導入する。
■主な目標(20年度末まで)
○ 国公立大学・難関私立大学合格者数 30名
○ 国公立大学合格者数
7名
○ 夏季休業中の講習講座数
30講座
○ 部活動都ベスト8以上
10部
■18年度の目標とその成果(概要)
学習指導
進路指導
生活指導
①
②
③
④
⑤
<重点目標(抜粋)>
教育課程の再編成
習熟の程度に応じた授業の実施
長期休業中の補習3講座、講習17講座
進路計画の策定
服装、頭髪、授業規律の指導、拡大学年会
特別活動・ ⑥ 奉仕活動として中学生との部活動指導交流
部活動
健康づくり ⑦ 救急救命教室の実施と教育相談の実施
募集・
⑧ 文化・スポーツ等特別推薦の導入
広報活動・
入学者選抜倍率1.3倍
地域交流
⑨ 学校説明会と体験学習会の参加者925名
学校経営
⑩ 委員会組織の改編
<達成状況(18年度末)>
基礎科目を低学年に配置
数学、英語で6科目実施
補習5講座、講習20講座(参加生徒347名)
学力向上の取組を取り入れた進路計画の策定
実施。
5つの運動部と2つの文化部で実施(102名
の参加)
救急救命教室の実施により、生徒の意識が高ま
るとともに教育相談を5回実施した。
6つの運動部に30名の応募
普通科1.26倍、コース1.13倍
学校説明会を5回、体験学習会を1回実施
参加者1059名
委員会組織を15から12に再編成
Ⅳ 学校経営診断を受けての校長意見
学校経営診断における外部からの主幹・主任へのヒアリングを通じて、学校経営に対する教職員の意識の向上が
みられた。また、主幹層に外部評価が学校経営に必要であることを再認識させることができた。
現在は目標実現に向けての途上にあり、改善の余地を残している項目もある。それらの課題の解消に向け、主幹・
主任を中心に意識の浸透を図り、生徒の学力向上と進路希望の実現に向け取り組んでいく。
し
学校経営診断の結果を真摯に受け止め、組織的な取組をPDCAを活用し、地域に根ざし地域住民の期待に応え
る学校づくりを一層推進する。
(松が谷高等学校長 根岸 潔)
- 62 -
14 日野高校
学校経営診断書 −日野高校―
○
○
○
○
○
所在地
創 立
診断対象
生徒数
主な指定等
日野市石田1−190−1
昭和41年1月1日
全日制課程(普通科)
703名(男357名〔50.8%〕、女346名〔49.2%〕)
重点支援校(平成18年度指定)
Ⅰ 経営診断結果(総括)
■現状 「重点支援推進委員会」における、学力向上、募集対策、健康づくりの3大プロジェクトを柱にして、
地域に信頼される規律正しい生徒の育成や学校行事の充実と部活動の推進等に取り組んでいます。
■成果 学力向上のために、各教室に「授業中の約束事」を貼って全教員で統一した指導を行い、短期間で生
徒の授業に臨む態度を改善しました。また、四年制大学への進学率は平成17年度の40%から18年度は
52%と上昇しました。募集対策では中学校訪問を大幅に増やして全教員で取り組み、入選倍率(学力)が
1.15倍と向上し、健康づくりでは食生活実態調査の分析を行って食育ポスターを校内に掲示して生徒の
健康意識を高めるなど、着実に成果を上げています。
■課題と改善の方策 学力向上、募集対策の取組には一層の努力が必要です。生徒と教員の間には、教科指導
の工夫に関して大きな認識の差があり、生徒の授業満足度も低下していることから、授業改善が喫緊の課題
です。研究授業や校内研修の回数を増やしている点は評価できますが、今後は、研修の内容や方法を工夫し
て教員の授業力を向上させていくことが必要です。
また、入選倍率(学力)は向上したものの目標には達しませんでした。今後は、何をどのように情報発信
して学校の魅力を伝えていくのかを、組織的・計画的に検討していくことが必要です。
Ⅱ 経営診断結果
診断ポイント① 学習指導 生徒の学力向上と教員の授業力向上
○ 「学力向上プロジェクト」を立ち上げて、教員は授業力の向上に、
生徒は授業に臨む態度を改善し家庭での学習習慣を身に付ける「学習
力」の向上に、それぞれ取り組んでいます。各教室には、
「授業中の約
束事(マナー)
」を貼り、全教員が授業中の飲食物や携帯電話の扱い等
に対して統一した指導を行いました。訪問時の授業参観では、授業中
に飲食物を机上に並べていたり、携帯電話を操作していたりする生徒
の姿は見られず、生徒は落ち着いて授業に取り組んでいました(図1)
。
図1 訪問時の授業の様子
一方、家庭での学習習慣確立については、教員それぞれが宿題を課したり、小テストを行ったりしている
ものの、十分な効果が現れている状況ではありません。そこで19年度の学校経営計画では、家庭学習2時
間を目標に掲げて、学校全体で改善に取り組もうとしています。今後は、各教科でシラバスや週ごとの授業
計画に宿題や小テストを位置付けるなどして、意図的・計画的に家庭での学習習慣を身に付けさせる指導を
行っていくことが望まれます。
さらに、外部模試を利用して、生徒の学力データの活用を始めました。生徒の学習時間を増やすとともに、
生徒にどのように学力がついているかを確認していくことで、今後の取組の向上が期待されます。
○ 授業力の向上に向けて、研究授業等の回数を17年度から10回程度に増やして実施しています。また、
校長や副校長が行う授業観察の際に、
「授業観察シート」を作成して、授業の優れた点や改善すべき点をコ
メントして個々の教員に渡すことで、授業力向上に努めています。
- 63 -
14 日野高校
しかし、学校運営連絡協議会の学校評価では、教科指導の工夫に関する項目について、教員の86%が肯
定的ですが、生徒・保護者では40%程度となっており、
かい
生徒
大きな乖離が見られます(図2)
。
さらに、生徒の授業満足度は17年度の50%から18
保護者
年度は40%へ低下しています。一方、教員の中には授業
を見せたがらない雰囲気が残っていたり、研究授業を行っ
教員
ても参観する教員の数が少なかったりして、授業力向上に
向けた取組が実効あるものになっていません。授業力の向
上は喫緊の課題です。専門教科だけでなく他教科の授業を
参観したり、外部講師や指導主事を招いたりするなどして、
0%
20%
40%
肯定
60%
80%
100%
否定
図2 教科指導の工夫
校内研修の内容を工夫していく必要があります。
○ 英語、数学で習熟の程度に応じた授業を行うとともに、教育
課程を見直し、国語総合の単位数を増やしたり、数学Ⅱを全員
に履修させたりするなどして、生徒の基礎学力の伸長を図って
います。
また、長期休業日等の弾力的運用を活用して授業時数の確保
を図り、1学年の年間授業時数を増加させました(図3)
。
今後、新しい教育課程の実施状況や習熟の程度の応じた授業
の効果について検証し、改善を図っていくことが必要です。
図3 年間総授業時数(1 年)
診断ポイント② 進路指導 キャリア教育の充実と進路実績の向上
○ 四年制大学合格者145人、
短期大学合格者20人、
18年度
現役進路決定率81%の目標に対して、それぞれ19
1人、20人、84%となりました。また、四年制大
学への進学率は16年度、17年度のそれぞれ36%、 17年度
40%から、18年度は52%と上昇しました(図4)
。
国公立大学合格者数も、この3年間で1人、2人、4
16年度
人と増加しており、生徒の進路希望を実現し、進路実
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
績を向上させたことは評価できます。
四大
短大
専門
就職
その他
○ 3年間の進路指導計画とキャリア教育の全体計画を
図4 卒業生の進路別割合
作成し、2年生の総合的な学習の時間を中心にキャリ
い
ア教育の充実に取り組んでいます。特に、全教員がそれぞれの専門性を活かして、生徒に大学で学ぶ学問や
将来の職業を考えさせる「進路アドバイザーの日」を設けています。この取組は、年間を通して教員がそれ
ぞれ生徒の進路アドバイザーとなるように発展させると一層の効果が期待できます。
一方で、教育課程を改編し、19年度から2年生の総合的な学習の時間を3年生に移していますが、これ
まで行ってきた進路指導やキャリア教育の位置付けや効果について検証していくことが必要です。
○ 学力向上のため、450時間の補習を計画しましたが、402時間の実施に止まりました。補習は教員の
主体性に任せられている部分があり、組織的・計画的に行われていません。担任や教科担当者が変わっても
毎年必要な補習が行われるよう、補習や講習の計画を年間指導計画や3年間の進路指導計画と関連させなが
ら、意図的・計画的に行っていくことが必要です。
また、
重点支援予算で教室を2つのパーティションに分けて整備した自習室をより一層活用するとともに、
教員の指導体制を構築して、ゼミ形式の補習を行うなどの工夫も必要です。
診断ポイント③ 生活指導 規律正しい生徒の育成
○ 生徒指導部による朝の呼びかけ指導(校門指導)を行い、これまで生徒の自主性に任せていた頭髪や服装
について重点的に取り組み、頭髪や服装の乱れを一掃しました。生徒はきちんとあいさつができており、訪
問時の授業参観でも生徒の中に頭髪に課題のある生徒は全く見られませんでした。昼休みには全教員で中抜
- 64 -
14 日野高校
け防止のため立ち番指導を行っており、こうした指導の結果、
生徒
近隣住民や地域の中学生・保護者からの評判も高まっています。
○ 学校評価アンケートの学校と家庭の連携に関する質問項目で 保護者
は、教員の72%が肯定的に回答しているのに対して、保護者
教員
は60%が否定的に回答しています(図5)
。
保護者のニーズを分析し学校からの情報を発信しながら、遅
刻防止や家庭学習時間の確保等、生活習慣や学習習慣を家庭で
も身に付けさせるよう、学校と家庭が連携を図っていくことが
必要です。
0%
20%
40%
肯定
60%
80%
100%
否定
図5 学校と家庭との連携
診断ポイント④ 特別活動・部活動 学校行事の充実と部活動の推進
○ 部活動加入率は、1年生100%、2,3年生75%の目標
80
に対して、77%、68%と目標は達成できませんでしたが、
70
訪問時にも生徒は熱心に部活動に取り組んでいる様子が見られ
ました。
60
また、15年度から復活させた合唱祭や、演劇に取り組ませ
る文化祭等、学校行事も充実させています。さらに、18年度
50
に実施した開校40周年記念行事や学校説明会でも、生徒会が
16年度
17年度
18年度
%
部活動入部率 学校行事満足度
主体的に運営に関わり活発な活動を展開しています。
図6 部活動加入率と学校行事満足度
部活動加入率が低下している(図6)のは、一部の生徒がア
ルバイトを行っていることなどが原因ですが、アルバイトを原
則的に禁止することで生徒の目を学校に向かせるよう改善を図っています。また、文化祭で演劇を行うこと
に一部生徒の不満の声があるようですが、特色ある伝統行事を生徒に十分理解させていくことが必要です。
診断ポイント⑤ 募集・広報活動・地域交流 募集対策プロジェクトの取組
○ 1.1倍余りの低調な入選倍率(学力)を向上させるため「募集対策プロジェクト」を立ち上げ、17年
度は90校であった中学校訪問を120校にする目標を立て、全教職員が協力しながら130校を訪問しま
した(図7)
。また、学校説明会の実施時期を早める、出前授業
150
1.2
の回数を増やす、体験授業を始める等の取組を行い、入選倍率
1.15
100
(学力)は1.15倍と向上しましたが、目標の1.2倍を達
1.1
成することはできませんでした。学校説明会当日に中学校の学
50
1.05
校行事が重なる等の課題もあり、今後は、生徒の出身地域を分
0
1
析し中学校との連携を図りながら、計画的に募集活動を実施し
16年度
17年度
18年度
ていくことが大切です。
校
中学校訪問数
入選倍率(学力)
また、ホームページの更新回数も不十分でしたが、19年度
から積極的に情報発信するように改善しています。
図7 中学校訪問数と入選倍率
診断ポイント⑥ 健康づくり 心と身体の健康づくりの推進
○ 「健康づくりプロジェクト」を立ち上げ、学校保健計画を策
定し、健康づくりを推進しています。食生活実態調査の分析を
行い、朝食を食べてくる生徒が少ないことから、食育ポスター
を作成し校内に掲示しています。
また、重点支援予算で整備したAEDを活用して、消防署か
ら講師を招いて教職員を対象としてAED講習会を実施しまし
た。
19年度からは1年生の生徒全員を対象として実施します。
さらに、重点支援の予算により、外部講師による性教育講演
会、食生活の実態に関する栄養サポート講習会、メタボリック
図8 食育ポスター
シンドロームに関する講座等を実施しました。
こうした取組により、生徒・保護者の健康に対する意識が高まっており、生活習慣や学習習慣の改善に繋
げようとしていることは評価できます。家庭との連携を十分に図ることで、今後の成果が期待できます。
- 65 -
14 日野高校
今後も、自律経営推進予算を活用して、講演会等の取組を充実・発展させていくことが大切です。
診断ポイント⑦ 学校経営・組織体制 重点支援推進委員会による3大プロジェクトへの取組
○ 4人の主幹を中心に「重点支援推進委員会」を立ち上げ、学力向上、募集対策、健康づくりの3大プロジ
ェクトを主幹・主任が分掌し、詳細な進行管理表を企画調整会議に提出しながら重点支援プランの進行管理
と評価・改善を図っています。主幹・主任がミドルマネージャーとしての役割を理解して、企画調整会議を
活用しながら重点支援プランの中核となっていることは評価できます。さらに、
「重点支援推進委員会」に学
校経営支援センターから学校経営支援主事を招いて、進捗状況を検証しながら改善を図ったことは高く評価
できます。
今後、他の教員の参画意識を高めて、自律的な改革を一層推進していくことを期待します。
Ⅲ 自律的改革の内容(概要)
■重点支援校指定の概要 (18∼20年度の取組内容)
<生徒が輝く「日野サンライズプラン21」 −希望進路の実現と豊かな人間性を目指す健康づくり−>
○ 健康づくりや授業力向上などの取組を通じて、確かな学力、基本的生活習慣の確立、進路指導の充実を図り、希
望進路の実現、豊かな人間性の育成を図る。
○ 生徒と保護者に対する栄養サポート講習、食と健康についての学習、学力向上推進プラン、通年の組織的な放課
後の補習・補講に取り組む。
○ 生徒の心と体の健康づくりを基盤として、特別活動や部活動などによる豊かな人間性と自主性を育成していく。
■主な目標(20年度末まで)
○ 四年制大学合格者数130名
○ 四年制大学現役合格率83%
○ 学力向上のための補習550時間
○ 部活動で都ベスト16以上2部、都ベスト8以上1部
○ 募集倍率(一般)1.4倍
■18年度の目標とその成果(概要)
<重点目標(抜粋)>
学習指導
① 授業規律の確立
② 公開研究授業による授業力向上
進学指導
③ 補習の実施450時間
④ 四年制大学合格者145名
短期大学合格者20名
現役進路決定率81%
⑤ 頭髪指導、服装指導、遅刻指導等
生活指導
特別活動・部活動 ⑥ 部活動入部率100%(1年)
、
75%(2,3年生)
健康づくり
⑦ 講演会等の実施
募集・広報活動・ ⑧ 応募倍率(学力)1.2倍
⑨ 中学校訪問120校
地域交流
学校経営
⑩ 重点支援プロジェクトの推進
<達成状況(18年度末)>
授業に取り組む姿勢は大きく向上した。
授業に還元することができたのか検証が必要。
402時間
191名
20名
84%
朝の呼びかけ指導等を実施。
1年生77%、2,3年生68%
性教育講演会等の実施により生徒の意識が高まった。
応募倍率(学力)1.15倍
130校
学力向上、募集対策、健康づくりの3プロジェクト
Ⅳ 学校経営診断を受けての校長意見
診断の結果、成果として、生徒の生活態度や授業態度の改善、進学実績の向上等が見られたこと。課題として、
授業改善による生徒の授業満足度の向上、募集対策等の改善の必要性が明らかになった。
生徒の授業満足度の向上に向けての教師の授業改善及び入選倍率の向上を目指した組織的・計画的な募集活動の
強化を図る必要がある。
今後、さらに 3 大プロジェクトチームの活動の活性化を図るとともに、保護者との連携をより一層強め、本校の
特色である豊かな人間性を目指す健康づくりを推進していく必要がある。
(日野高等学校長 上原 健夫)
- 66 -
15 東村山高校
学校経営診断書 −東村山高校―
○
○
○
○
○
所在地
創 立
診断対象
生徒数
主な指定等
東村山市恩多町4−26−1
昭和43年1月1日
全日制課程(普通科)
674名(男347名〔51.5%〕、女327名〔48.5%〕)
重点支援校(平成18年度指定)
Ⅰ 経営診断結果(総括)
■現状 生徒・保護者・地域に信頼される地域密着型「中堅の進学校」−ローカルパートナーシップハイスク
ール−をスローガンに学校改革を進めています。基礎学力の充実を図る学習指導、基本的な生活習慣を身に
かん
つけさせる生活指導、自主性・協調性の涵養を重視した学校行事と意欲的で活発な部活動への取組、さらに
小・中・高・大及び地域との連携等に取り組んでいます。
■成果 校長のリーダーシップの下、企画調整会議が中心となった学校改革が進んでいます。懸命な努力が重
ねられた結果、落ち着いた学習・生活環境の確立や、地域連携などの課題で成果が出始めています。
教員一人一人の課題解決への意欲が広がり、組織としての力が高まりつつあることは、今後の学校改革を
推進する礎となる重要な成果と言えます。
■課題と改善の方策 入学者選抜の応募倍率は、地域の中学校に東村山高校の取組と成果が充分に伝わってい
ない面が見受けられ、まだ回復基調には乗っていません。また、学習指導の面においても、補習・補講を重
ね基礎学力の充実などに取り組んでいますが、まだ十分な成果を上げるには至っていません。今後は、管理
職や主幹・主任を軸にトップダウン、ミドルアップ、ボトムアップを組み合わせて組織としての活力を一層
高めていくことが期待されます。また、中途退学者が平成17年度18名から18年度は39名と増えてい
ることから、生徒のニーズについて分析を行い、生徒が活躍できる場面をさらに増やすことも必要です。
Ⅱ 経営診断結果
診断ポイント① 学習指導 授業規律の確立と基礎学力の向上を目指す取組
○ 「授業の心得」として、
「チャイム前に席に着く」
「不要な物を机の上に置かない」等のスローガンを教室
内に掲示し、ホームルーム担任や教科担当者が生徒に対して常に注意喚起しています。管理職による授業観
察もその視点を重視し、授業観察前に各教員に観察の観点として明示するとともに、教員側からも意見を聞
きつつ、終了後には指導上の課題や改善された成果等を授業観察シートとしてまとめて教員にフィードバッ
クしています。また、そうした中で明らかになった課題を校内研修のテーマとして設定し、教員間に「温度
差」のない全校での指導体制の確立を目指しています。
○ 教務部を中心とした「生徒による授業評価」は、各教員が自分に欠けている部分は何かを客観的に把握で
きるように工夫され、その結果に基づいて校内研修を実施しています。
「授業がわかりやすい」と答える生徒
の割合は、平成16年度は47.7%、17年度は5
0.4%、18年度は44.3%と横ばいの状況です。
64
24
4
今後は、3年間で到達すべき生徒の学力について、 18年度 8
教科内で統一的な方向性を明確にしていく必要があ
31
50
9
ります。教科主任がリーダーシップを発揮し、各教科 17年度 10
の特性にも配慮しながら、教科ごとの年間総括を行い、
31
44
20
その結果を踏まえて、教科としての組織目標設定や指 16年度 5
導内容や方法の工夫を図ることが必要です。
0%
20%
40%
60%
80%
100%
18年度から追加した評価項目「授業態度について
(図1) 教員「授業態度について指導している」
思う
やや思う
あまり思わない
思わない
きちんと指導するので、落ち着いて授業に集中でき
る」では、生徒は47%、保護者は32%が肯定的な
- 67 -
15 東村山高校
評価を寄せています。一方、
「授業態度について指導している」と回答した教員は、17年度の41%から1
8年度は72%へ上昇しています。今後は、全校を挙げて授業規律の確立に向けて具体的な取組を重ねてい
くことが重要です。
○ 17年度に調べた中途退学者の多い他校の経験に学び、18年度から時程を変更し、8時30分から10
分間の朝読書を実施しています。それまでは、朝のショートホームルームがなく生徒に落ち着きがありませ
んでしたが、毎朝、担任が教室に出向くことで生活指導が徹底するようになってきました。
19年度からは、東村山高校の生徒の特性を考慮して、プリントを使った朝学習との併用に切り替え、さ
ひつ
らに落ち着いた学習環境の確保に努めています。また、18年度は、遅刻者が朝読書時間の静謐な環境を崩
してしまう課題があったため、19年度は遅刻者を教室内に入れずに、別の教室に集めて指導するなど改善
を図りました。
今後、基礎学力を確認するためのテストを定期的に実施して朝学習の成果を生徒が自ら確認するなど、生
徒が自ら次への意欲を高められるような工夫が必要です。
○ 長期休業日中の補習は17年度の8講座から20講座へと倍増しました。また、冬季休業中に初めて勉強
合宿を実施するなど、進学対応の補習体制を整備しました。教務部が中心となって、各教科へ働きかけて講
習の予定を集約し、予定表と受講案内を生徒に配布するなど、組織的に取り組み始めました。
19年度は夏季休業中に勉強合宿を本格実施し、18年度の参加者7名に対して、19年度は24名と参
加者が増加し、参画する教員も42名中13名と増えています。今後は、教科主任会議を活用して取組の成
果や問題点を総括するなどにより、教科によるばらつきをなくして、全教員の参加により、補習・補講の充
実を図っていくことが必要です。
診断ポイント② 進路指導 生徒一人一人の進路希望を実現する進路指導の取組
○ 学年集会方式による進路講演会の実施回数を17年度の3回から18年度は7回に増やしました。また、
「キャリアアドバイザー派遣事業」を活用して、就業に対する早期の意識づけも図っています。
○ 進路指導における一番の改善点は、学年主導の指導体制から進路指導部を中心とした3年間を見通した系
統的な指導体制へと転換を図ったことにあります。四年制大学進学率は16年度が30.8%、17年度が
31.1%、18年度が36.3%と上昇傾向にあり、今後も進学実績の向上が期待されます。
へい
○ 保護者や地域、東村山市と連携し、キャリア教育の一環として地域の有識者を講師に招聘して講話を実施
しています。これまで、音楽関係者や看護師、国際協力に関わる方等、地域の人材を多く活用してきました。
また、放課後に大学教授を招き、英語や数学の勉強法を学ばせる特別授業を2回実施しました。
今後は、進路指導部と教務部とが連携をさらに強め、平素の授業や学校行事等を通して生徒の意識づけを
行ったり、サテライト講習の導入を検討したりするなど組織的な取組を一層推進していく必要があります。
診断ポイント③ 生活指導 全校をあげた組織的な生活指導の取組
あいさつ
○ 毎朝、
生活指導部が校門指導に立ち、
登校してくる生徒に挨拶
100
の声かけをしながら遅刻指導や服装指導、頭髪指導を行ってい
80
ます。朝読書の取組等により、授業開始時における遅刻者は少
60
なくなりました。また、昼休みには全教員による校門指導や巡
40
回指導を実施し、積極的に生徒に声をかける機会を増やしまし
20
た。その他にも生活指導部や学年が連携して通年で頭髪指導を
0
82
67
53
人
行うとともに、遅刻指導については保護者との面談を実施する
16年度
17年度
18年度
(図2) 毎日の平均遅刻者数の推移
など、熱心な取組が進んでいます。
○ 頭髪指導対象者は18年度当初の209名から年度
末には43名に減少し、服装の違反者もほとんど見か
18年度
36
17年度
17
40
24
25
56
0
2
けなくなりました。遅刻者数は17年度に増加しまし
たが、朝読書を含めた遅刻指導が奏功して18年度は
前年度比で29名減って53名となっています。
16年度
9
0%
19年度からは、朝と昼の校門指導を全教員当番制
- 68 -
45
20%
26
40%
60%
20
80%
(図3) 教員「遅刻指導は十分行っている」
思う
やや思う
あまり思わない
思わない
100%
15 東村山高校
で実施し、組織的な指導体制をさらに強化しています。
○ 今後は、保護者に生活習慣の改善についての協力を呼びかけ、保護者との連携を粘り強く求めていくこと
が重要です。また、朝の校門指導に生徒会を中心とした生徒を参画させるなどにより、生徒自身の意識啓発
を促す工夫も求められます。さらに、授業規律と併せて、生徒の興味・関心を引き出す授業の内容と方法の
改善を図っていくことも必要です
診断ポイント④ 特別活動・部活動 特別活動と活性化に向けた取組
○ 東村山高校の生徒の学校生活に対する満足度は77.1%と高く、なかでも「文化祭は活発である」は7
7.6%、
「体育祭や修学旅行は充実している」は78.2%と、肯定的に受け止められています。今後は、
文化祭や体育祭における来場者数をさらに増やしてより多くの方から外部評価を集め、次年度に向けた改善
策を生徒とともに検討することにより、学校行事における質の向上につなげていくことが期待されます。
○ 19年度から、
「文化・スポーツ等特別推薦」を実施するにあたり、当該の部活動以外も含めて、中学生
の体験入部や合同練習会を月1回以上の頻度で実施しました。
また、
ウェイトトレーニング室の整備を行い、
トレーニング講習会を実施するなど部活動全体の活性化を図っています。
しかし、16年度の部活動加入率は58.5%、17年度は53.9%、18年度は49.7%と下降傾
向にあります。今後は、部活動の各顧問の連携を一層強化し、すべての部活動が一体となって積極的に生徒
の意欲や活力の掘り起こしに努めるとともに、担任や教科担当者とも協力し、部活動加入率の向上を図るた
めの働きかけを計画的に積み重ねていくことが必要です。
診断ポイント⑤ 健康づくり カウンセリング体制の充実など心身の健康づくりの取組
○ カウンセリング体制の充実を図るため、スクールカウンセラーによる校内研修やスクールカウンセラー委
員会を年間5回実施したり、教員対象教育相談会や民間研修機関によるカウンセリング研修等を行ったりし
ています。18年度にはカウンセリング室が新たに設置されました。
○ 「生徒の話をよく聞いて理解してくれる」や「生徒の抱える問題を見逃さずに対応してくれる」という回
答は、過去3年間、それぞれ40%台を推移しています。この数値が示すように、生徒の状況に比してカウ
ンセリングの体制が十分に確立しているとはまだいえません。校内研修等の内容の充実を図り、各教員のカ
ウンセリング能力を向上させていくことが必要です。
診断ポイント⑥ 募集・広報活動 地域に密着した募集・広報活動の取組
○ 19年度入学生の入学者選抜では、願書の取り下げ、再提出前の応募倍率が0.80倍で、17年度の0.
