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e-NEXI
2009 年 9 月号
➠特集
食料安全保障のための海外投資促進に関する指針について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
外務省経済局経済安全保障課 外務事務官 大江 馨
レアメタル確保戦略(ポイント)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13
独立行政法人日本貿易保険 理事 加藤 文彦
発行元
発行・編集 独立行政法人日本貿易保険(NEXI)
総務部広報・海外グループ
e-NEXI (2009 年 9 月号)
食料安全保障のための海外投資促進に関する指針について
外務省 経済局 経済安全保障課
外務事務官 大江 馨(おおえ・かおる)
1.はじめに
昨年、コメ、大豆等をはじめとして、食料の国際価格は史上最高値を記録した。現在、価格はピーク
時に比べると落ち着いているものの、依然として比較的高い水準で推移している。国際的には、食料価
格高騰により飢餓・栄養不足人口が増加、食料輸出国の中には自国への供給を優先するため輸出規
制を実施する国が現れる等、食料需給はひっ迫基調にあり、世界的に食料生産の増大が図られる必要
がある。
我が国においては、国土資源の制約もあり、食料の約6割を海外からの輸入に依存しているのが現状
である。国際的な食料需給が中長期的にひっ迫基調にある中、国民に対し、安定した食料供給をいか
にして確保するかは、我が国にとって大きな課題となっている(図1)。
図1
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本年4月に設置された「食料安全保障のための海外投資促進に関する会議(海外農業投資促進会
議)」は、上記のような国際情勢を踏まえ、我が国への食料安定供給と世界全体の食料増産を見据
え、我が国からの海外農業投資(生産、集荷、輸送、輸出等を含む海外農業関連投資をいう。以下
同じ。)を促進するための方策について、関係省庁・機関(外務省、農林水産省、財務省、経済産業
省、国際協力機構(JICA)、国際協力銀行(JBIC)、日本貿易振興機構(JETRO)及び日本貿易
保険(NEXI))の出席の下、検討を重ねてきた。「食料安全保障のための海外投資促進に関する会議
(海外農業投資促進会議)」は、5回の会合(4月21日、5月22日、6月18日、7月28日及び8月2
0日)を経て、「食料安全保障のための海外投資促進に関する指針」をとりまとめたところ、本稿では、こ
の指針について紹介したい。
2.「食料安全保障のための海外投資促進に関する指針」策定の趣旨
指針の構成は次のとおりである。
1 趣旨
2 食料安全保障に関する国際情勢の変化
3 食料安全保障のための海外投資の促進
4 我が国の行動原則及びこれに関する国際的取組等
5 今後のステップ
指針では、我が国からの海外農業投資を促進する必要性があると示した上で、「(我が国からの海外
農業投資促進)に官民が一体となって取り組むため」に、「食料安全保障のための海外投資促進に関す
る指針」を策定すると、指針策定の趣旨を述べている。
以下では、上記の指針の構成に沿って、指針の内容を紹介する。
3.食料をめぐる国際情勢 ∼海外農業投資の拡大∼
指針ではまず、食料安全保障に関する国際情勢の変化を、以下のように分析している。
食料価格高騰を受けて、最近、世界の食料安全保障は、国際社会が取り組むべき緊急の課題とし
て、多くの国際会議において取り上げられている(図2)。
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図2
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例えば、昨年 6 月の国連食糧農業機関(FAO)ハイレベル会合、同年7月のG8洞爺湖サミット、本
年 4 月の G8 農相会合、同年 7 月の AU 総会及び G8 ラクイラ・サミット等において、食料生産の拡大及
