『文京区版 幼児教育・保育カリキュラム』 幼稚園、保育園職員合同研修

『文京区版
幼児教育・保育カリキュラム』
幼稚園、保育園職員合同研修
議事録
文京区男女協働子育て支援部保育課
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『文京区版
幼児教育・保育カリキュラム』
幼稚園、保育園職員合同研修
会議次第
日時:平成28年2月26日(金)
18:00~19:30
場所:区立第六中学校体育館(アリーナ)
1.開会
2.幼児教育・保育カリキュラム策定委員長挨拶
3.教育推進部長、男女協働子育て支援部長挨拶
4.『文京区版
幼児教育・保育カリキュラム』説明
①基本方針
②基本的考え方
③活用マニュアル
5.幼児教育・保育カリキュラムについて(総論)
6.閉会
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○新名保育課長
皆さん、こんばんは。
それでは、定刻になりましたので、ただいまから幼稚園、保育園職員合同研修を開催い
たします。
私は、本日の司会を務めます保育課長の新名と申します。どうぞよろしくお願いいたし
ます。
本日は、仕事終わりで大変お疲れのところ、お集まりいただきまして、まことにありが
とうございます。
また、日ごろより幼稚園、保育園の最前線で御活躍されている皆さんに、この場をおか
りいたしまして、改めて御礼申し上げます。
本日の研修につきましては、このたび策定いたしました『文京区版
幼児教育・保育カ
リキュラム』について職員の皆様により深く理解していただきたいということで実施する
ものでございます。これから約1時間半、お手元の次第に沿って進めてまいりますので、
御協力どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、初めに今回のカリキュラムの策定委員会の委員長をお務めいただきました白
梅学園大学の師岡先生より、御挨拶をいただきます。先生、よろしくお願いします。
○師岡委員長
皆さん、こんばんは。ただいま御紹介いただきました白梅学園大学の師岡
と申します。
本日は、皆様に『文京区版
幼児教育・保育カリキュラム』をお届けすることができ、
委員長として大変安堵しております。同時に、この研修の機会を通しまして、概略の御説
明をさせていただける機会を与えていただいたこともあわせて感謝申し上げます。
後ほど私のほうで話をさせていただく機会がございますので、今はいろいろ支えてくだ
さった方々への感謝を述べさせていただく形をとらせていただくことで、御挨拶とかえさ
せていただければと思います。
この『文京区版
幼児教育・保育カリキュラム』ですが、私たちがかかわらせていただ
いたのがたしか本年度5月下旬ぐらいだったと思います。一応、学 識経験者枠ということ
で、日本女子大の高櫻先生とあわせて、私もかかわらせていただき、あわせて委員長の任
を拝命したわけです。
ただ、私たちがかかわらせていただいたときには、既に委員の先生方が『文京区版
幼
児教育・保育カリキュラム』に向け、さまざまな御準備を整えており、その内容も大変確
かなものがあったということを思い出しております。
そうした委員の先生方の御努力もあり、一応、私も委員長という立場ではありますけれ
ども、私たちがリードするということでは決してなく、まさに現場の先生方がリードされ
る中で検討は進みました。その意味で、私たちは言うなればあくまでもサポーターという
形で支えるぐらいで完成に至ったというのが正直なところだろうと思います。
これも後でお話しさせていただくことになると思いますが、それだけ文京区の公立の幼
稚園の先生、保育園の先生方のお力が確かなものであったということでありましょう 。ま
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た、委員の先生方をしっかりと側面からも支えてくださった担当 部・課の部長さん、課長
さん、係長さんなど、さまざまな方たちの御支援があったからこそ 、これが完成に至った
のだと思います。改めて感謝申し上げます。
さらに、このカリキュラムを仕上げる段階では、保育関係者だけではなくて、幼稚園、
保育園を今利用されていらっしゃる保護者の方にも目を通していただく機会も持たせてい
だきました。そして御意見をいただきながら、いわゆる 「先生」と言われる立場だけでは
ない、もっと多様な立場からのまなざしも加えて完成に至った、ということもあわせて皆
さんにお伝えしておかなければならないことだろうと思います。
このように、私などよりも、委員の先生方の御努力、さらには担当の事務方の支え、保
護者の方たちのさまざまな御協力も得ながら、きょうの日を迎えられたことを 大変ありが
たく、うれしいことだと思います。ただ、本当の意味でこのカリキュラムを届けなければ
いけないのは現場の先生方へはもちろんですが、その向こうにいる、そして、そこで生き、
生活し、育っている子どもたちだろうと思います。幼稚園、保育園、分け隔てなく、子ど
もたちがより健やかな笑顔と、よりたくましく成長するために、このカリキュラムはつく
ったわけです。それぞれの委員の先生方の思いも、一番はそこにあったのだろうと思いま
すし、きょう、ここに集まってくださった皆様も、そういった思いでこのカリキュラムを
しっかりと受けとめてくださることだろうと、私どもは期待しております。
こうした点を前提としながら、後ほどいろいろ説明もさせていただきますけれども、し
っかりと受けとめていただき、あす以降の保育へと 、このカリキュラムを生かしていただ
ければありがたいと思います。それがかかわった者の一番の願いでございますので、どう
ぞよろしくお願いいたします。
簡単ですけれども、御挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○新名保育課長
ありがとうございました。
続きまして、次第の3番に入ります。久住教育推進部長より御挨拶いただ きます。久住
部長、よろしくお願いいたします。
○久住教育推進部長
どうも皆さんこんばんは。教育推進部長の久住です。
前職が男女協働子育て支援部長だったので、そのときにこういった統一のカリキュラム
をぜひつくろうよということを提案して、区の重点施策にしてもらって、楽しみにしてい
たのですが、人事があって教育のほうに異動してしまって、名残惜しいなと 教育の立場か
ら見ていたところです。
今、師岡先生からもいろいろつくる過程についてのお話も少しありましたけれども、何
でこういったものをつくったほうがいいのかと思っていたのかということをせっかくの御
挨拶の機会をいただきましたので、少しお話をさせていただければと思っています。
1つは、社会の変化を我々子育てにかかわる者が常に敏感に感じていなければいけない
のではないかということをずっと思っていました。ちょっと前の話になりますけれども、
2011年にアメリカ・ニューヨークのデューク大学のキャシー・デビッド ソンという人が、
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2011年に小学校に上がった子供たちが大学を卒業するときに、その65%は今ない職業につ
くだろうという話をされて、非常に話題になったことがあります。それだけ社会の変 化が
大きい中で子供たちがこれから育っていく状況になってくるのだということです。
もう一つは、OECD諸国の中でも日本の子供たちの自己肯定感が非常に低いということが
言われていて、どうしたら自分が自分でいいのだと自信を持って生きていける子供たちを
