詳細 - 千葉市サッカー協会

JFA育成プロジェクト・メキシコ班
CFA・YD
プロローグ・メキシコシティエッセイ
藤原明夫
メキシコの気候は安定している。雨期には夕方1時間から2時間のおきまりのスコール
があるが、1年間を通じてほぼ一定している。
人々の朝は早く、車の往来と渋滞は明るくなった6時半には始まる。
くる前に『メキシコ人ジョギングしている人なんていませんよ。車の量が多くて排気ガス
と歩道がすくないし,また信号がないため人や自転車は注意して通行しなければ、危ない
んです。そして、治安が悪いため銃で撃たれることもあるんですよ。
』と聞かされていまし
た。
それでも超ゆっくりジョギングで、町並みを俳諧探検好きの自分としては、もう止まり
ません。朝5時に起床くらいうちから、スタート。『オーラ、ブエノス
タルディス』(や
あ、おはよう。こんちは)と声をかけながら走っていると、みーんな、陽気に明るく答え
てくれます。男性も女性も格好いい人が多い。
・・・そしてなんと、オリンピック
ビラ
の
公園を見つけゆっくりと走っていると、なんと、なんと、200人くらいの人がが、ジョ
ギングしているではありませんか!やっと明るくなってきた朝ぼらけ状態5時50分です。
そしてまたびっくり、屋外プールでは、30人くらいが泳いでいるではありませんか。こ
れが平日の朝です。みんな車で来て、シャワー浴びて、この施設でシャワー浴びて、また
会社でシャワー浴びて、仕事するんですね。
翌日,山ちゃんと巻ちゃんが発見した公園にいくことにしました。昨日と逆のコースか
ら10分ほど行くと、朝5時15分、車がどんどん駐車場へ集まっていきます。好奇心旺
盛の自分は、もちろん近づいていきます。そこにはなんと森林の公園が,そして、赤土の
886Mのジョギングコースがあるではないですか。もう嬉しくて,嬉しくて!!!
3
0分ほどメキシコ人と走ったでしょうか。
6時明るくなり、あたりを見渡すと、一緒にジョギングしている人、ウォーキングして
いる人、野外トレーニング施設で、トレーニングしている人、とにかく1千人以上は生き
生きと活気に満ちて活動しているではありませんか。びっくり仰天!みんな、素敵,素
敵!!
もう一つびっくり。大学UNAMの公園で、草サッカーをしにいき、サッカーで遊んで
いたメキシコの若者にゲームを申し込んだときのこと。至る所で、男女のカップル。1時
間でも2時間でも日陰でべたべた。キッスの時間も軽く1時間は超える。男女の嫌らしい
隠微なエッチな感じの全くない、あっけらかんとしたこの男女のカップル達、僕の青春に
全くかけていたことなので、もう1度,青春時代に戻りたいと、メキシコ人とサッカー勝
負をしながら、ボールを拾いに行くたびに思ってしまいました。
観光は、ティオティワカンと国立人類民俗博物館。歴史の深さ、文化のすごさに脱帽。
いい加減で、陽気で、楽しいメキシコ人は、実はとっても繊細で、やることはきちっとや
って、細かいどうでもいいことには、こだわらない。でも本質は絶対に外さない。サッカ
ー文化も家族も、クラブ組織もすべてにおいて実に合理的だ。ほんにびっくり。もう少し
メキシコで、勉強してみたいと思いました。
1,
はじめに
今回の育成プロジェクトに参加できたこと、本当に感謝しております。自分はアルゼン
チン・メキシコ・フランス・ドイツの4班の内のメキシコ担当を仰せつかりました。アル
ゼンチン・ドイツ・フランスというワールドカップ優勝国に比べ、メキシコはその先進国
に追いつけ、追い越せの一番定位置に存在している様に思えます。その成果あって、20
05年U-17ナイジェリア世界大会には、見事優勝しています。メキシコはもっとおお
ざっぱで、いい加減なところが多いと思いきや、実はここ数年で育成・代表強化・指導者
養成部門で大きく飛躍していることがわかりました。そして、普及の部門も含めて、今や
世界でも誇れるサッカー文化国といえるでしょう。リーグ戦の充実(トップリーグ・育成
リーグ・普及リーの合理的なつながりと棲み分け)や一貫指導の徹底による育成システム
の積み上げがなされ、高いレベルでの競争ができる仕組みが完成している。また、代表も
プロクラブも海外遠征による若くても経験のある選手の育成に力を注いでいる。そして何
よりも、育成のフェロゾフィーの共有と継承による伝統と指導者間の信頼関係の確立が、
常にプレヤーズファーストの子供達の環境を創り上げています。
普及部門では、週末誰もがそれぞれのレベルに応じてゲーム(サッカー)を楽しみ、大
人達がみんなで協力信頼しあい、普及から始まり、育成・強化と繋がる合理的システムを
構築しています。 誰もがゲームを楽しむことができるリーグ戦、そして補欠がいない(人
数が多くなればもう一チームを作る)仕組みの中で、どのレベルでも選手も指導者も真剣
に闘っていました。またアメリカの文化が浸透し、UNAM(大学)から生まれたトップ
プロPUMAS、そしてPUMITAS(ちっちゃなピューマ)という大学と連携した普
及(キッズ~ユース)活動組織と学生の大会運営。最近のパチューカのサッカー大学の設立等、
目に見張る物が多です。
指導者育成ではCECAP(指導者養成学校)での長期学習型の講習が行われ、実技レ
ベルも講義内容のレベルも高く、受講生とコミュニケーションを重視し意識付け・モチベ
ーションを持たせる工夫・集中させる工夫が随所にみられました。また、理論武装のみで
実指導力のない指導者を創らない工夫として、①毎週学習―実践の繰り返し形態が、じっ
くり熟成させながらの実践力を育て、②クラスが少人数で構成されることによる対話形式
の授業が可能になり、そして③現場の実例を具体的に取り上げ、ディスカッション形式の
実に活気のある講習となっています。
以上、日本と比較してみると、文化の違い・国民性の違いのみでかたづけてしまっては
先に進まないので、あえて考えてみると、『こだわるところの違い』がはっきりと浮かんで
きます。日本では、ルールや形から入り、この点の解決なくしては、中々先に進まない傾
向にあります。まず、ルールありき。そこから外れるのはサッカーと見なさない。ゴール
の大きさ、ピッチの大きさ・ボールの質・人数等である。規定にはまった型がサッカーで
