知っておきたい 電 気 事 業 第 13 回 「世界有数の総合エネルギー企業」への飛躍を目指している JX エネルギー。今回は、その一翼を担う「電気事業」を紹介します。 電力自由化 競争原理導入による料金低減等を目的として、政府は1995年以降、電気事業法を改正し、電力自由化を推進してきました。 卸供給事業( IPP:Independent Power Producer ) 発電分野では、入札制度を導入することにより、一般事業者が電力会社に電力の卸供給を行うことが認められました。この事業 は、IPP と呼ばれ、石油、鉄鋼、化学などさまざまな業界から多数の企業が入札に参加、IPP 事業を開始しています。 JX グループでは、現在、残さ油などを燃料とする火 JXグループの I PP 事業一覧 力発電を6製油所・製造所で行っており、合計で84万 kW の電力を各地域の電力会社へ供給しています。 根岸製油所の 装置 I P P 供給最大電力 使用燃料 供給先 供給開始時期 大阪製油所 13 . 0万 kW 残さ油 関西電力 1998年 7月 大分製油所 13 . 7万 kW 残さ油 九州電力 1999年 4月 横浜製造所 4 . 9万 kW 分解軽油 東京電力 2000年 6月 根岸製油所 34 . 2万 kW 残さ油 東京電力 2003年 6月 麻里布製油所 13 . 2万 kW 石油コークスなど 関西電力 2004年 4月 室蘭製油所 5 . 0万 kW 合 計 84 . 0万 kW 残さ油 北海道電力 2004年10月 小売事業( PPS:Power Producer and Supplier ) 扇島風力発電所 ︵川崎事業所内︶ 小売分野では2000年に新電力〈下記コラム参照〉による特別高圧需要家 ( 契約電力2 , 000 kW 以上 ) 向けの供給が自由化され たのを皮切りに、2004年には高圧需要家(契約電力 500 kW 以上)、2005年には50 kW 以上の高圧需要 家まで自由化範囲が拡大されました。そして、先般行 われた政府諮問専門委員会では、家庭用を含めた小 売全面自由化の方針が確認されました。 JX エネルギーでは、川崎天然ガス発電やフロン ティアエネルギー新潟などの非常に競争力の高い自 社電源を中心に約55万 kW(2012年6月現在)の電 力を調達し、販売しています。 川崎天然ガス発電 (当社出資比率51%) フロンティアエネルギー新潟(当社出資比率35%) 小売販売(新電力事業)の規制緩和の流れ 2000 年 3月 特別高圧(契約電力2 , 000 kW 以上) 2004 年 4月 高圧(契約電力500 kW 以上) 大規模工場、ビル、デパートなど 中規模工場、ビル、スーパーなど 2005 年 4月 高圧(契約電力50 kW 以上) 2012 年 5月 小売全面自由化の方針を確認 小規模工場、ビルなど 政府諮問専門委員会 ※電力会社が保有する送配電線網 の運用ルールの策定や最終供給 保証など、公正な競争環境を確保 する上での課題も残っています。 ! 全面自由化へ 新電力事業 2012年3月末時点で届出を行っている新電力事業会社は、当社を含めて53社あります。この新電力事業について紹介します。 ※経済産業省は本年3月より、特定規模電気事業者(PPS)の新たな通称を「新電力」に改めました。 ①電力の調達 自社または他社発電所、さらには電力取引所などから、安定性・柔軟 性・経済性・環境性などさまざまな要素を考慮して電力を調達しま す。また、需要特性 ( 季節や時間帯による変化 ) を考慮した電源タイ プ(ベース、ミドル)の選定も最適な調達を行う上で重要です。 ②電力の販売 小売については、個別需要家の電力需要規模や使用パターンなどを 考慮して、価格等の条件を交渉の上決定します。なお、供給開始に際 しては、1需要地点ごとに新電力が電力会社へ電力託送を申し込む 必要があります。小売以外には、他の新電力等への卸売りや、需給バ ランスや市況を踏まえて電力取引所への販売も行います。 ③需給調整(同時同量) 新電力は、30分ごとの需要量と供給量の誤差を±3%以内に収める という30分同時同量の達成が求められます。このため、需給バラン スを24時間監視し、必要に応じて発電所の出力を抑制するなどの 対応が必要となります。
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