育てていけるのかということが課題になっていると思っています。
そういう意味で、小学校入学の前、人格が形成される大事な時期にしっかりと文京区の
子供たちに保育園でも幼稚園でも同じようなカリキュラムの中で子供たちに寄り添った対
応ができるような温かな保育であったり、教育であ ったり、そういったものができるとい
いなとずっと思っていたのが1つです。
もう一つは、保護者のニーズの変化です。子ども・子育て支援新制度の中で文京区にお
いてもニーズ調査を行ってまいりました。その中で長時間の保育を希望し、なおかつ教育
的な対応もしてほしいという保護者のニーズが非常に多くなってきています。幼稚園にお
いても、この4月から預かり保育の拡充ということで、保育 園と幼稚園との中身の問題が
非常にすり寄ってきていると思いますし、そういった子供たちや親のニーズにしっかりと
私たち子育てにかかわる者が応えていかなければならないのだろうと思っています。
そういう意味で、きょうはここに持ってまいりましたけれども、皆さん相当な議論をさ
れて、どのように3歳、4歳、5歳の時期に子供の気持ちに寄り添いながら 、さまざまな
体験を通して小学校入学につなげていくのかといったところが相当深く議論されたことに
これまでかかわってこられた師岡先生、高櫻先生、担当をされた皆様に敬意を表したいと
思っています。
こういうものをつくって一安心ではなくて、これから教育と保育が連携しながらよりよ
い幼児教育・保育が文京区の中からできてくる実践の厚さに期待 したいと思っています。
本当にこれまで御努力いただいた皆様に感謝するとともに、これがより発展をして、バ
ージョン2、バージョン3ができてくる。そして、文京区から乳幼児期の子育てのモデル
が全国に発信できるぐらいになっていけたらいいかと思っています。
この後またお話があると思いますので、楽しみに聞かせていただきたいと思います。
本日はよろしくお願いいたします。(拍手)
○新名保育課長
続きまして、林男女協働子育て支援部長より御挨拶申し上げます。部長、
よろしくお願いします。
○林男女協働子育て支援部長
皆さん、こんばんは。男女協働子育て支援部長の林でござ
います。
きょうは皆さん、仕事を終え、お疲れのところ、本来なら帰宅するところでしょうけれ
ども、こうした研修の場にお越しいただいて、どう もありがとうございます。
今、久住部長からも話がありましたけれども、この幼児教育・保育カリキュラムは文京
区としても幼稚園では預かり保育の時間が長くなり、保育園ではさらに質の向上を求めら
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れている。保護者からすれば、幼稚園に行くのか保育園に預けるのか、選択の幅が広がっ
たということになってきました。
先日 、区議会にこの内容を報告いたしましたところ、議員の方からも高い関心と高い期
待の声が出されていると感じ取れたところです。裏返せば、この カリキュラムはつくるこ
とが目的ではなくて、それを実践する幼稚園であり保育園であり、その現場の皆さんに対
する期待のあらわれなのかと感じております。また、このカリキュラムをつくる過程の中
では、実は私立の幼稚園、保育園の先生方からもでき上がったらぜひ参考にさせていただ
きたいというお声もいただいているところです。
この内容については、文京区民、区 議会あるいは私立幼稚園の関係者の方も大きな期待
をしていると感じておりますので、ぜひ皆さん今回の研修で終わりではなくて、きょう学
んだことをぜひ各職場で実践していただき、それをまた次につなげていくようにしていた
だければと思います。
今回の策定に当たりまして、師岡先生、高櫻先生にはお忙しいところ大変御尽力をいた
だきまして、感謝を申し上げます。また、策定委員会の方も仕事の忙しい中、このような
カリキュラムをおつくりいただいて、大変ありがとうございます。
限られた時間ではありますが先ほど申したようにこれを次につなげていくというような
気持ちで本日の研修を有意義なものにしていただければと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
○新名保育課長
それでは、次第の4番に移ります。カリキュラムの内容につきまして、
実際に策定にかかわった先生から説明をいたします。
初めに、基本方針について柳町保育園の飛田野園長より説明いたします。
○飛田野委員
皆さん、こんにちは。花の金曜日だということで皆さんお疲れのところな
のですが、こういう研修会に参加していただき、まことにありがとうございます。
私たちは、1年間かけてこのカリキュラムの計画をしてまいりました。私からはこちら
のカリキュラムの2ページ目に書いてある基本方針から御説明させていただきたいと思い
ます。
内容は皆さん見ていただければよくおわかりだと思うので、こちらのほうからはどうし
てこのような計画をしたのかというところでお話をさせていただきます。
先ほど久住部長からもお話がありましたとおり、カリキュラム作成に当たりましては、
幼稚園と保育園のカリキュラムの計画を1つにし、皆さん同じようなカリキュラムで保育
を行う、教育を行うというのが一番の目標です。
乳幼児期は、人間形成を行う上で最も重要な時期に当たることは皆さん御承知のこと と
思います。これまでにも幼稚園は幼稚園教育要領に、保育園は保育所保育指針に基づいた
教育・保育を展開してまいりました。
さらに平成20年3月には、国が行った大幅改正により、両者3歳から5歳、おおむね6
歳で保育の中身についての整合性が図られてまいりました。しかし、内容において統一さ
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れたものがないことで、幼稚園と保育園で差があるかのように伝わっているのは現状否め
ません。そこで、ここに幼稚園と保育園の保育の計画をあわせた『文京区版幼児教育・保
育カリキュラム』を策定することといたしました。
子供たちは、生活や遊びを通して学びの基礎を獲得していきます。そこに大きな目的を
置き、区立幼稚園と保育園で質の高い幼児教育・保育を提供し、小学校教育の接続を踏ま
えた「生きる力の基礎の育成」を目指していきます。
こちらの下段にどういう形で策定されたかが図式になって載っておりますので、御参考
までにごらんください。
簡単ですが、以上をもちまして、基本方針の説明を終わらせていただきます。ありがと
うございました。
○新名保育課長
次に、カリキュラムの基本的な考え方について、小日向台町幼稚園の高
圓先生よりよろしくお願いします。
○高圓委員
よろしくお願いいたします。
私は、3ページと4ページ、基本的な考え方をお話しさせていただきます。そこを見な
がら聞いてください。
皆さん、御存じのとおり、この文京区は明治9年に日本で初めて開園し、倉橋惣三によ
り保育が確立された東京女子師範学校、現在のお茶の水女子大学の附属幼稚園や明治 20年
に開園した文京区立第一幼稚園という大変伝統のある学校が多い、本当に文の京 、「文教
の地」として本当に知られているところであります。
しかし、一方で私たちが目にする子供たちは、最近は兄弟関係の中で遊んだり、近所の
子供たちとかかわる機会が減っているのではないか。それから、夢中になって遊び込むと
いう姿が、そういう機会が減っているのではないかという指摘も受けております。
私たちは、このことを踏まえると、幼稚園や保育園で同年齢や異年齢の子供たち同士互
いにかかわり合って生活することの意義はとても大きいものであると考えました。子供た
ちは遊びを通して思考力や想像力を養い、遊び込むことで達成感や満足感を味わって、疑
