「泣いちゃおれん 全盲の娘がくれた28年」を見て ドキュメンタリ-番組「泣いちゃおれん 全盲の娘 おりえがくれた28年」を見た。 生まれながらの全盲のおりえさんが、18年前(10才当時)に盲学校に在籍しながら 週2日は地域の小学校に交流学習として通っていた。 他 の 日 も 「普 通 学 校 へ 通 い た い 」と 訴 え た が 認 め ら れ ず 、 他 の 日 も 小 学 校 に 通 う も 他 の 生 徒とは一緒に学べずに空き教室での自主通学扱いで、卒業式にも出席を認められず。 中学校からは願いが認められ、社会福祉関係の大学院を卒業し、社会福祉士の資格も得 て、心に病のある子どもたちのために養護学校(週2日)や地域支援センタ-(週2日) で非常勤で相談員の仕事に就いている。 父親は娘の仕事に就く姿を見ることなくガンで他界し、妹弟は自立し、今は母親との2 人 暮 ら し で 、 「娘 が 一 人 で 生 き て い け る 力 を 早 く 身 に 付 け て 欲 し い 」と 願 う 母 と 、 「相 談 員 の 仕 事 を 続 け た い 」と 努 力 す る お り え さ ん 。 期待と不安を抱えて母娘の2人3脚はまだまだ続くよう。 番組は、この女性の10才から18年間も母娘を追い続けたドキュメンタリ-番組も珍 しく、番組スタッフの粘りに感服するし、まだまだ母娘に寄り添う取材を通して障害者を 取り巻く社会の問題点を提起し続けて欲しいと願う。 番組で少し気になったのは、娘が生まれた当時の絶望感、自責の念、辛さ、戸惑い等を 振り返ってインタビュ-に応えて話す母親の側でじっと聞いているおりえさんの表情のシ -ン。 当人は成人し母の愛情を十分に理解・実感しているとはいえ、自分の誕生で母が辛い思 いをしたことを側で聞くのはやはり言葉に出さねど辛いだろうなあと思う。 自分は以前に、ある親御さんたちへの講話の後の懇談で、障害のある我が子の青年同伴 の 母 親 が 、 息 子 の 障 害 状 況 か ら 話 し 始 め 出 す と 青 年 は う つ む き 加 減 に な っ た の で 、「 ご 本 人 に 話 し て い い か 、 許 可 を 得 て か ら に し て 欲 し い 。」 と ス ト ッ プ を か け た こ と が あ る 。 そ し て 、 青 年 の 目 を 見 な が ら 、「 親 で あ っ て も 自 分 の こ と を 人 前 で 話 す な ら 、 許 可 を 得 て か ら に し て 欲 し い よ ね 。」 と 話 し か け る と 、 青 年 は 「 に こ っ 」 と 表 情 を 和 ら げ て く れ た 。 つまり、障害者問題等で「当人の尊厳を!」とよく聞くが、親も含めて係わり合う我々 が、日常生活の中でそのことをどう意識し実践するかを、自らに問い続けなければならな いと思っている。 阿部幸泰 ( 2010 年 1 月 14 日 記)
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