びそのための農業投資の増加の必要性が強調された。
世界の食料安全保障のためには、長年にわたって減少傾向にある農業分野への投資を増加へと転じ
ることにより、食料需給の緩和を図る必要がある。FAO 等の農業及び食料関連の国際機関は、投資を
受け入れる国にとっても技術移転等のメリットがあるとして、農業投資の拡大を基本的には歓迎すべきと
の立場を表明している。
農業投資は、長期にわたり減少傾向にあったが、昨年の食料輸出規制の拡大等を契機に、自国へ
の食料供給を主な目的とした、一部の食料輸入国の企業等による海外での大規模農業投資の動きが
目立ち始めた。また、食料生産やバイオ燃料の原料生産を目的とした海外での農地取得やリースも増
加している。上述のとおり、農業投資の拡大は基本的には歓迎されるべきことであるとの考え方に対し、
一部のメディアや研究機関の中には、このような国際農業投資が途上国の人々に負の影響を与え得る
として、批判を展開しているものも見られる。
我が国は、このような批判に対して、国際農業投資は投資側と被投資側の双方が裨益するような形
で行われることが望ましいとの考えの下、投資側と被投資側の win-win 関係の実現に向けた提案をして
いる。具体的には、農業の持続可能性を確保し、責任ある国際農業投資を促進するための行動原則
及びベスト・プラクティスをとりまとめることを提案しており、この提案に対して各国から賛同を得ているところ
である。
なお、我が国企業による海外農業投資に関しては、指針では次のとおり述べている。
「主要穀物等に関し、我が国の商社等は、北米、ブラジル、豪州を中心に、主に集荷事業への投資
を展開してきた。近年では、生産事業に進出する企業もある。」
4.食料安全保障のための海外投資の促進
指針では、食料安全保障のため我が国からの海外農業投資を促進する際の基本的方向、具体的な
取組が示されている。
指針において、対象となる農産物及び地域は以下のとおりである。
「①農産物
対象農産物は、国際的な食料需給動向、食生活における重要性、輸入依存度等を踏ま
え、当面は、大豆、とうもろこし等とする。
②地域
中南米、中央アジア、東欧等において、投資環境の整備とともに、農業投資関連情報の収
集・提供を重点的に実施する。」
我が国からの海外農業投資を促進する目的として、指針では2つの目的が示されている。1つは、上記
の対象農産物の我が国への安定的な供給を確保することである。そして同時に、対象農産物の生産の
増大を世界全体的に図っていくことも目的として明示されている。
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海外農業投資促進に際して、指針において示されている基本的方向は、「対象となる農産物及び地
域に応じた最も効果的な支援を、民間企業や被投資国との緊密な連携の下、政府及び関係機関が
総合的・戦略的に実施」するというものである。「食料安全保障のための海外投資促進に関する会議
(海外農業投資促進会議)」では、海外において実際に農業分野の事業を展開している企業等へのヒ
アリングを通して、海外農業投資を実施する際の問題の所在の検討を行った。明らかになったのは、農業
分野に特有の様々なリスクの存在が、企業にとって事業展開の障害となっているということである。企業等
からは、このような様々なリスクを軽減することができれば海外農業投資促進につながるとの意見が寄せら
れた。指針においては、海外農業投資促進を図る際の基本的方向に沿って効果的な支援を総合的・
戦略的に実施することにより、本邦企業が事業を展開する際に存在する様々なリスクが軽減されると考
えている。
「食料安全保障のための海外投資促進に関する会議(海外農業投資促進会議)」では、海外投資を
支援するための具体的な方策の検討が行われてきた。海外農業投資促進会議での検討を受けて、指
針において、官民連携モデルの構築として具体的な取組がとりまとめられた。指針は、海外農業投資を
官民連携により促進するための公的支援ツールとして、以下を挙げている。
「①投資環境の整備:政府間の経済対話等を通じ、本邦企業の活動に必要な投資環境の整備
を図る。在外公館等を通じて個別の企業支援を提供する。また、二国間投資協
