保健師通信 No.60 通勤中・帰宅途中・出張中の負傷は『労災保険』で受診してください! 軽いケガや自損事故だから、勤務先に迷惑がかかるから、単発のアルバイトだか ら・・等の理由であっても、仕事中や通勤途中にケガをした場合は、健康保険証を使 って病院を受診することはできません。 健康保険はみなさんと事業主が相互負担する保険料を財源に運営をしておりますの で、加入者の皆さまに労災保険の給付についての正しい知識をお持ちいただきたく、 今回ご説明をさせていただきます。 【労災保険と健康保険との違いって何?】 健康保険で治療を受けると、原則 3 割の自己負担がかかりますが、労災保険では原則として自己負担は ありません。 労災保険は、休業した場合の補償や、障害が残った場合の給付、遺族への給付など、医療や現金の給付 を行って労働能力の回復をはかると共に、労働者とその家族または遺族の生活を手厚く保障する制度です。 【仕事中や通勤途中の負傷は、労災保険と健康保険のどちらで治療するかを選択できる?】 → 答えは × です。 仕事中や通勤途中の負傷の場合は、必ず労災保険へ手続きを行っていただくことになります。 もし、労災扱いなのに健康保険証を使ってしまった場合は、後日、健康保険組合に取り消しの申請を行い、 健康保険組合が負担分の医療費(7 割分)を返還して、改めて労働基準監督署に請求手続きを行う等、とて も複雑な手続きが必要な事態になってしまいます。 【病院に労災だと伝え忘れてしまったら・・・】 → 気がついた時点で、すぐに病院に事情を説明してください! 基本的に病院は月末でその月の診療報酬の帳簿を締めますので、その前に申し出れば多くの病院は、労 災扱いに切り替えてくれるようです。労災の手続き方法は病院でしっかりと説明を聞いてください。 ただし、病院によっては説明をしてくれないところもありますので、その場合は必ず会社の人事労務担 当部署に相談し、手続き方法の説明を受けてください。 【労災保険の認定範囲は意外と広い・・】 こんな時 は業 務 上 です! ●作業中のとき ●作業を一時離れていても、それがトイレに行くなど生理的欲求のとき ●作業のための準備や後片付けをしているとき ●会社業務で外出中に事故にあったとき ●出張先での仕事中や移動途中の負傷(※) ※出張中は食事や喫茶、移動の列車やバス内での事故はもとより、旅館やホテルなどで宿泊中の被災(火災 や食事による食中毒など)や、仕事の経路上での土産物購入中の負傷でも、業務上災害の扱いとなります。 例えば、こんなときは通勤途上です!! ●道路工事等のため、やむなくいつものコースと違った道を通ったとき ●会社に出社せず、まっすぐ得意先へ行ったり、そこから直接帰宅したとき ●勤務時間の後、社内のクラブ活動で、常識程度の時間だけ帰宅が遅れたとき ●通常の通勤経路上にあるマーケットで日用品(惣菜等)の買い物をしたり、ランドリーに寄ったとき(※1) ●独身者や単身赴任者が食事のために、食堂に寄ってから帰宅したとき(※2) ※1※2(要注意!) 店内での被災は労災が適用されません。用件を済ませた後、通勤に復帰した後は労災の対象となります。 【労災保険についてのお問い合わせ先】会社に連絡の上、お近くの労働基準監督署にご相談ください。 ◆全国労働基準監督署の所在案内(厚生労働省ホームページ内) http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/location.html <作成者> 保健師 下田
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