問や葛藤を経験し、自発的に周りの環境にかかわる意欲や態度が育っていくものと考えま
した。
このカリキュラム作成に当たりましては、東京都が平成25年度に発行いたしました就学
前教育カリキュラムをもとに、幼稚園教育要領、保育所保育指針が示す領域を踏まえ、生
きる力の基礎の育成に向けて、その目標を適切かつ具体的に達成するための事項を経験さ
せたい内容としてまとめてみました。
以下、3歳、4歳、5歳とそれぞれの年齢で大事にしたいことをそこにまとめました。
3歳では、何といっても信頼関係が一番大切であると考えます。一人一人の幼児のある
がままの姿を受けとめながら、子供理解を大切にしていきたい時期であります。
4歳になりますと、友達の存在が大きくなってまいります。友達とのかかわりや関係性
を育むことを大事にしていきたい年齢であります。
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5歳になりますと、3歳、4歳の育ちを土台にして、その上に積み上げた生活をしてい
くことが大切です。遊びの中で幼児の学びの芽生えを理解し、小学校教育への見通しを持
て、その芽生えを育んでいくことが大切だと考えます。一人一人が自信を持って生活でき
るように、子供の気持ちを理解し、共感しながら励ましていくことが5歳の時期では大切
であると考えています。
そして、私たちが大切であると考えている遊び。それがどのように生きる力の基 礎につ
ながっていくのかというところを図式したものが4ページの図になります。
以上で基本的な考え方についての説明は終わらせていただきます。
○新名保育課長
続きまして、5ページになります。こちらの活用マニュアルについて、
千駄木幼稚園の田村先生よりお願いいたします。
○田村委員
皆さん、こんばんは。
私から活用マニュアルについて説明させていただきます。
5ページをごらんください。まず、各学年の発達のめやすが示しております。発達の特
徴を踏まえて育てたい内容、配慮事項、家庭との連携等を書き出しました。個人差も ある
と思いますが、大体の目安ですので、参考にしていただければと思います。
それぞれの学年とも成長の節目と見られる時期で期を分けて、ねらいと内容を書き出し
ました。3歳児は1期を進級児と新入児に分けております。ここに書かれている ねらいの
内容を各園でよく話し合い、子供の姿を思い描いて保育につなげていただければと思いま
す。
また、こちらも個人差や園の環境の違い、園児の実態の違いなどがあると思いますので、
一つの目安として活用してください。
そして、活用するときには、まずねらいをどのように達成していくか考えます。ねらい
を達成するためには、どのような経験が必要か。経験させたい内容としてその下に書いて
あります。経験内容は生きる力の基礎を育てるために学びの芽生え、人のかかわり、生活
する力の3つの視点から考えました。その内容が経験できるように、環境に保育者の意図
を込めて、日々環境を構成していくことが大切です。教材も発達に合わせて工夫しましょ
う。
そして、保育の形態も幼児が自分で選んで行う遊び、一斉活動、グループ活動など、ど
の形態がふさわしいかを考え、環境を用意していただきたいと思います。
一斉活動の中で楽しかったことを遊びの中で繰り返し行ったり、また、遊びの中で誰か
が始めたおもしろいことを一斉活動に生かしたりなど、遊びと活動をつなげていくことが
大切だと思います。
そして、遊びと行事、活動がつながるようにしていくために、日々保育 を振り返り、反
省を翌日に生かし、あすへとつながる保育を展開していただきたいと思います。
このカリキュラムを実践していくに当たっては、園内で幼児の育ちをともに見つめるチ
ームワークが大切です。情報交換や話し合いの時間をつくり、各園の指導計画見直しのた
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めにこのカリキュラムを羅針盤として活用していただき たいと思います。
今の時期は本当に1年間の最後の締めくくりで、子供たちは成長の姿を見せていると思
いますが、各学年の最後の時期のところのねらいや内容を見ていただき、自分の園ではこ
こに書いてあるねらいが達成できているかな、指導、経験させたい内容が経験できている
かなと各園の指導計画を振り返ったり、保育を振り返る際に活用していただければと思っ
ております。
どうぞよろしくお願いいたします。
○新名保育課長
続きまして、次第の5番に入ります。
幼児教育・保育カリキュラムについて(総論)ということで、今回のカリキュ ラムの策
定委員会の副委員長をお務めいただきました日本女子大学の高櫻先生よりお話をいただき
ます。先生、お願いいたします。
○高櫻副委員長
皆さん、こんばんは。日本女子大学の高櫻です。
私からは、「この『文京区版幼児教育・保育カリキュラム』を通して日々の保育実践を
可視化すること、もっと具体的に言えば、先生方がどのような目的を持って、どのような
意図で、日々の保育を計画し、行っているのか、そして、そうした保育の積み重ねが子ど
もたちにどのような発達を促すのかについて伝えたり、見せていくためにこのカリキュラ
ムを活用していただきたい」という点について、少しお話をさせていただきます。
話のポイントは2つあります。まず1つ目として、「なぜそもそも保育実践の目的や意
図、子どもたちの育ちに対する願いやねらいを可視化する必要があるのか」ということを
考えていきたいと思います。その上で、2つ目として、「保育実践を見える形にする、可
視化するときにこの『文京区版幼児教育・保育カリキュラム』をどのように活用できるの
か」を考えたいと思います。
まず、1つ目の「なぜ保育実践の目的や意図、子どもたちの育ちに対する願いやねらい
を見えるような形にする必要があるのか」ということについて考えたいと思います。
「幼児教育は見えない教育方法である」という言葉があります。これは、小学校以上の
学校教育と比べて、幼稚園や保育園で行われている遊びや生活を通した学びは、実践者以
外すなわち先生方以外にはその目的や過程、評価が見えにくいということを意味した言葉
です。
例えば、小学校での算数の授業を例に挙げて考えてみたいと思うのですが、まず、何曜
日の何時間目に算数の授業があるのかということは時間割を見ればわかります。さらに算
数の授業でも例えば、「今日は足し算を学びます」などと、今からこの授業で何を学ぶの
か、何をするのかということが子どもたちに伝えられ、保護者も「今日の算数の授業では
うちの子は足し算を学んだ」と知ることができます。
また、足し算についてどの程度理解し、どの程度習得したのかということは、テストや
成績表によって子どもにも保護者にも明確に示されますし、教師側にも点数として示され
るのでわかりやすいです。
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一方、幼稚園や保育園では、例えば「月曜日の9時からは領域『言葉』について取り扱
います」や、「10時からは領域『人間関係』について取り扱います」という時間割はあ り
ません。なぜなら5つの領域は、算数や国語といった「教科」ではなく、『子どもたちの
育ちを支える保育の総合的な視点』だからです。そのため小学校以上の教科とは異なり、
幼稚園や保育園での保育を時間割で区切ることもありません。
もっと言ってしまえば、幼稚園や保育園の先生方は「今日はみんなでごっこ遊びをして
想像したり見立てたりすることを学びます」などと言って、その遊びを通して子どもたち