定等の締結を並行して検討する。
②ODAとの連携:海外農業投資の促進に資する生産・流通インフラ整備や人材育成等に、被
投資国に対する裨益効果や我が国経済協力方針等を踏まえ、ODAを活用す
る。
③公的金融の活用:海外農業投資に必要な資金の調達のため、JBIC等を活用する。
④貿易保険:カントリーリスク等の軽減のため、貿易保険を活用する。
⑤農業技術:品種改良、病害虫対策、土壌改良、水資源管理、生産性改善など農業研究開
発・技術移転について、農業研究機関、JICAその他を通じて共同技術研究、技
術支援、専門家の派遣等を、我が国の実需者のニーズを十分に考慮した上で実
施する。
⑥農業投資関連情報:投資先国の農地、法制、税制等の海外農業投資関連情報の収集・提
供体制の整備について検討するほか、民間企業に対する海外農業専門家の紹
介等について検討する。
⑦輸入の安定化:WTOや二国間交渉等により、輸出規制の抑制等、我が国への輸入の安定
化を図る。
⑧プラン策定のための活動:官民連携プランを策定する上で必要となる現地調査・ミッション派遣
等を実施する。」
これらの公的支援ツールは、個別に利用するよりも組み合わせて用いられることにより、海外農業投資
の一層の促進が図られると考えられることから、指針においては、「公的支援ツールを総合的に活用する」
としている(図3)。
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図3
また、指針では、支援を実施する際には、政府及び関係機関は、国内農業政策との整合性を確保
すると明示されている。
5.我が国の行動原則
指針では、海外農業投資を実施する際の我が国の行動原則が提示されるとともに、海外農業投資に
関する国際的枠組みの形成についての我が国の取組を紹介している。
まず、海外農業投資を実施する際の我が国の行動原則に関して、指針においては、被投資国におけ
る農業の持続可能性の確保、投資側と被投資側の双方が裨益する形での投資の実施が重要であると
の考えが示されている。この考え方に基づき、海外農業投資促進のための方策を検討する際に、政府及
び関係機関が整合性を確認する我が国の行動原則として、指針では以下の6点が挙げられている。
「① 被投資国の農業の持続可能性の確保
(例:投資側は被投資国において、持続可能な農業生産を行う。)
② 透明性の確保
(例:投資側は、投資内容について、契約締結時等において、プレスリリース等により、開示す
る。)
③ 被投資国における法令の遵守
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(例:投資側は、土地取引、契約等被投資国における投資活動において、被投資国の法令
を遵守する。)
④ 被投資国の農業者や地域住民への適正な配慮
(例:(イ)投資側は、投資対象の農地の農民及び所有者に対し、その農地の取得及びリー
スに関し、適切な対価を提供する。(ロ)投資側は、現地における雇用について、適切な労
働条件の下、農民等従業員の雇用を行う。)
⑤ 被投資国の環境への適切な配慮
(例:投資側は、投資に当たって、土壌荒廃、水源の枯渇等、被投資国の環境に著しい悪
影響を与えてはならない。)
⑥ 被投資国における食料事情への配慮
(例:(イ)投資側は、被投資国における食料事情に悪影響を与えないように配慮する。(ロ)
投資側は、被投資国の主食作物を栽培している農地を他の作物に転換することにより主
食作物の生産量を著しく減少させるような投資は行ってはならない。)」
指針は、海外農業投資の実施に当たり、我が国としてはこれらの行動原則との整合性を確認し、同
時に、被投資側に対しては「投資環境の整備(収用の原則禁止や輸出規制の抑制等)や投資関連
情報の提供等を求めていく」としている。
我が国は、海外農業投資に関する国際的枠組みの形成についても積極的に取り組んでおり、指針で
はこのような国際場裏における我が国の取組を以下のとおり紹介している。
「我が国は本年7月のG8ラクイラ・サミットの機会に、責任ある国際農業投資を促進し、世界における
農業の持続可能性を確保するための国際的な行動原則の策定とベスト・プラクティスのとりまとめが必要