91倍、18年度の0.67倍に引き続いて低い応募倍率となっています。このような状況を受けて、授業
公開週間や学校説明会の拡充に努めました。特に学校説明会では、生徒会や部活動に所属する生徒がプレゼ
ンテーションを実施し、生徒の素顔や活動の様子を中学生や保護者にPRする工夫を凝らしました。また、
体験授業や出前授業、部活動の合同練習を実施するなど中学校との連携も深めています。
○ 今後は、複数の戦略チームを組織するなどして、地域の中学校に対して今まで以上に積極的な広報活動を
展開することが必要です。また、新1年生に志望動機に関するアンケートを実施し、東村山高校に対するイ
い
メージやその情報源を調査して今後の募集対策に活かすことも大切です。決して容易な課題ではありません
が、東村山高校の教員の意欲の高さと旺盛な取組状況を考えれば、今後の成果は十分に期待できます。
診断ポイント⑦ 学校経営・組織体制 全教職員の参画による、都民から信頼される学校づくり
○ 生活指導や進路指導、広報・募集活動など、以前は教員個人の能力や学年主導に依存してなされていた取
組が組織的に運営されつつあります。特に主幹、主任を中心としたミドル層の成長と活躍は高く評価できま
す。ミドル層が充実したことで、校長の学校運営に対する基本理念や方針が全教職員に浸透しやすくなり、
校長のリーダーシップがより発揮しやすくなってきました。
今後は、全教職員の参画による学校運営を図っていくことが必要です。特に、生徒の興味・関心を引き出
し、魅力ある授業を行うために教科の全教員が授業改善に取り組み、学校全体の授業力を向上させていくこ
とが学校教育の土台であり、そのことが都民から信頼される学校づくりへの道となります。
- 69 -
15 東村山高校
Ⅲ 自律的改革の内容(概要)
■重点支援校指定の概要 (18∼20年度の取組内容)
<生徒・保護者・地域に信頼される地域密着型「中堅の進学校」 ―ローカルパートナーシップハイスクール―>
○ 基礎学力の充実を図るわかりやすい授業
○ 基本的な生活習慣を身につけさせる指導
○ 自主性を重視した学校行事
○ 意欲的で活発な部活動
○ 小・中・高・大との連携
○ 家庭との連携
○ 地域との連携、地域の教育力の活用
■主な目標(20年度末まで)
○ 進学実績の向上
○ 生活指導の徹底
○ 学校行事・部活動の活性化
○ 学校の広報活動の充実
■18年度の目標とその成果 (概要)
<重点目標(抜粋)>
① 学習への積極的な姿勢を大切に 授業規律の確保
する
個に応じた指導及び体制の整
備
<達成状況(18年度末)>
「授業の心得」を全教員に共有化
朝読書の実施
補習体制の拡充、習熟の程度に応じた授
業・少人数授業の充実
(研修による授業力向上の工夫)
長期休業日中の講習の講座数 長期休業日中の講習20講座
の増加
(前年度の8講座より増加)
② 進学実績の向上を図る
進路希望実現数
大学・短期大学45%
44.1%(前年41.6%)
専修・各種38%
35.5%(前年36.6%)
就職・自営 5%
4.9%(前年 5.1%)
未定その他12%
15.5%(前年16.7%)
③ 基本的生活習慣を身につける、 遅刻指導、服装指導、頭髪指導、 朝の校門指導及び担任・学年・生活指導
人間としての基本を大切にする
挨拶、グッドマナー等の定着
部による個別指導を実施
④ 心身の健康の充実に努める
カウンセリング体制の充実
カウンセリングの校内研修を実施
⑤ 地域との連携を強化する
⑥ 生徒募集活動を推進する
⑦ 学校生活の充実を図る
小学校、中学校、高校、大学と 体験入部や合同練習の実施(月1回以
へい
の連携の強化
上)
、大学教授の招聘
効果的な広報活動の拡充
授業公開日を授業公開週間として1、2
学期5日ずつ実施、学校説明会を2回か
ら3回に増やし実施
生徒の満足度85%
77.1%(前年77.8%)
Ⅳ 学校経営診断を受けての校長意見
学校経営診断により、重点支援校としての取組の現状と進捗状況を検証することができた。
まい
このことを受けて、目標を再確認するとともに、取組に工夫を加えるなど、目標達成に向けて邁進する。企画調
整会議を主軸においた組織や校内研修を充実させる体制づくりができていることと全教職員の意識が高くなって
きているので、見通しは明るいと考える。重点支援校として人事、施設、予算面で支援されている効果は大きい。
目標進行管理を徹底することにより成果が上げられると確信する。
- 70 -
(東村山高等学校長 佐藤 光一)
16 農産高校
学校経営診断書 −農産高校―
○
○
○
○
所在地
創 立
診断対象
生徒数
葛飾区西亀有1−28−1
昭和23年4月1日(当時:都立農芸新制高等学校下千葉分校)
全日制課程(農業科:園芸デザイン科、食品科)
412名(男141名〔34.2%〕、女271名〔65.8%〕)
Ⅰ 経営診断結果(総括)
■現状 地域に根ざし、豊かな農業文化のある学校「食と緑の学園」を目指し、普通教科での基礎・基本の学
習と専門教科での系統的な学習の充実に取り組んでいます。
■成果 校長のリーダーシップの下、学校の活性化に向けて積極的かつ精力的に学校経営に取り組んでいます。
教育環境の整備をすすめ視覚的な情報を有効に活用するとともに、普通教科では基礎・基本、専門教科では
専門的技能の向上を図るための取組を行っています。さらに、農業の教育特性を生かした地域交流・地域貢
献活動にも取り組んでいます。
■課題と改善の方策 専門学科の教員を中心として協力体制が整ってきていますが、学校が目標としている
「食と緑の学園」の実現に向けて、全教職員による一体となった取組の充実が課題となっています。今後は、
各教職員が専門性を発揮するとともに、校長の学校経営計画を十分理解した上で、ボトムアップの充実が図
られるよう、学校の組織機能の活性化が求められます。また生徒に、より高い目標を設定させるなど、時に
は厳しい指導も取り入れながら、生徒一人一人の資質・能力を一層伸ばす工夫も必要と言えます。
Ⅱ 経営診断結果
診断ポイント① 学習指導 基礎基本の重視と体験的学習を工夫した学習指導
■成果 英語で習熟の程度に応じた授業、国語、数学、理科、家
庭、体育で少人数授業を実施しています。国語科においては、
毎時間小テストを行うなど、生徒の状況にあわせて基礎・基本
の充実を図っています。
専門教科では、2年次から類型別に専門性を生かした体験的
な学習を進める中で、実習レポートを毎回課すなど、学習の深
化を図っています。
また、園芸検定(1名合格)
、造園技術検定(1名合格)
、食
生活アドバイザー(17名合格)パソコン検定3級(45名合
格)
、漢字検定3級(24名合格)等の資格取得に力を入れ、生
(図1)校長室前廊下の「学習風景の見える化」
徒の専門教科等に対する意欲の維持向上を図っています。
さらに、校長室前や本館1階廊下等に、写真を多く掲示することによる「学習風景の見える化」
「農場の見
える化」
、
「実習の見える化」
「実習作品の見える化」等の工夫を行い、生徒の活動状況を視覚化するなどの教
育環境の整備を通して、生徒の学習意欲の向上を図っています。
■課題と改善の方策 普通科と専門学科、専門学科間の連携を行い、学科・教科の枠を超えた校内研修会等の
実施などにより、指導法の研究や教材開発などに組織的に取り組んでいく必要があります。また、学校全体
で個に応じた指導の充実や、魅力ある授業づくりを推進するという視点から、習熟の程度に応じた授業や少
人数授業の成果を検証し、今後、一層の充実を図っていくことが望まれます。
- 71 -
16 農産高校
診断ポイント② 進路指導 各生徒の能力、適性に応じた自己実現を図る進路指導
■成果 管理職が生徒の進路状況に対して危機意識をもち、意識的に進学先の見学等を実施するなど、進路指
導の充実に取り組んでいます。また、進路指導部と第3学年・各教科とが連携強化して、面接指導、個別作
文指導を行っています。その結果、四年制大学進学が2%から10%、短期大学進学が4%から7%、専門
学校進学も30%から37%に増加するなど、進学を選択する生徒が増えました。また、民間企業就職にお
いては、生徒の適性に合った進路選択を進め、近年採用のなかった企業等へも就職するなど、卒業時点での
進路未決定者が25%から7%に激減しており成果を上げています。
■課題と改善の方策 今後、農業科の専門性を生かした進路先の確保と進路実績の安定化に向け、一層の職
場開拓等を組織的に行う必要があります。また、キャリア教育の年間指導計画にそって、3年間を見通
した指導内容の工夫を行うことも重要です。
診断ポイント③ 生活指導 社会性の向上を図る生活指導
■成果 生徒会の生徒を中心に、朝の校門あいさつ運動を実施するなど、社会人として必要なマナーの習得に
取り組んでいます。また、生活指導部と各学年が連携を図るなどして、丁寧な頭髪指導、遅刻指導、身だし
なみ指導を実施しています。生徒は落ち着いた学校生活を送っており、地域からの評判も良く、日々の教育
活動の成果といえます。
■課題と改善の方策 心の悩みをもつ生徒に対し、カウンセリングを取り入れた相談体制の一層の充実を図り、
生徒の学校生活に対する満足感・充実感を高めていくことが求められます。また、特に遅刻者の減少に向けて
は、一層充実した指導をすることが必要です。
診断ポイント④ 特別活動・部活動 農業を通して世界や環境を観る目を養成する国際交流
■成果 オーストラリアからの留学生2名やアメリカからの訪問学生6名を受け入れ、収穫等の農業体験を通
して生徒相互の交流を図っています。外国の文化やものの考え方に直接触れることにより、異文化への理解
が深まるなど、より広い視点から物事をとらえることができるようになっています。
また、授業等で栽培における低農薬や除草剤の使用が環境に及ぼす影響についても調査するなど、環境に
配慮した指導を計画しています。さらに、学校農業クラブ活動の学習を行うことで、日本の農業や外国の農
業を広く理解することにつながっています。
■課題と改善の方策 在籍する留学生や訪問学生との交流の充実を核としながら、国際交流事業を明確に特別
活動に位置づけていくことが求められます。また、農業の実習等を通して、外国人と日常的に交流できるよ
うな教育活動の工夫を図ることも必要です。
診断ポイント⑤ 健康づくり 農業科の良さを生かした食育を中心とした健康教育
■成果 食品科の食品製造や総合実習などの教育活動を通して、生徒の「食」に関する意識を高めるとともに、
全校生徒対象に「食」に関する調査等を行い、規則正しい生活の必要性について意識啓発を図っています。
また、肥満傾向にある生徒が多いため、養護教諭を中心とした面接を通じ、食事のバランスに関する改善
指導や弁当の持参、コンビニの有効な活用方法について指導するなど、生徒が日々の生活の中で、主体的に
健康管理が実践できるようになることを目的とした健康教育の充実を図っており、平成19年度からは「食
育推進研究指定校」に指定されました。
■課題と改善の方策 「食と緑の学園」の方向性を明確に示し、横断幕を掲げるなど「食育の見える化」を図
っていますが、学校全体が、食育推進に向けて十分に組織的に取り組むまでには至っていません。生徒の健
全な食生活を実践する力の育成に向けて、学校経営企画や学校保健計画に基づき分掌、学年等が一体となっ
て取り組んでいくことが必要です。
診断ポイント⑥ 学校経営・組織体制 特色ある学校つくりを推進する組織体制の構築
■成果 校長のリーダーシップの下、学校プロジェクト「食と緑の学園」を打ち出しており、目指す学校の姿
- 72 -
16 農産高校
が内外ともに周知されつつあります。
「生徒の自己有用感を高めることで、生徒の専門性を深めること」
「農
業を基本とした食育を推進すること」等の目標を掲げ、学校全体が組織的に動きつつあります。
また、経営企画室では、募集対策や学校経営計画に関するデータの整理・分析等を実施するなどの役割を
果たしており、特色ある学校づくりの推進に結びついています。
■課題と改善の方策 校長のリーダーシップのもと、学校経営計画に基づいた学校経営の方向性が示されてい
るものの、教員個々の取組となっている部分もあり、全教職員に対し浸透していない面があります。
今後、企画調整会議等の充実や主幹・主任など、ミドルリーダーを中心に校内体制を一層整備し、教員の
方向性をあわせ、学校経営への参画意識を高めていくことが必要です。
診断ポイント⑦ その他 地域との共生を目指した社会貢献活動
■成果 園芸デザイン科の生徒を中心に「花のまちづくり協議会」等の地域交流活動や、学校近隣の駅・公園
花壇の植栽管理等を地域住民とともに行っています。生徒が地域行事に参加し、実習製品の販売等を行うこ
とにより、社会に役立つ喜びを体験的に学ぶとともに、学校に対する地域からの理解を深めることに役立っ
ています。
■課題と改善の方策 様々な地域交流活動に取り組んではいますが、交流活動相互の関連が明確でない部分も
あります。
「食と緑の学園」の全体計画の中での位置付けを明確にするとともに、今後は、生徒を中心とした
特色ある活動に発展させ、全校生徒参加型の教育活動へと展開していくことが期待されます。
Ⅲ 自律的改革の内容(概要)
■18年度の目標とその成果(概要)
<重点目標(抜粋)>
<達成状況(18年度末)>
① 東京の東に「豊かな学校」
(豊かな農業文化の醸成)
食育推進研究指定校に指定された。
② 学校の農場化、農場の教室化、学校全体が学びの場
(学習環境の整備)
校長室前や本館1階廊下に学習の様子を写真で掲示
する「学習風景の見える化」を行った。
③ 昼も夜も農産高校(定時制課程との交流)
全定合同文化祭による生徒間の直接交流ができた。
④ なりたい自分になる学校
四年制大学が2%から10%、短期大学が4%から
(習熟度別指導、少人数指導、進路指導の充実、進学実績の 7%、専門学校が30%から37%、民間企業就職
拡大、就職実績の安定化)
が39%から40%へとそれぞれ増加した。進路未
決定者が25%から7%に激減した。
⑤ 第六次産業「農業」の担い手を育てる学校
農業クラブ意見発表大会で関東大会に出場させた。
(社会の変化や情報化に対応した教育活動の展開)
⑥ 農業を通して世界を観る学校(国際化への対応)
オーストラリアからの留学生2名、アメリカから訪
問学生6名の受け入れを行った。
⑦ 内も外も農産高校 (開かれた学校づくり)
延べ年間100回以上の地域交流活動を実施した。
Ⅳ 学校経営診断を受けての校長意見
東京東部唯一の農業高校「食と緑の学園」をモットーに、本校の強みを前面に押し出した改革を進めてきたが、
今回診断を頂いて方向性に間違いないことが明確になった。
全教職員のベクトルが同じ方向に向き、車輪も動きだしたことから、今後は一層はずみをつけた取組を行う。さ
らに、趣旨説明ポスターや学習風景写真掲示など種々の「見える化」は、好評につき今後とも推進していく。
生徒には、学習意欲向上指導「やる気ふつふつ」を基盤に、現在より一層厳格な生活指導「ならぬことはならぬ」
と進路指導「ランクアップ」により、一人一人の資質・能力を伸ばしていく。 (農産高等学校長 徳田 安伸)
- 73 -
17 竹早高校
学校経営診断書 −竹早高校−
○
○
○
○
○
所在地
創 立
診断対象
生徒数
主な指定等
文京区小石川4−2−1
明治33年2月1日(当時:東京府立第二高等女学校)
全日制課程(普通科)
719名(男366名〔50.9%〕、女353名〔49.1%〕)
進学指導推進校
Ⅰ 経営診断結果(総括)
こた
■現状 進学校として地域や保護者からの期待に応えるため、行事や特別活動を充実させながら、基礎・基本
の授業の徹底、生徒による授業評価を活用した授業改善、3年間を見通した体系的・計画的な進路指導の工
夫、補習・講習などに取り組んでいます。
■成果 学習指導においては、45分7時間授業により週35時間の授業を行い、基礎学力の定着を図ってい
ます。生活指導においては、これまで実施されていなかった朝のホームルームを実施するようになり1時間
目の授業への遅刻者が減ってきています。また、進路指導においては、3年間を見通した進路指導の計画と
して「進路指導基本計画」を策定し、生徒の学習状況の調査、教員による進路指導の研修、保護者のための
進路講座などについて計画的に取り組んでいます。
■課題と改善の方策 入学時から国公立大学への進学希望者が100名ほどいることを踏まえ、予習・復習を
中心とした家庭学習習慣づけの指導を行うとともに、指導方法の工夫や授業の改善を図ることが重要です。
また、現在進めている国公立大学に対応した教育課程の早急の改善や将来設計能力などのキャリア教育の視
点も踏まえた進路指導基本計画を策定し、全教員で進学校としての地位の確立に向けて取り組んでいくこと
が必要です。
Ⅱ 経営診断結果
診断ポイント① 学習指導 45分7時間授業の効果と授業改善に向けた工夫
■成果 平成15年度から45分7時間授業で週35時間の授業を行うなど授業時数の確保に努めるととも
に、1年次の国語・数学・英語で標準単位数より1単位多くして実施し基礎学力の強化を図っています。ま
た、教員は、45分授業で授業の目標達成ができるように、休み時間に板書を行ったり、プリントを工夫す
るなど授業改善を行い、チャイムと同時に授業内容の理解を深められるよう、授業への集中を高めています。
■課題と改善の方策 学習内容が豊富で学習進度が速くなるため、予習・復習を前提とした家庭学習時間の確
保、学習到達度目標を設定した年間指導計画に基づく授業の実施などの工夫が必要です。また、授業への集
中力を高めるため、成果を上げつつある授業規律の確立について、一層全校体制で取り組んでいくことが大
切です。さらに、生徒による授業評価を活用し、各教科による組織的な授業改善プランの作成を行い、週ご
との指導計画や年間指導計画に反映させていくことが必要です。
診断ポイント② 生活指導 遅刻防止と授業規律の確保に向けた取組
■成果 「自主自律」の校風のもと、個性豊かで自主性に富んだ生徒が多く、落ち着いた学校生活の状況にあ
ります。服装や頭髪は改善されてきており、特に、遅刻防止においては、16年度より朝のショートホーム
ルームを実施したことにより、以前と比較して1時間目の授業への遅刻者数が減少してきています。
■課題と改善の方策 時間を守ること、集会等において説明者の話を聞くマナーの心得を持つこと、教室環境
の整備に努めることなどの取組の成果を生かして、さらに生徒の規範意識を向上させ、高いレベルでの授業
規律の確保に連動させていくことが必要です。
遅刻者については、成果は上がっていますが、1年生に比べると高学年になるにつれてやや増えてしまう
- 74 -
17 竹早高校
傾向にあります。朝のショートホームルームの成果を踏まえ、生徒や保護者との連携を一層深め、全教員で
組織的に対応していくことが必要です。
診断ポイント③ 進路指導 3年間を見通した体系的・計画的な進路指導の工夫
■成果 18年度の現役進学率は、目標の70%以上に対して、75%となりました。また、難関私立大学合
格者を毎年60名前後出しており、進学実績が伸びている傾向にあります。15年度に、学習意欲・学力向
上に総合的に取り組むモデル事業である「学力向上フロンティア・ハイスクール」の指定を受け、その成果
をさらに発展させるために3年間を見通した「進路指導基本計画」を策定し、生徒の学習状況の調査、進路
指導の研修(模擬試験の結果分析、大学入試の動向や分析など)
、保護者のための進路講座の実施などに取
り組んでいます。
■課題と改善の方策 入学時から国公立大学など高い進学意欲を持つ生徒が多い状況ですが、学年が上がるに
つれて国公立大学への希望者が減っていく傾向にあります。キャリア教育の充実を図り、第一希望の進学先
に挑戦させるよう促す進路指導が必要です。また、現在検討している教育課程について、国公立大学に対応
した教育課程を早急にまとめ、改善を図っていくことが大切です。さらに、
「進路指導基本計画」に将来設
計能力の育成などのキャリア教育の4つの視点を踏まえた内容を盛り込み、進路部が学年を支えている体制
をさらに発展させ、進路指導部を中心に学年等と連携した指導体制を整備していくことが必要です。
診断ポイント④ 特別活動 帰国生徒を活用した異文化理解、国際性とリーダー性の育成
■成果 体育祭、文化祭、合唱コンクールなどの学校行事は、これまでの伝統を引き継ぎながら、生徒会が中
心となって企画・運営を行っています。また、帰国生徒の協力を得ての異文化理解では、
「帰国室だより」
の発行、文化祭における「私たちの海外体験」の発表、生徒の自主的な運営による帰国生徒のプレゼンテー
ション(昼休みに5回実施)の実施、国際理解講演会の実施などにより、異文化理解をすすめ、国際性豊か
な感性や自主性の育成を図っています。
■課題と改善の方策 より高いレベルの学校行事を目指すことも大切ですが、学校行事の準備にかける時間が
多い点が課題です。また、学校行事終了後の学習への切り替えなど、学習との両立の観点からの改善が必要
です。帰国生徒を活用した異文化理解は、海外の生きた情報を生徒たちに与える点で良い刺激となってはい
ますが、国際性とリーダー性の育成という視点からその効果を検証し、国際理解教育のねらいが達成できる
ように工夫する必要があります。
診断ポイント⑤ 健康づくり 安全で清潔な学習環境の整備、心と体の健康教育の推進
■成果 心と体の健康な発達を促し、安全で清潔な学習環境の整備を図るため、学校保健計画の作成、学校保
健委員会の開催、エイズなどの性教育に関する講演会や安全指導の講演会の実施、ごみの分別やリサイクル
の実施などに取り組んでいます。特に、ごみの分別やリサイクルの推進については、厚生部が中心となって
推進期間を設定し取り組んでいることから、清掃活動の徹底が図られ、学校全体がきれいに保たれています。
■課題と改善の方策 全教職員の共通理解の下、学校保健計画に基づき、関連する教科や学校行事との連携を
図るなどして、計画的に取り組んでいくことが必要です。また、ごみの減量化とリサイクルを一層推進し、
生徒個人の目標、クラスの目標、学校全体の目標を数値化するなどして、生徒一人一人の努力が実感できる
ような工夫を行っていく必要があります。
診断ポイント⑥ 募集・広報活動 学校説明会、中学校訪問等に対する組織的な取組
■成果 募集・広報活動としては、6月の土曜日(1回)に授業公開の実施、10月の土曜日(2回)にオー
プンデーによる授業公開・学校説明会・相談の実施、11月(1回)に学校見学・相談の実施、その他随時、
個別の学校見学への対応、ホームページの活用などを行っています。中学校訪問は、教員による中学校訪問
の他、生徒に学校案内などの資料を持参させての出身中学校への訪問を行っています。
■課題と改善の方策
推薦倍率が5∼6倍、学力検査が1.7∼2倍、学校説明会に約1200名の中学生
- 75 -
17 竹早高校
が参加するなど、
、地道な募集・広報活動の成果により、知名度もあり応募状況は安定しています。今後、
総務部が中心に計画を立て、都立合同説明会でのPR方法や塾や予備校を活用した広報の工夫を行いながら、
全教員で、特色ある教育活動や、OBによる竹早塾の開催、進学実績などを発信していくことが必要です。
診断ポイント⑦ 学校経営・組織体制 企画調整会議を中心とした学校運営、校内の組織体制
■成果 企画調整会議の定例化により、学校の組織的な運営が企画調整会議を中心に機能するようになってき
ています。企画調整会議では、職員会議の議題の整理の他に、各分掌からの報告、企画・提案もあり充実し
た会議となってきています。
■課題と改善の方策
企画調整会議を中心とした学校運営が機能するようになってきていますが、今後は、
学校経営計画の具現化に向けて、主幹・主任を中心とした教職員との協働による効率的な学校運営を組織的
に実施していく必要があります。
Ⅲ 自律的改革の内容(概要)
■18年度の目標とその成果 (概要)
③ 補習・講習の実施
<重点目標(抜粋)>
<達成状況(18年度末)>
45分7時間授業の堅 週35時間の確保、国語・数学・英語の標準
持
単位数各1単位の増加
(達成)
2回 (他に、学校運営連絡協議会での授業
評価1回)
(達成)
補習の随時実施、講習22講座
④ 竹早塾(土曜講習)の実施
(達成)
① 授業時数の確保
② 生徒による授業評価等の実施
10回開催、延べ952名の参加
⑤ 「進路指導基本計画」に基づいた計 (達成)
画的な進路指導
⑥ 学習状況調査の実施
(達成)
入試動向の分析、保護者向け講演会の実施
⑦ 遅刻防止
(達成)
⑧ 国際性、リーダー性の育成
(達成)
二年生、年間30日以上6.2名から2.7
名へ減少
帰国生徒のトークショー(5回実施)
⑨ 部活動への参加の向上
(達成)
文化部15、運動部17に生徒9割が参加
⑩ 学校説明会の計画的な実施
(達成)
授業公開・学校説明会等を年5回実施
⑪ 現役進学率
70%以上
75%
⑫ 第一志望の中学生の確保
(達成)
推薦倍率5.1倍(前年度6倍)
学力検査倍率1.7倍(前年度2.0倍)
応募者数533名(前年度627名)
58%
71%
66%
2回実施し生徒の家庭学習時間等を把握
⑬ 生徒の満足度(教育課程・教科指導) 60%
(学校行事)
80%
(部活動)
90%
Ⅳ 学校経営診断を受けての校長意見
今回の学校経営診断で、現在取り組んでいることの成果及びこれからの課題を明確にすることができた。例えば、
45 分 7 時間授業への意欲的な取組など、
「成果」の部分で評価されたことは、今後の励みになる。
「課題と改善の方策」として指摘されたことの多くは、現在、本校で取り組んでいる内容であった。この点で、
学校経営上の課題を、今まで以上に客観的に確認することができたと考える。今後は、さらに高いレベルでの成果
を目指し、引き続き検討を加えていく。
進学校としての地位を確立するために、全教職員一体となって努力していきたい。
(竹早高等学校長 浅田 博)
- 76 -
18 向丘高校
学校経営診断書 −向丘高校―
○
○
○
○
所在地
創 立
診断対象
生徒数
文京区向丘1−11−18
昭和23年4月1日(当時:東京都立向丘本郷新制高等学校)
全日制課程(普通科)
702名(男354名〔50.4%〕、女348名〔49.6%〕)
Ⅰ 経営診断結果(総括)
■現状 生徒の進学希望を実現するため、自学自習を基本とした学習指導、3年間を見通した進路指導計画の
策定と組織的な補習体制の確立に向けた進路指導、遅刻防止に向けた指導・授業規律の確立などに取り組ん
でいます。
■成果 宿題や課題を課す指導や小テストの実施により、自宅学習時間の確保に取り組んでおり評価できます。
進路実績では、国公立大学進学者2名を含め、四年制大学現役進学率が2%上昇して43.3%になって
います。生活指導面では、特に遅刻指導を重点的に行うとともに、集会指導を中心に規範意識を育てる指導
を行い、改善されてきています。
■課題と改善の方策 6割以上の生徒が四年制大学への進学を希望している現状を踏まえ、日常及び長期休業
日の宿題や課題を課す指導、小テストや宿題テストの実施などによって、一層、自宅学習時間の確保に向け
た指導の徹底、授業規律の確保も含めて授業の改善策を教科ごとに立てることなどが必要です。また、生活
指導においては、生徒指導部を中心とした、朝の立ち番などによる組織的な遅刻防止指導や服装・頭髪指導
の継続が必要です。進学に向けた補習・講習については、教務部、進路指導部が中心となって計画的に実施
していくことが必要です。
Ⅱ 経営診断結果
診断ポイント① 学習指導 自学自習を基本とした学習習慣の確立に向けた指導
■成果 普段から、国語、数学、英語を中心に宿題や課題を課し、その後の宿題テストや小テストを実施する
ことによって自宅学習時間を確保し、自学自習の習慣を身に付けさせるよう指導しています。また、生徒に
よる授業評価に基づき、教科ごとに改善策をまとめ、夏季休業日中に授業改善研修会を実施しています。
■課題と改善の方策 現在行われている宿題・課題を課すなど予習を前提とした授業スタイルを確立させ、自
学自習の習慣を身につけさせる指導は、教員個人の指導に任せられている状態から、教科ごとに組織的に行
っていく必要があります。
診断ポイント② 進路指導 進学実績向上に向けた講習等の組織的な取組
■成果 長期休業日を中心にした進学希望者への講習を約300時間実施しています。センター試験受験者が
50名に増加し、四年制大学への進学率が前年度を上回って43.3%となっており、成果が見られます。
また、学年主導から、進路指導部を中心とした進路指導への転換の動きが見られたことは評価できます。
平成19年度に入り進路指導部が中心となって、
「進路の手引き」を改訂し、合格体験記を掲載するなど読
みやすいように改善しています。また、1年生対象の大学・学部紹介、教員対象の四年制大学・短期大学説
明会開催等、生徒、教員の意識啓発を図る取組が行われるようになりました。
■課題と改善の方策 これまでは、指定校推薦の基準が学年によって異なるなど、進路指導体制は学年主導の
ものでした。今後は、進路指導部を中心とした組織的な進路指導体制を一層確立させていく必要があります。
特に、3年間を見通した系統的な進路指導計画を策定し、補習・講習体制を組織的なものとしていくことが
重要です。また、個人面談や三者面談などを丁寧に行った結果、3年の保護者からの進路指導への満足度が
高くなっており、一層、面談を通したきめ細かな指導を進めていくことが必要です。
- 77 -
18 向丘高校
診断ポイント③ 生活指導 遅刻防止・服装指導等の生活指導と授業規律の確立
■成果 学年が中心となって、重点的に遅刻の多い生徒への個別指導を行っています。また、規範意識の育成
の観点から、集会での指導にも力を入れ、整列の仕方や話を聴く態度等に改善の兆しが見られました。授業
規律の確立に関しては、教員が具体的な確認事項を共有し、遅刻防止の意味も込めて、教員が自ら範を示し
て、授業開始のチャイム前に教室に入るなどして取り組んでいます。さらに、交通安全指導、駐輪指導、通
学マナー指導では、学年別ステッカーの導入とともに、生徒指導部による指導が行われ、成果がありました。
■課題と改善の方策 18年度には学年中心での遅刻防止指導が行われましたが、今後は、頭髪・服装指導も
含めて、生徒指導部を中心に組織的に行う必要があります。19年度からは、生徒指導部が中心となって朝
の立ち番による遅刻防止指導、下校指導などを拡大・強化させていくことが重要です。また、遅刻の多い生
徒に対する具体的な指導方法も工夫していくことが必要です。
診断ポイント④ 特別活動・部活動 部活動、学校行事の活性化
■成果 部活動加入率は75%を越え、目標を達成することができました。定時制があるため活動時間等に制
約がある中、吹奏楽部、サッカー部、男女バスケット部、バレー部、テニス部などが活発に活動しており、
特に、吹奏楽部が定期演奏会、コンクールにおいて受賞するなど成績も残しています。
体育祭、文化祭等の学校行事では、コンクール審査、競技審判をまかせる等、企画・運営面で生徒の自主
性を引き出すように進めています、体育祭では約200名の保護者の見学があり、活発になってきました。
■課題と改善の方策 アルバイトをしているため、学校生活に目が向いていない生徒もいます。このような生
徒に対しては、部活動や学校行事の活性化を通して、学校への帰属意識を持たせる指導をしていくことが必
要です。そのためには、部活動の成果や学校行事における学修成果の発表の機会を「発表週間」として設け、
地域、保護者の方々に見てもらったり、学校紹介や学校説明会などで、生徒に活動紹介の機会を与えたりす
ることによって、生徒の学校への帰属意識を高めることも必要です。さらに、生徒会を中心にしたリーダー
研修を実施し、学校行事や部活動で自主的に活動することができるよう育成していくことも大切です。
診断ポイント⑤ 健康づくり 心の健康に係る相談体制の充実と美化活動
■成果 学校生活になじめない等、養護教諭が対応しなければならない生徒の事例が増えましたが、教育相談
センターと連携を図りながら、相談を受けた生徒に関する情報について、養護教諭が迅速に学年、担任に伝
え、学年経営やホームルーム経営に生かせるようにしていることは評価できます。
美化活動として、清掃活動及びごみの分別指導、減量化などに全校をあげて取り組んでおり、帰りのホー
ムルームで清掃指導をするクラスが増えるなど、校内美化に向けての意識改善が進んできています。
■課題と改善の方策 保健部として分掌が独立しておらず生徒指導部の中に含まれているため、心の健康に係
る相談体制を確立することが必要です。相談を必要とする生徒ごとに、担任、養護教諭等関係する教員によ
るチームを編成して、対応することが考えられます。校内美化運動については、学年やクラスによって取組
に温度差があるため、生徒指導部を中心にして統一した指導体制を確立することが必要です。
診断ポイント⑥ 募集・広報活動 積極的な広報活動の展開と入学者選抜の倍率増
■成果 授業公開、学校見学、学校説明会等の充実に取り組んでおり、説明会出席者数は約900名(目標8
00名以上)
、中学校等訪問回数は100校(目標70校以上)で、それぞれ目標を達成しています。また、
入学者選抜のうち、推薦倍率3倍以上を維持しています。
■課題と改善の方策 応募者の出身中学校が150校ほどあるにもかかわらず、100校程度の訪問で終わっ
ているなど、広報活動の一層の充実が必要です。募集・広報活動を中心に行う組織体制の整備を図り、さら
に、企画調整会議を中心に組織的な戦略を練って、経営企画室の経営企画機能も活用して広報活動を展開す
ることが大切です。また、広報活動において、模擬授業体験、部活動体験など体験を中心とした企画、広報
活動におけるキャッチフレーズの策定、生徒による母校訪問などの工夫を図っていくことが必要です。
- 78 -
18 向丘高校
診断ポイント⑦ 学校経営・組織体制 授業改善の組織的な教科指導体制の確立
■成果 学校運営連絡協議会協議委員からの教員の指導改善を促す意見が、授業改善や生活指導体制の強化に
向けた取組につなげられています。特に、奉仕や進路指導、3年次授業研修での校内研修会の実施と、生徒
による授業評価に基づく校内研修では、教科・科目ごとの改善策を発表しあうことができました。
■課題と改善の方策 現在、夏季休業日に生徒による授業評価に基づく教科ごとの授業改善策の研修会が行わ
れていますが、今後は、改善策に基づく検証を行い、さらに2学期末に同様の研修会を実施することが重要
です。授業改善のマネジメント・サイクルを確立し、精度の向上を図ることが求められます。
Ⅲ 自律的改革の内容(概要)
■18年度の目標とその成果(概要)
<重点目標(抜粋)>
<達成状況(18年度末)>
① 授業規律、授業準備の徹底
家庭学習時間90分以上
予習復習の徹底、宿題テストの実施
② 進学実績の向上
四年制大学進学率40%以上
43.3%(国公立大学合格2名)
③ 部活動の活性化
部活動加入率70%以上。
75%
④ 生活指導の徹底
始業時刻10分前登校指導、
服装・マナー指導の強化
一日平均遅刻率 1年13.2%、2年16.3%
⑤ 交通安全指導の徹底
(実施)
駐輪指導の組織的な実施 交通事故負傷者1名
⑥ 清掃指導やリサイクル活動
(実施)
指導の実施
⑦ 広報活動の充実
学校説明会等出席数800名
実質応募倍率 1.4倍以上
中学校訪問の回数70校以上
約900名
⑧ 生徒の健康実態の把握と心 (実施)
身の健康の維持向上
100校
学校保健委員会の校内規定の改定による組織体制
の整備
Ⅳ 学校経営診断を受けての校長意見
経営診断により、本校が行ってきた様々な取組に対しての客観的評価が示され、成果と課題、さらには改善に向
けた具体的な方向性などを体系的に認識することができた。
これまでの取組における確かな成果には自信を深めつつも、一方で、向丘が掲げるスローガン「確かな実力」
「豊
かな心」の下、教職員の課題発見や改善への意欲を一層高め、生徒や保護者、さらには都民の期待に十分応えられ
る中堅進学校の実現に向け、着実に課題解決を図っていきたい。
- 79 -
(向丘高等学校長 戸谷 賢司)
19 六郷工科高校
学校経営診断書 ─六郷工科高校─
○ 所在地
大田区東六郷2−18−2
○ 創 立
昭和15年10月14日
○ 診断対象 全日制課程(単位制工業科:オートモビル工学、デザイン工学、
システム工学、プロダクト工学)
○ 生徒数
479名(男401名〔83.7%〕、女78名〔16.3%〕)
Ⅰ 経営診断結果(総括)
■現状 都立初の単位制工業高校として、体験的学習・ものづくり教育を推進し、多様な学習希望に応じて
生徒の個性を伸長し、基礎学力の定着を徹底させ、自ら学ぶ姿勢・習慣を養う教育を目指している学校です。
■成果 地域の教育力を活用して市民講師を積極的に活用したり、大田区内の小・中学生対象にものづくり
の催しを開催するなど地域への積極的な情報発信を行ったりしています。
朝学習、放課後の補習、夏季休業日中の勉強合宿を実施し、定期的に実力テストを行い、定着度を確認す
るなど、基礎学力の定着と、生徒の進路希望実現のために取り組んでいます。
また、生活指導を重視し、全教職員が関わりながら正門での頭髪指導、服装指導、遅刻指導、授業規律の
確立などに取り組んでいます。
■課題と改善の方策 履修に対するガイダンスの充実を図り、生徒が自己の進路実現のために適切な科目選択
が行えるような指導を工夫していく必要があります。学校設定科目「学ぶこと働くこと」を通じてキャリア
ガイダンスを更に充実させることが必要です。また、単位制工業高等学校としての特色を、地域や中学生に
対してわかりやすい形で発信していくことが求められます。
Ⅱ 経営診断結果
診断ポイント① 学習指導 分かりやすい授業を展開するための工夫
■成果 基礎学力充実のために、習熟の程度に応じた授業や朝学習、放課後の補習や、夏季休業中の勉強合宿
を開催するとともに、定期的に実力テストを実施し、学力定着度を確認しています。7月と12月には生徒
による授業評価を実施し、学習指導における課題を把握し、授業改善に取り組んでいます。
■課題と改善の方策 生徒による授業評価は、質問の数や項目の内容を工夫して、改善したい事項に合った質
問項目を組み立てるように改善し、評価結果を授業改善に生かすことができるようにしていくことが重要で
す。また、英語検定、漢字検定など資格取得に関して、生徒の学習意欲を喚起させる工夫が必要です。
診断ポイント② 生活指導 服装・頭髪・通学マナーを徹底させる体制
■成果 社会人としての資質を育成し、地域から信頼される学校を作るため、服装・頭髪指導、遅刻指導など
の生活指導を積極的に実施しています。遅刻指導については、教職員全体で取り組んでおり、前年度に比べ
て遅刻者数が減少しています。学校として積極的に生徒指導に取り組む姿勢を明示するため、中学生対象の
学校説明会において服装・頭髪指導についての方針を説明しています。
また、
「自ら考えて行動する」リーダーシップのある人物の育成に取り組むため、生徒対象にリーダー育
成研修を実施するなどしています。
■課題と改善の方策 今後は、今まで以上に、教職員全体に学校としての生徒指導の方針を共有化し、一体と
なって取り組む必要があります。ビジネスマナー教育の一環として、地域の企業経営者を外部講師として
