平成25年度 第5回) 生物多様性と外来生物について

第5回 環境保全協議会
1.日 時 : 平成25年8月27日(火)
14:40∼(安全協議会終了後)
2.場 所 : 思川開発建設所 3階B・C会議室
3.議 題 : 生物多様性と外来生物
1.生物多様性
生物多様性とは、「生き物たちの豊かな個性とつながり」のこと
→地球上の生き物は、40億年という地球の長い歴史の中で、様々な環境に適応し
て進化し、3000万種とも言われる多様な生き物が生まれた
→これらの生命は一つひとつに個性があり、全て直接・間接的にささえあっている
◎生物多様性条約では、生態系の多様性・種の多様性・遺伝子の多様性という
3つのレベルで多様性があるとしている
●生態系の多様性:
森林、里地里山、河川、湿原、干潟、珊瑚礁
などの色々なタイプの自然
●種の多様性:
動植物から細菌などの微生物にいたるまで、
色々な生き物が存在
●遺伝子の多様性:
同じ種でも異なる遺伝子を持つことにより、
形や模様、生態などに多様な個性がある
出典:環境省生物多様性HP
◎生物多様性条約とは
→生物多様性は人類の生存を支え、人類に様々な恵みをもたらすもの
→生物に国境はなく、世界全体でこの問題に取り組むことが重要(日本だけで生物
多様性を保存しても十分ではない) とのことから、
1992年5月に「生物多様性条約」がつくられ、日本は1993年5月に条約を締結
(192ヶ国とEUが締結)
<目的>
1.生物多様性の保全
2.生物多様性の構成要素の持続可能な利用
3.遺伝資源の利用から生ずる利益の公正で衡平な配分
<内容>
●経済的・技術的な理由から生物多様性の保全と持続可能な利用のための取組
が十分でない開発途上国に対する支援を行う
●生物多様性に関する情報交換や調査研究を各国が協力して行う
出典:環境省生物多様性HP
◎生物多様性からの恵み
<豊かな暮らしの基礎・
有用な価値>
食べ物、医薬品、
燃料、繊維、木
材、紙、水
神秘的体験、豊かな
文化・芸術、自然と
共有してきた知恵と
伝統、レクリエーショ
ンや観光の場と機会
<豊かな文化の根源>
出典:環境省生物多様性HP
<自然に守られる私たち
の暮らし>
暴風や洪水に
よる被害の緩
和、水源涵養、
干ばつ防止、
山地災害、土
壌流出の防止、
病害虫・病原菌
の発生の抑制
遺伝的多様性
の保全、酸素
の供給、気温・
湿度の調整、
水や栄養塩の
循環、豊かな土
壌
<全ての生命の存立基礎>
◎人間の活動による生物多様性の危機
原因:①生息地・生育地の損失と劣化
②過剰な栄養素の蓄積等による汚染
③過剰利用
④気候変動
⑤外来種・化学物質
例えば、私たち人間の活動により、
●世界の森林が2000年から2010年
の間に、平均で毎年520万ヘクタール
(九州と四国を足した面積程度)消失
●サンゴ礁は19%が既に失われ、更
に今後10年から20年の間に15%が
失われる可能性がある
●この結果は、生きものたちの絶滅ス
ピードを1,000倍に加速させています。
近い将来、絶滅のスピードが
更に10倍になると予測
出典:環境省生物多様性HP
②外来生物について
◎在来種と外来種
在来種:従来からその地域で生息・育成している種
外来種:本来その地域には生息せず、他の地域から人
為的に持ち込まれ、それが野生化して世代交代
を繰り返すようになり、生態系に定着した動植物
をいう。
●日本国内では2000種類を超す外来種が存在
●明治元年以前に日本国内に持ち込まれた外来種は、
史前帰化生物という(モンシロチョウ、スズメ、ハツカネズ
ミ、ハクビシン、ニホンヤモリ など)
●国内における人為的移動でも、外来種(国内外来種)と
なる
◎外来種の導入事例
●意図的導入
ペット・家畜 : アライグマ、ヤギ、イエネコ など
天敵として : ジャワマングース、カダヤシ など
第一次産業(農業・漁業) : ウシシガエル、ニジマス、
セイヨウオオマルハナバチ など
緑化・ガーデニング : オオハンゴンソウ、オオキンケイギク など
法面緑化 : シナダレスズメガヤ、カモガヤ(オーチャードグラス) など
産業振興・娯楽 : ブラックバス、ヤマドリ、コウライキジ など
環境保護 : 他県のゲンジボタルを放流
●非意図的導入
シロツメグサ(箱の中敷き、江戸時代にオランダから)
コケグモ(輸入資材・物資)
イガイ(船底付着・船のバラスト水)
◎外来種のもたらす問題(生物多様性の危機の一因)
●生態系への影響
島嶼でのノヤギによる植物の食害
ジャワマングースによるヤンバルクイナの被害
ホテイアオイの繁茂による在来植物の育成阻害
●遺伝子攪乱
タイワンザルとニホンザル交雑
クワガタなどの交雑
●一次産業への影響
ヌートリア、アライグマ等による農作物の食害
●感染症及びヒトの生命への被害
輸入犬による狂犬病
ブタクサ・カモガヤ等による花粉症
◎特定外来生物とは?
