「結婚関係について」 マタイ 19 章 1~ 12 節

「結婚関係について」
マタイ 19 章 1~ 12 節
~マタイ福音書連続講解説教 50~
イントロダクション
1) 地域的転換点
 ペレヤ:「ヨルダンの向こうにあるユダヤ地方に行かれた」
 ヘロデ・アンティパスの領土
 ガリラヤ伝道を終えられ、エルサレムへのゴールの途上にある
 19~20 章がペレヤ伝道の記事
2) 主題的転換
 18 章は、以後設立される教会についての教えがあった
 人々はメシア的王国の樹立が間近と期待
 たとえ話を多用して、メシア的王国の教えを説明。人々はその違いに驚く。
 ルカがペレヤ伝道を主要として記録。ルカ 9:51~19:28
 「さて、天に上げられる日が近づいて来たころ、イエスは、エルサレムに行こ
うとして御顔をまっすぐ向けられ、」 (ルカ 9:51)
3) 今日の箇所は、マタイ福音書に見るペレヤ伝道の皮切りである
 パリサイ人の結婚・離婚に関する質問
 主イエスのお答え
 弟子たちとの問答
主イエスの教えは革新・独創的なものでなく、創世記に基づくものである
Ⅰ
パリサイ人たちの質問
1. 「イエスを試みて」
 ペレヤはヘロデ・アンティパスの領土
 兄弟ピリポの妻、ヘロデヤを篭絡して結婚
 これを糾弾した B.ヨハネを斬首
 ヨハネの捕縛がきっかけでガリラヤ伝道が始まった。4:12.
 主イエスを死罪に陥れる罠であった
2. 「何か理由があれば」
 当時のユダヤ教の2大派閥が、その「理由」を巡り大論争をしていた
 「人が妻をめとり夫となり、妻に何か恥ずべき事を発見したため、気に入らな
くなり、離婚状を書いてその女の手に渡し、彼女を家から去らせ (申命記 24:1)
 「恥ずべき事」とは何か?
 ヒレル派は、広義に解釈。家事の出来具合も離婚に至る正当理由とした。
 シャマイ派は、狭義に解釈。不貞のみが離婚の正当理由とした。
Ⅱ
主イエスのお答え
1. 主イエスのお答え(4~6)
 人間創造の際、神にとって離婚は想定外であった
 「ふたりの者が一心同体」であり、もはやふたりではなく、ひとりである。
 「人(その都合や勝手な理由で)は、神が結び合わせたものを引き離してはな
りません」
2. パリサイ人の再質問(7)
 「では、モーセはなぜ、離婚状を渡して妻を離別せよ、と命じたのですか。」
 申命記 24:1 が背景にある
3. 主の再回答(8~9)
 人の頑固、傲慢さゆえに神は譲歩された
 当初の神の目的でも御心でもない
 「命じた」(パリサイ人)のではなく、「許した」(神)に過ぎない
 離婚の正当理由となるのは不貞のみ~シャマイ派と同じ見解
 さらに、夫側の責任も問うている。当時は夫だけに妻を離別する権利があった。
 他の女性を娶る夫にも姦淫罪が問われる
Ⅲ
弟子たちとの問答
1. 弟子たちの驚き(10)
 「夫の立場がそんなものなら、結婚しないほうがまし」
 当時の社会通念と大きくかけ離れた主イエスの結婚観
 夫の権利が矮小されたように感じた弟子たち
 創造時の本来のあり方から堕落した人間が、逸脱してかけ離れてしまっている
2. 主イエスのお答え(11)
 「そのことば」とは、弟子たちの言った結婚しない独身としての生き方
 「許されているものだけができる」
 そのような賜物が与えられているもの。
 つまり、独身も結婚も神からの召しである。
3. 独身者には 3 種類ある(12)
 生来の身障者
 人為的に不具者とさせられたもの

結論
より高い目的のために独身を自ら選んだ者
キリスト教は、人が本来生まれながらにして持つ権利を回復する
1. 神が人を創造した
 進化論には、人の尊厳を保持する根拠がない
 神は人を「ご自身のかたち」に創造した
 「15 神は人を一体に造られたのではないか。彼には、霊の残りがある。その一
体の人は何を求めるのか。神の子孫ではないか。あなたがたは、あなたがたの
霊に注意せよ。あなたの若い時の妻を裏切ってはならない。
16 「わたしは、離婚を憎む」とイスラエルの神、主は仰せられる。「わたしは、
暴力でその着物をおおう」と万軍の主は仰せられる。あなたがたは、あなたが
たの霊に注意せよ。裏切ってはならない。」
(マラキ 2:15-16)
 神のかたち、その霊をもつものとして人は造られた
 他の被造物と根本的に異なる、創造の冠として
2. 人権の回復
 聖書の教えが届かない世界に見られる蛮行や人権無視
 キリスト教の浸透に伴う人権回復
 社会的弱者、マイノリティ、女性たちの人権擁護
 (例)国連で子供の教育権を訴えるパキスタンのマララさん