に学んでほしいことを先に提示することはないですし、ごっこ遊びに必要となる想像の仕
方やイメージの膨らませ方を言葉で説明し、教えることもありません。このことを子ども
側に立って言いかえると、子どもたち自身が生活や遊びに直接かかわって、そのかかわり
の積み重ねから学んでいくのが幼稚園や保育園での学びです。そのため「幼稚園や保育園
での学びは、充実した生活や遊びの中にある」と言われ、遊びを通しての総合的な指導を
中心とすることが求められています。
ここにいらっしゃる先生方には、今お話ししていることは、当然のことだと言われてしま
うかもしれませんが、冒頭で述べましたように、「幼児教育は見えない教育方法である」
と言われるように、先生方にとっては当然のことであっても、実践者以外にはなかなか理
解しにくい点でもあります。その理由は、繰り返していますように、「この遊びを経験す
ることの目的は何か」、「この遊びを通して何を学んだのか」ということが第三者には見
えにくく、点数などの誰もが容易に目に見える形で遊びを評価することもできないからで
す。
だからこそ、専門家である先生方が幼稚園、保育園において日々行っている豊かな保育実
践を、この『文京区版幼児教育・保育カリキュラム』を通して、実践者以外の方々にも可
視化し、幼児教育・保育の意義を広く伝えていくことはとても大切なことだと思い ます。
実際、この『文京区版幼児教育・保育カリキュラム』に書かれている内容は、先生方の日々
の保育実践の内容であると同時に、乳幼児期にこそ育てたい内容、育てるべき内容であり、
子どもたちに身につけて欲しい内容でもあり、子どもたちにとって、生涯にわたって生き
る力の基礎になるものです。
そこで、2つ目のポイントとして挙げました「保育実践を見える形にするときに、この
カリキュラムをどのように活用できるのか」について話を進めていきたいと思います。
ここでまず押さえておきたいのは、「誰に対して」保育実践を見える形にするの かとい
う点です。もちろん第一は、保育を受ける子どもたちです。しかし、子どもたちに今回作
成されたカリキュラムを見せることはできません。そのため子どもたちにはこのカリキュ
ラムを羅針盤にしながら計画された『保育実践の中身』を通して、さらにその保育実践の
振り返りをもとにした『次の保育実践の中身』によって示していく必要がありますし、『子
どもたちのよりよい発達を促すという結果』によって応えていく必要があります。この点
については、このカリキュラムの中で年齢別に具体的な内容が記載されていますので、今
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日のところは割愛させていただきたいと思います。
次に、保育実践を可視化する第二の対象として、保護者を挙げたいと思います。例とし
て、お散歩という保育活動を取り上げたいと思うのですが、保育園や幼稚園に普段かかわ
りがない方々の中には、「園庭が狭く、外遊びが十分できないからお散歩に仕方なく行っ
ている」、あるいは「園内に十分な広さの園庭がないことは、子どもにとってかわいそう」
等とおっしゃる方が少なからずいらっしゃるようにお見受けしています。
確かに、私も園庭環境の充実などは子どもたちの発達に大きく影響する重要な点だと思
いますので、そのこと自体を否定するつもりはありません。けれども、その一方で、私が
実際に文京区の保育園や幼稚園にお邪魔させていただいて、一緒にお散歩に行かせていた
だく機会をいただき、その活動を見ていると、「園庭などの物理的環境条件のもとで仕方
ないから散歩に行く」という位置づけでは決してありませんでした。先生方は自分が生活
している身近な地域を子どもたちが歩くことで、植物の色や成長の変化を感じたり、交通
ルールを学んだり、園内にはない遊具や動物に出会うなど、子どもたちが多様な環境とか
かわる機会として散歩を捉えた上で行われていました。 そして先生方は、子どもたちの発
達やクラスの状況、季節などに応じた散歩を計画され、散歩先を選択されていました。
このことを考えてみますと、散歩先としていろいろな公園に行くことの意味がある一方
で、繰り返し同じ公園に行くことで、子どもたち自身がそこにある木の葉の色や咲いてい
る花の変化に気づいて季節の移り変わりを感じたり、「前はちょっと怖かったんだけど、
のぼれるようになったんだよ」等、公園にある大型遊具に対する自分のかかわりの変化を
体験的に感じることができるという意味もあると思います。
このように「散歩」という保育活動1つをとっても、先生方がどのように子どもの育ち
や保育を考えていて、それを保育実践として行っているのかを伝えることは、とても重要
であり、なかでも子どもにとって一番身近な存在である保護者に知ってもらうことは幼稚
園、保育園の教育・保育を支えていただく意味でも重要であると考えます。
では、どのように先生方の保育実践の意味を保護者に伝えていくのか。先程の「散歩」
の例でいうならば、まず先生方お一人お一人が“園外に散歩に行く”ということの意味に
ついて、この『文京区版幼児教育・保育カリキュラム』に書かれている内容 に照らし合わ
せて考えることで、例えば、「園内とは異なる体を動かす楽しさや気持ちよさを味わう」、
あるいは「園内にはない遊具に対して遊びながら安全な使い方を知っていく」ことを経験
させるために、この散歩を保育活動として設定していることを確認できると思います。さ
らに、こうした目的のために、「どの公園を選ぶのか」、「その散歩先において、子ども
たちに具体的に何を経験させたいのか」、「その経験が得られるように保育者としてどの
ような働きかけをするのか」等を考えていくことで、保護者にも、ご自身の保育を確かな
意味と説得性を持って語っていただくことができると思います。
先生方が確かな意味と説得性を持って自分の保育実践を語ることができるということは、
保護者にとっても、「自分の子どもはまだ3歳で幼いと思っていたのだけれども、実はこ
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んなこともできる可能性を持っているのだな」や「自分の子どもは5歳で年長だから、も
っといろいろなことをやらせるべきだと思っていたのだけれども、そんなに焦らなくても、
今のこの5歳の時期を充実させればいいのだな」等と御自身の子育てを振り返るきっかけ
になるかもしれません。
最後に、誰に対して保育実践を見せていくのか、可視化するのかという第三の対象とし
て、「ここにいらっしゃる先生方同士の間で」ということについても触れておきたいと思
います。冒頭で、幼児教育は、その目的や過程、評価が見えにくいという話をしましたが、
実はこのことは実践者間でも時として起き得ることだと思います。その理由は、先生方が
行われている保育は、職人技的な性質があり、その意味で保育実践は先生方お一人お一人
の保育者としての経験と勘に大きく依存しやすいという面を持っているからです。
この点に関して、私は、質の高い保育実践は、保育者個人による経験の蓄積はもちろ んの
こと、共に保育に携わる中で、他の先生が有している経験的な知識を受け継いでいくこと
によっても、つくり上げられると考えています。もっと言うならば、一人の保育者が専門
家として成長していく道筋は、その保育者集団全体、その園全体における保育実践が豊か
になっていき、充実していくことの軌跡であり、歴史と言えるのではないでしょうか。
この意味において、『文京区版幼児教育・保育カリキュラム』を羅針盤としながら、先
生方お一人お一人の専門性の維持と向上を目指していただき、よりよい保育を子どもたち
に提供していただきたいと願うと同時に、多様な経験や年齢の先生方がいらっしゃる保育