特定外来生物:(2011.7現在105種)
特定外来生物とは、外国産の外来生物であって、生態系、人の
生命・身体、農林水産物へ被害を及ぼすものまたは及ぼすおそれ
のあるものの中から指定される。
要注意外来生物:(2009.2現在148種)
特定外来生物となりうる懸念が指摘されている生物。
今後の調査・検討結果により特定外来生物への指定を視野に入
れ別途指定されている。
○外来生物法(2005年6月施行)
特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律
特定外来生物の指定
飼養、栽培、保管
運搬輸入等の規制
防除
要注意外来生物の指定
今後の調査、検討結果に
よっては特定外来生物
に指定
生態系、人の生命・身体、
農林水産物の被害を防止
特定外来生物は、販売、飼育や栽培、保管、運搬、輸入などが原則禁
止されており、個人が違反した場合、懲役3年以下または300万円以
下の罰金(法人の場合、1億円以下の罰金)などが科せられる。
◎特定外来生物1(2011.7.11現在)
ほ乳類(21種類):タイワンザル、ヌートリア、タイワンリス、アライグマ、
ジャワマングース、シママングース、ホンシュウジカ
他6種を除くシカ族全種 など
鳥類(4種類):ガビチョウ、オオジロガビチョウ、ソウシチョウ、
カオグロガビチョウ
は虫類(16種類):カミツキガメ、グリーンアノール、ガーマンアノール、
マングローブヘビ、タイワンハブ など
両生類(11種類):プレーンズヒオキガエル、キンイロヒキガエル、
オオヒキガエル、ウシガエル、シロアゴガエル など
魚類(13種類):チャネルキャットフィッシュ、ノーザンパイク、カダヤシ、
ブルーギル、コクチバス、オオクチバス など
※下線は南摩ダム周辺で確認されている種
◎特定外来生物2(2011.7.11現在)
クモ・サソリ類(10種類):キョクトウサソリ科全種、ハイイロコケグモ、
セアカコケグモ、クロゴケグモ など
甲殻類(5種類):ウチダザリガニ、ラスティークレイフィッシュ(アメリ
カザリガニ)、モクズガニを除くモクズガニ族全種など
昆虫類(8種類):ヤンバルテナガコガネを除くテナガコガネ族全種、
クモテナガコガネ族全種、セイヨウオオマルハナバチ、
アカカミアリ、アリゼンチンアリ など
軟体動物等(5種類):カワヒバリガイ族全種、クワッガガイ、ニューギニ
アヤリガタリクウズムシ など
植物(12種類):オオキンケイギク、ミズヒマワリ、オオハンゴンソウ、
ナルトサワギク、オオカワヂシャ、ナガエノツルゲイトウ、
アレチウリ、オオフサモ、ボタンウキクサ など
※下線は南摩ダム周辺で確認されている種
身近な外来種(オオキンケイギク)
●北アメリカ原産のキク科の植物の一種で、5
月∼7月頃に黄色い花を咲かせる。
●外来種として野外に定着して問題となり、
現在は栽培が禁止されている。
●日本には1880年代に鑑賞目的で導入。
●繁殖力が強く、荒地でも生育できるため緑
化などに利用されていた。
●カワラナデシコなどの在来種に悪影響を
与える恐れが指摘され、2006年に外来生
物法に基づき特定外来生物として栽培・譲
渡・販売・輸出入などが原則禁止された。
●日本生態学会により日本の侵略的外来種
ワースト100に選定。
環境手帳(環境ハンドブック) P54,55
終 わ り