あり、周りから固めてしまう傾向にあります。しかし、メキシコはちがいました。大人達
は子供達が、自分たちがサッカー(ゲーム)を楽しむことが何よりまして優先させます。
溢れる笑顔は、このプライオリティに由来すると考えます。ピッチはそこにあるスペース
をフル活用。そして、みんながゲームを楽しめる環境を作り出す。そこには、全く試合に
出ない補欠は存在しません。人数もピッチもラインもゴールも、ある物を利用して、工夫
して楽しみます。まず、サッカーをすることが優先されるのです。そこには、11人制で
なければ、ゴールの大きさが規定通りでなければ、サッカーではない。という概念は存在
しません。いや、その考えはサッカーの敵と見なされるのでしょう。
メキシコの文化が、マヤ・ティオティワカン・アステカ等、深みのある魅力的なもので
あることもうなずけます。アメリカの大学を中心とした街創り。南米のサッカーの駆け引
きと1対1へのこだわり。補欠のない世界と高いレベルの競争による育成強化。ヨーロッ
パの影響による、組織そして、クラブ運営・指導者養成システム等、あらゆる世界の良い
ところを学び、上手く融合させています。こだわりと柔軟性のコラボが実に自然体で積み
上げられています。これこそメキシコのよさであると考えます。
以上のように今回のメキシコへの海外研修を通して、メキシコのサッカーを取り巻く文
化・環境・歴史・教育・学校制度・社会背景からくるサッカーを楽しむ普及・高いレベル
での競争の中での選手育成,強化、そしてじっくり熟成・長期学習―実践型の指導者養成に
対する考え方は、比較的長期の滞在での視察で理解できたことも多く、また生の指導現場
に足を運び自分の眼で見て、肌で感じることができたことは実に大きな収穫でした。また、
参加したメンバーで繰り返し行った視察の内容に関してのディスカッションは、内容の理
解を深めることにつながったと同時に、今後日本のサッカーが参考にすべきものきものや
日本が現在取り組んでいる施策に対する方向性の確認もでき、実に有意義なものとなりま
した。メンバーに本当に感謝です。今回の海外研修で得たものを今後の日本のサッカーの
発展・千葉の地域での活動に生かしてゆきたいと考えています。
2,千葉県での取り組み
千葉県では,2007年にユース部会を発足させ,各種別の委員長と技術委員長が一同
に介し,種別間の垣根を取っ払い,みんなでこれからのサッカーを考え,発展させること
に取り組んでいます。翌年キッズと4種の協調を目的として,U―8部会を発足。2年間,
キッズと4種の共同作業を推進しながら,第2回千葉県カンファレンス主題『グラスルー
ツを考える』レクチャー・全体討議「Uー8部会・キッズ委員会の取り組み」「4種委員会
普及活動の現状と課題」に持ってくることができました。4種委員会と技術委員会(技術
委員・U-8部会会員が4種委員会に参加),4種技術委員会とユース部会(ユース部会会
員が4種技術委員会に参加)が連携協力して,取り組んでいける素地ができあがりました。
これからがいろいろなことの整備調整改革に入っていく入り口にやっと来たといえるで
しょう。急がずできることから,議論を重ね着々と実行しながら,1枚の絵のジグゾーパ
ズルを完成させるべく,
『サッカー文化の確立』の目的へむかい,①育成の目標『世界で通
用する選手の育成と日本代表・Jリーグで活躍できる選手の育成』②普及の目標『誰もが
ゲーム(サッカー)を楽しむ環境づくり。補欠のない世界の確立。登録制度の改善』を具
体的に検討し,日本らしい環境を創り出すためにみんなで協力していきたいです。
3,「千葉県サッカーの活性化プロジェクト」(案)
(①育成プロッジェクト
②地域密着プロジェクト)
* このプロジェクトは2009年1年間かけて骨子検討,CFA理事会承認で,具体的に
プロジェクト検討委員会を発足させ,Jリーグと共同で12回の会議を重ね,2011
年1月のCFA理事会に提案します。
①の育成強化プロジェクトでは,年1回の選手入れ替えシステム(高いレベルでの競争)
を検討。
②の地域密着プロジェクトでは,Jリーグ2チームとCFA共同で千葉サッカー文化構築
とJEF・レイソルの魅力アップに貢献。
このプロジェクトは、Jリーグに段階的組織的育成システムである下部組織が成立し、
各世代のトップ選手がトレーニングを積み重ねているにもかかわらず、Jリーグや世界
で通用する選手がなかなか生まれてこないという現実から、Jリーグ本部と千葉県サッ
カー協会、そして、2つのプロチーム(ジェフとレイソル)が協力して、思い切った選
手育成システムを開発することを目的に発足しました。
座長は木之本興三氏、J リーグからは重野弘三郎氏、テーマによってジェフ三木社長、
レイソル河西社長、また、本田流通経済付属高校監督など各部門の代表的な方々が参加
されました。
10 回の会議では、県協会とプロチームが協調し、選手の発掘・育成の新たな仕組み、
いわゆる「千葉方式」を開発し、2011 年 4 月からの実施を目指すこと。また、議論を重
ねるにつれ、選手育成はもとより他の分野でも連携を進め、県協会とプロチームを牽引
車として、選手も指導者もサッカーファンも今よりもっと幸せになれる仕組みを開発・
推進し、県内サッカーの活性化に繋げていくことなどが議論されました。
その結果、以下の2つの目標を掲げました。
1つ目は、「世界的な選手の育成」です。前例にとらわれない、そして、千葉県ならで
はのやり方の開発を目指します。
2 つ目は「地域密着」です。県民に愛されるサッカー文化を追求していきます。
目標達成に向けては、県協会とプロチームが車の両輪として諸事業を推進していくこ
とが重要です。また、
(財)日本サッカー協会との十分な協議や、引き続き J リーグから
のご支援も必要です。
私たちは、この取り組みを通して次代を担う子供たちの夢を育てていくとともにプレ
ーする人・応援する人が交流を深め、夢、感動、喜びを分かち合えるような環境が創り
出される。すなわち県サッカーの発展に大きく寄与していくと確信しています。
県サッカー発展のイメージ
【サッカーファミリー】
(プレー・応援・交流)
夢・感動・喜び
メディア
行政
スポーツマーケット
【県協会】