活用するなど、企業側からの視点での生活指導を取り入れるなどといった工夫を行うことが大切です。
診断ポイント③ 進路指導 100%の進路保証を実現するための取組
■成果 生徒の適性に合った進路先の選択をさせるために、履修パターンのガイダンスを行い、適切な科目
- 80 -
19 六郷工科高校
選択の指導に努めています。また、大田区を中心に企業と連携し2年次からインターンシップを実施し、
進路未決定者ゼロを目指しています。企業・団体が実施する就職説明会、オープンキャンパス、就職ガイダ
ンス会などへの生徒の積極的な参加を促しており、進路未決定者数を減少させることができました。
■課題と改善の方策 履修方法については、概ね生徒への理解は進んでいますが、生徒個人ごとの希望進路に
合った適切な科目を選択するという視点では、一層、内容の充実が求められます。学校設定科目「学ぶこと
働くこと」を活用して、キャリアカウンセリングの観点から、生徒自身が、卒業後の希望進路を踏まえて、
科目を選択し、積極的に学習に向かう姿勢を育てることができるよう、指導内容を充実させていくことが重
要です。単位制工業高校のコンセプトについて校内研修を実施するなど、教職員の理解促進に努める必要が
あります。
診断ポイント④ 特別活動・部活動 部活動・生徒会活動を強化発展させるための指導
■成果 「自ら考えて行動する」という生徒指導の方針のもと、リーダー研修会を実施し、生徒のリーダーシ
ップ育成に努めています。公式戦に参加する運動部が徐々に増えており、部活動加入率も上昇してきました。
文化祭への来校者数1000人を達成するなど、地域からの理解が得られつつあります。
■課題と改善の方策 今後は、活動内容の充実を図っていく必要があります。部活動に顧問を複数充てたり、
外部指導員を活用したりして、指導する側の教員がより積極的に取り組んでいくことが重要です。
診断ポイント⑤ 健康づくり 生徒の健康づくりなどの啓発活動状況
■成果 地元に根ざした学校づくりの一環として、学校周辺の美化活動や、校内でのごみの分別、リサイクル
などを進めています。また、生徒会を中心にした自発的なボランティア活動として美化活動を行っています。
健全育成・健康づくりに関してはカウンセリングの活用、講演会の実施に取り組み、生徒が「自己肯定感」
を高めることができるように指導しています。
■課題と改善の方策 校内はきれいに維持されています。現在の状態を維持するためにも、保健部と生活指導
部が連携して、生徒による美化活動を進めていくことが重要です。生徒の心の健康についてはカウンセラー
との連携を図り、学校相談活動を進めていますが、今後は、教職員の共通理解を深め、連携して個別面接や
カウンセリングの充実に取り組んでいくことを期待します。
診断ポイント⑥ 募集・広報活動 入試倍率を高める広報活動
■成果 6月より学校説明会を開始し、教職員が1人あたり3校の中学校訪問を行い、延べ300校の学校訪
問を実施しました。また、中学生に六郷工科高校の特色を伝えるため、体験学習を実施しています。参加者
は前年度比25%増加しています。また、卒業生による出身中学校訪問を実施し、生徒の生の声による学校
PR活動も実施しています。
■課題と改善の方策 学校案内やパンフレット等の一部には、中学生が理解するには難しい内容での記述が見
られるので、より理解しやすい内容に再編する必要があります。六郷工科高校の特色について、全教職員が
十分に理解し、求める中学生像を明確にした上で、募集活動に当たっていく必要があります。
診断ポイント⑦ 学校経営・組織体制 企画調整会議の充実・3課程の連携・人材育成の取り組み
■成果 主幹会議を学校戦略会議と位置づけ、意思決定ラインを明確にしています。インターンシップのノウ
ハウを全日制課程、定時制課程とともに共有化するなど、連携した取組も進められています。
■課題と改善の方策 単位制工業高校としての理念、将来ビジョンを明確に教職員に示し、全教職員はこれを
共有化し、実現に向けての協力体制を強化することが求められます。そのためには一層、企画調整会議の充
実、校内研修の活性化などに取り組み、学校としての組織力を充実させることが求められます。全国初の「デ
ュアルシステム科」を有し、特色ある教育課程を生かして、他の工業高校にとっての先進的モデルケースと
なることが期待されています。
- 81 -
19 六郷工科高校
Ⅲ 自律的改革の内容(概要)
■18年度の目標とその成果 (概要)
② 求人企業(求人票依頼)の開拓
③ 大学等指定校推薦の開拓
<重点目標(抜粋)>
<達成状況(18年度末)>
2回以上
5回
50社以上
259社(371職種)
20校以上
37校(短期大学を含む)・専門学校41校
④ 実質受験倍率
推薦・一次 1.5倍以上
① 生徒・保護者対象の進路説明会
⑤ 地域の小学生を対象にした「もの ⑤10回程度
づくり教室」の開催
⑥ 大学との連携・交流の強化
(達成)
推薦1.8倍 一次1.6倍
10回 (「おおた少年少女発明クラブ」開催)
⑦ 中学校訪問、学習塾訪問
⑧ 中学生保護者対象説明会等
400校、30ヶ所以上
学校見学会2回以上
全体説明会年4回
⑨ ホームページの更新
毎月(10回)
⑩ 習熟の程度に応じた授業・少人数 (達成)
学習による基礎・基本の徹底
⑪ 課外活動による学力補充
(達成)
玉川大学、神奈川大学、関東学院大学など高大連
携交流会に参加。
300校、30箇所
2回、4回
他に、体験学習2回、合同説明会4回、中学校出前
授業・説明会5回
22回
数学と英語で1クラス2展開の習熟の程度に応じた
授業を実施。
教員41名、生徒200名により、早朝及び長期休業
中の補習・補講。
5月15日∼6月2日早朝学習会、7月25日∼28日
サマーセミナー、12月26日∼28日ウィンターセミ
ナー
3回∼5回(担任ごとに異なる)
⑫ 学力増進のため夏期休業中に3泊 (達成)
4日程度の勉強合宿を開催。
⑬ 生徒面談または三者面談による履 2回以上
修パターンへの理解促進
⑭ 研究授業
2回以上
12回 (開校3年目の構想を教職員に徹底)
⑮ 文化祭の来校者数
1,000人
1300名以上
⑯ 部活動の公式戦参加
10部
12部
⑰ 清掃活動の強化
校内ゴミ分別指導週3回
大掃除年間10回以上
⑱ 公開講座・施設開放の推進
(達成)
週3回、年間10回以上
他に、つばさ総合高校での環境サミット参加、環境
講演会の実施
吹きガラスの市民講師3名によるガラス工芸講座の
開講。
Ⅳ 学校経営診断を受けての校長意見
本校は開設 4 年目を迎え、第 1 回の卒業生の進路結果を踏まえたカリキュラムの検討と改善を行っている。今
回の学校経営診断により、学校改善の方向性と手法の評価を頂き、努力目標を再確認した。
今後、ご指摘いただいた履修に対するガイダンスの充実を図り、生徒が自己の進路実現のために適切な科目選択
が行えるように努力したい。また、キャリア教育を一層充実させ、単位制工業高等学校としての特色を、地域や中
学生に対してわかりやすい形で発信していきたい。
(六郷工科高等学校長 前薗 実)
- 82 -
20 晴海総合高校
学校経営診断書 −晴海総合高校―
○
○
○
○
所在地
創 立
診断対象
生徒数
中央区晴海1−2−1
平成7年10月4日
全日制課程(単位制総合学科)
721名(男99名〔13.7%〕、女622名〔86.3%〕)
Ⅰ 経営診断結果(総括)
■現状 総合学科高校の先導的な役割を果たす学校として、生徒一人一人の自己実現が図られ、多様な進路希
こた
望に的確に応えることを目指しています。
「産業社会と人間」
・
「課題研究」を中心としたキャリア教育を充
実させています。
■成果 生徒の満足度は高く、総合学科の教育内容・方法について保護者からの評価を得ています。生徒の希
望進路実現も9割近く達成されています。
校内は落ち着いた雰囲気で、部活動やボランティア等の地域連携も盛んです。
校長のリーダーシップのもと、副校長・主幹を中心とした組織的な学校運営が行われ、柔軟に社会の変化
に対応しています。
■課題と改善の方策 生徒の大学進学希望が増える中、総合学科高校としての特色を生かして、生徒一人一人
の進路保障を図っていくことが今後の課題です。総合学科高校として、キャリア教育をより充実させるとと
もに、各系列の専門性を高めて、着実に社会で活躍する人材を輩出していくことが期待されています。
経営企画室も学校運営に積極的に参加して、教職員が総合学科の特色への理解を深める校内研修を企画す
るなど、総合学科の理念を着実に引き継いでいく必要があります。また、自律経営推進予算の編成上の創意
工夫・研究などによって、特色ある科目を継承していくことも必要です。
Ⅱ 経営診断結果
診断ポイント① 学習指導 授業改善への取組
■成果 生徒による授業評価を基に校内研修を実施し、授業改善の方策を検討しました。また、初任者、2・
3年次、10年次研修を基にして指導方法や授業内容の研究を行い、教員の授業力向上に努めています。
英語や数学、体育などで習熟の程度に応じた授業や少人数授業を行い、幅広い生徒の能力に対応するため
の指導を展開しています。指導内容・方法等が工夫されていると評価する生徒は約70%となっています。
■課題と改善の方策 生徒による授業評価に基づく校内研修は職員会議の前に実施する程度で十分な時間が取
られておらず、データの共有化にとどまっています。指導法の研究や家庭学習時間の確保などは教員個人に
任されているところがあり、やや不十分です。適切な時間設定と、研修・研究内容の充実が必要です。
また、評価結果に基づく教科や個人の授業改善の方策については生徒に示されていませんが、今後は、A
4用紙1枚に教員個人のまとめを作成して生徒に改善策を示すことにより、
実効性を高めることも大切です。
今後は、教員の異動に伴う、特色ある学校設定科目の継承についても課題となります。指導資料やシラバ
スなどを充実させ、継承できる体制をつくり上げることが重要です。
診断ポイント② 生活指導 遅刻・身だしなみ指導等によるルール・マナーの定着
■成果 年間5回の遅刻指導週間および年間2回の身だしなみ週間を設け、全校集会や学年集会で指導の徹底
を図っています。単位制の科目選択・ノーチャイム制であり、生徒の自律的な時間管理を重視しています。
ホームルームの年間指導計画が作成されており、ホームルーム活動を重視して取り組んでいます。頭髪に
課題のあるの生徒や遅刻する生徒が少なく、
授業規律も保たれており、
落ち着いた学習環境となっています。
■課題と改善の方策 近隣からは、生徒の通行マナーやごみのポイ捨てなどについて苦情が寄せられており、
- 83 -
20 晴海総合高校
社会人としてのマナー教育を、学年・生活指導部が連携を取り、より徹底させる必要があります。
単位制であり、生徒は学級への帰属意識がやや薄いところがあり、学校行事等を活用して学級のまとまり
を作っていくことが課題です。
診断ポイント③ 進路指導 生徒一人一人の進路保障体制
■成果 キャリアカウンセラーによる保護者対象の進路講演「進路の夕べ」を6回実施し、進路情報を提供し
ています。また、生徒への進路相談「進路シンポジウム」を8回実施するなど、生徒がいつでも進路相談が
できる体制を構築しています。
夏期講座として56講座を開講し、生徒一人当たり平均2講座、延べ1500人が受講しています。生徒
が参加しやすいように午前の部活動を禁止するなどの工夫をしています。
生徒の進路希望達成率は88%で、
生徒の進路実現に対する満足度についても高い状況を維持しています。
■課題と改善の方策 生徒は安全志向が強く、高い進路希望に挑戦しない傾向があります。総合学科の特色で
ある「産業社会と人間」の指導資料やシラバスなどを充実させることで職業への意識を高めさせ、学年と相
談部およびキャリアカウンセラーが連携を取りながら、希望進路へ挑戦する意欲を高めていく指導が必要で
す。
診断ポイント④ 特別活動・部活動 職場訪問やボランティア学習などの交流・連携
■成果 学校行事には十分な準備期間をかけて取り組んでいます。委員会・行事に対する生徒の満足度は高く、
内容も充実しています。また、女子サッカー部が関東大会に出場するなど、部活動も活発です。
生徒会役員が薬物乱用防止高校生会議に参加し、その活動が認められ「民間国連ヤング大使」としてオー
ストリアに派遣されたり、生徒がボランティアで小学生に対して下校時の安全確保支援や安全のためのポス
ター製作を行ったり、台湾・韓国・中国からの修学旅行生を受け入れるなど、学校外の団体等との交流・連
携は活発に行われています。
■課題と改善の方策 全体的に学校行事・部活動の満足度は高いですが、部活動に加入する男子の部員数が少
なく、女子に比べ男子の満足度が低い状況があります。運動部の充実など男子生徒の参加機会を増やしてい
くことも大切です。
診断ポイント⑤ 健康づくり カウンセリングの一層の充実
■成果 学年別にメンタルヘルス講演会を実施し、生徒の心の健康の育成に努めています。
学年・生徒部・保健部・スクールカウンセラーが連携し、カウンセリング委員会を学期に1回実施して、
心の問題を抱えている生徒を把握し、情報交換を行い、組織的に解決に当たっています。
また、全教員・全生徒による美化デーを実施し、地域のごみ拾いを中心とした清掃活動を行っています。
■課題と改善の方策 数値目標を立てるなどして、健康づくりをより充実させていく必要があります。
スクールカウンセラーを講師として研修会を実施するなどして、全教員がカウンセリングマインドを身に
つけることが大切です。
診断ポイント⑥ 募集・広報活動 総合学科への理解度を高める広報活動
■成果 学校説明資料や広報資料を視覚的にわかりやすく改善し、2種類の学校紹介ビデオを作成し、都民の
ニーズに合わせた情報提供を行い、学校説明会や個人見学等の訪問受け入れなど、広報活動が活発に行われ
ています。また、中学校訪問は教員1人3校以上を割り当て、全教員で実施しています。
中央区立の小・中学校との合同音楽祭(吹奏楽部)や中学生との合同稽古(剣道部)を実施するなど、中
学校と連携した活動を通して、募集対策を行っています。
近年、都立総合学科高校が数多く開校する中、入学選抜の応募倍率は一定の値を保っています。
■課題と改善の方策 総合学科高校理解の校内研修を実施するなどして、教員一人一人の総合学科高校に対す
る理解を深め、中学校訪問時における説明の質を向上させていくことが必要です。
- 84 -
20 晴海総合高校
診断ポイント⑦ 学校経営・組織体制 企画調整会議を中心とした学校運営の充実
■成果 企画調整会議録はスムーズに回覧され、報告・連絡・相談体制は整っています。
将来構想検討委員会を設置し、社会の変化に対応した教育課程の改定に着手しました。
学校経営計画に基づいた分掌の組織目標が設定されており、組織的な運営が行われています。
平成19年度から校務分掌を7分掌から4分掌に統合し、校長のリーダーシップがより発揮しやすい体制
としました。
■課題と改善の方策 教育課程の改定に関しては着手したばかりであり、将来の社会の姿をしっかりとらえて、
い
中期的展望に基づいて総合学科高校の特色を活かした改定とすることが大切です。
各分掌の組織目標・年間計画は設定されていますが、書式が統一されておらず、学校要覧にも掲載されて
いません。生徒・保護者にわかりやすく統一し、学校要覧に掲載することも大切です。
教員が意識して大職員室に集まるなどして、教員間のコミュニケーションを活発にし、情報の共有化を図
り、組織として課題解決に向かっていくことが課題です。
Ⅲ 自律的改革の内容(概要)
■18年度の目標とその成果(概要)
① 授業改善
② 生活指導
③ 進路実現
<重点目標(抜粋)>
生徒による授業評価による授業改善
遅刻指導・身だしなみ指導を実施
希望進路の達成率80%以上
<達成状況(18年度末)>
校内研修会を実施し、授業改善の方策を検討。
遅刻指導週間5回、身だしなみ週間2回を設定。
88%
④ 夏期講習
40講座以上
56講座
⑤ 実用英語検定
準2級
⑥ 高大連携
⑦ 学校説明会
⑧ 中学校訪問
⑨ 訪問授業
⑩ 教育課程改定
⑪ 分掌等の改変
合格率80%
89%
(充実)
参加者2000人
150校以上
10回以上
(実施)
(実施)
法政大学キャリアデザイン学部特別聴講生2名参加。
2868人
169校
10回
専門科目を見直し、授業内容や設置の改善方法を検討。
7分掌から4分掌に統合。
⑫ 総合学科の
(検討)
年間指導計画を策定することができた。
い
特色を活かした
奉仕
Ⅳ 学校経営診断を受けての校長意見
本校の教育活動の内容や方法について理解が得られているとの感触が得られ、今後も確信を持って教育活動を推
進していくことが出来る。また、教職員の工夫や努力が継続的に実践されていく意欲にもプラスに働くと思われる。
教職員の異動が早まる中で、本校のミッションを十全に果たしていくためには、指摘にもあるとおり、総合学科
の理念や特色のある選択科目の必要性や教科内容の理解を、全教職員が共有し深化させることが必要であり、校内
研修の充実と活性化が一層重要となっている。
(晴海総合高等学校長 齊藤 光一)
- 85 -
21 三鷹高校
学校経営診断書 −三鷹高校―
○
○
○
○
○
所在地
創 立
診断対象
生徒数
主な指定等
三鷹市新川6−21−21
昭和24年4月1日(当時:三鷹町立三鷹高等学校)
全日制課程(普通科)
960名(男494名〔51.5%〕、女466名〔48.5%〕)
中高一貫教育校への改編(予定)
Ⅰ 経営診断結果(総括)
■現状 地域から文武両道の進学校としての期待を受けている学校で、平成22年度には中高一貫教育校(中
等教育学校)を開校する予定です。
「社会的リーダーの育成」をスローガンに掲げ、希望進路を実現させる
とともに自律心を育てる取組を進めています。
■成果 難関大学合格者数の増加や遅刻者数の減少など、学習指導や生活指導面で成果を上げています。中高
一貫教育検討委員会を設置し、主幹を中心として中高一貫教育に向けた学校の体制作りを進めています。
■課題と改善の方策
教職員の一部には、積極的に学校経営に参画する意識が低く、管理職や主幹、主任に
頼りすぎる面が見られます。学校組織の一層の活性化を進めることが課題です。
今後は、生徒の学習や課外活動への支援体制づくりや募集・広報活動など、協働して学校全体で取り組ん
でいく必要があります。そのためには、教職員の一人一人に教育活動の改善に向けたマネジメント・サイク
ルを意識付け、学校組織の中での自らの役割を再確認させて、人材の育成を図ることが必要です。
Ⅱ 経営診断結果
診断ポイント① 学習指導 組織として高め合う進学指導を中心とした学習指導の充実
こた
■成果 18年度は、生徒の要望に応えて夏季講習を55講座実施しました。生徒の授業に対する姿勢は高く、
教職員も質の高い教育の提供に意欲が見られます。授業の満足度は16年度33%、17年度44%、18
年度56%と徐々に増えてきています。
■課題と改善の方策 授業力向上のために、実力テストを実施しその分析を職員会議で公表し、生徒の達成度
ゆだ
について教員に情報共有を行っていますが、授業改善については教員個人の努力に委ねられており、必ずし
も改善に結びついていません。また、生徒による授業評価の個人記述意見が、担当教員以外には示されない
ことも課題です。
今後、生徒による授業評価や学校評価について、教科ごとに受け止めて分析するだけではなく、教務部が
中心になって取りまとめ、校内研修を通じて共通理解を深めるなど、改善に結びつくような工夫を行うこと
が必要です。さらに、生徒の主体的な学習を支援するため、シラバスの作成活用により、面談などで学習の
到達状況を確認して、入学時に持っていた将来の目標を諦めさせない指導を進めていくことが大切です。
診断ポイント② 生活指導 生徒の実態に即した生活指導についての教職員の共通認識
■成果 学年が一体となった指導により、生徒の遅刻数は非常に少なくなっています。また、校長や生活指導
部の働きかけにより、あいさつの励行についても浸透しています。
■課題と改善の方策 自転車の乗車マナーや二足制の徹底等、規範意識の更なる向上が必要です。
今後、生活指導部が、教務部や進路指導部、教科、学年と連携し、研修会や情報交換の機会を設けて、教
職員全体で生徒状況を把握していくことが必要です。
- 86 -
21 三鷹高校
診断ポイント③ 進路指導 進路指導部を中心とした組織的な進路指導の展開
■成果 進路指導部が中心となって、年14回の「進路通信」による情報発信、講演会、大学模擬授業などを
実施するとともに、教員対象には、大学入試動向や生徒の実力テスト結果分析に関する校内研修を実施して
います。現役大学進学率は、16年度53%、17年度60%、18年度65%と伸びており、国公立大学、
難関私立大学現役合格者数もそれぞれ増加しています。
■課題と改善の方策 学年主導から、進路指導部を中心に学年と連携した進路指導が行われるようになってき
ていますが、さらに、進路指導部が、様々な進路データを蓄積し、それらを関連付けた生徒分析を行ない、
教務部や学年と連携して、授業改善や学校生活の見直しにつなげていく必要があります。
また、進路指導部が中心となって進路行事の在り方を見直したり「総合的な学習の時間」をより充実させ
たりすることが必要です。
診断ポイント④ 特別活動・部活動 リーダー育成を踏まえた生徒の主体性を養う特別活動の充実
■成果 目標として掲げている「社会的リーダーの育成」という観点は、教職員や生徒に浸透しています。生
徒の中には、積極的に生徒会役員やクラス委員、学校行事の役割分担などについて、積極的に取り組む姿勢
が育っています。生活指導部は、合唱祭、鷹高祭など生徒が中心となった運営ができるように支援し、充実
させています。
また、部活動はそれぞれに工夫をして練習するなど活発に行われしています。特にサッカー部などは好成
績を収めています。
■課題と改善の方策 部活動については、今後、一層の成果を期待したいところです。
部活動指導者間や他の機関との連携等を通じて、ウェイトトレーニング技術指導をはじめ、食育や栄養指
導、水分補給の指導はもちろん、精神面を含めて、部活動の向上のための指導が必要です。
診断ポイント⑤ 安全と健康づくり 組織的・計画的な安全指導の充実
■成果 土日の安全対応のため、部活動等の顧問以外にも教職員を配置して、事故対応できるようにしていま
す。また、担任や養護教諭だけでなく、教育相談センターとも連携して、生徒の心のケアにあたっています。
■課題と改善の方策 生徒に対する安全指導においては、日頃から個々の教職員が自らの役割を確認し指導に
あたることが課題です。
教育活動における事故防止については個々の教職員が管理する施設を常に把握し、その安全管理を徹底す
るとともに、隣接の大学病院等と連携して、事故防止や応急処置についての講習会を実施するなど、救急体
制について全職員で共有することが必要です。また、自転車マナーにおいてはセーフティ教室を実施するだ
けでなく、日ごろから生徒への注意を喚起することが大切です。
診断ポイント⑥ 募集広報活動 教職員個々に意識づけられた組織的な募集・広報活動
■成果 18年度は総務部と経営企画室が協力して夏季休業期間中に予約制で学校説明会と校内見学会を行
ったり、塾の説明会へ21回参加したりするなどして募集活動を行いました。男女合計の応募倍率は1.4
6倍となり、特に女子は過去最高の1.48倍という応募者倍率になりました。
■課題と改善の方策 募集活動については、総務部と経営企画室が連携して行いましたが、特に一般教職員の
中学校訪問への協力が十分ではありませんでした。また、中学校への出前授業については、相手校との連携
が足りず、目標を下回ってしまいました。
今後は広報活動の組織を見直すなどして、多くの教職員の協力を促すとともに、中学校への訪問計画や出
前授業、説明会などの連絡を早期から行って、日程の調整を図り、様々な学校情報を提供できるようにする
ことが大切です。また、ホームページについても、組織で対応し、定期的に更新することが必要です。
- 87 -
21 三鷹高校
診断ポイント⑦ 学校経営・組織体制 中高一貫教育校に向けた校内体制の充実
■成果 中高一貫教育については主幹を中心として議論を重ね、教職員の共通理解のもとに準備を進めており、
中高一貫検討委員会によって報告書をまとめています。
■課題と改善の方策 昨年度4人、今年度3人の主幹が分掌をまとめていますが、主幹に仕事が集中するなど、
組織的な運営が十分に行なわれていません。企画調整会議は議案の調整で終わることが多く、実質的な議論
ができるように発展させていくことが今後の課題です。
今後は、教員からのボトムアップができるように分掌の業務の在り方を見直して人材を育成し、学校全体
の機能化を図ることが必要です。また、主幹会議や企画調整会議を活性化し、三鷹高校の将来像を見据えて
課題を出し合い、建設的な意見交換の場としていくことが必要です。
Ⅲ 自律的改革の内容(概要)
■18年度の目標とその成果(概要)
<重点目標(抜粋)>
<達成状況(18年度末)>
① センター試験
参加者260名、全教科で全国平均以上
268名
② 大学合格者数
国公立大学(現役・浪人)50名
有名私立大学200名
35名
192名
③ 現役大学進学率
60%
64.8%
④ 学校事故「ゼロ」 (達成)
大きな事故はなかったが、薬品盗難が発生。
⑤ 募集対策の充実
出前授業10校
地域の塾等の説明会20回
出前授業5校
説明会21回
⑥ 学校説明会
参加者数800名
約1000名
⑦ 広報活動
幼稚園、小中学校への情報提供2回
3回(広報誌の作成配付)
⑧ 校内研修の実施
3回
4回
Ⅳ 学校経営診断を受けての校長意見
都立高校の閉鎖性が、都立高校の最も大きな問題点であり、開かれた学校づくりは教職員に緊張感を生み、学校
を活性化する。
その意味で学校経営診断は、学校を開く重要な機会である。第三者によって、学校の問題点を客観的に指摘され
ることにより、教職員に対しても説得力を持ち、学校改革の重要な契機となった。特に募集活動における全教職員
の協力体制、生徒による授業評価の開示等は、進学校として、また平成22年度開校予定の三鷹地区中高一貫教育
校(中等教育学校)としての取り組むべき方向性が得られた。
- 88 -
(三鷹高等学校長 土肥 信雄)
22 神代高校
学校経営診断書 −神代高校―
○
○
○
○
所在地
創 立
診断対象
生徒数
調布市若葉町1−46−1
昭和15年1月12日(当時:東京府立第十五高等女学校)
全日制課程(普通科)
832名(男398名〔47.8%〕、女434名〔52.2%〕)
Ⅰ 経営診断結果(総括)
■現状 創立66年の伝統を踏まえ、学習、学校行事、部活動に積極的な取組を推進しています。これまでの
生徒たちの自主性を見直し、
「責任を伴う自由」を醸成するように取り組んでいます。
■成果 校長のリーダーシップの下、経営企画室と主幹、主任が連携し、企画調整会議を中心とした組織的・
機動的な組織作りが始まりました。教員間の連絡が取りにくい、古い体質が残っているという声が複数の教
員から出されており、職員室の在り方の検討など、学校全体の施設活用についての見直しも始まっています。
■課題と改善の方策 主幹を活用して現在の生活指導、進路指導を見直して充実させ、生徒が自主的に学びた
いという意欲を喚起する指導を行うことで、さらに保護者や地域からの信頼を高めることが必要です。その
ためには分掌・学年・教科など各部署から出される目標を個々の教員に受け止めさせ、その目標達成に向け
て自らの役割を認識させ、個々の取組から教職員全員が一丸となった取組に変えていくことが大切です。
Ⅱ 経営診断結果
診断ポイント① 学習指導 基礎学力の定着と希望進路実現に向けた授業力の向上
■成果 平成18年度から教育課程が見直され、国公立大学受験者や理科系進学者に対応した改善が行われま
した。校長の学校経営計画に基づき、各教科・各ホームルームにおける目標設定を促し、教員が互いに授業
を「見る」
「見せる」など、授業改善に向けた動きが現れてきています。土曜日や長期休業中の補習数を増
やしたり、家庭学習の促進に取り組む学年が現れたり、学校全体として生徒に対して豊かな教育活動を提供
しようという環境整備が進められてきています。生徒の授業満足度は、16年度53%から18年度68%
へと徐々に上昇しています。
■課題と改善の方策 生徒の学力実態を正確に把握し、進路実現に向けた教育課程編成の検討を継続するとと
もに、授業改善に向けた校内研修を一層充実させ、各教員が授業を見合うことを通してお互いの授業力を向
上させることが必要です。教務部が中心となって各教科・各ホームルームにおける目標を明確に設定して組
織的な取組を行うことが重要です。
診断ポイント② 生活指導 「責任を伴う自由」を醸成する組織的な生活指導の徹底
■成果 昨年度まで生活指導部が担当していた清掃美化を、学校経営上の観点から見直して保健部担当とし、
保健部主任を中心に組織的な取組が行われ、校内の環境美化が推進されています。継続した課題であった遅
刻生徒数や服装についても、学年による指導が全校に波及し徐々に改善されています。
うた
■課題と改善の方策 学校経営計画に謳われている「責任を伴う自由」について、全教員の共通理解と統一し
た指導の確立が必要です。今後は、遅刻や服装、頭髪指導等について、生活指導部と保健部が連携するなど
して生徒の実態を把握し、指導上の数値目標を定め、これを学年・学期ごとに比較検証し、必要な時期には
重点的に指導をするなど、分掌の役割と学年の役割を明確にした上で、学校全体で取り組むことが重要です。
- 89 -
22 神代高校
診断ポイント③ 進路指導 進路実現に向けた組織的・系統的な進路指導の展開
■成果 大学・短期大学進学者の約三分の一が推薦入学制度を活用する実態があります。進路指導部が進路行
事を企画立案し学年が実施するという形での連携が行われ、学年主導の進路指導から進路指導部主導へと変
化してきました。
卒業生との懇談は具体的なアドバイスを得ることもでき、生徒から大変好評を博しています。進路指導室
の整備も進み、生徒への情報提供や資料整理も適切に行われるようになってきています。
■課題と改善の方策 現役での国公立大学及び早稲田、慶応、上智、東京理科、明治、青山学院、立教、中央、
法政等の私立大学への合格者数は、前年度の実績から70名を目標としましたが結果として55名でした。
また、1年次から約3割の生徒が外部の学習機関を活用している実態があります。
今後は進路指導部を中心に、生徒の希望進路の実現を図るために、学年や各教科と一層の連携を図ること
が必要です。また、教員が進学に対する意識を持って、具体的な授業改善を進めていくことが望まれます。
教務部と進路指導部が連携し、生徒が3年間を通して進路意識を高め、希望進路実現に向けて自ら挑戦す
る意欲を持続させるためのキャリア教育を積極的に進めていくことが必要です。
診断ポイント④ 特別活動・部活動 成就感・達成感を味わえる学校行事や部活動の活性化
■成果 野球部、サッカー部など、部活動が活発に行われるようになりました。また、学校行事は生活指導部
と担当の教員の協力を得て、事前の指導が適切に行われるようになってきています。国語科による俳句やカ
ルタ大会の取組、保健体育科による柔道大会やダンス発表会など、教科指導の内容が充実してきており、今
後の新たな伝統となる兆しが見られます。
■課題と改善の方策 校長のリーダーシップの下、各教科とも連携した学校行事や部活動を通して生徒が主体
的に活動できるような職員室の教科ごとになっている配置を改めることなど課題です。今後は主幹を中心と
して、生活指導部、教科担当や行事担当だけでなく経営企画室とも連携し、予算編成や技術指導の在り方に
ついて工夫して、生徒自らが成長を実感できるよう学校行事や部活動の充実を図る必要があります。
診断ポイント⑤ 健康づくり 「心と身体の健康づくり」への組織的な推進
■成果 食育の観点から、保護者の協力により、全校生徒の8割近くが毎日弁当を持参しています。課題を抱
える生徒については、学年が養護教諭と連携し対応を図っています。環境美化の取組については、保健部を
中心に校内清掃分担の監督者を明示することで改善が図られています。
■課題と改善の方策 生徒に対する「心と身体の健康づくり」は、保健部を中心として組織的に推進していく
必要があります。
今後は学校の教育活動全般の中で、心と身体の健康づくりについて検討し、各学年や各教科、分掌等がそ
れぞれ目標を設定し継続して取り組むことが必要です。
診断ポイント⑥ 募集・広報活動 地域に理解される情報発信の活性化
■成果 応募倍率は17年度1.47倍、18年度1.39倍と近年、女子を中心に安定した倍率を維持して
います。中学生や保護者の要望に応え、土日にも学校案内や説明会を実施しました。総務部が募集対策委員
会を主導し、中学校訪問や学校説明会について教員向けのマニュアルを作成し、すべての教職員が対応でき
るようにしています。地域中学校での出前授業は継続して行っており、地域で好評を得ています。
■課題と改善の方策 学校のPRポイントを全教職員が共通認識し、全教職員が役割分担をした組織的な募集
対策を行うことが課題です。
今後は学校行事や学校公開等を通して、学校の現状及び取組を情報発信できるよう、担当の分掌だけでな
く、経営企画室とも連携体制を取り、学校全体で取り組むことが必要です。
- 90 -
22 神代高校
ホームページ更新においても総務部が中心になるなど、
内容の工夫や定期的な更新を図ることが必要です。
診断ポイント⑦ 学校経営・組織体制 学校経営参画意識を高める情報共有化に向けた環境整備
■成果 分掌ごとに、主幹や主任を中心とした組織的な取組が生まれてきています。学年ごとに、生活規律等
の学校課題に一体となって取り組むなど、課題の共通認識を築こうとする試みが始まってきています。
■課題と改善の方策 生徒に対する指導においては学校全体で情報を共有化して更に充実させていくことが
課題です。例えば、教科ごとになっている机の配置を見直し教員間で情報を共有化しやすいように職員室内
の環境整備をする必要があります。今後は学校長のリーダーシップのもと、主幹、主任が教職員の意見を吸
い上げ、学校経営参画意識を高めながら、課題解決に向けて教員間で連携を取っていくことが必要です。
Ⅲ 自律的改革の内容(概要)
■18年度の目標とその成果(概要)
<重点目標(抜粋)>
<達成状況(18年度末)>
① 授業満足度
60%
59%
② 進路決定率
80%
73%
③ 現役進学実績
国公立、私立上位大学合格者数70名以上
55人
④ 補習・補講
土曜及び長期休業中32講座以上
37講座
⑤ 校内美化
校内が美しいと感じる生徒 50%以上
41%
⑥ 入学者選抜倍率
男女合計で1.33倍以上
1.29倍
⑦ ホームページ
月1回以上更新
年14回
⑧ 部活動加入率
1,2年生の部活動加入率75%
78%
Ⅳ 学校経営診断を受けての校長意見
学校をよくしていくには、個人の努力だけでなく、学年、分掌、教科、経営企画室等が、校長のリーダーシップ
の下に、組織として連携しながら努力を重ねることが大切であるという診断をいただいたと受け止めた。
そして、その個人や組織の目標を明示するのが校長の仕事であり、副校長、経営企画室長、主幹、主任を始めと
とら
する全教職員の日常業務が、常に学校の教育目標、
“学び 鍛え 輝け”との関連で捉えられ、検証されていく体
制を整えることを課題として与えられたと再認識し、
“授業で勝負する学校”を中期的達成目標として、全校あげ
て生徒の教育に取り組む。
(神代高等学校長 長谷川 賢)
- 91 -
23 雪谷高校
学校経営診断書 −雪谷高校―
○
○
○
○
所在地
創 立
診断対象
生徒数
大田区久が原1−14−1
大正2年4月1日(当時:調布村立調布女子実業補習学校)
全日制課程(普通科)
716名(男326名〔45.5%〕、女390名〔54.5%〕)
Ⅰ 経営診断結果(総括)
■現状 自主・自立の精神の育成を柱として、勉学に励みつつ強い体力と精神力を鍛える「文武両道」を特色
とした学校です。活発な部活動とともに、大学等への挑戦を支援するために、基礎・基本の学力と発展学習
の充実に取り組んでいます。
■成果 「在籍してよかったと思う」という意見の割合は、生徒は83.7%、保護者では84.7%となっ
ており、学校への満足度は高い状況にあります。
四年制大学合格者のうち、明治大学、青山学院大学レベル及び日本大学、東洋大学レベルの私立大学への
合格者数は平成17年度より10名多く35名と伸びています。
(図1) 学校評価
「在籍してよかったと思う」
学習面の指導では、家庭学習の習慣をもたせるために小テ
ストや宿題を課す指導が定着してきました。さらに、19年度
100%
からは、検定試験や資格取得に向けて取り組み始めたところで
90%
あり、今後の発展が期待できます。
6.1
9.7
5.1
6.2
28.2
30.5
80%
70%
当てはまら
ない・その他
やや当ては
まらない
■課題と改善の方策 生徒が授業に集中し、授業満足度を上げて
60%
行くことが課題となっています。今後は、授業規律の確立や授
やや当ては
まる
50%
当てはまる
業改善、さらに計画的な進路指導を充実させていくために、校
40%
内研修などを通して指導のねらいや目的の共通理解を深め、定
30%
期的に達成状況を評価・検証しながら組織的に実施していくこ
20%
55.5
54.2
生徒
保護者
10%
とが必要です。
0%
Ⅱ 経営診断結果
診断ポイント① 学習指導 基礎・基本の定着と発展学習の充実
■成果 生徒の家庭学習の実態について調査を行ったところ、自宅学習時間が30分以内の生徒が、1、2年
生で8割にのぼることが判明しました。この結果に基づいて、国語・数学・英語で、教科が一体となって宿
題を課したり、小テストを実施したりするなど、改善に取り組んでいます。
希望者には、数学や物理の放課後の補習、国語や社会のプリント演習などを実施して、大学入試センター
試験に向けた個別指導を行っています。
■課題と改善の方策 入学した生徒の学力を十分伸ばしきれていない点が課題です。また、
「学校生活アンケ
ート」結果では、
「授業の内容や進度・指導法の改善が必要」という意見の生徒は50%となっています。
授業力向上のための委員会を早急に立ち上げ、授業の目標水準の設定や校内研修の企画、さらに先進校の
視察などを行い、全教員が、大学入試に対応できるレベルの授業力を習得していくことが必要です。
また、1年生から毎日2時間程度の家庭学習の習慣を定着させるために、教務部と教科が連携して宿題や
小テストを課すとともに、日常的な補習・補講体制を充実させていくことが必要です。
診断ポイント② 進路指導 一人一人の自己実現を図る進路指導の取組
■成果 18年度の卒業生は、入学時から進路に関する個人的な情報を記録する「進路カルテ」を活用した指
- 92 -
23 雪谷高校
導を始めて2期目に当たります。
「進路カルテ」の活用で、生徒・保護者・学級担任・進路部は、生徒の進路
希望に関する情報を共有し、面談指導を計画的に行うことができるようになりました。
また、進路部は、1年次からの進路指導をより充実させるため、19年度から全国模試による定点観測を
実施し、データに基づいた指導を始めました。
四年制大学進学率については、
16年度は47.
