遠くへ飛ぶ紙飛行機に挑戦!! Ⅰ 概要 組み立て式の紙飛行機と発射台を作り、同じ条件で発射台の角度を変えてその飛行距 離を測定する。 Ⅱ 研究目的・意義 小さい頃に誰もが遊んだことのある紙飛行機。その頃はまだ、何も考えず、ただ遠く へ飛ばすことに夢中だった。高校生になった今、授業で学んだ物理学を活かし、飛行機 の重心や飛ばす力、発射台の角度などに着目して、より遠くへ飛ぶ紙飛行機を作ってみ ようと思い実験を行うことにした。また、今回は組み立て式の紙飛行機で実験を行うこ とにした。 Ⅲ 飛行機の飛ぶ原理 ・平らな板(主翼)が空気の流れに対して真横(平行)になっ ている場合、空気は板の上下を同じように平行に流れるため、 板に直角方向の力は働かない。 図1 ・平らな板が空気の流れに対して角度がある場合(迎角がある 場合)、空気は板に沿って流れ、下向きに曲がる。 つまり、空気は板から力を受けて、曲げられる。 図2 ・板はその反対向きの力をもらい、持ち上がる。この力を揚力と 言う。この揚力のおかげで、飛行機が飛ぶことができる。 図3 (引用:丹波博士の 工作・実験 紙飛行機教室) Ⅳ 実験の方法・手順 1.組み立て式紙飛行機の作成 材料 ・ケント紙(A2)…2~3枚 ・木工用ボンド ※同じ素材の紙で同じ型の紙飛行機を複数作る。 ※主翼の左右のバランスを均等にし、さらに、角度 (140度)を正確に測る。 2.発射台の作成 材料 ・ダンボール ・輪ゴム…6 本 ・ガムテープ ※毎回同じ力の大きさでゴムを引けるように距離を 設定。 3.測定方法 ① 発射台を教卓(高さ 90.5 ㎝)に乗せ、0 度、5 度、10 度、15 度でそれぞれ 5 回 ずつ測定する。 ② 発射地点から着地地点までをメジャーで測る。 ③ 風の影響を受けないように、窓などを閉め切った教室で行う。 Ⅴ 実験結果 測定結果(単位:メートル) 角度 1 回目 2 回目 3 回目 4 回目 5 回目 平均 0度 3.30 3.40 3.56 3.98 3.53 3.55 5度 6.28 3.75 5.85 6.42 6.27 5.71 10 度 6.29 5.23 5.69 6.30 5.54 5.81 15 度 4.62 6.31 4.60 4.20 5.04 4.95 (補足) 垂直尾翼が何の役割を果たしているのか不思議に思い、切り取ったものを飛ばしてみ た。 ⇒発射後、すぐに墜落した。 Ⅵ 考察 自分たちは、角度が大きくなればなるほど飛ぶ距離も長くなると予想していた。だが、 この表を見る限りでは、15 度ではなくて 10 度が一番飛ぶという結果になった。この結 果についてさらに調べてみたところ、揚力はある程度の範囲内では迎角に比例し大きく なるが、迎角の大きさがある値を超えると逆に揚力が低下し失速してしまうことがわか った。よって、この実験において揚力が迎角に比例して大きくなる範囲は 0~10 度の間 という結果になった。また、もしかしたら全て同じ紙飛行機で測定したことによって着 陸の際に先端がへこんでしまったので、これによってバランスが多少崩れたりしたこと も測定結果に関係するかもしれない。 測定結果において、同じ角度でも大きく差が開いてしまった部分もあった。このよう な結果になってしまった理由としては、飛ばす際にゴムが機体に引っかかってしまった り、バランスが崩れてしまったことが考えられる。 さらに垂直尾翼を切り取って飛ばしたところ、発射直後すぐに墜落してしまった。こ の結果から、垂直尾翼は機体を進行方向に真っ直ぐに保つための役割を果たしているこ とがわかった。 (補足) 物理で学習したことから物体が一番飛ぶのは角度 45 度とあった。 しかし、今回の実験は教卓の上から発射したことにより、角度 10 度のときに一番飛 行距離が長かったと考えられる。 図のように、発射地点と同じ高さの着地 点では、角度 45 度で飛ばしたとき、一番 45 度 距離が長くなる。しかし、着地地点が発射 地点より低くなると、45 度より小さい角度 のほうが飛行距離は長くなる。 今回の実験では 45 度で飛ばすことがで きず、実際に図のような結果になることを確認することができなかった。 10 度 Ⅶ 今後の課題 ・機体がゴムに引っかからないように発射台を改善する。 ・垂直尾翼が進行方向の安定を保つ働きをしていることがわかったことから、他の各部 位の役割をさらに詳しく調べる。 ・重心、大きさ、紙の種類を変えて測定、比較するなどして、発展内容に挑戦する。 ・キャンバーによってどのくらい飛行距離が変わるのか調べる。 Ⅷ まとめ・感想 紙飛行機を物理的な考え方に基づいて飛ばすのは、予想以上に大変だった。簡単にで きると思っていたが、案外てこずった。紙飛行機を作る際、左右のバランスが悪かった り、中心の紙が曲がっていたりするだけで、飛び方が大きく異なってしまった。また、 中心の紙をしっかりしたものにするためバルサにしてみところ、相性が悪かったらしく てよく飛ばなかった。そこで、中心のみケント紙を二枚にして補強してみた。すると割 とよく飛んだ。 発射台については、紙飛行機が飛ぶ瞬間にゴムに引っかかってしまうことがスーパー スローカメラによってわかったので、ゴムのつけかた・発射する際のゴムの引っ張り方 などを工夫し、引っかからないように改善を試みた。 体育館などの無風状態の場で実験を行いたかったのだが、他の学年の授業のためでき なかった。それなので急遽、物理講義室で実験することになった。よって、部屋の長さ の関係もあり、角度は 15 度までとした。 今回は、実験場所の広さや天井の高さの関係で制限されることが多く、4つの角度し か測定できなかったため、正確な実験結果が得られなかったと思う。もし今後機会があ れば、飛行機の大きさや重心を変えたりして測定してみたい。また、線香のけむりを使 うなどして、飛行機のまわりの気流の変化を自分の目で確かめるなど、さらに発展させ た内容に挑戦してみたい。 Ⅸ 参考文献・URL ・丹波博士の 工作・実験 紙飛行機教室 ・紙飛行機の話 http://www.tamba-jun.com/ http://www.ops.dti.ne.jp/~gotha/Aircraft/airfield.html#index ・紙飛行機→飛ばそっ!~よく飛ぶ紙飛行機の作り方~ http://sakura.canvas.ne.jp/spr/kamihikouki-tobaso/index.html
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