【レイソル・ジェフ】
登録者増
収益アップ
指導者・審判の増加
JI優勝
選手の発掘・育成・強化
観客増員
郡・市サッカー協会との
サポーター増加
連携
日本代表選手の育成
施設の充実
地域との連携
等
等
連携の柱
(1)世界的な選手の育成
→千葉県ならではの選手育成システムの構築
(2)地域密着
→県民に愛されるサッカー文化の追求
平成 21 年度活動内容
(1)会議
10 回
(2)主な内容
①世界的な選手・指導者の育成について(詳細は別紙)
・CFA育成方針の原案作成
・CFA・JEF・REYSOL育成システム(千葉県方式)の検討
・4 種・3 種・2 種の育成目標・実施内容の検討
・CFA育成プロジェクトダイレクターの検討
②地域密着について
・スタジアムで声援を・・動員計画の立案(ちばぎんカップ・J2リーグ)
種別応援ゲームの検討(試合を行わない日等を設置)
・広報活動の強化・・・・県協会ホームページの充実
・選手・スタッフの激励・横断幕の設置の検討
今後の取り組み
(1) 活動内容
今年度議論された内容を引き継ぎ、具体化させるため県協会に活性化タスクフ
ォース(CFA育成担当・運営担当)を新設する。
毎月1回程度、定例会を開催する。委員は座長を中心に選考する。
日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)事務局と座長としてまとめ役を担った木
之本興三氏に引き続きご協力をいただく。座長は必要に応じて理事会に参加し、
提言をする。
*新設プロジェクト実行委員会は,平成22年6月8日(火)より12回の会議を
へて各種別・各部門と協議調整し,平成23年1月の理事会に提案する予定。
(平成23年度から実施予定)
(2)検討事項(案)
育成担当「世界的な選手・指導者の育成について」
・CFA育成方針の策定
・ CFA・JEF・REYSOL育成システム(千葉県方式)の開発と
・4 種・3 種・2 種の育成目標・実施内容の策定と実行
・CFA育成プロジェクトダイレクターの設置について
運営担当
「地域密着について」
・ビジネスパートナーとしての可能性の模索
・ 観客増員のための仕掛けについて
・
4,千葉県らしい選手の育成・育成方針・年代別育成目標(案)
と世界的な選手の育成をめざして(案)は別紙添付(エクセル)
5,誰もが週末はゲームを楽しめる環境(ユース部会重要懸案事項・プロジェクト)
すべての人がゲーム(サッカー)を楽しみ補欠のない環境づくりは,育成強化・代表強
化と同じく日本の大きな課題であります。視点が代表強化のみに偏ってしまうと,真の代
表強化にならないことは誰もが理解していることでありますが,これを具体化していくこ
とは大変なエネルギーが必要ですが,絶対に不可欠な要素であります。
千葉県ではこの普及の議論を今年度の技術委員会のテーマとして取り組んでいきます。
1つの視点として,学校部活動のクラブ化が促進できればと考えます。これから,地域ク
ラブがどんどん育ち,ピッチもどんどん増えていくとは思われません。学校は地域の財産
の施設です。授業が終わったら地域に開放することがクラブ化の第1歩です。そして,部
活動をクラブ化することです。すべてのチームが,幼少よりチャンピオンをめざし,ビッ
グクラブ・ビッグ部活動には選手が溢れ,補欠がたくさん存在します。例えば,部活動で
も100人部員がいれば,学校クラブで5~7チーム登録する。それぞれに監督がいて登
録するのです。これは町クラブでも同じです。リーグ戦やサッカー協会主催の選手権や高
円などの大会は,個人登録を基盤に,クラブ登録をし,クラブのなかでまたチーム登録を
するのです。育成強化に向かうチーム,サッカーそして週末のゲームを楽しむチーム等,
クラブの中には存在します。強化チーム2チーム・育成チーム1チーム・サッカー文化享
受(普及)チーム3チームというクラブ組織を創っていくことは,日本でも日本事情にあ
ったシステムとして,可能であると考えます。リーグに関わるクラブ内での選手の入れ替
えは,半年毎に実施し,多の大会は大会毎チーム登録です。それには,登録制度の見直し
も,是非セットで行うことが必須です。個人登録があり,クラブ登録があり,その上でリ
ーグごとにチーム登録・大会ごとにチーム登録をしていく制度です。高体連の大会は,(1
0年かけねば変革できないのが現状ですが,諦めず仕掛けていくとして),学校代表チーム
として,学校クラブのすべてのチームの代表選抜チーム(その学校に在籍するクラブの選
手も可能にすることも検討)を組織して,新人戦・インターハイ・地域大会(例:関東大
会)の3つのトーナメントは戦えば良いのではないでしょうか。高体連には学校の生徒は
すべて加盟しています。よって,高体連主催のこの3大会は,学校代表チームが登録して
参加するのです。
3種中体連の現状も考えてみましょう。先生方は,公務が多忙で練習にでられる先生が
少ないのが現状です。放課時間も決められており,放課後はしっかりと練習できる時間が
取れません。ほとんどの先生が朝練を実施しています(これは良い)
。高校が先にシステム
化し,次に中学校に着手。中学校もまず,部活動のクラブ化,学校開放,そして中学校区
内の4種チームの指導者等の外部指導者制度の確立も目指します。
(文部科学省からスポー
ツ省の独立も長期ヴィジョンで働きかけながら)ここにも地域に根ざした,学校クラブが
できあがるのです。高校クラブと同じように,強化チーム・育成チーム・普及チームの考
え方や,クラブ登録・チーム登録の登録制度の見直し,そして,リーグ選手入れ替えや大
会毎登録,中体連大会の学校代表チーム制について考えます。
また,4種の生活圏内地域リーグや4種大会の整理等,
『溢れる笑顔』のサッカー文化構
築の中核について,じっくりしっかりと整理していかなければなりません。大人が協力信
頼し合い,子ども達の『溢れる笑顔』環境に創造改革していくことが大人の指名です。現
状を維持堅守固持することが,子どもの明日に繋がらないことを,伝えていくことも我々
大人の役目だと考えます。
6,指導者レベルアップの取り組み
本年度よりトレセンコーチやインストラクターの指導実践力アップとコミュニケーショ