0%、
17年度は56.0%、18年度は54.3%となって
60 %
50
おり、上昇傾向にあります。
■課題と改善の方策 1年生の早い時期から進路に対す
る意識をもたせていく指導が十分ではありません。この
四年制大学
40
短期大学 30
専門学校
改善のためには、3年間の進路指導計画の改善とその実
行、
「進路カルテ」の効果的活用の検討、生徒の入学時
の状況及びその後の学習状況の変化と進学先の関係に
ついての分析と活用を行うことが必要です。
就職
20
浪人・その他
10
0
14年度
また、従来、2年生対象に実施していた進路講演会の
15年度
16年度
17年度
18年度
(図2) 卒業生の進路状況
対象を1年生にも拡大することも一案です。
診断ポイント③ 生活指導 きめ細かな生活指導の取組
■成果 教務部と生徒部が連携して、授業中の「中抜け」
(無断退出)に対する指導を徹底しており、発生事
例を減少させることができました。
また、
「遅刻0運動」を掲げ全校体制で遅刻指導に当たっています。遅刻回数に応じて、学年指導・警告・
保護者同伴での校長説諭という段階に応じた指導を行っており、この体制が一定の「歯止め効果」となって
います。校長説諭をする生徒は各学期に1クラス平均2∼3人程度でおさまるようになってきました。
■課題と改善の方策 18年度末に、例年にないほど多くの進級不認定者が発生しました。今後は、生徒に対
してこれまで以上にきめ細かい指導を行っていくことが必要です。校内研修で事例研究や外部講師による講
演会などを企画し、生活指導上の課題について共通認識を深め分析した上で、生徒部を中心として具体的な
指導方法を確立させていくことが必要です。
診断ポイント④ 特別活動・部活動 心身の調和のとれた人材育成
■成果 部活動加入率は80%を越えており、土曜日は15部程度、日曜日は6部程度が活動しているなど大
変盛んです。
また、18年度には、女子バスケット部で春季大会ブロック優勝、チアリーディング部で全国チアリーデ
ィング大会高校2位、関東チアリーディング選手権大会優勝、全日本高等学校チアリーディング選手権大会
5位、吹奏楽部で東京都吹奏楽コンクール A組 銀賞、C組 銅賞などの成績を残しています。
■課題と改善の方策 部活動の指導では、上級生や卒業生が指導に当たっている部が多いため技術面や技能面
の指導が中心となり、本来部活動を通して培っていくべき規範意識や社会性の育成という点では十分ではあ
りません。直接技術指導ができなくとも、顧問の教員が、練習に立会い安全管理を行ったり、顧問と生徒を
つなぐ「部活動ノート」などを活用したりして、生徒の努力や成長に立会い、励ましていくことが必要です。
い
診断ポイント⑤ 募集・広報活動 学校の特色を活かした募集・広報活動
■成果 学校説明会ではPTAと連携して、在校生の保護者が中学生の保護者にスピーチを行い、保護者の目
から見た高校入試や学校選びについてメッセージを送る工夫をしています。
また、広報委員会は、学校PR用のポスターや学校案内の改訂、学習塾を対象とした説明会、1年生の母
校訪問などを企画し、募集対策の改善を進めています。
■課題と改善の方策 安定した受検者の確保のためには、継続的に募集・広報活動の工夫・改善に取り組む必
要があります。中学校に出向いての説明や出前授業、さらに体験授業や部活動体験入部の拡大など学校の特
- 93 -
23 雪谷高校
い
色を活かした募集活動を実行していくことが必要です。
また、中期的な広報活動として、文武両道に優れた学校像の実現に向けた進路や学習面の指導計画を作成・
公表し、ホームページや広報誌など通して積極的に外部へ発信していくことも大切です。
診断ポイント⑥ 健康づくり 心身ともに健康な生徒を育成する健康づくりの推進
■成果 養護教諭を中心に学年担任や校医が協力して、生徒の心の健康づくりについて、掲示物による啓発や
生徒の相談に応じることで、生徒の心を支えています。
学校保健計画に基づき、モデルプランを実行・推進して心身ともに健康な生徒の育成を行ってきました。
■課題と改善の方策 生活リズムの確立のためのキャンペーンや外部組織と連携して、展示会や講演会を組織
的に実施していくことが必要です。また、教育相談センターなど外部機関との連携を図り、全教員にカウン
セリングマインドに関する研修を実施していくことも大切です。
診断ポイント⑦ 学校経営・組織体制 組織的な学校運営を行うための協働体制づくり
■成果 学校改革が進まず教育活動が組織的に行われない現状がありましたが、主幹を活用して企画調整会議
の活性化に取り組み、協議ができるようになってきました。19年度は、3名の主幹による主幹会議が機能
しはじめ、校長の方針の下、主幹会議が原案を作成し、企画調整会議の協議を経て校長が意思決定し、職員
会議で報告していくという、意思決定のプロセスが確立しました。
■課題と改善の方策 学校運営に関して主幹を中心に課題の提案をするようになってきましたが、更にスピー
ド感を持たせていくことが課題です。今後は、主幹・主任を育成し企画調整会議の一層の活性化を進めると
ともに、委員会・教科会を定例化するなどして情報を共有して全教員の協働体制を確立していくことが必要
です。
Ⅲ 自律的改革の内容(概要)
■18年度の目標とその成果 (概要)
<重点目標(抜粋)>
① 四年制大学・短期大学合格実績(現役) 60%以上
<達成状況(18年度末)>
61.6%
105回。26日間24講座、延べ
1500名の参加。
校内の説明会2回911名、校外
2回556名、合計1467名
② 夏季休業中における講習の延べ数
100回以上
③ 学校説明会への来校者
2000名以上
④ 年間遅刻回数30回以上
50名以下
67名
⑤
⑥
⑦
⑧
⑨
100名以下
60名以上
80%以上
1.4倍以上
85%以上
268名
60名
80.0%(17年度 86%)
1.38倍
84.7%
年間遅刻回数10回以上
年間皆勤者数
部活動加入率
一次募集の実質応募倍率
「入学させてよかった」と思う保護者
Ⅳ 学校経営診断を受けての校長意見
平成18年度は、各部活動の実績を残すとともに、大学等への挑戦を支援するため進路部を中心に基礎・基本の
学力と発展学習の充実に向けた取組の成果が出てきている。
し
今回の学校経営診断の結果を真摯に受け止め、授業規律の確立などの授業改善や計画的な進路指導を充実させる
ことが課題である。校内研修などを通して指導のねらいや目的の共通理解を深め、短期・中期の目標を設定し、企
画調整会議で定期的に達成状況を評価・検証し、組織的・計画的な学校経営を進めていく所存である。
(雪谷高等学校長 高田 幸一)
- 94 -
24 目黒高校
学校経営診断書 −目黒高校―
○ 所在地
○ 創 立
目黒区祐天寺2−7−15
大正8年4月16日
(当時:東京府荏原郡目黒村立目黒実科高等女学校)
○ 診断対象 全日制課程(普通科)
○ 生徒数
710名(男330名〔46.5%〕、女380名〔53.5%〕)
Ⅰ 経営診断結果(総括)
■現状 集団の中で個を育てる人間教育を推進し、進学校としての発展を目指して、教科指導の充実や特別活
動の改善、地域との連携に積極的に取り組み、生徒一人一人の自己実現を支援している学校です。
進学校として更なる発展のため、土曜授業や進路情報交換研修会を実施するほか、生徒の「学ぶ姿勢」を
育成することを探究し、教職員の授業力向上に取り組んでいます。
■成果 校長はリーダーシップを発揮し学校改革の方向性を強く打ち出して、企画調整会議を週時程に組み込
んだり、学校行事の見直しや授業・生活指導の改善に向けた取組などに次々に着手したり、学校改革を推し
進めています。また、土曜授業の実施や外国の高校生との交流、年間授業計画の生徒・保護者への公表、近
隣中学3年生全員に対する体験学習などの取組を行ってきたことは評価できます。加えて、校長は服装につ
いて、これまでの推奨服を制服化するなど、生徒の学校生活に対する改善に取り組み、課題に迅速に対応す
る学校経営を推進しています。
さらに、
「進路情報交換研修会」や教育課程の改善、教科研修会などを実施し、進学校としての更なる発展
に向けた取組の強化を図るとともに、国語力向上のために「言語技術教育」を実施する準備をしています。
■課題と改善の方策 企画調整会議での協議や分掌間の事前調整を行い、組織の中に校長の意思を浸透させ、
学校改革の進行を加速していくことが課題といえます。
この課題を改善していくためには、主幹・主任の育成や全教員のスキルアップを目指した校内研修の実施
や評価・検証を重視した組織経営を行っていくことが必要です。また、学校改革に意欲を示す教員を活用し
て、未来を展望する委員会を立ち上げるなどして、今後の発展のために大胆な改善策を打ち出し実行してい
く必要があります。
Ⅱ 経営診断結果
診断ポイント① 学習指導 生徒の学ぶ意欲を育てる取組
■成果 年間18回の土曜授業を導入し、その午後には計画的に基礎固めの講習を社会・数学・英語において
行ってきたことは評価できます。
夏季休業中の講習では、全学年を対象に29日間で延べ300人に対して講習を行いました。1、2年生
の国語・数学・英語では、受験に向けた基礎力養成のための講座を開講し、講習の充実を図りました。
また、英語科では教科研修会の協議を踏まえ、英語の基礎力向上のためにこれまで希望者のみが受検して
いたTOEICブリッジを1年生全員に受検させる方針を打ち出し検討を始めるなど、生徒の学ぶ意欲を育
てる取組は着実に前進していると評価できます。
■課題と改善の方策 生徒の学ぶ意欲を喚起させ、高い学力を身につけさせる授業について研究し実践してい
くことが課題といえます。この改善のためには、授業改善推進委員会などを核とした組織的・計画的な研修
体制のもとで、教員相互の授業参観や全国の先進校における授業視察を企画・実行したり、教科会を定例化
して各教科に指導計画の検討や指導法の研究を自律的に取り組ませたりしていくことが必要です。
さらに、教科が一体となって、家庭学習を定着させるために宿題や小テストを課すなどして基礎学力を底
上げしたり、上位層の学力を更に引き上げるために発展的な学習内容の補習・講習を組織的・継続的に行う
ことや夏期講習の更なる充実も必要です。
- 95 -
24 目黒高校
診断ポイント② 進路指導 キャリア教育の視点を踏まえた進路指導体制
■成果 年2回発行している進路情報誌の構成を改善 70 %
し、AO入試の情報やキャリア(職業)とそのための 60
学部情報の情報を集め、生徒や保護者が求める情報を 50
40
提供するようにしたことは評価できます。
30
また、校内研修を行ったり、教育課程を改善したり 20
して、大学入試センター試験に対応できる学力を身に 10
0
つけさせ国公立大学進学者を増やす取組をはじめたこ
14年度
15年度
16年度
17年度
18年度
とは、今後の発展に期待がもてます。
(図1) 卒業生の進路状況
■課題と改善の方策 進路指導は学年中心の指導にな
四年制大学
短期大学 専門学校
っている現状があり、進路指導に関するさまざまな取
就職
浪人・その他
組をキャリア教育の視点で再構成し、進路部を中心と
して組織的に取り組む進路指導体制を確立していくことが課題です。過去5年間の卒業生の進路状況では、
四年制大学への進学者が年々増加してきましたが、平成18年度の卒業生では減少しました。この原因を分
析するとともに、改めてキャリア教育の全体計画に基づいた進学指導計画を見直すことも求められます。
また、進路部と3学年担任が連携して、保護者を対象にした予備校講師による大学入試情報に関する講演
会を行っています。この取組を拡大させ、今後は1年生の生徒・保護者にも進路に対する意識を早くからも
たせていくために、講演会を企画していくことも大切です。
診断ポイント③ 生活指導 授業規律の確立と規範意識の醸成
■成果 授業規律の乱れを一掃するため、授業の定刻開始・あいさつをする・携帯電話と飲み物は片づけさせ
ることを全校体制で指導したところ、携帯電話については一部不徹底な面が見られますが、机上に飲み物が
置かれている状態の発生については激減させることができました。
■課題と改善の方策 遅刻、頭髪、服装の指導に関して、学校としての指導方針が統一されていないことに課
題があります。生徒部を中心に、登校時の指導として遅刻や駐輪指導を行っていますが、全教員の協力が得
られていない現状があります。今後は、生徒部の打ち出した指導方針に対して共通理解のもと、全教員が一
丸となって統一的な指導をしていく体制を確立していくことが必要です。
診断ポイント④ 特別活動・部活動 「自主・自律の精神」を育てる特別活動の充実
■成果 これまでの懸案事項であった1年生のホームルーム合宿と体育祭の開催時期を変更し、生徒が学習や
部活動で集中しやすくするための工夫をし、学校生活にメリハリをつけました。
部活動の更なる活性化のために、1年生を全員部活動に加入するよう指導したことは評価できます。その
結果、放課後の校庭や体育館は毎日ほとんど使われている状態になり、部活動の活気が高まりました。
■課題と改善の方策 教員は体育祭・文化祭・合唱大会などの指導に対して、生徒を見守っていくという考え
方が今も残っており、生徒に任せっきりで指導が十分でない様子が伺え、教員と生徒との関わり方に課題が
あるといえます。また、教員間にも行事担当者への協力意識も低く、前例を踏襲するにとどまり発展性が乏
しい現状があります。このような課題を改善するためには、行事に対する教員の指導観の意識改革を図り、
教員は生徒により積極的に指導・助言し、前年度の企画より向上・発展させた内容を生徒とともに考えてい
く体制を確立していく必要があります。
診断ポイント⑤ 募集・広報活動 地域連携と広報活動の推進
■成果 夏季休業中に、全教職員が一人2校の中学校訪問をして、学校PRを行っています。募集活動の発展
として、1年生全員に母校訪問をさせ、生徒の目で見た学校の良さを説明させることで、19年度の一次募
集では募集倍率を前年度より0.1ポイントアップさせ1.6倍にしました。
また、地域連携や近隣中学校の3年生全員を対象に体験授業を実施するなど、地域とのつながりを強化し
ました。さらに、女子に比べ男子の志願者が低調という現状に対して、19年度からその巻き返しのために、
夏季休業中に一部の部活動が個別に行っていた体験入部を全校体制に拡大し、15の部活動が中学生に対し
て体験入部を企画したことは、生徒確保のために期待のもてる取組といえます。
■課題と改善の方策 推薦・一次募集での男子の安定した志願者確保が課題です。この改善のためには、教員
- 96 -
24 目黒高校
による中学校訪問の数や出前授業などの拡大や塾訪問を行い、全教員による募集・広報活動をより強化して
いくことが必要です。また、中学生が目黒高校での高校生活に期待していることや在校生のアンケート調査
こた
から改善が求められていることを分析し、それらに応える教育活動が十分行なわれているか再点検すること
も必要です。さらに、学校説明会でも工夫を凝らし、生徒の学力を向上させるための取組や他校では経験で
きない活動など、目黒高校のPRポイントを明確にしていくことが必要です。
診断ポイント⑥ 健康づくり 食育を通した健康づくりの推進
■成果 生徒の保健委員会が中心となり「コンビニ食」について研究し、文化祭では食の安全性や健康への影
響について発表するとともに、外部講師を招いて講演会を企画するなど食育を通した健康づくりを推進して
おり、食育に対する模範的な教育活動として、高く評価できます。
また、保健委員会は広報誌「ヘルシーポット」の発行を通して、全生徒に向かって健康づくりの啓発をし
ていることも優れた取組といえます。
■課題と改善の方策
保健委員会での研究活動が生徒一人一人に食に関する意識をもたせ、食育を健康づくり
とら
の新たな視点と捉えた指導を充実・発展させていくことが課題です。
この取組を継続・発展させていくためには、学校経営計画の中で明確に位置づけ、組織的・計画的な指導
体制を確立したり、外部関連機関と連携し外部の教育力を活用したりして推進していくことが必要です。
診断ポイント⑦ 学校経営・組織体制 課題に迅速かつ的確に対応する学校組織の構築
■成果 18年度当初、企画調整会議は各分掌からの報告が中心で協議する場面が少なかった状況を、校長の
リーダーシップの下、主幹・主任から意見が出るようになり、協議する企画調整会議へと改善してきました。
企画調整会議を協議する場とし、各部からの提案に対して疑問や不十分な点が指摘された場合、各部に持ち
帰り再検討させ、改めて提案させる流れをつくり基本形態を整えたことは評価できます。
■課題と改善の方策 校長は、19年度から学校経営を計画的に推進していくために主幹会議を開いています
が議論が深まらない現状があり、主幹会議を機能させた学校経営を行うことが課題といえます。
この課題を改善していくためには、主幹・主任に対して学校経営のミドルマネージャーとしての意識を醸
成し、学校改革のための具体策を主幹会議で協議・検討する体制を確立していくことが必要です。また、主
幹会議を様々な教育活動の評価・検証を行う組織として位置づけるなど、役割を明確にした組織づくりが必
要です。
Ⅲ 自律的改革の内容(概要)
■18年度の目標とその成果(概要)
① 大学進学
② 生活指導
<重点目標(抜粋)>
四年制大学・短期大学現役合格者数160名
<達成状況(18年度末)>
142名
3年間皆勤者数 15名
各学年年間皆勤者数 25名
3名
1年生は25名、2年生は23名
③ 部活動・同好会 加入率 75%
④ 募集対策
教職員による中学校訪問数 100校
71%
100校を訪問(生徒の母校訪問を90校)
⑤ 学校説明会
⑥ 学校見学
⑦ 校内研修会
1回目が650名、2回目が600名
612名
4回
参加者数 1200名
来校者数 1200名
実施回数 4回
Ⅳ 学校経営診断を受けての校長意見
自主・自律の精神の育成を柱に集団のなかで個を育てる。きめの細かい人間教育を推進し、生徒の基礎学力の向
上と生きる力の育成を図り、普通科進学校として発展を目指している。平成18、19年度は授業改善、進路指導
の充実、学校生活の改善に重点を置き、土曜授業の実施、進路指導の改善、言語技術教育の導入、推奨服の制服化
等の取組を進めてきた。
学校経営診断で、本校の一連の取組が保護者や都民の期待に応えるものであると確認することができた。今後
は診断での課題解決のために各委員会・分掌間での情報の共有と活性化を進め、学校全体の教育力向上になお一層
の努力をする。
(目黒高等学校長 奥村 美惠子)
- 97 -
25 赤羽商業高校
学校経営診断書 −赤羽商業高校―
○
○
○
○
所在地
創 立
診断対象
生徒数
北区西が丘3−14−20
昭和25年4月1日(当時:都立城北高等学校赤羽分校)
全日制課程(商業科)
552名(男192名〔34.8%〕、女360名〔65.2%〕)
Ⅰ 経営診断結果(総括)
■現状 「専門的な知識と技能を身につけた人間の育成」を教育目標に掲げ、近年、資格取得の指導を充実し
て進路実績を築いてきた商業高校です。
「夢をみつけよう」
「夢を実現しよう」をテーマに、総合的な学習の
時間の中で3年間を通して行うキャリア教育に取り組んでいます。
■成果 平成18年度から全生徒に対する三者面談を実施し、担任を中心に個別指導を重視した進路指導や生
活指導の一層の充実に向けて取り組み始めています。また、
「総合的な学習の時間」を生かしたキャリア教
育を全教員体制で指導していることに特色があります。18年度は各種検定試験の合格者が前年度比較で1
00名近く増加しています。
部活動では、簿記部が東京都大会で準優勝となり全国大会に出場するなど、教員の地道な指導が成果とし
て現れました。
■課題と改善の方策 全日制都立高校の平均を6%上回る中途退学率の引き下げが今後の課題です。保護者を
交えた三者面談や担任を中心とする個別指導を生かして、入学時から生徒の状況を分析し、その結果を校内
研修により共有化することで、生徒の実態に即した学習指導、生活指導、進路指導に反映させていくことが
必要です。学習指導では教員の授業力向上や指導計画の改善、進路指導ではキャリア教育や進路相談の更な
る充実、生活指導では組織的な遅刻指導や授業規律の確立などが求められます。
19年度は主幹が3名配置となり、組織的な学校経営を実現する土壌ができつつあります。
「資格の赤商」
「部活の赤商」を柱に、目標に向けて、教職員が協働して取り組んでいくことが期待されます。
Ⅱ 経営診断結果
診断ポイント① 学習指導 生徒一人一人の目標や到達度に応じた学習指導
■成果 「総合的な学習の時間」を全ての学年に1単位設置して、各学年に進路意識啓発のための講座を用意
し、複数の教員による全校指導体制を構築しています。また、
「総合的な学習の時間」
「課題研究」にはプロ
ジェクトチームを編成して推進しています。放課後や長期休業期間中を活用した補習指導、平常点に比重を
置いた柔軟な学習評価などを実施し、面倒見の良い学校を目指して取り組んでいます。
■課題と改善の方策 18年度の学校評価アンケートでは、
「授業の進め方は適切である」との生徒の意見が
32%で、否定的な意見が47%となりました。補習指導や学習評価には一定の評価がある反面、授業の充
実や改善が課題となっています。英語科で実施している基礎学力分析を全教科に拡大するとともに、定期的
な研究授業による授業力向上や生徒の実態に応じた年間指導計画の改善、補助教材の共同作成や相互利用、
単元毎の小テスト実施、
「国語総合」
「数学Ⅰ」
「英語Ⅰ」などの基礎的・基本的科目における習熟の程度に
応じた授業の検討などが必要です。
診断ポイント② 進路指導 キャリア教育の全体計画に基づく進路指導
■成果 商業科目を中心とした教科指導、特別活動、
「総合的な学習の時間」の3つの柱によって、計画的・
継続的なキャリア教育に取り組んでいます。また、外部講師によるマナー講座の実施をはじめ、進路別ガイ
ダンス、面接指導、作文指導などを繰り返し行っています。特に就職ガイダンスについては、18年度の就
職内定者の91%が、その内容について「よかった」
「十分だった」と回答しています。こうした取組を通
して卒業生の就職及び進学の進路決定者の割合は87.7%となり、4年連続で85%を上回りました。
わず
■課題と改善の方策 18年度の進路決定率87.7%は、目標数値の90%を僅かに下回る程度でした。し
- 98 -
25 赤羽商業高校
かし同年度の学校評価アンケートでは「生徒の希望を考慮した適切な進路指導が行われているか」という質
問に対する生徒の肯定的意見は33%にとどまっています。今後は、進路相談を更に充実させ、生徒の自己
実現を図る進路指導を行うことが求められます。また現在、課題研究選択者のみを対象に行われているイン
ターンシップの対象を生徒の勤労観・職業観育成のため、学年の生徒全員に拡大するなど、進路指導を一層
充実させる取組も必要です。
診断ポイント③ 進路指導 社会で役立つ資格取得に取り組む進路指導
■成果 1年生で簿記・情報処理・ワープロ等の検定3級取得率90%以上を目指し、放課後や長期休業中な
どを活用して検定指導に取り組んでいます。18年度は1年生の92%が少なくとも1つ以上の検定試験3
級に合格することができました。
また、2年生以降には生徒の進路希望に合わせて様々な資格を取得できるように選択科目を数多く設定し
ています。選択科目に関する学校評価アンケートには生徒の52%、保護者の69%が肯定的な回答をして
います。取得した資格を生かして、AO入試での受験者が増加したこともあり、四年制大学進学者数は前年
度の16名から38名へと大幅に増加しました。
■課題と改善の方策 全商簿記検定では主に3年生が受検する1級と1年生が受検する3級において、前年度
比較で1級は16名、3級は22名合格者が増加しましたが、主に2年生が受検する2級では60名合格者
が減少しています。情報処理検定でも同じく前年度比較で1級が11名、3級が38名と合格者が増加した
のに対して、2級では24名合格者が減少しました。このように学年によって資格取得の実績に差が見られ
ることが課題です。今後は教務部や商業科が中心となり、検定試験に向け学年を越えた補習体制を構築して
いく必要があります。
診断ポイント④ 生活指導 基本的な生活習慣やビジネスマナーを育成する生活指導
■成果 毎朝の校門での遅刻指導とともに皆勤者・精勤者を月ごとに表彰し、励ます工夫を行っています。1
8年度には、年間20回以上の遅刻者の数が前年度比較で22名減少しました。欠席の多い生徒に対しては、
担任が中心となりながらスクールカウンセラーや養護教諭と連携し、個別相談を行っています。また、全教
あいさつ
職員を挙げて、日常的な挨拶の励行とともに授業開始時の身だしなみ指導を実施し、ビジネスマナーの習得
とも関連付けた指導を行っています。
■課題と改善の方策 遅刻者数は減りつつあるものの絶対数はまだ多く、また、チャイム着席の不徹底など授
業規律の面でも課題が残っています。授業規律や指導技術などについての校内研修を行い、チャイム着席の
励行などについて教員自らが模範を示すようにしたり、毎朝のホームルーム前の時間を活用して、
「ビジネ
スマナー検定」受検に向けた指導を行うなど、生徒に社会人としてのビジネスマナーを身につけさせる教育
の充実を目指す取組も必要です。
診断ポイント⑤ 特別活動・部活動 地域と連携した部活動
■成果 17年度より「赤商杯」として地域の中学生を対象とするバスケットボールの部活動交流会を実施し
ており、18年度は中学生110名の参加がありました。部活動では、運動部・文化部とも部活動顧問が熱
心に指導しており、簿記部の全国大会出場や東京都大会入賞、柔道部の東京都大会出場、吹奏楽部の東京都
大会銀賞などの成績を残しています。
■課題と改善の方策 18年度は54%であった部活動加入率を高めることにより、生徒の主体性や協調性を
養い、学校への帰属意識を高めていくことが今後の課題です。活気ある部活動づくりに向け、地域から外部
指導員を招いて部活動顧問との相互指導体制を整えることや文化・スポーツ等特別推薦の導入などにより
「部活の赤商」としての看板づくりが必要です。また、
「赤商杯」の対象を、バレーボール、サッカー、硬
式野球、珠算など他の部活動に拡大するなどの方法で、部活動を通して地域や生徒から学校への理解を深め
てもらうことも大切です。
診断ポイント⑥ 募集・広報活動 地域貢献や中学校への出前授業等による募集・広報活動
■成果 19年度から実施される教科「奉仕」に先立ち、地域の清掃計画、商店街や特別支援学校との連携に
よる商店街マップやコミュニケーション支援ボードの作成を計画し、地域への教育力還元を目指した取組を
行っています。また、17年度より北区中学校長会と連携し、北区内公立中学校の生徒を対象とする模擬授
- 99 -
25 赤羽商業高校
業、近隣の中学校と連携した授業体験などを実施し、学校の理解啓発に努めています。
■課題と改善の方策 16年度以降、学力検査に基づく一般入試応募倍率がやや停滞傾向にあります。一方、
中途退学率は7%台から8%台へと増加傾向にあり、赤羽商業高校を第一志望とする生徒を確保することが
大きな課題となっています。ホームページの充実、出前授業や学校見学日の拡大、教科「奉仕」を通した地
域行事等への参加、プロジェクトチームによる組織的な中学校訪問などにより、教育内容や進路情報などを
積極的に発信していくことが必要です。
診断ポイント⑦ 学校経営・組織体制 組織的な学校経営・組織体制の確立
■成果 学校経営計画に基づき各分掌に組織目標と具体的取組を立案させており、企画調整会議や職員会議を
通して教職員への周知徹底を図っています。また、18年度は主幹が1名でしたが、学校経営参画意欲の高
い経験豊富な分掌主任を配置して、主幹を補佐する体制を築いてきました。
■課題と改善の方策 従来、補習指導や遅刻指導などは学年担任中心による指導の面があり、分掌が主体性を
発揮して学校全体で取り組んでいく体制とはなっていませんでした。19年度に主幹が3名配置となったこ
とを契機に、教科会や生活指導委員会など既存委員会の分掌・教科横断的な活用、分掌部会・主幹会議・企
画調整会議の充実、主幹・主任の計画的な指導・育成を進め、主幹を中心とした体制づくりを進めていくこ
とが求められます。
Ⅲ 自律的改革の内容(概要)
■18年度の目標とその成果 (概要)
<重点目標(抜粋)>
<達成状況(18年度末)>
① 卒業・進級率
94%以上
92.2%(前年度比0.3%減)
(達成)
英語科により1学年生徒の基礎学力を経年変化
② 基礎学力の定着について研究推進
で分析し、指導計画や教材研究に反映
(達成)
全生徒に対し三者面談を実施、スクールカウン
③ 生徒との面談や教育相談の充実
セラー相談193回
90%以上
進路決定率87.7%(前年度比2%増・4年
④ 進路決定率
連続85%以上)
四年制大学進学者38名(前年度比較22名増)
(達成)
課題研究「インターンシップ」選択者15名全
⑤ 社会体験や就労体験などの導入
員参加(前年度比較5名減)
マナー講座2回、デザイン講座1回、職業講座
⑥ 外部講師による講演、各種教育機関 (達成)
1回、上級学校訪問173人
との連携
⑦ 入試応募倍率
1.2倍以上の定着
⑧ 資格取得合格率
全国商業高等学校協会
主催検定3級90%以
上
推薦入試応募倍率3.00倍
一般入試応募倍率1.15倍
92% 簿記、情報処理、ワープロ、珠算・電
卓及び商業経済の1級合格者93名(前年度比
較69名増)
Ⅳ 学校経営診断を受けての校長意見
放課後や長期休業期間中を活用した補習指導、平常点に比重を置いた柔軟な学習指導を実施し、面倒見の良い学
校として評価していただいたことは、教職員にとって大きな自信となる。
学校全体の教育活動について、様々な資料やヒアリング、実地踏査を経て診断され、学校の現状や成果、また、
課題と改善の方策が示されていることは、赤羽商業高校を【資格の赤商】
【部活の赤商】
【ボランティアの赤商】と
して再生する上で大変参考になり励みともなる。
優れていると診断された事項は、今後も継続発展させていく。課題として指摘された事項については、教職員の
英知を得て創意工夫を行い、改善に向けて全力を挙げて取り組んでいく。
(赤羽商業高等学校長 戸田 勝昭)
- 100 -
26 鷺宮高校
学校経営診断書 −鷺宮高校―
○
○
○
○
所在地
創 立
診断対象
生徒数
中野区若宮3−46−8
明治45年7月4日(当時:豊多摩郡立農業学校附設実業女学校)
全日制課程(普通科)
826名(男428名〔51.8%〕、女398名〔48.2%〕)
Ⅰ 経営診断結果(総括)
■現状 創立95年の歴史と伝統のある学校であり、学力向上への取組とともに、部活動や地域貢献活動など
に重きをおいています。礼節を重んじた生活指導の徹底や学習活動、部活動などの充実に取り組み、生徒の
進路希望の実現を目指した地域に愛される学校づくりを進めています。
■成果 校長は強い改革意欲を持って、自ら校門に立ち、声掛けを行って挨拶を励行するなど礼節指導の徹底
に努めています。さらに、部活動体験会を導入して中学校との交流活動等を実施するなど、部活動の活性化
に取り組んだことにより、生徒が落ち着きはじめ、地域からも信頼されるようになってきました。また、
「ワ
ンデイキャンパス」などの進路行事の導入や、長期休業期間中の講習の増加などの取組を行った結果、四年
制大学現役合格者の増加など進学実績が向上しており、生徒、保護者の学校への満足度についても前年度を
上回っています。
■課題と改善の方策 生徒による授業評価に基づく教員の授業力向上や、部活動や学校行事を通した地域との
連携の強化などを学校全体で推進していくことが課題です。今後は、教員の授業力向上のために、研究授業
などを重ね、学校全体での校内研修等を通して、教員相互が指導力を共有化することが必要です。また、平
成20年度入学生からの文化・スポーツ等特別推薦導入を契機に、部活動を更に活性化させ、生徒の自主自
律の精神を育成していくことが求められます。
Ⅱ 経営診断結果
い
診断ポイント① 学習指導 生徒による授業評価を活かし、授業を工夫する学習指導
■成果 授業評価委員会が中心となって、生徒による授業評価を基に、1学期は「評価内容及び評価方法」
、
2学期は「評価結果分析及び授業改善の方策」
、3学期は「次年度に向けた改善策」をテーマとして校内研
修を実施しています。その結果、大切な箇所には線を引いたり、色を変えたりするなど生徒が注目する板書
計画の検討・実施、また視聴覚教材や作業学習、演習を取り入れた生徒の興味や関心を高める授業の展開な
ど、教材開発や指導技術において改善が図られています。
■課題と改善の方策 生徒による授業評価については、実施時期が遅いため、評価結果に基づいた改善策が十
分に生徒に還元されていない点が課題です。1学期に評価項目や項目数を決定・実施し、その結果を分析す
るとともに、2学期の初めに生徒に改善策を示し、実施・検証していくなど、授業評価の実施に関する進行
管理を徹底させていくことが必要です。教務部が中心となって評価項目数を増やし、多面的な分析を行うな
どの評価方法の改善に取り組むとともに、改善策に基づいた研究授業を実施し、その後に研究協議会を開催
するなど、組織的な学習指導体制を構築することが求められます。
診断ポイント② 進路指導 3年間を見通した計画的な進路指導
■成果 1学年の「総合的な学習の時間」において、学級単位によるワークシートを用いた学習、学年単位に
よる講演会や職場体験などのキャリア教育を実施しています。18年度は新たに「ワンデイキャンパス」と
称する大学訪問を実施し、長期休業期間中などにおける補講や講習を前年度比較25講座増の55講座とし
ました。こうした取組により、センター試験に、前年度比較30名増の79名が受験し、現役四年制大学合
格者は前年比20名増の148名となりました。
■課題と改善の方策 18年度は学年担任団を中心に進路指導部との緊密な連携により進学実績が向上しま
した。今後、進路指導部が中心となって、学校の教育活動全体をキャリア教育の視点で再度検証し、3年間
の具体的な進路指導計画を立案し、組織的な進路指導体制づくりを推進することが求められます。
- 101 -
26 鷺宮高校
診断ポイント③ 生活指導 ルール・マナーを遵守する態度を育成する組織的な生活指導
あいさつ
■成果 18年度は1学期より校長が校門に立ち、率先して挨拶の励行に取り組むとともに、生活指導部に働
あいさつ
、2学期に「交通安全・下校指導」の「礼節指導週間」を設定
きかけ、1学期に「遅刻・下校・挨拶指導」
あいさつ
し実施しました。授業規律の確保を図るためチャイム着席や挨拶の励行を促すプリントを教室に掲示すると
ともに、教員による昼休みの校門当番や校内巡回を実施しました。その結果、生活指導件数は17年度の2
4件から13件に減少しました。また、自転車通学者が65%いる現状の中、18年度より文部科学省「交
通安全教育実施地域事業」の研究指定校となったことを受け、生活指導部が中心となり、交通安全講話や自
転車乗車マナー向上週間などを実施しました。その結果、近隣からの自転車の通行マナーや駐輪に関する苦
情が減少するなど、改善の効果がみられました。
■課題と改善の方策 挨拶の励行や自転車乗車マナーは改善されてきましたが、授業規律においてはまだ徹底
されていない面があります。今後は、教員が学校生活全般に関するルール・マナーの指導を徹底させていく
ために、生活指導に関する校内研修を毎学期実施するとともに、授業規律の改善週間を導入するなど、全教
員の共通理解のもと、統一した指導体制づくりが必要です。
診断ポイント④ 部活動 生徒が意欲的に取り組む部活動
■成果 部活動加入率は前年比3%増の75%と向上し、学校評価において、
「部活動で学校生活が充実した」
と回答した生徒が前年比4%増の56%となっています。また、生活指導部が、部活動の部長を構成員とす
る部長会を年間40回程度開催するなど、部活動の在り方や学校行事へのかかわり方などを生徒に自ら考え
させるための取組を行っています。こうした取組もあり、18年度は、バトミントン部が男女とも都ベスト
16、演劇部が「全国高校演劇協議会長賞」受賞、書道部が高文連書道展において「都教育委員会賞」の他、
3賞受賞といった成績を残しました。
■課題と改善の方策 20年度から導入する文化・スポーツ等特別推薦を活用して、更に部活動全体を活性化
させていくことが期待されます。生徒の意欲を引き出すための指導法などの研修会を実施するとともに、教
員と部員との連携を強化するために部長会に顧問教員を参加させるなど、教員がより積極的に部活動に関わ
っていく体制づくりが求められます。
診断ポイント⑤ 特別活動 奉仕体験活動など地域に貢献する特別活動
■成果 ジャグリング部、吹奏楽部、ダンス部、軽音楽部の部活動の生徒や生徒会の生徒が、地域の交通安全
運動1回、児童館訪問4回、幼稚園訪問2回、小学校訪問2回、地区祭り1回、老人ホーム訪問3回、合計
13回のボランティア活動を積極的に行い、地域との連携を深めました。こうした地域との交流活動は、生
徒の達成感や思いやりの精神を培う機会となっています。
■課題と改善の方策 地域貢献活動を継続的に行うとともに、19年度から実施している部活動による清掃活
動や奉仕体験活動を進め、校内で地域と連携を図った学校行事を設定するなど、学校全体の取組として、教
員が積極的に地域にかかわる機会を増やしていくことが求められます。
診断ポイント⑥ 募集・広報活動 中学校との連携や中学校訪問の拡充による募集・広報活動
■成果 18年度は、175校の中学校訪問の実施、中学校6校の進路説明会への参加など募集・広報活動を
行いました。また、部活動について、18年度より新たに中学生を招待した「鷺高デー」
(部活動体験会)
を開催したのをはじめ、4回の合同練習や2回の交流会を実施し中学校との連携を深めました。こうした取
組の結果、中学生及び保護者の参加者数は目標数値の1500名を上回る1622名となりました。また、
一般入試応募倍率は目標数値には届かなかったものの、昨年度の1.19倍を上回り1.35倍になりまし
た。
■課題と改善の方策 19年7月実施の「鷺高デー」では18年度の50名を上回る223名の中学生の参加
がありました。今後は、部活動以外にも中学校との連携を広げ学校をPRすることが必要です。学校説明委
員会を校内分掌の部として位置付け、募集・広報活動の重要性を教員に浸透させるとともに、全教員による
中学校訪問の実施や中学校への出前授業の実施などが求められます。
- 102 -
26 鷺宮高校
診断ポイント⑦ 学校経営・組織体制 企画調整会議等の充実による組織体制づくり
■成果 学校評価における学校への満足度は、前年比において生徒が12.0%増の66.9%、保護者が0.