の専門家集団だからこそ、このカリキュラムを通してお互いの保育を見える形にして、子
どもたちの育ちについて話し合っていただく中で、保育者集団としてもより一層専門性を
高めることに繋げていただけたらと願っております。
時間の関係もあり、駆け足でお話してしまいましたが、子どもたちのために、これから
もすてきな保育をしていただきたいと心から願っております。ありがとうございました。
(拍手)
○新名保育課長
高櫻先生、ありがとうございます。
続きまして、師岡先生よりお話をいただきます。
○師岡委員長
では、改めてこんばんは。
先ほどの挨拶の続きの話、また、高櫻先生の話も受けてということになろうとは思いま
すけれども、ただ、話の本題に入る前に、今、私は 壇上に上がって、もう一度この風景を
眺めているのですが、大変壮観だと改めて思います。ぜひ皆さんに お1人ずつ壇上にあが
り、眺めていただけるといいと思うのですが、そうもいきませんよね。でも、文京区さん
として公立の幼稚園・保育園の教職員の方たちが、こうやって一堂に会する機会は初めて
ですよね。だとすると、この機会を持つこと自体が非常に貴重なのだと、皆さんに実感し
ていただくことがとても大事、あるいは価値があるのかもしれません。
この機会をつくったのは、ほかでもない「このカリキュラムをつくった」ということな
のですが、先ほど久住部長さんからもお話がありました ように、きっかけは「統一カリキ
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ュラムをつくりたい」ということだったわけです。それは言いかえれば、文の京としての
文京区の就学前の子どもたちの保育を支えてきた幼稚園さん、保育園さん、どちらが上だ
とか下だとかということではなく、本当に足並みをそろえ、よい保育を今までもやってき
ているわけだから、しっかりそれを統一化していこう。そして、より維持・発展させてい
こう、というボールがまさに皆さんに投げかけられ、そして今、こうした形で結実し たの
だと思います。きょうは、そのカリキュラムをみんなで共有する機会です。そのための集
いの場を私も共有させていただいていることを非常にありがたいと思います 。それだけに、
互いに襟をただし、子どもさんのため、保護者のために何ができるのだろうか と、一生懸
命考え、あすからも頑張っていかなくてはいけない のだと思います。そういった思いも皆
さんと共有していければ、恐らくきょうの研修はほとんど成功と言ってもいいのかもしれ
ません。そんなことを改めて檀上に上がらせていただく中で、皆さんに伝えたい。あるい
は皆さんとそんな思いを共有したいと思いました。いかがで しょうか。
では、配布しましたレジュメに沿い、『文京区版
幼児教育・保育カリキュラム』の成
果と課題について、4つのポイントでお話をしたいと思います。
ただ、この4つのポイントを話す前に、『文京区版
幼児教育・保育カリキュラム』の
特徴について、私なりに感じていることをお話しさせていただきたいと思います。 先ほど
も述べたように、このカリキュラムは公立の先生方、公立の幼稚園と保育園が協力しなが
らつくり上げたものです。皆さん御存じの方もいらっしゃるでしょうか。最近は区市町村
単位でこうした独自のカリキュラムづくりが進められています。それぞれ個性・特徴があ
ると思いますが、文京区版は公立の幼稚園と保育園が協力したところに非常に大きな特徴
があると思います。
文京区の公立園も時代の流れに応じて変化してきている、あるいは変化が求められてい
ると思いますが、周りを見渡してみますと、全国的に公立は大変厳しい状況があるわけで
す。その一番の典型的なものは民営化の波と言ってもいいのかもしれません。
ただ誤解しないでくださいね。今、民営化について批判的に論じたいということではあ
りません。でも、厳しい財政状況の中、効率的な運営を考える立場からは、「民でできる
ことは民に」という流れが国全体としてもあるわけですから、そういった流れの中で私た
ちは保育に携わっているということは否めない事実だろうと思います。そういった中で、
文京区さんは公立を首長さんはじめ、役所の担当部署の方たちも大事になさっている自治
体と言っていいのではないかと思うのです。
そうした事実を改めて確認したとき、公立の先生方が集まり、文の京であるこの地域の
保育、幼児教育を支えてきた、そして、これからも支えていかなくてはいけない現場の人
たちがさまざまな知恵を集め、結実した成果については、本当に胸を張っていいことなの
だと思うのです。
それから、きょう皆さんはこのカリキュラムをまとめた冊子を初めて手にとられたと思
いますが、いらっしゃる前は、かなり分厚い冊子なのではないかと期待されていた方もお
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いでではないでしょうか。同時に、分厚い冊子であったりすると、それをどのように消化
し、自分の実践につなげるのか、ちょっと肩の荷が重くなる、と感じていた方もいらした
かもしれません。
でも、皆さんどうですか?実際に冊子を手にとってみて、そんなに厚くないと感じられ
たのではないでしょうか。それはどうしてなのか?もう、皆さんごらんになってわかると
思いますけれども、この冊子は、3、4、5歳児の幼稚園で言えば教育課程、保育園で言
えば保育課程と、それをもう少し具体化した年間レベルの指導計画がまとめられているも
ので、それ以上でも以外でもないのです。そうした計画を具体的にこうしたらよい、とい
う事例は一切ついていないのです。自治体によっては、 事例がメインになっているケース
もありますが、今回、文京区さんがまとめたものは、あえてと事例は入れていないわけで
す。つまり、大綱的な姿勢でこのカリキュラムを示した、と言っていいと思います。
ちなみに「大綱化」という言葉は、今の『幼稚園教育要領』『保育所保育指針』が改定
された際の説明会などでも聞かれたことがあるでしょう。この「大綱」という言葉は、「物
事の骨格」とか「輪郭」「アウトライン」という意味です。ですから、「大綱的な文書」
とか、「大綱的に物事を示しましたよ」といった場合は、かゆいところに手が届くような
事細かいことを一々挙げるのではなくて、大事にすべき骨格に絞って示すということなの
です。まさに今回つくられたカリキュラムは、そういった姿勢で示されたのです。ですか
ら、あえて事例もないし、冊子としての厚みもないわけです。でも、それは委員の先生方
が手を抜いたわけではなく、意図的にそのようにされたわけです。
では、どうしてそういった大綱的な姿勢で取りまとめたのでしょうか?それは実際に 保
育をどのように展開していくのか、その具体的なことについては、それぞれの園で地域の
特性も違えば園の規模も違う。さらには、利用している保護者、あるいは家庭の状況もさ
まざまであり、雰囲気もまた違うでしょう。ですから、同じ文京区にある園とは言っても、
環境や条件が違えば同じ保育はできないでしょうし、またするべきではないのです。そう
いうことを策定委員の先生方もよく御存じだからこそ、あえて大綱的なものにとどめ、具
体的なところは各園、各先生方に任せるといった姿勢を大事にされたからです。
ですから、くどいようですが、ある意味、この冊子の薄さに大変意味があり、その点も
文京区版の一つの特徴だと前向きに受けとめていただきながら、その具体化をどうするか
については、あすからそれぞれの現場で花が開いていくことを期待したいと思いますし、
その思いは私以上につくられた委員の先生方の共通の思いだと思うのです。そのこともこ