ンをとるため、毎月1回ジェフグランドとレイソルグランドに各月ごとに集まり、3種・
4種指導者を中心に、ジェフ・レイソルコーチ・CFAトレセン・指導者育成インストラ
クターが選手役での千葉県指導者研修会を開く。みんなでディスカッションして研鑽を深
め、懇親会でさらに親睦を図る目的の計画です。
7、サッカーの理解と少人数サッカーの普及
サッカーを理解せずに、サッカーをしている環境がまだまだ見受けられます。4種のチー
ムには次の試合の決められた動き方で、全体トレーニングの時間が終わってしむところも
あるそうです。8地域の競技力向上推進指定校の高校を使って、セムのビッチ・池上正・
藤原明夫の3人で回ります。(添付)
(昨年度実践例添付)
8、添付:メキシコの育成・代表強化・指導者養成・普及の 4 観点から(PP作成骨子)
【育成】
PUMAS(1954創立) 育成機関「ラ・カンテラ」(1975年設立)
メキシコでもっとも育成に定評のあるクラブ(他のクラブの見本)
◆PUMAS目標
・毎年トップチームに2人を昇格させる
・若くて経験のある選手の育成…強い個の育成
◆プーマススタイル
・良く走り、攻守のおいて数的優位を作る
・自由にプレーさせる…選手一人ひとりの意見を尊重する
・ユニフォームに誇りを持たせる…チームのために全力で戦える選手
◆歴史
1954年 UNAMU・大学生のチーム(2部でスタートした)
62年 1部昇格
75年 ユースチームが正式に立ち上がる。
◆ 指導スタッフ
・240人の選手(各年代15・6人)に対して、20人のコーチ,3人の心理カウンセラー,4人のフィジコ
・コーチはカンデラ・プロ出身者
① クラブ愛・PUMASヴィジョンの共有(カンテラからトップまで
②ユース育成トップ・バスケス氏を中心とした信頼関係
*現在のトップ監督は「トカ」アルゼンチン出身だが選手時も所属。(過去アルゼンチンの監督時、
トップ昇格が無くなり上手くいかなくなった。
◆セレクション
・U10 に開始 【選考基準 1)テクニック 2)スピード 3)強い人間性】
・年2回の入替あり(3ヶ月に1回、研修生制度)
・U15、国内からスカウト開始。
◆各カテゴリー
・U10
基本技術の反復、アジリティー、コーディネーション、シュート、創造力プログラム
7人制サッカー…フリーなポジションでプレーさせ、子供たちの自由な発想を大事にする
火・木はプーマスと協定を結んでいるチームと内部のリーグ戦
土のグラウンドで練習…球足が速く子供の反応を高める
海外遠征スタート
・U11:開始の時期
基本技術の反復、アジリティー、コーディネーション、シュート、創造力プログラム
2チーム構成
7人制…フリーなポジションでプレーさせ、子供たちの自由な発想を大事にする
週末は、メキシコ市内のリーグ戦へ参加(U12の大会:11人制)
土のグラウンドで練習…球足が速く子供の反応を高める
・U12:開始の時期
基本技術の反復、アジリティー、コーディネーション、シュート、創造力プログラム
7人制から11人制
週末は市内のリーグ戦
・U13:開始の時期・競争の時期・転換期
基本技術の反復、アジリティー、コーディネーション、シュート、創造力プログラム
技術的なものについても、新しい要素はいれず、今までのものがより巧くなってなるように
22名に絞られる
メンタル面のサポートが入ってくる
ポジションの固定
戦術の要素の導入
勝利へのメンタリティを強調…ただし全力を出してプレーすることが前提で、その上での勝利
への執念
・U14:競争の時期
フィジカルトレーニングの導入
クロスの攻守のトレーニングが多くなる…プーマススタイル
・U15:競争の時期
国内でのスカウトが始まる
・U16:競争の時期
・U17:仕上げの時期
リーグ戦・1部の日程と同じ→2011WYメキシコ大会へ向けての強化
・U20:リーグ戦・1部の日程と同じ
※21歳11か月までは、チャンスが与えられる
◆リーグ構造
・プリメーラ(1部・18チーム)
・プリメーラアー(2部・
チーム)
・セグンダ(3部・21歳11か月未満の選手で構成)
・テルセーラ(4部)
・U-20/U-17のリーグもプリメーラと同じ日程で実施
・U-20はプリメーラと同じ会場で、前座試合として実施、勝敗にかかわらず PK 戦を実施
・U-17は2011メキシコWYに向けての強化として、勝敗にかかわらず PK 戦を実施
◆海外遠征
若い選手を育てる南米との交流(ブラジル・アルゼンチン・チリ)8試合予定その後、
欧州へ
・U10から実施
・厳しい環境を与え、多くの刺激をその中から
モチベーションが上がる
◆トレーニング
・U16以上は基本的に午前9:00~11:00の2時間練習、午後授業へ
・U15以下の選手は、授業終了後、基本的に午後16:00~18:00の2時間
◆その他
・親との関係
親との話し合いは、心理カウンセラーとバスケス氏(ユース育成部門責任者)ですべて対応
また、練習見学も選手との一定の距離をとらせ、子供が練習に集中できる環境を作ってい
る。
カテゴリー
10・11歳:7人制のサッカー
11歳:U-12の11人制の大会にも参加
親の距離を離す、子どもにプレッシャーを与えない
12~14歳:他クラブとの交流
13~戦術的要素が入る
14~セットプレー
15~競争・国内でのスカウト
地方からの選手には学校・寮・交通費を与える
能力のある選手はカテゴリーアップ
他年代との交流を経験させる
戦術を教える
カウンセリング(今年から開始、週1回15分~30分)
10~12想像力を養う
13~競争力を養う
15~勝利への執念、持てる力を全て出す
武術、映画を放映
栄養面サポートの確率
【強化】
メキシコナショナルトレーニングセンター
代表チーム(U-15~)統括責任者:ネストール・デラトーレ氏
◆メキシコサッカー協会代表強化の柱(フィロソフィー)
①メキシコサッカー協会と各クラブとの信頼と連携
②人づくり《良い人間を育てる(良いサッカー選手を育てる為に)》
◆代表強化とメキシコの現状
・2005年U17ワールドユース(ペルー大会)優勝という結果は出たが、ユース育
成プロジェクトを安定して継続させることは難しい
・メキシコの社会問題(貧困格差、ドラッグ、酒等)や教育問題(中学卒業が60%程
