「MAGASCENE」「MAGASCENE KARTE」から見る「雑誌」への評価

Video Research Digest 2012.8
「MAGASCENE」「MAGASCENE KARTE」から見る「雑誌」への評価
~ファッションを貪欲に楽しむ 20 代女性~
当社では、さまざまな角度から「雑誌」の価値を捉えるため、各ビークルの“到達度”や
“読者の質”を知るための「MAGASCENE」
、ビークル個別に対する“雑誌の質”を知る
ための「MAGASCENE KARTE」
、そして、雑誌広告の接触率・注目率などを知るための
「MAGASCENE AD」という3つのデータをご用意しています。
今回は「MAGASCENE」と「MAGASCENE KARTE」の最新 2011 年度データから
20 代女性にとって、
「雑誌」がどのような存在かを探ってみます。
まず、女性全体にとっての媒体評価のコレスポンデンス分析結果を見てみましょう。
【図表1】雑誌は、
「自分らしさを表現する」
「自分だけの世界にひたれる」というパーソ
ナルな気持ちに寄り添う評価が近くなっています。
【図表1】
1
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次に、女性 20 代【図表2】
、30 代【図表3】での同様の分析結果を見ると、
「人気や流行
を知る上で役立つ」
「取り上げている内容が楽しめる」などの娯楽性の高い項目が「雑誌」に
より近くなっています。さらに、女性 20 代では「内容が買物や行動の参考になる」
「気分転
換・ストレス解消になる」が他の年代に比べ非常に近くなっていることも特徴的です。
【図表2】
【図表3】
2
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【コレスポンデンス分析とは】
クロス集計結果などをもとに、複数の質問項目間の関係を把握するための分析手法の一種
です。関連の強い項目ほど近距離にプロットされるため、項目間の相関の強弱を視覚的に確
認することができます。
例えば、雑誌イメージを用いた場合、近くにプロットされた雑誌は同じようなイメージの
傾向があり、
その近くにあるイメージ項目に強く反応していたということになります。
また、
プロット位置が原点に近いものほど、どの雑誌(イメージ)からも平均的なカテゴリといえ
ます(なお、この分析でプロットされたカテゴリ間の距離や類似性は相対的なものであり、
クロス集計で示される絶対的なスコアの大小は反映されません)
。
では、20 代女性で雑誌を読んでいる人たちは、どのようなことに興味があるのでしょう。
同じ閲読経験者(対象誌 486 誌、最新6号中1号以上読んだ人)でも、20 代女性の閲読経験
者は女性全体の閲読経験者に比べ、
「ファッション」
「化粧品」関連への興味・関心が高くな
っています【図表4】
。
【図表4】興味・関心のあることがら
興味 関
80
あ
女性20代閲読経験者(n=571)
70.6
女性全体閲読経験者(n=3307)
70
59.5
60
5 6 . 9 56.0
56.0
55.9
55.7
57.2
54.5
53.7
53.1
50.1
50
46.5
43.8
42.2
4 8 . 9 49.9
47.1
43.7
42.0
40
30
20
10
劇
画
・演
映
メ
情
報
カラ
ー
ヘア
スタ
イ
腕
゙・靴
・
ファ
ッシ
ョ
ン[
バ
ック
食
べ
物
・グ
ル
方
]
理
[作
り
料
計
時
化
ル・
ヘア
ケア
・ヘ
ア
楽
・ア
クセ
サリ
[メ
イ
粧
品
音
ー]
]
ク
ア
]
ケ
キ
ン
粧
化
ジ
行
・レ
旅
品
・
ャ
ー
シ
ッ
フ
ァ
[ス
ア
ョン
[衣
料
ウ
トド
品
ア
]
0
中でも最も関心が高い「ファッション(衣料品)
」の情報について、女性 20 代閲読経験者
は「自分の嗜好に合うか」
「情報の新しさ」を重視し、情報の位置付けとしては「積極的に収
集するもの」
「お金を出してでもほしいもの」が高くなっており、ファッションの情報に対す
る貪欲さが現れています【図表5】
【図表6】
(次頁)
。また、その情報の入手経路としては「雑
誌」が最も高く、女性全体と比較しても約8ポイント高くなっています。携帯電話・スマー
トフォンのインターネットでの情報入手が高くなっていることも特徴的です【図表7】
。
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【図表5】情報重視点【ファッション[衣料品]】 【図表6】情報位置【ファッション[衣料品]】