のカリキュラムの大きな特徴だということで理解しておいていただけるとありがたいと思
います。
もう一つ、今回つくられたカリキュラムの特徴は、保護者向けのリーフレットとワンセ
ットになっているということです。自治体レベルでつくられたカリキュラム を冊子化し、
それを教職員の方たちに配布する。さらに共有するということはある意味では当たり前に
あるですが、それを保護者にも届けていこうという努力、しかも、その努力を言葉の上だ
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けではなく、きちんとこうやって形にして届けていくこともあわせてなさっているという
のは、文京区版の非常に工夫している特徴だろうと思います。
しかも、保護者の方たちは保育という点に関してはもちろん専門家ではございません の
で、リーフレットのほうでは一番大事にしたいところをダイジェスト的にまとめ ています。
専門家の中だけで通用するポイントを共有するだけではなくて、きちんと保護者の方たち
にも届くこともあわせてつくられたことも大変大きな特徴と皆さんにも受けとめていただ
けるとありがたいと思いますし、その取りまとめも限られた時間、お仕事の中できちんと
仕上げた委員の先生方に改めて敬意を表したいと思います。そして、皆さんにも重く受け
とめていただきながら、その具体化を先ほども言ったように 、あしたからトライしていた
だけるとありがたいと思います。
以上、私なりに感じている『文京区版
幼児教育・保育カリキュラム』の特徴をお話し
させていただきました。皆さんが手にとった印象とうまく重なる点があるのでしょうか。
今の私の話を受けとめていただきながら、自分なりに生かしていこう、活用してい こう、
という意欲に是非つなげていただけるとありがたいと思います。
では、レジュメのほうに話を戻していきたいと思います。
『文京区版
幼児教育・保育カリキュラム』の成果について、まず1つ目のポイントと
して、「幼児教育・保育のスタンダードが示されている 」ということを強調しておきたい
と思います。
「スタンダードが示されている」という言い方はピンとくるものでしょうか?「スタン
ダード」という言葉は、言いかえれば「標準」ですが、あまりピンとこないとすれば、「大
事にすべき保育の基本的なものを示している」と言いかえてもいいかもしれません。この
点は、公立の幼稚園・保育園の先生方がつくったからこその成果なのだろうと思うのです。
幼稚園・保育園は公立さんだけではなく、私立もあります。私立 の園では設置者の思い、
設立母体の理念等を踏まえながら、個性的な保育が展開されています。そこに私学の特徴
があると言っていいと思います。
また、親御さんの中にもそうした私学の特徴に目を向けながら、私立園を選択される方
もいらっしゃるのでしょう。でも、たとえ私立としてそれぞれ独自の理念があり、それに
基づいて個性的な保育を展開したとしても、一番ベースのところで大事にすべきこと、例
えば4歳は4歳としての発達、あるいはその生活にふさわしいことを幼稚園であろうが保
育園であろうがしっかり保障し、育てていくことは当然大切にすべきことです。
でも、私たちは往々にして目に見える目立った取り組み、それも個性と言えば個性です
けれども、そういった表面的なところに目を奪われ、一番大事にすべきことを見失うこと
もあります。そんなときに、失礼な言い方かもしれませんが、公立園はあまり個性的では
ないかもしれないけれども、いずれの園でも最低限、基本として大事にすべきことをしっ
かりと意識ながら保育を展開している。そこに、公立園が存在している意味と価値がある
のだと思うのです。つまり、公立園はスタンダードをしっかり示すこと、あるいはスタン
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ダードをきちんと自覚しながら保育を維持・発展させていくことが非常に大事なのだろう
と思うのです。本カリキュラムは、まさに、それに応えるものが結集されていると言って
いいと思います。
その中でも最も大切なのは、4ページ目の真ん中から下のところだと思います。ここに
文京区の公立の幼稚園・保育園を問わず、大事にすべき保育の目標が高らかにうたわれて
いるわけです。ちょうど矢印の下に囲みで「生きる力の基礎」と書かれています。そして、
それをもう少し具体化したものが下の枠組みに示されているのですが、いかがでしょう。
せっかくの機会ですから、この枠で書かれている部分を、私と一緒に唱和していただけな
いでしょうか。ゆっくり読みますから、ぜひ一緒に読んでみてください。
「幼児期の教育は生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものです。
そこで区立の幼稚園や保育園では、下記のような力を育んでいきます。
・健康な心と体を育てます。
・人と関わる力や思いやる心を育てます。
・興味をもって取り組む力、頑張る力を育てます。
・聞く力、話す力を育てます。
・伸び伸びと表現する力を育てます。」
ということなのです。
そして、その下に「*保護者向けリーフレットより抜粋」とあります。保護者向けリー
フレットのQ&Aの一番最初に、今読んだものがそのまま記されているわけです。ですから、
この目標は保護者の方にも伝え、共有していかなくてはいけない大事な大事なメッセージ
なのです。ここに凝縮されるといっていいスタンダード、それがこの後のページ、具体的
には3、4、5歳児、さらにさまざまな期に分けながら、大事にすべきものが示されてい
る。これが『文京区版
幼児教育・保育カリキュラム』だということです。
ただ、皆さんいかがでしょう?今、読んでいただきながら、「そうだよね」とスッ~と
読み解けましたか?あるいは、ストンと胸に落ちていくものだったでしょうか?また、
「そ
んなに目新しいものではない」という方もいらっしゃるのでしょうか?
最近、幼稚園・保育園は時代の変化に対応をしていくことが求められています。子ども
や家庭の状況も変化しているというメッセージもあちこちから聞かれます。だからこそ、
これからの幼稚園・保育園も「変わっていかなくてはいけない」と盛んに言われているわ
けです。そのこと自体は、私も賛成であり、親御さんにとって利用しやすいよう、幼稚園・
保育園の形、スタイルも柔軟に変化していかなくてはいけない部分もあろうと思います。
でも、肝心かなめの目の前の子どもたちをどう見て、どう育てるかということは、そんな
にコロコロ変わるものなのか、また、変えていいものなのかというと、多分そうではない
のだろう、と私は思うのです。ですから、今、読んだものも決して目新しいものではあり
ませんが、でも、目新しいものではないものを改めて大切に掲げながら、「これが私たち
が目指すべき保育のまさに基本中の基本だ」ということを、このカリキュラムは示してい
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るわけです。だからこそ、「スタンダードを示しているのだ」と実感できるのではないか
と思うのですが、いかがでしょうか。
もちろん、繰り返しになりますが、時代に応じて私たちも変わらなくてはいけないこと
もあります。でも、変わらなくていいもの、また変えてはいけないものもあるのです。そ
ういったものの骨格をしっかり示したものがこのカリキュラムなのだ、と私は受けとめた
いし、皆さんにもそのように伝えたいのです。1点目のポイントは、そういったメッセー
ジを皆さんにお話ししたかったということなのです。いかがですか。
2つ目のポイントは、「公立の園の実践・成果の結実を実感、共有しよう」ということ