度)から人づくりと選手強化を分けて考えられない
◆代表選手へのサポートする項目の設定
1, 栄養:選手の食事のケア
2, 個人的成長:勉強、他の言語、パソコンなど
3, 健康管理:医務、身体に関して
4, スカウト:国内エリア、戦術・技術とフィジカルの2つの要素から
4つのエリアの側面から各カテゴリースタッフと連携を取りながら行う
◆プリメイラのチーム責任者との会議を招集しメキシコズ・ウェイの確立
「身体的、技術的特長、メキシコのサッカースタイルについて話し合った」
・欧州に比べてパワーが少ない
・器用である
・持久力がある
*協会とクラブの連携でメキシコサッカースタイル確率とトレーニングメニューの作成
◆メキシコサッカー代表強化指針
①高いレベルの競争システム確立(協会とクラブの連携により決定)
(代表招集マストの協定:若くても経験実力のある選手を育成)
・2010年のキャンプ・・・U21/20/18/17/15・・・50%以上/年
・各クラブの公式戦に出場できるようになるべく平日に集めキャンプを行う
・規律は特に厳しく行う
②海外の大会への参加を積極的に行う
・U-15~23代表の8年間で300~400の海外試合を経験させる
・クラブ主催の海外遠征も代表国内キャンプより優先
(協会とクラブの信頼関係による選手成長第一の考えに基づく連携)
③協会とクラブの相互関係による心理カウンセリングとネットワークの徹底
・協会とクラブ間でコンピュータープログラムをネットワークで繋ぎ情報の共有
・代表からクラブに対し、代表合宿後3ヶ月間、栄養、学習面のサポートを継続
・代表カウンセラーの選手個別プログラム作成とクラブカウンセラーとの連携
例)2009ナイジェリア大会中心選手(クルスアスール所属)は心理的要因で参加を
見合わせたが、セラピーを中心に色々な側面からフォローし、近々代表に戻る予定
◆代表スッタフ指針
①代表スタッフは良い指導者であることと、素晴らしい人間でなければならない
②担当カテゴリーはローテーションをする(どの年代も同じシステム)
・異なる指導者から指導を受けることが選手にとって良い刺激
・指導者も全ての選手が把握できる
・日本で言う谷間の世代の代表の立ち上げも考えている
◆強化キーワード
『メキシコ協会はやると言ったらやる』
8,エピローグ
今回のメキシコ研修で強く印象的な、「協会とクラブの信頼と連携」「良い人間の形成」という言葉
で締めくくりたい。何かを成し遂げるために目標を立てるが、メキシコでは社会問題や教育問題を
避けて通れない事情がある。その為に良いサッカー選手を育てること以前に「良い人間の形成」が
必須なのであり、それを成し遂げるのはクラブ単体だけではなく、「協会とクラブの信頼と連携」が不
可欠なのである。社会的マイナス要素を補うようなシステムを確立し、着実に成果を挙げるようにな
るまでには数々の苦い経験から学び、多くの失敗を繰り返してきたからなのだろう。一口に歴史が
あるからと言ってしまえば安易だが、我々もサッカーだけに囚われずに、社会という大きなパイで考
える事が重要と学んだ。
今回、現地の方とたくさん交流する機会を得たが、言葉が通じなくとも情熱を持って接すれば、人
の心は通じるものだと強く感じた。プーマス育成責任者のチャベス氏の最初のメッセージは、2002
年日韓ワールドカップにメキシコ代表として来日し福井県でキャンプを張った。その際に心温まる
歓迎を受けた事に謝意を表し、今回はそのお返しに当たる機会だとコメントされた。まさにサッカー
をしていなくともパスが繋がっていると感じた瞬間でした。
最後に今回の海外研修を企画、スケジュール調整に当たった日本サッカー協会の方々、快く迎
えてくださった現地のプーマス関係者・メキシコサッカー協会・メキシコで交流した全ての方々に感
謝致します。
今回のメキシコ訪問を通じて、Japan’s Way に生かすために、どのようなことを我々が
日本のサッカーに還元できるかを考えながらディスカッションを繰り返してきた。報告書
の中でも述べているが、以下の点を最後に強調したい。
①育成
「若くても経験と実力のある選手」の育成
~本当の一貫指導の構築と実践~
② 指導者養成
「実践力の重視」
~学習と実践の繰り返し~
③代表・強化
「高いレベルでの競争」
~信頼と連係~
④普及
「あふれる笑顔」
~誰でもゲームを楽しめる環境作り~
そして、メキシコを訪問して多くの場所で聞いたのが『人創り』という言葉である。代表
チームでも、プーマスのカンテラでも、各スクールでも、メキシコの抱える社会問題が背
景にあることとはいえ、人を大切にしようとする社会がメキシコのサッカーの根幹にあっ
た。あるスクールのコーチが、「スポーツを通じて、ドラッグや犯罪などに走る少年達を救
いたい」と述べていたことが特に印象的である。
日本のサッカー界も、多くの指導者や関係者の尽力で『人創り』が行われてきた。この
メキシコでの経験を、我々も、できる限り各地域に展開していきたい。
最後になりますが、行程の決定のみならず、予定外の様々なトラブルやアクシデントに
対して、技術部の荒谷氏の迅速な対応が我々の研修にとって欠かせないものでした。通訳
の山口茂氏をはじめ現地在住の学生諸氏、全行程のマイクロバスの運転手さんにも大変お
世話になりましたことに深くお礼申し上げます。
また、現地で調整にあたっていただいたマウリシオ氏をはじめとしたプーマスの全関係
者、訪問したメキシコ指導者養成学校、ナショナルトレーニングセンターなど施設の方々
に心温まる歓迎を受け、我々を受け入れてくださったことに感謝いたします。プーマスの
バスケス氏は冒頭の会談にて、2002 年の日韓ワールドカップの際にメキシコ代表チーム関
係者として福井県に45日滞在し、そこで心温まる歓迎を受けたことに謝意を表し、我々
を温かく受け入れてくださいました。まさに多くの方がサッカーを通じてつながっている
ことを実感し胸が熱くなる思いでした。今後もメキシコと日本の両国が、ライバルとして
世界の檜舞台で切磋琢磨していけることを祈念して報告に添えさせていただきます。__
【指導者養成】
CECAP(メキシコ指導者養成学校)
メキシコ指導者養成ダイレクター