7%増の81.0%となりました。こうした学校評価の分析や改善の方策等については、企画調整会議が中
心となって検討し、その方向性を出していく必要があります。しかし、企画調整会議は33回実施されては
いますが、職員会議の議論に終始し、これらの点を含め、さらに踏み込んだ学校経営面での議論にまでは至
っていません。そのため、18年11月に中・長期的な展望に立った将来の鷺宮高校を構想する「鷺高改革
プロジェクト委員会」を立ち上げ、現状の課題や今後の方向性などについて検討を行い、20年度からの標
準服の導入とカリキュラムの変更が決定されました。
■課題と改善の方策 生徒の学校への満足度を高めるために、教員が生徒の実態をより的確に把握し、学校の
課題を組織的に改善する取組を推進する必要があります。そのために、主幹・主任と教員が企画調整会議の
情報を共有化するとともに、主幹が教員の意見を企画調整会議へ吸い上げる役目を担うなど、企画調整会議
の協議内容を一層深めながら学校の課題に取り組んでいくことが求められます。さらに、
「鷺高改革プロジ
ェクト委員会」が課題解決に向けた進行管理を行うなど、プロジェクトの機能を一層強化するとともに、そ
の中心となる主幹・主任の学校経営への参画意欲を高めていくことが必要です。
Ⅲ 自律的改革の内容(概要)
■18年度の目標とその成果(概要)
<重点目標(抜粋)>
<達成状況(18年度末)>
① 授業力の向上
「生徒による授業評価」
を活用した授業改善 具体的な方策にまでは至っていない状況
② 日常や長期休業期間の 昨年度(30講座)以上
55講座
補習・補講
③ 進路指導の充実
(実施)
新たに「ワンデイキャンパス」の実施
④ センター試験受験者数 80名以上
79名
⑤ 四年制大学現役合格者 130名以上
148名
⑥ 規範意識の醸成
(実施)
1、2学期の礼節指導週間の設定・実施
⑦ 部活動加入率
75%
75%以上
⑧ 部活動大会等成績
都大会ベスト32以上進出 1部
1部(バトミントン部 ベスト16)
都大会出場 2部
書道部都教育委員会賞受賞、演劇部全国
高校演劇協議会長受賞
⑨ 地域貢献する特別活動 (実施)
部活動や生徒会による演奏会や幼稚園訪
問等の地域貢献活動13回
⑩ 中学校との交流活動
年2回
年7回(部活動等の交流)
⑪ 中学校訪問
150校以上
175校
⑫ 学校見学、学校説明会 参加者1500名以上
1622名
⑬ 一般入試応募倍率
1.4倍以上
1.35倍
⑭ 学校への生徒、保護者 80%以上
生徒の満足度66.9%、保護者の満足
の満足度
度81.0%
Ⅳ 学校経営診断を受けての校長意見
し
学校経営診断結果により、本校の真摯な取組や成果を評価いただいたが、改善点や課題もより明確になった。教
職員にこの現状と課題等を周知し、さらなる学校改革推進の契機としたい。
“目指す学校像”にある「礼節を重んじ、躍動感あふれる学校」の創造に向け、授業力向上による学習指導の充
あいさつ
実、進路指導部主導で学年との連携によるきめ細かな進路指導の実践、挨拶の励行やルール・マナー遵守等の礼節
指導の徹底、部活動・学校行事の充実・発展、地域との連携強化等に組織的に取り組み、さらに地域から愛され信
頼される学校を目指していく。
(鷺宮高等学校長 大井 俊博)
- 103 -
27 武蔵丘高校
学校経営診断書 −武蔵丘高校―
○
○
○
○
所在地
創 立
診断対象
生徒数
中野区上鷺宮2−14−1
昭和16年1月27日(当時:東京府立第二十一中学校)
全日制課程(普通科)
746名(男387名〔51.9%〕、女359名〔48.1%〕)
Ⅰ 経営診断結果(総括)
■現状 「個性を伸ばし、社会に貢献する人を育てる」を校訓に、知育・徳育・体育のバランスがとれた教育
活動を展開する伝統校です。進学に対応した教育課程を編成し、着実に学力をつけることのできる学習指導
や3年間を見通した進路指導の充実を進めています。
■成果 組織的な生活指導のもと、生徒は落ち着いた環境の中、熱心に部活動や学校行事に取り組んでいます。
学習指導では、補習・補講の数を増やし、進学指導への対応を行っています。また、参加率の高い部活動な
どを活用し、小中学校との連携を広げています。
■課題と改善の方策 企画調整会議を中心とした組織的な学校運営に関して、遅れが目立っており、開かれた
学校づくりを推進し、透明性のある学校運営を行うことが必要です。特に、カリキュラムや教科指導につい
て生徒の実態に即していない面や、授業改善などが組織的に行われていない状況があり、進路実績が伸び悩
んでいます。教員全体で授業力向上に取り組み、カリキュラムの改編を軸に、進学に対応できる指導体制を
構築し、学習と部活動の両立ができる生徒を育成することが求められます。
今後は、教務部を中心に、生徒による授業評価や授業公開、研究授業、教員相互の授業参観などを活用し
て授業改善に取り組むとともに、進路指導部を中心にキャリア教育の年間計画を構築し、計画的に取り組む
ことが必要です。
Ⅱ 経営診断結果
い
診断ポイント① 学習指導 生徒による授業評価や校内研修の成果を活かした学習指導
■成果 生徒による授業評価について、1年生には、4つの評価項目に加え、自由記述もできるように構成さ
れており、2、3年生で行う自由記述形式の評価も踏まえ、各教科単位で校内研修を実施しています。平成
19年度からは、全学年で評価項目数を増やすなど評価の実施内容を工夫して改善を図っています。
■課題と改善の方策 授業改善については、授業評価の項目が少なく、校内研修が教科任せになっており、学
校全体での取組として十分ではありません。今後は、授業評価の結果を踏まえ、教員全体の取組として学習
指導に関する研究授業や研究協議会などの校内研修を実施して、全教員が共通理解のもと授業改善を行い、
生徒に還元していくことが必要です。19年度から評価項目を増やし全学年対象で行う生徒による授業評価
は、多面的・多角的に改善の方策が導き出されることが期待されます。
診断ポイント② 進路指導 学年と進路指導部の連携による組織的な進路指導
■成果 3年間の進路指導計画のもと、進路指導部と学年担任団が連携して進路指導に当たっています。例年
97%以上の生徒が進学を希望する中、四年制大学合格者が、17年度の40.7%に対して18年度は4
9%と大きく増加しました。
また、キャリア教育に関しては、1年生対象の進路講演会や、同窓会とPTAが連携した土曜講座の開催
など、取組を充実させてきています。
■課題と改善の方策 18年度の国公立大学や難関私立大学は合格者が少なく、明治大学・青山学院大学レベ
ルの私立大学合格者数は14名から12名に減少しています。また、学年担任団主導による進路指導体制で
- 104 -
27 武蔵丘高校
あるため、年度により指導にばらつきが見られる状況にあり、生徒の進路指導に対する満足度も50%を下
回っています。
今後は、進路指導部を中心にキャリア教育を充実させ、国公立大学を含めた難関大学への合格を視野に入
れて3年間の進路指導計画を作成していくことが求められます。また、補習・補講を40講座以上に増やし
て内容の充実を図り、教科と連携して生徒の家庭学習が1時間以上となる指導を推進することが必要です。
診断ポイント③ 生活指導 遅刻指導・校門指導などを通して組織的に行う生活指導
■成果 生活指導部を中心に年間5週(1・2学期各2回、3学期1回)にわたる朝の校門指導を定期的に実
施するなど、遅刻指導に取り組んでいます。また、年度当初の昼休みの校門指導に加え、考査時には頭髪指
導も実施しています。その結果、生徒が落ち着いてきており、年間の特別指導が10件となりました。
また、保健部が中心となって、美化委員会を指導し、ごみの分別や持ち帰りを徹底させるなど、美化清掃
活動を展開しています。
■課題と改善の方策 学校評価では、79%の生徒が武蔵丘高校の生活指導について概ね肯定的に評価してお
り、遅刻・頭髪指導に対しては、ほとんどの生徒が校内ルールに従っています。しかし、チャイム着席など、
授業規律の面では不十分な点があります。今後は、教員が率先してチャイムと同時に教室に入室するなど模
範を示し、学校全体で授業規律について指導していくことが必要です。
診断ポイント④ 特別活動・部活動 学習との両立を図った部活動
■成果 部活動は盛んで、毎年1学年の入部率は100%近くあり、学校全体では80%の生徒が部活動に参
加しています。特に、野球部・硬式テニス部・ソフトテニス部・女子バレーボール部などは高い成績を残し
ています。年度末には、生徒が中心となって部活動報告書を作成し、その成果を共有しあうなど、生徒の自
主的な取組がなされています。
■課題と改善の方策 部活動については、多くの部において、平日はもとより、土日も活発に活動しています。
一方で、1時間以上家庭学習を行う生徒が2割にも満たない状況で、生徒の学校生活が部活動に偏りすぎて
いる面が見られます。今後は、部活動顧問と担任の連携のもと、生徒の家庭学習の時間を確保し、学習と部
活動の両立を図っていくことが必要です。
診断ポイント⑤ 募集・広報活動 中学校訪問や学校説明会等に組織的に取り組む募集広報活動
■成果 募集・広報活動については、定期的なホームページの更新、教務部を中心に27名105校への中学
校訪問の実施、夏季休業中における中学生の学校訪問への随時対応、年2回667名の参加者があった学校
説明会など、様々な取組を行っています。一次募集の倍率については1.2倍から1.3倍に上昇しました。
中学生の部活動体験は、野球・サッカーなど6部へと拡大させ、中学校との連携強化を図っています。さ
らに19年度は、
「奉仕」の授業において、近隣の武蔵台小学校の児童に対し、生徒がスポーツ・文化活動や
自然体験の指導を行うなど、学校間連携を広げつつあります。
■課題と改善の方策 中学校訪問や学校見学会、
学校説明会など、
教務部中心の生徒募集を展開していますが、
推薦入試の倍率が3.2倍から2.6倍に下がるなど、必ずしも効果は現れていません。
今後は、生徒募集委員会を設置するなどして、中学校訪問や夏季休業中の見学会などについて全教員体制
で対応することが求められます。また、部活動だけでなく、出前授業や中学生を招いての体験授業など、中
学校との連携を更に強化していくことも必要です。
診断ポイント⑥ 学校運営・組織体制 通年の授業公開等を活用した開かれた学校づくりの推進
■成果 年間4回授業公開週間を設定して保護者・一般向けに授業公開を実施し、115名の参加を得ました。
PTAが授業公開の受付に協力するなど、保護者との連携のもと実施することができています。
■課題と改善の方策 「通年の授業公開」については、参観希望者がいないなど、必ずしも積極的とはいえま
せん。
- 105 -
27 武蔵丘高校
今後は、授業公開などについて地域や家庭に呼びかけ、学校の情報を広く発信し、開かれた学校づくりを
推進していくことが必要です。
診断ポイント⑦ 学校運営・組織体制 進学に対応した教育課程の編成
■成果 2学年までは必修科目が多く、生徒が幅広い科目を学習して、様々な角度から物事を考える視野が育
成されるよう工夫されています。また、3学年では多くの選択科目が設置されており、多様な進路先に対応
できるカリキュラムとなっています。
■課題と改善の方策 進学実績が低下傾向にある実態を踏まえ、現行の教育課程を検証していくことが重要で
す。生徒が早期から進学を見据えて科目を選択し、目標に挑戦することができるカリキュラムを編成してい
く必要があります。そのために、現在の生徒の状況を的確に把握して、教職員全体で教育課程の課題を共有
化するとともに、カリキュラム委員会を活用して、教育課程を再編成し、大学進学実績の向上につなげてい
くことが求められます。
Ⅲ 自律的改革の内容(概要)
■18年度の目標とその成果(概要)
① 家庭学習時間の増
② チャイム着席励行
授業時間の確保
③ 計画的な補習・補講の
実施
④ 組織的な進路指導
⑤ 遅刻指導・頭髪指導の
組織的な実施
⑥ 部活動加入率
<重点目標(抜粋)>
1時間以上の生徒の割合27%
(17年度17%)
(実施)
<達成状況(18年度末)>
18%
チャイム着席は未達成
授業時間は19年度2学期制の導入を検討中
「よくやっている」「やっている」とい 43%
う学校評価24%(17年度14%)
生徒満足度60%以上を確保
48%
(実施)
年間5週にわたり校門に立っての遅刻指導週
間、頭髪指導週間の実施
1,2年生80%の維持
80%(1年生は100%)
⑦ 募集活動の充実
中学校訪問110校
ホームページ更新10回
105校
14回
⑧ 清掃美化運動の推進
「校内がきれいだと感じる」
生徒60% 21%
Ⅳ 学校経営診断を受けての校長意見
本校の課題が明確に指摘されるとともに、改善の方向性が示され、今後改革を進める上での方策を考える上で大
きな参考となった。
今後は、生徒による授業評価等を活用した授業改善の推進、学校の抱える諸課題に対する組織的な対応を推進す
る。また、地域に根ざした学校を目指して広報活動の活性化等開かれた学校づくりを推進していきたい。
(武蔵丘高等学校長 上山 敏)
- 106 -
28 大泉高校
学校経営診断書 −大泉高校―
○
○
○
○
○
所在地
創 立
診断対象
生徒数
主な指定等
練馬区東大泉5−3−1
昭和16年2月3日(当時:東京府立第二十中学校)
全日制課程(普通科)
841名(男440名〔52.3%〕、女401名〔47.7%〕)
中高一貫教育校への改編(予定)
Ⅰ 経営診断結果(総括)
■現状 旧制中学校からの文武両道の伝統を受け継ぐとともに、平成22年度から中高一貫6年制学校として
新たにスタートする学校です。新体制への円滑な移行を踏まえつつ、組織的、計画的な教育活動を展開し、
こた
保護者や地域からの期待に応え、生徒の進路希望の実現を目指す学校づくりを進めています。
■成果 文武両道の精神の下、1学年からの生徒の進路意識を高める取組により、主要私立大学現役合格者の
増加など進学実績の向上に加え、生徒が意欲的に部活動に取り組んだ結果、関東大会へ出場するなど部活動
において成果を出しています。こうした取組により、一般入試応募倍率では1.5倍以上の倍率となってい
ます。
校内においては、22年度からの新体制に向けた検討委員会を立ち上げ、着実にその準備を進めてきまし
た。その検討結果を踏まえ、19年3月に「練馬地区中高一貫6年制学校基本計画検討委員会報告書」がま
とめられ、基本的枠組や基本理念、教育目標などを示しました。
■課題と改善の方策 主要私立大学への現役合格者は増加しましたが、国公立大学現役合格者は減少していま
す。今後は、進路指導部を中心に、進学に対応するための講習の拡充や進路指導部による個別進路ガイダン
スを充実させるなど、生徒に高い目標を持たせ進学に対する意欲を向上させていくことが必要です。それと
ともに、教員一人一人が「生徒による授業評価」を活用した授業改善をしていくことが求められます。また、
中学校への訪問数や授業公開回数などからも、開かれた学校づくりが十分とはいえない状況です。中高一貫
6年制学校開設に向けて広く都民の理解を得るため、学校運営連絡協議会等を活用し、外部との積極的な意
見交換をすすめていくことも大切です。さらに、母体校となる大泉高校の教育活動への信頼を得ていくため
にも、全教員による積極的な広報活動が求められます。
Ⅱ 経営診断結果
い
診断ポイント① 学習指導 生徒による授業評価を活かし、進学を意識した学習指導
■成果 18年度の生徒による授業評価は7月及び12月に全校生徒を対象に実施しました。主要5教科の評
価結果では、授業評価について、
「学習の内容がわかりやすいように準備され工夫されているか」
、
「興味や
関心を持たせてくれたり、意欲をわかせたりしてくれるか」などの指導方法について肯定的な評価が60%
を超えており、概ね良好な結果となりました。また、授業評価に関する校内での研修は各教科内で実施され
ています。
■課題と改善の方策 生徒の自己評価について、第1回と第2回を比較すると、主要5教科のすべての教科に
おいて、学習活動へのかかわり方が低下しているなど、生徒の学習意欲を高める指導が不十分です。また、
い
ゆだ
生徒による授業評価を活かした学習指導の改善については、教科ごとに委ねられている状況です。今後は、
教務部が中心となり、各教員に生徒による授業評価の分析に基づいた改善策を作成させ、進学を意識した年
間授業計画として再構築することが必要です。また、毎学期1回以上教員相互の授業研究を行うとともに、
進学を意識した指導方法や生徒が主体的に取り組むための方策について、全教員による校内研修を実施する
ことが求められます。
診断ポイント② 進路指導 学年、分掌、各教科の密接な連携による進路指導
- 107 -
28 大泉高校
■成果 生徒の進路意識を高めるため、進路指導計画に基づき、1学年より年5回の進路説明会、進路講演会
などの実施や、オープンキャンパス、大学での模擬授業への参加を促しています。また、7月と11月に大
学入試の傾向などについて教員対象の研修会を実施して、大学進学に対する共通理解を図り、生徒への進路
指導に役立てるとともに、1学年3回、2学年3回、3学年4回の模擬試験を通して、生徒の進学目標に対
する到達度を確認させ、生徒一人一人が設定した目標に対してきめ細かく指導しています。その結果、主要
私立大学現役合格者数は昨年度の20%増の178名となり、四年制大学への進学率は昨年度と比較して0.
6ポイント上昇し65.7%となりました。
■課題と改善の方策 主要私立大学の現役合格者数は上昇しましたが、国公立大学への進学実績は、センター
試験受験率が目標数値の80%を下回る65%であったこともあり、現役合格者が17年度の24名から1
6名に減少しました。今後は、生徒一人一人が更に高い目標を設定して主体的に進路を選択し決定する力を
育成していくことが必要です。そのために、進路指導部が中心となり、3年間を見通した計画的・系統的な
キャリア教育の一層の推進を図り進路意識を高めるとともに、学年担任団、分掌、各教科担当が連携するこ
とにより、早期に講習の実施科目や担当者を決定し、長期休業期間中などの講習参加人数を増やすなど、計
画的な講習体制を確立することが求められます。
診断ポイント③ 特別活動 部活動や学校行事など生徒の自主自律の精神を育む特別活動
のっと
■成果 多くの生徒が自主自律の精神に 則 って、部活動に意欲的に取り組んでおり、複数の部活動に参加し
ている生徒もいることから、部活動の加入率は109%となっています。また、教員の指導体制としては、
複数顧問を配置し、週休日や長期休業期間中などにおいて生徒が自主的に活動できるよう配慮しています。
その結果、ソフトテニス部と水泳部が関東大会に出場するなど成績を上げています。
■課題と改善の方策 今後とも文武両道を推進するため、生徒が部活動と学習活動の両立に向け、自ら時間を
管理する能力を身に付け、メリハリのある学校生活を送ることができるよう教員が指導していく必要があり
ます。顧問教員と学級担任が連携を密にして部員の学習時間の確保を図るなど、部活動と学習活動の両立が
図られるよう指導体制を構築していくことが必要です。
診断ポイント④ 募集・広報活動 全教職員で取り組む募集・広報活動
■成果 学校説明会の参加者数は延べ1255名になり、学校紹介ビデオは中学生から好評を得ました。その
結果、18年度一般入試応募倍率は17年度と比較して0.17ポイント増の1.55倍となりました。
■課題と改善の方策 管理職を含めた5名の募集係により募集活動は行われていましたが、全校的な協力体制
としてはまだ不十分であったため、中学校訪問は75校にとどまり、推薦入試応募倍率も前年度を0.49
ポイント下回る3.75倍となりました。今後は、19年度に新たに設置された募集対策委員会を活用し、
教員一人一人の役割を明確にするとともに、訪問校数の数値目標を定めるなど、全教員が一丸となった募
集・広報活動を実施することが求められます。
診断ポイント⑤ 学校経営・組織体制 学校評価を改善に結び付けた組織的な学校運営
■成果 18年度学校運営連絡協議会における学校評価の評価結果の分析・考察は17年度の2項目から6項
目に増えました。協議委員からは、生徒の進路意識を向上させる指導の必要性や教員の授業改善に向けての
努力の必要性及び生徒の学習意欲を高める工夫など、学校への意見・提言がなされ、学校改善への契機とな
りました。
■課題と改善の方策 18年度学校運営連絡協議会と評価委員会が同じ開催日であったため、評価結果を十分
検討できず、学校運営連絡協議会の実施状況報告を校長が行うにとどまるっているなど、学校全体として学
校評価を改善のために活用しようという意識が少ない状況にあります。今後は、全教員が学校評価に積極的
に携わるとともに、評価結果を活用し改善に結びつけていくために、企画調整会議等を活用し、各分掌に評
価結果を踏まえた1年間のまとめや改善策を作成させることなどが求められます。
診断ポイント⑥ 学校経営・組織体制 学校運営連絡協議会等を活用した開かれた学校づくり
■成果 18年度学校運営連絡協議会での意見や提言を踏まえ、学校運営連絡協議会の事務作業を円滑に行う
ために、19年度学校運営連絡協議会設置要綱を改定し、事務局員を3名増加し、事務局の充実を図りまし
た。また、授業公開については、学校説明会を活用し、1学期に1日、2学期に2日間実施しました。その
- 108 -
28 大泉高校
結果、在校生の保護者296名、中学生とその保護者1255名、地域住民等10名の参観がありました。
■課題と改善の方策 学校運営連絡協議会と学校評価を担う評価委員会の開催日が同日であるため、外部との
意見交換の機会が少ない状況です。今後は、協議委員が教育活動を十分理解し、学校を適切に評価できるよ
う、授業や日常の教育活動に参加する機会を設定していく必要があります。その際、企画調整会議や職員会
議への出席を積極的に促すなど、教員との意見交換の機会を設け、教育活動に関与する機会を拡大すること
が求められます。また、
「通年の授業公開」や授業公開の時間確保について、まだ不十分な面が見られます
ので、今後は、
「授業公開週間」を設定するなど、地域や保護者に積極的に授業公開への参加を呼びかけ、
学校の教育活動を広く都民に公開していくことが求められます。
診断ポイント⑦ その他 中高一貫6年制学校開設に向けた取組等
■成果 22年度中高一貫6年制学校開校に向けて、校内において検討委員会を立ち上げ、着実にその準備を
進めてきました。18年度は17回にわたり校内の検討委員会を開催し、学校像や育てたい生徒、教育理念、
教育目標、教育課程の基本方針などについて検討し、その結果を踏まえ、19年3月に「練馬地区中高一貫
6年制学校基本計画検討委員会報告書」としてまとめました。
■課題と改善の方策 今後は「練馬地区中高一貫6年制学校基本計画検討委員会報告書」を踏まえ、開校に向
けた進行管理を徹底させていく必要があります。そのために、校長のリーダーシップのもと、校内の検討委
員会における主幹を中心として、情報の共有化や検討結果の教職員への周知を図るなど、校内各組織との連
携強化が求められます。
また、20年4月開設準備室が設置されますが、母体校の教育活動をさらに発展させるとともに、中高一
貫6年制学校開設に向け保護者や地域・都民から支持が得られるよう、準備の進捗状況についてホームペー
ジ等を活用して広く都民に発信していくなど、広報活動を積極的に展開していくことが求められます。
Ⅲ 自律的改革の内容(概要)
■18年度の目標とその成果(概要)
① 進路指導の充実
② センター試験
③ 校内模試
<重点目標(抜粋)>
各教科、分掌、学年担任団の密接な連携
受験率80%
3学年3回、2学年2回
④ 進路行事の充実
講演会、ガイダンス、説明会等を5回実施 5回実施
⑤ 大学合格実績
国公立大学現役合格25名以上
主要私立大学現役合格150名以上
⑥ 部活動加入率
100%の維持
⑦ PR活動
中学校訪問の実施
⑧ 学校説明会
参加者数1000名
⑨ 学校評価の活用
(実施)
⑩ 中高一貫校への (実施)
移行に向けた準備
<達成状況(18年度末)>
学年主導型から進路指導部中心の体制に移行
65%
3学年4回、2学年3回
16名
178名
109%(重複加入を含む)
75校を訪問
1255名
協議委員から学校への意見・提言が増加。
校内の検討委員会17回実施、
「練馬地区中高一
貫6年制学校基本計画検討委員会報告書」の公
表。
Ⅳ 学校経営診断を受けての校長意見
し
経営診断結果については、真摯に受け止め、課題解決に向けて改善の方策を立てて、早急に実施してゆく所存で
ある。すでに広報活動の充実については、組織の整備を終え、学校説明会の時期に合わせて教職員の協力のもと、
部活動の紹介等を入れた形態に改善し、実施することとしている。また、学校運営連絡協議会についても、アンケ
ート集計・分析結果を出す時期を1ヶ月以上早めて、学校評価について、十分に討議できる期間を設定し、次年度
の学校経営計画に反映しやすいように改めた。
(大泉高等学校長 小林 洋司)
- 109 -
29 光丘高校
学校経営診断書 −光丘高校―
○
○
○
○
所在地
創 立
診断対象
生徒数
練馬区旭町2−1−35
昭和50年12月20日
全日制課程(普通科)
684名(男339名〔49.6%〕、女345名〔50.4%〕)
Ⅰ 経営診断結果(総括)
■現状 気力・体力・学力の向上と学習意欲を高める指導方法の工夫改善に取り組み、進路実績を残していま
す。また、部活動の活性化や社会貢献に取り組み、地域に信頼される学校を目指しています。
■成果 中長期目標として校長は「学校活性化プログラム」を掲げ、学校改革に着手しています。学習指導で
は、実験・実習・調査等の体験的学習や資格取得を目指した学習や、少人数による「わかる授業」や選択科
目・講座の拡充に取り組みました。資格取得者の増加など徐々に成果が現れています。
進路指導では、進路指導部が主体となり学年担任団と連携して三年間を見据えたキャリア教育を推進して
います。100%の就職率や大学進学者数の増加、進路未決定者の減少といった成果が現れていますが、進
路未決定者については更なる減少が期待されるところです。また、平成18年度は特に文化・スポーツ等特
別推薦の導入の決定が契機となり、部活動が活性化され、部活動による地域貢献や中学校連携等により、地
域からも信頼されるようになり、学校行事等においてもリーダーとなる生徒が育ってきました。
■課題と改善の方策 生徒による授業評価等を活用し、わかる授業に向けた工夫や、生徒が求める体験授業の
講座設定、少人数授業の教科数の増加、新たに習熟の程度に応じた授業の導入等の検討など、授業改善を進
めていくことが大切です。また、資格取得については、生徒全員が受検できるような体制を構築することも
必要です。
さらに、三年間を見据えたキャリア教育の内容の充実と、生徒一人一人に目を向けた進路指導を推進する
ため、進路指導部主導の組織的取組をさらに強化し、生徒一人一人の進路指導記録簿としての生徒カルテ等
を用いて生徒情報を共有化し、個に応じた指導体制の構築が求められます。
Ⅱ 経営診断結果
診断ポイント① 学習指導 生徒に学習の成果を実感させる学習指導
■成果 8科目で少人数授業を導入するなど、きめ細かな指導を実施しています。また、総合的な学習の時間
に「折り紙とパズルで脳を鍛えよう」など18講座の体験的学習講座を設定しました。さらに、生徒の学ぶ
喜びを実感させるため、漢検・英検・パソコン検定等の資格取得を推奨し、17年度合格者16名から18
年度には26名と上昇しました。生徒による授業評価を基にして「実習を細かく根気よく指導することで生
徒のやる気が増した(家庭科)
」
、
「基礎力を徹底できる教材づくり(社会科)
」等、教科指導の改善につなが
ってきており、徐々にではありますが成果としてあらわれつつあります。
■課題と改善の方策 「体験的学習で興味・関心が持てたか」
、
「資格取得で達成感が得られたか」
、
「少人数授
業によりわかりやすい授業となったか」等、生徒の実態把握とその結果の共有化、そして、改善を図るため
の校内研修体制の整備が不可欠です。そのため、生徒による授業評価項目の見直しと結果の分析とともに、
校内研修会等で充分な検討を行い、教科指導の改善につなげるとともに、学習カルテ等の導入により生徒一
人一人の実態把握を行い、個に応じた指導を展開していくことが必要です。
診断ポイント② 進路指導 個々の適性を重視し、進路未決定者を減少させる進路指導
■成果 進路指導部が中心となり、三年間を見据えたキャリア教育を推進しています。さらに、年5回以上の
担任による生徒面談や、きめ細かい教育相談を行った結果、進路未決定者が17年度の60名から18年度
には38名と減少しました。進学希望者に対しては、補習・補講で手厚い指導を行っており、講座数も17
年度の13講座から18年度には25講座と拡充させています。その結果、大学進学実績は、17年度76
名(四年制大学54名・短期大学22名)から18年度82名(四年制大学69名・短期大学13名)と微
- 110 -
29 光丘高校
増にとどまりましたが、四年制大学への進学数が増えるなど明るい兆しも見えています。就職希望者につい
ては7月に就職準備のための説明会を3回実施し、さらに5回以上の実践的な個別面接指導を行い、結果、
就職率100%という成果を上げることができました。
■課題と改善の方策 就職・進学ともに更に丁寧な個別指導の充実と、三年間を見据えたキャリア教育の中か
ら自己の進路を早期に見つけさせる指導が必要です。そのためには、担任と進路指導部による生徒情報交換
会等を通して、情報の共有化を図り、担任による指導のみでなく、進路指導部による面接指導計画の立案実
施等、学校全体で生徒一人一人に責任を持つ指導を行い、中途退学者の減少にも結びつけていくことが求め
られます。
診断ポイント③ 生活指導 遅刻者の減少、授業規律の確立を重視する生活指導
■成果 授業規律を徹底させるためのチャイム着席と、2学期に入り遅刻者が増加傾向にあった遅刻指導を重
点に取り組みました。それまで遅刻指導は担任によって行われており、学年担任団ごとに方針が違っていま
したが、生活指導部主導で指導基準の明確な遅刻指導を実施したことにより、結果として遅刻者数は42名
の減とすることができました。特に2学年では、17年度に比べ20%の減となりました。この指導体制は
現在も引き継がれ、19年度は4、5月の計で前年度比24%の減となり、授業にも落ち着きが出てきまし
た。一方、チャイム着席に関する取組は十分でなく成果が得られていません。
■課題と改善の方策 遅刻指導については一定の成果を上げていますが、授業規律も含め生活指導の徹底につ
いては、学年担任団や教科単位ではなく、全教職員で継続的に取り組んでいく必要があります。生活指導部
で授業規律確立のための中期目標を示し、年度ごとの重点目標を定め、その具体的取組方法を全教職員に周
知させていくことが求められます。また、他に課題としてあげられている携帯電話、頭髪指導・服装指導等
は入学前から学校の指導方針を徹底させ、入学後はきめ細かな指導を計画的に行う必要があります。
診断ポイント④ 部活動 文化・スポーツ等特別推薦の導入を契機とした部活動の活性化
■成果 18年度に女子バレーボール・男子バスケット・野球・陸上に文化・スポーツ等特別推薦を導入した
ことがきっかけとなり、女子バレーボール部の部員数が10数名に増え、限られた日数しか活動を行わなか
った野球部が計画的に練習を行うようになるなど、それぞれ変化が現れました。また、これらの部活動から
刺激を受け、サッカー、テニス、男子バレー、男子バスケット、ダンス等、様々な部活動において、放課後
および休日の活動が活発になりました。しかし、部活動加入率は47%、1年生から2年生にかけての定着
率は86%にとどまりました。
■課題と改善の方策 部活動加入率を上げるため、動機付けとなる部活動紹介や仮入部等を支援する学校体制
を整備していくことが必要です。また、部活動を活性化させていくには、具体的な目標を掲げ、その目標に
向けて努力することから得られる達成感と、集団への帰属意識、勝利から得られる充実感等を実感させるこ
とが大切です。そのためには、指導技術の研修会や年間を通した計画的な練習計画を顧問間で共有し、学校
行事の中に積極的に部活動に関する生徒の活躍の場を確保していく等の指導体制の構築と、文化・スポーツ
等特別推薦を活用した重点的な部活動の活性化が求められます。
診断ポイント⑤ 募集・広報活動 部活動交流等の中学校との連携を通した募集広報活動の拡充
■成果 女子バレー部が中学校と合同練習を実施し、野球部、女子バレー部が地域の中学校を訪問して練習を
するなどの取組を通じて、部活動を通した広報活動を行ってきました。
1年生は、9月に92校に対して母校訪問を実施し、10月には総務部が中心となり教員全員体制で97
校への中学校訪問を行いました。また、学校見学会・学校説明会の参加人数は1190名と17年度795
名の1.5倍に増加しました。さらに1月には入試相談会を実施(30名参加)し、これらの取組を通して、
19年度入試では推薦倍率が3.1倍(18年度2.8倍)となりました。
■課題と改善の方策 推薦倍率の上昇は見られましたが、一般入試応募倍率は1.1倍と停滞傾向にあり、こ
の解決は緊急の課題です。その解決には広報委員会を中心に生徒募集の組織的取組を強化し、学校説明会・
学校見学会・入試相談会等の工夫を行う必要があります。また、地域の中学校に改革を進めつつある光丘高
校の様子を良く知ってもらうことが大切です。そのためには、部活動の合同練習や体験入部等中学生との交
流の機会を増やし、体育祭・文化祭の見学者を増員する工夫、さらに教職員が近隣中学に出向いて行う出前
授業や中学生を学校に迎えて行う体験授業等を通じて、光丘の教育力を、地域の中学校に還元する取組が求
められます。
- 111 -
29 光丘高校
診断ポイント⑥ 学校経営 社会貢献活動を行い、地域に信頼される学校経営
■成果 地域清掃や、文化祭のバザー、生徒会の地域祭への参加、幼稚園、福祉施設との連携などを通して社
会貢献を行ってきました。交通安全キャンペーンでは警察と連携したボランティアを生徒会が2日間行い、
