e-NEXI - 日本貿易保険

e-NEXI
2013 年 2 月号
➠特集
デリー・ムンバイ産業大動脈開発公社で働いてます・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
デリー・ムンバイ大産業動脈開発公社(DMICDC)
インフラ開発・投資促進アドバイザー 村山 勝彦
➠カントリーレビュー
OECD カントリーリスク専門家会合における国カテゴリー変更国の概要・・・・・・・・・・・・・・・・・6
➠NEXI ニュース
2013 年日韓二国間協議開催報告・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7
NEXI とバンコック銀行との業務協力協定の締結について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8
発行元
発行・編集 独立行政法人日本貿易保険(NEXI)
総務部総務・広報グループ
e-NEXI (2013 年 2 月号)
デリー・ムンバイ産業大動脈開発公社で働いてます
デリー・ムンバイ大産業動脈開発公社(DMICDC)
インフラ開発・投資促進アドバイザー 村山 勝彦
1.インド人との仕事
(1)DMICDC とは
日本の経済産業省が中心となり、日印の共同事業として立ち上がった「デリー・ムンバイ間産業大動
脈構想(DMIC:Delhi-Mumbai Industrial Corridor Project)」は、デリーとムンバイの間(約 1500km)に、
貨物専用鉄道(円借款 4500 億円)を敷設。その周辺に、工業団地、物流基地、発電所、道路、港湾、
住居、商業施設などのインフラを民間投資主体で整備し、一大産業地域を形成しようとする、インドで最
も注目されているプロジェクトの一つである。インド政府はこの構想を推進するために、財務大臣をヘッドと
し、商工大臣、鉄道大臣、都市開発大臣など関係閣僚から構成される運営委員会を設置するとともに、
この構想の推進主体であり開発計画の策定や関係機関間の調整などを行う「デリー・ムンバイ大産業動
脈開発公社(DMICDC:Delhi Mumbai Industrial Corridor Development Corporation)」を 2008 年 1 月
に設立、今年で満 5 才になった。私はインフラ開発・投資促進のアドバイザーとして経済産業省から
DMICDC に派遣されている。DMICDC は各国の大使館が集まるニューデリーの外交地区「チャナキャプリ」
の一角にある国営ホテル、“アショカ・ホテル”の 3 階にオフィスを構えている。外部のコンサルタントも含め常
時 20 人程度のインド人が働いている。この組織を引っ張るのはアミタブ・カント総裁。中央政府の観光省
やインド南部ケーララ州の産業開発公社のトップとして活躍して来た人物である。カント総裁の著書
“Branding India-An Incredible Story”はインドへの観光客誘致の促進力として国際的にも高い評価を
受けている。観光客を誘致するために空港、道路、橋等のインフラ整備を進めた経験を有するが、こうし
た経験を請われて DMICDC の総裁に就いたのではないかと思う。「デリー・ムンバイ間 1483km。物流に現
在は 2 週間かかっているが、貨物鉄道整備で十数時間に短縮し、その周辺に日本の最先端技術を備え
た工業団地を整備し、インドの弱点である工業生産性の増加と雇用の創出を図る。日本の支援で。」、
数々の講演で手振り、身振りも入れて熱くこう話すカント総裁。会場からは拍手が起こる。その表情は真
剣かつ強面であるが、オフィスでは意外に大人しく優しく話をしてくれる。
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アミタブ・カント総裁
(2)DMICDC の一日
DIMCDC のオフィスは月曜から土曜日の朝 9:00~夕方 6:00 までが基本的な勤務時間。日本では週
休二日制が定着してしまったがここはまだ土曜日も仕事である。日本との大きな違いはオフィス・ボーイと
呼ばれる人たちが 3 人いて、コピー、ホッチキス止め、資料整理から食事の世話まで何でもやってくれるの