エドモンド
チャベス氏
◆CECAPの歴史
1958
指導者養成部門
創設
当時は経験論のみであったが、だんだんプログラムとして確立されてきた。
1967
現施設は、1970メキシコワールドカップの為に代表チームのドミトリー
として建てられた施設。
1999
強化施設はナショナルトレーニングセンターの新設。
(セントロラガッソから買い取る)
*FAオフィス・指導者・審判養成施設としてのみ活用
◆メキシコFA(3分割)
① CECAP(指導者養成学校等)
② ナショナルトレーニングセンター(代表チーム事務局・合宿施設等)
③ メキシコサッカー協会オフィス(会長オフィス・プロリーグ管理等)
◆CECAP(メキシコ指導者養成学校)の4部門(メキシコFAの中心部)
① 指導者養成・ライセンスオフィス
② 審判養成・審判オフィス
③ アマチュアリーグのオフィス
④ 規律委員会
◆講習形態(長期学習型)
グアダラハラ・・・・1日3H
週4回(19時~22時)
メキシコシティ・・・1日6H
週2回(15時~21時)(本部)
・毎週【月火】の2日間と【水木】の2日間のどちらかのコースを選択
・15時~21時まで6時間 で3単元を実施
・実技レベルも講義内容のレベルも高く、受講生とコミュニケーションを重視
・意識付け・モチベーションを持たせる工夫、集中させる工夫
◆講義内容(4つの観点)
①技術・戦術
②心理学的観点 ③医学
④コーチング方法論(教育論)
*U-17・20のナショナルチームトレーニングへ受講生訪問、ディスカッション。
◆理論武装のみ実指導力のない指導者を創らない工夫
①毎週学習―実践の繰り返し形態が、じっくり熟成させながらの実践力を育てる
②クラスが少人数で構成
③現場の実例を具体的に取り上げ、ディスカッション形式の実に活気のある講習
◆養成学校事情
① 受講生は18歳以上で、毎年800人の卒業生を輩出
② メキシコには20の養成学校が存在
(パチューカサッカー大学、グアダラハラ大学、モンテレイ工科大学や各トップクラ
ブチームが拠点)
・各州公的機関や各大学・各クラブと密接に協定している組織力の成果
・試験については、本部からインストラクター派遣
・プロレベル(レベル3,4)指導者は、2年に1回3泊4日の更新講習義務化
・講習内容は、伝統のある各クラブと一緒に検討(カリキュラムの更新)
◆指導者養成の 4 つのコース(1コース半年間。約10万円)
①『レベル1』(250時間)〈実技・理論・面接の試験実施〉
名称・・・インストラクター(レベル1のコーチの名称)
対象・・・少年少女(子供)
評価・・・教育的観点からモデルを見せて、実践し修正ができることを評価。
②『レベル2』(250時間)
名称・・・トレーナー
対象・・・ユース
評価・・・テーマに応じてプランニングし、実践し修正ができることを評価。
③『レベル3』(250時間)
名称・・・アシスタントコーチ
対象・・・プロ(のコーチ)
評価・・・テーマに応じてプランニングし、実践し修正ができることを評価。
④『レベル4』(250時間)
名称・・・テクニカル(ヘッド)コーチ
対象・・・プロ(の監督)
評価・・・3週間の実践(2週間のトレーニング・1週間のゲーム)
受講生は3週間の間、自分のチームを結成し、プランを立てトレーニングを実施。
3週目は、対戦チームを連れてきて、ゲームを実施し修正を評価。
◆ベイシックコース
・このコースは試験がなく、資格の証明がない。
・対象・・・週末のみ街クラブ等でチームを持っている人,等。
・内容・・・16時間×4部門(技術・心理・医学・コーチング論
◆小型カンファレンス(年1回:3日間イベント)
・海外より講師招待。
・4つのセッション(GK・ユース育成・心理・フィジカル)実施。
・誰でも参加可能。
◆インストラクター
・長い間サッカー協会に携わっている各分野の専門家
・付属の養成学校インストラクターは、年1回1~2週間、本部で実習義務
・本部には12人の専任インストラクター配属
・支部インストラクターは各クラブチームの指導者で、年に1回3~4日の講義・再試
験を実施
◆フィジカルトレーナー コース
・フィジカルトレーナーも 1,000 時間 2 年間の講習
【普及】
◆メキシコのサッカーの歴史
・多くの国がメキシコに侵攻してきた。その中で、サッカーが伝わる。
・パチューカ:イギリスが侵攻し銀を採掘した・・・メキシコで最初にサッカーが伝わる
・チーバス:グアダラハラにフランスが侵攻、製紙工場を造る・・・ユニフォームはトリコ
ロール
◆メキシコの社会情勢
・貧富の差が大きく社会問題となっている
・6-3-3制で、6-3までが義務教育期間であるが、卒業するものは60%程度
・メキシコシティでは、非常に治安は悪く、子供たちが安心して公園などでは遊べな
い
・富裕層と貧困層の乖離も社会問題のひとつ
◆民間のサッカースクール
「フットボールラピド」
・目
・対
的
子供たちに運動をする場を提供する
象
・構
成
・指 導 者
・月 会 費
・頻
度
・活動場所
3歳~18歳の男子
年齢ごとに1スクール
年齢ごとに2名、サッカースクール所属のコーチ
800ペソ
週2回
1回2時間
スクール所有の施設(人工芝3面)
◆PUMASと協定を結んでいるスクール
「PUMASサッカースクール」
・目
的 子供たちの健全育成
・対
象
4歳~18歳の男子
・構
成
年齢ごとに16名が上限(試合に出られる人数が最大16名)
人数が多くなったら2チーム構成となる
・指 導 者 年齢ごとに1名、PUMAS が行う研修(年2回)を受けたコーチが指導
我々が訪問したチームは体育教師が副業として指導していた
・月 会 費
・頻
600ペソ
度 週2回
1回2時間
週末には試合がある
・活動場所 スクール所有に施設(8人制コート3面)
・リーグ戦
1月~7月
9月~11月
H&A
H&A
18チームによるリーグ戦
18チームによるリーグ戦
※同様なPUMASスクールがメキシコシティ内に15校、地方にも24校ほどある
また、他のプリメイラに所属するチームも同様なスクールを持つ
◆UNAM=メキシコ国立自治大学が所有するスクール
「プミータス(小さなプーマの意味)」
・目
的
子供たちの健全育成・交流