です。『文京区版
幼児教育・保育カリキュラム』は学識経験者である私たちがリードし
たものではなく、現場の園長先生たちがご自分たちの知恵、また、ご自分が1年目からず
っと公立幼稚園・保育園に勤めながら積み重ねてきた実践の成果をここにまとまてくださ
ったものなのです。
ですから、このカリキュラムは委員会の先生方の思いももちろん反映されていますが、
その向こう側にいる同僚、あるいは退職されてしまった先輩たちなどが文京区の公立園で
積み重ねてきた成果も全部詰め込まれているのです。そのくらい重みのあるものなのだと
いうことも改めて皆さんにお伝えしたいし、皆さんに実感、共有していただきたい と思う
のです。
その一端を紹介すると、例えば、3歳児の第1期目、7ページ目の右側の進級児に「経験さ
せたい内容」欄の一番下、「生活する力」の一番最後にこんな内容が示されています。「保
育者と一緒に追いかけっこや固定遊具で、体を動かして遊ぶことを楽しむ」。 これは実際
には保育園の取り組みとなるでしょうが、ここには追いかけっこすることがとても大事だ
し、そのことが体を動かすという点も含めて「経験させたい内容」だということが示され
ているわけです。サラッと読んでしまうと「まあね…」と読み飛ばしそうですが、でも、
これを普通にサラッと書こうとすると、「保育者と一緒に体を動かして遊ぶことを楽しむ 」
ぐらいの文章で終わってしまう可能性も無きにしも非ずなのです。
言葉遊びのように聞こえるかもしれませんが、でも「保育者と一緒に追いかけっこや固
定遊具で、体を動かして遊ぶことを楽しむ」と、あえて「追いかけっこや固定遊具で」と
書いてあるのは、進級児の3歳児にとって、3歳児の4月期に保育者と一緒にどういうことを
やると響き合えるのか。また、保育者もどういう遊び、経験を子どもたちと取り組んでみ
ると、その意欲を引き出したり、進級に伴う不安を解消できるのかということを実践的に
考える中、「やはり追いかけっこが大事なのだ」と考え、明記されたのだと思います。こ
のように、大綱的なものとは言え、節々に子どもとともに生きてきた保育者だからこそ、
皮膚感覚として持っている実践的な内容が盛り込まれているのです。こうした点こそ、公
立園の現場で実践を積み重ねてこられた先生方ならではと言っていいと思うのです。
同じ例は、4、5歳児にもあります。例えば、4歳児の1期目、13ページの「生活する力」
の一番最後には「友達や保育者の動きをまね、今まで経験してきた遊びも含めて、体を動
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かすことを楽しいと感じる」と書かれています。勘のいい人はおわかりでしょう。これは
先ほど読んだ3歳児の「体を動かして遊ぶことを楽しむ」と同じ流れの中で示されているも
のです。だとすれば、こんなに長い文章にせず、簡潔に「今まで経験してきた遊びも含め
て、体を動かすことを楽しいと感じる」ぐらいの文章にまとめても決して悪くないと思い
ます。でも、現場の実践の積み重ねをきちんとご承知で、その中に大事なポイントがある
ことをご存じの4歳児担当の先生方は、その手前の文言、つまり4歳児の最初の時期は「友
達や保育者の動きをまねる」ということがすごく大事だと考え、文章化したわけです。こ
こには、4歳児になったら3歳児期の自己中心的な物の見方からもう少し視野が広がり、お
友達や担任の先生の動きを視野に入れ、その人たちに関心、好奇心を持てば、それと同じ
ような動きをしてみたいと思うはずだ。また、そうなってほしいという思いが見られます。
4歳児の一番最初の時期として、見逃してはいけない大事な大事なポイントだろうと思いま
す。多分、4歳児担当の先生もそうした点を意識されたからこそ、省略せずにきちんと文章
化されたのだと思います。
さらに5歳児では、19ページの1期目、「生活する力」の下から5つ目のところに「危険
な物や場所、遊び方が分かり、状況を判断して安全に気を付けて遊ぶ」という文言があり
ます。これもスッキリ書こうと思えば、「危険な物や場所、遊び方が分かり、安全に気を
付けて遊ぶ」で済んでしまうでしょう。でも、5歳児担当の先生方は、その間に「状況を判
断して」という言葉を挿入していこうと考えられたわけです。ここには、5歳児になったら、
今自分が何をしようと思っているのか、お友達も動きも含めて考えてほしい、という視点
が見られます。今、遊んでいる遊具や動きに対して、自分はどういう対応していけばいい
のか?言葉としてはそんなに難しいことを言わなくとも、自分の目で、あるいは体で感じ
ながら行動していけるはずだし、行動してもらいたい、という思いが、先生方の中にあっ
たのではないでしょうか。もちろん、こうした遊びの途中には、けがをすることもあるか
もしれませんが、時にはそういう痛い思いをしなが ら子どもは周りを見ながら行動してい
くようになるはずです。こうした経験が、周りの状況や友達の思いを踏まえながら、自分
をコントロールしていく、本当の意味での自律心を育てていくはずです。5歳児のスタート
時点はそうした観点を見逃してはだめであり、もし、それを見逃すと、保育者が言葉だけ
で「危ないからけがしないようにしなさい」とか、「それは使わないようにしなさい」と
注意、禁止ばかりも多くなってしまうでしょう。5歳児担当の先生方は、そした保育はんか
したくないし、するべきではないと考えたからこそ、「状況を判断して」という一言を強
調されているのだと思います。こうした文言は 現場の先生方だからこそ示せるものであり、
何人学者が集まっても、なかなかこうは掛けないのではないか、と私などは思うのです。
こうした例を見ると、公立園の先生方が今まで積み重ねてきたこと、特に細やかな視点
や大事にすべき点を、観念的ではなく、具体的な場面を想定しながらまとめられたことが
わかります。皆さんもお帰りになってから、もう一度、3~5歳児まで各期の内容を丁寧に
見ていただければ、きっと実感していただけるだろうと思います。
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こうしたカリキュラムは、なかなか最初から最後まで読み解くのは難しいとは思います
が、大げさに聞こえるかもしれませんが、一つ一つの文言に本当に魂が宿っているので、
その一つ一つをしっかりと読み解き、自分の保育へ とつなげてほしいと思います。「公立
園の実践の成果の結実、それを実感、共感しよう」というメッセージは、その点を強調し
ておきたかったわけです。
では、次に3つ目のポイントである「保育の質の向上を図る際の目安にしよう」という
ことですが、これはもう先ほど高櫻先生からもメッセージを示していただきましたので、
そんなに私から補足することはありません。
ただ、「保育の質」といったとき、人によっては 「保育の質が大事なのはわかるけど、
保育の質とは何ですか?」と疑問を持つ方もいらっしゃるでしょう。「質」とは目に見え
にくいものであり、目に見えるものは「量」となるわけで、「量で計れないものを大事に
しなさい」といっているのが「保育の質」ということになるでしょう。だとすると、「そ
の質を向上させましょう」といっても、「目に見えないものをどう高めたらいいのか?ち
ょっと雲をつかむような話だ」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
ちなみに、「保育の質」については諸説ありますけれども、私が非常に共感できる定義、
あるいはジャンル分けは、保育実践の「プロセスの質」が「保育の質」だというものです。
皆さんもどちらかで聞いたことがあるでしょうか?