で、職員は仕事に没頭できる環境が用意されているところ。こうした作業までやらせることに慣れていない
日本人にとっては戸惑いの一つである。朝から多くの来客がある。来客のほとんどはインド人であるが、前
の会議が長引いて1時間くらい待たせても全く気にせずずっと待っている。インド人は短気と聞いていたが
意外に気が長い。昼食は基本各自自宅から持ち寄った弁当をオフィス・ボーイが温め、サーブしてくれる。
自分が持ってきたものを皆で分け合いながら仲良く雑談しながら食べている。東京ではこうした風景を見な
くなったので懐かしく、かつ少しうらやましい。私も仲間に入れてもらっておすそ分けにあずかっているが、じゃ
がいも、豆といった野菜料理中心で非常においしい。インドに行ったらカレーしか食べないと赴任前に聞か
されていたが、カレー以外にもおいしいものがいっぱいある。弁当のない私にもオフィスの方で昼食を用意し
てくれる。インド料理ばかりではかわいそうだろうとマクドナルドのハンバーガー、サブウェイのサンドウィッチがイ
ンド料理の間にインターバルとして入る。9 月末に着にして 4 か月くらい経過したが、すでに日本にいたとき
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の一年分以上のフレンチフライを食べている。オフィスでの会話はインド人同士であっても英語を使っている。
公用語が英語であることから英語は相当上手い。こうした人たちと英語で議論できないとインドでのビジネ
スは難しい。夕方 6:00 に終業時間を迎える。この時間で帰る人はほとんどおらず、夜 8 時くらいまで残業
している人が多い。8 時って早い、と思う人が日本人の場合ほとんどかもしれないが、朝 9:00 の始業後、
昼食以外に休憩もないし、その昼食も食べたらすぐ仕事である。コンビニや自動販売機もないのでちょっと
休憩という時間がほとんどない。したがって、相当中身が濃い勤務時間である。インドの夜8時は結構疲
れる。この時間になると全員帰った後にオフィスの掃除が待っているオフィス・ボーイたちがパーテーション越
しに“早く帰れビーム”を出してプレッシャーをかけて来る。毎日小さな戦いである。
DMICDC のメンバーと筆者(中央)
2.DMICDC の最近の取り組み
冒頭に申し上げたとおり DMICDC も満5歳を迎えた。開発構想の企画のフェーズから具体的プロジェク
トの実施へのフェーズへと来ている。日本政府もこうした機を見て DMIC 構想の進展に手を抜いていない。
まず、現在インド側 100%出資の開発公社となっている DMICDC に日本政府(JBIC)も資本参加し、具体
的なプロジェクトの実施に更なる積極的な関与をしていく方針であり、間もなく日印共同の開発公社”新
生 DMICDC“として新たなスタートを切る予定だ。また、具体的なプロジェクトの実施支援として日印政府
双方で 90 億ドルの DMIC ファシリティの立ち上げを決定している。DMIC 地域に日本の最先端技術を活
用した持続可能なインフラ整備を進めるため昨年 11 月に日本側の 45 億ドルの DMIC ファシリティの対象
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となる 19 のプロジェクトを日印両政府で確認をしている。両政府の確認だけではプロジェクトは前に進まな
い。19 のプロジェクトが少しでも前に進展するよう日印の官民で協力して進めていくことが非常に重要だと
思う。DMICDC でプロジェクトの話をしていると「何で日本側は 19 のプロジェクトを進めることに拘るのか。19
以外にも重要なプロジェクトはある。そうしたプロジェクトにも目を向けて欲しい」とインド人は言う。6 つの州
にまたがる壮大な DMIC のプロジェクト。視野を広く、アンテナを高くして日本企業のチャンスを探ってみたい
。そう思うとインド側の 45 億ドルファシリティの対象となるプロジェクトはどうなっているのか?これも気になると
ころであるが現在 DMICDC を中心に関連の 6 つの州などと調整を進め、案件の具体化を進めている。こ
ちらはもう少し時間がかかるようだ。この1月にグジャラート州ダヘジの海水淡水化プロジェクトについて関
係者間で給水量や給水価格などの水売買に関する契約(WPA: Water Purchase Agreement)に調印さ