・対
象
4歳~14歳のUNAM関係者の子供男女
・構
成
15・6人で構成し、年齢ごとに14チームと選抜チームがひとつ
・指 導 者 各チームに1人のモニター(ここでは、コーチをモニターと呼んでいた)
各年齢を統括するディレクター1名
・月 会 費
・頻
600ペソ、子供によって多少違う
度
週1回
2時間
週末にはリーグ戦
選抜チームは
週5回
週末は
市内のリーグ
・活動場所 大学敷地内(大小さまざまなコートが20面以上)
・リーグ戦
同じプミータス内でリーグ戦を行う
選抜チームは、市内のリーグ戦に参加
◆メキシコサッカー協会が行うスクール
「CECAPサッカースクール」
・目
的
子供たちの健全育成、運動をする場を提供する
・対
象
地域のサッカーをしたい子供(現在は400名で、多いときには2000
名を越えていた)
・構
成
低年齢からユース年代まで
・指 導 者 メキシコサッカー協会指導者養成コースで指導を受けて者
レベル4(日本のS級)を終了した女性の指導者も、指導にあたっていた
・月 会
・頻
費
度
907ペソと入学金(練習着・試合着代)
週2回
2時間
週末にはリーグ戦
・活動場所
CECAP の敷地内(大小さまざまなコートが20面以上)
・ リーグ戦
市内のリーグ戦を行う
9,エピローグ
今回のメキシコ研修で強く印象的な、「協会とクラブの信頼と連携」「良い人間の形成」
という言葉で締めくくりたい。何かを成し遂げるために目標を立てるが、メキシコでは社
会問題や教育問題を避けて通れない事情がある。その為に良いサッカー選手を育てること
以前に「良い人間の形成」が必須なのであり、それを成し遂げるのはクラブ単体だけでは
なく、「協会とクラブの信頼と連携」が不可欠なのである。社会的マイナス要素を補うよう
なシステムを確立し、着実に成果を挙げるようになるまでには数々の苦い経験から学び、
多くの失敗を繰り返してきたからなのだろう。一口に歴史があるからと言ってしまえば安
易だが、我々もサッカーだけに囚われずに、社会という大きなパイで考える事が重要と学
んだ。今回、現地の方とたくさん交流する機会を得たが、言葉が通じなくとも情熱を持っ
て接すれば、人の心は通じるものだと強く感じた。プーマス育成責任者のチャベス氏の最
初のメッセージは、2002年日韓ワールドカップにメキシコ代表として来日し福井県で
キャンプを張った。その際に心温まる歓迎を受けた事に謝意を表し、今回はそのお返しに
当たる機会だとコメントされた。まさにサッカーをしていなくともパスが繋がっていると
感じた瞬間でした。
最後に今回の海外研修を企画、スケジュール調整に当たった日本サッカー協会の方々、
快く迎えてくださった現地のプーマス関係者・メキシコサッカー協会・メキシコで交流し
た全ての方々に感謝致します。
今回のメキシコ訪問を通じて、Japan’s Way に生かすために、どのようなことを我々が
日本のサッカーに還元できるかを考えながらディスカッションを繰り返してきた。報告書
の中でも述べているが、以下の点を最後に強調したい。
①育成
「若くても経験と実力のある選手」の育成
~本当の一貫指導の構築と実践~
② 指導者養成
「実践力の重視」
~学習と実践の繰り返し~
③代表・強化
「高いレベルでの競争」
~信頼と連係~
④普及
「あふれる笑顔」
~誰でもゲームを楽しめる環境作り~
そして、メキシコを訪問して多くの場所で聞いたのが『人創り』という言葉である。代
表チームでも、プーマスのカンテラでも、各スクールでも、メキシコの抱える社会問題が
背景にあることとはいえ、人を大切にしようとする社会がメキシコのサッカーの根幹にあ
った。あるスクールのコーチが、「スポーツを通じて、ドラッグや犯罪などに走る少年達
を救いたい」と述べていたことが特に印象的である。
日本のサッカー界も、多くの指導者や関係者の尽力で『人創り』が行われてきた。この
メキシコでの経験を、我々も、できる限り各地域に展開していきたい。
最後になりますが、行程の決定のみならず、予定外の様々なトラブルやアクシデントに
対して、技術部の荒谷氏の迅速な対応が我々の研修にとって欠かせないものでした。通訳
の山口茂氏をはじめ現地在住の学生諸氏、全行程のマイクロバスの運転手さんにも大変お
世話になりましたことに深くお礼申し上げます。
また、現地で調整にあたっていただいたマウリシオ氏をはじめとしたプーマスの全関係
者、訪問したメキシコ指導者養成学校、ナショナルトレーニングセンターなど施設の方々
に心温まる歓迎を受け、我々を受け入れてくださったことに感謝いたします。プーマスの
バスケス氏は冒頭の会談にて、2002 年の日韓ワールドカップの際にメキシコ代表チーム関
係者として福井県に45日滞在し、そこで心温まる歓迎を受けたことに謝意を表し、我々
を温かく受け入れてくださいました。まさに多くの方がサッカーを通じてつながっている
ことを実感し胸が熱くなる思いでした。今後もメキシコと日本の両国が、ライバルとして
世界の檜舞台で切磋琢磨していけることを祈念して報告に添えさせていただきます。
【大野委員長まとめ途中】
○ユース年代の選手育成
Ⅰ、選手を育成するリーグ戦
メキシコではそれぞれのレベルに応じて、①トップレベルの選手育成のリーグ戦と
②普及のためのリーグ戦があります。それぞれのリーグで選手も指導者もがゲ-ムを楽し
み真剣にサッカーに取り組んでいます。特に選手育成のリーグでは、U-17とU―20
のリーグ戦がトップチームのリーグ戦と同じ日程で行われており、U-20のリーグ戦は
トップチームのリーグ戦の前座試合としてサポーターが見守る中でおこなわれていました。
また、トップチームからU-17までチームのフォーメーションが同じであることとユニ
フォームの背番号が通し番号になっていることから、能力のある選手はすぐに上のチーム
にあげて高いレベルでゲームをさせてゆくという狙いが見られた。U-17・20共にリ
ーグ戦のゲーム終了後にゲームの勝敗に関わらずPK戦を行っており、サッカーの強豪国
を勝ち抜くための過去の歴史から導き出された勝負への執念を感じた。運営の面ではU-
17の試合には常に救急車とメディカルスタッフが待機しており、ゲーム中のけがには即