自転車マナーの向上を近隣に働きかけました。この結果、ママさんバレーボールの役員依頼やボランティア
依頼が増えており、学校と地域との良好な関係が築かれつつあります。
■課題と改善の方策 19年度から始まった奉仕体験授業では、足尾銅山の植林と清掃活動に1年生が取り組
みましたが、奉仕活動定着のためには、地元の理解が不可欠です。そのため、学年・部活動を単位とし、学
校としてインターンシップやボランティア活動など、地域貢献に積極的に取り組む体制を整える必要があり
ます。取組に当たっては、
「地域が学校に求めているものがどのようなものなのか」
、
「学校の力をどう活用
したいと考えているのか」等を把握することが重要であり、学校運営連絡協議会の活用に加え、地域アンケ
ート調査等の実施も検討する必要があります。
診断ポイント⑦ 学校経営 IT教育普及支援校・中国帰国生徒受入校としての取組
■成果 16年度に指定を受けた「IT教育普及支援校」として、教員の個別技術指導体制を整え、母体校の
技術向上にも努めました。さらに、11校の対象校のうち5校へ出向いて研修を行い、
「インターネット親
子セーフティ講座」を実施するなどIT教育の普及に貢献しました。
また、中国等帰国生徒は、18年度12名在籍しており、取りだし授業や一人一人を大切にしたきめ細か
な指導を行い生徒のやる気を育てました。18年度は3名が生徒会役員に当選し、内1名は会長に当選する
など生徒の自主性に結びついています。
■課題と改善の方策 IT教育普及支援校として情報教育について、都立高校の先頭に立つ実践が必要です。
そのためには、教科指導、部活動や学校行事等幅広い情報機器の活用を実践し、その成果やノウハウを広く
全都に周知していくことが求められます。
また、中国等帰国生徒の受入については、個を大切にした丁寧な指導の継続と、指導方法の蓄積が必要で
す。さらに、多様な生徒の受入による相互関係から得る思いやりの心の育成は本事業の大きな課題で、ルー
ル・マナー・モラルを大切にする学校環境づくりが求められます。
Ⅲ 自律的改革の内容(概要)
■18年度の目標とその成果(概要)
①
②
③
④
⑤
⑥
⑦
⑧
⑨
⑩
大学合格者数
中途退学者減少
進路未決定者数
教育相談の充実
生徒面接の実施
部活動
文化祭、体育祭
学校説明会
校内研修会実施
「学校だより」
<重点目標(抜粋)>
四年制大学70名以上、短期大学20名以上
7名以内
60名以内
学校評価肯定的評価が60%以上
年5回以上
加入率70%以上、 定着率100%
文化祭1500名以上 体育祭300名以上
来校者数 1000名以上
5回以上
各部年5回以上計25部
<達成状況(18年度末)>
四年制大学69名、短期大学13名
25名
38名
62%
1、2年5回 3年6回
加入率47%、定着率86%
文化祭1217名 体育祭169名
1190名
9回実施(研究授業は全教科で20回実施)
39部
Ⅳ 学校経営診断を受けての校長意見
経営診断を受け、本校は、歩みは遅いかもしれないが、
「学校活性化プログラム」により確実に進化しているこ
とを確信した。また、課題と改善の方策により、進化の方向性を再確認することができた。今後は、加速度的に進
化するための新しい「学校活性化プログラム」を実施していきたい。
そのために、生活指導面を強化し、生徒の学校生活の基礎を作り、その上で、部活動推進、授業改善、進路指導
の充実に取り組み、地域のあこがれとなる学校を目指していく。
(光丘高等学校長 高橋 伯也)
- 112 -
30 南多摩高校
学校経営診断書 −南多摩高校―
○
○
○
○
○
所在地
創 立
診断対象
生徒数
主な指定等
八王子市明神町4−20−1
明治25年10月31日(当時:私立八王子女学校)
全日制課程(普通科)
950名(男496名〔53.2%〕、女454名〔47.8%〕)
中高一貫教育校への改編(予定)
Ⅰ 経営診断結果(総括)
■現状 多摩全域から生徒が通う、部活動や行事も盛んな多摩を代表する進学校です。平成20年度に100
周年を迎え、22年度には中高一貫6年制学校を開校する予定です。
「アクションプラン2006」と名づ
けた学校経営計画に基づき、新たな学校づくりに向けて取り組んでいます。
■成果 土曜日の教育活動を活用した教育課程を編成して授業時数を確保するとともに、校内研修の回数を増
やしたり、3年間の進路指導計画に基づいた進路指導部中心の進路指導を行ったりしています。四年制大学
進学率は17年度の65.6%から18年度は76.1%へ、国公立大学現役合格者数は44人から55人
へと増加するなど成果を上げています。
部活動の加入率は95%と高く、19年度からの新しい制服の導入を契機に生活指導の見直しも行ってい
ます。生徒募集についても積極的な広報活動を行い、応募倍率は1.6倍と高水準にあります。
各分掌で学期毎に短期的なPDCAサイクルで学校運営の見直しに取り組んでいることは評価できます。
■課題と改善の方策 保護者の90%近くが、1つ上の目標を目指す指導が必要であると感じています。また、
長期休業中の補習が学年を中心とした取組になっており、組織としての取組体制としては不十分です。新た
な学校づくりに向けて、校長の学校経営計画に基づいて、全教職員が参画意識をもちながら、自律的改革を
一層推進していく必要があります。
Ⅱ 経営診断結果
診断ポイント① 学習指導 国公立受験に対応するための学習指導の充実
■成果 長期休業日等の弾力的運用を実施して土曜日の教育活動を年に20回実施することで、7時間授業を
行わずに、授業と部活動や学校行事の両立や、センター試験5教科7科目の受験への対応が可能な教育課程
を編成しています。土曜日の教育活動については、保護者の94%がアンケートで肯定的に回答しています。
また、国公立大学受験に対応した授業の充実に向け、校内研修を17年度の2回から18年度は4回に増
やしました。
■課題と改善の方策 訪問時の授業参観では、生徒は授業に熱心に取
り組んでおり、グループワークを取り入れた授業を行う等の工夫も
見られました(図1)
。生徒の授業満足度は過去4年間とも80%
前後と高く、教員もそのことに満足しています。しかし、保護者の
90%近くが1つ上の目標を目指す指導の必要性を感じており、学
校運営連絡協議会でも授業の質の向上が提言されています。校内研
修や教員相互の授業参観を行っていることは評価できますが、グル
ープ討議を入れるなどして研修内容を工夫したり、外部講師や指導
主事を招いたりして、研修を充実させていくことが求められます。
図1 訪問時の授業の様子
また、生徒の学力に差が見られる数学等の教科で習熟の程度に応じ
た授業を取り入れることも検討に値します。
診断ポイント② 進路指導 難関校へ挑戦させる組織的な進路指導
■成果 2年次の総合的な学習の時間では、キャリア教育を実施しています。また、模試データを利用したシ
- 113 -
30 南多摩高校
ステムを各担任が活用し、進路部とデータを共有しながら進路指導を行っています。
進学実績は、四年制大学進学率が17年度の65.6%から18年度は76.1%へ大幅に上昇しました。
さらに、国公立大学現役50人、難関私立大学(早稲田・慶応・上智・東京理科)現役40人、私立大学延
べ600人合格の目標に対して、それぞれ55人、35人、5
300
80
48人の結果となり、特に国公立大学については成果を上げて
250
75
います(図2)
。
200
70
■課題と改善の方策 進路指導部が中心となって3年間の進路
150
65
指導計画を作成し、進路データの分析方法や各大学の入試情報
100
60
を学年へ提供しています。しかし、長期休業中の補習は学年が
ゆだ
50
55
中心に取りまとめ、教員の自発性に委ねられている状況です。
0
50
また、センター試験5教科7科目受験者100名以上の目標に
人
%
15年度
16年度
17年度
18年度
対して受験者は69名に止まりました。校長の学校経営計画の
国公立
難関私大
中堅上位私大
四大進学率
意図を全教員に十分に浸透させた上で、進路指導部が中心とな
図2 大学現役合格者数と四年制大学進学率
って学習指導と進路指導を有機的に結びつけた取組を行って
いく必要があります。
診断ポイント③ 生活指導 規範意識の高揚を目指した生活指導
■成果 19年度の1年生から新しい制服になったことを契機に、服装指導、頭髪指導等の生活指導の見直し
を行っています。訪問時の授業参観では、授業規律は確立されており、頭髪や服装にも大きな乱れは見られ
ませんでした。廊下に置かれたロッカーや下駄箱の上は整頓されており、登下校時の交通マナーも良好です。
■課題と改善の方策 22年度の中高一貫6年制学校の開校に向けて、中学生と高校生の生活指導の共通点や
相違点を検討していく必要があります。保護者・地域からは、基本的な生活習慣を身につけるに止まらず、
次世代リーダーとなる生徒にふさわしい規範意識やモラル・マナーを身につけることが期待されており、生
徒会を活用するなど生徒の自治意識も高めながら生活指導を見直していくことが必要です。
診断ポイント④ 特別活動・部活動 質の高い学校行事と部活動の充実
■成果 部活動加入率は目標の90%に対して95%となりました。陸上部の関東大会出場、女子ハンドボー
ル部の都ベスト16など成果を上げており、文化祭等の学校行事では生徒が主体的に取り組んでいます。
また、年間3、4回外国人留学生を招いて行う異文化理解講座、外国人講師を招いて月2、3回行う英会
話教室と2泊3日の英語サマーキャンプ等、国際理解教育への取組も充実させています。
■課題と改善の方策 理科の教員を中心に文科系の部活動を充実させようと取り組んでいます。中高一貫6年
制学校への継続性や、移行に伴い1学年あたりの生徒数が大幅に減少する中で学校行事や部活動をどのよう
に維持・発展させていくかを検討していくことが必要です。
診断ポイント⑤ 募集・広報活動・地域交流 積極的な情報発信を行う広報活動
■成果 入学者の出身地域やデータを分析した上で、中学校訪問を実施しました。また、学校説明会の参加者
は目標の2000人に対して2500人が参加しました。結果として入選倍率が、目標の1.5倍を上回る
1.6倍となりました。
■課題と改善の方策 学校便りを毎月発行する目標を立てましたが、2回しか発行できませんでした。その一
方で、学年便りが月2回、保健便りと図書便りが月1回発行されており、保護者の広報活動に関するアンケ
ートでは評価されています。今後、中高一貫6年制学校の開校に向けて、中学生や保護者にこれまで以上に
情報を発信していくため、学校全体で組織的・計画的な広報活動に取り組むことが必要です。
診断ポイント⑥ 健康づくり 健康づくり実践校への取組
■成果 年間を通した学校保健計画を作成し、保健部が中心となってAED講習会等の取組を実践しているこ
とは評価できます。
■課題と改善の方策 生徒のカウンセリングへのニーズが高まっています。学校教育相談に関する校内研修を
行う等、教員の生徒理解に関する意識や課題のある生徒への対応の技能を高めていくことも必要です。
- 114 -
30 南多摩高校
診断ポイント⑦ 学校経営・組織体制 新たな学校づくりに向けた組織的な学校運営
■成果 職員会議や企画調整会議等に、学校運営連絡協議会協議委員や学校経営支援センターの学校経営支援
主事が参加するなど、学校経営の透明性を高めながら組織的な学校運営を推進しています。
また、校長がリーダーシップを発揮する一方、企画調整会議や職員会議において教職員からの意見のボト
ムアップを図り、適正な学校経営を行いながら教職員の経営参画意欲を高めています。
さらに、各分掌では学期毎の短期的なPDCAサイクルによる学校運営の見直しが行われ、学校運営につ
いて常時見直し・改善を図っており、学校全体が新たな学校づくりに向けて組織的な学校運営を進めている
ことは大変高く評価できます。
■課題と改善の方策 大職員室の設置や生活指導の見直し等、中高一貫6年制学校の開校に向けて様々な取組
が始まっています。校長は教職員からのボトムアップも図りながら改革に努めていますが、一部の教員が、
校長の学校経営計画を十分に理解せずに、改革に対して消極的な意見を表明する場合があります。新たな学
校づくりに向けて、校長の学校経営計画に基づいて、全教職員が一丸となって一層自律的な改革を推進する
ことを期待します。
Ⅲ 自律的改革の内容(概要)
■18年度の目標とその成果(概要)
<重点目標(抜粋)>
学習指導
① 教科指導・授業評価校内研修会
② 教員相互の授業参観
進路指導
③ センター試験5教科7科目受験者
④ 大学合格実績
生活指導
⑤ 生命の尊重等に関する講演会
特別活動・部活動
⑥ 部活動加入率
健康づくり
⑦ 学校保健委員会・保健講演会
募集・広報活動・地域交流
⑧ 応募倍率(学力)
⑨ 学校説明会参加者数
⑩ 学校便り発行、ホームページ更新
学校経営
⑪ 分掌ごとPDCAサイクルの実施
<達成状況(18年度末)>
各学期1回開催
各自2回以上実施
各学期1回開催
2回実施(時間割上の制約で教員同士の参
観が難しく全員が参加できていない。
)
100名以上
国公立大学現役50人
私立難関大学現役40人
私立大学延べ600人合格
69名
国公立大学現役55人
私立難関大学現役35人
私立大学延べ548人合格
各学期1回開催
各学期1回開催
90%以上
入部率95%(陸上部関東大会出場等)
各学期1回・年1回開催
各学期1回・年1回開催
1.5倍
2000人
毎月
1.6倍
2500人
ホームページは達成。学校便りは年2回。
各学期
各学期(組織的な学校運営を実践できた。
)
Ⅳ 学校経営診断を受けての校長意見
百年の歴史と伝統のもとに地域から期待されてきた本校が、中高一貫校への母体校となることが決定して以来、
ばん
Ⅱ更なる発展を目指して学校改革に着手してきた。新たなシステム構築、進学校としての磐
18年度の目標とその成果(概要)
石の体制づくりは、校長
のリーダーシップもさることながら、教職員の理解と実行力の結果である。
本校は重点支援校のような人的配置や予算上の優遇措置を特段受けておらず、教育環境の充分な整備は図れてい
ないが、そうした中で学校を活性化し更に発展させる原動力は、生徒の能力を最大限引き出そうとする教職員の積
とら
極性である。経営診断結果の過分な評価は教職員への激励と捉えたい。
今後は、特に診断ポイントに指摘されている点を中心に更なる改善を進めていきたい。
(南多摩高等学校長 榎本 成己)
- 115 -
31 北多摩高校
学校経営診断書 −北多摩高校―
○
○
○
○
○
所在地
創 立
診断対象
生徒数
主な指定等
立川市曙町3−29−37
昭和23年3月31日(当時:立川市立新制高等学校)
全日制課程(普通科)
962名(男487名〔50.6%〕、女475名〔49.4%〕)
中高一貫教育校への改編(予定)
Ⅰ 経営診断結果(総括)
■現状 50年以上の伝統がある多摩地域の進学校で、平成20年度からは立川国際中等教育学校を開校しま
す。充実した語学教育と国際理解教育を推進しながら、文武両道の活力ある教育活動を受け継ぎ、高いレベ
ルの教養教育を目指しています。
■成果 進学校として3年間を見通した計画的な進路指導を行い、四年制大学進学率は4年前の48.6%か
ら18年度は72.3%に、国公立大学の合格者は11人から19人へと上昇しました。また、18年度か
ら長期休業日の弾力的運用を活用して土曜日の教育活動を行い、1学年の総授業時間を前年度より700時
間増加させています。北多摩高校に入学してよかったと学校評価で回答した生徒は86%に上り、また、入
選倍率(学力)も1.5倍と高水準です。
■課題と改善の方策 20年度の中等教育学校の開校に向けて、企画調整会議等に開設準備室のスタッフが参
加して、共通認識や協働意識を深めていることは評価できますが、教育課程編成や生活指導のあり方等につ
いて、開設準備室と一層連携していくことが必要です。今後、2つの学校の校務分掌や委員会を一体化する
などして、経営企画室とも連携しながら組織的な学校運営を確立することを期待します。
Ⅱ 経営診断結果
診断ポイント① 学習指導 難関大学に挑戦させるための授業の質的・量的向上
■成果 18年度から長期休業日等の弾力的運用を活用して土曜日の教育活動を17回行うとともに、45分
7時間授業を50分6時間授業に戻して、授業時間の確保と内容の充実に努めました。1学年の総授業時間
は17年度の7207時間から18年度は7944時間へと大幅に増加し、50分授業に戻したことで、中
身の濃い授業を展開することができるようになりました。
45分7時間授業について過去3年間の成果を検証し、生徒の実態や中等教育学校の開校に合わせて、校
内研修等で議論を行いながら自律的に改善を図ったことは高く評価できます。
訪問時の授業参観では、どのクラスでも熱心に授業に取り組む生徒の姿が見られました。当日行われてい
た数学の授業では、4人の教員のうち3人が問題の解法について別解を示す等、進学に向けて生徒の実態を
踏まえた工夫のある授業が見られました。
生徒
■課題と改善の方策 学校評価の教材や教え方の工夫に関して、
肯定的な評価の割合は、教職員は73%に対して、生徒・保護
かい
保護者
。
者では35%前後と大きな乖離が見られます(図1)
授業が分かりやすく楽しいと回答している生徒も39%と少
なく、授業改善は喫緊の課題です。生徒による授業評価や学校
教職員
評価アンケートに基づいて、校内研修を年2回実施しているこ
とは評価できますが、他教科の授業や中学校の授業を参観した
よく当てはまる
やや当てはまる
あまり当てはまらない
まったく当てはまらない
り、外部講師や指導主事を招いたりする等、研修の効果を高め
図1 教材や教え方の工夫
る工夫が必要です。
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
診断ポイント② 進路指導 3年間を見通した計画的・継続的な進路指導の充実
■成果 進学校として計画的・継続的な進路指導を充実させるため、3年間を見通した進路指導計画を作成し
- 116 -
31 北多摩高校
75
140
て生徒の進路意識を高める指導を行った結果、四年制大
学進学率は4年前の48.6%から18年度は72.3%
70
120
まで上昇しました。また、国公立及び中堅私大への現役
65
100
合格者150人の目標に対して167人が合格し、国公
60
80
人
%
立大学の合格者数も前年の11人から19人へ増加して
55
60
おり、評価できます(図2)
。
50
40
また、生徒の進路意識を高めるために、進路講演会や
45
20
17大学と連携しての大学模擬授業を行っています。大
40
0
学模擬授業は、生徒が大学で学ぶ内容や将来の職業につ
15年度
16年度
17年度
18年度
いて考える良い契機となっています。
国公立
難関私大
中堅上位私大
4大進学率
■課題と改善の方策 土曜日及び長期休業中の補習等5
図2 四年制大学進学率と主な大学合格者数
00時間の目標を達成したことは評価できますが、3学
年主体で取りまとめて実施しており、毎年組織的に継続性をもって実施することができていません。19年
度からは進路部で取りまとめ、日程を早く提示するなどの改善を図っており、今後の取組に期待します。
早稲田大学への合格者が17年度の20名から18年度は1名に減少する等、主な大学の合格者数はばら
つきを見せています(図2)
。学校全体で生徒の進路意識を高めるようなキャリア教育を充実するとともに、
安易に推薦に頼らずに、第一志望の大学に挑戦させるような指導も望まれます。
診断ポイント③ 生活指導 自主・自律の精神の育成
■成果 学期当初に生活指導部が朝の校門指導を行うなどして、
「生活確立週間」を実施しています。訪問時
の見学では、生徒の頭髪や服装の乱れは見られず、どの教室でもごみがきちんと分別され、自転車置場も整
然と整列されているなどその成果が見られました。さらに、警察と連携して安全教室を実施し交通マナーの
向上を図るなど、基本的な生活習慣の確立にとどまらず生徒の規範意識やマナーの向上に努めていることは
評価できます。
■課題と改善の方策 中等教育学校の開校に向けて、中学生と高校生の生活指導の共通点や相違点を検討して
いく必要があります。北多摩高校の生徒には、次世代リーダーとしての規範意識やモラル・マナーの習得が
期待されており、生徒会の活性化などにより生徒の自治意識を高めながら、生活指導を見直していくことが
必要です。
診断ポイント④ 特別活動・部活動 生徒が積極的に参加する部活動と学校行事の充実
■成果 運動系部活動への参加率は17年度の80%から18年度は7
1%へと低下しましたが、文科系部活動への加入率38%と合わせると生
徒の9割以上が部活動に参加しています。
(両方に所属する生徒を含む)学
校評価でも、生徒の83%が学校行事・部活動の充実について肯定的に回
答しており、文武両道の教育活動を展開していることは評価できます。
■課題と改善の方策 訪問時には、ラクロス、アメリカンフットボール等、
特色ある部活動を含めて、熱心に部活動に取り組む様子が見られました(図
4)
。中等教育学校の開校後、学級数が減った場合に、特色ある部活動をど
のように維持・発展させていくか工夫していくことが必要です。
図4 特色ある部活動
診断ポイント⑤ 募集・広報活動・地域交流 開設準備室と連携した広報活動
■成果 総務部と主幹が中心になって開設準備室と連携しながら広報活動に取り組み、学校説明会1200人
参加の目標を達成し、入選倍率(学力)が1.5倍と高水準にあることは評価できます。
■課題と改善の方策 中等教育学校の開校後の、北多摩高校の生徒募集についてこれまで以上に積極的にPR
する必要があります。また、北多摩高校のホームページは計画的に更新されておらず、情報発信が十分にで
きていません。今後2つの学校が共存するなかで、経営企画室とも連携しながら積極的に情報発信し、広報
活動を計画的に行っていくことが必要です。
診断ポイント⑥ 健康づくり 保健部と学年が連携した教育相談活動の充実
■成果 不登校の生徒が数名いる状況ですが、保健部と学年が連携しながら教育相談活動を行ったり、教育相
- 117 -
31 北多摩高校
談の校内研修に取り組んだりしたことは評価できます。
■課題と改善の方策 今後は、保健部中心の組織づくりに取り組むとともに、中学生の生徒理解や教育相談の
校内研修等を充実させ、教員の生徒理解や課題のある生徒への対応の技能を高めることも必要です。
診断ポイント⑦ 学校経営・組織体制 新たな学校づくりに向けた組織的な学校運営
■成果 企画調整会議、教務部会、生活指導部会に開設準備室のスタッフが参加して、新たな学校づくりに向
けた組織的な学校運営を行い、共通認識や協働意識を深めています。また、学校運営連絡協議会に学校経営
支援センターの学校経営支援主事を招くなどして、学校経営の透明性を高めながら教職員の意識改革を図っ
ていることも評価できます。中高一貫教育校教員養成研修に参加する教員も多く、新たな学校づくりに向け
て取り組む教員の意識が高まっています。
■課題と改善の方策 教育課程編成や生活指導のあり方等について、開設準備室と一層連携していくことが必
要です。今後、2つの学校の校務分掌や委員会を一体化するなどして、経営企画室とも連携しながら組織的
な学校運営を確立することを期待します。
Ⅲ 自律的改革の内容(概要)
■18年度の目標とその成果(概要)
<重点目標(抜粋)>
学習指導
進路指導
<達成状況(18年度末)>
① 大学受験に挑戦する意欲と実力の醸成
国公立大学現役合格者11名から19名に増加
② 土曜日授業の年17回実施
土曜日授業を活用して、授業時間数を増加
③ 土曜日及び長期休業中の補習500時間
補習は500時間行ったが学年中心の取組
以上
④ 大学模擬授業、進路講演会の実施
17大学の模擬授業を実施
⑤ 国公立及び中堅私立大学以上200人合
245人合格、そのうち167人が現役
格、そのうち150人が現役合格
生活指導
⑥ 自主・自律の態度の育成
学期当初の生活確立週間の実施
特別活動・部活
⑦ 文武両道による教育活動の充実
動
健康づくり
⑧ 教育相談活動の充実
学年と保健部が連携して教育相談
募集・広報活動
⑨ 学校説明会出席者1200人以上
1200人参加(募集倍率は1.5倍に向上)
学校経営
⑩ 新たな学校づくりに対する共通意識の醸
成
企画調整会議等を開設準備室と合同で開催
1,2年の9割以上の生徒が部活動に参加
Ⅳ 学校経営診断を受けての校長意見
文武両道の活力ある教育活動により知徳体のバランスの取れた人間を育成するという本校の経営方針が、生徒・
保護者の学校生活に対する高い満足感として現れている。4年制大学進学率の向上などにより多摩地区の進学校と
して評価されているが、難関大学の合格者数などに年度ごとの変動があり、その改善が最大の課題である。
多くの都民の方々から注目されている立川国際中等教育学校が20年4月に開校になる。今後は、その母体校と
して本校の教育活動の一層の充実を図る。
(北多摩高等学校長 吉澤 郁生)
- 118 -
32 武蔵高校
学校経営診断書 −武蔵高校−
○
○
○
○
○
所在地
創 立
診断対象
生徒数
主な指定等
武蔵野市境4−13−28
昭和15年1月12日(当時:東京府立第十三高等女学校)
全日制課程(普通科)
970名(男501名〔51.6%〕、女469名〔48.4%〕)
中高一貫教育校への改編(予定)
Ⅰ 経営診断結果(総括)
■現状 多摩地区の進学校として、意欲的で優秀な生徒を集めており、土曜授業や補習講習など、ハイレベル
の学力向上を目指す授業改善、3年間を通した体系的な進路指導の充実などに取り組んでいます。
■成果 中高一貫教育校への移行を機会に、よりレベルアップを図るべく、校長の強力な経営指導の下に学
校改革が進んでいます。ハイレベルな授業への改善や進学実績を高めるための様々な企画が主幹を中心と
した教員の組織的な体制により打ち出されています。以前は課題とされてきた生徒へのきめ細かい生活指
導や教育相談活動が行われるようになりました。
■課題と改善の方策 学校経営計画において設定した進学率は、おおむね達成されていますが、生徒がより高
い進路目標に向けて挑戦する意欲を高める進路指導へと充実を図っていく必要があります。さらに、学校改
革・改善に向けた数値目標の適切な設定と、目標の達成度を継続的にチェックして、その進捗状況を把握し
ていくことが大切です。また、一部の教員に、伝統校にありがちな古い体質が残っており、教員の意識改革
を図ることが必要です。
Ⅱ 経営診断結果
診断ポイント① 学習指導 よりハイレベルな授業に向けた授業力の向上
■成果 年間18回の土曜授業の実施、週毎の時間割の工夫など、年間授業時数の確保に努めています。また、
保護者の授業参観や都民への授業公開を積極的に実施して、教員の授業改善につながる機会を増やしました。
さらに、入試問題を自校作成にすることによって、教員の教科指導力を向上させました。
■課題と改善の方策 生徒による授業評価の結果にも明確に現れているように、授業にさまざまな工夫をし
ている教員と、あまり工夫をしていない教員との間に、バラツキがあります。教員間の相互授業参観を通し
て、互いに切磋琢磨し、より一層、授業力の向上に努める必要があります。また、共通問題の作成等を通し
て、授業内容の精選や、習熟の程度に応じた授業の検証等が求められています。次年度から中学生を迎える
にあたって、各教科における6年間を見通したシラバスや「学習の手引き」の作成が始まっています。これ
らの取組を通して、
教員の授業力をハイレベルな授業に向けて向上させていくことが、
大いに期待されます。
診断ポイント② 進学指導 国公立大学、難関私立大学への進学実績の向上
■成果 平成18年度の現役進学率は66.5%と向上しました。国公立大学合格者数が目標100名のとこ
ろ68名、早稲田・慶応大学合格者数が目標120名のところ88名であり、昨年度並の結果になりました。
また、大学入試センター試験5教科6科目以上での受験者数は目標140名のところ109名でした。
この動向を踏まえて、進路指導部と学年とで合同分析会を実施し、校内実施の模擬テストの結果を元に弱
点教科や弱点分野を分析し、生徒個人の志望動向、成績状況を把握し指導する体制をつくりました。また、
19年度より各教科が、3年生全員を対象に期末考査後、夏期の特別授業を実施し、連動して夏季講習につ
なげるなど工夫した取組を実施しています。さらに12月には意欲的な生徒(1年生)を対象とした勉強合
- 119 -
32 武蔵高校
宿「ウィンターセミナー」や、3年生対象にセンター試験の問題演習を行う「センターマラソン」などを実
施する予定です。
■課題と改善の方策 入学当初には、生徒の3分の2以上が国公立大学への進学を希望しています。これらの
難関大学受験に十分対応できる学力を習得させるとともに、生徒により高い目標に挑戦させる意欲を喚起す
る進路指導を行っていくことが課題です。19年度より実施されている教員の「進路分析会」や、
「ウィン
ターセミナー」などを学年単位で終わらせず、検証と見直しを行いながら、全校に広げていくことが重要で
す。
診断ポイント③ 生活指導 リーダーとして、自分を律することのできる生徒の育成
■成果 18年度より、帰りのショートホームルームを毎日実施したり、生徒にごみの分別を徹底させる指導
を行ったりしました。かつては、遅刻者が多い状況にありましたが、遅刻者がほとんどいなくなったことは
高く評価できます。生活指導部や保健部、学年だけではなく、経営企画室の協力によって、校内は見違える
ように美しくなり、教育環境が整備されています。
■課題と改善の方策 教員主導型の生徒の基本的な生活習慣の確立を図りながらも、一方でホームルーム活動
の年間計画を生徒に考えさせ作成させているように、自主・自律の武蔵のよき伝統を継続し、生徒の主体性
やリーダーシップを育成していくことが必要です。
診断ポイント④ 特別活動・部活動 生徒の自主的・自律的な教育活動の推進
■成果 奉仕体験活動必修化実践・研究校として、18年度には、第1学年を中心として、100名以上の生
徒が参加し、55名が1単位(35時間)以上を取得しました。
「勉強や部活、行事で学んだことを生かす」
ことをテーマとして、近隣の児童館や幼稚園、養護学校との連携による園内清掃、飾り付け作業、サッカー
講習会、お菓子作りや、高齢者施設でのコンサート活動等を実施し、生徒の力が発揮できるよう工夫しまし
た。また、部活動加入率は90%に達しており、最終学年の2学期に引退するまで、全力投球で取り組んで
います。
■課題と改善の方策 「奉仕」や部活動については、生徒の自主的な活動を大切にしつつ、担当教員が責任を
もって指導する体制を確立し、安全確保を図る必要があります。
診断ポイント⑤ 健康づくり 生徒の心身の健康教育の推進
■成果 「多摩府中保健連絡会」の中心校として、健康づくりに関する、地域の中心的な役割を果たしていま
す。各学年からスタッフが参加し、学校全体にその趣旨や意義が浸透しつつあります。また、
「心の悩みを
抱える生徒への対応」に関しては、精神科医による生徒への講話の実施や、担任と生徒とのコミュニケーシ
ョンによって、保健室の利用者数が前年度より減少するなど、成果がみられました。
■課題と改善の方策 今年度から導入されたスクールカウンセラーを活用するなどして、これまで以上に生徒
の心の問題に対応する相談体制の充実を図り、積極的な健康づくりを組織的に進めていく必要があります。
診断ポイント⑥ 募集・広報活動 中高一貫校への改編に向けた目的意識の高い生徒の確保
■成果 自校作成の入試問題を導入した入学選抜を実施し、武蔵野地区中高一貫6年制学校の母体校にふさわ
しい意欲的な生徒を、より多く確保するため、高校の教員が中高一貫校の生徒募集活動を応援し、中学募集
と連動した説明会を実施しています。
■課題と改善の方策 中学募集に関心が集まる一方、併設型中高一貫校として、高校募集も引き続き実施する
ことについてのPRが十分ではありません。今後は、自校作成入試問題による入学選抜を充実させるととも
に、中学募集と連動して、小中学校や塾等への積極的な広報活動を行う必要があります。
- 120 -
32 武蔵高校
診断ポイント⑦ 学校経営・組織体制 副校長や主幹のリードによる組織体制づくり
■成果 中高一貫6年制学校への移行という命題を抱えながら、副校長や6名の主幹が、学校経営を積極的に
リードし学校改革を行っています。勉強合宿「ウィンターセミナー」や、問題演習「センターマラソン」な
どの新しい取組については主幹が中心となり、その趣旨や意義を教職員に十分に説明して実現させています。
■課題と改善の方策 学校経営は全体としてスムーズに進行していますが、一部に、新しい取組への理解が進
みにくい面もあります。企画調整会議の活性化や主幹同士の連携をさらに強化していくとともに、各分掌組
織において、教員の前向きなアイデアを積極的に取り入れて、経営参画意識の向上につなげていく努力が必
要です。
Ⅲ 自律的改革の内容(概要)
■ 18年度の目標とその成果 (概要)
<重点目標(抜粋)>
① 国公立大学合格者数
100名以上
早稲田大学、慶応義塾大学合格者数 120名以上
60%以上
② 現役進学率
<達成状況(18年度末)>
68名
88名
66.5%
③ 大学入試センター試験・5教科6科 140名以上
目以上での受験者
(達成)
④ 放課後、長期休業日の補習
109名
⑤ 土曜授業による授業時数の確保
(達成)
英国数理社で23講座実施。生徒参加者
約600名。
隔週土曜日授業を18回実施。
遅刻ゼロ
ごみゼロ
(達成)
⑦ ショートホームルームの時間の有
効活用
⑧ 生徒のボランティア活動の推進
(達成)
年間50回以上の遅刻者約80名、ごみ
の分別徹底
19年度より、朝と放課後のショートホ
ームルームの全校実施。
⑨ 自校作成問題による入学選抜を通 (達成)
して学習意欲旺盛な生徒の確保
⑩ 小学生、中学生、保護者対象の学校 (達成)
説明会の複数回実施
⑪ 精神科医との連携活動、学校保健委 (達成)
員会を中心とした健康教育の推進
自校作成問題による入学者選抜実施
