Brexitの英国経済や金融市場への影響について

スペシャル・レポート
Brexitの英国経済や金融市場への
影響について
販売用資料
2016年6月
フィデリティ投信株式会社
英国にて欧州連合(EU)からの離脱、または残留を問う国民投票が、6月23日に実施されます。直近の各種世論調査にて
支持が二分したことから、緊張が高まっています。当資料では、英国国民投票の経済や金融市場への影響を考察します。
皆様へお伝えしたいポイント
 直前の各種世論調査にて英国のEU残留、離脱が極めて拮抗したことから、急速に離脱の際の英国経済や金融市
場への影響が不安視されています。EU離脱の場合には、英国経済は英国向け直接投資の減少や、移民による労
働力の減少、双子の赤字解消の長期化などにより低迷することが懸念されます。
 短期的な金融市場への影響としては、英ポンドは、高まる英国景気の不透明感、双子の赤字解消の長期化などを背
景とした国債の信用力低下を受けて、下落圧力がかかると考えられます。英国国債は、中・長期的な信用不安が台
頭し、利回りが急上昇する可能性があります。英国株式では、EU離脱の可能性をある程度織り込んでおりますが、
短期的には投資家心理の悪化により変動が大きくなることも想定されます。しかし、いずれも各国中央銀行の市場混
乱回避への対応が期待されていることから、次第に落ち着きを取り戻すと考えられます。
 また、世界経済への実際の影響を見極めるまでには時間を要するでしょう。そのため一時的に世界の金融市場にて
変動が高まる可能性がありますが、あくまで冷静に対応することが重要と考えられます。なお、残留の場合には、ポ
ンドなど離脱を織り込んでいた資産の巻き戻しによる反発が期待できます。
英国国民投票の概要
英国国民投票
 2015年の総選挙にてキャメロン首相は、保守党が第一党となった場合にEU離脱の是非を問う国民投票を実施する
と公約しました。その後、キャメロン首相はEU残留の道筋をつけるべく、今年2月にEU首脳会談にて英国国民の雇
用情勢や財政への不満を配慮した改革案に合意しました。しかしながら、EU離脱と移民規制を掲げる英独立党や保
守党内からの離脱を望む声は高まるばかりで、国民投票を実施する運びとなりました。国民投票は、6月23日の英国
時間7時~22時に実施され、24日3時~5時(日本時間11~13時)には結果の大勢が明らかになる見込みです。ただ
し、直前の世論調査にて支持が拮抗していることから、最終結果が発表される現地「朝食時ごろ」(日本時間夕刻)ま
で結論が見えない可能性もあります。
市場混乱回避のための中央銀行の事前対応
 英国および欧州の中央銀行は、離脱の際の資金引き上げの動きに備えて、金融市場を安定させる対策に動き出して
います。英中央銀行のイングランド銀行(BOE)は14日に約3,700億円の資金を臨時で供給するなど、通常は月に1
回の資金供給を6月は4回実施する構えです。欧州中央銀行(ECB)も長期資金を供給する手続きを22日に始める
方針です。十分な資金供給などで銀行の資金繰りを支え、短期的に資金の引き上げが加速した場合にも、市場が過
度に混乱することを回避する準備を整えています。
決定後のプロセス
 残留が多数となった場合には、2月にキャメロン首相がEU首脳会談にて合意した改革法案が発動される予定です。
主には、EU加盟国による移民への福祉サービスの制限、移民子女への扶養手当の金額見直し、ユーロに加入せず
ポンド使用継続への承認、ロンドンの金融街シティの保護といった英国への特例が含まれます。
 一方、離脱が選択された場合には、EU条約50条に基づき、欧州理事会に脱退通告を行い、欧州理事会と脱退に関
する協定を結ぶための交渉に入ることとなります。その後、脱退の協定が結ばれたら、EU法は英国に適用されなくな
ります。協定が結べなかった場合も通告後から2年でEU法は英国に適用されなくなるものの、延長することも可能で
あり、長期化することも十分考えられます。
※当資料作成時点の見方です。今後予告なく変更されることがあります。
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EU離脱(Brexit)の場合の英国ファンダメンタルズへの影響
短期・中期的に景気の足かせとなる可能性
 離脱の場合には、EUまたは、EU非加盟の貿易国とどのような協定が締結されるか明確になるまで英国向け直接投
資が減少するでしょう。また世界最大の自由貿易圏なくしてこれまでの成長を維持できるのかも疑問が残ります。そ
のため、財政悪化や貿易赤字の拡大により英国景気が低迷することが懸念されます。
 また、英国経済は金融危機前の水準まで低下した失業率や生産性向上の停滞にも関わらず、拡大する移民の労働
力に支えられ、インフレの圧力を受けることなく経済を拡大させてきました。そのため、離脱によってこれら労働力を失
うことも英国にとって好ましいことではありません。
 英国国債の信用力低下も心配されます。想定以上の財政赤字の拡大は英国国債の増発を生み、ひいては国債の信
用力の低下に繋がります。既に格付け機関であるS&Pは離脱が決定した場合には格付けを引き下げる意向を示して
おり、他の格付け機関が追随することも考えられます。
 一方で悪材料だけではなく、例えば英国企業の状況を見ますと、英国株(FTSE100)の構成企業における売上高の8
割は海外であることから、ポンド安が企業業績にプラスの影響を与えることが期待できます。
EU離脱(Brexit)の場合の金融市場への影響
短期的に変動性が高まる局面では冷静な対応が重要
英ポンド:BOEは金利引き下げにより、上記の景気減速に対応していく可能性があります。これらを織り込んで既にポン
ドは対米ドルで金融危機の水準まで下落しておりますが、離脱の場合には過去30年概ね維持した下値水準の1ポンド
=1.4米ドルを一気に割り込む展開も考えられます。しかし、その後は各国中央銀行の為替介入などにより市場は安定
化すると期待されます。
英国国債:年初来、弱含む世界景気や世界的な金融緩和を受けて、構造的に英国国債の利回りは下落基調をたどり、
英国国債の価格は堅調に推移しました。しかし、中・長期的には投資家が英国資産のリスクプレミアムを再考することで、
とりわけ海外投資家が英国国債から資金をシフトさせ、長期国債の利回りが上昇することも考えられます。ただし、その
ような場合には、英国内投資家が買い支えると見込んでおり、結果的には大きな混乱は避けられると思われます。
英国株式:既に株式相場は英国のEU離脱の可能性をある程度織り込んで割安な水準にあります。離脱の際には、短
期的な不透明感と投資家心理の悪化により変動が大きくなることも考えられます。しかし、中・長期ではポンド安が英国
主要企業にとって追い風になること、英国政府の欧州との自由貿易協定締結に向けた動きが具体化することなどにより
徐々に市場は落ち着きを取り戻すと思われます。
世界の金融市場:投資家心理の悪化から世界の金融市場においても、一時的に変動が大きくなると考えられます。ただ、
世界経済への直接的な影響は限定的と考えられること、各国中央銀行の混乱回避のための対応が期待できることから、
あくまで短期的な変動に留まると思われます。
一時的に心理的影響で世界の株式などリスク資産が軟調となれば、投資機会となる可能性もあります。したがって、冷
静に状況を見極めることが肝要と思われます。また、ポンド安が業績に恩恵をもたらす企業があるように、各企業によっ
て影響は異なるため、経済や企業の成長に対する長期的な視点に基づく個別企業の分析がより重要になるでしょう。
※当資料作成時点の見方です。今後予告なく変更されることがあります。
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加入協会:一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会
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