「福岡教育大学研究シーズ集」【個人別シーズ登録票】No.049 協同的な表現活動及びワー クショップの実践研究 キーワード 最終更新日:2015年8月31日 幼児教育講座 准教授 笠原 広一 ・アート ・表現活動 ・ワークショップ ・幼児教育 ・図工美術 ・社会教育 ・郷土玩具 研究シーズの説明(私は、このような研究に取り組んでいます。) 私たちは普段、さまざまな感情や考えを表現し、互いにコミュニケーションしながら生きています。コミュニケーションを情報 伝達と考えるならば、言葉や文字によるコミュニケーションはとても合理的です。しかし、私たちが抱く感情や考えは、言葉 だけで上手く表現できるものばかりではありません。 とりわけ誰かと協同で、何らかの新しい考えや体験を生み出していく創造的な活動においては、色や形などの美術表現や、 声や身振りといった身体表現なども重要な役割を持っています。それによって、自分にはない感覚やものの考え方、表現の 仕方に気づくことができます。 私は現在、そうした協同的な表現活動の実践と研究に取り組んでいます。幼稚園や保育所で行なう協同的な造形や劇の 活動、美術や身体表現の活動を融合させた小中学校でのワークショップ、協同的な取り組みの理論と実践に基づいた教員 の研修会などを対象に、人々が共にかかわり合いながらどのような体験をし、新たな気づきや意味を生み出していくのか、 そのプロセスや実践方法等の研究をしています。 現在次のような実践と研究を行なっています。 ①美術・造形活動をとおした協同的な表現活動のデザイン ②自然体験をとおした美術・造形活動のデザイン ③幼児教育における協同的な保育実践に関する実践と理論の研究及び研修会の企画 ④小中学校での美術・身体表現を用いたワークショップ型授業の開発 ⑤地域の社会教育活動での美術・造形活動の実践とその記録と研究方法の開発 ⑥ICT(タブレット端末等)を活用した協同的な映像表現ワークショップのデザイン ⑥郷土玩具の技法の記録や制作活動をとおした地域文化の研究 成果の応用可能性(私の活動の成果は、このような分野にこのように貢献することができます。) こうした研究をとおして、具体的には下記のように応用が可能と考えます。 ○幼児教育:子ども同士が表現や探求をとおして協同で遊びや学びを生み出す保育実践の考え方や方法に関する研修会 などに応用が可能です。特に近年保幼小接続が重視されているなか、こうした協同的な表現活動の促進は保育の質的向 上に多いに役に立つものと考えます。 ○小中学校:図画工作や美術科、総合的な学習の時間での実践や、他教科との領域融合的な取り組みの促進に役立ちま す。特に学校でのワークショップ実践は、従来とは異なる評価の観点や、児童・生徒の側に立った意味生成に視点がシフト しますので、子どもたちの生きる力を育むために新たな実践を取り入れたいと考えている先生方に具体的な手がかりを提 供できると考えます。これまでも先生方と共同で授業づくりから実践と記録、事後の考察までを行なってきており、新たな取 り組みにチャレンジしたいとお考えの先生方のお手伝いも出来ると考えます。 ○社会教育:幼児から大人まで幅広い層を対象としたワークショップや、体験型事業の企画実施から記録検証までのサ ポートをとおして応用が可能と考えます。毎年学生らも企画から広報、実践と検証、報告書作成までを自分たちで行なう 事業を継続的に行なってきています。美術等の表現活動や郷土玩具、タブレット端末を使った活動など、幅広い内容で 事業実施や成果の検討、社会教育を担う施設スタッフやボランティアの皆様の研修会などにも応用が可能と考えます。 これまでの連携研究や社会貢献活動の実績 ○幼児教育:九州地区の保育研修会講師(造形活動)、教員免許状更新講習での協同性を育む造形実習の講座 ○小中学校:中学校におけるタブレット端末を使った映像表現ワークショップの共同実践、小学校図画工作と幼児教育との カリキュラムの系統性に関する共同研究、教員免許状更新講習でのiPadを使った協同映像表現の講座 ○社会教育:子どもアートカレッジ事業の実施(表現ワークショップを複数盛り込んだ連続講座で2012年から毎年開催)、 美術館での親子造形教室の講師など多数 55
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