⑥ けじめある生活指導
単位認定者(年間35時間以上)55名
高校募集の学校説明会を年間3回実施、
参加者1311名。
精神科医、スクールカウンセラー、保健
所との連携事業を実施。
Ⅳ 学校経営診断を受けての校長意見
平成20年4月から中学生を迎え、社会貢献のできる知的なリーダー(心優しき挑戦者)の育成を更に推進して
いくことが求められている。そのためには教育課程を含めた学校経営の大きな改革が必要である。
今回の学校経営診断はその改革への強力な支援になったと受け止めている。武蔵高校の学校経営においては、朝
と放課後のショートホームルームの導入、組織的で系統的な補習の実施、勉強合宿の実施など新しい取り組みが始
まっている。これらの改革に教職員が積極的に取り組み進学実績でも具体的な成果を出すことが求められている。
教職員の積極的な姿勢を育成しつつ学校改革を今後も推進していくことが必要と考えている。
(武蔵高等学校長
- 121 -
井田 良克)
33 清瀬高校
学校経営診断書 ―清瀬高校―
○
○
○
○
所在地
創 立
診断対象
生徒数
清瀬市松山3−1−56
昭和47年10月26日
全日制課程(普通科)
760名(男393名〔51.7%〕、女367名〔48.3%〕)
Ⅰ 経営診断結果(総括)
■現状 「地域に根ざした名門校」を目指し、基礎学力の定着を図る学習指導、生徒の進路実現へ向けた進路
指導、部活動・ボランティア活動、地域との交流と広報活動の充実などに取り組んでいます。
あいさつ
■成果 生徒のさわやかな挨拶をはじめ、学校全体が、はつらつとして、清新な校風を確立しています。大学
講義体験、高大連携、保護者による「職業講話」等キャリア教育の充実により、進路実績が伸びています。
平成18年度は84.2%と高い進路決定率となりました。薬学部をはじめ看護医療系の大学や専門学校
への進学者が多いのも特徴となっています。また、部活動が盛んであり、加入率は89%を超え、各種大会
で活躍するとともに、地域清掃や中学校大会の運営等の地域との交流活動にも取り組んでいます。また、校
内に咲くあじさいの見頃に学校を全面公開する「あじさいウィーク」は地元の人の楽しみとする行事になっ
ています。
■課題と改善の方策 「落ち着いた学校」としての評価に安住することなく、今後は、生徒にもう一歩チャレ
ンジ精神をもたせ、進路実現への夢を叶える指導が必要です。そのため、18年度から様々な学校改善への
取組を実施していますが、教育活動の更なる充実のためには、教員個人の指導に頼るのではなく、学年や分
掌で目標を共有し、組織的に評価し、改善に取り組むことが必要です。
Ⅱ 経営診断結果
診断ポイント① 学習指導 基礎学力の定着を図る学習指導の工夫
■成果 1年生では7時間授業を週に1回行い、2・3年生では古典、古典講読、ライティング、英語Ⅱで習
熟の程度に応じた授業を、体育、芸術、日本史では少人数編成授業を展開し、効果を上げています。
また、家庭学習の定着を図るため、国語、数学、英語では定期的な小テストなどを実施しています。学校
評価では、
「まったく勉強をしない」と答えた生徒は41%(16年度)→39%(17年度)→37%(1
8年度)と減少傾向にあり、学習習慣の定着への兆しが見え始めています。英語科では全学年の希望者に対
して、
「モーニングレッスン」を週3回、3年生を対象に「土曜英語の会」を実施しました。英語検定にも延
べ200名が受検し、準1級1名、2級18名、準2級42名の合格者を出しました。
さらに、読書活動に積極的に取り組んでいます。校長をはじめ全教員が図書を推薦し、その中から生徒全
員が本を選び読書感想文を書きます。優秀作品は冊子にし、最優秀作品は放送にて朗読をしています。
■課題と改善の方策 様々な基礎学力の定着を図る取組が、教員個人の力によるところが大きいことが課題で
す。これらの取組が継続して行われ、経年的に検証されていくためには、教務部等が中心となり、教科、学
年との連携を強め、より組織的に進めていく必要があります。
診断ポイント② 進路指導 生徒の進路実現へ向けた進路指導の充実
■成果 1年生全員を対象に、文系は武蔵大学、理系は明治薬科大学を訪問しての講義体験や、1,2年生対
象に約20大学が参加した出前授業が実施されています。さらに、東京学芸大学、日本社会事業大学との高
大連携により、4名の生徒が単位を認定されました。また、各学年で、国公立、看護医療、就職等の様々な
ガイダンスや保護者による「弁護士として働く」
、
「病院で働くこと」等の「職業講話」を実施しています。
- 122 -
33 清瀬高校
18年度進路決定率は84%と高いものになりました。特に、四年制大学現役合格者数は延べ406名と
なり、目標の400名を上回りました。
■課題と改善の方策 「入りたい大学」というよりは、
「入れる大学」を意識する生徒が増えてきています。
希望する大学に挑戦するために、土日に学校で学習する生徒がいる一方で、早い段階で希望する大学をあき
らめてしまう傾向があります。
「入りたい大学」への進路実現という進路先の質的向上を図るために3年間
を見通した、早期の段階から目標を持たせる計画的、組織的な進路指導の充実を図ることが必要です。
診断ポイント③ 生活指導 基本的な生活習慣の確立に向けた指導
あいさつ
あいさつ
■成果 基本である挨拶の指導が徹底しており、いつ学校訪問しても、生徒はさわやかに挨拶をかえしてくれ
ます。基本的生活習慣の定着のため、交代で教員3名と生活委員の生徒で朝の校門指導をしています。遅刻
指導、駐輪指導を行い、生徒が校旗を揚げています。また、イメージアップを図るために、19年度入学生
から新しい制服に変更しました。
■課題と改善の方策 遅刻者が微増しているという課題があります。また、登下校のマナーについて、地域の
人から道幅一杯に広がって歩いているなどと指摘を受けたことがありました。個々の生徒は落ち着いていま
すが、集団化するとマナーが行き届かなくなるところが見受けられました。集団化しても周りへ配慮ができ
る「清高生」となるように、担任団と生活指導部が連携して、登下校指導などを続けていく必要があります。
診断ポイント④ 特別活動・部活動 生徒の部活動・ボランティア活動への取組
■成果 部活動推進指定校としての取組を継承し、部活動の推進と地域との交流に努めています。その結果、
部活動活加入率は89%と高い割合であり、ソフトテニス部は関東大会、全国大会にも出場しています。ま
た、女子バスケット、女子バレー、ソフトテニス部は地域の中学校大会等を清瀬高校で主催し、延べ48校
の参加がありました。また、学校行事、ボランティア活動も盛んで、清高祭(文化祭)には2119名の都
民等が、体育祭には479名の保護者が来校しました。また、ボランティア活動では学童ボランティア、身
障者施設訪問、地域清掃活動、東京マラソンなどに延べ約500名の生徒が参加しています。
■課題と改善の方策 部活動は盛んですが、学習との両立が難しく、放課後や土曜日の補習・補講、夏季休業
日の講習が組みにくいという課題があります。この課題解決のためには、校内研修会を開き、部活動や補講
などについての、学校全体の考え方や指導方針について共通認識を図る必要があります。また、ボランティ
ア活動を統括的に集約し、改善や評価をすることが必要です。
診断ポイント⑤ 健康づくり 健康教育や環境整備への取組
■成果 厚生部が中心となり、毎日、生徒への清掃指導・ごみの分別指導を徹底するとともに、
「特別清掃の
日」
「地域清掃の日」を設けて、環境の整備に努めています。また、PTAが月2回、
「お花の日」として、
花を寄付し、各クラスに飾り、美しい校舎の維持に協力しています。
心の問題を抱える生徒に対応するために18年度からスクールカウンセラーを導入しました。延べ数で、
生徒からは45回、保護者から3回、教員から59回の相談がありました。さらに、教員対象に事例検討会
を5回、精神科医による講話を1回実施しました。精神科医やスクールカウンセラーから専門的な助言を受
けることにより、いろいろな角度から生徒を見守る体制が取れるようになりました。
■課題と改善の方策 学校経営計画に基づいた学校保健計画をより具体的なものにすることが求められ
ます。また、スクールカウンセラーを有効に活用し、生徒からの多面的な相談に対応しサポートをする
ためには、厚生部が中心となり、学校相談体制及び研修会等を一層充実させ、教員間の連携を緊密にし
ていく必要があります。
診断ポイント⑥ 募集・広報活動 広報活動の工夫と地域交流の取組
■成果 「あじさいウィーク」は、校内に咲き誇るあじさいの見頃の6月に学校庭園を地域に開放し、授業等
そう
も公開する取組です。筝曲部による演奏などがあり、18年度は1240人の都民が訪れました。
- 123 -
33 清瀬高校
広報活動では公式ホームページが充実しており、定期的に更新をしています。年間で約71000件もの
アクセスがあり、1日平均195件となりました。また、募集活動では、中学校訪問は100校行い、中で
も区部への中学校訪問に力を入れた結果、
入学生に占める旧他学区からの生徒が増加し、
1年生全体の27%
になり、これは前年度の11%から大幅に増加しました。また、一次募集の女子の倍率が前年度の1.43
倍から1.59倍へと大幅にアップしました。
■課題と改善の方策 一次の総合応募倍率は1.43倍となり、ほぼ目標に達しました。しかし男子の倍率が
1.29倍とやや振るわない傾向にあります。今後、旧他学区からの生徒は更に増加すると考えられますの
で、旧他学区への広報活動を更に強化する必要があります。今後は、入学してきた生徒の出身中学校や志望
動機等を分析し、ポイントを絞って中学校訪問や塾訪問に取り組む必要があります。
診断ポイント⑦ 学校経営・組織体制 教育内容の改善を図る組織的な取組
■成果 校長がリーダーシップを発揮し、教育内容の改善を図るための改善策を提案する「一人一提案」制度
の導入や重点支援校への応募などに積極的に取り組みました。この応募をきっかけに主幹を中心に教職員全
体が意欲的になり、学校の将来像を考えて長期的展望に立った清瀬高校のあるべき姿を検討する清高プロジ
ェクト委員会の立ち上げに結びつきました。
■課題と改善の方策 5名の主幹は意欲的で、校内の協力体制は整ってきています。今後更に教育内容を充実
させるためには、清高プロジェクト委員会を中心に、
「学習と部活動の両立」
「進学先の充実」等の課題につ
いて外部評価を参考に、校内で現状分析を行ない、具体的な改善策をたて、実行していくことが大切です。
Ⅲ 自律的改革の内容(概要)
■18年度の目標とその成果(概要)
① 授業時間の確保
<重点目標(抜粋)>
(実施)
②
③
④
⑤
英検受検者数の拡大
図書の貸し出し数
大学合格者数
高大連携、出前講義
受検者数320名/799名
3,500冊
四年制大学(現役)400名
(実施)
⑥
⑦
⑧
⑨
⑩
部活動加入率
ボランティア活動
中学校大会の開催
中学校訪問校数
一次募集応募倍率
90%
参加者数(延べ数)600名
延べ40校
110校
1.45倍
<達成状況(18年度末)>
・1年生は週に1日、7時授業を実施
・考査後も、授業時間の確保
200名/798名
3,300冊
406名
高大連携は東京学芸大学、日本社会事業大学と
連携。出前授業は約20大学が参加
89%
500名
延べ48校
100校
1.43倍
Ⅳ 学校経営診断を受けての校長意見
本校は落ち着いた進学校として、さわやかな挨拶、はつらつとした行動のできる生徒と、熱心に指導する教職員
に恵まれている。しかし、一部に現状維持に甘んじているかの実態について、経営診断で指摘を受け、校長として
客観的に現状を再認識することができた。
今後の課題としては、組織的・全体的な教育の面がやや立ち遅れており、進学実績の質の向上や真の意味での文
武両道の確立が必要である。これらの課題解決に向けて、具体的な方策や将来構想を提示するとともに、平成20
年度の重点支援校に応募して、清瀬高校の進むべき方向性を教職員や生徒に明らかにし、学校のより良い改善に努
力していく。
(清瀬高等学校長 藤井 文雄)
- 124 -
34 福生高校
学校経営診断書 −福生高校―
○
○
○
○
所在地
創 立
診断対象
生徒数
福生市北田園2−11−3
昭和45年12月18日
全日制課程(普通科)
713名(男389名〔54.6%〕、女324名〔45.4%〕)
Ⅰ 経営診断結果(総括)
■現状 緑が豊かな環境にあって、学習と部活動を両立させて、生徒の多様な能力の開花を図り、大学進学等
の進路希望の実現を目指しています。規範意識を高めるための生活指導に力を入れるとともに、学習指導の
一層の充実に取り組んでいます。
あいさつ
■成果 頭髪、身だしなみ、挨拶、集会で話を聴く態度の改善など、生活指導の成果が徐々に生徒の態度に現
れています。また、地域の様々な施設でのボランティア活動や小中学校との交流など、地域貢献に力を注い
できました。学習指導においては、毎時間小テストを実施し、そのための事前学習を促して家庭学習の習慣
化に努めています。
■課題と改善の方策 学習指導や生活指導等において、教員個々の工夫や努力を、教科や学年、分掌などの組
織目標を設定して取り組む段階にまで高め、その改善・充実に向けた方策を組織的にきめ細かく展開してい
くことが必要です。
また、学校経営において、主幹・主任層の経営参画意識を高めて、企画調整会議や将来計画委員会を活性
化し、主幹・主任層からのミドルアップに加えて、教職員からのボトムアップも引き出せる体制づくりが望
まれます。
Ⅱ 経営診断結果
診断ポイント① 学習指導
興味・関心を引き出し、基礎学力の向上を図る取組
■成果 多様な選択科目、学校行事と関連づけた授業、実験・実習を多く取り入れた授業等を展開しています。
また、英語、国語で毎時間の小テストを実施したり、各教科で夏期講習を実施したりするなど、生徒の家庭
学習の習慣化や基礎学力の定着・向上を図っています。特に、毎時間の小テストの実施は、他校にとっても
参考となる取組です。
■課題と改善の方策 授業満足度が38%と低い状況であり、生徒の学ぶ意欲を引き出すことが課題となって
います。授業改善計画の作成・実施、教員間の授業参観による授業改善の体制づくり、英語検定、漢字検定、
パソコン検定など資格取得を通じた学ぶ意欲の向上などについて、企画調整会議で十分検討して、学校全体
で実施していく必要があります。また、毎時間の小テストや夏期講習に加えて、週末課題の実施や補習・補
講の充実を各教科が組織目標として位置付けて実施することも重要です。
診断ポイント② 進路指導
望ましい職業観を培い、個に応じた進路指導の取組
■成果 進路指導では、進路ガイダンス、適性検査、個人面談、実力テスト、上級学校訪問、模擬面接などに
取り組んでいます。特に、看護医療系進路希望者には、年間7回の模擬試験を実施し、ていねいな指導で成
果を上げています。進路状況は、四年制大学進学者が約25%、短期大学約12%、専門学校約33%、就
職約10%であり、過去5年間大きな変動はありません。
■課題と改善の方策 学校評価によると、
「適性や希望を生かした進路指導」に肯定的な生徒は43%にとどま
- 125 -
34 福生高校
っています。進路指導部がリーダーシップを発揮し、3年間を見越した系統的な全体計画の下に、組織的な
取組を徹底して行う体制に切り替えていくことが課題となっています。
今後は、18年度に設置した将来計画委員会の活性化を図り、進路指導部と連携し、生徒の望ましい職業
観を育成する方法や個に応じた進路指導、その実現に向けた学習指導の充実を図ることが望まれます。
診断ポイント③ 生活指導
基本的生活習慣の定着と社会規範意識の向上を図る取組
あいさつ
■成果 頭髪、身だしなみ、挨拶の励行、授業規律や話を聴く態度などについて、地道な指導を行っており、
改善されてきています。また、環境教育の一環として、ごみの分別などの校内美化にも力を入れています。
■課題と改善の方策 学校評価では、
「遅刻、服装、頭髪等の指導」に関して、69%の保護者が「厳しいと思
わない」と回答しています。
今後は、生徒指導部が中心となって、統一的な指導内容・方法の基準を設定し、時々の重点課題を示しな
がら継続的に指導する体制を構築していく必要があります。
診断ポイント④ 特別活動・部活動 ボランティア活動や社会体験を通した地域連携
■成果 高齢者福祉施設、保育園、幼稚園、病院等への訪問交流、小学生とのスポーツ交流部活動や授業で行
い、生徒の社会的視野を広めています。また、部活動加入率が75%前後と盛んで、特にサッカー部は都大
会ベスト8、野球部はベスト32まで進出するなどの成果を上げています。
■課題と改善の方策 ボランティア活動や地域連携による教育効果を検証することが課題となっています。
今後は、地域連携の視点を踏まえて、すべての教育活動を通して生徒の豊かな心と体を育む総合的な計画
を作成・実施し、評価・改善していくことが望まれます。部活動については、
「文化・スポーツ特別推薦」の
効果的な活用や全体のバランスに配慮しながら自律経営推進予算の編成上の工夫に努め、部活動の一層の活
性化を図ることが求められます。
診断ポイント⑤ 健康づくり 心身の健康の維持と増進を図るための取組
■成果 策定した学校保健計画に基づいて、喫煙防止教室、薬物乱用防止教室及び交通安全教室を計画的に実
施しています。
■課題と改善の方策 学校評価では、
「いじめ問題への学校の対応」について肯定的な意見は、生徒は20%、
保護者は21%にとどまっており、心のケアの充実が課題となっています。
今後は、教育相談センター等と連携し、精神科医や臨床心理士を講師とした事例研究等を通して、教員の
カウンセリング能力を向上させ、教育相談体制を充実させていくことが必要です。
診断ポイント⑥ 募集・広報活動 中学校との連携を深める募集・広報活動
■成果 「小中高夢のかけ橋推進事業」における野球部員と小学生との交流、地域シニアチームや中学校との
連携など、部活動を活用した募集・広報活動を行っています。また、
「文化・スポーツ特別推薦」の導入に
より、硬式野球部及び吹奏楽部において、福生高校を志望する中学生が増えてきています。
■課題と改善の方策 18、19年度とも、入学者選抜(一次・女子)で定員割れが発生しており、募集・広
報活動の強化が課題となっています。
今後は、企画調整会議や将来計画委員会を中心に、他校や私立学校の学校説明会などから効果的な募集・
広報の手法を学び、教職員全員体制による募集・広報活動を展開することが望まれます。
診断ポイント⑦ 学校経営・組織体制 管理運営規程に基づく学校経営改善の取組
■成果 管理運営規程に基づいて、企画調整会議、職員会議、委員会などの運営について適正化に着手し、一
定の前進を収めました。しかし、18年度までは、企画調整会議の活性化が十分に進まず、報告・連絡にと
- 126 -
34 福生高校
どまっていました。19年度に入って、主幹・主任層の学校経営への参画意識が高まり、建設的な意見が多
く出るようになるなど、企画調整会議が有効に機能し始める兆しが見えています。また、職員会議の司会に
企画調整会議のメンバーを選任し、記録も同じメンバーで行うように改善しており、学校改革への意欲も高
まりつつあります。
■課題と改善の方策 今後は、管理運営規程に基づいた更なる学校改革の推進について、全教職員に徹底して
定着を図ることが大事です。企画調整会議をさらに活性化し、校長・副校長の指導のもと、主幹・主任層か
らのミドルアップや教職員からのボトムアップを引き出す工夫を図り、そうして取り組んだ成果を共有しな
こた
がら活力ある学校づくりに努め、地域の期待に応えていくことが望まれます。
Ⅲ 自律的改革の内容(概要)
■18年度の目標とその成果(概要)
<重点目標(抜粋)>
<達成状況(18年度末)>
① 基礎学力の向上、
年間授業計画の工夫、丁寧な指導 期末考査後の授業時数増、校内実力テストの実施
授業の工夫・改善
授業満足度50%
授業満足度38%
② 長期休業日中の学習 夏期講習の実施
夏期講習24講座
指導の充実
③ 基本的生活習慣の
遅刻指導、服装・頭髪指導
遅刻は減少傾向となった。
確立
かん
社会規律遵守・交通マナー指導
喫煙防止教室、薬物乱用防止教室、交通安全教室
④ 社会性の涵養
ボランティア活動等社会体験活 を実施。高齢者福祉施設、保育園等の交流で、生
動の充実
徒の社会的視野を広めた。
⑤ 大学希望進路達成率
70%
72%
⑥ 大学進学率
27%
23%
⑦ 進路未決定率
16%
13%
⑧ 部活動参加率
75%
75%
⑨ IT教育普及支援校 IT教育の支援の充実
としての貢献
IT活用研修会開催及び校内研修へ講師を派遣
Ⅳ 学校経営診断を受けての校長意見
19年度、校長、副校長がともに前任者定年退職の後を受けて異動着任し、本校の課題の見極めと解決方法を探
り、行動を開始した時に経営診断を受けた。課題については、早速将来計画委員会、企画調整会議等を通して解決
に向けて、募集対策を手始めに取り組んでいる。今年度から始まった教科「奉仕」では、他校の模範となるような
内容を目指して進めている。
今後は、将来計画委員会での提案を企画調整会議で具体化し、予算化し実行する。そしてさらに将来計画委員会
で検証し、企画調整会議で検討するという体制を作っていく。
- 127 -
(福生高等学校長 苗村 深)
35 国分寺高校
学校経営診断書 −国分寺高校―
○
○
○
○
○
所在地
創 立
診断対象
生徒数
主な指定等
国分寺市新町3−2−5
昭和44年1月1日
全日制課程(単位制普通科〔進学重視型〕)
963名(男511名〔53.1%〕、女452名〔46.8%〕)
進学指導特別推進校
Ⅰ 経営診断結果(総括)
■現状 平成14年度から進学重視型単位制高校に移行して、四年制大学への現役合格を重視し、学力の向上
に向けた学習指導と進学意欲の高揚を図る進路指導とに力を入れています。部活動も活発で、毎年高い成果
を上げ、文武両道を実践しています。
■成果 18年度には東京大学に2名をはじめ国公立大学、難関私立大学に合計101名が合格するなど、大
学進学実績で成果を上げています。特に、入学後の学力の伸長が著しい点について、生徒や保護者、民間教
育機関から高い評価を得ています。学習指導では習熟の程度に応じた授業等できめ細かく指導するとともに、
長期休業日等の弾力的運用を活用した土曜授業の実施により授業時間を拡大し、授業の質の向上にも努めて
います。また、学校全体として家庭学習を充実させる指導に力を入れ、各学年で年3回の実力テストや外部
の模擬テストを実施し、その成績データを生徒の入学時から蓄積して進路指導に役立てています。
■課題と改善の方策 生徒による授業評価を活用し、各教員が自己分析シートによる自己評価を行うとともに、
授業改善プランを作成して授業改善に役立てています。今後は、この授業改善プランを活用して授業力をさ
とら
らに高めるとともに、生徒一人一人の特性を捉え、その学習意欲を一層引き出せる指導力の向上を図ること
が重要です。また、キャリア教育を更に充実させ、生徒の視野を広げるとともに、自らの進路希望の実現に
向けて挑戦する意欲を一層育てていくことが求められます。
Ⅱ 経営診断結果
診断ポイント① 学習指導 自主的な学習習慣の確立と学力の向上を図る取組
■成果 生徒に1年次からセンター試験を意識させるとともに、生徒の学力に応じた課題を設定する工夫を凝
らし、生徒がやればできるという自信をもてるように指導しています。1 年次生から国語・数学・英語など
で習熟の程度に応じた授業や少人数指導を行い、生徒の特性に応じたきめ細かい学習指導を進めています。
また、長期休業日等の弾力的運用を活用した土曜授業を拡大するなどして、年間の授業時間を少しでも増や
す工夫を重ねています。長期休業日中の補習・補講も充実しており、18年度は全学年で92講座を実施し
ました。さらに、サテライト講座を実施するとともに、大学生や大学院生によるサポートティーチャーを招
き、生徒が自由に質問し勉強できる体制を整えています。3年次生対象に、センター試験前15日間の下校
時間を30分延長してセンター試験対策指導も実施しています。こうした学習指導により、学校の授業や補
習をしっかり受けていれば希望する大学に合格できるという信頼が、生徒や保護者から寄せられています。
■課題と改善の方策 予習課題の指示や学習ノートの提出など自宅学習の充実に取り組み、1時間以上学習す
る1年次生の割合が前年比で9%増えました。しかし、まだ家庭学習時間が少ない生徒もおり、家庭学習時
間の確保については更に重点化して取り組むことが重要です。長期休業日中の補習については、生徒の進路
希望に合致した講習となるように更に充実させ、3年次生中心だったサテライト講座の利用を1、2年次生
にも拡大し、また利用者数も増やすことで、学力の向上の成果が更に期待できます。
- 128 -
35 国分寺高校
診断ポイント② 進路指導 大学への現役合格を目指す進路指導の取組
■成果 センター試験を視野に入れた教科・科目の目標設定を行うとともに、各学年で年3回実力テストを実施
し、学力推移のデータを蓄積しています。実力テストの出題範囲は、各教科の年間指導計画の中にも明記して、
進度と水準の維持及び生徒の学力把握に役立てています。また、1年次の職業調べや大学訪問遠足、2年次の
オープンキャンパス等を通して早くから大学進学への意識づけを行っています。さらに、現役合格にこだわる
進路指導により生徒の学習意欲を高めています。これらの指導の結果、センター試験において、7教科型理系
選択者の平均点及び国語、数学、英語をはじめとした教科の平均点も、都立高校の中で高い位置を占め、東京
大学理科Ⅰ類へ2名が現役合格を果たしました。
■課題と改善の方策 卒業生と在校生の成績データを比較分析して、成績データや進路情報を的確に活用する
取組と、生徒自身の進路開拓へのモチベーションを更に高める取組とを表裏一体で進めることが必要です。
そのためには、生徒自身の社会の一員としての自覚を高めるとともに、生徒の職業意識を一層向上させ、自
らの特性を理解し、自己を磨き高めようとする態度を育むキャリア教育を、1年次から2、3年次へと系統
的かつ組織的に拡充させていくことが大切です。
診断ポイント③ 生活指導 基本的生活習慣の確立と規範意識の向上を図る取組
■成果 校内の生活時間の遵守を徹底し、特に登校時や午後の授業開始時における遅刻の防止に努めています。
また、生活指導部を中心として安全登校指導、駐輪指導、自転車下校時の点灯指導を行い、ルールやマナー
を遵守する心と態度を養っています。
■課題と改善の方策 一部には遅刻者も見られますが、授業の開始時刻など校内の生活時間はよく守られてい
ます。今後は、生活指導に対する教員の共通理解を更に深め、挨拶や清掃、身だしなみの徹底などについて
生活指導部を中心とした組織的な指導を行い、生徒の社会性の一層の向上を図る必要があります。
診断ポイント④ 特別活動・部活動 特別活動・部活動の取組と学習活動を両立させる工夫
■成果 前期の終わりに文化祭、体育祭、合唱祭の行事を集中させ、後期からは勉強に集中できるように年間
行事計画の工夫を行っています。また、部活動顧問及び部・同好会活動連絡委員が、生徒に部活動終了後の
下校を促して、生徒の家庭学習時間の確保に努めています。さらに、週休日の午前中は補習に参加させ、午
後から部活動を行うなど、生徒が部活動を行いながら補習に無理なく参加できるよう工夫を行っています。
■課題と改善の方策 今後は、部活動後の補習体制の充実を図るとともに、部活動ごとに集計した家庭学習時
い
間を示したグラフを作成して激励したり、時には注意を促したりするなど、部活動の指導を活かした取組も
必要です。
診断ポイント⑤ 健康づくり 心身の健康づくりを図るための取組
■成果 生徒自身が心身の健康管理を自ら行えるよう、年3回の健康維持に関する講習会・講演会を実施しま
した。また、アドバイザリースタッフを招き、教育相談活動にも取り組んでいます。
■課題と改善の方策 今後は生徒のメンタルケアを充実させていくことが重要です。そのためには、担任や養
護教諭を中心として部活動顧問や教科担当者などが有機的に連携を図り、必要に応じて専門家の協力を得て、
継続的に生徒理解に努める組織体制を更に充実することが大切です。
診断ポイント⑥ 募集・広報活動 組織的な生徒募集・広報活動
■成果 中学校や私塾の説明会に積極的に参加して生徒募集に力を入れています。特に学校説明会においては、
自校作成問題の解説やその時々の勉強の重点などを毎回の説明に盛り込み、中学生が回数を重ねて学校説明
会へ参加し、国分寺高校への理解がより深まるように工夫を行っています。
■課題と改善の方策 「進学指導特別推進校」の指定を受けたことや、入学後の学力の伸びに関して高い評価
を得ていることなどの実績を伝えるため、様々な媒体を活用して広報活動の幅を広げていくことが大切です。
- 129 -
35 国分寺高校
診断ポイント⑦ 学校経営・組織体制 教職員のモチベーションを高める学校経営の取組
■成果 校長は進学実績に関する前向きなアイデアや提言を積極的に取り入れて実行に移すことにより、教職
員のモチベーションを高めています。教職員のボトムアップによる取組は実際に進学実績の向上に成果をあ
げ、生徒や保護者からも評価を得ています。
■課題と改善の方策 進学指導に対する意識のずれはかなり少なくなっています。各教員は高い授業力をもっ
ており、その力には更に伸びる素地があることを感じさせます。今後は、学校経営計画の重点目標を踏まえ、
教科主任を核に各教科の組織目標の明確化や指導方法の工夫、到達度の確認の徹底と指導法へのフィードバ
ック等、カリキュラム・マネジメントの徹底を図っていくことが必要です。
Ⅲ 自律的改革の内容(概要)
■18年度の目標とその成果(概要)
<重点目標(抜粋)>
① センター試験国公立型受験者数
120名以上
② 国公立大学及び早稲田大学、
慶応義 120名以上
塾大学、上智大学等現役合格者数
③ 学習指導の充実
予習・復習の奨励や宿題の指示、小
テストの実施
部活動と学習活動を両立させるた
めに下校時間の遵守
長期休業日中の補習・補講を50講
座以上実施
各学年で年3回の実力テストを実
施
<達成状況(18年度末)>
91名
101名
(他、東京大学2名現役合格)
自宅学習1時間以上の1年次生が
50.3%から59.3%に増加
顧問、生徒会が協力して下校時間の
遵守
52講座から92講座に増加
年間授業計画へ位置付けて実施
④ 進路指導の充実
生徒の学力推移データの集積、進学 17年度卒業(35回)生分の個人
指導への活用
データベース化が完了
⑤ 安全・安心な学校生活の確保
自転車交通事故発生件数ゼロ
⑥ 生徒募集活動の充実
学校説明会や学校見学会等の来訪 2847名
者数2000名以上
1.68倍
実質受検倍率1.5倍
⑦ 土曜授業の実施、奉仕活動の実施
(長期休業日等の弾力的運用)
土曜日に年25回の授業を実施
奉仕活動の活性化
14件から11件へ減少
年25回の土曜授業
全ての部活動が地域清掃等を実施
Ⅳ 学校経営診断を受けての校長意見
都立高校改革推進計画ならびに「あり方検」報告を柱に、都立高校はこの10年間様変わった。本校も、学校改
編と教職員の熱意により着実に成果をあげた。診断書では、このことを適切に評価いただいたが、御指摘のあった
点については改善を図っていきたい。今後も進むであろう生徒の多様化に対して、一層の工夫が求められている。
特に進学校での授業は、どの教員が担当しても、その指導方法が個性的であるとともに、到達目標は一つである。
一人一人の教員が感じている生徒への「思い」を、組織立てて実現する筋道をつくりたい。
“都立高校に風を起こ
す国分寺”をこれからも目指す覚悟である。
(国分寺高等学校長 勝部 純明)
- 130 -
36 小平南高校
学校経営診断書 −小平南高校―
○
○
○
○
所在地
創 立
診断対象
生徒数
小平市上水本町6−21−1
昭和57年12月22日
全日制課程(普通科)
765名(男388名〔50.7%〕、女377名〔49.3%〕)
Ⅰ 経営診断結果(総括)
■現状 学力向上を図る学習活動と生徒の進路実現を図る進路指導との充実に努め、中堅の進学校として進路
実績の向上を目指しています。教育課程の再編成を行い、シラバスの作成や補習・補講の充実に努め、学習
に対する意識付けを深めさせ、学習に積極的に取り組む生徒の育成を図っています。
■成果 丁寧な生活指導によって、落ち着いた校風が形成されています。この5年間は、進路面での実績が伸
びてきており、現役進学実績等は70%から87%に、四年制大学進学率は46%から62%へと伸びてい
ます。平成19年度からは、3学年で「リーディング」
「ライティング」を全員履修として英語力の向上を
図るとともに、1学年では、週32時間の授業を行い、火曜日と木曜日の週2日、7時間授業を設定するな
ど、大学進学をめざす体制づくりを一層進めています。
■課題と改善の方策 小平南高校は、中堅上位の進学校をめざしています。更に進学実績を向上させるために
は、進学に対応した学習指導の充実を図るとともに、現在のシラバスを更に改善し、生徒が自ら計画的に学
習できるようにすることも必要です。さらに、職業意識を高めるキャリア教育の充実を図り、生徒自ら目的
意識をもって進路を選択することができる能力や態度を育成することが求められます。
Ⅱ 経営診断結果
診断ポイント① 学習指導 「大学進学を目標とした授業改善の取組」
■成果 授業中は静かで落ち着いた雰囲気があり、しっかりとした授業規律の中、積極的に授業に参加しよう
とする生徒の学習意欲が感じられます。進学という目標設定を明確にした学習指導が行われており、授業中
の学習と家庭学習との相乗効果を意識して、英語、数学、国語などを中心に課題や宿題、小テストの実施な
どに取り組んでいます。国公立大学4名、上位私立大学39名をはじめ、卒業生の62%にあたる169名
が四年制大学に現役で合格しました。また、資格取得の指導も意欲的に行われており、英語検定2級7名、
準2級16名、漢字検定2級2名、準2級21名の合格者が出ています。
■課題と改善の方策 宿題や課題を課すだけでなく、授業中に課題や宿題の解き方の指導を実施したり、提出