であるとして、これを実現するためのグローバルな協議体の設置を提案した。この提案を受け、同サミットの
首脳宣言には、「国際農業投資の原則及びベスト・プラクティスに関する共同提案を策定するために、パ
ートナー国及び国際機関と取り組む」との記述が盛り込まれている。
このフォローアップとして、我が国は本年9月の国連総会の機会に、関連国際機関等とともに国際会
合を主催する。また、FAOへの拠出事業を通じ、農業投資関連情報の国際的整備や、海外農業投資
を促進するためのガイダンスの作成を行う。今後とも政府は、国際農業投資に関する国際的枠組みの構
築に向け、関係国・機関とともに国際社会の取組を主導し、海外農業投資の国際的な促進を図ってい
く。」
6.終わりに
外務省及び農林水産省は、海外農業投資に関する民間企業からの総合的な支援の要望に対応す
るため、総合支援窓口を設置した。なお、指針では、民間企業からの要望の検討に当たっては、関係機
関における支援の可能性の判断を踏まえるものとされている。
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【総合支援窓口】
外務省
経済安全保障課 電話:03-5501-8339
Email:[email protected]
農林水産省 食料安全保障課 電話:03-6744-2395
国際協力課
電話:03-3502-5914
Email:[email protected]
今後のステップとして、指針では、総合支援窓口で受け付けた要望について外務省及び農林水産省
が共同で内容を整理・検討した上で、「食料安全保障のための海外投資促進に関する会議(海外農
業投資促進会議)」メンバー間で具体的な支援策について検討し、同会議において支援策のとりまとめ
を行うとされている。なお、「食料安全保障のための海外投資促進に関する会議(海外農業投資促進
会議)」は引き続き官民連携モデルに関して検討を継続し、本年度内にとりまとめを行い、その他、海外
農業投資を促進するために必要な事項についても随時検討をしていく予定である。
(了)
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レアメタル確保戦略(ポイント)
独立行政法人 日本貿易保険
理事 加藤 文彦(かとう・ふみひこ)
政府の「総合資源エネルギー調査会・鉱業分科会」が 7 月末に「レアメタル戦略」をとりまとめ発表した。
私も委員の一人として参加した。本戦略のポイントを簡略に紹介する。(注:NEXI の立場からなので、専
門技術分野の詳細には触れない)
1. レアメタルの重要性と 4 つの施策の柱
レアメタルとは、「存在量が稀あるいは技術的・経済的理由で抽出困難な金属のうち、工業用需要があ
るもの」
31 鉱種。例えば、
○タングステン (ドリルやカッター等の超硬工具等に使用)、
○プラチナ
(自動車の排ガス浄化用触媒等に使用)
○インジウム
(薄型テレビ用液晶パネルの透明電極等に使用)
○ガリウム
(発光ダイオード等に使用)
○リチウム
(リチウムイオン電池等に使用)
○レアアースは 17 鉱種を総括して1鉱種としている。
(ハイブリッド車用モーターで使われる高性能磁石等に使用)
○他に、ニッケル、マンガン、コバルト、チタン、白金、クロム、ホウ素・・・
レアメタルは、新エネ・省エネ・環境分野等の先端産業での需要が見込まれる一方で、希少性・偏在性
が強く、価格ボラテイリテイが高い。本戦略では、レアメタル安定確保のための総合的戦略として、4つの
重要な柱を立てた。
柱1.海外資源確保
柱2.リサイクル
柱3.代替材料開発
柱4.備蓄
本戦略では、4つの柱ごとに詳細な内容が盛り込まれているが、ここでは、NEXI に関連する柱である海外
資源確保のポイントだけを紹介する。
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2. 海外資源確保
(1)
資源外交の戦略的な取組
レアメタルの安定供給確保を図るために資源外交を積極的かつ戦略的に推進していくべき。具体
的には、資源国の発展段階に応じた多様なニーズに積極的に応えることにより戦略的互恵関係の