(関心あり母数)
(関心あり母数)
女性20代閲読経験者(n=571)
女性20代閲読経験者(n=571)
女性全体閲読経験者(n=3307)
女性全体閲読経験者(n=3307)
自然に見聞き
するもの
60
情報の新しさ
60
お金を出してでも
欲しいもの
50
40
役立つか
積極的に収集
するもの
40
情報の詳しさ
30
20
20
10
0
行動を左右
するもの
自分の嗜好に合うか
なくては
ならないもの
0
情報の正確さ
人との話題に
なるもの
情報の豊富さ
楽しめるもの
気分転換に
なるもの
【図表7】情報入手経路【ファッション[衣料品]
】
4 9 .9
雑誌
41.7
3 0 .7
27.2
テレビ
2 8 .3
インターネット[携帯電話・スマートフォン]
11.2
2 7 .4
インターネット[パソコン・タブレット型端末]
19.4
2 1 .0
19.1
店頭[ディスプレイ・ポスターなど]
1 4 .6
11.1
販売員・店員・営業マン
1 0 .3
9.1
口コミ
5 .3
折り込みチラシ
10.6
3 .6
4.9
ダイレクトメール
3 .5
2.7
フリーペーパー・フリーマガジン
2 .7
5.5
新聞
交通機関[電車・駅構内など]
1 .8
1.3
書籍・単行本
1 .7
1.5
屋外[看板・ネオンなど]
1 .4
1.3
ラジオ
0 .7
1.5
女性20代閲読経験者(n=571)
女性全体閲読経験者(n=3307)
2 .2
2.3
その他
0
10
20
4
30
40
50
60
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さらに、20 代女性閲読経験者の、ファッションアイテムの購入プロセスの情報源となるも
のについてのコレスポンデンス分析結果を見てみると、
「商品に興味・関心をもつ」と「雑誌
広告」が、
「商品がほしくなる」と「雑誌記事」がそれぞれ近くなっていることがわかります
【図表8】
。
【図表8】20 代女性閲読経験者(n=571)「ファッション」の購入プロセス
0.40
新聞記事
フリーペーパー・
フリーマガジン
新聞広告
PC等のメールマガジン
0.30
雑誌[出版社]の
携帯等のWebサイト
商品を知るキッカケ
ダイレクトメール
折込チラシ
PC等の個人の
ホームページやブログ
0.20
テレビCM
携帯等のメールマガジン
テレビ番組
携帯等の個人の
ホームページやブログ
携帯等のインターネット広告
0.10
商品に興味関心を持つ
雑誌広告
0.00
-0.20
-0.15
-0.10
-0.05
0.00
0.05
PC等の商品サービスニュース・
レビューサイト
0.10
-0.10
雑誌記事
商品が欲しくなる
-0.20
-0.30
店頭商品・
ディスプレイ
-0.40
店員・販売員
実際に購入するキッカケ
-0.50
次に、MAGASCENE データから見えた女性 20 代の「雑誌」全体に対するそのような評
価が現れている例を、各ビークル個別に対する「雑誌の質」がわかる「MAGASCENE
KARTE」のデータからもご紹介します。
各雑誌に対する「クリエイティブ評価」を、女性 20 代での閲読率上位 30 位
(
「MAGASCENE KARTE」調査対象の週刊・隔週刊・月刊誌 計 412 誌中)までに入る
ビークルの平均でみると、
「楽しい気分になる」
「人気や流行をいち早く知れる」
「読むのが楽
しみな雑誌」などが高くなります。女性全体閲読率上位 31 誌(※30 位が同率で複数誌ある
ため)の平均と比べると、
「センスを磨ける」や「モデル・メインキャラクターが良い」が高
くなることも特徴的です【図表9】
(次頁)
。
5
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【図表9】閲読率上位30誌 クリエイティブ評価平均
31誌)
40
女性20代閲読率上位誌平均(30誌)
女性全体閲読率上位誌平均(31誌)
閲読率上位30誌 クリエイティブ評価平均
(%)
37.8
35
32.1
32.2
32.0
30
30.4
28.9
31.6
28.5
28.8
28.0
27.9
26.4
25
29.5
26.3
26.4
25.4
26.1
25.2
25.2
24.3
20
28.4
24.9
19.4
16.9
15
10
5
読
む
が
よ
い
よ
い
企
画
で
集
の
盛
り
が
内
容
特
だ
くさ
ん
ー
が
ク