対応をしていた。審判は第4の審判は置かず得点表示もベンチの横に番号を掲げるだけで
チーム関係者が行っており、運営において簡略化できる点と選手の安全面に対する手厚い
配慮をしている点は大変参考になった。
Ⅱ、育成システムの積み上げ
プーマスでは10歳から育成における一貫指導のシステム『カンテラ』ができており、
年齢に応じた育成が徹底されていた。能力の高い選手を外部からスカウトするシステム
もあり、育成と競争の両面から選手育成を考えているクラブの取り組みが見られた。ク
ラブとして育成面で大きな目標としては「年に2人は育成からトップチームに選手をあ
げる」ことをかかげており、プロを目指す選手でプーマスのトップチームに上がれない
選手は他からのオファーが多く、プーママスの育成に対する国内の信頼が感じられた。
また、15歳からは全国から選手をスカウトできるように寮を作り、クラブ内に学校の
授業ができるようになっていた。育成年代には必要に応じて心理的サポートを行ったり、
10歳で選手を選考する際にスピード、テクニックの他に人間性を重視し、家庭教育を
含めたサポートも受けられることも条件にするなど選手育成をトータルで考えてゆくク
ラブの考え方も参考となるものであった。また、育成年代の選手に海外遠征を経験させ、
多様な経験の中から逞しい選手を育てる姿勢が見られた。
Ⅲ、伝統と指導者の信頼
プーマスの育成(カンテラ)の指導者は、プーマスのOBかカンテラの出身者が必ず
なっている点はこのクラブの一番の特長である。育成部門の責任者であるバスケス氏を
中心にプーマスのクラブの哲学を理解したスタッフが、指導の考え方を合わせた真の一
貫指導を行っている点は素晴らしいと感じた。プーマスから育った選手や指導者が再び
指導者としてプーマスに戻って来て選手を育成するといったプーマスを心から愛する人
間がこのクラブを支えている点に伝統とクラブのあるべき姿を見たように思った。この
様な環境の中で、選手は伸び伸びと育っており、育成のクラブの真髄を見たように感じ
た。
○代表の強化
ユース年代の代表については,1年間に半年の招集をし強化をしているとのことであ
った。選手招集については最終的には協会が権限を持っているが、選手の将来を考えて
代表での活動とクラブでの活動の選択をしている点は、正に「Player’s Fir
st」の考え方であり、選手を協会とクラブの連携で育成しようとしている姿勢が見ら
れ大いに参考にすべき点であると感じた。また、クラブの指導者と代表の指導者が「メ
キシコの選手育成について」話し合いを持ち、メキシコとしてどの様な選手を育成して
ゆくかの共通理解を図っている点も重要な試みであると思う。また、ユース年代の代表
選手に海外でのゲームを数多く経験させることで、若くて経験の豊富な選手を育成しよ
うとしている点は世界に出て勝つことを目指している意思の表れだとか言い感じた。栄
養への配慮や人間として自立することを重んじている点は、貧困や経済的な格差など家
庭教育を含めた、メキシコの社会的問題が垣間見られた。
○指導者養成
メキシコの指導者養成の特長は、講習と指導実践を繰り返しながら長い期間をかけて
指導者を育てている点である。全国に20か所ある指導者養成学校で多少の差はあるが、
メキシコ指導者養成学校(CECAP・本校)では週に2回6時間の講習を主に午後か
ら夜にかけて受講し、他の日は自チームの指導を行いながら指導者のライセンスを取っ
てゆくシステムを取っている。レベル1~レベル4まで4つのライセンスがあり、それ
ぞれ250時間の講習を6ケ月で取得し、レベル4まで習得するのに最短で2年の期間
がかかる。このシステムは、講習と指導の実践をバランスよく行うことができ、指導力
を確実に身に付けてゆく点から考えて大変合理的であると感じた。現在日本で行ってい
る指導者養成のやり方とは大きく異なる点であり、参考となる点でもあると思われる。
また、講義では指導現場の実例を上げて講師と受講生が多くのディスカッションを行っ
ている点も特徴的であった。受講生の国民性もあると思うが、講習は全員参加型の活気
のあるものであった。今後日本の指導者養成のシステムを検討してゆく中で参考となる
点が多くみられた。
○普及
メキシコのサッカーを視察した中で、とても印象的だったのが普及面での取り組みで
ある。今回主に育成活動の研修クラブとして訪問したプーマスは、元々はメキシコ国立
自治大学(UNAM)のチームからスタートしており、このUNAMの関係者の家族が
所属するプミータス(PUMITAS・小さなピューマの意味)という子どもの健全育
成と交流を目的にしたサッカースクールの活動が充実していた。4歳から14歳まで
のこどもが週1回の練習と週末のゲームを行う普及を目的としたスクール活動を指
導者とUNAM大学生アルバイトコーチを含めたスタッフとが協力をして運営をして
いた。
○育成
Ⅰ、リーグ戦の充実
トップと同じ日程・会場でリーグ戦を実施(U-17・U-20メキ)
育成のリーグと普及のリーグのすみ分け
Ⅱ、育成のシステムの積み上げ
選手の入れ替えがある(高いレベルの競争)
一貫指導の徹底
海外遠征
育成と普及のすみ分け
Ⅲ、伝統と指導者間の信頼関係
クラブの指導者にOBや関係者を登用
育成のフェロゾフィーの共有と継承
ベテランの指導者の登用
心理的サポート・カウンセラーの充実(個人プロ下ラム)
○代表強化
代表招集
所属クラブと協会の連携(良い関係の構築)
Players
Firstの考え方(メキ)
最後は協会が選手の招集の権限を持っている
アンダーカテゴリーの代表を長期に集めて強化
1年間に半年近く招集(メキ)
心理的サポート・カウンセラーの充実(個人プロ下ラム)
○普及(メキシコ)
誰もがゲームを楽しむことができるリーグ戦
補欠がいない(人数が多くなればもう一チームを作る)
選手も指導者も真剣に闘う
大学と連携して普及(キッズ)活動と大会の運営
○指導者養成(メキシコ)
講習と実践のバランス
長期でコーチの養成
○トピック
メキシコ
・U-17からトップまで通し番号、若い選手を一定時間ゲームに使う
・PK戦をU-17・20で必ず実施
・レフェリーの活動をサポート、リスペクト