では、「プロセスの質」とはどういうことかというと、しばしば「保育を向上させる」
というと「保育のプロセス」よりも「結果」が重視され、その「結果」、言いかえれば「出
来映え」が親御さんの評価も含めて重視される。その「結果」こそが「保育として高いか
低いか」「評価されるか、されないか」の大きな分かれ道だという人も時々います。しか
し、「プロセスの質」を重視するとは「結果」ではなく、保育の流れにこそ意味があり、
その流れの中で子どもたちはさまざまな経験が促されている。そして、そうした経験を通
しながら乳幼児期は育っていく時期なのだから、その経験を保障しているプロセス自体を
大事にすべきだ、というものです。ですから、「保育の質」イコール「プロセスの質」と
捉え、その「プロセスの質」を高めることが「保育の質の向上」を図ることだ、というこ
とになるわけです。
ただ、話がそれだけで終わってしまうと、結局抽象的な話のままで終わってしまいます。
「活用マニュアル」をご説明された田村先生もおっしゃったように、このカリキュラムは、
各年齢ともに、期ごとに「ねらい」から「経験させたい内容」が示されています。そして、
それらは「学びの芽生え」「人とのかかわり」「生活する力」という3つの窓口から示され
ているわけです。
例えば、3歳児の一番最初、7ページを見ていただくと、1期目のねらいとして3つ挙が
っています。1つ目は「新しい環境に慣れ、気に入った遊具や場で遊ぶことを楽しむ」、2
つ目は「清潔で安全な環境の中で、安心して過ごす」、3つ目は「身の回りのことや自分で
できそうなことを保育者と一緒に行いながら、園生活の仕方を知る」です。こうした「ね
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らい」をしっかり観点に掲げながら、3歳児の1期目は新入児も進級児もそのスタートを切
っていこう、と設定しているわけです。これを起点にしながら、ページは飛びますが、5
歳児の5期目の23ページには、「繰り返し挑戦して取り組む中で、目的や課題を達成し、意
欲を持つ」「友達と共に過ごす喜びを味わい、自分たちで自信を持って園生活を進めてい
く」「小学校の体験・交流を通して就学への期待を持つ」の3点が「ねらい」として掲げら
れているわけです。これが幼稚園・保育園を問わず、私たちが保育の終着点として望みた
い子どもの育ちとなるわけです。そして、こうした育ちをしっかりと保障しながら、あと
は小学校の先生とバトンタッチしていきましょう、ということになっているわけです。そ
して、7ページの3歳児の「ねらい」から、23ページの5歳児の「ねらい」までの間には、各
期別に「ねらい」や「経験させたい内容」が、それぞれきちんと対応しながら、1つの流
れをつくっているわけです。こうした一連の流れの中に、皆さんが今までも、そして、こ
れからも展開していくであろう「保育実践の質」、特に「実践のプロセス」が示されてい
るわけです。ですから、皆さん自身が大事にしている方向性が適切なのか否かの目安が、
このカリキュラムの中にちりばめられている、と言っていいと思うのです。
さらには、このカリキュラムは保護者にも届けられているわけですから、親御さんも こ
こに示されていることを承知し、さらには期待しながら、皆さんにわが子を委ねていくわ
けです。こんな風に言うと、少しデリケートになる方もいらっしゃるかもしれませんが、
決して「皆さんデリケートになってください」ということを言いたいわけではありません。
要は、保護者など、多様なまなざしを意識することが、結果的に「実践の質」を高めるこ
とにつながることを強調したいだけです。このカリキュラムは、そうした 多様なまなざし
を凝縮しているものでもあるわけです。ですから、このカリキュラムは実践前に、どんな
実践を展開するかという計画レベルで活用することはもちろんですが、目安などで使うと
すれば「評価」、「評価」という言葉に抵抗を感じるとすれば、「保育実践の振り返り」
としても活用することもできるわけです。「保育の質の向上」ということで言えば、「評
価」や「保育実践の振り返り」に活用してこと、このカリキュラムは 価値があるのかもし
れません。そのように受けとめていただきたい、活用していただきたいと思います。3つ目
の「保育の質の向上を図る際の目安にしよう」というメッセージは、そんな思いが込めら
れたものだ、と受けとめていただけるとありがたいと思います。
では、最後の4つ目のポイトンである「具体化は各園、各保育者に委ねられている」と
いうことですが、これを締めくくりのメッセージとして強調したいのは、繰り返し述べて
きたように、このカリキュラムは大綱的なものであり、これだけを手かがりに、あしたの
保育をやってみようといっても無理だからです。
実際の保育は小学校のように時間割が決められているわけではありませんし、教えるべ
き事柄が国から教科書という形で示されているわけでもありません。そのため、あすの朝
から一体どんな遊び、あるいはどんな経験を子どもたちに促したらいいのかについては、
クラス担任の先生が自分で考えていかねばなりません。つまり、最前線で子どもさんを保
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育している皆さん自身がこれを具体化していく責任があるわけです。
でも、「責任」というと、また肩の荷が重くなってしまうと人もいるかもしれません。
そんなときに、これまた繰り返しになりますが、このカリキュラムが大綱的なものであり、
あえて細かいことを挙げていないのは、策定委員の先生方が皆さんのことを信頼している、
また、皆さんに考える自由を与えていると捉えていただくとよいのではないでしょうか 。
ときに、こうしたカリキュラムが示されると「上から目線でこうしなさい、ああしなさい
と言われた」と受けとめられるケースもあるかもしれませんが、『文京区版
幼児教育・
保育カリキュラム』は決してそうしたまなざしで示されているものではありません。きょ
うの研修会も「黙って、このカリキュラムに従いなさい」「この通りにやりなさい」とい
うことを皆さんに強いる場にはなっていないはずです。
ですから、このカリキュラムを指導案レベルにいかにつなげていくのか。さらには 、指
導案につなげておしまいだけではなくて、「保育の質の向上」を図るため、どのように保
育の振り返りに活用していくのかは、まさに皆さんに委ねられているのです。 それが、各
園、各保育者の中で少しずつ実現していけば、「計画」と「実践」と「評価」も連動して
いくことでしょう。その結果、「保育の質」も高まり、皆さん自身の専門的な力量もアッ
プしていくはずです。こうしたことが、皆さんの園の保育力を高めるとともに、親御さん
の期待にも応え、信頼感を高めることにもなっていくのだと思います。子どもさんの笑顔
も、こうした取り組みを通して増えていくのではないでしょうか。「具体化は各園、各保
育者に委ねられている」とは、そうした取り組みを期待していることだと受け止めていた
だけるとありがたいと思います。
今後、いずれかの機会に皆さんと再会することもあろうと思いますが、その際、今、文
京区さんは公立の幼稚園さんが10園、公立の保育園さんが18園、合わせると28園あるわけ
ですが、このカリキュラムをもとにしながら28通りの豊かな実践、そして、充実した子ど
もさんの姿、さらに親御さんの笑顔といったものが花開いていることを期待したいと思い
ます。また、そうした出会いが、再び訪れることを私も楽しみにしながら、きょうの話を
締めくくりたいと思います。
御清聴いただきまして、ありがとうございました。ぜひ御活用ください。頑張ってくだ
さい。(拍手)
○新名保育課長
師岡先生、ありがとうございました。
それでは、大変お忙しい中貴重なお話をいただきました師岡先生、高櫻先生に改めて皆
様から盛大な拍手をお願いいたします。(拍手)
それでは、以上をもちまして、本日の合同研修は終了となりますけれども、研究の中で
の疑問点につきましては、皆さんそれぞれお帰りになって園長から聞いてください。
あと、今の師岡先生のお話にもありましたとおり、このカリキュラムの具体化は皆さん
のあしたからの実践にかかっておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
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