れたことが日本の新聞でも報道された。こうした具体的な案件の進展が呼び水となっていくことを DMICDC
も望んでいるし、支援を惜しまない覚悟はカント総裁以下スタッフも準備はできている。WPA 調印の前日
DMICDC の同僚は 170 本近くの電話を受けた。会議などもあり電話に出れなかった時間も除くと、おおよ
そ 2 分弱に1度の頻度で電話をしていた。プロジェクトを前に進めるために DMICDC も汗をかく、という証左
ではないかと思う。
3.成長するインド市場
「真夜中が時を打ち、世界が眠りにつくそのときに、インドは生命と独立に目覚めるであろう」、インド初
代首相のネルーは 1947 年 8 月の独立式典でこう言った。その時から 66 年。インドはすっかり目覚めたどこ
ろか、世界の成長センターとして強い成長を続けている。世界的な金融危機などの影響もあり 2012 年の
経済成長率はそれまでの 7%から 5%台へと落ちたものの、それでも他の国と比べれば高い成長を続けてい
る。こうした高い成長を持続的なものにするために、そのネックとなっているインフラ整備もインド政府は進め
る計画であり、国家計画委員会の資料では今後 5 年間で1兆ドルの投資が計画されている。日本企業
にとっても投資のチャンスであると思うが、インドは中央政府と州政府との関係、税制や金融など制度の
問題、土地収用の問題など多くのハードルをクリアする必要がある難しい市場である。時に企業の投資
回収期間と合わないという声も聞くが、難しい市場であるが故に政府の役割も重要であるような気もする。
インドはこれまで円借款が経済協力の主体であったが、DMIC 構想は日本の民間資金・技術を導入して
進めて行く構想であり、今後民間投資が拡大すれば NEXI の役割もますます重要になる。日印経済関
係の相互の発展のために DMICDC で少しもがいてみたい。最後にデリーにお越しの際は是非 DMICDC の
オフィスにも気軽にお越しください。
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デリー・ムンバイ間産業大動脈構想地域
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OECD カントリーリスク専門家会合における国カテゴリー変更の概要
<Point of view>
・ 第 65 回会合にて、欧州、CIS、中東及び北アフリカの計 42 か国について議論。
・ アラブ首長国連邦が格上げ、カタール及びチュニジアが格下げとなった他は、全て現状維持とな
った。
【アラブ首長国連邦】D→C
石油産業のアブダビ及び貿易ハブであるドバイの 2 つの首長国を核とし(同 2 首長国で GDP
の 9 割弱を占める)、計 7 つの首長国からなる連邦。世界第 8 位の原油生産国で、産業別
GDP 構成では石油・ガス部門が 38%を占める。世界的な経済危機の影響から脱して、2011 年
及び 2012 年は約年 4%の経済成長が続き、外貨準備が更に積み増されている。ドバイ首長国
系企業の債務問題に懸念無しとはしないが、世界的規模で見ても安定感のあるアブダビ首長
国の力強い経済に支えられ、連邦政府としての債務償還能力はむしろ高まっているとの評価が
可能である。
【カタール】C→D
国民一人当たり GDP は 98,330 ドルと、湾岸協力会議(GCC)諸国中で首位。世界最大の
LNG 輸出国で、2011 年の石油・ガス部門は GDP の 58%を占める。高い経済成長が続く一方
で債務が増加しており、GDP 比での債務比率は悪化傾向にある。対外借入資金は不動産投
資等に使われているわけではなく、主に LNG 生産設備への投資に振り向けられ健全な資産負
債管理がなされているものの、今後、米国及び豪州におけるガス生産が増加し、LNG 市況が弱
含む可能性がある。当該国は LNG への依存度が特に高いことから、市況悪化による経済全体
への悪影響が懸念される。
【チュニジア】D→E
ベン・アリ大統領の長期独裁政権が国民の抗議活動(「ジャスミン革命」)により崩壊し、議
会選挙を経て、2011 年末より穏健イスラム政党が第一党となりジェバリ内閣が発足。体制移行