物は必ず添削し、コメントを記入して返却するなどきめ細かい取組が大切です。小テストについても、生徒
のやる気を失わせないように基礎的な問題から思考力を問う応用的な問題まで出題するなど工夫を重ねて
いくことが必要です。また、大学進学に役立つ資格取得指導を積極的に取り入れ、学習計画を学年ごとに示
すなど、大学進学を見据えた学習指導を各教科の組織目標に位置づけて取り組むことも重要です。
診断ポイント② 進路指導 「中堅上位の進学校を目指した進路指導の取組」
■成果 入学当初から進路説明会や進路講演会を開催し、早期から進路に対する目的意識を高めています。また、
校内実力テストや模擬試験を全学年で年3回実施しています。補習・補講については、学期中に随時実施する
のに加えて、夏季休業日中を中心に38講座を開講しています。その結果、18年度の進路決定率は87%と
なり、四年制大学169名、短期大学14名と過去最高の現役合格者を出すことができました。
■課題と改善の方策 進路指導部が今まで以上に各学年をリードし、進路指導部と各学年が一体となって3年間
を見通した進路指導計画を策定し進めていくことが大切です。入試情報や勉強方法を紹介した「小南V」の内
- 131 -
36 小平南高校
容及び発行回数を更に充実させるとともに、各学年で実施されている実力テストの結果を生徒ごとに経年グラ
フの表に示すなどの工夫を凝らすことも必要です。また、生徒・保護者の多様な要望に対応するために、これ
まではあまり展開されていなかった公務員試験の指導なども求められます。
診断ポイント③ 生活指導 「基本的生活習慣の定着と規範意識の向上を図る取組」
■成果 学校説明会等において、生活指導に力を入れている学校であることを明確に示して誇れるほど、落ち
着いた校風となっています。遅刻指導では生徒への指導とともに、保護者にも協力を促しています。頭髪・
服装指導については定期考査ごとに全教員によって行われています。また、毎日行われている駐輪指導や
あいさつ
挨拶の励行も、全校体制で臨んでいます。その結果、規範意識が全体として高まり、生活指導上の問題も少
なく、授業規律の確立にも良い影響を与えています。
■課題と改善の方策 一部の生徒の遅刻や自転車のマナー違反などに対しては、保護者への協力要請を重ね、
遅刻防止強化月間を設けるなど、学校全体として遅刻は許さないという姿勢を示し続けることが大切です。
診断ポイント④ 特別活動・部活動 「地域に根ざした活動と小中学校との連携」
■成果 「地域プラットホーム事業」の指定校として、地元小学校の学童保育や地元中学校のバスケットボー
ル部を集めた交流試合や技術指導を行い、地域の小学生や中学生との交流を深めました。また、部活動に加
入している生徒による地域清掃や公開講座「親子でクッキング」を実施することにより、地域に信頼される
高校として着実に根を下ろしています。部活動加入率は80%以上で、18年度は吹奏楽部が東日本大会に
都代表で出場し優秀賞を獲得、男子バスケットボール部東京都ベスト16、19年度は硬式野球部が夏季大
会で西東京大会ベスト8、吹奏楽部はBクラス金賞、Cクラス銀賞、男子バスケットボール部が都立高校大
会準優勝など、高い実績を上げています。
■課題と改善の方策 地域活動への取組が生徒会や部活動生徒に限定されることなく、ロングホームルームや
奉仕の時間を活用するなど、全校生徒が関われる内容に発展させていくことが必要です。
診断ポイント⑤ 健康づくり 「心身の健康づくりを推進する取組」
■成果 学校地域保健相談事業の推進校となり、精神科医による校内研修を3回実施しました。加えて、セー
フティ教室、薬物乱用防止教室、保健講話を実施し、生命の尊さや心身の健康を図る教育を推進しました。
また、毎年実施している健脚大会は、連帯感や成就感を生み出すとともに心身の健康づくりを図る貴重な機
会となっています。
■課題と改善の方策 個々の生徒の悩みや不安に対してきめ細かく対応できる体制を築くために、学校地域保
健相談事業を活用し、専門医等の講演会を実施して保護者や地域住民にも参加を促すなど、学校と保護者と
地域が緊密に連携した取組に発展させることが重要です。
診断ポイント⑥ 募集・広報活動 「入試応募倍率の向上を図る募集対策・広報活動」
■成果 入学者選抜に特別選考を取り入れ、全体の20%を5教科の合計点で選考しました。ここ3年間、約
3倍の推薦倍率、約1.4倍の学力検査の応募倍率を確保しています。また、募集活動にも力を入れ、中学
校訪問も17年度から約20校増加し、計120校の中学校を訪問しました。小平南高校を訪問した中学生
や保護者対象に、学校案内とは別に進路実績など学校の情報をまとめた冊子「小平南ってどんなところ?!」
を配布し、小平南高校への理解促進に努めています。
■課題と改善の方策 中学校訪問については、訪問マニュアルを作成するなど、PRするポイントが訪問者に
よって変わらないようにするとともに、プロジェクトチームを設置するなど、組織的な訪問計画を立て、全
教員体制で実施していくことが必要です。
- 132 -
36 小平南高校
診断ポイント⑦ 学校経営・組織体制 「全教職員による組織的な取組を導く学校経営」
■成果 校長のリーダーシップのもと、教育課程や入試制度の改善、生徒による授業評価に基づく校内研修会
の実施などに取り組んでいます。授業評価の結果をグラフ化し、生徒の自由意見をすべて掲載した資料を作成
し、全教員に配布しています。その結果、授業改善に向けて意欲的な取組が行われるようになってきました。
■課題と改善の方策 着実に進行し始めた授業改善を全教職員に浸透させていくために、管理職がリーダーシ
ップを発揮して、授業改善の趣旨や目的を明確に教職員に示し、共通理解を得るように積極的に働きかけてい
けん
くことが大切です。企画調整会議が牽引車となり、各分掌、各学年、各教科等において、主幹・主任層がリー
ダーシップを発揮できるように校内体制を整備することが必要です。
Ⅲ 自律的改革の内容(概要)
■18年度の目標とその成果(概要)
① 家庭学習時間の確保
② 授業満足度の向上
③ 夏季・冬季講習の実施
<重点目標(抜粋)>
<達成状況(18年度末)>
1学年1時間30分以上、2学年2 全学年を通して1時間以上が38%
時間以上、3学年3時間以上
肯定回答70%以上
80%
30講座以上
夏季休業日中を中心に38講座
④ 進路指導の充実
全学年で進路説明会を年4回、進路
講演会を年3回
⑤ 校内実力テストの実施 3回実施
⑥ 模擬試験の実施、
センタ 年3回以上実施
ー試験志願者割合の増加
60%以上
⑦ 進路決定率の向上
80%以上
⑧ 大学合格者数の増加
国公立大学5名以上、上位私立大学
40名以上
進路説明会 1学年2回、2学年2回、3学年
3回、進路講演会 1学年1回、2学年2回
3回実施
年3回実施
60%
87%
国公立大学4名、上位私立大学39名
⑨ 部活動の活性化
実質加入率80%以上
81%
⑩ 奉仕活動の充実
延べ200名以上参加
400名
⑪ 入選倍率の向上
1.2倍以上
1.4倍
⑫ 学校説明会の開催
2回以上実施、参加1000名以上 3回実施、1200名以上参加
Ⅳ 学校経営診断を受けての校長意見
客観的な視点での学校の総合的評価がわかり、本校が目指した経営方針が再確認できたことは大変有意義であ
る。中堅上位の進学校を目指した授業改善や進路指導の取組、基本的な生活習慣や社会規範を育成する生活指導な
ど、本校の取組が一定の評価を受けたことで経営の方向性に確信が持てた。
今後は、大学進学を見据えた計画的な学習や教科指導の推進、進路系統別の進路指導や進路情報の発信力の強化、
厳しめな生活指導方針の継続、地域に愛され信頼される学校の育成、部活動の更なる充実、組織的な学校経営と企
画調整会議の経営機能の強化などを課題として経営に取り組む所存である。
- 133 -
(小平南高等学校長 田中 政美)
平成19年度 学校経営診断 実施要綱
資料1
第1 診断の目的
学校経営診断は、東京都教育委員会が、都立学校の教育活動を評価・検証し、その結果得られた
成果及び課題を基に個々の学校に対して適切な支援・指導を行い、魅力的な学校づくりに資するこ
とを目的として行う。
第2 診断対象校
平成19年度の学校経営診断は、重点支援校指定2年目校を含めて、36校を対象として実施す
る。
《 重点支援指定2年目校 》
1 江北高校
2 南葛飾高校
3 工芸高校
4 つばさ総合高校
5 本所高校
6 小松川高校
7 科学技術高校
8 豊多摩高校
9 園芸高校
10 練馬高校
11 小川高校
12 町田工業高校
13 松が谷高校
14 日野高校
15 東村山高校
16 農産高校
17 竹早高校
18 向丘高校
19 六郷工科高校
20 晴海総合高校
21 三鷹高校
22 神代高校
23 雪谷高校
24 目黒高校
25 赤羽商業高校
26 鷺宮高校
27 武蔵丘高校
28 大泉高校
29 光丘高校
30 南多摩高校
31 北多摩高校
32 武蔵高校
33 清瀬高校
34 福生高校
35 国分寺高校
《 その他の対象校 》
36 小平南高校
第3 診断の実施体制
1 学校経営診断は、「都立学校経営支援委員会」が実施する。
2 都立学校経営支援委員会の下に、学校経営診断部会を設置する。
3
学校経営診断部会は、診断の実施方法や診断項目、診断スケジュールの調整及び診断書の作成を
行う。
4
学校経営診断部会に、診断チームを編成する。診断チームは学校経営支援センターの支援チーム
を中心として、所管の学校の診断を行う。
5 学校経営診断の専門性と客観性を担保するため、学校経営診断部会には、外部の有識者を加える。
第4 診断方法
学校経営診断は、各学校から提出される自己評価に関する書面、各学校へのヒアリング及び授業
参観等に基づいて実施する。
1 診断方針及び診断ポイントの決定
学校の自己評価等による「平成18年度学校経営報告書」、「平成18年度学校運営連絡協議会報
告」、「平成19年度学校経営計画」等を基に診断方針及び診断ポイントを決める。重点支援指定
2年目校については、これに「平成18年度重点支援校改革推進状況資料」及び重点支援校に対す
る東京都教育委員会の支援策を加えるものとする。
- 134 -
2 診断方針及び診断ポイントの提示
学校経営診断部会は、ヒアリング前に各学校に対して診断方針及び診断ポイントを提示する。
3 診断項目
(1) 活動の成果
ア 目標の設定は適切であったか。
イ 数値目標は達成されたか。
(2) 学校経営の組織体制
ア 組織が適切に機能しているか。
イ 活動状況や問題点を把握し、改善に結びつけるための組織が機能しているか。
(3) 活動の内容及び方法
ア 活動の内容及び方法は、目標を達成するための方策として適切か。
(4) 設置者による支援
ア 設置者の支援策を活用できたか。
イ 設置者の支援は有効であったか。
4 ヒアリング及び授業参観等
各学校の自己評価に関する書面の内容の確認及び教育活動の実施状況を把握するため、対象校ご
との診断項目に基づいてヒアリング及び授業参観等を行う。
5 学校経営診断案の作成
対象校ごとのヒアリングを基に、学校経営診断書案を作成し、対象校に内示する。
第5 意見の申立て
学校経営診断のプロセスの透明性及び結果の公正性を確保するため、対象校による診断結果に対
する意見申立ての機会を設ける。意見申立てがあった事項については、学校経営診断部会において
再度審議を行う。
第6 学校経営診断書の作成
学校経営診断書は、対象校からの意見の申立て等を踏まえて作成する。診断書には、対象校の意
見申立て内容を記載する。
第7 学校経営診断書の公表
学校経営診断書は、各学校に提示するとともに、東京都教育委員会のホームページ等を通じて広く
都民に公表する。
第8 その他
その他学校経営診断に関する必要な事項は別に定める。
附則
この要綱は平成19年5月31日から施行する。
- 135 -
資料2
都立学校経営支援委員会 委員名簿
平成19年9月1日現在
区 分
委員長
職 務 名
氏
名
教育庁次長
松田 二郎
副委員長
学務部長
新井 清博
委員
総務部長
志賀 敏和
委員
参事(教育政策担当)
石原 清志
委員
参事(学校経営指導・都立高校改革推進担当)
森口
委員
特別支援教育推進担当部長
荒屋 文人
委員
人事部長
松田 芳和
委員
人事企画担当部長
直原
委員
指導部長
岩佐 哲男
委員
生涯学習部長
三田村みどり
委員
教職員研修センター企画部長
高橋 貞美
委員
東部学校経営支援センター所長
関
委員
中部学校経営支援センター所長
後藤 孝教
委員
西部学校経営支援センター所長
高畑 崇久
- 136 -
純
裕
亙
資料3
都立学校経営支援委員会 幹事会名簿
平成19年9月1日現在
職
務
名
氏 名
《幹事長》
参事(学校経営指導・都立高校改革推進担当)
《副幹事長》
学務部高等学校教育課長
森口
純
加藤 裕之
総務部教育政策室副参事(企画担当)
伊藤 彰彦
総務部教育政策室予算担当課長
田中 宏治
総務部副参事(人事担当)
安田 幸致
学務部学校経営指導担当課長
清水
学務部副参事(調整担当)
原島 清秀
学務部義務教育特別支援教育課長
小松 悌厚
人事部人事計画課長
白川
敦
人事部職員課長
江藤
巧
人事部勤労課長
黒田 則明
人事部副参事(教職員任用担当)
小関 浩志
指導部管理課長
森田 英二
参事(指導企画課長事務取扱)
宮川 保之
指導部特別支援学校教育担当副参事
半澤 嘉博
指導部高等学校教育指導課長
守屋 一幸
東部学校経営支援センター経営支援室長
町田 初恵
東部学校経営支援センター支所長兼経営支援室長
内田 和博
中部学校経営支援センター経営支援室長
鈴木 正一
中部学校経営支援センター
参事(支所長兼経営支援室長事務取扱)
中島
西部学校経営支援センター経営支援室長
北内 康夫
西部学校経営支援センター支所長兼経営支援室長
- 137 -
宏
毅
石川 恵一郎
資料4
都立学校経営支援委員会 学校経営診断部会名簿
平成19年9月1日現在
区分
職
氏 名
国立教育政策研究所教育政策・評価研究部長
専 首都大学東京都市教養学部経営学系教授
門
株式会社ナカチ公会計研究所代表取締役
委
員 安田教育研究所副代表
小松
郁夫
桑田 耕太郎
鵜川
正樹
教 育 庁 関 係 者
平 松
享
文教大学教育学部教授
平 沢
茂
学務部学校経営指導担当課長
清 水
宏
学務部副参事(調整担当)
原島
清秀
学務部高等学校教育課学校経営指導担当係長(課長補佐)
山口
則夫
学務部高等学校教育課学校経営指導担当係長
小安
輝光
学務部高等学校教育課課務担当係長
山田
和人
学務部高等学校教育課主任
小林
真琴
東部学校経営支援センター学校経営支援担当副参事
三田
清一
東部学校経営支援センター統括学校経営支援主事
佐藤
克芳
東部学校経営支援センター学校経営支援主事
降幡
高志
東部学校経営支援センター学校経営支援主事
木村
利男
東部学校経営支援センター経営支援担当係長(課長補佐)
清水 丹味子
東部学校経営支援センター学校経営支援担当副参事
及川
良一
東部学校経営支援センター統括学校経営支援主事
牛来
峯聡
東部学校経営支援センター学校経営支援主事
牧 野
東部学校経営支援センター経営支援担当係長(課長補佐)
木村
信一
東部学校経営支援センター支所学校経営支援担当副参事
酒井
千春
東部学校経営支援センター支所統括学校経営支援主事
銅谷
新吾
東部学校経営支援センター支所学校経営支援主事
三保
和彦
東部学校経営支援センター支所学校経営支援主事
岡戸
良雄
東部学校経営支援センター支所経営支援担当係長(課長補佐)
飯盛
博一
東部学校経営支援センター支所学校経営支援担当副参事
塩澤
幸雄
東部学校経営支援センター支所統括学校経営支援主事
浦部
利明
東部学校経営支援センター支所学校経営支援主事
杉浦
文俊
東部学校経営支援センター支所学校経営支援主事
堀川
勝史
東部学校経営支援センター支所経営支援担当係長
恩田
政宏
中部学校経営支援センター学校経営支援担当副参事
小山
利一
中部学校経営支援センター統括学校経営支援主事
高橋
基之
中部学校経営支援センター学校経営支援主事
吉 田
中部学校経営支援センター学校経営支援主事
水江
- 138 -
敦
亘
知子
教 育 庁 関 係 者
中部学校経営支援センター経営支援担当係長
織田
一恵
中部学校経営支援センター学校経営支援担当副参事
閏間
征憲
中部学校経営支援センター統括学校経営支援主事
坂
光司
中部学校経営支援センター学校経営支援主事
梅原
章司
中部学校経営支援センター学校経営支援主事
藤田
泉
中部学校経営支援センター経営支援担当係長(課長補佐)
細井
政彦
中部学校経営支援センター支所学校経営支援担当副参事
三室
秀雄
中部学校経営支援センター支所統括学校経営支援主事
大場
充
中部学校経営支援センター支所学校経営支援主事
林
努
中部学校経営支援センター支所学校経営支援主事
平野
中部学校経営支援センター支所経営支援担当係長
蒲牟田 敬郎
中部学校経営支援センター支所学校経営支援担当副参事
星野 喜代美
中部学校経営支援センター支所統括学校経営支援主事
仙田
直人
中部学校経営支援センター支所学校経営支援主事
小塩
明伸
中部学校経営支援センター支所学校経営支援主事
室岡
誠一
中部学校経営支援センター支所経営支援担当係長(課長補佐)
小山 喜代子
西部学校経営支援センター学校経営支援担当副参事
平沢
西部学校経営支援センター統括学校経営支援主事
明 官
西部学校経営支援センター経営支援担当係長(課長補佐)
山本
和子
西部学校経営支援センター学校経営支援主事
並川
直人
西部学校経営支援センター学校経営支援主事
渡邊
和己
西部学校経営支援センター経営支援担当係長
塚越
美穂
西部学校経営支援センター学校経営支援担当副参事
工藤
邦敏
西部学校経営支援センター統括学校経営支援主事
野 中
西部学校経営支援センター学校経営支援主事
鈴木 留美子
西部学校経営支援センター学校経営支援主事
石崎
規生
西部学校経営支援センター経営支援担当係長(課長補佐)
松崎
久夫
西部学校経営支援センター支所学校経営支援担当副参事
内田 志づ子
西部学校経営支援センター支所統括学校経営支援主事
市川
治郎
西部学校経営支援センター支所学校経営支援主事
幸田
諭昭
西部学校経営支援センター支所学校経営支援主事
三浦
昭広
西部学校経営支援センター支所経営支援担当係長(課長補佐)
野崎
涼代
西部学校経営支援センター支所学校経営支援担当副参事
谷 島
西部学校経営支援センター支所統括学校経営支援主事
奈良本 俊夫
西部学校経営支援センター支所学校経営支援主事
中川
博英
西部学校経営支援センター支所学校経営支援主事
内田
圭一
西部学校経営支援センター支所経営支援担当係長
常國
圭一
- 139 -
篤士
安正
茂
繁
昭
資料5
最近の都における主な教育改革
平成11年度
平成12年度
平成13年度
都立高校改革推
進計画・第二次
実施計画
全日制の学力検査
問題の自校作成
進学指導重点校の
指定
平成14年度
平成15年度
平成16年度
学校経営計画の策定
都立高校改革推進
計画・新たな実施計 →都立学校の自己評
価
画
実業意欲向上プログラ
ム
学校経営診断の実施
自律経営推進予算制
度の導入
都立学校バランスシー
トの全校作成
東京都特別支援教育推
進計画策定
学校 経営
学区の撤廃
都立学校バランス
シートの試行作成
心身障害教育改善検
討委員会報告
重点支援校の指定
都立学校経営支援
委員会の設置
耐震補強第二次実施
計画の策定
平成17年度
平成18年度
平成19年度
東京都学校経営支援セン 東京都学校経営支援セ
ター開設準備室設置
ンターの開設
進学指導特別推進校の
指定
健康づくりフォーラムの 事務室を経営企画室に
実施
変更
新しいタイプの高校に
おける成果検証検討委
員会報告
全都立学校の進学指導の 学校経営診断の対象拡
充実に向けて(進学指導 大
重点校の取組状況報告)
ものづくり教育推進検
討委員会報告
健康づくり推進計画策
定
都立高等専門学校改革
検討委員会報告
都立学校の自己評価指
針の策定
人
人事考課の導入
教頭複数制の導入
教育管理職選考の
改正
教育管理職希望降
任申請制度導入
民間人校長の導入
懲戒処分基準の公
表
教員の公募制人事
の導入
主幹制度
教員人事異動要綱の
改定
教頭を副校長に名称変
更
教育管理職降任制度導
入
教育管理職の異動方針
策定
事
教員採用候補者選
考へ社会人特別選
考枠の設置
校長選考の改正
教員任用制度在り方検
普通昇給の延伸(告知) 討委員会報告
業績評価結果の一部開示 懲戒処分基準の見直し
(非常勤職員含む)
教員の職の在り方検討
業績評価結果の一部開示 委員会報告
に係る苦情相談の実施
教育職員職務実績記録
導入
指導力不足等教員
の対応
→ステップアップ
研修
校長任用審査の改正
国旗国歌実施通
達
学校運営連絡協議
会
国旗国歌適正実施通
達
道徳授業地区公
開講座
通年の授業公開(実
施)
生徒による授業評価
(試行)
基礎基本学力調査
学力向上のための調
査
東京教師養成塾の設置
東京未来塾の設置
指導 内容
新しい教員研修体系
確立
10年経験者研修
キャリアプラン作成
セーフティ教室
授業力向上の検討報告
書
生徒による授業評価全
校実施(高校)
授業力向上実施計画策
定
日本の伝統・文化理解教 東京教師道場の設置
育の推進
日本の伝統文化に関す
都立高校におけるキャリ る教育推進会議報告書
ア教育及び奉仕体験活動
の推進
課外活動振興協議会の
設置
中学校の職場体験
授業力向上に向けた取組
(2・3年授業研究等)
部活動振興基本計画の
策定
東京都設定教科・科目「
奉仕」の必修化
資料6
都立学校における学校経営診断に関するPDCAサイクル
P
Plan
学校経営計画の策定
学校経営
計画
学校経営計画により組織目標設定
公表
《4月》
分掌ごとの組織目標設定
Do
教育活動の実施
の
P
D
C
個人の目標と実践
間
分掌ごとの組織目標と実践
年
A
イ
学校の自己評価
ル
高く評価
された項目
低く評価
された項目
更に伸ばすべき
取組
新たな課題
学校経営報告
A
Action
改
次年度へ向けた改善
学校経営
報告
善
発展
新規導入
《11 月》
《その他の評価》
・生徒による授業評価
(都立高校)※1
・学校運営連絡協議会の
アンケート ※2 等
公表
《3 月》
(確定は5月)
※1 生徒による授業評価:平成16年度より全都立高校において、生徒による授業評価を実施し、評価を集計・分析した結果に
基づいた校内研修を実施している。
※2 学校運営連絡協議会のアンケート:平成13年度より全都立学校において、学校運営連絡協議会を設置し、保護者・生徒・
地域住民等を対象としたアンケートを実施し、その結果に基づいた評価活動を実施している。
- 141 -
公表
ク
C Check
学校経営
診断
サ
次年度に、発展的に改善し、自律的な経営を促進する。
学校経営計画(組織目標)による
目標の管理
一
D
個別の教育活動など、短いスパンでのPDCAサイクル
個人の目標設定
資料7 本文中に表記のある主な事業名等について(解説)
初出ページ 事業名等及び内容
P.11
「小中高夢のかけ橋推進事業」
連携推進校を指定し、
近隣の小学校、
中学校及び特別支援学校などとの間に、
訪問授業、招待授業、部活動の交流、教員間の交流などを行う。平成16年度
から実施しており、平成19年度の連携推進校は、43校46課程である。
P.20
「セーフティ教室」
警視庁職員等の指導による非行・犯罪被害防止の学習と、保護者や地域住民
による意見交換を行う。平成16年度から実施しており、平成18年度から全
公立学校(小・中・中等教育・高・特別支援)で実施している。
P.28
「インターンシップ応援事業」
推進校を指定し、就業体験の生徒数の拡大や事前・事後指導の充実などを進
め、インターンシップの充実・拡大を図っている。平成17年度から19年度
まで、推進校を10校指定している。
P.29
「トライ&チャレンジキャンペーン」
奉仕活動や職場体験をはじめとする様々な体験活動を行うことで、社会の一
員としての自覚を高め、
健全で豊かな心をはぐくむことをねらいとする。
特に、
11月を強化月間として取り組んでいる。
P.29
「部活動推進指定校」
文化部活動を含め、学校における部活動を活性化させ、生徒の個性の伸長や
人間性の育成を図るとともに、学校の個性化・特色化を一層進めるために部活
動推進指定校を指定している。
平成18・19年度部活動推進指定校としては、
30校を指定している。
P.57
「アドバイザリースタッフ派遣事業」
幼児・児童・生徒に関わる、いじめ、不登校、集団不適応等の問題を解決す
るため、学校や保護者等からの要請に基づき、医師及び臨床心理の専門家や学
生等を派遣し、相談等を行っている。
P.112 「インターネット親子セーフティ講座」
IT教育普及支援校に指定されている都立高等学校の教科「情報」の担当教
員が指導者となって、学校や地域の実態に即した情報モラル教育として、小学
生と保護者を対象に、インターネット親子セーフティ講座を、夏季休業中に開
催する。
- 142 -
学校経営支援センター経営支援顧問の意見
東部学校経営支援センター経営支援顧問
同前 雅弘 氏
(株式会社大和証券グループ本社 顧問)
昨年、学校経営支援センターの発足以来、企業経営の視点から学校経営に対して出来る限り参
考になるような的確な助言、アドバイスが出来ればと、学校訪問をはじめ、校長、副校長、主幹
等の皆様との協議会等に出席して参りました。
訪問学校での協議会では、校長の経営目標、改革の方向性など経営の意思の明確な学校ほど副
校長、主幹等の発言が活発で自主性が発揮されてきております。
一方で、自主経営、改革の方向性が見えぬ学校も見受けられ、校長の持つ役割の大きさ、リー
ダーシップの重要性を感じます。又、経営の原点は現場にありとして、校長の現場認識は当然の
当然の事とはいえ高まっておりますが、一般教員の一体感や指導方針の徹底、納得の部分には組
織的な面も含めもう一工夫が必要かと思います。
分掌活動については、校長を中心に主幹・主任の皆さんのご活躍で次第に成果が出てきている
と思います。学校経営支援センターも各校の現場担当者とのコミュニケーションが深まり現実的
な指導及び評価が出来ており、加えて外部評価、特に生徒、保護者の授業評価等を積極的に取り
入れてきていることは大事なことだと思います。
これからの改善対策の中では、常に課題になることは教育力、授業力の向上ですが、その必要
性の認識の高さ程には実際の行動が伴っておりません。各教室の授業を参観しても、その道のプ
ロの先生の授業とは思えない授業に時に出会います。中には、生徒が目を輝かせている感動のあ
る授業もあり、その格差に驚いております。
先生たちがお互いに切磋琢磨して授業力全体のレベルアップを目指す行動をどう起こさせる
のか、様々の問題解決が必要かとは思いますが、積極的に取り組んでいくべき急務の課題と思い
ます。
世界のエクセレントカンパニーの共通項は、経営者、管理者が、(1)自分の部下の育成、訓
練に最大の誇りを感じ、(2)同時に自分も成長し続けていること、と言われております。教育
力、授業力の更なる向上を目指し、学校組織をあげての積極的、実効的な人材育成の為の企画、
実行をなすべきと思います。
- 144 -
中部学校経営支援センター 経営支援顧問
横山 善太 氏 (株式会社 JALUX 特別顧問)
【感想】
1. 学校組織運営
① 校長が経営計画の策定実現に向けて中心的役割を果たしており、
② 補佐する副校長 経営企画室長 主幹は校長の指針に従って計画の推進に努力している。
③ また校長の指針の基である目標設定は進学率の向上、生徒募集状況の進展、社会規範意識の
浸透、保護者意見の聴取等適当であり数値目標と設定している事例も多い。
④ 計画の策定・実施にあたり“校長”の指揮権と教員意見の集約の調和が充分であるかどうか
まわ
は不明であり、校長並びに側近の指導が空廻りしているのではないかとの心配も有る。
2. 教員の状況
① 教科指導
教員一般は各教科の担当授業は相応の熱意を以って指導しているが生徒を理解せしめる努力
かかわ
に一段と工夫が必要と思う。生徒指導技術のプロとして多様な指導方法を備えているにも 拘 らず
充分発揮されていないのではないか。
一例を挙げれば生徒の理解度を確認しながら授業を進めるには生徒との質疑応答が少ないと
思える。
(授業の時間効率、生徒の集中力の問題等有るが)
② 分掌業務
分掌業務が多く教員業務時間の半分を割かざるを得ない状況に有る。教員は一般的には教科指
導業務をより充実させる必要有りとの認識の様であるが分掌業務も重要な役割(むしろ学校経営
側が重視し過ぎる向きも有るが)であるため常時多忙感に悩まされている実状にある。(優秀な
教員が特にその様な状況にあることが問題)
このことが学校経営側の教育方針・実地計画を充分共有されてない要因にもなっていると思
う。
3. 生徒の状況
① 生徒は全体としては素直で明るいが幼いという印象である。
② 教室での授業規律は学校により異なるが平均的には不十分で教壇に正対する、ノートを取る
生徒は半分程度で有る。家庭での生活規律の希薄さも要因とも思えるが。
ある
③ 部活動には熱心であるがそれも体育系が多く、社会貢献、福祉活動、或いは何等かの研究サ
ほと
ークル等は殆んど存在しない。
④ 社会全体に対する関心は驚くほど低レベルにある。間もなく成人=社会人との自覚意識はな
い。
以上の状況認識を踏まえ多くの課題の中で重要と思われる目標設定に「健全な社会人育成」を
加えること、並びに教員の意欲向上策の二つについて提言致したい。
【提言】
1. 目標設定に「健全な社会人育成」を加える
お
各学校現場に於ける教育目標には健全な社会人育成を内容とする考えも表現はされているが
すなわ
具体的目標設定には外形的なものが多く内在的なもの( 即 ち生徒の人格形成の向上等)は具体的
目標項目に乏しい状況に有る。
高校教育段階は社会に送り出す最終責任機能であるとの緊張感と責任感が必要と思う。
- 145 -
従って生徒の人格形成を内容とする目標も重視すべきである。内在的なものの浸透・向上を測
る方法は難しいことではあるが、意識調査を継続する等研究検討すべきと思う。
学校教育の問題は、要は「生徒の状況」が改善されるかどうかである。(このことは家庭教育
の改善も必須ではあるが)残念ながら現状の「生徒の状況」は将来が期待できる状況ではないと
思えるだけに人格形成課題を重視すべきと考えるわけである。
2. 教員の意欲向上施策
生徒の学力向上と人格形成は教員の熱意・意欲に尽きるとも云われている。
従って教員の意欲を向上させる取組を強化すべきである。
目標設定に「人格形成」も重点にすると教員側も従来の外形的目標とは違い教員自身の人格識
見も問われる事になるだけに問題の自覚認識は増すこととなろう。
生徒の人格形成の度合いが評価の対象となっても理解されるであろうし納得せざるを得ない
こととなろう。
多様な価値観がある中での「人格形成」評価は難しい課題ではあるが、本質的な問題であるの
で挑戦すべきと思う。
つな
このことが学校経営側と教育方針課題を真の意味で共有することに繋がると思うのである。
教員についてのもう一方の学力向上問題は当面は教員側も指導している分掌業務の軽減化を
図ることだと思う。
軽減化を推進する新たな要点は家庭教育が担うべき課題を学校の役割から外す。
生徒の自覚認識を向上させるため生徒会の役割を増やすことも視野に入れてはどうかと思う。
民間企業の目標は営利追求である。従って組織運営は学校に比べれば難しくはない。
学校教員と同様企業でも第一線の社員の意欲が業績を左右するが企業では経営者だけでなく
社員も営利追求目標は同じである。自分自身の利益の問題であるからである。教員の意欲向上を
ゆえん
はかるには目標に厚みが必要だと思う所以である。
- 146 -
西部学校経営支援センター経営支援顧問
松﨑 昭雄 氏 (森永製菓株式会社 相談役)
1.印象
(1)評価できる点
・各学校とも真剣に教育・経営に取り組んでいる。
・エンカレッジスクール等新しい試みが成果を上げている。
・部活動、特に運動部が活発。
・礼儀、規律にも気を配っている。
・東京都学校経営支援センターの果たしている役割は大きい。
(2)改善するべき点
・経営がまだ本当に理解できていない。
・校長先生は会社で言えば社長。責任と権限があるが十分発揮されていない。
・優秀な校長先生が定年で退職する。
・まだ、生徒一人一人に目が行き届いていない学校が多い。
・国庫負担金を少しでも多く受けようと努力している。
・教員室が雑然としている。
・農業高校は費用が一般校より多額に掛かっているが卒業生の農業就業率が3%では税金の無
駄使い。
2.意見
・学校経営は立派な生徒を育てること、それをより効率的・合理的・効果的に行うこと。
・少しでも国民の税金である国庫支出金を節約することを考えて実行する。
・保護者・卒業生・地域住民で後援会を作って基金を集めてその運用益を学校に寄付する。投資
組合を作るのも一つの方法。
・生徒の作品の販売等、生徒の勉強になり、しかも収入になる活動を積極的に行う。
・学校の数値目標を作る。
① 社会に対する貢献度。如何に社会の役に立つ人材を社会に送り出すか。実績は卒業生・
進学先の学校・就職先の職場のアンケートで評価する。全数は出来ないのでサンプリング
で行う。これを金額に換算する方法を考案する。
② 1 人当たりコスト。実績は行政コスト計算書の生徒 1 人当たりコストとする。
③ この2つの数字を組み合わせた総合評価数値を決める。
・校長先生の定年をなくし、報酬も高くする一般企業の社長と同じ。成績の上がる校長先生は
何年でも勤める。成績の上がらない校長先生は退任する。校長先生の人事はあくまでも能力と
実績で行う。校長先生(経営者)になる教育訓練の制度を作る。
・アルバイトの先生を雇ってでも、学校内に塾(有料で)を開くことも考えられる。
・ITを使って事務の合理化を図る。ITを使った場合使いこなせなければ意味がない。IT
教育をすると同時に。ヘルプデスクを設けて教職員を補佐する。
・これらを実行するためには小中学校の改革を急がなければならない。
- 147 -