タ
ラ
ン
キ
ャ
モテ
゙ル
・メ
イ
ヒ
ン
提
案
や
旬
よ
い
くれ
る
て
え
トを
与
し
い
セ
ン
ス
発
見
を
磨
け
る
が
あ
る
う
に
合
新
る
て
い
自
分
の
趣
味
の
情
報
が
に
取
と
手
し
い
も
の
が
欲
む
読
載
っ
る
雑
誌
雑
誌
し
み
な
の
が
楽
ち
早
を
い
人
気
や
流
行
楽
し
い
気
分
に
な
く知
れ
る
る
0
※( )内は閲読率上位30位までに入る雑誌数
30位が同率で複数誌ある場合は30誌以上になります。
また、各商品ジャンル別の「この雑誌がキッカケとなった購入・利用経験」全 51 商品ジャ
ンルのスコアを足し上げた合計値(以下「購入・利用 GRP」と表記)を同様の平均値で比較
すると、女性 20 代での閲読率上位 30 誌の平均は、他の年代と比べても最も高いことがわか
ります【図表10】
。
【図表 10】年代別閲読率上位30誌 購入・利用 GRP 平均
(%)
180
150
168.9
153.2
147.2
133.9
119.4
115.8
120
112.1
90
60
30
0
女性全体
(31誌)
女性10代
(30誌)
女性20代
(30誌)
女性30代
(31誌)
女性40代
(30誌)
女性50代
(32誌)
女性60代
(33誌)
※( )内は閲読率上位30位までに入る雑誌数
30位が同率で複数誌ある場合は30誌以上になります。
以上のように、女性 20 代は「雑誌」という媒体に対し、
「人気流行を知る上で役立つ」と
いう評価を持っており、その中でも特に「ファッション」に関しては、自分の嗜好に合う最
新の情報を貪欲に求めています。その姿勢が、各ビークル個別への評価にも現れています。
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また、
「気分転換・ストレス解消」になるという評価は、各ビークルへの評価の「楽しい」と
いう気分につながっていて、20 代女性は「雑誌」からファッションの情報を得ることを楽し
んでいることがわかります。
さらに、そのような 20 代女性によく読まれている雑誌は、
「購入・利用 GRP」=「その雑
誌が持っている購入・利用につなげるパワー」も高くなるという結果になりました。
おわりに
インターネットの台頭で若者の書籍離れなどを耳にすることがありますが、まだまだ、女
性 20 代にとって、ファッションを楽しむために「雑誌」が欠かすことのできない存在である
ことがわかります。女性 20 代が求める「新しさ」
「自分らしさ」を持った情報を提供し続け
ることが、
「雑誌」を通した購買行動にもつながっていくのではないでしょうか。
MAGASCENE(2011 年度)調査概要
調査エリア・対象者
全国主要7地区 (東京30km 圏、関西、名古屋、北部九州、札幌、仙台、広島)
12-69 歳男女個人
有効 8,163 人
標本抽出
エリア・ランダム・サンプリング
調査方法
訪問による質問紙留置法
Vol.13 調査期間
Vol.13 調査対象誌
2011 年9 月29 日(木)~10 月19 日(水)
週刊誌 58誌 隔週刊・月2回刊誌 61誌 月刊誌 367誌 合計 486誌
MAGASCENE KARTE(2011 年度)調査概要
調査エリア・対象者
全国主要7地区15-69 歳男女個人
閲読率上位200 誌程度=100 人、その他約300 誌=50 人
目標有効標本数
最新MAGASCENE による性年齢構成で割付
452 誌 (同年度の『MAGASCENE』本体と同様)
・
『MAGASCENE』本体の付帯調査票にて調査している
調査対象誌
「フリーマガジン」
「隔月刊誌」も、調査対象誌に含む。
・各エリア版の区分があるビークル(リージョナル誌)のうち
テレビ情報誌など一部についてはエリア版ごとではなく1ビークルとして調査
①事前基礎調査
10 万人規模のネット調査モニターに対し、全ビークルの
「過去6 号での閲読経験」を調査
調査方法
(インターネット調査)
↓
②本調査
①の結果をもとに、モニターに閲読経験ビークルについてのアンケート協力を依頼、
対象者は調査サイトにアクセスして回答
(回答ビークル数に上限を設けるなど、多読サンプルへの調査負荷やサンプルの
偏りを防ぐ制御をかけます。
)
調査期間
事前基礎調査=8 月下旬~9 月上旬、本調査=9 月中旬~10 月下旬
7
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