構築を目指す。例えば、ニーズの強い資源探査技術や資源開発に伴う環境保全の協力等は我が
国が強みを活かした取組ができる分野。
関連施策との戦略的連携が重要。ODA(円借款・技術協力)ツールとの一体的支援により、資源
開発の周辺インフラ(電力、鉄道、道路、港湾等)の整備や人材育成を行っていくべき。また、資源
国の多くが電力不足に悩んでおり発電所建設のニーズが多いこと、我が国の優れた新エネ・省エネ
技術の導入に対する期待も高いことから、エネルギー協力との連携を図るべき。
ベトナム・ボリビア等重要な資源を有する新興資源国、各種支援施策の効果が期待される国、ま
た我が国企業の投資の可能性のある国などを対象に、
ハイレベル外交、セミナー、要人招聘等を含め、積極的な資源外交に取り組むべき。また中国とは、
レアアース交流会議を通じて、貿易・投資・環境・技術等の多面的関係構築の取組が行われてお
り、さらに積極的に進めるべき。
(2)資源開発(探鉱・開発)
新たなレアメタルの開発は、我が国の安定供給のみならず、世界の供給力拡大を通じ、国債的な
需給安定、価格安定にも寄与。特に、生産の大半が特定の国に集中する鉱種では、新たな開発
による供給源多様化は最も重要な取組。
(参考)レアメタルの偏在性(例)
・タングステン
中国(75%)
ロシア(6%) カナダ(5%)
・レアアース
中国(97%)
インド(2%) ブラジル(0.5%)
・ニッケル
ロシア(17%) カナダ(16%)インドネシア(13%)
・マンガン
南ア(21%)
・コバルト
コンゴ民(45%)カナダ(12%)ザンビア(11%)
中国(20%) 豪州(16%)
(a)権益の確保
レアメタル資源の確保において、我が国企業が権益を取得し、直接に資源開発を行うことが最も
確実な取組。現在、我が国企業が保有する権益は、ニッケル、クロム等一部の鉱種に限られて
いる。今後重要な鉱種の権益確保を目指すべき。
(b)探査の強化
探査しても鉱床発見に至らないリスクがあるが、近年の有望鉱区減少や資源獲得競争激化に
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より、探査段階からの取組の重要性が増している。レアメタル探査制度活用等を通じ、探査強
化に取組んでいくべき。
(c )リスクマネーの安定的供給
資源開発は、投資決定からから生産に至るまでの懐妊期間が長く、また、生産設備等の初期投
資が大きく、これを長期にわたり回収する等の特徴を有する。商業的に十分な量の発見に至らな
い探査リスク、施設建設・インフラ投資に伴うリスク、資源国の鉱業政策変更リスク等の多様なリ
スクと長期にわたり対峙することが必要。このため、JOGMEC、JBIC、NEXI 等の政府系機関の機
能を積極的に活用し、資金需要に応じた規模のリスクマネーを安定的に供給することが必要。近
年、例えば、NEXI の資源エネルギー総合保険の創設、JOGMEC の探鉱出資制度の対象鉱種
の拡大などの利用者のニーズを踏まえた制度の見直しが行われている。今後とも、制度の見直し
や運用の改善に努めることが重要。
3. 一体的取組
①政府等関係機関の連携強化
海外の資源開発には、基礎的な地質調査、探鉱、開発、生産など多様なステージが存在し、また、
インフラ整備、人材育成等の多様なニーズが資源国には存在している。政府一体となった取組を確保
するため「資源確保指針」(平成 20 年 3 月 2 日閣議了解)が策定されたところ。今後とも政府等関
係機関が密接に連携を図っていくことが必要。また、資源国の日本大使館の役割も重要。
②「海外鉱物資源確保ワンストップ体制」の強化
資源開発のみならず、周辺インフラ整備等の関連施策について、体系的な整理を実施し、経済産業
省関連部署及び関連政府機関が協力し、「海外鉱物資源確保ワンストップ体制」(平成 20 年 10
月)が整備されている。
各種支援施策の体系的整理、関連資料の定期的リバイスやウェブサイトへの掲載等による広報活動
等を、継続的に実施すべき。
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