に伴う混乱や治安の悪化が影響して経済は低迷し、財政赤字も拡大している。欧州経済への
依存度が高く、欧州への輸出や欧州旅行者からの観光収入も減少傾向にある。国際機関と
の関係は良好なため、今後とも必要な支援を受けることはできるであろうが、政権移行に伴う混
乱の収束には困難を伴うものと考えられる。
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2013 年日韓二国間協議開催報告
2013 年 2 月 5 日~7 日にかけて、日韓二国間協議を北海道にて開催しました。定例会議であ
る本協議は今年で 20 回目をむかえますが、毎年、両国の貿易保険関係者が率直な意見交換や
情報共有を行い、本国の貿易保険制度の一層の充実に役立ております。韓国からは韓国貿易保
険公社(K-sure)の Cho 社長以下 7 名、日本からは NEXI 鈴木理事長以下、総務部、営業第二
部、審査部、債権業務部より各分野の専門家である実務担当者ら計 6 名が出席し、活発な議論
が行われました。
K-sure は従業員数約 400 人、引受総額は NEXI の約 1.6 倍の、比較的大規模な輸出信用機
関ですが、抱える問題意識には共通のものも多く、特に学ぶところの多い協議相手です。今回の協
議では、両機関の 2012 年の業務実績や今後の経営方針や課題、債権回収戦略、そして引受案
件のある国々の経済状況等が議題に取り上げられました。韓国側が特に興味を示したのは、韓国
政府が国家戦略として掲げる、中小企業育成への取り組みでした。K-sure の現状では、中小企業
支援は損害率の高い事業であり、全社員の約 6 割を投入することで約 8000 社の引受先を管理し
ているとのことでした。両機関には違いがあるものの、NEXI も近年中小企業支援に力を入れているこ
とから、ケーススタディやリスク軽減手法等学ぶことが多く、大変有意義な情報交換が行われました。
今後も、本協議を通じた積極的な交流によって、両国の協力関係を深化させ、親密な情報共
有を行って参ります。
会議の様子
集合写真
(提供:NEXI)
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日本貿易保険(NEXI)とバンコック銀行との業務協力協定(Business Cooperation
Agreement)の締結について
独立行政法人日本貿易保険(NEXI)は、2013 年 1 月 25 日、タイのバンコック銀行との間で業
務協力協定(Business Cooperation Agreement)を締結致しました。NEXIは、中小企業の海
外事業活動における資金調達を円滑化するため、本邦中小企業の現地子会社に対する海
外現地金融機関等による短期貸付に関し海外事業資金貸付保険の引受を行うこととしてい
ます。
タイにおける進出日系企業はASEAN地域の中では最も多い 1ことから、本邦中小企業にお
いても同地にて事業活動を行う際の資金調達を円滑化するための措置を講ずることは急務
となっているところです。
今回のNEXIとバンコック銀行との業務協力協定を通じ、本邦中小企業の在タイ現地子会社
に対するバンコック銀行経由の短期貸付に関し、海外事業資金貸付保険の引受を行うことが
可能となりました。
またNEXIは本取組みを本邦地域金融機関とも連携して推進していくことを予定しており、今
回の業務協力協定の締結を通じて、中小企業者の海外進出にかかる資金供給の円滑化を
支援して参ります。
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バンコク日本人商工会議所によれば、2012 年 4 月 1 日現在の進出日系企業の会員数は
1,371 社。http://www.jcc.or.th/modules/doc1/content0006.html
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本件お問い合わせ先
総務部 経営企画グループ TEL: 03-3512-7654
営業第一部 営業企画グループ
中小企業支援・地銀等連携チーム TEL:03-3512-7563
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